「開業準備の不安も、融資の壁も、ひとりで抱えないでください。歯科開業を“想い”から“現実”に変える税理士がここにいます。」
歯科医院の開業準備に必要なこと
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開業準備は多岐にわたりますが、まずは全体の流れを把握することが大切です。ここでは開業までのスケジュールや開業形態の選択肢など、大まかな全体像を解説します。
歯科医院の開業準備は理想的には開業の1年前からスタートするのが望ましいと言われます。開業日から逆算して計画的に動くことで、余裕をもって準備を進められるでしょう。以下に開業までの主なステップを時系列でまとめます。
- 12ヶ月前~:開業コンセプトの検討・情報収集
まずは「どのような歯科医院にしたいか」というコンセプトや目標を明確にします。併せて、資金計画を立てるための情報収集や、信頼できる歯科専門の税理士(例えば当事務所のような歯医者に特化した 税理士)への相談もこの時期に始めましょう。事業計画書の作成や自己資金の準備もスタートします。 - 6~8ヶ月前:資金計画の具体化・物件探し
融資を受ける場合、この時期までに金融機関への相談を開始し、事業計画書をブラッシュアップします。同時に物件選びを本格化させ、開業候補地の診療圏調査(後述)も行います。テナント物件の場合は契約交渉を進め、必要に応じて内装業者や設備業者とも打ち合わせを開始します。 - 4~5ヶ月前:物件契約・内装工事開始
開業まで約半年となったら、物件の契約を締結し、すぐに内装設計と工事に着手します。歯科医院の内装工事はユニット(治療椅子)の配管工事など特殊な工程があるため、通常1〜2ヶ月程度かかります。並行して、必要な医療機器の発注も行いましょう(機器によっては納品に時間がかかるため早めの発注が重要です)。 - 3ヶ月前:機器設置・スタッフ募集・ホームページ準備
開業まであと3ヶ月になったら、大型医療機器の据付や細かな備品の購入を進めます。同時にスタッフの採用募集を開始し、求人媒体への掲載や面接を行います。また、ホームページの開設準備もこの時期に始めましょう。WebサイトやSNSは新規患者の集患に非常に有効であり、検索結果で上位に表示されるためにも早めの公開が望ましいです。 - 1ヶ月前:スタッフ研修・内覧会・各種届け出
開業1ヶ月前には、採用内定したスタッフの研修を行い、開業直前には内覧会(内見会)を実施します。内覧会とは、地域の住民に院内を公開し、院長やスタッフと直接触れ合ってもらうイベントです。例えば、ある住宅地で3日間内覧会を開催したところ、来場者の約20%がその場で予約につながったという事例もあります。内覧会で地域の方々に顔を知ってもらうことで、開業初日からスムーズに患者さんを迎えることができます。また、この時期までに歯科医師会への入会手続きを済ませたり、保健所への開設届の提出を行ったりします。保険診療を行う場合は、社会保険診療の施設基準の届出等も必要です。 - 開業日当日~:診療開始・集患施策の実行
いよいよ開業日を迎えたら、計画していたマーケティング施策(ホームページ公開、チラシ配布、SNS発信など)を一気に実行し、新患の来院につなげます。開業後も経営が軌道に乗るまでの数ヶ月間は、計画通りに患者数が確保できているか、収支は予定通りかを細かく確認し、必要に応じて施策の見直しを行いましょう。
このように、歯科医院開業までには約1年弱のスケジュールが必要となります。もちろん、状況によって準備期間は前後しますが、余裕をもって進めるに越したことはありません。特に物件探しや融資交渉には時間を要するため、計画段階から税理士やコンサルタントと二人三脚で準備を進めることで「何をいつまでにやるべきか」が明確になり、安心です。
なお、開業時期としては患者さんが生活の変化を迎える春(3〜5月)や秋(10〜11月)が適しているとも言われます。新年度や年度末に合わせて引っ越しや転勤が多い春、そして夏休み明けで落ち着く秋は、新しい歯科医院にとっても受け入れられやすいタイミングです。こうした時期も意識しながらスケジュールを組むと良いでしょう。
一口に「歯科医院の開業」と言っても、開業の形態にはいくつかのパターンがあります。代表的なのは新規開業と継承開業(居抜き物件の活用)、そして個人開業か医療法人化(法人開業)するかという点です。それぞれの特徴と経営・税務面での影響について押さえておきましょう。
- ゼロからの新規開業:
一から新しいクリニックを立ち上げる形態です。内装や設備を自由に計画でき、自身の理想の医院を形にできる反面、患者ゼロからのスタートとなるため開業直後の集患施策が非常に重要です。また全てを新規購入・施工するため初期費用は高くなりがちです。とはいえ、自分のカラーを全面に出せるメリットがあるため、多くの先生が選択するオーソドックスな開業形態です。 - 居抜き物件を利用した開業(継承開業):
以前に歯科医院が入っていた物件や、他のクリニックから設備ごと譲り受けて開業する方法です。既存のユニットや内装を活用できるため初期投資を抑えられるのが利点です。また、運が良ければ前の医院の患者さんを引き継げる場合もあります。しかし、前院の評判やイメージを引き継ぐリスクもあり、クリニックのコンセプト刷新には工夫が必要です。設備も中古になるため、耐用年数やメンテナンスコストも考慮しましょう。居抜き物件の場合でも内装の一部改修や機器の追加購入は必要になるケースが多い点は念頭に置いてください。 - 個人事業主としての開業と医療法人としての開業:
開業医はまず個人事業としてスタートするケースが一般的です。個人開業の場合、開業にあたって特別な許認可(医療法人の認可)は不要で、比較的スピーディーに始められます。税制上は個人の所得に対して所得税が課され、利益が大きくなると高い累進課税(最大45%超)となります。一方、一定以上にクリニックが成長した場合には医療法人化(法人設立)を検討する段階が来ます。医療法人とは、都道府県知事の認可を受けて設立する法人形態で、法人税が適用されます。法人税率は所得税よりも低く抑えられるケースが多く、利益水準によっては節税メリットがあります。また、医療法人にすることで院長個人から切り離された形で組織運営ができるため、分院展開や事業承継(後継者への引き継ぎ)がしやすくなるといったメリットもあります。 もっとも、医療法人化にはいくつかのハードルもあります。まず、法人設立の認可を受けるには院長が卒後一定年数の臨床経験を積んでいる必要がある等の要件があります。また、法人設立や運営には登記費用や手数料などコストがかかり、毎年の決算報告や事業報告など事務手続きも増えます。さらに、医療法人は剰余金(利益)の配当ができない非営利性が求められるため、利益の使い道が医業の発展に限定される点にも注意が必要です。税務上も、法人になると事業税や消費税の扱いなどが個人とは変わってきます。
開業形態の選択は、将来のクリニックの成長ビジョンや資金状況によって異なります。例えば「まずは個人で1院開業し、ゆくゆく分院展開する頃に法人化する」というステップを踏む先生も多くいらっしゃいます。当事務所では、先生方の中長期的な計画に応じて最適な開業形態のご提案も可能です。医療法人化について詳しく知りたい場合やタイミングのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。
開業準備の中でも特に重要度が高いのが資金計画です。開業にはまとまった資金が必要になるため、自己資金で足りない分は融資等で賄う計画を立てる必要があります。ここでは、開業資金の内訳や融資対策について解説します。
まず押さえておきたいのは、歯科医院の開業にはどれくらいの資金が必要かという点です。一般的にテナントで歯科医院を新規開業する場合、トータルで約5,000万円前後の資金が必要になると言われます。もちろん、規模や立地条件によって幅がありますが、ケースによっては7,000万〜8,000万円程度かかることもあります。一方、居抜き物件を活用して設備投資を抑えられれば3,000万円台で開業した例もあります。以下は主な費用項目と目安額の内訳です。
- 物件取得費(敷金・礼金・前家賃等):数百万円~(賃貸物件の場合。都心部のテナントでは保証金として家賃数ヶ月~年分が必要なケースも)
