「”不安はおひとりで抱えないでください。” 専門医クリニックの法人成りも、税務調査も、医療専門税理士があなたの右腕になります。」
整形外科・耳鼻咽喉科・眼科などの専門医クリニック向け 税務調査の基礎知識と対策ガイド
ページコンテンツ
- 「”不安はおひとりで抱えないでください。” 専門医クリニックの法人成りも、税務調査も、医療専門税理士があなたの右腕になります。」
- 整形外科・耳鼻咽喉科・眼科などの専門医クリニック向け 税務調査の基礎知識と対策ガイド
- 税務調査とは?整形外科・耳鼻咽喉科・眼科などの専門医クリニック経営者が押さえるべき基本知識
- クリニックにおける税務調査の流れと対応方法
- 医療専門クリニックに特有の税務調査の論点とは?
- 日常業務でできる!税務調査への備えと対策
- 加美税理士事務所による税務調査サポート体制
- クリニック経営における税務調査リスクを低減するために
- 当事務所が選ばれる理由|税務調査に強い医療専門税理士法人
- よくあるご質問
- お問い合わせ
- 関連ページ
「税務調査」とは、クリニックが提出した確定申告の内容に誤りや不正がないかを税務署(国税庁管轄)が詳細に確認するための手続きです。法人(医療法人)だけでなく、個人で開業しているクリニック(開業医)も対象になり得ます。調査の結果、申告漏れ(報告していない所得)や経費の過大計上など事実と異なる申告が見つかった場合、正しい税額を計算し直したうえで不足分の追徴課税(追加の税金)が課されます。重度の不備でなければ多くの場合、追徴税額に対する過少申告加算税(ペナルティ的な追加税)や延滞税(延滞利息)を支払って修正申告を行えば手続きは完了します。基本的に、日頃から適正に申告・納税しているクリニックであれば、税務調査は必要以上に恐れるものではありません。
もっとも、クリニック経営者にとって税務調査は初めて経験する際に不安が大きいものです。特に、整形外科や耳鼻咽喉科、眼科といった専門クリニックは、収益形態や経費構造が一般企業と異なる部分も多いため、税務調査に対する基本的な理解を持っておくことが大切です。医療専門クリニックであるがゆえの論点や注意点を把握し、万全の準備と日頃からの対策を講じておけば、いざ税務署の調査官が来ても落ち着いて対応できます。
税務調査は無作為に訪れるわけではなく、調査の対象として選ばれやすい条件が存在します。医療法人でも個人クリニックでも、以下のようなケースに当てはまると調査対象となる可能性が高まります。
- 毎年の所得が非常に多い場合:利益規模の大きな整形外科や眼科クリニックなど、毎年高額所得を計上していると税務署から注目されやすくなります。
- 急速に業績が伸びている場合:開院後短期間で患者数や売上が大幅に伸びている耳鼻咽喉科クリニックなどは、「何か申告漏れの原因があるのでは?」とチェックされがちです。特に開業から3年以上経ち売上が増加してくると、消費税の課税が始まるタイミングでもあり税務調査のターゲットになりやすいと言われます。
- 前期と比べ売上や経費が大きく増減した場合:前年と比べて売上が急増減したり、大きな設備投資で経費が激増したりすると、帳簿の整合性確認のため調査が入ることがあります。例として、整形外科で高額なMRI装置を導入して多額の減価償却費を計上した場合などは注意です。
- 同規模他院と比べ利益率が低い/特定の経費比率が高い場合:同じような規模のクリニック平均と比べて不自然に利益が出ていなかったり、広告宣伝費や交際費など特定の経費が突出して多い場合も要注意です。税務署は「経費を計上しすぎて利益(所得)を圧縮していないか」「不要な経費計上で節税しすぎていないか」を疑います。
- 高額な資産売買や消費税還付があった場合:クリニックの土地建物の売買、医院の大規模な新築・改装に伴い多額の消費税還付を受けた場合など、金額が大きい特別な取引があれば調査官の目に留まりやすくなります。
- その他の要因:役員退職金のような大口の特別損失を計上したケースや、生命保険の解約返戻金を申告していないケースなども挙げられます。過去の統計では、産婦人科医や内科医のように医師業が申告漏れ額の多い業種上位に入ったこともあり、医療系は税務署にとって重点的な業種の一つです。
