収入は増えたのに税金が読めず怖い――。AGAや脱毛など自由診療クリニックのための税理士が、節税・税務調査対策を全力サポート。記帳代行もお任せください。
税務調査とは?自由診療クリニックが知っておくべき基礎知識
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税務調査の主な目的は、納税者が適正に申告・納税しているかを確認することです。税金はクリニック経営において大きなコストとなるため、中には意図せずミスがあったり、まれに意図的に所得を過少申告してしまうケースもあります。税務署は税務調査を通じて、申告漏れや経費の不適切な計上などを発見し、公平な税負担を実現しようとしています。また、適正な納税が行われていれば調査を終了し、問題があれば是正(修正申告や追徴課税)を促すというのが目的です。
税務調査には大きく分けて任意調査と強制調査(査察調査)の二種類があります。一般的なクリニックに対する調査は事前に連絡がある任意調査で、調査官から電話や書面で日程調整の連絡が来て行われます。一方、悪質な脱税の疑いがある場合には、裁判所の令状に基づき抜き打ちで行われる強制調査(いわゆるマルサ)が実施されますが、通常の善良なクリニック経営では強制調査になるケースは稀です。ほとんどの自由診療クリニックでは、事前通知の上で行われる任意の税務調査に対応することになります。
保険診療と違い、自由診療クリニックの収入は患者さんからの自費による支払いが中心です。この自由診療収入は、第三者である保険者からの情報がないため、申告漏れや売上計上漏れが発生しやすいと税務署に見られがちです。例えば、AGAクリニックや美容系クリニックでは現金払い・カード払いの比率が高く、大きな現金収入を扱う場合には、その全てが正確に帳簿に記載されているかチェックされやすくなります。また、新規開業で経理体制が未整備だったり、急速に事業拡大しているケースでは、記帳ミスや経費計上の誤りが生じやすく、それが調査対象となる理由となります。
さらに、開業から数年経過し売上が大きく伸びてきたタイミングも税務調査が入りやすい時期です。というのも、日本の消費税の制度上、開業から最初の2期は売上規模によっては消費税の納税義務が免除されますが、3年目以降に基準期間の課税売上高が一定以上になると消費税の申告・納税が必要になります。そのため、開業3〜4年目で売上が増加しているクリニックは、消費税を含めた申告内容を確認する目的で税務調査のターゲットになりやすい傾向があります。消費税の仕組みやクリニックにおける対応策について詳しく知りたい方は下記のページをご覧ください。
都市部で個人開業している先生(経理未経験)であれば、「自分のクリニック規模でも税務調査が来るのか?」と疑問に思うかもしれませんが、規模の大小にかかわらず対象となり得ます。また、SNSで集客を伸ばしている20代の若手院長先生の場合、収入増に見合った適切な納税がされているか注目されるでしょう。オンライン診療で全国に患者を持つクリニックでは、地域をまたいだ売上管理や電子的な取引記録の整備状況がポイントになります。このように自由診療クリニックはその業態ゆえに税務署から様々な観点で注目されるため、早めに対策を講じておくことが重要です。
実際にクリニックに税務調査が入ることになった場合、その進行には一定のパターンがあります。ここでは税務調査の一般的な流れと、各段階での適切な対応方法について解説します。
税務調査は以下のようなステップで進みます。クリニック規模にもよりますが、通常は調査開始から終了まで数日程度で完了することが多いです(準備期間を除く)。
- 事前通知: 税務署から電話や書面で税務調査の連絡があります。通常は調査予定日の数週間前に連絡があり、調査の日程や場所(クリニックや会計事務所のオフィスなど)が調整されます。また、その際に準備すべき帳簿書類(総勘定元帳、仕訳帳、領収書ファイル、通帳のコピーなど)の案内がされます。
- 事前準備: 指定された日までに、求められた書類や資料を揃えます。クリニックの売上台帳、現金出納帳、経費の領収書、請求書、銀行口座の取引明細、給与台帳など、あらゆる**証拠書類(エビデンス)**を整理しましょう。必要に応じて事前に顧問税理士とも打ち合わせを行い、想定される質問への回答や、気になる点の洗い出しをしておきます。
