税理士法人
加美税理士事務所

全国のお客様に税務サービスをご提供しています


「父のクリニックを継ぎたい。でも何から始めればいいか分からない」 税理士がそんな先生の不安と向き合い、事業承継・相続・節税対策を一つずつ整理します。

産婦人科クリニックの特化した税理士が事業承継・相続対策を徹底サポート。親族内承継からM&Aまで、全国対応で承継計画・資産移転・税務戦略まで丸ごと対応。クリニック経営が初めてのドクターや法人化を検討中の院長も、経験豊富な専門家がフルリモートで伴走します。

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産婦人科クリニックの事業承継でこんなお悩みはありませんか?

「親の産婦人科医院を継ぐ予定だが、何から準備すればいい?」「開業したはいいけれど、将来の承継計画まで手が回らない…」――事業承継は、日々忙しいドクターにとって後回しにされがちな課題です。しかし、クリニックの承継対策は早めに動き出すことが成功のカギ。当事務所では、医療機関専門の税理士として、産婦人科クリニックの円滑な事業承継をトータルサポートしています。「何から始めればいいの?」という段階からお気軽にご相談ください。豊富な経験と親身なサポートで、院長先生と後継ドクターの不安を解消し、未来へのバトンタッチを成功に導きます。

産婦人科クリニックの事業承継とは、現在の院長先生が培ってきたクリニックを次の世代や第三者に引き継ぐことです。ただ単に経営権を渡すだけでなく、患者さんの信頼やスタッフ、医療設備、ノウハウといった“見えない資産”も含めて引き継ぐ点に特徴があります。産婦人科は妊産婦さんの人生に深く関わる診療科ですから、承継が失敗してクリニックが閉院してしまうと、地域の患者さんにとっても大きな損失となります。そうならないためにも、事業承継を「経営課題の一つ」として計画的に取り組むことが重要です。

特に産婦人科クリニックは、有床(入院設備あり)のケースも多く、建物や医療機器など初期投資が大きい傾向があります。そのため他科と比べても第三者への承継ニーズが高い診療科とされ、新規開業より承継開業を選ぶ医師も増えています。既存の患者様や熟練スタッフをそのまま引き継げる点で、新しく一から開業するよりもメリットが大きいからです。このように産婦人科ならではの事情も踏まえつつ、事業承継を成功させるためには専門的な知識と準備が欠かせません。当事務所は「産婦人科 × 税理士」の視点で、承継計画から税務対策、承継後の経営まできめ細かくサポートいたします。

「うちはまだ先の話」と思われがちな事業承継ですが、近年その重要性が改めてクローズアップされています。背景には、院長先生の高齢化と後継者不足という現状があります。実際、日本全国の診療所(クリニック)開設者・代表者の平均年齢は約62歳にもなっており、日本全体の企業経営者平均(約60歳)より高齢です。また、後継者が未定のクリニックは全体の約8割以上にのぼります。日本医師会の調査によれば、2017年時点で無床診療所の約89%が後継者未定と報告されています。これはほぼ9割のクリニックで跡継ぎが決まっていないことになり、産婦人科に限らず多くの医院が事業承継の課題を抱えているのです。

後継者不在のまま院長先生が高齢となり、体力的にも診療継続が難しくなると、最悪の場合クリニックは閉院せざるを得ません。実際、近年はクリニックの休業・廃業件数が増加しており、20年前と比べ約10倍にも急増しています。閉院はドクターにとって築いてきた医療を手放す辛い決断であるだけでなく、患者さんにとっても「かかりつけ医」を失うことになります。産婦人科の場合は特に、通院中の妊婦さんの出産が終わるまでは閉院できないという事情もあります。そのため、後継者が見つからずやむなく閉院する際には、新規患者の受け入れ停止やスタッフ維持による赤字など、院長先生にとっても大きな負担がかかります。

こうした事態を避け、クリニックを次世代につないでいくことは地域医療の継続にも直結する重要課題です。事業承継に成功すれば、長年通ってくださった患者さんを引き続き診療でき、スタッフの雇用も守られます。また譲渡(M&A)の場合は、院長先生は譲渡収入を得てご勇退後の生活資金に充てることもできます。一方、計画なき承継は「もっと早く準備しておけばよかった…」という後悔につながりがちです。だからこそ、事業承継は早めに準備を始め、計画的に進めることが大切なのです。当事務所も、承継に関するご相談は「まだ先の話かな?」という段階から積極的にお受けしています。早期からプロと一緒に対策を検討し、ベストな形でバトンを渡しましょう。