以上のように、「儲かっているクリニック」「数字の変動が大きいクリニック」は税務調査に入りやすい傾向があります。医療法人だけでなく、規模によっては個人経営のクリニックにも7〜10年に一度程度の割合で調査が行われるケースが多いようです。特に前回の調査で申告漏れを指摘された場合は、さらに短いスパンで再調査が入ることも想定されます。耳鼻咽喉科や眼科など一見公的収入主体で「調査とは無縁」に思える診療科でも、自由診療収入や経費面で問題があれば調査対象となり得る点に注意しましょう。
クリニックの形態によって、税務調査の頻度や指摘されるポイントに若干の違いがあります。個人で開業しているクリニック(開業医)の場合、一般の個人事業主に比べ高所得であるケースが多い一方で税務会計の意識が高くない方も多く、調査官から見ると「定期的に高額の申告漏れが見込めるターゲット」になりやすいとも言われます。一方、医療法人(法人化したクリニック)は組織として会計処理が整備されている反面、規模が大きくなり調査対象件数としては法人の方が多くなる傾向があります。ある統計では全法人の3%強に調査が行われているとのデータもあり、個人より法人の方が若干調査率が高いとの指摘もあります。
実務上は、開業医も医療法人も概ね7〜10年に1度程度は税務調査が入るケースが多いとされ、どちらだから有利・不利と大きな差はありません。違いが出るのは調査時に準備すべき書類です。個人クリニックでは通常の帳簿類(現金出納帳や領収書など)に加え、青色申告をしている場合はその帳簿組織立てがチェックされます。一方、医療法人ではこれらに加えて社員総会議事録や理事会議事録、組織図など法人運営に関する書類の提示も求められます。医療法人化して間もない場合、つい個人時代の銀行口座を使い続けてしまうケースもありますが、調査では個人名義の通帳にプライベート支出が紛れていないか厳しく見られます。法人化後は公私の経理を明確に分け、法人ならではの書類整備を徹底しましょう。
なお、開業医の方は青色申告の承認を受けて適切な帳簿付けを行うことで、赤字の繰越控除や青色申告特別控除といった税制メリットが得られます。これは日頃の経理体制を整えることにもつながり、税務調査への備えとしても有効です(青色申告の詳細は別ページ「青色申告の特集ページ」で解説しています)。また、税理士が作成した申告に書面添付制度(税理士法33条の2)を活用することも検討するとよいでしょう。書面添付とは、申告書の内容について税理士がどのように調整・確認したかを記載した書類を添付提出する制度で、これを利用している場合は調査前に税理士が意見を述べる機会を得られます。意見聴取で疑問点が解消されれば調査自体が省略されることもあるため、医療専門の税理士と相談しながらこうした制度も賢く活用しましょう。
税務調査は通常、事前に税務署から連絡(通知)があります。多くは書面や電話で「○月○日に調査に伺います」という連絡が来ますので、日程調整のうえ受け入れ準備を始めます。通知を受け取ったら、すぐに顧問税理士に連絡しましょう。税理士がいる場合、調査当日に立会い(同席)してもらうことも可能ですし、事前準備のアドバイスも受けられます。税理士がいない場合も慌てず、以下のような書類を揃えておきます。
- 主要な会計帳簿類:総勘定元帳、現金出納帳、預金通帳のコピーなど、お金の出入りが分かる帳簿
- 証憑書類:領収書、請求書、契約書など取引の証拠となる書類一式
- 給与関連書類:給与台帳、タイムカード、源泉徴収簿、扶養控除等申告書 など
- (医療法人の場合)法人関係書類:定款、登記事項証明書、役員会や社員総会の議事録、院内の組織図や職員名簿 など
一般的な調査では過去3年分の申告内容が対象となります。そのため上記書類は直近3期分をひととおり用意しておきましょう。法律上、帳簿書類は7年間の保存義務がありますので、もし調査官から過去に遡って求められても対応できるよう7年分保管が望ましいです。特に、何らかの重大な問題が見つかった場合は最長7年まで遡及調査されることもあります。
事前準備のポイントは、調査官の目につきそうな点をあらかじめ洗い出しておくことです。例えば「交際費が多い」「在庫が大きく増減している」「特定月だけ売上が跳ね上がっている」など心当たりがあれば、関連資料をすぐ提示できるようまとめておきます。電子カルテやレセコン、会計ソフト内のデータも見せてと言われる可能性がありますので、パソコン内の関連ファイルを整理しておくと良いでしょう。調査官は必要に応じてデータ提出も求める権限があります。また、院長先生へのヒアリングも行われますので、自院の経営概況(患者数の推移や診療科目、スタッフ数、設備状況等)を簡潔に説明できるよう準備しておくとスムーズです。
