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産婦人科クリニックにおける消費税対応の重要性
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まず、消費税の基本的な仕組みを押さえましょう。消費税は、商品やサービスの提供に対して一律10%(一部8%の軽減税率対象あり)の税率で課される税金です。事業者は、お客様から預かった消費税(売上にかかる消費税)から、自身が支払った消費税(仕入れや経費にかかる消費税)を差し引いて納税します(仕入税額控除)。
しかし、医療分野では例外もあります。ご存知の通り、社会保険の診療報酬など公的医療保険が適用される診療収入は消費税が非課税扱いです。さらに産婦人科領域では、公的保険外で行われる助産(じょさん)に関する収入も消費税が非課税となる特例があります。例えば、妊娠判定のための検査や、妊娠確定後の定期健診、分娩の介助料、出産直後から一定期間内の母体ケア、新生児の検診・入院費などは、消費税がかからない非課税対象です。つまり、産婦人科クリニックでは保険診療に加え、出産に関わる多くのサービスが非課税となっています。
一方で、課税対象となる収入もあります。産婦人科クリニックで発生しうる課税売上の例としては、健康診断(人間ドックや企業検診など)、予防接種(インフルエンザや各種ワクチン接種)、診断書の作成料、人工妊娠中絶手術の費用などが挙げられます。これらは公的保険の対象外であり、医療行為ではあっても法律上は消費税の課税対象とされています。また、自販機を院内に設置して得られる売上(手数料収入)など、医療とは直接関係ない副収入も課税売上に含まれます。
以上のように、産婦人科クリニックの収入は非課税のものと課税のものが混在します。保険診療や助産に関わる収入は非課税ですが、それ以外の自由診療等については課税対象となるためです。このため、クリニックが消費税の課税事業者(後述)となった場合、経理上で課税売上と非課税売上を区分し、それぞれに対応する経費を適切に管理する必要があります。
例えば、クリニックが医薬品や医療材料を年間1,100万円(税抜1,000万円+消費税100万円)仕入れた場合を考えます。課税事業者であれば、この100万円は後で納める消費税から控除できます。しかし免税事業者であればそもそも消費税を納めませんが、この100万円は控除されずクリニック側の実質負担となります。また、課税事業者でも非課税売上に対応する仕入については控除できず負担となるため、消費税の課税・非課税の割合によって実質的な利益率も変動します。
経理代行サービス等を活用し、帳簿上でしっかり区分経理を行うことが重要です。
次に、クリニックが消費税の納税義務者になるかどうかの判定基準について説明します。ポイントは、事業規模によって消費税の納税が免除されるケースがあるということです。
消費税法では、前々事業年度(個人事業主の場合は前々年)の課税売上高が1,000万円以下である事業者は、消費税の納税を免除される免税事業者となります。逆に、前々期の課税売上が1,000万円を超えた場合には、その事業年度は消費税の申告・納税が必要な課税事業者となります。たとえば、令和5年(2023年)にクリニックの課税対象売上が1,000万円を超えていれば、令和7年(2025年)には消費税の申告・納税義務が生じるという具合です。
新規開業したばかりのクリニックの場合、開業初年度と2年目は基準となる前年・前々年が存在しないため、基本的には消費税は免除されます。個人開業医であれば、開業後しばらくは消費税のことを意識せずに済むケースが多いでしょう。ただし、2期目以降は直前2期前の実績が判定基準となるため、売上規模が拡大すると3年目以降に課税事業者へと移行する可能性があります。また、当年の前半6ヶ月(特定期間)の売上や給与支払額が基準を超えた場合に途中から課税事業者になる特例もあるため、急成長している場合は注意が必要です。
一方、医療法人(社団医療法人など)としてクリニックを運営する場合には、少し事情が異なります。医療法人でも基本の判定基準は同じですが、拠出金(出資金)が1,000万円以上で設立された法人は初年度から消費税の課税事業者となります。多くの先生方は、法人設立時の拠出金を1,000万円未満に抑えることで、新法人の1期目・2期目は免税事業者としてスタートする選択をされています。これは、開業後まもないタイミングで多額の設備投資を行った場合でも、消費税の納税負担を一時的に回避し、資金繰りに余裕を持たせるための工夫です。医療法人として開業・法人化を検討中の方は、資本金設定も含めたクリニック 法人化 支援の観点で十分な検討が必要です。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。