- 実地調査(調査当日): 税務署の調査官(通常2名程度)がクリニックに来訪し、用意した帳簿類を確認します。調査は通常、クリニックの会議室や院長室などで行われ、1日から2日程度かけて書類のチェックや質問応答が進みます。売上計上状況や経費項目ごとの裏付け資料を細かく確認され、必要に応じて現金の残高確認や、クリニックの現場(受付まわりやレジ周辺)の状況も見られることがあります。
- 質疑応答と追加調査: 調査官は帳簿を確認しながら随時質問を投げかけてきます。「この高額な経費はどういった内容ですか?」「この日の売上が他の日に比べて少ないのはなぜですか?」など、疑問を感じた点について説明を求められます。場合によっては、取引先との突合作業(反面調査)として、クリニックが購入した医薬品や外注費の相手先に対し、税務署が裏付けを取ることもあります。また、クリニックの銀行口座だけでなく院長個人の銀行口座の入出金についても確認されるケースがありますので、プライベートな資金と事業資金が混在している場合は注意が必要です。
- 指摘事項の確認と修正: 調査の過程で申告漏れや経費の計上ミスなどが見つかった場合、調査官から指摘を受けます。例えば「○月○日の売上が計上漏れではないか」「交際費として計上している○○費用は私的な支出ではないか」といった具体的な指摘です。指摘内容に基づき、必要があれば修正申告を行う準備をします。税理士と相談し、事実関係を確認した上でどの程度の追徴税額(不足分の税額+延滞税や重加算税などのペナルティ)が発生しうるか計算します。
- 調査結果の通知と納税: 全ての調査日程が終わると、調査官から口頭で調査結果の説明があります。問題がなければ「申告内容に特に問題はありませんでした」と伝えられ、調査は終了します。一方、修正が必要な場合は後日正式な指摘事項の連絡(書面)が届きますので、それに基づき修正申告書を提出し、不足分の税金を納付します。通常、調査終了後1〜2週間以内に是正内容の通知があり、1ヶ月以内程度に追加の納税手続きを完了させる流れです。
なお、税務調査では通常過去3年分程度の申告内容が重点的に調べられます(状況によっては5年、それ以上は悪質な場合最大7年まで遡及)。そのため日頃から少なくとも7年間の帳簿書類を保存しておくことが法律で義務付けられており、調査の際にも過去数年分をすぐ提出できるようにしておく必要があります。
税務調査をスムーズに乗り切るために、以下の点に注意して対応しましょう。
- 専門家に相談する姿勢: 税務調査の連絡を受けたら、まずは顧問税理士に速やかに報告しましょう。もし税理士がいない場合でも、調査直前だけでも税務調査対応に強い税理士に相談しておくことをおすすめします。プロの視点で事前に問題点を洗い出してもらえるだけでなく、調査当日に税理士に立ち会ってもらえると安心感が違います。
- 必要書類の完備: 調査までに準備を指示された帳簿類は漏れなく揃えます。領収書や請求書が紛失している場合は、可能であれば再発行を取引先に依頼するなどして、エビデンスを極力揃えておきましょう。書類が不足していると調査官の心証が悪くなり、「管理が杜撰=他にも不備があるのでは」と疑われる原因になります。
- 事実に基づいた説明: 調査官からの質問には、憶測ではなく事実に基づいて回答します。記憶が曖昧な場合はその場で無理に答えず、「確認して後ほど回答します」と伝えて構いません。間違った説明をしてしまうと訂正が難しくなりますし、不信感にもつながります。
- 正直さと協力的態度: 調査官に対しては終始丁寧かつ協力的に対応しましょう。隠し事をしようとしたり、攻撃的な態度を取ることは厳禁です。調査官も人間ですので、こちらが誠実に対応すれば円滑に進むことが多いものです。万が一、申告漏れなどのミスが発覚しても、悪質でない単純ミスであれば率直に認めて今後の改善策を説明する方が、結果的にペナルティが軽減されることもあります。
- 不要な発言を控える: 質問に答える際には聞かれたことに簡潔に答え、余計な情報までべらべらと話しすぎないように注意します。たとえば聞かれてもいないことを自ら話し、「実は○○の売上を記録し忘れていて後日まとめて入力しました」などと軽率に口にすると、新たな追及ポイントを自ら提供してしまうことになります。あくまで質問に対して簡潔かつ正確に答えることを意識しましょう。
- その場での判断を慎重に: 調査官から指摘を受けた場合、その場で反論したり言い訳を重ねたりすることは得策ではありません。感情的にならず、「ご指摘ありがとうございます。事実関係を確認させてください」といったん受け止めましょう。その上で、休憩時間や後日のフォローアップで税理士と相談し、必要ならばエビデンスを揃えて反証する、あるいは速やかに誤りを認めて修正に努める、といった適切な対応を取ります。