産婦人科クリニックの事業承継を円滑に進めるには、明確なステップを踏んで計画を立てることが重要です。以下に一般的な事業承継の流れと、計画策定のポイントを解説します。

  1. 承継方針の決定(誰に引き継ぐか)
    まずは誰にクリニックを引き継ぐか、承継の形態を検討します。選択肢としては大きく「親族内承継(お子様など)」「親族外承継(第三者への譲渡=M&A)」の2つがあります。親族内で後継ドクターがいる場合でも、本当に開業を引き継ぐ意志と準備があるか早めに話し合いましょう。もしお子様が医師でない場合や他科に進んでいる場合、第三者承継も現実的な選択肢となります。承継方法によって準備内容も異なるため、まず方向性を固めることが出発点です。
  2. 後継者の育成・引継ぎ準備
    後継者が決まったら、計画的に経営や診療の引継ぎ準備を進めます。親族内承継であれば、後継ドクターがスムーズに院長業務を担えるよう、必要に応じて経営ノウハウを学ぶ機会を設けます(「後継者研修」「経営セミナー」への参加等)。また、現在の院長先生が元気なうちに患者さんやスタッフに後継者を紹介し、信頼関係を築いておくことも大切です。第三者承継の場合は、譲渡先の選定がこのステップにあたります。専門の仲介業者や事業承継・引継ぎ支援センター(国の無料相談窓口)などを活用し、クリニックを任せられる適切な買い手を探します。
  3. 事業承継計画の策定
    承継方針と後継者が固まったら、具体的な事業承継計画書を作成します。計画書には、承継時期(いつ引き継ぐか)承継方式(どのように引き継ぐか)、準備すべき項目・スケジュールを盛り込みます。例として、親族内承継(個人開業)であれば「●年●月までに保健所等へ廃業・開設の届出準備」「医療機器や薬品の棚卸と譲渡契約締結」「スタッフ雇用契約の引継ぎ手続き」など、具体的タスクリストを作ります。医療法人の場合は「社員総会での後継者理事選任決議」「出資持分の承継方法検討」等が入ります。この計画策定段階では、税理士や行政書士・司法書士など専門家の助言を仰ぐことで漏れのない計画を立てることができます。
  4. 関係者との事前調整
    計画の骨子が決まったら、実行前に関係機関との事前協議を行います。産婦人科クリニックの場合、まず所轄の保健所厚生局への届出内容について事前に確認しておくことが重要です。たとえば個人から個人への承継では、廃業日と開業日を空けずに指定申請を遡及しないと保険診療に空白期間が生じてしまいます。また、金融機関からの借入金がある場合は保証人の変更債務引継ぎについて銀行と打ち合わせが必要です。事前に関係各所と調整しておくことで、いざ承継実行というときに「話が通っておらず進められない!」といったトラブルを防げます。
  5. 契約・手続きの実行
    承継のタイミングが来たら、計画に沿って各種契約や手続きを実行します。親族内承継・個人開業の場合、親の廃業届提出と子の開業届提出を速やかに行い、保健所への廃止届・開設届も忘れず提出します。医療法人であれば理事長交代の登記や諸官庁への変更届け出などを行います。事業用資産の名義変更も重要な手続きです。医薬品や医療機器は時価で後継者に売却し、親は売上計上・子は必要経費処理するのが一般的です。不動産も譲渡または賃貸契約を結び、後継者が引き続きクリニックを使用できるようにします。従業員については個人開業同士の承継ならいったん親の下で退職し、子の下で再雇用する形になります。社会保険・労働保険の適用関係も含め、必要な手続きを一つ一つ確実に進めましょう。
  6. 患者・取引先への告知
    忘れてはならないのが患者さんや取引先への引継ぎの告知です。承継時期が決まり次第、できるだけ早めに情報開示します。院内掲示やホームページでのお知らせはもちろん、受診中の患者さんには診察時に直接お声がけして説明しましょう。突然知らされると患者さんも不安になってしまいますので、時間的余裕をもって誠実に周知することが大切です。「院長交代のお知らせ」を出す際は、新院長となる後継ドクターの略歴や挨拶メッセージも添えると安心感につながります。また主要取引先(医薬品卸業者や医療機器リース会社など)にも直接今後の契約引継ぎについて説明し、引き続き取引継続してもらえるよう信頼関係を維持しましょう。

