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「節税はコスト削減ではなく、未来への投資です。法人化・資金繰り・相続まで、信頼の税務顧問が力になります。」

税理士が解説するクリニック節税対策の決定版。青色申告や医療法人化の検討、経費の見直しで税負担を軽減。新規開業医や事業承継にも対応。加美税理士事務所は全国フルリモート対応で、記帳代行や税務顧問まで柔軟に対応。初回無料相談で何でもご質問ください。

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節税対策でクリニック経営を強化する方法

クリニック経営において、「どれだけ収益を上げるか」と同時に「どれだけ手元に残すか」が重要です。医業収入が順調でも、税金で大きく持っていかれてしまっては、せっかくの利益が十分に活用できません。日々の診療に忙しい先生方にとって、税務や節税対策は専門外で後回しにしがちですが、適切な節税はクリニックの財務体質を強化し、経営の安定に大きく寄与します。

例えば、都市部で新規開業したドクターは開業資金の回収や軌道に乗せるためにも無駄な税負担を抑える必要があります。長年個人でクリニックを運営してきた院長先生は、累積する税負担を見直すことで、更なる発展や将来の備えが可能になります。親から地域密着型クリニックを継承したドクターにとっても、前任者の経営状況を踏まえた節税戦略の再構築や、次世代への引き継ぎに向けた対策が求められます。

本記事では、そうした様々な立場の先生方向けに、クリニックの節税対策を総合的に解説します。節税の基本的なメリット・リスクから、青色申告の活用法、個人事業主と法人(医療法人)それぞれの具体的な節税策、さらに税務調査に耐えうる対策や将来の親子承継を見据えた相続対策まで、幅広くカバーします。税理士法人加美税理士事務所(当事務所)が医療機関のサポートを通じて培った知見をもとに、専門的な内容もできるだけわかりやすく紹介します。先生方のクリニック経営に役立つヒントとしてぜひお役立てください。

まず、クリニック経営においてなぜ節税が重要なのか、その意義と効果を確認しましょう。

クリニックは日々の診療収入で成り立っていますが、その収益を真に先生ご自身やクリニックの発展のために役立てるには、必要な経費を差し引いた手元利益を最大化することが重要です。手元に残る利益を増やす一つの手段が税負担の軽減、すなわち節税です。

特にクリニックは、診療報酬など収入面に公定価格の制約がある一方で、人件費や設備投資など支出がかさみ、利益率が大きくない場合もあります。その中で税金は利益に比例してかかるため、適正に節税することで得られる効果は決して小さくありません。例えば同じ収益規模でも、税務戦略の差で手元資金に大きな差がつき、将来の新規設備導入や人材採用に充てられる余裕が変わってきます。

また、蓄えた資金はクリニックの経営安定化のクッションとなり、医療の質向上やサービス拡充の原資ともなります。逆に言えば、不要に税金を払い過ぎてしまうと、その分だけ経営の自由度が減少することになります。

このように、クリニック経営における節税は、単に「お金をケチる」ことではなく、限られた経営資源を有効活用し、継続的な発展を支える重要な戦略の一つなのです。

節税対策には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきリスクやデメリットも存在します。正しく理解した上で取り組むことが大切です。

節税のメリット:

  • 税金の支払いを抑えることで手元資金が増加し、その分を設備投資や人材育成、借入金の返済、院長先生ご自身の蓄財などに回すことができます。
  • 利益から税金で引かれる分が減れば、クリニックの財務安定性が高まります。資金繰りに余裕が生まれ、予期せぬ出費や経営環境の変化にも対応しやすくなります。
  • 将来の事業承継や引退に向けた資金準備が進み、世代交代を円滑に行うための原資確保にもつながります。
  • 適切な節税は従業員の処遇改善や医療サービス向上への再投資にもつながり、結果的にクリニックの競争力を高めます。
  • ふるさと納税など制度の活用によって、納税の一部を地域貢献に振り向けることも可能です(実質的な税負担額は変わりませんが、返礼品を得られるメリットがあります)。

節税のリスク・留意点:

  • 行き過ぎた節税は税務調査のリスクを高めます。不自然に経費が多かったり利益が低すぎたりすると、税務署から目を付けられる可能性があります。
  • 法律の範囲を逸脱した脱税行為は論外ですが、グレーゾーンを狙うような節税スキームも否認された場合には追徴課税や重加算税(ペナルティ)のリスクがあります。
  • 節税のために不要な支出をしては本末転倒です(例えば、税金を減らすためだけに使わない機器を購入するなど)。あくまで有意義な支出との両立が大切です。
  • 利益を圧縮しすぎると、金融機関から見たときの信用力低下につながる恐れがあります。将来融資を受ける際に、「利益が出ていない」ように見えるとマイナスに働くこともあり得ます。
  • 社会保険や各種保険料は所得に連動するため、大幅に所得を下げると将来受け取れる年金額等に影響する可能性もあります(ただし高所得者の場合は上限があります)。

以上のように、節税には恩恵と落とし穴の両面があります。重要なのは、適法で効果的な節税策を選び、健全な経営との両立を図ることです。税理士など専門家の助言を得ながら進めれば、メリットを享受しつつリスクを最小限に抑えられるでしょう。

クリニックを個人事業(開業医)として経営している場合、取り得る節税策はいくつか存在します。特に青色申告の特典をフルに活用することは重要です。また、経費の計上漏れを防ぎ、所得控除など各種制度を適切に使うことで、所得税・住民税の負担を軽減できます。以下では、個人事業主の先生向けに代表的な節税対策を解説します。

個人事業としてクリニックを開業したら、まず真っ先に行いたいのが青色申告の申請です(未提出の場合、開業から2ヶ月以内に申請が必要です)。青色申告には節税上、次のような大きなメリットがあります。

  • 青色申告特別控除: 一定の条件(複式簿記での記帳・申告など)のもとで、所得から最大65万円(または55万円)の特別控除を受けられます。クリニックのように規模が大きい事業では、この控除額は非常に有益です。
  • 青色事業専従者給与: 配偶者や親族がクリニック経営を手伝っている場合、青色申告の届出をして所定の手続きを踏めば、その親族に支払う給与を必要経費にできます。白色申告(青色未適用)の場合は原則経費とできず、特別控除(上限あり)に留まるため、大きな差となります。
  • 純損失の繰越控除: 万一クリニックの経営が赤字になってしまった年も、青色申告をしていれば、その赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越して、黒字になった年の所得と相殺できます。開業初期は設備投資などで赤字になるケースもありますが、翌年以降の税負担を軽減できます。
  • その他、貸倒引当金の繰入れなど、青色申告者には認められる経理上のメリットがあります。

このように青色申告は節税の第一歩です。当事務所でも青色申告の導入支援を行っており、帳簿の付け方から申請手続きまでサポート可能です(※詳細は青色申告のページをご参照ください)。

節税の基本は経費を漏れなく計上することです。クリニックの運営には様々な費用がかかりますが、その一つ一つが適切に経費計上されているか見直してみましょう。経費にできるもの・できないものを把握し、必要なものは遠慮なく経費に落とすことが節税につながります。