税務調査当日は、通常税務署の調査官がクリニックに直接訪問して行われます。調査官は院長室や会議室などで持参した帳簿類を確認し、不明点があれば院長先生や経理担当者、税理士に質問します。整形外科・眼科クリニックなどでは診療の合間になるべく支障ない時間を選んでヒアリングしてくれる場合もありますが、基本的に調査中は調査官の質問に真摯に対応することが大切です。
当日の一般的な流れは以下のようなイメージです :
- 午前(初日):代表者への事業概要ヒアリング(開業年や診療科目、患者層、職員体制、収入構造などの説明)、帳簿や書類の整備状況の確認。
- 午後(初日):帳簿書類の内容チェック(主に売上計上状況、経費計上の妥当性、給与支払状況、在庫の有無、大口取引の確認など)。疑問点が出れば逐一質問されます。夕方頃に「追加で用意してほしい資料」のリストが提示されることもあります。
- 2日目以降:初日で終わらなかった帳簿類の確認作業が続行されます。個人医院の場合は1〜2日で終わることもありますが、医療法人で規模が大きい場合や論点が多い場合は3日以上かかるケースもあります。
- 最終日:午前中までに全てのチェックを終え、午後〜夕方にかけて調査結果の講評(指摘事項の説明)が行われます。ここで修正が必要な項目について調査官から説明があり、納税者(院長)および税理士と意見交換がなされます。その場で結論が出ない事項は「検討事項」とされ、後日まで持ち越されます。必要に応じ追加資料の提出期限なども伝えられます。
当日の対応で重要なのは、誠実かつ冷静に応対することです。調査官の質問には事実を基に簡潔に答えましょう。もし即答できない質問があれば、無理に場当たりな回答をせず「後日改めて回答します」と伝えて構いません。その際は顧問税理士と相談し、適切な回答を文書等で提出すれば問題ありません。調査官に不信感を与えないよう、あいまいな返答や根拠のない説明は避けるべきです。税理士が立ち会っている場合は、専門的な問いは税理士に任せても大丈夫です。税務調査はあくまで「確認作業」であり、敵対的になる必要はありません。調査官も人間ですので、協力的で礼儀正しい態度で接することで円滑に進みやすくなります。
税務調査が終了すると、調査官から指摘事項の説明があります。指摘事項とは「ここは申告ミスがあります」「この経費は経費にできません」といった税務上の修正ポイントです。説明を受けたら、内容を十分に理解し納得できるか確認します。指摘に納得した場合には、後日速やかに修正申告を行い、不足していた税額を納付します。修正申告とは、本来より少なく申告していた税額を訂正する手続きで、所轄税務署に訂正後の申告書を提出します。
修正申告により追加の納税(追徴税)が発生する場合、ペナルティとして過少申告加算税が課せられます。一般的には、不足税額の10%(場合により15%)が加算されます。また、期限まで税金を納めていなかったことに対する延滞税も日割計算で加算されます。ただし、いずれも意図的・悪質な隠蔽ではなく誤りであった場合は、この範囲のペナルティで済み、刑事罰や重加算税(35%の重いペナルティ)といった厳しい処分になることは基本ありません。むしろ調査官も「きちんと修正して今後気を付けてくださいね」というスタンスですので、素直に誤りを正す対応が肝心です。
もし指摘内容に納得がいかない場合は、その場で反論や追加説明をしても構いません。エビデンス(証拠書類)を提示すれば覆るケースもあります。また、後日改めて異議申立て(不服申立て)など法的手段を取ることも可能ですが、一般的なクリニック案件では調査官の指摘通り修正申告して終了するケースが大半です。いずれにせよ、調査後は顧問税理士とともに再発防止策を検討しましょう。「なぜこのミスが起きたのか」「今後どう管理すれば防げるか」をフィードバックし、日常の経理体制に反映させることが大切です。