- 内外装工事費:1,000万~2,500万円程度(内装デザイン・施工、看板工事など)
- 医療機器・備品購入費:1,500万~3,000万円程度(歯科ユニット、レントゲン設備、その他治療機器、院内の什器類など)
- 開業前後の広告宣伝費:数十万~数百万円(ホームページ制作、折込チラシ、内覧会費用等)
- 人件費(人材募集費・開業前研修費、開業初期の給与):数十万~(求人広告費用や、スタッフを開業前に研修する場合の人件費など)
- 予備資金・運転資金:最低6ヶ月分程度の固定費は確保(家賃、人件費、リース代、仕入費用など、開業直後赤字でも数ヶ月は持ちこたえられるように)
例えば、テナントでユニット2台規模の一般歯科を開業するケースでは、「物件関連500万円 + 内装1500万円 + 機器2000万円 + その他500万円 + 運転資金500万円」=合計約5,000万円という具合です。これに対し、土地から建物を新築して開業する場合は建築費や土地代が別途数千万円単位で必要となるため、総額は1億円以上になることもあります。都市部の一等地か郊外かによっても家賃や工事費は大きく変わりますので、あくまで目安として捉えてください。
重要なのは、自己資金と借入金のバランスです。一般的に、金融機関から融資を受ける際には自己資金が全体の2割程度あると望ましいと言われます。例えば5,000万円の開業資金なら、1,000万円程度は自己資金を投入し、残りを融資で賄うイメージです。自己資金が少ない場合でも開業は可能ですが、その場合は金融機関も事業計画の確実性や開業後の収支見込みをより厳しくチェックします。また、親族からの支援金を自己資金に充てる場合は贈与税に注意が必要です。開業資金の出どころについて税務署から質問を受けることもありますので、記録をきちんと残しておきましょう。
資金計画では「いかに費用を抑えるか」も考えがちですが、闇雲に節約しすぎるのも禁物です。集患に必要な設備や広告を削りすぎて開業後に患者さんが来ず、結局追加投資がかさんでは本末転倒です。メリハリをつけて、必要な投資と抑えられるコストを見極めることが大切です。この点も歯科開業支援の知識豊富な当事務所にご相談いただければ、業界水準を踏まえたアドバイスが可能です。
自己資金だけで開業資金をまかなえるケースはまれで、多くの場合は銀行などから開業資金の融資を受けてスタートします。そのため、金融機関を納得させる事業計画書(創業計画書)の作成は開業準備における重要なステップです。
事業計画書には主に以下のような項目を盛り込みます。
- クリニックの概要:開業場所、クリニック名、診療科目(一般歯科・矯正歯科・小児歯科など)、ターゲットとする患者層(例:ファミリー層、ビジネスパーソン、自由診療ニーズの高い層 など)を記載します。先生の経歴(勤務医時代の実績や専門分野)もアピールポイントになります。
- 市場分析・診療圏の状況:開業予定地域の人口動態や競合歯科医院の数、患者ニーズの分析結果を示します。例えば「半径◯km圏内に歯科医院が◯軒、人口◯人であり、人口当たり歯科医院数は都内平均より少なく競合優位性あり」といった具体的なデータがあると説得力が高まります。
- クリニックの強み・差別化ポイント:他院にはない特色やサービスを整理します。最新の設備導入、完全個室の診療室、キッズスペース完備、矯正専門医による治療提供、土日診療対応など、クリニックのセールスポイントを明記しましょう。
- 収支計画(損益計画):開業後少なくとも3年間程度の収支予測を立てます。月間患者数や1人当たり単価の想定、保険診療と自由診療の割合、毎月の経費(人件費、家賃、材料費、減価償却費など)を見積もり、融資の返済原資が十分に確保できる計画になっているか示します。ポイントは、融資の返済と院長ご自身の生活費を賄ってなお黒字が出るシミュレーションになっていることです。
- 資金使途の明細:融資で調達した資金を何に使うか、その内訳も示します。「内装工事◯◯万円、医療機器◯◯万円、運転資金◯◯万円」というように、前項「開業資金の内訳」で検討した費用項目ごとに使途金額を記載し、融資額の根拠を明確にします。
- 返済計画:融資を受けた場合の返済スケジュールと返済原資(主にクリニックの収益から充当)について触れます。返済期間は設備資金なら7年〜10年程度が一般的ですので、金利◯%・◯年返済なら月々◯万円返済、と具体的な数字で示すと現実味が増します。
以上のような内容を盛り込んだ事業計画書を作成することで、金融機関は開業計画の妥当性を判断します。特に日本政策金融公庫(日本公庫)は開業医の強い味方で、無担保・無保証人での融資メニューもあります。日本公庫は創業融資に積極的で比較的融資を受けやすい傾向がありますが、その場合でも事業計画書の提出は必要です。また、民間の都市銀行・地方銀行、信用金庫などから融資を受ける場合は、勤務医時代の実績や自己資金の額も重要視されます。開業直前の頭金(自己資金)をどれだけ用意できているかや事業の将来性が融資可否に直結しますので、できれば開業前に勤務先で症例数を積む・研修を受けるなどして強みを作っておくのも有効でしょう。
当事務所では、資金計画や事業計画書作成の段階から綿密にサポートいたします。収支シミュレーションの作成や、日本公庫向けの創業計画書の書き方指導、金融機関との交渉ポイントのアドバイスなども行っております。融資面に不安のある先生も、ぜひご相談ください。適切な計画と準備があれば、自己資金ゼロでも融資を受けて開業できるケースもございます。ポイントは、金融機関に「この計画なら返済できる」と納得してもらえる材料を揃えることです。
歯科医院の開業に際しては、各種補助金・助成金の活用も検討しましょう。国や自治体、厚生労働省系の団体などが提供する補助金・助成金制度を上手に使えば、設備投資や人材採用にかかる費用の一部を賄うことができます。
代表的な補助金・助成金として、以下のようなものがあります。
- 小規模事業者持続化補助金:個人事業主や小規模法人向けの補助金で、マーケティングやIT導入など販路開拓の取り組みに対して原則50万円(条件により最大100万円)まで補助される制度です。歯科医院の開業時には、ホームページ制作費や広告宣伝費などに活用できる可能性があります。
- IT導入補助金:医院のITシステム導入に対する補助金です。電子カルテや予約管理システムなどITツールを導入する際に、その費用の一部(1/2もしくはそれ以上)を補助してもらえる場合があります。近年はオンライン資格確認(マイナンバーカードを保険証として利用するシステム)の導入補助なども拡充されています。
- ものづくり補助金:中小企業等が革新的なサービスや試作品の開発・設備投資を行う際に交付される大型の補助金です。歯科医院の場合、新しい医療技術や設備を導入して特色ある診療を行う計画などが認められれば採択される可能性があります。補助額も数百万円〜1,000万円超と大きいですが、競争率が高く事業計画の独自性が求められます。
- 事業承継・引継ぎ補助金:親族や第三者からの事業承継(M&A)に伴う設備投資等を支援する補助金です。歯科医院では、親の歯科医院を継ぐケースで設備リニューアル費用等に使える場合があります。
- 創業助成金(自治体):東京都など一部自治体では、創業予定者向けに数百万円規模の助成金制度があります。事業計画の審査がありますが、採択されれば開業後の経費の補助(金額の範囲内で経費の1/2補助など)を受けられます。
- 雇用関係の助成金:厚生労働省系の助成金で、スタッフを雇用する際に使えるものがあります。例えばキャリアアップ助成金(有期雇用から正社員転換で支給)、トライアル雇用助成金(未経験者を試行雇用する場合)、人材確保等支援助成金(働きやすい職場環境整備で支給)など、多岐にわたります。これらは開業後の雇用に対して後から申請するケースが多いですが、あらかじめ制度を知って計画に織り込んでおくと良いでしょう。
このように様々な補助金・助成金がありますが、利用にあたってはいくつか注意点もあります。申請時期が限られている(年1回募集など)ものや、事前エントリーが必要なものもあります。また、医療法人は対象外となる制度も一部ありますので、将来的に法人化を視野に入れている場合は慎重に検討しましょう。さらに、補助金は採択後に事業を実施し、後払いで交付されるのが一般的です。要件を満たせないと支給されなかったり一部返還となるケースもあります。したがって「あればラッキー」くらいの気持ちで計画し、採択されれば資金繰りが楽になる、くらいに捉えるのが健全です。