以上が事業承継のおおまかなステップとなります。これらを踏まえた「事業承継計画書」を作成し、計画→実行→フォローまで一貫した流れをデザインすることが成功への近道です。特に医療業界特有の手続き(保健所・厚生局対応など)や、産婦人科ならではの留意点(妊婦さんへの配慮など)は、経験豊富な専門家と一緒にチェックすると安心です。当事務所では、事業承継計画の策定支援から関係各所との調整まで全面的にサポートいたします。「何から手を付ければ…?」という場合も、私たちが伴走しますのでご安心ください。

事業承継を語る上で避けて通れないのが税務・財務面の対策です。クリニック承継には相続税・贈与税をはじめ様々な税金の問題が関わってきますし、円滑に引き継ぐための資金繰りも考慮する必要があります。ここでは産婦人科クリニックの承継に関連する主な税務・財務上の論点を押さえておきましょう。

親族内承継の場合、院長先生から後継者(お子様)への財産移転が発生します。クリニックの土地・建物、医療機器、薬品在庫、患者さんのカルテや営業権(のれん)など、多くの財産が承継対象です。これらをスムーズに引き渡すには、相続税・贈与税の対策が欠かせません。

まず大前提として、親御さんがご存命中に承継するなら「生前贈与」、引退時やご逝去時に承継するなら「相続」という形になります。それぞれ課税関係が異なるため、どの財産をいつ・どう移すか戦略を立てましょう。例えば、医療機器や薬品等の動産は生前に時価譲渡するケースが一般的です。親御さんは譲渡代金を得られ、後継者側は必要経費に計上できるメリットがあります。一方、クリニックの土地・建物といった不動産は高額資産ゆえ相続税の負担も大きくなりがちです。対策として、土地建物を後継者へ売却または贈与して生前に名義を移しておく方法があります。売却すれば親に譲渡所得税が課税されますが、後継者は購入資金をどう用意するか検討が必要です。親子間での賃貸という方法もあり、その場合親に家賃収入が発生し後継者は家賃を経費にできます。贈与は文字通り無償で渡せますが、高額になると後継者に贈与税が生じる点に注意が必要です。

相続税対策としては、承継する資産の評価額をできるだけ減らす工夫や、納税資金を確保する手立てが重要です。医療法人の持分がある場合は、「納税猶予(事業承継税制)」など一般企業向けの制度は原則使えないため、別途対策が求められます。持分のある医療法人では出資持分に相続税がかかるため、事前に持分なし医療法人(=基金拠出型や社団化)への移行も検討されます。実際、税制上も認定医療法人制度という仕組みが設けられ、一定期間内に持分を放棄し持分なし法人へ移行すれば贈与税・相続税が非課税になる優遇があります。対象となるケースは限られますが、該当する場合は大きな節税につながるでしょう。

さらに、相続発生時に備えて遺言書の作成も重要です。クリニックの財産が後継者と別の相続人に分散してしまうのを防ぐため、生前に「○○クリニックの不動産および営業に関する一切の権利は○○に相続させる」といった内容の遺言を用意することも検討しましょう。こうした相続対策は専門家のサポートのもと、できれば承継の5年前くらいから準備を始めるのがおすすめです。

産婦人科クリニックの事業承継を機に、事業形態を見直すことも選択肢に入ります。たとえば、個人で開業していたクリニックを医療法人化(法人設立)すれば、将来的な承継は法人のまま持分の移転で行えるため、手続きが簡易になる場合があります。また、法人化により役員退職金の支給が可能になるメリットもあります。親族内承継で現院長に勇退いただく際、医療法人であれば退職慰労金を支給して功労に報いることができます(この退職金は法人側で損金算入でき、受け取る側も一定の控除が効くため税務上有利です)。個人事業では院長本人に退職金を支払う制度がないので、法人化して承継という流れは節税・功労金支給の両面で有効となりえます。

もちろん、法人化にはメリットだけでなくデメリットやコストもあります。法人にすることで毎年の法人維持費(登記や決算の手間)、社会保険の強制適用など負担も増えます。また医療法人は出資金をあとで払い戻せない(持分なしの場合)などの制度的制約もあります。タイミングとしては、承継前に現院長の代で法人化しておくか、あるいは承継を機に新院長のもとで法人を設立し直すか、ケースバイケースです。当事務所では法人化のメリット・デメリットについてもシミュレーションし、最適な形態を検討するお手伝いをいたします。詳しくは別ページ「法人化のポイント」に譲りますが、承継と法人化を合わせて検討することで、節税と円滑承継の両立を図ることが可能です。