- 記録を残す: 調査官とのやり取りの中で重要な指摘や今後の改善点について言及があった場合は、必ずメモを取っておきましょう。調査終了後に社内で共有したり、次年度以降の申告に活かしたりするためにも記録が大切です。
これらの注意点を踏まえて冷静に対応すれば、たとえ税務調査で指摘事項があった場合でも適切に対処できます。大事なのは、日頃からの準備と専門家との連携、そして調査当日の落ち着いた対応です。
税務調査に慌てないためには、平常時から適切な経理・管理を行っておくことが何よりの対策になります。日々の業務で気を付けるべきポイントを押さえておけば、いざ調査となっても落ち着いて対応できますし、そもそも調査を受けるリスク自体を下げることにもつながります。ここでは自由診療クリニックが日常的に取り組むべき税務調査対策を解説します。
まず基本中の基本ですが、クリニックの売上を正確に管理し、日々記帳を行うことが大切です。自由診療クリニックでは、現金やクレジットカードでの患者様からの支払いが主な収入源となります。それらを一件一件もれなく売上台帳に記録する習慣をつけましょう。おすすめは会計ソフトやクラウドサービスを活用し、日毎の売上金額を入力していくことです。予約システムや電子カルテから日計表を出力できる場合は、それを利用して売上データと照合するのも有効です。
特に現金売上については、売上計上漏れが起きやすいポイントです。診療後すぐにレジ締めを行い、その日のうちに現金売上額を記録・集計します。可能であれば現金売上はできるだけ早く銀行口座に入金し、通帳残高と帳簿の売上記録が一致するようにしておくと安心です。カード決済やオンライン決済も利用日ベースで把握し、手数料控除前の総額を売上として計上します(決済代行会社からの入金額は手数料が引かれているため、帳簿上は手数料を経費計上し、売上は総額で記録する必要があります)。複数の決済手段を導入している場合でも、売上は一元管理できる仕組みを作りましょう。
また、保険診療も併設しているクリニックの場合には、保険診療収入(非課税)と自由診療収入(課税)の区分を明確に分けて記録する必要があります。同じ治療内容でも保険適用かどうかで消費税の課税関係が変わるため、それぞれの売上を正確に把握しておくことが重要です。
なお、個人事業としてクリニックを開業している場合は、正しい帳簿を備え付けて青色申告を行うことで節税につながる特典を受けることができます。それだけでなく、青色申告の要件を満たすために日々の記帳をしっかり行う習慣が身につき、結果的に税務調査への備えにもなります。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。
売上と同様に、経費の管理も税務調査対策上きわめて重要です。クリニック運営では医薬品の仕入れ、広告宣伝費、賃借料(テナント料)、人件費、研修費、接待交際費など様々な経費が発生しますが、それら一つひとつについて適切に精算し領収書や請求書を保管することが求められます。
具体的には、現金やクレジットカードで支払った支出は必ず領収書やレシートを受け取り、日付順にファイリングしておきます。領収書には但し書き(何の費用か)が記載されていますが、不明確な場合は自分でメモを書き添えておくと後から見返した際に分かりやすくなります。例えば、医療学会参加のための旅費交通費であれば「学会参加(○月○日、場所)」とメモし、交際費であれば「製薬会社担当者との情報交換会費用」など具体的に書いておきます。
クレジットカード利用明細も補助資料として保管し、領収書と付き合わせておきましょう。また、経費精算を月末など定期的に行い、漏れがないかチェックする仕組みを作ると安心です。
院長個人が立て替えて支払ったものを後でクリニック経費として精算する場合には、「立替精算書」を作成してお金の流れを記録に残しておきます。そうすることで、税務調査時に「この支出は誰がどのような目的で行ったものか」を説明しやすくなります。
気を付けたいのは、プライベートな支出を経費に混在させないことです。例えば家族との食事代や私的な買い物をクリニック名義のクレジットカードで支払った場合、経理処理の段階で除外しなければなりません。経費に計上してしまうと、税務調査で指摘され重加算税などのペナルティ対象となりかねません。同様に、業務に関係のない高額な交際費や、明らかに私用の割合が高い自動車・携帯電話費用なども注意が必要です。経費の二重計上(同じ領収書を二度計上してしまうミス)や架空経費の計上もってのほかです。日頃から経費処理は慎重に行い、必要に応じて税理士にも相談しながら適切な科目で計上しましょう。