当事務所でも、利用可能な補助金・助成金の情報提供や申請書類の作成支援を行っています。特に歯科医院が使いやすい補助金についてノウハウがありますので、「こんな設備導入を考えているけど補助金はある?」といったご相談もお気軽にどうぞ。適切な制度を活用して、開業時の負担を少しでも軽減しましょう。
歯科医院の立地選びは、開業の成否を左右すると言っても過言ではありません。どんなに腕が良くても、そこに患者さんが来てくれなければ経営は成り立ちません。ここでは物件選びのポイントと、開業予定地の市場環境を分析する診療圏調査について解説します。
「立地が全て」という言葉があるほど、クリニック経営において場所選びは重要です。歯科医院の場合も例外ではなく、以下のようなポイントを考慮して物件を選定しましょう。
- 人の動線と視認性:人通りが多い場所にあること、そして看板や入口が人目につきやすいことは集患に直結します。駅からの通り道や商店街、スーパーの近くなどは人通りが多くおすすめです。実際、ビルの2階以上よりも1階路面店の方が認知されやすさは高まります。また、2階以上の場合でも大きな看板を道路沿いに設置できるかなど、視認性を確保できる工夫が必要です。
- ターゲット患者層とのマッチ:周辺住民の年齢層やライフスタイルも考慮します。ファミリー世帯が多い地域なら小児歯科や一般歯科需要が見込めますし、ビジネス街なら仕事帰りの会社員を狙った平日夜間診療が効果的です。高齢者が多い地域ではバリアフリー対応や訪問歯科診療も視野に入ります。自分のクリニックが提供する診療内容と、その地域のニーズが合致しているかをチェックしましょう。
- 競合状況:半径◯メートル以内に何軒の歯科医院があるか、その診療科目や評判はどうか、といった競合分析も欠かせません。競合が少なければその地域の需要を取り込めるチャンスですが、もし多数の歯科医院がひしめくエリアであれば、何らかの差別化(例えば矯正やインプラント専門、夜間診療特化など)が必要になります。なお、歯科医院は全国的に増加傾向にあり「コンビニより多い」と言われますが、その分野や地域によって偏在があります。診療圏調査(後述)できちんと数値を把握しましょう。
- アクセスと利便性:患者さんの来院手段にも配慮します。駅近であれば徒歩の患者さんが来やすくなりますし、郊外なら駐車場の確保が極めて重要です。駐車場が数台分でもあると来院ハードルは大きく下がります。また、エレベーターの有無(ベビーカーや車椅子の患者さんが来やすいか)、ビル管理の清潔さ、周囲の治安などもチェックポイントです。
- 物件タイプ:テナント物件か一戸建てか、居抜きかスケルトンか、といった物件タイプの違いも考慮します。テナントの場合、周辺に他のクリニックや店舗が入っているケースも多く、医療モールのように最初から歯科向けに設計されたビルもあります。一方、一戸建て開業は初期費用は高いですが自由度が高く、駐車場も敷地内に確保しやすいメリットがあります。また、居抜き物件の場合は前述の通りコスト面では有利ですが、内装やレイアウトに制約があったり、過去の医院の印象が残っている可能性もあります。
- 契約条件:物件を決める際は賃料だけでなく契約条件も確認しましょう。例えば「◯年以上の定期借家契約」「途中解約時の違約金」「看板設置の制限」「原状回復義務の範囲」などです。特に歯科医院は内装に特殊工事を伴うため、退去時の原状回復でスケルトン返しを求められると解体費用が高額になります。できれば貸主に交渉し、配管設備等の残置を認めてもらえると助かります。このような契約交渉は不動産仲介会社とも連携しつつ慎重に進めましょう。
物件選びは時間と労力がかかりますが、「立地で8割決まる」とも言われるほど重要です。当事務所でもご希望エリアの相場感や物件探しのコツなどアドバイス可能です。先生の理想のクリニック像と地域性をすり合わせながら、最適な場所を見つけましょう。
診療圏調査とは、開業を予定している地域における医療需要と供給のバランスを調べるマーケティング調査です。具体的には「その地域にどれくらいの潜在患者がいて、競合となる歯科医院はいくつあるか」を数値で把握し、開業後の患者数見込みを立てるために行います。
診療圏調査の主なポイントは次の通りです。
- 対象エリアの設定:まず自院の診療圏を設定します。都市部であれば半径500m〜1km、郊外なら車で○分圏内など、立地条件に応じて範囲を決めます。駅近であれば徒歩圏内が中心になりますし、駐車場完備なら車で来る患者も想定して少し広めのエリアを見る必要があります。
- 人口・世帯数の把握:設定したエリア内の人口や世帯数、年齢構成などのデータを収集します。これは市区町村が公表している住民基本台帳や国勢調査のデータを利用できます。例えば「◯◯町◯丁目〜◯丁目の人口◯人、高齢化率◯%、児童人口◯人」等を調べます。近年はネット上で自治体データを簡単に引き出せるサービスもあります。
- 競合クリニックの情報:対象エリア内にある歯科医院の件数と、その特色をリストアップします。一般歯科なのか矯正専門なのか、診療時間や規模、開業年次、評判(口コミサイトなど)も調べられる範囲で把握します。Googleマップやデンターネット等で検索すれば大まかな情報は得られます。可能であれば実際に現地を歩き、競合医院の場所や雰囲気を見ることも有益です。
- 人口当たり歯科医院数の算出:集めた人口データと歯科医院数から、人口○人あたり何軒の歯科医院があるかを計算します。例えば半径1km圏内に1万人の人口がいて歯科医院が5軒なら、人口2,000人につき1軒の歯科医院が存在する計算です。この数値を他地域や全国平均と比較することで、そのエリアの過不足感が見えてきます。一般的に人口2,000〜3,000人に歯科医院1軒程度が標準とも言われますが、都市部では1,000人に1軒以下という激戦区もありますし、地方では5,000人以上に1軒というケースもあります。
- 将来動向:今だけでなく将来の人口動態も考慮します。大規模マンションが建設中であれば数年後に若い世帯が増えるでしょうし、逆に過疎化が進む地域では患者減少リスクがあります。また、競合医院の院長の年齢が高ければ将来閉院する可能性もあります。地域の開発計画や医療計画にもアンテナを張りましょう。
診療圏調査の結果は事業計画の根拠データとして活用できます。先ほどの融資用事業計画書でも述べたように、「◯◯圏内の人口◯人に対し歯科医院◯軒、1院あたり◯人の計算。これは全国平均より多く潜在需要が高いと考えられる」などと書けば、金融機関への説得材料になります。また、自院のターゲット戦略を練る上でも役立ちます。例えば「競合が多いが矯正専門はいないから矯正ニーズを取り込める」「小児歯科に力を入れれば若い世帯が多い地域なので強みになる」など、開業後のマーケティング方針にもつながります。
なお、専門のコンサルティング会社に診療圏調査を依頼すると、より詳細な報告書を作成してくれるサービスもあります。有料ではありますが、開業リスクを減らす保険と考えて検討してもよいでしょう。当事務所でも必要に応じて報告書の読み解き方についてもアドバイスいたします。
歯科医院を開業するにあたり、快適かつ機能的な診療空間を作ることは重要です。どんな医療設備が必要か、そして内装デザインやレイアウトをどう工夫するかを見ていきましょう。
歯科医院の開業時に揃えるべき医療機器・備品は多岐にわたります。クリニックの規模や診療内容によって多少異なりますが、一般的に以下のようなものが必要となります。
- 歯科ユニット(治療椅子):患者さんが座る診療台です。チェアとライト、器具台(デリバリーシステム)が一体となった設備で、開業時は通常1~3台導入します。1台あたり数百万円する高額機器ですが、診療の要となるため信頼性の高いメーカー品を選びましょう。
- 歯科用レントゲン装置:お口の中を撮影するX線装置です。個別の歯を撮影する小さなデンタルX線と、口全体を撮るパノラマX線があります。矯正歯科やインプラントを行う場合は頭部X線規格写真(セファロ)や歯科用CTを導入することもあります。デジタルレントゲンであれば現像の手間が省け効率的です。