法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

後継者がクリニックを引き継ぐ際、必要となる資金の手当も重要です。親族内承継であれば基本的にお金のやり取りは発生しませんが、例えば兄弟姉妹への代償金(医院を継ぐ代わりに他の相続人へ支払う分け前)などが必要になる場合があります。また第三者承継(M&A)では買収資金の調達が大きな課題です。後継ドクターとなる買い手側が金融機関から融資を受けるケースも多いでしょう。どちらにしても、クリニックの適正な事業価値評価を行い、その上で資金計画を立てることが欠かせません。譲渡価格が高すぎると買い手がつかず、低すぎると売り手(現院長)が不利になるため、専門家による適正評価が求められます。

また、承継前後の財務基盤を健全に整えておくことも対策の一つです。現院長の代でなるべく借入金を圧縮しておいたり、不要な資産を処分しておくといった事業のスリム化は、後継者にクリーンな経営を引き継ぐことにつながります。逆に、債務超過や赤字続きの状態では後継者も不安ですから、早期に経営改善に取り組んでおく必要があります。当事務所では月次決算や資金繰り表の作成支援を通じてクリニックの財務状況を“見える化”し、問題点を洗い出して改善策をご提案することも可能です。事業承継までに貸借対照表をスッキリさせ、十分な運転資金を確保しておくことが理想的な承継準備と言えるでしょう。

クリニック経営には日々の税務対応もつきものです。事業承継に直接関係ないように思えても、普段の税務管理が承継時のスムーズさに影響します。例えば、産婦人科は診療報酬など非課税収入が多い一方で、自費診療や文書料など課税売上も発生しやすい分野です。消費税の課税区分を正しく管理し、納税漏れがないようにしておくことは、承継後に引き継ぐ帳簿の信頼性にも関わります。また、開業医の先生は青色申告の適用を受けていることが多いですが、承継により新たに開業する際も青色申告承認申請を忘れずに行いましょう。青色申告は赤字の繰越控除等メリットが大きいため、後継者の経営初期を支える助けとなります。さらに、日頃から適切に経理処理・申告を行っていれば税務調査が入った場合も慌てずに済みますし、承継時に帳簿の不備でトラブル…といった事態も避けられます。承継前後の時期は税務署からも注目されやすいタイミングですので、当事務所が継続的に顧問税理士としてサポートします。万全の態勢で引き継ぎましょう。

消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

無事に事業承継が完了した後も、新院長によるクリニック経営はスタートしたばかりです。承継後の経営を安定軌道に乗せるための支援も欠かせません。当事務所では、承継「後」まで見据えた長期的なお付き合いで、新体制のクリニック経営をバックアップいたします。

後継ドクターは臨床経験が豊富でも、経営者としては新人というケースが多いものです。特に親御さんの代からスタッフ任せだった経理や会計業務をいきなり引き継ぐのは、不安に感じられるでしょう。当事務所では承継後も引き続き財務面・経営面のサポートを行います。具体的には、月次決算書の作成支援や経営会議への参加、資金繰り計画の策定補助などを通じて、新院長が数字に強くなるお手伝いをします。毎月の損益をタイムリーに把握することで、「思ったより人件費率が高い」「経費の無駄遣いがないか」など課題を発見しやすくなり、迅速な経営判断が可能になります。特に産婦人科は出産件数など季節変動もあるため、キャッシュフロー計画を立てて繁忙期・閑散期に備えることも大切です。当事務所はそうしたデータ分析をサポートし、ドクターが本業の診療に専念できるよう経営面を下支えします。

事業承継後は、スタッフにとっても新しい院長先生のもとで働く期間が始まります。良好な職場環境を維持するために、人事労務面でのサポートも重要です。承継に際してスタッフ雇用契約を新院長名義で結び直している場合、労働条件や就業規則の整備を再確認しましょう。当事務所は社労士等とも連携し、必要に応じ労務管理の専門家をご紹介することも可能です。また、承継後しばらくは先代院長が非常勤医師として診療を手伝うケースもあります。その場合の給与設定や役割分担についても助言いたします。円滑な世代交代のためには、先代と後継者がお互いの立場を尊重しつつ協力し合うことが理想です。当事務所は中立的な立場から、コミュニケーション円滑化のお手伝いもいたします。