産婦人科クリニックの場合、分娩や健診など自費収入の割合が高いため、開業して間もない時期でも課税売上高が基準を超えてしまうケースが見られます。特に最近では自治体委託の予防接種事業などで収入が増え、気づかないうちに課税売上が1,000万円を超えていたということも起こりえます。そのため、「自院は免税事業者だから大丈夫」と油断せず、毎期の売上規模を把握しておくことが重要です。
なお、課税売上高が基準の1,000万円を1円でも超えると免税事業者には該当しなくなります。ギリギリ届かない場合には免除となりますが、この閾値を超えないよう意図的に売上計上時期を調整する行為には注意が必要です。
なお、院長先生個人としてクリニック以外に収入がある場合も注意が必要です。例えば、クリニックの建物を個人所有して医療法人に貸しているケースでは、その家賃収入は課税売上となります。同様に、太陽光発電の売電収入や土地建物の売却収入、医療機器を個人で所有し法人へリースしている場合のリース料収入なども課税売上です。これらを合算して1,000万円を超えれば消費税の納税義務が生じます。例えば、毎年の家賃収入が800万円であれば単独では免税ですが、ある年に個人で所有していた事業用財産を500万円で売却すると合計1,300万円となり、その2年後には課税事業者になってしまう、といったケースも起こり得ます。こうした臨時収入も含め、事業規模全体を把握しておきましょう。
インボイス制度とは
2023年10月にスタートした新しい消費税の仕組みとしてインボイス制度(適格請求書等保存方式)があります。これは、消費税の仕入税額控除を受けるために必要な請求書の様式や保存方法を定めた制度です。簡単にいえば、「適格請求書発行事業者」として税務署に登録した事業者だけが、取引先(買い手)に対して消費税額を正確に示した適格請求書(インボイス)を発行できるようになりました。適格請求書には、従来の請求書項目に加えて登録番号や税率ごとの消費税額などの情報を記載する必要があります。
インボイス制度の導入目的は、事業者間の取引における消費税のやり取りを明確化し、正確な納税を促すことです。これにより、買い手側の事業者はインボイス(適格請求書)の保存がなければ原則として仕入税額控除を受けられなくなりました。言い換えると、売り手が免税事業者(消費税を納めていない事業者)の場合、買い手はその取引について消費税の控除を受けられなくなる仕組みです。この点が、特に小規模事業者にとって大きな影響を与えるとされています。
産婦人科クリニックにおける対応
それでは、産婦人科クリニックはインボイス制度にどう対応すべきでしょうか。結論から言えば、必ずしも全てのクリニックがインボイス制度に対応(適格請求書発行事業者の登録)しなければならないわけではありません。以下では、クリニックの状況に応じた対応の考え方を整理します。
(1) 患者への医療提供が中心の場合: 多くの産婦人科クリニックでは、患者さん個人に対する診療(保険診療+自費診療)が売上の大部分を占めます。その場合、インボイス制度による影響は限定的です。患者さんは一般消費者であり、インボイス(適格請求書)の発行を求められることはありません。保険診療は非課税取引なので、そもそも消費税のやり取り自体がありません。そのため、「患者さん相手の診療しかしていない」クリニックであれば、従来どおり免税事業者のままでも日常業務に支障は生じないでしょう。日本医師会からも、患者主体の医療機関の場合にはインボイス制度への対応を過度に急ぐ必要はない旨が周知されています。
(2) 企業や自治体との取引がある場合: 注意が必要なのは、企業や官公庁を相手にした取引があるケースです。例えば、企業からの依頼で社員向けの健康診断を実施したり、自治体から委託を受けて予防接種事業を行ったりする場合が該当します。そのような事業者(買い手)が相手の取引では、相手側は支払った対価の消費税について仕入税額控除を受けたいと考えるため、クリニックに対してインボイス(適格請求書)の発行を求めてくる可能性があります。もしクリニックが免税事業者のままだとインボイスを発行できないため、取引先は控除を受けられず、その分コスト増となってしまいます。その結果、取引先が「他の適格請求書発行事業者に依頼先を切り替える」リスクが生じます。産婦人科ではあまり多くないかもしれませんが、企業との提携(例:婦人科検診や講演活動など)がある場合は注意しましょう。
(3) インボイス発行事業者に登録すべきか: 上記(2)のように企業等からインボイス発行を求められる可能性がある場合、クリニック側は自院が課税事業者になるか(適格請求書発行事業者として登録するか)慎重に判断する必要があります。登録すれば、取引先にインボイスを発行できるようになり、インボイス発行事業者になるには所轄税務署への申請が必要です(「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出)。登録が認められるとTから始まる番号が付与されます。2023年10月時点で登録していない場合も、申請すれば原則として次の課税期間からインボイス発行事業者になることが可能です。制度開始当初は2023年3月末までの申請で10月からの発行が保証されましたが、現在も随時申請は受け付けています。取引先にインボイスを発行できるようになりましたが、その代わり消費税の納税義務が発生し、クリニック自身の税負担が増す点に留意が必要です。免税事業者から課税事業者へ移行する場合、場合によっては年間数百万円規模の消費税納付が発生し得るため、事前にシミュレーションしておくことが望ましいでしょう。
