税理士法人加美税理士事務所

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診療科目問わず、節税は経営戦略。開業医に特化した税理士法人加美税理士事務所が節税スキームと将来設計支援で経営を整えます。

開業医・クリニックに特化した税理士法人加美税理士事務所による節税対策サポート。経費計上・所得控除をフル活用した持続可能な医院経営をアドバイス。開業支援から税務顧問、法人化・相続対策までワンストップ対応。顧問料も相場より低価格の安心サポート。

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開業医・クリニック専門の税理士法人加美税理士事務所による節税対策サポート

開業医やクリニックの経営者にとって、税金対策(節税)はクリニック経営の重要課題です。適切な節税対策を行うことで資金繰りを安定させ、将来の投資余力を高めることができます。一方で、医療業界特有の経費や税制を踏まえずに誤った節税をすると、手元資金を圧迫したり、税務調査で指摘を受けたりするリスクもあります。私たち税理士法人加美税理士事務所は、医師専門の税務顧問としてクリニックをサポートするための体制を整えてあります。そこで本記事では、税理士法人加美税理士事務所による開業医・クリニックのための節税対策サポートをご紹介します。日々のクリニック運営に活かせる具体策をチェックして、安定した経営基盤を築きましょう。

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まずは、クリニックにとって節税対策を行うメリットを確認しましょう。税理士の視点から、節税がクリニック経営の安定化につながる理由を解説します。

適法な範囲で税負担を減らすことは、クリニックの資金繰り改善に直結します。税金はクリニックの利益に対して課されるため、節税策を講じることで納税額を抑え、手元に残る現金を増やすことができます。特に開業直後は設備投資や人件費など支出も多く、思うように現金が残らないケースもあります。節税によって生み出された余剰資金は、運転資金の確保や突発的な支出への備えとなり、日々の診療に専念できる安心感につながります。税理士が関与して資金繰り計画を立てれば、「気づいたら税金で現金が消えていた」という事態を防ぎ、安定した経営をサポートできます。

開業医の先生方にとって、医療機器の更新やクリニックの増改築など将来的な投資は避けて通れません。節税対策で余裕資金を確保できていれば、必要なときにタイムリーな設備導入や新規事業への投資が可能になります。例えば、最新の診断装置やITシステムを導入したいとき、大きな資金負担なく決断できるのは健全な財務状態があってこそです。税負担をコントロールし内部留保を厚くしておけば、金融機関からの融資も受けやすくなり、資金面で次の一手を打ちやすくなります。また、設備投資に関連する各種の優遇税制(後述)を活用することで、投資と節税の両立も図れます。将来を見据えた設備投資計画と節税を両輪で進めることが、クリニックの持続的な成長に寄与します。

クリニックが発展していくためには、収益を再投資してサービスの質向上や規模拡大を図ることが重要です。しかし、高額な税負担が発生すると、本来再投資に回せたはずの利益が手元から流出してしまいます。節税対策によって税負担を軽減すれば、その分再投資に充てられる資金を確保できます。例えば、節税で年間数百万円の納税額を圧縮できれば、新たな診療科の開設やスタッフ増員、広告宣伝などの費用に回すことが可能です。このように、節税は単にお金を節約するだけでなく、クリニック経営の未来への投資余力を生み出す戦略といえます。税理士がクリニックの事業計画に沿って節税策を提案することで、無理のない範囲で利益の再投資サイクルを回しやすくなります。結果として、経営の安定と発展を両立できるのが節税対策の大きなメリットです。

節税の基本は必要経費をもれなく正しく計上することです。開業医の先生には、一般企業とは異なる経費科目やプライベートとの区別など、独自の注意点があります。ここでは経費計上の重要性とポイントを解説します。適切な経費管理は開業医ならではの節税基盤となります。

まず、クリニック経営で経費として認められる費用の範囲を把握しておきましょう。一般的な必要経費として計上できるものには、以下のような項目があります。

  • 人件費:スタッフの給与、賞与、社会保険料負担分など人にかかわる費用。院長ご自身が個人事業主の場合は給与という形はとりませんが、青色専従者給与(後述)としてご家族への支払いを人件費にすることが可能です。
  • 設備費:医療機器の購入費用やリース料、クリニックの家賃・水道光熱費、消耗品費、減価償却費(高額な医療設備や内装工事費を耐用年数で費用配分)など、クリニックの運営に必要な物的費用。
  • 交際費・会議費:事業に関連する接待費用や打ち合わせの費用。例えば、近隣の開業医との情報交換の食事代や医局の同窓会費用など、事業上の付き合いにかかった費用は一定範囲で経費計上できます(ただし使いすぎは注意)。
  • 出張費:学会や研修会への参加費、旅費交通費。学会参加のための交通費・宿泊費や参加費用は、クリニックの知見を広げるための支出として経費認定されます。
  • 福利厚生費:スタッフの福利厚生のための費用。親睦会や健康診断費用、制服・白衣の支給費用、慰労のための食事会費用など、従業員満足につながる支出は経費にできます。