税務調査は原則対面で行われますが、近年はITの活用も進んでおり、一部オンラインでの対応も可能になってきています。例えば、遠方にあるクリニックの場合、必要書類を事前に電子データで共有したり、調査官とのヒアリングをオンライン会議システムで実施したりするケースもあります。また、新型コロナ禍以降は調査件数が減少していましたが、現在はコロナ前の水準に戻りつつあるため、オンラインツールを活用して効率的に対応する取り組みも増えています。
こうした環境の変化に対応し、当事務所(加美税理士事務所)では全国どこでもフルリモートで税務調査支援が可能です。遠隔地の整形外科クリニックや複数の分院を展開する医療法人でも、オンライン会議で事前打ち合わせを行い、調査当日は電話やZoom等でリアルタイムに税理士がサポートします。必要に応じて電子帳簿やデータの共有もクラウド経由で安全に行いますので、物理的な距離を気にせず専門的な支援を受けていただけます。実際に、地方の眼科クリニックの調査に東京の税理士がリモート立会いして円滑に対応した実績もあります。全国対応・フルリモートの体制を活用し、どの地域のクリニック院長先生にも安心のサポートを提供いたします。
医療業界ならではの収益形態や経費処理があるため、税務調査でも医療専門クリニック特有の論点がいくつか存在します。調査官がよくチェックするポイントを知り、日頃から適切に処理しておくことで、指摘リスクを下げることができます。以下に、整形外科・耳鼻咽喉科・眼科クリニックで特に注意すべき主な論点をまとめます。
- 保険診療収入と未収金の計上タイミング:クリニックの収入は健康保険による診療報酬(社保・国保)が大半を占めます。この保険診療報酬は2ヶ月遅れで支払われるため、決算日時点で未入金の分について「未収入金(保険未収金)」として計上漏れがないか厳しく確認されます。収入の計上は入金日ではなく診療日ベースで行う必要があるため、期末をまたぐ診療報酬は忘れずに計上しなければなりません。「未収入金の管理がずさんで一部計上漏れ」という事態は税務調査で真っ先に指摘されるので注意しましょう。特に自賠責保険(交通事故診療)や労災、公費負担医療など、入金まで時間がかかるものも漏れなく集計することが大切です。
- 自由診療収入と消費税の扱い:保険診療は非課税収入ですが、自由診療(保険の利かない診療)に該当する収入は消費税課税対象となります。例えば整形外科での美容目的の注射治療、耳鼻科での自費の検診やワクチン接種、眼科でのレーシック手術やコンタクトレンズ販売などが挙げられます。これら自由診療収入や物販収入について適切に消費税計算・申告しているか、税務調査で重点的にチェックされます。クリニックによっては、自由診療の売上を小分けの現金収入で受け取っており管理が甘くなるケースもあるため、レセコンの日計表と現金入金額にズレがないか確認されることもあります。消費税については、課税売上高が基準を超えると原則課税業者となり申告が必要です。開業後の2期は資本金要件等により免税事業者となるケースもありますが、3期目以降大きな自由診療収入が発生する場合は確実に消費税申告を行いましょう(クリニックの消費税の考え方は別ページ「消費税の特集ページ」で解説しています)。
- 棚卸資産(薬品・在庫)の管理:整形外科や耳鼻科では、院内薬局で薬剤をストックしていたり、ディスポーザブル器具を大量に保管していることがあります。決算期末に在庫棚卸しを行わずにすべて経費計上してしまうと、在庫計上漏れとして指摘されます。調査官は在庫の数量や評価方法も確認しますので、期末には必ず実地棚卸を実施し、その結果を帳簿に反映しましょう。棚卸表(在庫リスト)を作成する際は計算ミスや入力漏れがないよう注意が必要です。特に使用期限切れの在庫の処分や評価減の処理なども適切に行っているか確認されます。
- 人件費・給与周りの適正:クリニックでは院長のご家族をスタッフとして雇用している場合も多くあります。この親族に対する給与支払について、実態以上に高額な給与を支給して経費にしていないか調査官は注目します。本当に働いている実績があるか、給与額は適正かを問われます。同様に、非常勤医師やアルバイトスタッフへの給与についても、適切に所得税の源泉徴収を行っているか確認されます。源泉漏れがあれば即座に指摘され、未納分の納付を求められます。さらに役員報酬(医療法人の場合の院長給与)が期中で増減していないか、賞与の扱いは適切か、といった点も確認対象です。