以下は、個人事業のクリニックで見落としがちな経費項目の例です。

  • 学会・研究会への参加費や旅費: 医師として研鑽を積むための学会参加費用や旅費は必要経費になります。単なる観光目的では認められませんが、参加証や資料を保存しておけば正当な経費として計上可能です。
  • 専門書・医学雑誌の購読費: 最新の医療知識を得るための専門書購入費や定期購読料も経費算入できます。
  • 自家用車の業務利用分: 往診や医薬品の仕入れなど業務で自家用車を使った場合、そのガソリン代や高速料金の業務利用分を経費計上できます。走行記録などで按分計算し、事業分のみ計上しましょう。
  • 自宅兼事務所の光熱費等: 自宅の一部を事務作業や当直スペースとして使っている場合、その部屋の面積割合などに応じて電気代や水道代、家賃(持ち家なら住宅ローン利息等)の一部を経費とできます。合理的な按分計算をして記録を残すことが大切です。
  • 開業費・創業費: 開業に際して支出した広告宣伝費や開業手続費用、備品購入などの開業費は、開業後に一括で経費計上することも、数年かけて分割償却することも可能です。資金繰りや利益状況に応じて計上タイミングを工夫できます。
  • 減価償却費: 医療機器や什器備品、院内の内装工事費など高額な資産は一度に全額経費にできませんが、法定耐用年数に従い減価償却費として毎年費用計上できます。また、取得価額が少額(例えば10万円未満)の備品は購入年度に即時費用化が可能です。
  • 福利厚生費: スタッフとの親睦会費用や健康診断費用など、従業員の福利厚生にかかる費用も適度であれば経費になります。院長個人だけの贅沢な飲食は認められませんが、従業員全体の慰労目的であれば一定額まで経費算入可能です。

以上のように、経営に必要な支出はできる限り経費化することが重要です。ただし、プライベートな出費を無理に経費に入れることは避け、業務関連性を客観的に説明できることが必要です。レシートや領収書にはメモを付けて何の費用か分かるようにし、税務調査があっても説明できるよう備えておきましょう。

個人事業主のクリニックでは、最終的な所得に対して所得税と住民税が課されます。これらを抑えるには、前述の経費計上に加えて、各種所得控除税額控除を漏れなく受けることが大切です。また、事前の計画によって将来の税負担を平準化する工夫も可能です。主な節税方法を確認しましょう。

  • 小規模企業共済の活用: 個人事業主が加入できる小規模企業共済は、毎月の掛金(最大7万円)を全額所得控除できます。老後の退職金準備を兼ねて積立でき、掛金は確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として所得から引くことができます。高所得の先生ほど節税効果が大きく、将来受け取る共済金にも税優遇があります。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用: 個人事業主は国民年金基金やiDeCoに加入できます。iDeCoの場合、拠出額(個人拠出年金掛金)は全額が所得控除となります(掛金上限あり)。こちらも老後資金を準備しながら所得税・住民税を抑えられる制度です。
  • 生命保険料控除・地震保険料控除: プライベートな支出ではありますが、生命保険や地震保険の保険料は一定額まで所得控除が受けられます。家計のリスク管理をしながら税負担を軽減できます。ただし控除には上限があるため、払いすぎても全額は控除されません。
  • 配偶者控除・扶養控除: 配偶者や扶養家族がおり、かつその方の年間所得が一定以下の場合、所得控除を受けられます。特に配偶者がクリニックを手伝っていない場合は配偶者控除を適用し、手伝っている場合は前述の専従者給与として経費計上するか、どちらが有利か検討します。
  • ふるさと納税(寄附金控除): 所得税と住民税から控除される制度で、自己負担2,000円を除いた寄附額が控除対象になります。実質的な税負担は変わりませんが、地域の特産品等の返礼品が受け取れるため、実質的に税金の使い道を選択できるメリットがあります。高額納税者ほど利用枠が大きく、メリットも大きい制度です。
  • 消費税への対応: 開業から一定期間、売上規模によっては消費税の納税義務が免除されることがあります(基準期間売上1,000万円以下なら免税事業者等)。クリニックの保険診療収入は消費税非課税ですが、自費収入が多い場合は消費税も考慮する必要があります(※詳細は消費税に関するページで解説)。免税期間を有効に活用しつつ、大きな設備投資を行う際は消費税還付の有無も検討しましょう。

このように、所得控除や制度の活用によって所得税・住民税の負担を軽減できます。クリニック経営者として、毎年の確定申告前にこれらの適用漏れがないか確認しましょう。特に高所得のケースでは、専門家と相談しながら節税策を総動員することで数十万円以上の税負担軽減につながることもあります。

クリニックの経営が軌道に乗り収益が増えてくると、医療法人化(法人成り)を検討する段階に入ります。個人事業から法人に形態を変えることで、税率や経費の扱いなどが変わり、節税につながるケースがあります。ただし、法人化にはメリットだけでなくデメリットもあり、実施するかどうか、またそのタイミングの判断が重要です(法人化の詳細については当事務所の別ページも参照ください)。ここでは医療法人化による節税上のポイントを概説します。