上記の他にも、クリニック運営上必要であれば広告宣伝費(医院のホームページ制作費やチラシ印刷代など)や専門家報酬(税理士・弁護士への顧問料)も忘れずに計上しましょう。大切なのは、「それが事業収入を得るための必要な支出かどうか」という観点です。私たちも日頃から顧問先には、「クリニックの経費になりそうなものはまずご相談を。適切に計上できるようアドバイスします」とお伝えしています。経費計上の漏れは節税チャンスの損失です。使える経費はすべて計上する──これが節税の第一歩となります。

開業医の先生の場合、プライベートな支出と事業経費の線引きが他業種以上に重要です。税務上、事業と無関係な個人的支出(家事関連費)は経費にできません。しかし医師という職業柄、仕事と私生活の境目が曖昧になりがちな場面もあります。例えばスーツや白衣は仕事着ですが、日常着との区別が難しい場合もあります。また自家用車のガソリン代も往診や出張に使う分は経費になりますが、私用部分は含められません。税務署は基本的に「あらゆる支出はまず個人用途ではないか?」という目線でチェックします。したがって、プライベートと業務の混在する支出は明確に按分することが大切です。

具体的には、マイカーを業務で使う場合は走行記録から仕事利用分の割合を算出し、その割合分のみ経費計上します。自宅とクリニックが同じ建物・敷地内にある場合は、面積や時間で事業利用部分を合理的に算出して水道光熱費等を按分します。また携帯電話やインターネット代も、業務利用分を洗い出して経費計上すると安心です。このような按分計算の根拠はメモや記録に残しておき、いざという時説明できるようにしておきましょう。私たち税理士も経費計上の際には「事業割合はどの程度ですか?」とヒアリングし、税務上妥当な区分を助言しています。クリニック専用の銀行口座やクレジットカードを使い、私的支出と事業支出を可能な限り分離する工夫も有効です。公私の区別を明確にすることが、経費を安心して計上するコツと言えます。

日々の忙しい診療業務の中で、経費の計上漏れを防ぐにはいくつかの工夫があります。まず、こまめな記帳と領収書管理が基本です。診療後にその日の経費をノートや会計ソフトに入力したり、領収書はジャンル別にファイリングしたりしましょう。特に現金で支払った細かな支出(文具購入費や急なタクシー代など)は記憶が薄れがちなので、すぐメモを残す習慣が大切です。

また、経費になりそうか判断に迷う支出があれば都度税理士に相談してください。「こんな支払いをしたが経費になる?」「領収書がもらえなかったが証拠はどうする?」といったご質問は私たちも日常的に受けます。専門家に確認することで計上モレを防げますし、不安なまま申告するリスクも減ります。さらに、経費専用のクレジットカードを作るのも有効です。プライベート用カードと分けておけば明細をチェックするだけで経費の洗い出しができます。最近ではクラウド会計ソフトとレシート撮影アプリを連携させ、レシートを写真に撮るだけで自動仕訳する仕組みも普及しています。こうしたITツールの活用で先生の手間を省きつつ漏れなく経費計上することも可能です。せっかくの節税機会を逃さないためにも、経費管理の仕組みづくりにひと手間かけてみましょう。

クリニックを個人事業(自営業)として運営している開業医の先生向けに、段階別の節税対策を紹介します。開業準備中から若手の段階、そして開業後数年間の段階で、それぞれ取れる節税の工夫があります。所得税・住民税を減らす具体策も含め、個人開業医が知っておきたいポイントを見ていきましょう。

開業前後の若いドクターこそ、経費計上と所得控除のフル活用で税負担を減らしましょう。まず開業準備段階では、開業に要した費用を漏らさず経費にすることが重要です。物件探しの交通費や開業セミナー参加費、内覧会の開催費用、医療機器の導入研修費など、開業準備には様々な支出があります。これらは「開業費」という勘定科目で一括計上することもできますし、初年度から全額を必要経費に落として節税に充てることも可能です(※開業費は繰延資産として任意償却が認められています)。若手のうちは利益水準もこれからという段階でしょうから、まずは出ていったコストをしっかり経費計上して課税所得を圧縮することが先決です。

次に、所得控除の項目もしっかり確認しましょう。個人事業主であれば、社会保険料控除(国民健康保険・国民年金の支払い)、生命保険料控除、扶養控除など、個人の所得税控除が適用できます。特に若手の先生方には老後の備えとしてもメリットがあるiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用をおすすめしています。iDeCoは毎月拠出した掛金が全額所得控除となり、運用益も非課税という制度です。例えば月々5万円拠出すれば年間60万円が課税所得から差し引かれ、その分所得税・住民税が軽減されます。同様に、小規模企業共済(後述しますが個人事業主の退職金積立制度)も掛金が全額所得控除です。創業当初から少額でもこれらに加入しておけば、将来の資金準備と節税の両得です。まだ利益がさほど出ていない若手期こそ、「使った分は経費、使わなくてもできる範囲で控除」という姿勢で、基本的な節税策を漏れなく実践しましょう。