- 交際費・会議費の使途:医師同士の情報交換や医療機器メーカーとの付き合いなど、クリニックも交際費や会議費が発生します。しかし、事業と無関係な個人的飲食が含まれていないか厳しく見られます。特に学会出張後の懇親会費用や、製薬会社主催の会食に同伴した費用などが経費に入っている場合、「誰とどんな目的で行ったのか」を説明できるよう領収書にメモを残しておくと良いでしょう。医師会の政治連盟会費や同窓会費など、税法上経費算入が認められない費用が紛れていないかもチェックされます。交際費の枠が個人事業と法人で異なる点(個人は青天井だが必要性が問われる、法人は損金不算入限度あり)にも注意が必要です。
- 車両費・自家利用分:院長名義または法人名義で高級車を所有しているケースも調査対象になります。クリニック業務で使う社用車なのか、実質はプライベート利用ではないかを確認されます。特に個人開業医の場合、車両費を経費計上している際には事業利用割合をきちんと按分しているか見られます。「家族も使う車を全額経費にしていないか?」といった論点です。同様に、自宅とクリニックが同一建物にある場合の光熱費・水道代についても、自宅部分を按分除外しているかチェックされます。
- 医療法人とMS法人の取引:医療法人になると、院長個人が出資するMS法人(メディカルサービス法人)を別途設立し、物件の賃貸や事務代行をMS法人に任せているケースもあります。税務調査では、医療法人とMS法人との取引価格が適正かを確認されます。例えば、自社ビルを院長の資産管理会社から医療法人が賃借している場合、家賃が相場とかけ離れて高すぎないか、不要なコンサル料をMS法人に支払っていないか、といった点です。グループ内取引で利益を移転して節税を図っていると見なされないよう、第三者にも説明できる妥当な金額設定が重要です。
以上が主な論点ですが、この他にもレジ現金の管理状況(レジの実査と帳簿額の差異チェック)、備品の私的流用(院内設備を個人利用していないか)、借入金の使途(事業資金を他用途に流用していないか)など多岐にわたります。医療業界特有のものとしては、整形外科・耳鼻科・眼科クリニックでは主に上記のポイントを念頭に置いておきましょう。普段からこれらを意識して正しく経理処理していれば、「医療専門ならではの税務調査」も怖がる必要はありません。
税務調査は突発的にやって来ますが、日頃からの準備でそのリスクを大幅に低減できます。クリニックの日常業務において取り組める税務調査対策を以下にまとめます。
● 適正な会計帳簿の整備と記帳:もっとも基本かつ重要なのは、毎日の取引を漏れなく帳簿に記録し、月次決算を行う習慣をつけることです。収入についてはレセコンや電子カルテから日々の診療収入を集計し、現金・カード・振込など入金形態別に確認します。レジの現金残高と日報を付き合わせ、売上計上漏れを防止しましょう。支出についても領収書・レシートはその都度ファイリングし、何の費用かメモを添えておきます。特に交際費や研修出張費など調査で質問されやすい経費は、「誰とどこで何のために」といった情報を領収証に書き留めておくと後で説明が容易です。また、棚卸資産を扱う場合(薬品や衛生材料など)は定期的に在庫カウントを行い、帳簿棚卸高とのズレをなくすよう努めます。
● 複数名でのチェック体制:院長先生自身が経理を兼務しているクリニックでは、どうしても独自の判断で処理してしまいがちです。できれば税理士や会計事務所に月次チェックを依頼し、第三者の目で記帳内容を点検してもらいましょう。専門家に見てもらうことで、誤った経理処理や見落としが早期に発見できます。決算前には税理士と決算対策ミーティングを実施し、節税対策だけでなく税務調査を意識した論点整理を行うのがおすすめです。例えば「今年は設備投資が多かったので在庫や資産計上の処理を再確認しよう」「交際費が増えた原因を説明できるようにしよう」といった具合です。こうした事前点検は税務調査に備える最も効果的な方法といえます。
● 記録の電子化とバックアップ:近年は電子帳簿保存法の改正もあり、領収書類をスキャンしてデータ保存するクリニックも増えています。紙であれ電子であれ、7年間の証憑保管は必須ですので、日々の領収書を失くさないよう適切に管理しましょう。重要書類はクラウドや外付けHDD等にバックアップを取り、いざという時すぐ提示できるようにします。電子データで保存する場合は検索機能やタイムスタンプの要件も確認し、要件を満たさない場合は紙原本も保管しておきます。調査官から「○○年○月の○○費の領収書を見せてください」と言われた際に、すぐ取り出せれば調査時間の短縮にもつながります。