まず、クリニックを法人にする主なメリットを見てみましょう。

  • 税率面のメリット: 個人の所得税・住民税は累進課税で最高税率は約55%にも達しますが、法人税等の実効税率は約30%前後(所得により多少変動)です。高収益のクリニックでは、法人化によって税率を引き下げ税負担を軽減できる可能性があります。
  • 所得分散による節税: 法人にすると院長先生は法人から給与(役員報酬)を受け取る立場になります。給与は経費になるため法人の利益を圧縮できます。また、家族を役員や従業員にして適正な給与を支給すれば、一家全体の所得を分散でき、累進課税の圧縮効果が得られます。
  • 経費算入の幅が拡大: 法人になると役員退職金制度を利用でき、院長先生が引退する際に退職金を支給すれば、それまで社内に留保した利益を経費化できます(退職金は受け取る側では税優遇があります)。また、法人名義で生命保険に加入し保険料の一部を経費にする、といった法人ならではの節税策も可能です。
  • 信用力・資金調達: 法人であることで金融機関からの融資が受けやすくなったり、対外的な信用が増す場合があります。設備投資資金の調達面でも有利に働くことがあります。
  • 事業の存続性: 法人は半永久的に存続可能なため、将来的な事業承継の際に、株式(持分)の承継という形でスムーズに事業を引き継ぎやすいという利点があります。

一方、法人化には次のようなデメリットや注意点もあります。

  • 社会保険料負担の増加: 法人になると、役員報酬に対して厚生年金・健康保険などの社会保険加入が必要になります。個人事業主の場合に比べ、事業主負担分を含めた社会保険料が増えるため、税負担が減ってもトータルコストで増減を比較する必要があります。
  • ランニングコスト・事務負担: 法人設立には登録免許税などの費用がかかり、設立後も毎年決算申告が必要です。税理士顧問料など経理維持コストも発生します。また、帳簿管理や各種届け出など事務作業が煩雑になります。
  • 利益が少額だとかえって割高に: 法人住民税の均等割(例えば東京都なら年間7万円)など、利益が出ていなくても一定の税負担があります。利益規模によっては法人化によりトータル税負担が軽減しない、あるいは増えてしまう場合もあります。
  • 医療法人固有の制約: 一般企業と異なり、医療法人の場合は剰余金(利益)の配当ができません。法人に利益を残しても、院長先生個人が自由に引き出すには給与や貸付などの形に限られます。また、一度法人化すると簡単には個人に戻せないため、将来方針が定まるまで慎重な判断が必要です。

このように、メリットとデメリットを比較考量した上で法人化の是非を決めることが重要です。

では、どのようなタイミングで法人化を検討すべきでしょうか。

  • 利益水準が高くなったとき: 一般に、課税所得が年間で800万~1,000万円を超えるようになったら法人化のメリットが出やすいと言われます。これは、そのあたりから個人の累進税率が30%台後半となり、法人税率との差が大きくなるためです。ただし、クリニックの経費や家族従事状況によっても適正ラインは変わります。
  • 開業から数年経過し経営が安定してきたとき: 開業直後は経費も多く利益が出にくいですが、軌道に乗り黒字が定着してきた段階で法人化を検討するケースが多いです。特に設備投資を終え、借入返済も進んだ後は利益が増えやすく、法人化の適否を見極めるタイミングです。
  • 将来の事業承継を見据えるとき: 後継者がいる場合、早めに法人化しておき、後継者を役員に入れておくことで、将来的な親子承継をスムーズにできます。個人から個人への事業引継ぎよりも、法人として事業を存続させたほうが形の上でも分かりやすく、承継後の患者さんや取引先への信用維持にもつながります。
  • 消費税負担との兼ね合い: 売上が増え消費税の課税事業者になるタイミングで法人化するケースもあります。新設法人は資本金要件等を満たせば設立後最初の事業年度は消費税免税となるため(特定期間の要件に注意)、消費税の負担を抑える戦略として法人化時期を調整することも考えられます。