開業して数年が経ち、収入が軌道に乗ってきた院長先生には、所得分散と福利厚生の活用による節税を検討します。所得が増えてくると税率も上がるため、早めに対策することで大きな節税効果を得られます。

まず所得分散の方法として代表的なのが、事業専従者給与の支給です。ご家族(配偶者や親族)がクリニックの業務を手伝っている場合、その方に給与を支払うことで経営者個人の所得を分散できます。例えば、受付や経理を配偶者が担当しているなら、「青色事業専従者給与」として毎月適正な給与を支給しましょう。支払った専従者給与は全額が必要経費となり、院長先生の所得(=課税対象)がその分減少します。ポイントは「適正な金額設定」です。仕事内容と勤務時間に見合った水準であることが条件となりますが、専従者給与の届出を税務署に提出しておけば、支給額の範囲内で経費計上が認められます。これにより家計全体で見た手取り収入を増やすことが可能です(配偶者に給与を支払っても、その分世帯としての可処分所得は給与所得控除の適用などで有利になるケースが多いです)。専従者給与を含めた所得分散策は、ご家族の協力あっての医院経営ならではの節税手法です。

次に福利厚生の充実も税負担の軽減につながります。個人事業主でも従業員に対する福利厚生費は経費にできます。たとえばスタッフの健康診断費用を事業者が負担したり、インフルエンザ予防接種代をクリニック持ちにしたりすれば、それらは経費計上できます。小さな額でも積み重ねれば節税効果がありますし、従業員満足の向上にも寄与します。また、従業員との親睦を深めるための食事会費用や研修旅行(一定の要件内で)も必要経費になります。院長個人に関しても、例えば業務災害に備える保険に加入して保険料を経費にする方法などが考えられます(個人事業主でも労災保険の特別加入や民間保険料の一部事業経費算入が可能な場合があります)。このように、経費化できる福利厚生を増やすことで課税所得を抑えることができます。開業後しばらくは設備投資や借入返済もあり、利益が出ても出金が多い時期です。所得分散と福利厚生でしっかり経費を積み増しし、無理なく手元資金を確保しましょう。

個人開業医の先生が直接的に所得税・住民税を軽減できる制度も活用しましょう。先に触れたiDeCo(個人型確定拠出年金)小規模企業共済は強力な節税ツールです。改めて特徴を整理すると、iDeCoは個人型の年金積立で月額最大6.8万円(自営業者の場合)の掛金が全額所得控除になります。例えば年間81.6万円拠出すれば、その分課税所得が減り、税率20%の方なら約16万円、33%なら約27万円もの税負担が軽減されます。将来受け取る年金や一時金にも控除が用意されており、トータルで見てメリットの大きい制度です。

小規模企業共済は個人事業主や小規模会社の役員向けの退職金共済制度で、月額掛金は1,000円~7万円まで自由に設定でき、こちらも全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となります。長期間積み立てて廃業時などに受け取る共済金は退職所得扱いとなり、税制優遇を受けられます。クリニックを閉院する際の退職金準備にもなりますので、一石二鳥です。iDeCoと小規模企業共済は併用可能ですので、資金に余裕があれば両方加入することで掛金のダブル控除が受けられます。

他にも、医療費控除(自分や家族の医療費が多い年は確定申告で所得控除)、寄附金控除(ふるさと納税等を活用して住民税控除)など、個人としての税負担を減らす手段があります。特にふるさと納税は手軽な節税策で、上限内の寄付で地域貢献しつつ実質2,000円の自己負担で済み、返礼品も受け取れますので、多忙な先生方にも人気です。住宅ローン減税も該当者には有効ですが、クリニック開業に合わせて自宅も新築したようなケースではぜひ検討してください(自宅部分の借入に対し年末残高の一定割合を所得税から控除)。このように、公的制度をフルに活かすことで個人の所得税・住民税を効率よく軽減できます。私たち税理士法人も、先生方に節税策をご提案する際は「経費で落とす」「控除を活かす」「制度を使う」のバランスを見ながら最適な組み合わせを考えています。所得規模やライフプランに応じて適切な策を講じ、無駄のない納税を目指しましょう。

開業医として順調に経営が軌道に乗ってきたら、さらなる節税策として青色申告の活用医療法人化(法人化)の検討も視野に入れましょう。個人事業のままでも青色申告の特典を得られますし、一定以上の利益規模であれば法人化による節税メリットも大きくなります。それぞれの制度のメリットと留意点、そして法人化のタイミングや所得分散のポイントを解説します。