さらに、課税事業者になる場合には、自費診療等の料金設定について消費税分を価格に含めるか検討が必要です。それまで税込価格として提供していた場合、その価格の中から消費税を納めることになるためクリニックの手取りが減少します。逆に新たに税抜価格+消費税という形に改めるなら、患者さんへの周知や説明が求められます。料金表示のルール(総額表示義務)にも注意しつつ、税負担の転嫁方法を決めておきましょう。
一方、あえて登録せず免税事業者のままでいる選択もあります。この場合、取引先にはインボイスを発行できない代わりに、自院は消費税の納税義務を負わずに済みます。取引先が事業者であるケースでは、インボイスが発行できないことを踏まえて契約条件を見直されたり、消費税相当額の値引きを要求されたりする可能性があります。極端な値下げ要求は独占禁止法上問題となるケースもあるため現実的には落とし所が模索されるでしょうが、いずれにせよ免税事業者であり続ける場合は、取引先との調整が必要になることを覚悟しておきましょう。
なお、インボイス制度開始に伴い、2023年10月から2026年9月までの期間限定で、免税事業者だった事業者が新たに課税事業者になった場合に納税額を抑える2割特例が設けられています。これは、売上に係る消費税額の2割の金額で消費税納付額を計算するため、通常よりも大幅に負担が軽減される特例措置です。具体的には、売上にかかる消費税額の2割を納めれば足りるという計算で、例えば本来100万円の消費税納付が必要なところ20万円で済むイメージです。2割特例の適用期間は2023年10月1日〜2026年9月30日までです。ただし適用期間終了後は通常どおりの計算に戻りますので、一時しのぎと割り切った活用が必要です。また、簡易課税制度(業種に応じ一定率で仕入控除をみなし計算する方式)の活用も含め、どの計算方法が有利かはケースバイケースです。税理士と相談しながら最適な方法を選ぶことをおすすめします。
ちなみに、簡易課税制度は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できる制度で、業種ごとに定められたみなし仕入率を用いて納付税額を計算します。医療業は第5種事業(サービス業等)に該当し、みなし仕入率は50%です。そのため、クリニックが簡易課税を適用すると、売上に含まれる消費税額の50%のみ納税すればよい計算になります。実務上、非課税売上が多く実際の仕入税額控除が少ないケースでは簡易課税の方が有利になることがあります。一方、仕入にかかる消費税が多い場合(例えば高額な医療設備を購入した期など)は、本則課税の方が有利になることもあり得ます。適用には事前届出が必要なため、慎重な判断が求められます。
私たち加美税理士事務所は、産婦人科クリニックの開業支援から医療法人の設立支援、さらにはクリニックの事業承継に至るまで、医療業界に特化した税務サポートを提供しています。専門性の高い業界であるからこそ、医療専門の知識と経験を持つ税理士によるサポートが重要です。当事務所には産婦人科 開業 税理士として多くのノウハウがあり、院長先生のお悩みに親身に寄り添いながら、経営と税務の両面で力強く伴走いたします。
開業1~3年目の個人産婦人科クリニックの先生には、経営初心者でも分かりやすいサポートを心がけています。例えば、開業初年度の経費処理で何が経費計上できるのか、医療機器の購入に伴う減価償却や消費税の取扱いなど、基本から丁寧にご説明します。会計や税務は専門外というドクターは多く、「経理が煩雑で本業に集中できない」「何をどう経費計上すればよいか分からない」という声もよく耳にします。当事務所ではそうした声にお応えし、先生方が診療に専念できるよう経理面を包括サポートしています。帳簿付けに不慣れな場合は、弥生会計などの会計ソフト導入支援や記帳代行によってバックオフィス業務を丸ごとサポートいたします。青色申告の届出がまだであれば早期に対応し、最大65万円の控除を受けられるよう手続きします(※青色申告については詳しくは「青色申告の特集ページ」をご参照ください)。また、売上規模の見通しを踏まえ、開業後何年目に消費税の納税義務が発生しそうかシミュレーションすることで、事前の資金計画策定もお手伝いします。初めての確定申告や各種届出についても、当事務所が税務顧問としてしっかりサポートいたします。