経費を正しく処理しエビデンスを揃えておくことは、万一の税務調査での立証に役立つだけでなく、クリニックの利益把握にも役立ちます。そして何より、適切に経費を計上することは合法的な節税対策にもつながります。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
近年、税制や会計ルールの改正にも注意が必要です。代表的なものがインボイス制度(適格請求書等保存方式)と電子帳簿保存法への対応です。
まず、インボイス制度についてです。これは令和5年(2023年)10月から開始された新しい制度で、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者のみが適格請求書(インボイス)を発行できるようになりました。クリニックの自由診療収入は原則として消費税の課税対象となるため、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えて消費税の納税義務者となっている場合、インボイス発行事業者として登録し、患者さんや取引先に対してインボイス形式の領収書や請求書を発行する必要があります。逆に、基準期間における課税売上高がが1,000万円以下で消費税の免税事業者であるクリニックでも、仕入税額控除の観点から取引先(例えば医薬品の仕入先)からインボイス発行事業者になることを求められるケースがあります。自院の状況に応じてインボイス制度への対応を検討しましょう。
次に電子帳簿保存法への対応です。これは領収書や請求書などを電子データで保存する場合の法律で、2022年の改正により要件緩和・義務化の猶予期間などを経て、現在多くの事業者に適用されています。クリニックでも、会計ソフトや経費精算アプリを利用して領収書をスキャン保存したり、電子発行の請求書をメールで受領したりすることが増えているでしょう。電子帳簿保存法に対応するためには、これら電子データを改ざん防止措置(タイムスタンプ付与や正当な理由のない訂正削除の防止措置)を講じて保存し、かつ検索機能の確保された状態で保管することが必要です。
例えば、PDFで受け取った領収書は、印刷して紙で保管するか、もしくは税法の要件を満たしたシステム上で電子保管します。メールで受領した請求書も同様です。紙で受け取った領収書類をスキャンして電子保存する場合には、原本と相違ないことを確認し、一定の手続きを経て電子化する必要があります。これらのルールを守らずに電子データだけを残して紙を破棄してしまうと、税務調査の際に形式的な不備を指摘され、最悪の場合その経費が認められないリスクもあります。
インボイス制度と電子帳簿保存法は一見難しそうに感じますが、税理士や専門のコンサルタントに相談すればクリニックの実情に合わせた対応策を提案してもらえます。早めに正しい運用を身につけ、こうした新制度への対応状況も万全にしておきましょう。日々の積み重ねが、将来の税務調査でも安心につながります。
税務調査に臨むにあたり、税理士のサポートは非常に心強いものです。特に税務知識ゼロの院長先生や、経理担当者がいないクリニックの場合、税務調査専門の税理士に依頼することで準備段階から当日、そして事後対応までスムーズに進めることができます。ここでは税理士によるサポート内容を、調査前・当日・調査後に分けて説明します。
税務調査の連絡を受けた段階から、税理士は様々な準備とアドバイスを行ってくれます。まず、過去の決算書や確定申告書、総勘定元帳などを税理士がチェックし、指摘を受けそうなポイントを洗い出します。たとえば、売上の計上漏れが疑われそうな箇所や、経費科目の中で金額が大きいもの、不自然に変動している項目がないかなどをプロの視点で確認します。その上で、院長先生と打ち合わせを行い、調査官から質問が来たらどう説明するかといったシミュレーションをします。初めて税務調査を受ける先生にとって、調査官と直接やり取りするのは緊張するものですので、事前に想定問答集を用意してもらえるだけでも安心感が得られるでしょう。
また、明らかな申告ミスや漏れが事前チェックで判明した場合は、税務署が来る前に自主的に修正申告を行う判断をすることもあります。税理士はその是正すべき事項についてアドバイスを行い、必要に応じて調査前に修正申告書を提出することで、ペナルティの軽減を図ります(自主的な修正は重加算税の対象外となることがあります)。さらに、調査当日に用意すべき書類の最終確認や、調査官への対応上の留意点(例えば「この部分は自分から余計な説明をしない方が良い」等)のアドバイスも受けられます。