まず、開業医でまだ個人事業の方は必ず青色申告を選択しましょう。青色申告(正式には青色申告承認申請を税務署に提出)は、一定水準の帳簿をつけることで様々な特典が受けられる制度です。代表的なメリットは「青色申告特別控除」で、電子申告等の要件を満たせば最大65万円(それ以外でも55万円)の所得控除が受けられます。65万円控除は大きく、税率20%の方なら13万円、33%なら約21万円もの税額軽減効果があります。青色申告にすれば前述の専従者給与の制度も利用可能となり、ご家族への給与を経費にできるようになります(白色申告では家族への給与は原則経費にできません)。さらに、赤字(損失)の繰越控除も青色申告の特典です。開業初年度など大きな赤字が出た場合、3年間にわたって将来の黒字と相殺でき、節税に役立てられます。

そのほか、青色申告者は少額減価償却資産の特例(30万円未満の資産購入費を即時費用計上できる)を使えるなど、細かな優遇措置もあります。帳簿付けや証憑書類の整理など手間はかかりますが、税理士のサポートを受ければ大きな負担にはなりません。事実、ほとんどの開業医は青色申告を選択しています。税理士法人加美税理士事務所でも開業前から青色申告の届出をお手伝いし、帳簿作成や決算・申告まで一貫してサポートいたします。青色申告の節税メリットは受けない手はありませんので、まだの先生は早めに顧問税理士に相談してください。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

クリニックの利益が大きくなってきた場合、医療法人化(=クリニックの法人化)を検討することでさらなる節税余地が生まれます。医療法人とは、都道府県知事の認可を受けて設立するクリニック運営の法人形態で、いわば「病院経営会社」を作るようなものです。法人化の最大のメリットは税率の引き下げです。個人の所得税・住民税の最高税率は合わせて約55%にも達しますが、法人税等の実効税率は約30%程度(所得800万円以下部分は約20%前後)に抑えられます。課税所得が大きいほど法人にした方が税金が安くなるという逆転現象が起きます。仮に年間の事業利益が3,000万円を超えるようなケースでは、法人化によって数百万円単位で税額が減る可能性もあります。

さらに、法人化すると院長先生は法人から役員報酬(給与)を受け取る形になります。給与所得には給与所得控除が適用されるため、個人事業の事業所得で利益を受け取るよりも有利になる点も見逃せません(給与所得控除は年収に応じて一定額を経費とみなして差し引く制度で、高所得者ほど控除額も大きくなります)。例えば法人から年収1,000万円の役員報酬を受け取った場合、約220万円が給与所得控除として非課税枠になる計算です。この控除枠は個人事業のままでは享受できません。また、退職金制度を活用できるのも法人化のメリットです。法人の役員であれば退職金を支給することが可能で、退職金は給与と比べて非常に優遇された税制(退職所得控除と1/2課税)で課税されます。将来院長を引退するときに多額の退職金を支給すれば大幅な節税となり、法人としてもその金額を全額損金(経費)にできます。このように役員給与+退職金という形で所得を分散・繰延べできる点は法人化ならではです。

もっとも、医療法人化には注意点やデメリットもあります。まず、法人設立や運営に一定のコストと手間がかかります。設立時には定款作成や認可申請、登記費用などが必要で、設立後も毎期の法人住民税(均等割として最低7万円程度)や決算申告の手間が発生します。また医療法人は剰余金の配当(いわゆるオーナーへの配当金)が禁止されているため、利益は役員報酬か事業投資に回す必要があります。一定額以上の利益を社内留保すると特別医療法人でない限り留保金課税のリスクもあります(医療法人は出資持分の有無など形態によって制度が複雑ですので専門家の助言が必要です)。さらに、法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必須となり、従業員だけでなく役員である院長ご自身も保険料負担が発生します(ただし社会保険料も経費になります)。このように法人化にはトレードオフもあるため、安易に飛びつかず収支規模や将来計画を見据えて判断することが大切です。私たち税理士法人加美税理士事務所では医療法人設立のメリット・デメリットを丁寧にご説明し、先生の状況に応じて最適な選択をご提案しております。

医療法人化のタイミングを計ることも重要です。一般には「税引前利益が年間2,000万~3,000万円を超え始めたら法人化を検討」と言われますが、これは税負担面からの目安に過ぎません。実際には、将来の事業展開(分院の計画があるか、設備投資の予定は?)、ご家族の働き方(親族を役員にする予定は?)、借入状況(法人に借換えするか?)など総合的に考える必要があります。適切なタイミングで法人化できれば、スムーズに節税メリットを享受できますが、遅すぎると高い税金を払い続けることになりますし、早すぎると法人運営のコスト倒れになる可能性もあります。他業種も含め法人設立の支援実績が豊富な税理士に相談しながら、ベストな時期を見極めましょう。