- 滅菌・消毒設備:患者さんごとに使用した器具を清潔にするための設備です。高温高圧で器具を滅菌するオートクレーブ(滅菌器)は必須で、複数台あると効率的です。他にも超音波洗浄器、ハンドピース専用の滅菌器(ケミクレーブ等)、紫外線保管庫などが挙げられます。感染対策上、滅菌設備への投資は怠れません。
- 吸引・圧縮空気システム:ユニットで使うタービンや手術用吸引器に必要なコンプレッサー(圧縮空気装置)とバキューム(唾液や水を吸引する装置)です。これらは院内の機械室に設置し、各ユニットに配管で繋ぎます。ユニット台数に対応した馬力の機種を選定します。
- ハンドピース・器具類:歯を削るタービンハンドピースやコントラ、スケーラー、探針・ミラーなどの基本セット、抜歯や外科処置用の器具、根管治療用器具、印象(型取り)用のトレー類など、細かな器具を多数揃えます。診療内容に応じて必要なものをリストアップし、一式購入します。
- 材料・消耗品:レジンやセメント等の歯科材料、グローブ・マスク・コットンなどの消耗品も開業時にある程度ストックが必要です。これらは開業直前にディーラーからまとめて購入しますが、保管スペースも考えて発注しましょう。
- 院内備品(非医療):待合室の椅子やソファ、受付カウンター、PCやプリンター、電話・FAX、ロッカーや収納棚、空気清浄機、BGM用スピーカーなど、クリニック運営に必要な備品類です。医療機器に比べれば費用は小さいですが、忘れずに計上します。患者さん向けにスリッパやウォーターサーバー、キッズスペースのおもちゃ等も用意すると喜ばれます。
以上が主なリストですが、専門性によっては追加があります。例えば矯正歯科なら写真撮影用の一眼レフカメラや模型用咬合器、ワイヤーベンディング器具など、外科処置を重視するなら生体モニターやAED、笑気麻酔器なども考えられます。自由診療を扱う場合、高機能な医療機器(レーザー治療器や口腔内スキャナー等)を導入することも差別化につながります。
なお、高額な医療機器については新品購入だけでなく中古購入やリース契約も選択肢です。新品は最新機能と長期のメーカー保証が得られる一方で費用負担が大きいですが、中古ならば新品の半額以下で手に入るものもあります。ただし中古機器は故障リスクやサポート切れ等の懸念があるため、信頼できるルートから購入することが重要です。また、リースを活用すれば初期費用を抑えつつ最新機器を導入できますが、総支払額は割高になる傾向があります。資金繰りや節税上のメリットも踏まえて検討しましょう(この点も当事務所がアドバイス可能です)。
内装設計はクリニックの雰囲気を決定づけ、患者さんの満足度やスタッフの働きやすさにも影響します。また患者動線の最適化(患者さんが院内を移動する経路のスムーズさ)も重要な観点です。
内装・レイアウト設計のポイントをまとめます。
- コンセプトに合ったデザイン:まず、クリニックのコンセプトに合う内装デザインを考えます。例えば「小児歯科に力を入れるならポップで明るい雰囲気」「審美歯科中心ならホテルのラウンジのような高級感」「一般歯科で地域密着なら木目を活かした温かみのある空間」など、ターゲット層に響くデザインテイストを選びましょう。色調や照明も患者さんの心理に影響します。歯科医院は怖いイメージを持たれがちですので、柔らかな色合いや間接照明でリラックスできる空間づくりを心がけます。
- レイアウトと動線計画:院内の間取り配置は、患者動線とスタッフ動線の両方を意識して設計します。患者さんの動線としては、「受付・待合」→「診療室」→「会計・退出」という一連の流れがスムーズになるようにします。受付から診療室までは案内しやすい直線的な経路が望ましく、他の患者さんの治療中の様子が目に入りにくい工夫(パーティションやカーテン、個室化など)もプライバシー配慮の点で重要です。診療後に会計で待つスペースも、他の待合患者と混ざらないよう配置すると良いでしょう。 一方、スタッフ動線としては、消毒コーナーや技工コーナーの配置がポイントです。使用済み器具をすぐ滅菌室へ運べるよう診療室近くに滅菌コーナーを配置したり、技工用スペースから各ユニットへ動きやすい動線を確保します。スタッフが効率よく動けるレイアウトは、そのまま診療の回転率向上やスタッフ満足度向上につながります。
- スペース配分:限られた面積の中で、待合、受付、診療室(ユニット台数分)、レントゲン室、滅菌室、カウンセリングルーム、スタッフ控室、トイレ等のスペースを配分します。ユニットを増やしすぎて窮屈になると患者さんもスタッフも動きにくくなるため要注意です。将来ユニットを増設できるよう、開業時はゆとりを持ったレイアウトにしておく手もあります。レントゲン室は法令に従った構造(遮蔽壁の厚さ等)が必要なので専門業者の指示に従います。また、車椅子対応のトイレを設置したり通路幅を広めに取るなど、バリアフリー設計にすることで高齢者や障害のある方も安心して来院できます。
- 快適な待合環境:待合室にはゆったりとした椅子を配置し、長居しても疲れない空間にします。雑誌やテレビ、キッズスペースがあると待ち時間のストレス軽減になります。空調や照明も心地よさを重視し、BGMを流す医院も多いです。小さな所ですが、観葉植物やアロマディフューザーを置くなど、歯科医院特有の緊張感を和らげる工夫を凝らしましょう。
- 清潔感と衛生管理:医療機関ですから、清潔感は内装の最重要ポイントです。床や壁材は清掃しやすく耐久性の高いものを選びます。ユニット周りの床は薬液等がこぼれても染み込まない材質が望ましいです。また、診療空間とトイレ・ゴミ置場などの不衛生ゾーンはしっかり分け、におい対策の換気も計画します。昨今は口腔外バキューム(飛沫吸引機)や空気清浄機の設置も感染対策として重要ですので、レイアウトに組み込んでおきましょう。
内装設計は専門の設計士・施工業者と相談しながら詰めていきます。歯科医院専門の設計会社も存在し、歯科特有のニーズをよく理解しているため安心です。デザイン面でも不安があれば遠慮なくご相談ください。限られた予算の中で最大限魅力的な空間になるようアドバイスいたします。
開業医とはいえ、一人で医院を切り盛りすることはできません。優秀なスタッフの存在が、良質な医療提供とクリニックの繁栄に欠かせないのは言うまでもありません。ここでは開業に向けたスタッフ採用計画と、採用後の教育・マニュアル整備について解説します。
まずはどのようなスタッフを何名採用するか、開業時の人員計画を立てましょう。一般的な歯科クリニックで必要となる職種は以下の通りです。
- 歯科衛生士:歯石除去や予防処置、ブラッシング指導などを行う専門職です。衛生士は国家資格者であり、患者さんからの信頼も厚いため、ぜひ採用したい人材です。規模にもよりますが、ユニット2台規模なら2~3名の歯科衛生士を配置できると理想的です(常勤・非常勤の組み合わせも検討)。
- 歯科助手・受付:診療のアシスタント業務や、器具の洗浄、備品管理、受付・会計業務などを担当します。歯科助手は資格不要ですが、テキパキと気配りのできる人材が求められます。受付専任を置くか、助手兼務で回すかは規模次第ですが、最低1~2名は必要でしょう。小規模院では「歯科助手兼受付」としてマルチに動けるスタッフが活躍します。
- 歯科技工士(必要に応じて):院内で補綴物(被せ物や入れ歯)を作製する場合は歯科技工士を雇用するケースもあります。しかし多くの歯科医院では外注ラボに技工物を発注するため、院内技工士は必須ではありません。矯正歯科で装置を内製する場合や、即日補綴(ワンデイ治療)に力を入れる場合に検討しましょう。
- その他の人員:分院展開などを前提に事務長やマネージャーを置くケースもありますが、開業当初からはいないことが多いです。院長が経営管理も兼務しつつ、必要に応じて税理士や社労士がサポートする形になります。また、家族経営の場合は配偶者が受付事務を担当する例もあります(その場合、給与を支払えば青色事業専従者給与として経費計上可能です)。
採用人数・職種の計画が固まったら、いつ・どこで求人募集をかけるかを検討します。開業直前にバタバタ採用するのは避け、遅くとも開業の2〜3ヶ月前には採用活動を開始しましょう。例えば4月開業なら年明け1月頃には募集開始、2月中に面接・内定、3月から研修開始、というタイムラインが一つの目安です。