法人化を検討中の中規模クリニックのケースでは、現在の事業規模や将来計画を踏まえて最適な形態を一緒に検討します。個人事業から医療法人化するメリット・デメリットを税務面から分析し、法人化した場合のシミュレーション(法人税・所得税の比較、役員報酬設定による所得分散効果、消費税の免税措置の適用可否など)を行います。実際に法人を設立する際には、定款作成や届け出などの手続きを医療法人 設立 支援サービスとして包括的にサポート可能です。法人化後も、決算書類の作成から税務申告まで継続的にフォローし、医療法人 節税対策についても適切なアドバイスを提供します(※詳しくは「節税対策の特集ページ」をご参照ください)。例えば、消費税に関して簡易課税制度を選択すべきか本則課税で進むべきか、あるいは高額な医療機器を購入するタイミングと消費税還付の可否など、クリニックの状況に応じた最善策を検討します。なお、当事務所の担当税理士は医療法人の会計・税務に強い税理士ですので、法人化後も安心してお任せいただけます。法人化支援の豊富な実績があり、安心してお任せください。また、将来的に分院の開設や新規設備投資を計画している場合にも、その時期やスキームによって消費税・法人税の負担がどう変わるか試算し、最適なタイミングや方法を提案いたします。税務だけでなく、金融機関からの融資相談や補助金の活用検討など、クリニックの成長戦略も総合的にサポートいたします。
先代のクリニックを承継予定の後継ドクターに対しては、スムーズな事業承継を実現するためのサポートを行っています。長年続いたクリニックの経営を引き継ぐ際には、財務状況の引き継ぎや過去の帳簿整理、未処理だった経理事項の洗い出しなど、やるべきことが山積みです。当事務所では、承継前の経営状況診断を行い、課題を明確化した上で、承継後の新体制で適切な会計・税務管理が行えるようバックアップします。例えば、先代の時代には対応が追いついていなかったインボイス制度への対応や、必要に応じた組織再編(個人経営から法人化への移行など)も含めて助言いたします。クリニック 事業承継 税理士として、税務上発生しうる問題(相続税・贈与税の発生や役員就任に伴う給与設定、過去の申告是正等)にも目配りし、円滑なバトンタッチを全面的に支援いたします。必要に応じて弁護士や司法書士とも連携し、事業承継に伴う法的な手続き(相続手続や院長交代の登記など)も含めてワンストップで支援いたします。前院長の代からの未解決の税務問題がある場合は、早期に洗い出して税務署との調整を図り、将来のリスクを排除します。
事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。
当事務所のサービスは、全国どこからでもご利用いただけます。フルリモート対応も可能ですので、日々診療でお忙しい先生でもオンラインで気軽にご相談いただけます。(Zoom等のオンライン会議やチャットツールでの対応実績も豊富です。)また、税務調査の立会いや交渉支援など税務調査サポートを得意としております。(※税務調査の対策ポイントは「税務調査の特集ページ」で解説しています)万一の調査にも迅速に対応します。報酬体系も相場より低料金に設定し、初回のご相談は無料です。記帳から申告まで丸投げOKの柔軟対応で、「この部分だけ手伝ってほしい」といった個別ニーズにもきめ細かくお応えします。クリニック 税務顧問として、先生方が医療に専念できる環境を整えることが私たちの使命です。
消費税対応は、産婦人科クリニックの経営において避けて通れないテーマです。消費税の仕組みや納税義務のタイミング、そしてインボイス制度への対応について正しく理解し、早め早めに対策を講じておくことで、将来の大きなリスクを減らすことができます。本記事で解説したポイントを踏まえつつも、「自院の場合はどうなのか?」「具体的に何をすればいいのか?」といった疑問がございましたら、ぜひ私たち加美税理士事務所にご相談ください。
以下に本記事の要点をまとめます。
- 消費税の課税対象: 保険診療や助産は非課税だが、健診・予防接種などは課税対象になる。
- 納税義務の判定: 課税売上高が前々年に1,000万円を超えると2年後に消費税申告が必要。開業後初期は免税でも、事業拡大で適用になる可能性あり。
- インボイス対応: 患者中心なら慌てる必要はないが、企業健診等を行う場合はインボイス発行事業者への登録を検討。登録すれば仕入控除は有利になるが、納税負担も増える。
当事務所では、初回無料相談を受け付けております。お問い合わせはお電話またはメール(お問い合わせフォーム)にてお気軽にどうぞ。先生方のクリニックの状況を詳しくお伺いした上で、最適な解決策をご提案いたします。産婦人科クリニックの経営を熟知した税理士が丁寧にヒアリングし、必要なサポートをご提供いたします。税務のプロフェッショナルとして、産婦人科クリニックの心強いパートナーになれるよう全力でサポートいたします。産婦人科クリニックに特化した税理士だからこそできる手厚いサポートで、先生方の経営を力強く下支えいたします。

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