法人化のタイミングはそれぞれのクリニックの状況によります。節税だけでなく経営全体の見通しを立てた上で判断することが大切です。当事務所では法人化すべきか否かのシミュレーションも行っておりますので、迷われる場合はお気軽にご相談ください。

既に医療法人としてクリニックを運営されている場合でも、さらなる節税の余地はあります。法人であることを活かし、役員報酬の設定や経費の見直しなどを行うことで、無理のない範囲で税負担を抑えることが可能です。ここでは、法人クリニックならではの主な節税戦略を紹介します。

医療法人の院長先生(理事長)が受け取る役員報酬の金額設定は、法人税と所得税のバランスを考慮した重要なポイントです。役員報酬最適化の考慮ポイント:

  • 法人税と所得税のバランス: 役員報酬を高くすると法人税は減るが個人の所得税が増える。逆に低くすると法人税増・個人税減となる。両者の合計負担が最小になるバランスをシミュレーションする必要があります。
  • 定期同額給与の原則: 役員報酬は原則として期首に定めた金額を1年間固定で支給する必要があります。途中で増減すると原則損金不算入(経費にならない)となるため、慎重に金額を設定しましょう。
  • 家族への給与配分: 配偶者やお子様が医療法人の役員・従業員として関与している場合、報酬を分散することで一家全体の税率を下げられる可能性があります。家族それぞれが適正額の給与を得ることで所得の分散効果を生みます。
  • 役員賞与の活用: 事前確定届出給与の制度を利用し、決算前に届出を行うことで役員賞与を経費にできます。業績が予想以上に良い年は、あらかじめ届出した範囲で賞与を支給し、利益を圧縮することが可能です。ただし届出と支給時期等のルール遵守が条件です。
  • 役員退職金の活用: 院長先生の引退時にまとまった退職金を支給すれば、法人にとっては大きな損金計上となり法人税を削減できます。受け取る側でも退職所得控除により優遇税制が適用され、結果的に給与として受け取るより税負担を大幅に減らせます。

これらの施策を組み合わせ、将来を見据えて毎年の役員報酬を設計することが重要です。当事務所では報酬設計による節税シミュレーションも行っております。

法人クリニックでも、経費計上の見直しは節税の基本です。個人事業の場合と同様に、見落としている経費がないか、経費計上の仕方に改善余地がないかをチェックしましょう。

  • クリニックの建物や医療機器を院長先生個人が所有している場合、法人から適正な賃料を支払うことで法人の経費にできます(院長個人には不動産所得が生じますが、経費や減価償却を引けば節税に寄与する場合があります)。
  • 社用車の導入も検討に値します。往診や関連施設との移動が多い場合、法人で車両を購入またはリースし経費化することで、個人で負担していた車両費を法人経費に振り替えられます。車両の維持費(ガソリン、保険、車検等)も法人負担とすれば、経費が増え節税になります。ただし、社用車をプライベートにも使う場合は、その分は経費と認められない点に注意が必要です。
  • スタッフの福利厚生を充実させることも経費による節税につながります。社員旅行やレクリエーション、制服貸与や昼食補助など、従業員全体を対象とした福利厚生費は法人の経費になります(内容や金額によっては一部制限があります)。スタッフの士気向上にも役立つため一石二鳥です。
  • 法人名義での生命保険加入も検討できます。法人を契約者・受取人とする定期保険等に加入し、適切な商品を選べば支払保険料の一部または全額を経費計上できます。ただし、契約内容によっては解約返戻金に税金がかかったり、近年は節税性の高い保険商品への規制も強まっています。専門家と相談して有効な範囲で活用しましょう。
  • 医療機器の更新や増設を計画している場合は、税制上の優遇措置を活用できるか確認しましょう。一定の要件を満たせば即時償却(全額一括償却)や税額控除が認められる設備投資減税策(中小企業経営強化税制等)があります。クリニックの設備投資にも適用できるケースがあるため、購入前に税理士に相談すると良いでしょう。