求人方法としては、歯科衛生士や歯科助手向けの専門求人サイトへの掲載、歯科医師会や衛生士学校への求人依頼、ハローワークの活用、知人からの紹介などが挙げられます。都市部では求人倍率が高く、条件の良い職場に応募が集中する傾向がありますので、自院の魅力をしっかりアピールすることが大切です。
求人票に書く内容としては、勤務時間・休日、給与・待遇、仕事内容、職場の雰囲気などを具体的に示します。最近では週休2.5日や18時終業といった働きやすさを打ち出す医院も増えており、求職者も給与だけでなくワークライフバランスを重視する傾向にあります。長く働いてもらうためにも、できる範囲で良い労働条件を提示しましょう。社会保険(健康保険・厚生年金)への加入可否も応募の大きな判断材料になります。医療法人であれば強制適用、個人でも常勤スタッフが一定数以上いれば社保加入が望ましいです。
採用面接では、スキルや経験はもちろん、人柄やコミュニケーション力も重視しましょう。患者さんと接する仕事ですので、明るく丁寧に応対できる方が望ましいです。必要に応じて実技試験(タイピング速度や簡単な歯科知識テスト)をする医院もありますが、ポテンシャルを見極めて採用し、足りないスキルは入職後に教育するというスタンスで良いでしょう。
当事務所でも「人材採用が一番大変だった」という声はよく伺います。特に衛生士は売り手市場で確保が難しいため、条件提示や面接時の印象づくりに工夫が必要です。当事務所では給与水準の相場感や求人票の書き方についてもアドバイス可能です。また、採用にかかる費用(求人広告費等)も開業経費として計画に入れるのをお忘れなく。
晴れてスタッフが決まったら、開業前研修とマニュアル作りでスタッフ教育を行います。開業時にスタッフが戸惑っていてはスムーズな診療の妨げになりますから、事前準備が肝心です。
スタッフ研修は、開業直前の1〜2週間程度かけて行うことが多いです。以下のような内容を盛り込みましょう。
- 医院理念・接遇研修:まず院長の想い(医院のミッション・ビジョン)を共有し、「患者様にこう接してほしい」「チームワークを大切にしよう」といった基本姿勢を伝えます。笑顔での挨拶や言葉遣いなど、接遇マナーの確認も大切です。可能ならロールプレイング形式で受付応対や電話対応の練習をすると良いでしょう。
- 業務フローの確認:予約の受け付けから診療、会計まで、一連の業務の流れをシミュレーションします。受付担当と診療アシスタントの連携、カルテの扱い方、診療前後の準備片付け手順など、細かく確認します。電子カルテや予約ソフトを導入するなら、スタッフ全員でログイン方法から入力手順まで実際に触って覚えてもらいます。
- 役割別の専門研修:歯科衛生士であればスケーリングやPMTCの手順確認、器具のセットの仕方、アシスタントワークのタイミング練習など実技的な研修をします。歯科助手にはバキュームの当て方、印象材の練和、レントゲン撮影時の補助などを教えます。受付にはレセプト(診療報酬請求)の基礎や会計ソフトの使い方、予約電話の応対練習などを行います。それぞれの職種ごとに、必要なスキルを一通り洗い出して教えておきます。
- 院内ルールの共有:就業時間や休憩、勤怠管理方法、ユニフォームの管理、院内清掃の分担など、職場のルールも明文化して伝えます。患者さんの個人情報管理についてもスタッフ全員で意識合わせしておきましょう。
これらの研修内容を整理する際に役立つのがマニュアルです。スタッフ用マニュアルを開業前に作成しておくと、教育効率が上がり、開業後も新人が入る度に活用できます。マニュアルには以下のようなものを用意します。
- 受付・電話応対マニュアル:初診の電話予約の受け答え例、予約日時の聞き取り項目、来院時の問診票記入の案内方法、会計処理の手順、次回予約の取り方など。
- 診療アシストマニュアル:診療科目ごとのアシスタント業務フロー(例:充填処置の場合の準備器具リストとアシスト手順、印象採得の手伝い方等)、器具の洗浄・滅菌手順、薬品や材料の補充方法など。
- 衛生士業務マニュアル:スケーリングやTBI(歯磨き指導)の進め方、使用器具一覧、記録の取り方、リコール(定期健診)の案内方法など。
- トラブル対応マニュアル:患者さんからクレームがあった場合の対応フロー、体調不良や急変時の対処(すぐ院長に報告し救急車手配等)手順、機器トラブル発生時の連絡先など。
マニュアルは文字と写真で分かりやすく作るのがコツです。最初は簡易なもので構いませんが、開業後に気づいたことを追記していき、アップデートしていきましょう。マニュアル整備は面倒に思えますが、長期的にはスタッフ教育の手間を減らし業務品質を均一化するのに役立ちます。
スタッフ教育で忘れてならないのは継続的なコミュニケーションです。開業直後は毎日終礼ミーティングを行い、その日の反省や改善点を共有すると良いでしょう。スタッフからの提案も積極的に取り入れて、皆でより良い職場を作っていく姿勢が大切です。院長一人で抱え込まず、「困ったときは何でも相談してほしい」と伝えておくことでスタッフの安心感も高まります。
当事務所では、スタッフ給与の設定や労務手続き(社会保険・労働保険の加入手続)についてのサポートも行っています。給与計算や年末調整も税務顧問業務の一環として代行可能ですので、人を雇うにあたって不安な場合もトータルでフォローいたします。
歯科医院を開業すると経営者としての側面を持つことになり、税務・会計に関する責任も生じます。開業前に必要な税務手続きと、開業後の会計・税務サポートについて押さえておきましょう。
歯科医院を開業する際、忘れてはならないのが所轄官庁への各種届出です。特に税務署や役所への手続きは、開業に追われていると見落としがちですが、期日までに確実に行いましょう。以下に主要な手続きをまとめます。
- 個人事業の開業届(個人で開業する場合):
開業した日から1ヶ月以内に、所轄税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。これは税務署に「事業を始めました」と知らせる書類です。開業日(実際の診療開始日)を記載しますが、準備段階であっても収入が発生し始めた日を開業日とすることもあります。 - 青色申告承認申請書(個人事業の青色申告):
所得税で青色申告を受けたい場合、開業日から2ヶ月以内(その年1月16日以降開業なら開業年の3月15日まで)に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出します。青色申告をすると最大65万円の青色申告特別控除が受けられるほか、赤字を翌年以降3年間繰り越せる、家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与制度)など税制上のメリットがあります。節税のためにも基本的に青色申告一択と考えて良いでしょう。青色申告について詳しくは「青色申告の特集ページ」をご覧ください。 - 青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給料を支払う場合):
個人事業で配偶者や親族をスタッフとして働いてもらい給与を支払う場合、事前に税務署へ届出をすることでその給与を必要経費にできます(青色申告の特典です)。開業届提出時に一緒に提出するのが一般的です。届出書には専従者(家族従業員)の氏名や年間給与見込額を記載します。 - 給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇う場合):
従業員や専従者に給与を支払う事業者は、給与から源泉所得税を天引きして納付する義務があります。税務署にはその事務所を開設した旨の届出が必要です。開業後1ヶ月以内に提出します。これにより税務署から源泉所得税の納付書などが送られてきます。 - 事業開始等申告書(個人事業税・都道府県税関係):
都道府県税事務所への届出です。地域によりますが、開業から1ヶ月以内程度で提出します。これにより個人事業税の課税対象者として登録されます。歯科医師の場合、個人事業税(業種:医業)は非課税なので実際には課税されませんが、提出義務があります。 - 社会保険・労働保険の加入手続き:
個人開業医の場合、従業員が5人未満の医療業は厚生年金・健康保険(社会保険)の任意適用業種ですが、常勤スタッフを安定的に雇うなら社会保険に加入するケースが多いです。任意適用の手続きを年金事務所で行えば、従業員と院長は協会けんぽと厚生年金に加入できます。また、スタッフを一人でも雇用するなら労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険には加入が必要です。これは開業日からすぐに管轄の労働基準監督署(労災)とハローワーク(雇用保険)で手続きをします。こうした労務系手続きは社労士に依頼することもできます。 - 保険医療機関の指定申請:
歯科医院で保険診療を行うには、各都道府県の社会保険診療報酬支払基金と国保連合会に対して「保険医療機関」の指定申請を行う必要があります。通常、歯科医師会に入会すると手続きをサポートしてくれます。開業直前〜直後に申請し、指定を受けると保険診療のレセプト請求が可能になります。保険医登録済みの歯科医師であることも前提条件ですので、未登録の場合は厚生局への保険医登録申請も忘れず行います。
その他にも、開業にあたって衛生管理者の選任届(スタッフが一定数以上の場合)や、X線装置の設置届(保健所)など細かな届け出が発生します。とはいえ、こうした行政手続きは一度きりのものも多く、開業前後の時期に集中します。チェックリストを作成して漏れなくこなしましょう。当事務所でも必要な届出一覧を用意してご案内していますし、ご希望があれば書類作成や提出代行も行います。
開業後は日々の診療に追われる中で、経理や税務の管理も継続して行っていかねばなりません。ここでは、歯科医院の経営を健全に続けるための会計・税務面のポイントと、当事務所によるサポート内容をご紹介します。
- 毎月の会計記帳と経営把握:
開業したら、月次の会計帳簿をつけていきましょう。売上はレセプト請求分(保険診療収入)と自費収入に分け、経費は科目別(人件費、家賃、水道光熱費、材料費、減価償却費 etc.)に集計します。最近は「freee」や「マネーフォワード」といったクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動仕訳も可能です。当事務所でもこうしたソフトの導入支援を行っております。もし会計ソフトを使ったことがなくても大丈夫です。私たちが丁寧にサポートしますし、最初はエクセル等で簡易的に管理して、後から会計データを整備するといった柔軟な対応も可能です。 毎月のデータをきちんと記帳することで、自院の経営状況を見える化できます。例えば「今月は保険収入◯◯万円・自費収入◯◯万円だった」「材料費率が売上の◯%だった」などが分かれば、収支の改善点が見えてきます。当事務所では月次決算書の作成支援も行い、希望される医院には毎月損益報告を提出しています。特に分院展開されている医療法人の先生方には、クリニックごとの月次損益比較や、グラフによる視覚的な経営分析資料をご提供し、経営会議で活用いただいております(まさに歯科 医療法人の月次決算サポートの一環です)。数字に強い歯科専門の税理士がバックアップすることで、経営の舵取りに専念していただけます。 - 資金繰りと銀行対応:
会計と並行して資金繰り管理も重要です。歯科医院は保険診療の場合、診療月の翌々月に診療報酬が振り込まれるサイクルなので、開業直後は収入が遅れて入る点に注意が必要です。毎月の収支予測を立て、融資返済やスタッフ給料支払いに支障が出ないよう現預金を管理しましょう。当事務所では資金繰り表のフォーマット提供や、必要に応じて追加融資の相談などもサポートします。開業後しばらくは日本政策金融公庫や取引銀行との関係が続くため、決算書や試算表の提出を求められることがありますが、そうした銀行対応も私たちがフォローいたします。 - 消費税への対応:
開業後すぐは売上規模にもよりますが、消費税にも気を配る必要があります。ご存知の通り、歯科医院の収入のうち保険診療分は非課税ですが、インプラントや矯正など自由診療収入には消費税が課税されます。新規開業の場合、通常は1年目と2年目は消費税の納税義務が免除されます(前々年売上が無いため免税事業者となる)が、もし自費売上が年間1,000万円を超えると2年後から消費税課税事業者になります。特に矯正歯科やインプラント中心のクリニック(自由診療メインの歯科医院)では、早期に課税売上高が基準を超える可能性が高いので注意が必要です。消費税の納税額は「課税売上に係る消費税 – 仕入等に係る消費税」で計算されますが、歯科医院の場合、保険診療部分に対応する仕入(経費)は本来控除できないなど複雑な点があります。当事務所では、開業初年度から将来の消費税シミュレーションを行い、適切なタイミングでの消費税課税事業者選択の是非もアドバイス可能です。「開業〇年目でこれだけ自費が伸びそうだから、課税事業者になってもこの方が有利」といった具合です。さらに2023年からはインボイス制度(適格請求書方式)が始まり、今後は取引先からインボイス発行を求められる場面も出てきます。歯科医院同士の技工物売買などBtoB取引は少ないかもしれませんが、開業医として基本的な制度は知っておきましょう。消費税について詳しく知りたい方は「消費税の特集ページ」も参考にしてください。 - 節税対策と納税計画:
開業後、経営が軌道に乗り利益が出始めると、今度は節税対策を検討するフェーズになります。節税対策とはいえ闇雲に経費を使うのではなく、将来の発展に資する形で行うのがポイントです。当事務所では、歯科医院の事情に通じた税理士が自由診療 税務サポートの一環として様々な節税策をご提案します。例えば、「高額な医療機器を導入するタイミングを計り、減価償却費を有効に活用する」「小規模企業共済や倒産防止共済に加入して所得控除を受ける」「役員報酬(院長の給料)と利益配分を調整して所得税・法人税のバランスを最適化する」「スタッフ研修や院内設備投資を積極的に行い中長期的に見て利益圧縮と競争力強化を両立する」等々、その時々の状況に応じた手段があります。また、医療法人化も大きな節税策の一つです。利益が相当出るようであれば法人化による実効税率引き下げメリットを試算し、適切なタイミングでご提案します。ただし法人化には先述のようにコストもかかりますから、単年度の税金だけでなく総合的に判断する必要があります。当事務所と綿密に相談しながら、無理のない範囲で最大限の節税を図りましょう。詳しくは、「節税対策の特集ページ」をご覧ください。 - 決算・申告と税務調査対応:
個人事業の歯科医院であれば毎年3月15日までに所得税の確定申告を行います。医療法人の場合は事業年度末から2ヶ月以内に法人税申告が必要です。決算・申告業務は税理士にお任せいただければ、減価償却の計算や各種控除の適用、書類の作成提出まで滞りなく代行いたします。申告内容について院長先生にもわかりやすくご説明し、納税額の見通しも事前に共有しますので、「気づいたら税金が払えないほど溜まっていた…」という事態も防げます。また、万一数年後に税務調査(税務署の帳簿検査)が入った場合もご安心ください。当事務所は税務調査の立ち会いや事前対策にも豊富な実績があります。調査前には書類の事前チェックと対策ミーティングを行い、本番では税理士が同席して(オンライン立会も含む)検査官とやり取りします。院長先生お一人では対応が難しい専門的な質疑応答も、私たちが代理人として適切に説明・交渉いたします。調査後の修正申告や追徴対応も含めてフルサポートいたしますので、もしもの時も心強いでしょう。詳しくは、「税務調査対策の特集ページ」をご覧ください。
このように、開業後も税務・会計面では様々な課題が出てきます。しかし信頼できる税理士と契約しておけば、本業に専念しつつ適切な経営管理が可能です。当事務所では、開業前の準備段階から開業後の月次サポート、確定申告、節税相談、税務調査対応までワンストップでお手伝いいたします。「経理は苦手」「数字を見ると頭が痛い」という先生もご安心ください。私たち歯科・医療法人に強い税理士チームが、専門用語をできるだけ噛み砕いて分かりやすく説明し、二人三脚で経営を支えてまいります。
せっかく立派な歯科医院を開業しても、患者さんに来てもらわなければ始まりません。集患(患者集客)戦略と開業後のマーケティング施策について、オンライン・オフライン双方の観点から考えてみましょう。