法人化後は、所得分散のポイントも押さえておきましょう。先ほど述べたように、法人と個人に所得を振り分ける形になりますので、法人に残す利益と役員報酬のバランスが重要です。役員報酬は毎年期首に金額を決定すると途中で変更できません(税務上、期中増減するとその年は損金不算入になります)。そのため、適正な役員報酬額の設定が鍵です。目安として、院長先生個人の所得税率が法人税率より高くなるラインまで報酬を取り、それ以上は法人に利益を残す、という方法がよく採られます。例えば利益が年間3000万円程度なら、報酬1500万円・法人利益1500万円と配分し、報酬部分は給与所得控除で節税、法人利益部分は法人税率で納税、といった具合です。さらに配偶者や後継予定のドクターがいれば役員にして報酬を配分することで一家全体の所得分散も可能です。将来的に退職金の支給計画も立てておけば、長期的な節税シミュレーションが描けます。法人化後は、個人の時以上に税理士との綿密なプランニングが必要になりますが、その分節税の幅も大きく広がります。私たちもクライアントとは毎期の決算前に役員報酬や利益処分の打ち合わせを行い、最適な所得配分となるよう助言しています。せっかく法人化したメリットを最大化するために、プロと二人三脚で戦略を練りましょう。

法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

すでに医療法人としてクリニックを運営されている先生、あるいは今後法人化を検討している先生向けに、法人ならではの節税対策を整理します。法人税の仕組みや医療法人特有の優遇、役員報酬・退職金の活用、福利厚生や各種控除制度まで、法人経営に移行した後の具体策を押さえておきましょう。

医療法人を設立すると、所得に対する課税は法人税率が適用されます。前述の通り、小規模な法人であれば年800万円までの所得は15%(令和5年度時点の軽減税率、地方税含め約20%前後)、800万円超部分は23.2%(地方税含め約30%前後)の税率となります【※税率は法令改正等で変動する可能性があります】。個人事業の最高税率と比べれば格段に低く、利益が大きいほど節税効果が高いのが特徴です。例えば所得3000万円の場合、個人事業なら所得税住民税で約50%近く納税となるケースがある一方、法人なら概算で30%前後に圧縮できます。また、一部の特定医療法人(一定の公益要件を満たし厚労大臣の認定を受けた法人)は、更に法人税率が一律19%に軽減される優遇措置もあります。一般的な開業医が設立する医療法人は特定医療法人には該当しませんが、規模拡大に伴い公益性の高い事業を行う場合は将来的に認定を検討する余地もあります。

医療法人は原則営利を目的としない性質から、税制上もいくつかの優遇が存在します。例えば、医療法上の「社会医療法人」に認定されると、救急医療等に関わる部分の法人税が非課税になったり、固定資産税が減免されたりする制度もあります。ただしこれらは地域医療貢献度の高い病院クラスのケースですので、クリニック規模では直接関係ないかもしれません。とはいえ、医療法人であるだけで受けられる税制もあります。身近なところでは消費税の扱いです。医院の保険診療収入は非課税売上ですが、法人化することで規模が大きくなっても引き続き消費税の免税点控除の恩恵を受けやすいなど(個人と法人で原則は同じですが、2期前基準で新設法人は1期目免税などの特例があります)、運営次第で有利不利が生じることもあります。法人税率の低減メリットを最大限活かしつつ、医療法人として使える制度はしっかりキャッチアップしておくことが重要です。

消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人の節税で大きな鍵を握るのが、役員報酬と退職金の計画的な活用です。法人化後、院長先生やご家族は法人の役員(理事)となり、役員報酬を受け取る立場になります。先ほど説明したように、役員報酬には給与所得控除が使えるため個人課税上有利ですが、法人側にとっても損金(経費)となり所得圧縮の効果があります。ただし注意したいのは、役員報酬は毎期定額で支給する必要があり、臨機応変な増減ができない点です。一年ごとに利益見通しを立て、適切な報酬額を設定することで最大の節税効果を発揮します。また、役員に賞与(役員賞与)を出す場合も事前届出が必要になるなどルールがありますので、これも税理士と相談しながら計画しましょう。

一方、退職金は医療法人の節税における“切り札”とも言える存在です。役員である院長先生が勇退する際には、多額の役員退職金を支給することが可能です。この退職金は支給額の大きさにかかわらず法人にとっては全額必要経費となり、その期の法人所得を大きく減額します。さらに受け取る院長先生側でも、退職所得控除(勤続年数に応じて最低800万円~何千万円もの控除額が設定されます)が適用され、かつ控除後の課税対象額は1/2だけ課税という極めて優遇された扱いになります。長年クリニックを経営して高額の収入を得てきた方でも、退職金で受け取れば驚くほど税金がかからないケースが多いのです。そのため、現役時代はある程度法人内部に利益を蓄積しておき、引退時に退職金として支給することで生涯トータルの税負担を抑えるという戦略がとれます。もちろん退職金にも相場や妥当性があり、あまりに高額すぎると認められないリスクはあります。しかし医療法人は基本的に出資持分がないため、退職金は院長にとって事実上の功労配分となる性質もあり、適正範囲で最大限支給することはよく行われます。役員報酬で毎年コツコツ節税+退職金で一気に大型節税という二段構えが、法人化後の理想形とも言えるでしょう。私たち税理士法人加美税理士事務所でも、将来の退職金シミュレーションを行いながら毎年の報酬設定をサポートしています。節税と個人の資産形成を両立させるために、退職金制度まで見据えた計画を立てておきましょう。