このように、経費の科目一つひとつを見直し、計上漏れを防ぐことが地道ですが効果的な節税につながります。「こんな費用も経費になるだろうか?」という点があれば、当事務所にご相談いただければ適否をアドバイスいたします。

節税対策を講じる際には、常に将来の税務調査を意識しておく必要があります。クリニックも他の事業同様、数年に一度は税務調査が入る可能性があります(特に現金収入の多い自由診療を行っている場合などは注意)。税務調査で問題とならないよう、次の点に留意しましょう。

  • 根拠のない経費計上はしない: すべての経費について、領収書や請求書などの証拠を保存し、なぜ必要な支出だったのか説明できるようにしておきます。私的な支出を事業経費に混同することは厳禁です。
  • 売上除外をしない: 現金売上などで申告漏れが発覚すると重いペナルティが科されます。特に美容診療など自費収入を扱うクリニックでは、現金管理を厳格に行い、全て漏れなく計上しましょう。
  • 異常値に注意: 同業他社と比べて著しく高い経費率や低すぎる利益率は調査官の目を引きます。節税で利益を圧縮するのもやり過ぎは禁物です。不自然な数値になっていないか専門家と確認しましょう。
  • 税法改正への対応: 節税策が以前は認められていても、税制改正でNGになる場合があります。常に最新の情報を踏まえ、合法的な手段のみを選択しましょう。当事務所は税制改正にも随時対応し、適切なアドバイスを提供しています(税務調査について詳しくは当事務所の税務調査解説ページをご覧ください)。

日頃から適正な会計処理と記録保存を行い、胸を張って説明できる節税対策だけを実践していれば、いざ税務調査となっても慌てる必要はありません。

クリニック経営を考える上で、将来的な事業承継(親子承継)や院長先生のご逝去に伴う相続への備えも重要です。こうした場面では、事前の節税対策によって大きな差が生まれます。最後に、事業承継や相続に関連する節税のポイントを押さえておきましょう。

親子二代でクリニックを引き継ぐ場合、事前の準備が税負担を軽減し円滑な承継につながります。

  • 現院長が個人事業で営んでいる場合、承継のタイミングで法人化を検討することがあります。法人化して持分を後継者に承継する形にすれば、事業そのものは法人として継続しながら所有と経営の引き継ぎができます。個人から個人へ事業を丸ごと譲渡するよりも、法律面・税務面で整理しやすいメリットがあります。
  • 承継にあたり、医療機器や診療所の建物・土地などの資産の引き継ぎも大きな論点です。親から子へこれら資産を贈与すると贈与税が生じる可能性があるため、通常は適正な価格で譲渡(売却)するか、法人に現物出資するといった方法を取ります。価格設定によっては親に譲渡所得税がかかるので慎重な計画が必要です。必要であれば、毎年110万円まで非課税で贈与できる枠(生前贈与)を活用し、開業資金等を事前に贈与することも検討します。
  • 後継のドクターが早期からクリニック経営に参画し、経験を積むことも重要です。例えば親のもとで勤務医として働きながら徐々に経営を学ぶことで、院長交代後のギャップを減らせます。その際、後継者に給与を支給しておけば所得分散になり、親の所得税負担を軽減する効果もあります。
  • 中小企業の事業承継税制(納税猶予制度)に類似の納税猶予制度が認定医療法人にも適用できるケースがあります。これは一定の要件下で、事業承継時の出資持分にかかる相続税・贈与税の納税を猶予・免除できる制度です。対象となるかは個別確認が必要ですが、該当する場合は大きな節税効果があります。
  • 承継にあたっては税務だけでなく、関係者への周知や患者様への引き継ぎ挨拶などソフト面の準備も含めて計画的に行いましょう。当事務所は親子承継に関する税務戦略の立案から実行までサポート可能です