新しい院長先生のもとで、クリニックの経営戦略を見直す好機でもあります。医療を取り巻く環境は日々変化しており、産婦人科領域でも少子化や周産期医療体制の変化など課題が山積です。承継を機に、例えば「分娩件数を増やすためのPR施策」「不妊治療など新サービスの導入」「オンライン予約システムの導入による患者満足度向上」など、新院長のビジョンに基づいた経営改革を検討してみましょう。とはいえ、急激な改革はリスクも伴います。当事務所では事業計画策定収支シミュレーションを通じて、無理のない成長戦略を一緒に考えます。承継前の経営指標と承継後の目標を比較しながら、具体的なアクションプランに落とし込んでいきます。必要に応じて医業コンサルタントや金融機関とも連携し、クリニックの発展を総合的に支援いたします。

このように、事業承継は引き継いだ後も課題が続きます。新院長が経営に慣れ、軌道に乗るまでの期間、私たち専門家が伴走することで「承継して終わり」ではなく「承継してからが本当のスタート」となるようサポートしてまいります。承継後も遠慮なく何でも相談できるパートナーとして、当事務所をご活用ください。

上記までで主な論点は説明しましたが、産婦人科クリニックの事業承継に関連して押さえておきたいその他のポイントを、いくつか網羅的に補足します。

  • 第三者承継(M&A)の進め方: 親族内に後継者がいない場合、第三者にクリニックを譲渡する選択肢があります。最近は病院・クリニック専門のM&A仲介会社も増え、事例も珍しくなくなりました。第三者承継の場合、譲渡条件の交渉やデューデリジェンス(買手による調査)など専門的なプロセスが必要です。譲渡価格は「営業権(のれん)+資産価値-負債」で評価されることが多いですが、産婦人科は先述の通り有床で設備投資が大きい分、譲渡額も高額になる傾向があります。売り手・買い手双方にメリットある条件を見出すには、専門家のサポートが不可欠です。当事務所でも財務データの整理や必要資料の準備など、円滑なM&Aプロセスを支援いたします。第三者承継では契約成立後の引継ぎ期間を十分に設けることも成功のポイントです。一定期間、先代と新院長が一緒に診療しながら患者さんを引き継ぐことで、突然の交代による患者離れを防げます。
  • 開業形態別の留意点: 承継元・承継先の開業形態によって注意点も異なります。上でも触れたように、個人開業同士の承継では一旦廃業・開業の形を取る必要があり、各種届出や契約の名義変更が発生します。医療法人から医療法人への承継(M&A含む)の場合は、法人格ごと譲渡または合併という形になり、持分の譲渡や社員の変更手続きが中心です。また、承継後に医療法人化を予定しているケースでは、タイミングに注意しましょう。承継直後に法人化すると、新院長が個人事業主として開業した期間がごく短くなり各種届出が煩雑になります。逆に承継前に現院長が法人化し出資持分を後継者に譲渡する手もありますが、親族内で持分を移す場合でも定款変更や理事の選任など手続きが必要です。一つ一つ専門家の助言を受けながら進めることをお勧めします。
  • 患者様への配慮: 産婦人科ならではのポイントとして、通院中の妊婦さんへの配慮が挙げられます。妊娠中の患者様はデリケートな時期だけに、院長交代は不安に感じることもあります。事前の告知はもちろんですが、助産師やスタッフからもフォローしてもらい、安心して引き続き通院いただけるよう努めましょう。「院長は替わっても診療方針やスタッフ体制は変わりません」といったメッセージを伝えることも大切です。またカルテの引継ぎについては個人情報の観点が心配になるかもしれません。しかしご安心ください、事業承継に伴うカルテの承継は法律上認められた例外として患者様の同意がなくても可能です。新院長にはカルテ保存義務(5年間)もそのまま引き継がれます。万一説明を求められた場合に備え、この点も知っておくと良いでしょう。
  • 承継と同時に検討したいその他の制度: 事業承継に関連して、いくつか知っておきたい制度があります。先述の認定医療法人制度もその一つで、持分あり医療法人の承継では重要な選択肢です。また、後継者が開業医としてスタートする際には、独立行政法人福祉医療機構(WAM)などの新規開業融資制度を利用できる場合があります。親から子に診療所を譲る場合でも、施設のリフォーム資金や医療機器更新資金が必要なケースでは公的融資を検討しましょう。さらに、都道府県によっては医療確保支援策としてへき地や不足診療科への開業支援金が出る制度もあります。産婦人科は不足しがちな科目ですので、地域によっては承継開業に助成金が使える可能性もあります。こうした公的支援策の情報収集も欠かさないようにしましょう。当事務所でも最新の支援制度についてアンテナを張り、該当するものがあればご案内しています。