法人経営になると、福利厚生の充実によって節税と従業員サービス向上の両方を実現しやすくなります。法人で支払う福利厚生費は、従業員全員に公平なものであれば基本的に全額が経費計上できます。たとえば法人名義で従業員向けの医療保険やがん保険に加入し、保険料を会社負担にすれば従業員の安心にもつながり、保険料は損金算入できます。社内で親睦会費用やレクリエーション費を補助する制度を設けてもよいでしょう。社員旅行を実施すれば、その費用(一定額まで)は福利厚生費となります。クリニックは少人数の組織が多いですが、だからこそ一人ひとりへの手厚い福利厚生が可能ですし、それがそのまま経費となって利益を圧縮します。

また、法人ならではの手法として法人契約の保険商品を活用するケースもあります。経営者の退職金準備や万一の保障を目的に、法人で終身保険や養老保険に加入し保険料を支払う方法です。以前は全額損金になる保険商品も存在しましたが近年は規制が強まり、現在では一部損金タイプ(支払保険料の〇%を経費計上)のプランが中心です。それでも、適切な商品を選べば将来解約で資金を手当てしつつ現時点では一部を経費化できるため、中長期的な節税と資産形成に役立ちます。例えば逓増定期保険などは解約返戻金が高くなる代わりに支払時の一定割合を損金にできます。クリニックのケースでは、院長の退職慰労金積立の位置付けで法人保険を利用することが多いです。もちろん保険加入だけが福利厚生ではありませんが、法人の信用力で組める制度として覚えておくとよいでしょう。

さらに、社宅の提供も法人の節税と福利厚生の一種です。医療法人が院長や職員に社宅(住宅)を貸与すると、法人は家賃や維持費を負担して経費にできます。入居者側(院長や従業員)は一定の低廉な賃料を支払えばよく、住宅手当のようなものです。社宅家賃は給与扱いではなく福利厚生的な扱いになるため、従業員の税負担も小さく、お互いにメリットがあります(ただし社宅として税務上認められるには一定の計算式で適正な賃料設定が必要です)。このように、法人だからこそ可能な経費の使い道が広がります。クリニック運営で人材を確保し定着させるには待遇面も重要ですので、節税効果と合わせて福利厚生施策に投資することは有意義です。私たち税理士法人加美税理士事務所でも「経費を使って税金を減らし、その分スタッフに還元しましょう」とご提案することがよくあります。モチベーションアップと節税の二重の効果が期待できる福利厚生の充実は、法人経営における賢い戦略です。

法人には各種の税額控除・優遇税制が用意されています。医療法人も中小企業の一員として活用できる制度が多々ありますので、見逃さずに使いましょう。

まず代表的なのが中小企業経営強化税制中小企業投資促進税制です。これは一定の設備投資を行った際に、即時償却(全額経費化)または税額控除(法人税額から直接控除)が受けられる制度です。クリニックで新たに備品や機械を導入したりするときに該当要件を満たせば、大幅な節税が可能となります。例えば1,000万円の最新機器を購入して即時償却できれば、その期の所得を1,000万円減らせますし、税額控除の場合でも取得価額の7%(中小企業強化税制A類型の場合)を法人税から引けます。ただし、医療機器については医療法人が導入する場合は適用対象外とされていることに注意してください。制度を利用するには事前計画の認定や届出が必要ですが、設備投資を考える際はぜひ検討したい施策です。

次に所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)も挙げられます。これは従業員の給与を前期比で一定割合以上増加させた場合、その増加額の一部を税額控除できる制度です。人件費が増えるのは一見経営負担に思えますが、税額控除で支援があることで給与アップによるモチベーション向上と節税を両立できます。近年、特に賃上げによる税優遇は手厚くなっており、条件を満たせば増加額の15%~20%を法人税から控除可能です。クリニックでも優秀なスタッフの給与を上げたい場面は多いでしょう。その際はこの制度も活用し、企業努力に対する税のバックアップを受けましょう。

ほかにも試験研究費税制(医療機関で研究開発は少ないかもしれませんが、新技術に挑戦する場合などは適用可)、交際費の定額控除枠(年800万円までの交際費は90%損金算入できる中小法人優遇)など、中小法人に与えられた特例措置があります。地方税の軽減も一部地域で医療法人誘致策として存在する場合がありますので、自治体の制度もチェックしましょう。さらに、前述の小規模企業共済は法人の役員でも加入できます。このように、節税に使える制度は非常に幅広いのが法人経営の特徴です。すべてを経営者自身で把握するのは困難ですので、私たち税理士法人加美税理士事務所が最新情報を提供し「この制度を使うとこれだけ税金が安くなりますよ」とご提案いたします。制度は期限や条件がありますから、タイミングを逃さず活用していきましょう。結果として、これらの優遇措置を駆使することでクリニックの税負担を最小限に抑えることが可能になります。