● 公私混同の排除:クリニック経営とプライベートの出費は明確に分けましょう。院長個人の生活費や趣味の支出が経費に混ざらないよう、銀行口座やクレジットカードも事業用と私用で分離します。家族への給与支払いも実態に見合った金額に留め、勤務日数や役割を記録に残します。自宅兼クリニックの場合は、水道光熱費・通信費などを合理的な割合で按分しましょう。調査官は「経費に私的なものが紛れていないか」を常にチェックしています。日常から公私を分けておけば、調査時に不要な疑念を持たれず済みます。
● 青色申告と適切な申告納税:個人開業の先生は青色申告の帳簿を付け、期限内申告・納税を確実に行いましょう。青色申告をしていることで記帳水準の高さを示せますし、万一申告ミスがあっても悪質な場合を除き青色申告の取り消しなど重い処分は避けられます。法人であっても決算申告を毎期きちんと行い、期限後申告などのペナルティを受けないよう注意します。過去に不適切な申告があると、前述のように調査間隔が短くなる可能性があります。「税務コンプライアンス(法令遵守)意識の高いクリニック」であることを示し続けることが、長期的に見て調査リスクを下げる有効策です。
● 税理士による書面添付制度の活用:先にも触れましたが、税理士関与のもとで書面添付制度を利用するのも検討しましょう。この制度で申告書を提出すると、税務署はすぐに実地調査に入るのではなく、まず税理士から意見聴取を行うことになります。このヒアリングで疑問点が解消すれば調査自体が省略されたり、調査が入っても日数が短縮された事例もあります。書面添付制度は税務調査を受ける可能性を低くする方法として医療業界でも注目されています。対応可能な税理士事務所であればぜひ活用を相談してみましょう。
以上のように、日常業務の中で「記録」「確認」「整理」を徹底しておくことが、税務調査に慌てない一番の秘訣です。院長先生ご自身も経営者として数字に目を通し、疑問点はその都度専門家に質問する姿勢が大切です。税務調査は怖いものではなく、日々の適正経理の延長線上にあるイベントと捉えて備えておきましょう。
「税務調査が心配だが、専門家に相談すべきか?」と悩まれている先生方もご安心ください。加美税理士事務所では、医療専門クリニック向けに万全の税務調査サポート体制を整えています。
当事務所はこれまでに整形外科クリニックや眼科クリニックをはじめ、多くの医科・歯科医院の税務顧問となるべく蓄積したノウハウがあります。医療業界特有の会計・税務知識を蓄積した税理士が在籍しており、税務調査対応についても豊富な実績を有しています。具体的なサポート内容は以下のとおりです。
- 事前対策コンサルティング:調査の連絡を受けた段階で、過去の申告内容や帳簿を税理士がチェックします。クリニックの申告書類をシミュレーション調査し、調査官の目線で指摘されそうな点を洗い出します。不安な事項があれば事前に修正申告や資料準備の助言を行います。
- 税務調査当日の立会い:税理士が現地またはオンラインで立会いし、調査官との窓口になります。専門的な質疑応答は税理士が担当し、院長先生やスタッフの負担を軽減します。税理士が同席することで調査官とのコミュニケーションも円滑になり、指摘事項の交渉・説明もプロの視点で即座に対応可能です。遠方の場合でも上述のとおりフルリモートでサポートいたします。
- 調査後のフォロー:指摘事項への対応方針を税理士が分かりやすく説明し、修正申告書の作成から税額計算、追加納付手続きまで一貫してサポートします。万一、指摘に納得がいかない場合の異議申立て手続きについてもアドバイス可能です。また、調査で判明した改善点を踏まえて今後の節税対策や経理体制強化策についても助言いたします。
このように、調査前から後までトータルで寄り添うのが当事務所のサポート体制です。特に医療業界に精通した税理士が対応するため、耳鼻咽喉科クリニックの法人成りや医療法人の分院展開に伴う税務リスクなど、業界事情を踏まえた助言が可能です。他業種では分かりにくい医療特有の論点も理解していますので、「何をどう説明すればいいか分からない」といった不安もすぐに解消します。料金体系も事前に明示し、必要以上のコスト負担は発生しません。税務調査はもちろん、日常の記帳指導から節税対策までワンストップで支援できる体制で、クリニック経営を強力にバックアップします。