詳しくは、下記の親子承継・代替わりドクター向けのページをご覧ください。

既に医療法人として経営しているクリニックの場合、院長先生に万一のことがあった際の持分の相続に備えておく必要があります。

  • 従来型の出資持分あり医療法人では、院長先生の持分(出資額に対応する権利)は相続財産となり、相続税の対象となります。医療法人は配当を出せないため、利益が法人内に蓄積されていると、その評価額が大きくなり高額の相続税が発生する恐れがあります。
  • この対策として、法人内部に資金を貯め込みすぎないよう役員報酬やボーナス、退職金として計画的に資金を社外に移しておくことが有効です。法人内留保金を減らせば持分評価額を抑えられます。ただし行き過ぎは法人の体力を損なうのでバランスが重要です。
  • もう一つの根本対策は、医療法人を持分なし医療法人へ移行することです。持分なし法人に移行すれば、もはや出資持分という財産がなくなるため、相続税の心配もなくなります。近年の制度で一定の要件の下、持分なし医療法人への移行が推進されており、移行時に生じる贈与税・譲渡税が免除される優遇措置(期限付き)が設けられています。ただ、持分を放棄する形になるため、意思決定など経営面の変化も伴います。慎重に検討しましょう。
  • 院長先生個人が医療法人に貸付をしている場合(法人の開業資金を個人が立て替えている等)は、その貸付金も相続財産となります。生前にできるだけ返済を受けておく、あるいは適切に契約書を交わして利息を受け取るようにするなど、後で揉めないよう整理しておくことも大切です。
  • 相続対策としては、生命保険の活用(万が一の場合の納税資金準備)や、生前贈与の活用による個人資産の圧縮など、一般的な相続税対策も有効です。クリニック特有の論点と合わせて、総合的に対策を検討しましょう。当事務所では相続発生前からのトータルプランニングをご支援しています。

ここまで、クリニックの節税対策について幅広く見てきました。節税はクリニック経営を強化する有力な手段ですが、個々のクリニックの状況によって最適な方法は異なります。

税理士法人加美税理士事務所(当事務所)では、都市部の新規開業クリニックから長年の個人開業医、医療法人や親子承継まで、クリニック経営の税務サポートに豊富なノウハウがあります。

先生方のお悩みやニーズに応じて、オーダーメイドの節税プランをご提案いたします。日常の記帳・申告代行はもちろん、法人化のタイミングのご相談、税務調査の立会い、事業承継や相続対策のコンサルティングまでワンストップで対応可能です。

医療分野に精通した税理士が、専門用語も噛み砕いてわかりやすくご説明し、先生が本業の診療に専念できるようバックアップいたします。

節税対策を適切に講じていくことで、税金は単なるコストではなく、クリニックの未来への投資原資へと変わります。当事務所はそのお手伝いを全力でさせていただきます。

節税や税務に関して「こんなことは可能かな?」といった疑問がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。先生方のクリニック経営の心強いパートナーとして、全力でサポートいたします。

よくあるご質問

FAQ

クリニックの節税対策を始めるタイミングはいつが最適ですか?

節税対策は開業当初から始めるのが理想です。特に都市部で新規開業された場合、初期投資が大きいため、資金繰りを見据えた経費計上や青色申告の準備が重要です。当事務所では、開業支援と合わせた節税対策のご相談を承っています。

医療法人化すると節税効果は本当にあるのでしょうか?

はい、個人事業の累進課税よりも法人税率の方が低くなる場合が多く、節税効果が見込めます。役員報酬の最適化や退職金制度の活用も含めてトータルで判断する必要があります。当事務所では法人化シミュレーションも提供しています。詳しくはお気軽にご相談ください。

法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告を始めたいのですが、何を準備すれば良いですか?

青色申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。また、帳簿の作成方法も複式簿記が基本となります。当事務所では青色申告の導入支援を含め、帳簿作成や記帳代行もサポートしています。

青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

個人事業主のままでも節税は可能ですか?

はい、青色申告や専従者給与、小規模企業共済の活用など、個人でもできる節税方法は多くあります。ただし、利益が一定額を超える場合は法人化の方が有利になることがあります。当事務所では最適な節税プランを診断しご提案します。

開業初年度の赤字は節税にどう影響しますか?