現代において新規患者の多くは、インターネット経由で情報を得て来院します。実際、ある調査では「ホームページを見て」来院した患者が50%弱で最も多く、「口コミ紹介」が20%強と続いたとの結果もあります。この数字からも、ホームページを中心としたオンライン集客の重要性がわかります。
- ホームページの開設:開業準備段階で必ずクリニックの公式サイトを作りましょう。開業の3ヶ月以上前には制作に着手し、遅くとも開業直前には公開します。サイトには診療内容や院長紹介、院内写真、アクセス方法、診療時間、連絡先など基本情報を網羅してください。デザインは清潔感がありスマホでも見やすいレスポンシブ対応が必須です。予約フォームや問い合わせフォームを設置すれば、24時間患者さんからアクションを受け付けられます。また、SEO対策(検索エンジン最適化)も重要です。例えば「〇〇駅 歯医者」「〇〇市 矯正歯科」など地域名+キーワードで検索した際に上位表示されるよう、適切なタイトル設定やキーワード配置、オリジナルコンテンツの充実を図りましょう。専門的なSEO施策は制作会社に任せるとしても、最低限Googleマイビジネスへの登録や、地域ポータルサイトへの情報掲載なども行って認知度を高めます。
- SNSの活用:若い世代の患者さんを取り込むにはSNSも効果的です。InstagramやX(旧Twitter)、Facebook等でクリニックのアカウントを開設し、院内の日常や治療に関する豆知識、症例ビフォーアフター(患者許可が得られれば)などを発信しましょう。SNSは即効性というより継続的なファン作りの場ですが、例えば矯正歯科であれば治療経過を投稿して興味を持ってもらう、審美歯科なら症例写真で技術力を示す、といった活用が考えられます。投稿を見た人がホームページに誘導されるよう、プロフィールにサイトリンクを貼っておきます。
- ポータルサイト・口コミサイト:歯科業界には「○○歯科検索」「エキテン」「デンターネット」など様々な口コミ・検索サイトがあります。無料で基本情報を掲載できるサイトには積極的に登録しましょう。口コミ評価は患者さんの来院動機に大きく影響しますので、日頃から患者さんに丁寧な対応を心がけ、満足いただけたら口コミ投稿をお願いするのも一つの手です(あくまでさりげなくですが)。Googleマップの口コミも重要で、Googleで医院名を検索すると星の数が表示され目立ちます。良質な口コミが増えるよう、日々の診療で信頼関係を築いていきましょう。
- リスティング広告・MEO:開業当初、早く知名度を上げたいならGoogleやYahooの検索連動型広告(リスティング広告)を検討してもよいでしょう。「地域名+歯医者」などのキーワードで検索したユーザーに対し、検索結果の上部に広告を表示できます(クリック課金)。また、Googleマップ上で上位表示を狙うMEO(Map Engine Optimization)の対策もあります。これはGoogleビジネスプロフィールを充実させ、口コミを増やし、適切なカテゴリ設定を行う等で効果が期待できます。いずれも専門的な知見が必要なので、興味があれば当事務所からWEBマーケティング会社をご紹介することも可能です。
- オンライン予約・情報発信:患者さんの利便性向上のため、オンライン予約システムを導入するのもおすすめです。24時間いつでもWeb上で予約枠を確保できると、働いている方や忙しい方にも喜ばれます。予約システムはホームページと連動させ、簡単なフォーム入力で完了するように設計します。また、ホームページ内でブログやコラムを掲載するのも有効です。院長の人柄や医療に対する姿勢が垣間見える記事、例えば「院長のコラム:虫歯予防について」や症例紹介記事などを月1回でも更新すれば、SEOにもプラスになりますし、患者さんとの信頼構築にも寄与します。
このように、オンライン集客は多面的に取り組むことが大切です。ただ闇雲にやるのではなく、自院のターゲットに合った媒体に注力しましょう。例えば高齢者が多い地域ならホームページとチラシ中心でSNSはほどほどに、若年層相手ならInstagram・TikTokも検討、自由診療メインならホームページを充実させ高級感を出す、など戦略を立てます。ネットの世界は日進月歩ですので、効果測定をしながらブラッシュアップしていきましょう。当事務所もお客様のWEB集客状況には関心を持っており、「ホームページ経由の新患数が目標に届いてますか?」などヒアリングしつつ、必要に応じて専門家紹介等サポートいたします。
オンラインだけでなく、オフライン(地域アナログ)での宣伝も開業時には欠かせません。特にご年配の方などネットをあまり使わない層には、従来型の広報が有効です。
- 内覧会(プレオープンイベント)の開催:先述もしましたが、開業直前に地域住民向けの内覧会を行うことは非常に有効です。期間は週末を絡めた2〜3日程度、予約不要で自由にクリニック見学ができるようにします。院長やスタッフが来場者に声をかけ、医院のコンセプトや設備を紹介し、簡単な無料相談に乗るなど交流します。お子様向けに風船やお菓子を配ったり、歯科グッズの記念品を用意すると喜ばれます。内覧会をきっかけに新患予約を取れる率は2割前後とも言われますから、新規開院ならではのチャンスとして是非実施しましょう。事前に新聞折込チラシやポスティングで広く告知することも忘れずに。
- 折込チラシ・ポスティング:開業告知の定番は新聞折込チラシです。クリニック周辺のエリアを指定し、開業◯週間前にチラシを配布しましょう。高齢者層には新聞購読者も多いため効果的です。最近は新聞を取っていない家庭もあるので、ポスティング(ポスト投函)も併用します。チラシデザインには、医院の場所(地図)や診療内容、特徴、開業日時、内覧会案内、問い合わせ先などをカラフルに掲載し、一目で「新しい歯科医院がここにできるんだな」と伝わるようにします。オープニングキャンペーンとして「ホワイトニング◯%OFF券」などのクーポンを付けても良いでしょう。
- 看板・サイン活用:クリニックの看板やのぼり旗、ウィンドウサイン等も有力な宣伝媒体です。前を通りかかった潜在患者さんに気づいてもらうため、目立つデザイン・配置にします。夜間照明でライトアップしたり、建物の壁面を活用して大きくクリニック名と電話番号を掲示しましょう。開業当初は「新規OPEN」の垂れ幕やスタンド花などで華やかさを演出し、注目を集めます。
- 地域情報誌・フリーペーパー:地域密着の情報誌やフリーペーパーに広告を出すのも検討材料です。地域の病院紹介特集などがあれば取材を受けて掲載してもらうと良いでしょう。ただし費用対効果はエリアによるので、反響がありそうな媒体を選ぶ必要があります。
- 近隣への挨拶回り:開業前にクリニック周辺のご近所(商店や住民)へ挨拶に伺うことも大切です。粗品(歯ブラシセットやお菓子など)を持参し、「この度近くに開業します○○歯科です。よろしくお願いします。」と顔を覚えてもらいましょう。感じの良い第一印象を与えることで、後々口コミで患者さんを紹介してもらえるかもしれません。
- 医科や他歯科との連携:地域の医療機関との連携も視野に入れます。近隣の内科や耳鼻科などに「歯科を開業しましたのでよろしくお願いします」と挨拶し、パンフレットを置かせてもらったり、お互いに必要時紹介できる関係を築けるとベターです。また、大学病院の歯科や専門医とのネットワークを作り、難症例は紹介し合うなどすると患者さんにも安心感を与えられます。矯正歯科専門で開業するなら、地域の一般歯科から患者さんを紹介してもらうための関係づくりも重要でしょう。
- 患者紹介システム:開業後しばらく経ったら、既存患者さんからの紹介を促す仕掛けも検討します。紹介カードをお渡しして紹介で来院された方・紹介者双方に粗品進呈や割引特典をつけるなど、「良い医院だから知り合いにも教えてあげたい」と思ってもらえるような施策です。ただしあまり露骨にやると嫌がられるので、さりげなく感謝の気持ちを伝える程度にします。
- 地域イベントへの参加:地域の学校検診や健康フェア、祭りなどイベントへの協力も医院の認知度アップにつながります。学校歯科医として地域の小学校・幼稚園に関わるチャンスがあれば積極的に引き受けましょう。また、自治体主催の健康講座で講師を務める、市民公開講座を医院主催で開く、といった地域貢献的活動もブランディングになります。無理のない範囲でチャレンジしてみてください。