【開業予定者向け】開業準備段階でやっておくべき税務対策
これからクリニックを開業しようと準備中のドクターは、スタート段階から税務リスクに備えておくことが重要です。開業前の段階では、まず開業形態の選択が税務上の大きなポイントになります。個人開業と医療法人設立(法人化)では税制や経理体制が異なるため、自身の事業計画に合った方法を選びましょう(この点については当事務所の開業支援サービスで詳しくご相談いただけます。「開業支援の特集ページ」もご参照ください。)
資金計画と消費税対策も開業前に考慮しておくべきです。開業時には医療機器や内装工事など大きな設備投資を行いますが、これに伴う消費税の扱いを戦略的に検討しましょう。たとえば、最初から医療法人を設立すると拠出金次第で開業初年度から消費税課税事業者になる可能性があります。一方、個人で開業すれば初年度は前々年実績がないため免税事業者としてスタートできます。ただし2年目以降は売上高によって課税になるため、どのタイミングで課税事業者になるかを試算しておき、資金繰りに織り込んでおくことが大切です。また、開業時に多額の設備投資をする場合は法人形態であれば初年度から消費税還付を受けることも可能ですが、その分税務調査リスクも高まる点に留意が必要です。
会計・経理の基盤作りも開業前に手を打っておきます。具体的には、信頼できる税理士(できれば医療業界に強い税理士)を顧問に迎え、会計ソフトの導入や経理担当スタッフの教育を進めます。整形外科クリニックなどではレセプトと会計の連携が重要になるため、レセコン出力を会計に取り込む仕組みを作るなどIT環境も整備しましょう。開業直後は診療で忙しく経理に手が回らなくなりがちですが、開業準備段階でルールを決めておけば、後から「知らずに税務上不利な処理をしていた…」という事態を防げます。
さらに、各種届出の漏れ防止もリスク低減につながります。税務署には開業届や青色申告承認申請、減価償却の方法届出など、必要な書類を期限内に提出しましょう。社会保険や雇用保険などの手続きも含め、コンプライアンスを守る姿勢を示すことが重要です。これら開業時の適切な対策は、後々の税務調査でも「開業当初からきちんとやっているクリニック」という信頼感につながります。当事務所では開業支援において税務面のアドバイスも行っておりますので、開業予定の整形外科・耳鼻科・眼科などの専門医クリニックの先生はお気軽にご相談ください。
現在、個人でクリニックを経営されている開業医の先生方にとって、将来的な法人成り(医療法人化)は大きな選択肢です。耳鼻咽喉科クリニックなどで収入規模が拡大してくると、法人化による節税メリット(税率の低減や所得分散)が見込めます。しかし、法人化に際しては税務上のリスク管理も重要になります。
まず、法人化前後の期間の税務調査リスクに注意が必要です。法人成り直前の個人事業期間で申告漏れがあった場合でも、法人化したからと言って帳消しになるわけではありません。税務署は個人時代の7年まで遡って調査できますし、法人化後もしばらくは個人と法人双方の申告内容を注視します。したがって、法人化する前に個人事業の帳尻合わせをしっかり行っておくことが肝心です。具体的には、未計上の売上や過大経費がないか最終年度に点検し、必要なら自主的に修正申告してクリーンな状態で法人化に移行することをおすすめします。
次に、法人成り時の資産・負債の引継です。クリニックで使用している医療機器や備品、自動車などを法人へ引き継ぐ際の処理は慎重に行いましょう。適正な時価評価で譲渡するのが原則ですが、実務上は帳簿価額でそのまま引き継ぐケースもあります。税務上不利にならないよう、税理士と相談して最適な方法を選択します。また、個人時代の専従者給与(家族給料)を法人の役員給与や従業員給与に切り替える際も、金額設定に注意が必要です。法人では役員給与は期首に定めて基本的に年途中で増減できないルールがあるため、法人初年度の役員報酬をいくらにするか慎重に決めます。耳鼻咽喉科など比較的収益が安定しているクリニックの場合、法人化初年度から役員報酬を高めに設定しすぎると後から利益圧迫することもありますのでバランス感覚が求められます。