調査当日、税理士が立会人として同席してくれることは大きな安心材料です。税務調査は原則として納税者本人やその経理担当者に対して行われますが、税理士がいる場合には調査官とのやり取りの多くを税理士に任せることができます。調査官から専門的な質問が出た場合でも、税理士が適切に補足説明したり法令に基づく見解を述べてくれるため、先生ご自身が答えに窮する場面を減らせます。
また、税理士は数多くの調査を経験していますので、調査官が重視しているポイントをその場で察知し、必要な資料をすぐに提示するなど臨機応変な対応が可能です。調査官に資料を提出する際にも、税理士がチェックした上で提示することで、誤った資料や不利になる情報をうっかり出してしまうリスクを下げられます。院長先生は診療業務に集中しつつ、重要な点のみ税理士から随時報告を受ける形で調査が進めば、調査官への対応負荷も大きく軽減されるでしょう。
さらに、税理士は調査官とのコミュニケーションにおいて緩衝材の役割も果たします。調査官からの指摘事項に対して即答が難しい場合も、税理士が「後日改めて回答いたしますのでご了承下さい」といった形でその場を収めてくれます。場合によっては、税理士がその場で法的根拠を示して反論し、誤解を解いてくれることもあります。特に医療業界に詳しい税理士であれば、自由診療クリニック特有の経理処理について調査官に説明・理解してもらいやすいでしょう。
税務調査が終了した後も、税理士のサポートは続きます。もし調査によって申告漏れや経費の否認が発覚した場合、税理士が修正申告書の作成を代行し、追徴税額の計算や税務署への提出手続きを行います。追徴課税(延滞税や加算税を含む)の金額は複雑な計算が必要ですが、税理士が正確に算出し、納付書の入手から納税方法の案内までサポートします。
また、調査で指摘を受けた事項については、今後同じ間違いを繰り返さないように改善策を考えることが大切です。税理士は、今回の調査結果を踏まえて今後の経理体制の強化策や節税の見直しなどについてアドバイスしてくれます。例えば、「今後この交際費は経費ではなく院長報酬で処理しましょう」「この売上管理方法だと漏れが生じやすいのでシステムを導入しましょう」といった具体的な提案を受けられます。
万が一、調査結果に納得がいかない場合(例えば、どうしても経費として認められないと言われた項目について異議がある場合など)には、税理士が税務署と交渉し再考を求めることもあります。それでも解決しない場合には、税務署に対する異議申立てや、国税不服審判所への審査請求といった法的手続きも視野に入りますが、その際も税理士が手続きの代行や必要書類の準備をサポートします。
このように、税理士は税務調査の最初から最後まで専門家として寄り添い、クリニック側の主張を適切に代弁してくれる存在です。クリニックの税務調査対応に慣れた税理士であれば、調査官との円滑なコミュニケーションや専門知識に基づくフォローアップで、先生方の負担を大きく軽減できるでしょう。
一般的な税務調査の流れや注意点は上記の通りですが、自由診療クリニックならではの特有の論点やチェックポイントも存在します。保険診療を主とする病院・クリニックとは異なる視点で見られるポイントを押さえておきましょう。
自由診療クリニックで最も注意すべきは、やはり自由診療収入を正確に申告・管理しているかです。先述の通り、患者さんとの直接の金銭授受で成り立つ自由診療は、売上の過少計上が起きやすいと見做されています。そのため税務調査でも、自由診療の売上計上漏れがないかは必ずチェックされるポイントと言ってよいでしょう。
調査官は、過去の売上高の推移や月ごとの患者数、施術件数などのデータにも目を光らせます。例えば、クリニックのカルテ数や予約表の記録と売上帳簿を突合し、明らかに不自然な差異がないかを確認します。極端に売上が少ない月がないか、あるいは通常考えられる客単価に比べて売上総額が低すぎないか、といった点も業種別の統計データなどと照らし合わせて分析されます。税務署内部には業界ごとのベンチマークデータが蓄積されており、類似規模・業態のクリニックと比較して売上や経費の水準がかけ離れている場合には、より詳しい調査が行われる可能性が高まります。
自由診療クリニックでは、施術メニューごとの料金設定や提供単価にも幅があるため、自院の売上構成を把握し、論理的に説明できるようにしておくことが重要です。例えば「脱毛施術は初回キャンペーン価格で提供しているため平均単価が低い」や「AGA治療薬を定期購入する患者が多く物販収入が一定割合ある」など、売上の内訳を自ら分析しておけば、調査官から質問された際にもスムーズに回答できます。