このように地域に根差した活動を地道に続けることで、「あそこの歯医者さんは信頼できる」という評判がじわじわ広がっていきます。歯科医院経営はリピート(定期検診)と紹介が命です。派手な広告よりも、足元の地域住民との信頼関係こそが長期的な財産となるでしょう。
当事務所でも、開業後の集患状況について定期的にヒアリングし、必要に応じてマーケティング会社やコンサルタントをご紹介するなどフォローしています。例えば「なかなか患者数が目標に届かない」といったお悩みがあれば、財務面だけでなく経営全般の視点から一緒に改善策を考えます。税理士というと数字だけ見るイメージかもしれませんが、当事務所は経営パートナーとして先生の目標達成を支援いたします。
ここまで歯科医院の開業準備に必要な事項を網羅的に見てきました。最後に、税理士法人加美税理士事務所(当事務所)が提供する開業支援サービスと、その強みについてご紹介します。専門性と柔軟性を兼ね備えた当事務所のサポートを活用いただくことで、先生方の開業準備・開業後の経営が格段にスムーズになるはずです。
当事務所は「歯科医院専門の税務・会計サポート」を掲げており、これまで多数の歯科医師・歯科 医療法人のお客様をサポートするためのノウハウを蓄積してきました。。開業支援において提供している主なサービス内容は以下の通りです。
- 開業プランニング支援:まず開業準備の初期段階で、資金計画や事業計画の作成をお手伝いします。他院の財務データも参考にしながら、収支シミュレーションを一緒に作成し、適正な融資額や採算ラインを算出します。事業計画書のレビューや、銀行・日本公庫向け資料の作成ポイント指導も含まれます。
- 資金調達サポート:日本政策金融公庫や民間金融機関から融資を受ける際、必要に応じて金融機関紹介や担当者との面談セッティング、同席支援も行います。創業融資に精通した税理士がついていることで、金融機関からの信頼度も向上します。また、各種補助金・助成金の情報提供や申請サポートも可能です。
- 開業手続き代行:税務署への開業届・青色申告申請はもちろん、社会保険や労働保険の加入手続き、法人設立が必要な場合は司法書士と連携して会社設立支援までトータルに対応します。煩雑な書類作成をプロに任せることで、先生は本来の準備(医療面・人事面)に専念できます。
- 会計・経理体制構築:開業に合わせて会計帳簿のつけ方をレクチャーし、会計ソフト導入を支援します。最初は経理に不慣れな方でも安心できるよう、当面は当事務所が記帳代行を行い、徐々に先生側で経理処理できるよう指導するプランも可能です。もちろん最初からフルアウトソース(丸投げ)も歓迎です。領収書の整理方法や経費計上のルールも丁寧にご説明します。
- 月次監査・財務コーチング:開業後は毎月の試算表をチェックし、財務状況を先生に報告します。必要に応じてオンライン面談で、売上や利益の推移、経費の使い方、キャッシュフローの状況などをご説明します。経営数値に苦手意識がある先生にも分かりやすく経営分析レポートをご提供し、課題があれば一緒に対策を考えます。
- 税務顧問・申告業務:税理士顧問契約に基づき、所得税・法人税の申告書作成から消費税の計算、償却資産申告、年末調整まで一括してお任せいただけます。歯科医院特有の非課税売上と課税仕入の按分計算にも精通しておりますし、医療費控除の明細作成や事業所得と不動産所得の損益通算など複雑な税務もお任せください。もちろん税制改正にもアンテナを張り、節税チャンスがあれば随時ご提案いたします。
- 節税・経営相談:節税対策や医院の成長戦略について随時ご相談いただけます。設備投資のタイミングや資金繰り、スタッフ増員による人件費と売上増のバランスなど、経営判断に迷った時はお気軽にご連絡ください。単なる税務に留まらず、経営コンサル的な観点も交えてアドバイスいたします。
- 税務調査対応:もし税務調査が入る際は、事前対策から当日の立会い、事後対応までフルサポートします。過去の豊富な経験を活かし、指摘事項を最小限に抑え先生の精神的負担を軽減します。税務署との折衝もお任せください。
- その他サポート:会計以外にも、例えば労務管理について社労士と協力してサポートしたり、法人成り(法人化)のシミュレーション・手続きも対応可能です。医療法人化のメリット・デメリットを踏まえた上で最適な選択を助言いたします。また、事業承継や相続対策が必要になった場合も早期からプランニングできます。
以上のように、開業前から開業後の運営までワンストップの支援体制を整えているのが当事務所の強みです。先生方からは「こんなことまで相談して良いの?」と思われる内容でも遠慮なく聞いてください。私たちは先生のビジネスパートナーとして、クリニックの発展を裏方から全力で支えます。
税理士法人加美税理士事務所は、全国どこからでも利用できるフルリモート対応のサービス提供を実践しています。これは忙しい歯科医師の先生方にとって大きなメリットとなるポイントです。
- 全国対応・来所不要:当事務所はインターネットと電話を駆使して、遠隔地のクライアントにも質の高いサービスを提供しています。ZoomやMicrosoft Teamsなどでのオンライン打ち合わせ、メールやチャットツールでの気軽な相談など、地理的距離を感じさせません。実際、東京をはじめ大阪・札幌など全国各地のお客様とオンラインでやり取りをしています。「地方なので歯科に詳しい税理士が近くにいない…」という先生もご安心ください。当事務所がフルリモートでサポートいたします。
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- デジタルツール活用:書類のやり取りもクラウドストレージやメール添付でスピーディーに行います。領収書類はスマホで撮影して送っていただければ記帳可能ですし、レセプト情報も電子データでいただければ経営分析に活用します。会計ソフト連携もオンラインで実施し、先生が入力した内容を当事務所側ですぐチェックする、といったリアルタイムなサポートが可能です。もちろん、ITに不慣れな方には紙資料でのやり取りにも応じます。毎月レシートを封筒に入れて送っていただければこちらでデータ化しますので、「パソコンは苦手…」という場合でも心配いりません。
- コストメリット:フルリモートにより無駄な出張コストや時間を省いている分、料金設定も良心的にしております。一般的な対面型税理士事務所に比べて、交通費等の経費がかからない分、効率的な運営ができ、その結果としてサービス料金を費用相場より安価に抑えることが可能です。開業時は何かと支出が多いでしょうから、ランニングの顧問料が抑えられるのはメリットです。当事務所では明瞭な料金体系を提示しており、契約前にしっかりご説明いたします。基本的な税務顧問プランに加え、記帳代行や給与計算、決算申告料などを含めたパッケージ料金もございます。先生の医院の規模やニーズに合わせてお見積もりしますのでお気軽にお問い合わせください。
- 経験豊富な専門チーム:フルリモートとはいえ、サポートの質は全く妥協しません。歯科専門チームには医療業界を熟知した税理士・会計スタッフが揃っており、メール一本の質問にも迅速かつ的確に回答いたします。たとえば「この機器を買ったら減税になる?」「スタッフに出す賞与の税金は?」など日常の疑問にも丁寧にお答えします。実績多数の安心感から、紹介でご依頼いただくケースも増えております。
- 人間的なサポート:オンライン中心ですが、必要とあれば電話ですぐ話せる距離感を大切にしています。私たちは「顔の見える信頼関係」を重視しており、年に数回は直接お会いする機会を設けることも可能です(遠隔地の場合はご希望に応じて訪問も検討します)。メールやチャットでは伝わりにくいニュアンスも、顔を合わせて話すと理解が深まります。大事な局面では対面で、通常はオンラインで、と先生のスタイルに合わせて柔軟に対応させていただきます。
以上が当事務所のサポート体制と強みの概要です。「歯科 開業 税理士」をお探しの先生にとって、専門知識と手厚いフォロー力を兼ね備えた私たちのサービスはきっとお役に立てると自負しております。「矯正歯科 税理士」や「医療法人 税理士」を必要とされるような高度な相談にもワンストップで対応可能ですし、もちろん開業後の自由診療の税務サポートや月次決算サポートもしっかりと継続いたします。
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