以上、産婦人科クリニックの事業承継にまつわる様々なポイントについて網羅的に解説しました。事業承継は経営、税務、法律、人事と多岐にわたる分野をまたぐプロジェクトです。本記事を通じて、その全体像をご理解いただき、ぜひ早め早めの準備に取りかかっていただければ幸いです。

最後に、加美税理士事務所における産婦人科クリニック事業承継サポート体制についてご紹介いたします。私たちは医療機関専門の税務・財務コンサルティングに強みを持ち、特にクリニックの開業から承継までライフサイクルに沿った支援を行っております。

当事務所の強み:

  • 医療業界に特化した専門知識 … 税理士事務所として数多くの病院・クリニック様をサポートするためのノウハウがあり、産婦人科を含む医療業界特有の会計・税務・法規制に精通しています。医療法や診療報酬の仕組み、消費税の非課税・課税対応など、一般の税理士には難しいポイントも安心してお任せください。
  • 事業承継支援の豊富な実績事業承継コンサルティングは当事務所の主要サービスの一つです。親族内承継から第三者承継(M&A)まで、様々なケースをお手伝いすることができます。これまで培ったノウハウを活かし、お客様それぞれの状況に応じたオーダーメイドの支援を提供します。関係各所との調整や交渉も代理人としてサポートし、「こんなことまで相談していいのかな?」という内容もワンストップで対応いたします。
  • 税務+財務+法務のワンストップ対応 … 税理士業務にとどまらず、司法書士・行政書士・社会保険労務士・弁護士など専門家ネットワークと連携しています。たとえば医療法人の理事長交代登記や遺言作成支援、労務手続きが必要な場合でも、適切な専門家と協働してワンストップでサービスを提供できます。お客様自身で各方面に問い合わせる手間を省き、当事務所が窓口となって手続き全般をナビゲートします。
  • 親身できめ細かな対応 … 私たちは常に「お客様の伴走者」であることを心がけています。事業承継は不安や悩みがつきものですが、些細な疑問でも丁寧にお答えし、不安を一つ一つ解消していきます。「専門用語が難しくてわからない」という場合でも、図や具体例を使って分かりやすくご説明しますのでご安心ください。専門性と親しみやすさを兼ね備えたサービスで、院長先生・後継者様双方にとって頼れる存在でありたいと願っています。

サポート内容:

  • 事業承継計画の策定支援 … 現状のヒアリングから始まり、いつ・誰に・どのように承継するかを一緒にプランニングします。承継までのスケジュール作成、必要手続きの洗い出し、税負担シミュレーションなど包括的にサポート。
  • 税務対策コンサルティング … 相続税・贈与税の試算と対策立案、クリニック財産評価、不動産の譲渡・賃貸シミュレーション、法人化メリット検討、節税スキーム提案など、税理士事務所ならではの専門コンサルで最適解を導きます。
  • 各種手続き代行・同行支援 … 届出書類の作成サポートから役所への届出同行、契約書作成支援、医療法人の定款変更サポートまで、実務面もきめ細かにフォローします。初めてのことで不安な手続きは当事務所スタッフが横についてサポートいたします。
  • 承継後の経営サポート … 承継が完了した後も、月次監査や決算業務、経営相談など継続してサポート可能です。新体制での課題抽出から改善提案まで、顧問税理士・経営パートナーとして末永く寄り添います。

加美税理士事務所は、以上のような手厚いサポート体制で産婦人科クリニックの事業承継を成功へ導くお手伝いをいたします。専門家を上手に活用することで、院長先生ご自身は本業の医療に専念しつつ、将来への不安を着実に解消していくことができます。「承継なんて初めてで分からないことだらけ…」と尻込みされずに、ぜひ早めにご相談ください。私たちが状況を丁寧にお伺いし、ベストな道筋を一緒に考えます

事業承継はゴールではなく新たなスタートです。加美税理士事務所はそのスタートラインに立つお手伝いを全力でサポートいたします。産婦人科クリニックの未来を共に描き、次世代へと大切な「いのちをつなぐ医療」を引き継いでいきましょう。まずはお気軽にお問い合わせください。当事務所一同、あなたの勇気ある一歩を全力で支えます。

よくあるご質問

FAQ

産婦人科クリニックの事業承継は、いつ頃から準備すべきですか?