また、自賠責保険診療の収入にも注意が必要です。交通事故患者の治療費(自賠責保険から支払われる収入)は自由診療の一種ですが、これを別口座で受け取って申告していないといった不正がないかもチェック対象となります。実際に一部のクリニックで、自賠責の入金をクリニックの通常口座とは異なる個人口座に振り込ませ、所得を隠そうとしたケースが摘発されています。当然ながら、このような手法は違法であり、発覚すれば重いペナルティや場合によっては保険医療機関・保険医の指定取消し(保険診療ができなくなる処分)など、深刻な事態につながりかねません。
自由診療収入については、一円単位まで正確に把握し、全てを漏れなく申告することが何より大切です。そのためにも、日々の売上管理や記帳を徹底し(前述の対策の通り)、万全の体制で臨みましょう。
クリニックの規模が大きくなってきたり、節税対策として医療法人化(クリニックの法人化)を検討したりするケースもあるでしょう。医療法人化すると、所得税ではなく法人税の課税対象となり、役員報酬や経費計上の範囲が広がるなど、税務上のメリットもあります。しかし、法人化したからといって税務調査と無縁になるわけではありません。むしろ、医療法人であっても個人事業であっても、税務署の目は公平に注がれます。
医療法人化に伴い生じる税務調査上の留意点としては、法人と個人の取引関係です。院長先生が医療法人から役員報酬を受け取る形になりますが、その金額が適正か、あるいは医療法人が院長個人に貸付をしていないか(逆も然り)といった点はチェックされます。また、法人化前後で経理処理が一変するため、過渡期の取扱いにも注意が必要です。例えば、法人設立前の売上や経費を法人側に計上していないか、あるいは個人から法人へ資産を移した際に適正な時価で取引されているか、といった点です。
さらに、医療法人には交際費や役員賞与の損金算入制限など法人特有の税務ルールがあります。これらを遵守していない場合、税務調査で指摘され追加の法人税負担が発生することもあります。一般的に法人の方が経理体制は整備されやすいとはいえ、法人化後も日々の記帳や証憑管理は引き続き怠らないようにしましょう。税務署としても、「医療法人だから大丈夫だろう」と見逃すことはなく、むしろ厳正にチェックしてきます。
医療法人化には税務上のメリットも多く存在しますが、その一方で経理・税務管理の重要性は増します。法人化を検討している場合や、法人化したばかりの場合は、医療法人向けの専門知識を持つ税理士に相談しながら進めると安心です(※医療法人化のメリット・デメリットや手続きについては別ページで詳しく解説しています)。
昨今増えているオンライン診療専門のクリニック(全国対応のAGAクリニック等)では、税務調査においても少し異なる観点からのチェックが入る可能性があります。オンライン診療は対面での現金授受がない分、売上はすべて銀行振込やクレジット決済で記録が残りますが、その一方で電子取引の適切な管理や複数拠点の統合的な経理管理が求められます。
例えば、東京に本拠を置きながら全国の患者をオンライン診療している場合、売上データや領収書は電子的に発行・保存されることになります。前述の電子帳簿保存法への対応ができていないと、こうした電子記録に不備が見つかるリスクがあります。また、オンライン診療では診療記録や処方箋情報もすべてデジタルで残りますが、これらについて税務調査で直接求められることは通常ありません(医療法の守秘義務もあります)。しかし、売上の裏付けとして、システム上の予約件数や決済履歴をエクスポートして提示するなど、電子データを活用した検証が行われることは考えられます。
全国に患者がいるということは、場合によっては法人住民税や事業税の計算で複数の自治体にまたがる手続きが必要になるケースもあります(主たる事務所と従たる事務所の所在地ごとの課税など)。そのため、オンラインクリニックほど税理士と相談しながら各種申告を適切に行い、書類も一元管理しておくことが重要です。複数の支店を持つ場合も同様で、各拠点の売上・経費を取りまとめ、本社で一本化した帳簿を作成する体制が求められます。