開業医やクリニック経営者の先生方にとって、節税対策は診療科目ごとに異なる論点があります。医療業界特有の事情を踏まえた適切な節税は、資金繰りの安定や将来の投資余力につながります。一方で各科目ならではの経費や税制を無視した誤った節税は、税務調査で指摘を受けるリスクもあります。ここでは内科から歯科まで、税理士の視点で各診療科別の節税ポイントを解説します。税務調査や経費計上、法人化の判断など科目ごとの課題にも触れますので、ご自身の科に合わせた対策のヒントにしてください。なお、私たち税理士法人加美税理士事務所は医療専門の税務顧問として全国のクリニックをサポートしており、フルリモート対応でどこからでも気軽に相談できる体制です。忙しい先生方もオンラインで効率よく情報交換し、一緒に賢い節税策を検討していきましょう。

内科クリニックの節税について税理士が解説します。内科は幅広い疾患を扱い患者数も多いため、経営規模が大きくなりやすい科目です。主な収入は保険診療ですが、一部に予防接種や健康診断など自由診療も含まれます。そのため、内科ならではの収入・経費の管理ポイントや節税手法があります。

  • 予防接種収入の管理と計上漏れ防止: 内科ではインフルエンザなど各種予防接種を行うため、その収入計上が適正かが重要です。税務調査では予診票の枚数や使用したワクチン・シリンジの本数から「あるべき収入」が推計され、帳簿上の売上と突き合わされます。自治体から補助金や公費負担があるワクチンも多く、入金サイクルの違いから未収金計上漏れが起きやすいので注意が必要です。節税の基本は売上計上漏れを防ぐことです。収入を正確に把握・記録し、漏れなく申告することが結果的にクリニックを守る節税(追徴リスク回避)につながります。税理士と連携し、予防接種の台帳や補助金振込額をチェックしておきましょう。
  • 必要経費の計上と科目特有の費用: 内科では聴診器や血圧計、超音波検査機器など医療機器の購入・減価償却費、医薬品や衛生材料費が主要な経費です。待合室の雑誌や血圧計コーナー設置費用、地域向け健康教室の開催費用(啓発セミナー等)も事業に関連していれば経費計上できます。特にインフルエンザ流行期前にはアルコール消毒液や空気清浄機の導入などが必要経費となるでしょう。経費漏れ防止のため、領収書の整理やクラウド会計ソフトの活用を徹底し、プライベート支出との区別も明確にしてください。例えば白衣やクリニック専用のスーツ代は必要経費になりえますが、私的利用分が混在しないよう注意が必要です。
  • 所得分散と青色申告の活用: 内科に限らず開業医は青色申告が基本です。青色申告特別控除65万円の適用や赤字の繰越控除など、多くの節税メリットが得られます。内科クリニックでは配偶者が受付や会計を手伝うケースも多いため、「青色事業専従者給与」を活用して所得分散を図りましょう。例えば配偶者に給与を支給すれば、その金額は院長先生の事業所得から控除でき、世帯全体の手取りを増やせます。ただし勤務実態に見合った適正な金額設定が重要で、タイムカード等で労働実態を記録し、税務調査に備える必要があります。家族への給与支給は節税効果が大きい反面、根拠のない高額給与は否認リスクがあるため、税理士と相談して金額・役割を決めてください。
  • 法人化の検討タイミング: 内科は患者数次第で利益が大きくなりがちな分野です。年間の税引前利益が2,000万~3,000万円を超えるようであれば、医療法人化(法人化)による節税メリットを検討しましょう。個人の所得税・住民税は最高55%近くにもなりますが、法人にすれば所得800万円超部分でも実効税率約30%前後に抑えられます。例えば利益3,000万円規模なら、法人化で数百万円単位の税負担軽減も見込めます。内科クリニックの場合、将来分院展開を考えるケースもあるため、早めに法人化して信用力を高める選択肢もあります。ただし法人化には設立コストや運営手間、社会保険加入義務などデメリットもあるため、専門家の助言のもと総合的に判断してください。私たち税理士法人加美税理士事務所でもメリット・デメリットを丁寧にご説明し、最適なタイミングを提案いたします。

小児科クリニックの節税対策では、子ども特有の診療ニーズに合わせた経費や収入管理がポイントになります。小児科は乳幼児から思春期まで幅広い年齢を診るため、予防接種や健診、公費負担の制度が多岐にわたります。また、待合室の充実や親御さん対応など、小児科ならではの支出もあるでしょう。税理士の視点から、小児科ならではの節税と留意点を見ていきます。