原則として「5年~10年前」からの準備が理想です。医療法人・個人事業のいずれであっても、承継に関わる税務、相続、資産評価、スタッフや患者さんへの告知など、多岐にわたる工程をスムーズに行うためには、早期着手が成功の鍵となります。当事務所では初回のご相談から承継完了まで、全国オンライン対応で継続的にサポートしています。

後継ドクターが医師ではない場合でも事業承継できますか?

原則として、診療所・クリニックの経営者は医師免許を有する必要があるため、後継者が医師でない場合は事業承継(特に親族内承継)は困難です。その場合は第三者承継(M&A)を検討する必要があります。当事務所では、譲渡条件の整理や買い手候補との調整も支援可能です。事業の継続と地域医療の維持を両立させるためにも、計画的な選択が重要です。

事業承継と同時に法人化を検討することは可能ですか?

はい、可能です。むしろ事業承継のタイミングは法人化の好機とも言えます。個人開業のまま承継するか、医療法人化して承継するかによって、税務・法務・財務の対応が大きく異なります。当事務所では「法人化による節税効果」や「設立スケジュール」まで見据えた承継計画をご提案しています。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療経営が未経験でも、承継後の経営をうまく続けられるでしょうか?

医療専門の税理士によるサポートがあれば、未経験でも経営を継続することは十分に可能です。当事務所では「月次報告」「資金繰り表」「経営相談」を通じて、数字に強くなる習慣づけと意思決定の土台づくりを支援しています。また、丸投げにも対応しており、経理や税務の不安を抱える先生を徹底的にバックアップいたします。

事業承継で引き継ぐべき資産には何がありますか?

物・医療機器・備品・薬品・診療報酬債権・カルテなどの医療記録、さらには患者様との信頼関係やスタッフも重要な「無形資産」として承継対象に含まれます。当事務所ではこれらの評価と、名義変更・契約引継ぎのサポートも行っております。

承継後の税務調査に不安があります。サポートしてもらえますか?

はい、もちろん可能です。当事務所は税務調査対策を得意としており、承継前後で発生しがちな「相続・譲渡」「減価償却」「名義変更」の論点も含め、事前の書類チェックから立会までオンラインで対応可能です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

承継にかかる費用はどれくらいを見込むべきですか?

承継費用には、税理士・司法書士等の専門家報酬、契約書作成費、不動産の登記・登録免許税、資産譲渡にかかる税金(消費税・贈与税・譲渡所得税)などが含まれます。クリニックの規模や資産内容によって大きく異なるため、事前の試算をおすすめします。当事務所では費用を抑えたスキームのご提案も可能です。

承継のタイミングで節税対策はできますか?

はい、可能です。たとえば「譲渡所得の分離課税活用」「法人化による所得分散」「退職金の損金算入」「相続税評価の最適化」など、承継時は節税の好機です。適切なタイミングでシミュレーションを行えば、税負担を大きく軽減できます。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

開業して間もないクリニックでも事業承継の準備を始めるべきでしょうか?

はい、開業1〜3年目であっても、将来の選択肢として事業承継を意識しておくことは大切です。経費処理や資金繰り、節税の仕組みを早期から整えることで、いざ承継の局面を迎えたときにスムーズに進められます。当事務所では経営未経験のドクターにも分かりやすい支援を行っています。

開業初年度の経費処理が不安です。承継後も含めてサポートしてもらえますか?

はい、経費処理や帳簿作成、記帳代行を含めたトータルサポートが可能です。当事務所は会計ソフトの使用がない場合でも対応可能で、丸投げ経理にも対応しています。経費処理の判断基準は、青色申告や確定申告とも関係します。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人の事業承継で、出資持分はどのように扱われますか?

医療法人の出資持分は、相続財産として評価対象になります。相続税が課されるため、事前に「持分なし医療法人」への移行や、贈与・譲渡のタイミングを検討する必要があります。当事務所では、出資持分の評価・節税対策・法人化シミュレーションまで一貫してご支援いたします。

消費税の対応は事業承継時に見直した方がいいですか?

はい、見直しが重要です。特に産婦人科は課税・非課税が混在するため、引継ぎ時の消費税区分の誤りがトラブルの原因になります。課税売上高や簡易課税の選択の有無などを再確認しましょう。当事務所では、消費税の納税計画も含めてご提案します。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

事業承継に際して、融資や資金調達はどのように考えればいいですか?