青色申告を行っていれば、開業初年度の赤字(純損失)を翌年以降最大3年間繰り越して、黒字と相殺できます。開業初期の投資が多い先生には特に有効です。初年度の処理が後の節税にも影響するため、早めのご相談をおすすめします。

税務調査に備えた節税対策とはどういったものですか?

税務調査を見据える場合、適正な帳簿管理・領収書の保管・説明可能な経費処理が基本です。当事務所では、調査で指摘を受けやすいポイントを押さえた節税対策をご提案します。

税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

消費税の納税義務が発生するのはどのタイミングですか?

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、翌々事業年度から納税義務が発生します。免税期間を活用した節税戦略も可能です。

消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人の役員報酬はどう設定するのが節税に有利ですか?

役員報酬は法人の利益を調整できる重要な節税手段です。適正額をシミュレーションすることで、法人税と所得税のバランスを取りながら節税が可能です。当事務所では報酬設計から税務申告まで一貫してサポートいたします。

法人化後に事業承継を考えた場合の節税対策はありますか?

法人化することで、株式の形で事業を承継でき、相続時の評価方法なども計画的に設計可能になります。税務上の持分整理や退職金支給による法人資産の調整など、事業承継に向けた節税対策もご提案しています。

詳しくは、下記の親子承継・代替わりドクター向けのページをご覧ください。

代替わり後のクリニックで節税を見直したいのですが、何から始めれば良いですか?

まずは経費の棚卸しと法人化の可否を検討することが第一歩です。当事務所では、代替わり直後の経営改善支援や税務の整理も行っており、親世代からの引継ぎに伴う課題にも丁寧に対応いたします。

詳しくは、下記の親子承継・代替わりドクター向けのページをご覧ください。

節税だけでなく経営アドバイスも受けられますか?

もちろん可能です。当事務所は税務顧問としてのサポートにとどまらず、財務分析や資金繰り最適化、経営改善支援など、経営者の視点で総合的なアドバイスを行っています。税金と経営のバランスを重視した提案が強みです。

自家用車の経費計上はどうすれば良いですか?

業務で使用した部分に限り、ガソリン代や車両維持費などを按分して経費計上できます。業務日誌や走行距離を記録しておくと説明がしやすくなります。私たちは経費比率の妥当性の判断もお手伝いしますのでご安心ください。

クリニックの節税にクラウド会計ソフトは有効ですか?

はい、クラウド会計は経費の見える化やデータのリアルタイム把握に役立ち、節税の判断がスピーディに行えます。当事務所では弥生会計を含む各種ソフトに対応しており、導入支援も行っています。

節税だけでなく相続のことも心配です。どうすれば良いですか?

節税と相続は密接に関わります。特に持分のある医療法人の場合、相続税対策が必要です。当事務所ではクリニックに特化した相続・事業承継対策を提供しています。

詳しくは、下記の親子承継・代替わりドクター向けのページをご覧ください。

経費を見直したいのですが、何から着手すれば良いでしょうか?

まずは固定費と変動費の洗い出しを行い、過剰支出の有無をチェックしましょう。特に業務に直結しない支出がある場合は、見直しにより節税効果が出る可能性があります。当事務所では経費診断からご提案いたします。

青色申告特別控除の65万円控除を受けるにはどうすればいいですか?

複式簿記での帳簿作成、適切な記帳、電子申告等の条件を満たす必要があります。初めての方でもご安心ください。当事務所が導入からサポートいたします。

青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

法人設立時に必要な手続きもサポートしてもらえますか?

もちろんです。医療法人の設立には定款作成や登記手続きなどが必要ですが、提携司法書士と連携しながら、ワンストップでの設立支援が可能です。費用も相場より抑えて対応可能です。

法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

初回相談はどのように申し込めばいいですか?

当事務所のWebサイトまたはお電話からお問い合わせいただけます。初回相談は無料で、Webミーティングにも対応しています。事前にご相談内容をお聞かせいただけると、より的確なアドバイスが可能です。

お問い合わせ

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

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