消費税面の計画も法人成り前後で考慮しましょう。個人事業で2期免税だったものが法人化でリセットされるケースや、逆に個人で課税事業者だったものが法人1期目免税になるケースなどがあります。例えば「耳鼻咽喉科クリニックを法人成りすると1期目2期目は拠出金1000万円未満なら消費税免税になる」等の規定がありますが、その後の大型設備投資計画との兼ね合いで還付を逃すこともあります。事前にシミュレーションして、一番有利かつリスクの低いタイミングと方法で法人化しましょう(クリニックの法人化による節税効果について詳しくは「法人化の特集」ページで解説しています)。
最後に、法人成り後の税務体制構築です。医療法人になると決算報告や理事会承認など事務作業が増えますが、経理面もより制度的に行う必要があります。個人のとき以上に税理士との連携を密にし、月次決算の精度を上げましょう。また、法人化すると役員(理事)としての責任も生じるため、税務だけでなく労務や法務面も含めた総合的なコンプライアンス意識を持つことが大切です。これらを怠らなければ、法人化したからといって税務調査が急増することはなく、むしろ組織だった会計で調査対応もしやすくなるはずです。
既に医療法人としてクリニックを運営されている場合、さらに分院展開や事業拡大を進める際には、新たな税務リスクに目を配る必要があります。
分院を展開するということは、複数の診療所を一つの法人で運営するか、地域ごとに別法人を設立するかの選択があります。いずれにせよ、事業規模が大きくなると取引数や経理処理も飛躍的に増え、ミスが生じやすくなります。まず、本院と分院ごとの収支管理をしっかり行いましょう。内部的に事業部門別会計を導入し、どの拠点でどれだけ利益が出ているか把握することで、異常値(極端に利益率が低いなど)にも気づきやすくなります。また、複数医院間でスタッフや物品のやり取りがある場合、その社内取引の記録も明確に残します。例えば、本院から分院へ薬剤を融通した場合は社内販売として帳簿上処理し、棚卸在庫を調整するなどの対応が必要です。これを曖昧にすると、税務調査で「在庫が合わない」「収入と仕入の対応関係がおかしい」と指摘されかねません。
次に、人件費管理です。分院が増えるとスタッフ数も増加し、人件費総額が大きくなります。税務調査では人件費科目の中身も精査されます。具体的には、非常勤医師への報酬の源泉徴収漏れ、給与と外注費の区分ミス(本来雇用なのに外注扱いしていないか)、役員報酬の適正配分、理事長や親族への過大報酬などです。複数クリニックを展開する場合、各院長へのインセンティブ報酬やエリアマネージャー的な役職者への手当など、新たな報酬形態も出てくるでしょう。その際にも税務上の処理区分(給与or事業報酬、源泉の要否、社会保険の適用可否など)を事前に確認し、適切に処理することが大切です。
また、医療法人のまま分院展開すると、ある一定規模以上で社会医療法人等への移行や出資持分問題など、将来的な制度対応も考えねばなりません。このような組織再編に関する税務も専門知識が必要ですので、計画段階から税理士やコンサルタントに相談することをお勧めします。当事務所でも医療法人の分院展開支援や組織再編支援を行っており、税務面のみならずトータルなアドバイスが可能です(詳しくは「分院展開の特集ページ」もご覧ください)。
最後に、規模拡大に伴う内部統制の強化も税務リスク管理には有効です。スタッフによる不正防止やミス防止のため、経理処理を複数人でチェックする仕組み、現金を扱う場合の定期監査、経営層と現場の情報共有など、組織としてガバナンスを高めることで結果的に税務調査で指摘されるような不備も減らせます。医療法人として恥ずかしくない経理体制を築き上げ、どのような規模拡大にも耐えうる運営基盤を整えておきましょう。それがひいては税務調査リスクの低減につながり、安心してクリニック経営に専念できる土台となります。
当事務所(税理士法人加美税理士事務所)は、「税務調査に強い医療専門税理士」として多くのクリニック経営者様から信頼をいただけるはずです。その理由となる特徴をまとめました。
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