承継後の設備投資や運転資金確保のために、金融機関との事前交渉や資金計画の立案は非常に重要です。当事務所では融資申請書類の作成支援や、必要に応じたキャッシュフロー計算も含めた財務戦略をご提案します。

スタッフの雇用契約や就業規則は引き継がれるのでしょうか?

承継方法によって異なります。個人から個人へ承継する場合、基本的には一度雇用契約を終了し、新たに契約を結び直す必要があります。医療法人での承継であれば、法人自体が雇用主として継続されるため、契約内容の見直しだけで済む場合もあります。当事務所では労務面の専門家とも連携し、スムーズな移行を支援いたします。

相続税の試算や資産評価をお願いできますか?

はい、可能です。事業承継では資産の移転方法によって相続税額が大きく変動します。当事務所ではクリニックの土地・建物・医療機器などの評価に加え、相続税試算や贈与税との比較、遺産分割のご相談にも対応いたします。資産移転のタイミングや組み合わせも丁寧にご説明します。

税理士への依頼はいつから始めればよいでしょうか?

承継を意識し始めた段階、つまり「まだ先の話かな?」という時期からのご相談をおすすめします。早期にご相談いただければ、税務・財務・法務の全体像を整理しながら、スムーズでトラブルのない承継計画が立てられます。初回無料相談を活用し、まずはお気軽にお話ください。

承継後の理事報酬の設定はどのように行いますか?

医療法人の理事報酬は、業績・法人の資金状況・他役員とのバランスを考慮して設定します。税務面では損金算入要件を満たす必要があり、理事会決議・定款整備も重要です。当事務所では、節税効果と将来の退職金を見据えた最適な報酬設計をご提案しています。

承継後の記帳・月次報告・確定申告なども対応してもらえますか?

はい、すべて対応可能です。当事務所では、月次決算や記帳代行、年末調整・法定調書作成、確定申告まで一括でお引き受けしています。経営分析や資金繰り表作成なども含め、後継ドクターが本業に専念できる環境を整えます。

法人化による節税効果はどの程度ありますか?

所得の分散、役員報酬や退職金の活用、保険加入、経費計上の柔軟性などにより、所得税率の高い個人よりも税負担を大幅に抑えられるケースがあります。当事務所ではクリニックの法人化による節税効果に関するシミュレーションを行い、最適なタイミングでのご提案をいたします。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

後継者が遠方に住んでいる場合でも、事業承継のサポートは受けられますか?

はい、問題ありません。当事務所はフルリモート対応が可能ですので、日本全国どこにお住まいでもWebミーティングやクラウド共有を活用してスムーズにご支援可能です。資料の郵送も不要で、すべてオンライン完結で対応しています。

事業承継後、スタッフ管理もサポートしてもらえますか?

はい、承継後の労務・給与計算・社会保険手続きについても、提携する社労士と連携しながらご支援可能です。後継ドクターがスムーズにスタッフマネジメントできるよう、契約書や就業規則の整備もサポートいたします。

節税対策と税務調査の両立はできますか?

可能です。当事務所は、正当かつ実現可能な節税スキームを構築し、税務調査にも耐えうる書類整備・理論構築を行っています。節税と調査対応は表裏一体であり、どちらも計画的に準備することが重要です。
税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

承継時に青色申告の引継ぎはできますか?

個人開業のまま後継者が開業する場合、青色申告は改めて「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。青色申告特別控除などのメリットを活用するには、期限内の申請が不可欠です。申請方法や記帳のサポートも当事務所で対応可能です。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

複数の相続人がいる場合、どのように医院の資産を承継すべきですか?

医院の建物や土地を誰が相続するかは、遺産分割協議や遺言書の有無により対応が変わります。後継ドクターへの事業承継と他の相続人への公平性をどう両立するかが重要です。当事務所では、代償分割や生前贈与の活用なども視野に、資産移転計画をご提案しています。

後継ドクターが他県に勤務中でも、事業承継の準備はできますか?

はい、可能です。当事務所では完全オンライン体制を整えており、Webミーティングやクラウド共有で全国どこからでもスムーズにご相談いただけます。勤務先にいながら承継計画を立てることも十分に可能ですのでご安心ください。

医療法人の承継で「理事長交代」以外に必要な手続きはありますか?

はい、理事長変更登記のほか、都道府県への変更届、定款の一部変更、理事の再選任、関係各所への通知・契約名義変更など、複数の法務・行政手続きが必要です。当事務所では提携司法書士と連携し、すべてワンストップでご支援いたします。

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