最後に、オンライン特化のクリニックはWEBマーケティングやシステム投資など独自の経費項目が多い傾向にあります。広告費やシステム開発費など巨額な先行投資があると、一時的に赤字になるケースもありますが、その場合でも経費の妥当性について税務署から質問を受ける可能性があります。「この広告費投下による効果(売上増)はどの程度見込んでいるのか」などビジネスモデルに踏み込んだ質問を受けることも考えられますので、きちんと事業計画や効果測定を行い、説明できるようにしておくと良いでしょう。
このように、オンライン診療クリニックは便利さゆえにデータが膨大になりますが、それを整理し適切に保存・管理することが税務調査対策として不可欠です。新しい業態であっても、基本は「正確な記帳と根拠資料の保存」という原則に変わりはありません。
当事務所(税理士事務所)では、自由診療クリニックの先生方向けに税務調査に備えるための万全のサポート体制を整えております。「AGAクリニックに強い税理士を探している」「医療脱毛クリニックの税務調査対応をプロに任せたい」というニーズにお応えし、専門的かつ親身なサービスを提供しています。以下に、当事務所の主なサポート特徴をご紹介します。
当事務所は最新のITツールを活用し、フルリモート対応で全国のクリニックをサポートしています。東京など都市部のクリニックはもちろん、地方や遠方にお住まいの院長先生でも、オンライン会議システムやクラウド共有を使ってスピーディーに打ち合わせや書類確認が可能です。実際の税務調査においても、事前打ち合わせや資料のやり取りをリモートで完結できるため、先生方の貴重なお時間を無駄にしません。
例えば、調査前のヒアリングや資料レビューはZoom等で顔を合わせて行い、必要な書類はクラウド上のフォルダにアップロードいただくだけ。物理的な距離に関係なく、きめ細かなサポートを受けられます。特に全国対応のオンラインAGAクリニックにはうってつけで、遠隔地からでも安心してご相談いただけます。
当事務所には、医療業界の税務に精通した経験豊富な税理士が多数在籍しています。特に、自由診療(美容クリニックやAGAクリニック等)の会計・税務に詳しい税理士が担当しますので、業界特有の事情も踏まえた的確な対応が可能です。クリニックそれぞれの状況に応じて、個別カスタマイズしたサポートを提供することをモットーとしています。
たとえば、経理経験ゼロで初めて税務調査を迎える先生には基礎から丁寧にご説明し、不安を取り除くサポートをいたします。SNSで集客を拡大している成長志向のクリニックには、将来を見据えた内部管理体制の強化提案を行います。複数拠点展開するオンライン診療クリニックには、各拠点のデータ統合方法や電子帳簿保存体制の構築について専門的アドバイスを行います。このように、一口に税務調査対応といってもクリニックの規模・形態によって着眼点は異なります。当事務所ではクリニックの税務調査対応実績が豊富な税理士がチームとなり、それぞれのケースに最適化した対策を講じます。
「税務調査の連絡が来たがどうしたらいいか分からない」「顧問税理士がいないので不安だ」といった場合でも、まずはお気軽にご相談ください。当事務所では初回のご相談は無料で承っており、そこで具体的な状況をお伺いした上で最適なサポートプランをご提案いたします。スポットで税務調査の立会いのみを依頼したい場合から、日常の記帳代行や決算・申告業務まで含めたトータルサポートまで、先生のニーズに応じて柔軟に対応いたします。
お忙しい院長先生のために、夜間や週末のご相談にも可能な範囲で対応しております。また、報酬体系も明朗で、事前にお見積もりを提示して納得いただいた上で進めますので、「依頼したら思ったより費用が高くついた」という心配もありません。
税務調査は誰しも避けたいイベントですが、万全の準備と専門家の支援があれば乗り越えられます。当事務所のサポートを活用していただければ、クリニックの先生方は本業である医療サービス提供に専念しつつ、税務面の不安を解消できるでしょう。クリニック経営の心強いパートナーとして、税務調査対策はもちろん、日々の経理相談や節税アドバイスまで幅広くお手伝いさせていただきます。
なお、これから新規開業を予定されている先生向けには、開業前の資金計画作成から税務署への各種届出サポートまで包括した開業支援サービスもご用意しています。スタートの段階から専門家が伴走することで、開業後の税務も安心して運営することが可能です。まずはお気軽に初回無料相談をご利用ください。あなたのクリニックの健全な発展を、税務面から全力でサポートいたします。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

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