  • ワクチン収入と公費負担の確認: 小児科は定期予防接種(BCG、MR、日本脳炎など)や任意接種(インフルエンザ、おたふく等)を多数実施します。自治体からの公費助成や乳幼児医療費助成により、患者さんの窓口負担がないケースも多く、収入は自治体からの振込が中心です。そのため各自治体ごとに異なる入金タイミングを把握し、未収金の計上漏れを防ぐことが重要です。「この月は〇〇市から○件分の予防接種費が振り込まれるはず」といった予測を立て、実際の入金を照合しましょう。税理士も補助金台帳の作成や未収金管理をサポートできます。こうした管理徹底が、結果的に申告漏れ防止=不要な税負担増を避ける節税効果を生みます。
  • 子ども向けサービスの経費計上: 小児科ならではの経費として、キッズスペースの玩具・絵本、待合室の内装(壁画やキャラクター装飾)、予防接種後のご褒美シールや風船などが挙げられます。これらは患者サービス向上の費用として事業経費に計上可能です。例えば注射を頑張った子へのシール代やクリニックイベント(ハロウィンやクリスマスでお菓子配布等)の費用は交際費ないし販促費として認められる範囲でしょう。ただし高額な景品や私的な贈答にならないよう、「事業関連性」が明確な支出に留めることが重要です。税務上は常識的な範囲内であれば問題ありませんが、使い過ぎは交際費として否認される可能性もあります。子どもの喜ぶサービスに投資しつつ、経費計上できるものは漏れなく計上し節税につなげましょう。
  • 医療設備投資と減価償却: 小児科は内科的な診療が中心で、大型機器は少ないものの、必要に応じて血液検査機器や簡易なレントゲン・エコー設備を備えることがあります。開業時や設備更新時には税制上の優遇策や即時償却の特例が利用できるケースもあります。例えば30万円未満の医療機器購入なら一括経費計上できる少額減価償却資産の特例があります(年間合計300万円まで)。これを活用し、必要な備品を年内に購入することで当年の課税所得を圧縮できます。ただし節税のために不要な設備を買うのは本末転倒ですので、本当に必要な投資と節税を両輪で検討しましょう。将来を見据えた設備投資と税負担コントロールを両立させることが、安定経営につながります。
  • 人件費と福利厚生の充実: 小児科クリニックでは看護師や受付スタッフの人件費が大きな経費ですが、これは適切な経費計上で節税に直結します。スタッフ研修費用や院内勉強会の講師謝礼も必要経費です。また、スタッフの定着を図るための福利厚生費(インフルエンザ予防接種の補助、懇親会費用等)も経費にできます。院長ご自身に対しても、小児科は夜間対応や急患が少なめで比較的時間に余裕があるケースでは、学会参加や専門医資格取得の研修に積極参加すると良いでしょう。その旅費交通費や参加費は経費計上できる上、知見を広げることで将来的な収益向上にもつながります。経費=悪ではなく、将来の発展に資する支出はどんどん活用して節税につなげましょう。
  • 法人化と事業拡大: 小児科は地域によって患者数に差があり、黒字幅も様々です。もし地域医療ニーズが高く利益が増えてきたら、医療法人化による節税も検討しましょう。特に複数医師体制で規模拡大を図る場合、法人化することで追加の医師を役員(理事)に迎えて所得分散が可能になります。例えば院長と副院長(後継の先生)2名体制で役員報酬を分け合えば、個人一人当たりの高額所得を抑えられます。小児科医院は地域密着型が多く、分院展開より本院強化が中心かもしれませんが、将来的に分院や健診センター併設など事業を広げるなら法人格が有利に働く場面もあります。税率メリットだけでなく事業承継のしやすさなども考慮し、税理士とベストな法人化時期を検討しましょう。

外科系クリニックの節税ポイントについて、税理士が着目すべき論点を解説します。外科(一般外科)は手術や処置を行う科ですが、開業医の場合は入院設備を持たず外来小手術が中心です。他院への紹介や地域医療との連携も多い分野でしょう。外科ならではの医療材料や自費診療項目もあり、経費計上や消費税の扱いで注意すべき点があります。

  • 手術・処置に関わる材料費の管理: 外科では小手術用の縫合キット、麻酔薬、衛生材料などの材料費が発生します。手術件数に応じた材料費を棚卸資産として管理することで、過不足なく経費計上できます。例えば縫合糸やガーゼの在庫は事業年度末に棚卸評価し、使った分だけ費用化することが原則です。とはいえ少額消耗品については購入時に経費計上しても大きな問題にはなりませんが、手術用インプラントなど高額なものは未使用分を資産計上したほうが利益把握が正確になります。税務調査でも手術件数と使用材料の突合が行われる可能性があるため、在庫管理はしっかり行いましょう(在庫の適正評価は将来の節税策にもなります)。
  • 自由診療収入と消費税: 外科クリニックでは保険適用外の自由診療は少ないですが、例えば美容目的のほくろ除去や自費の傷跡形成術などを行う場合、その収入は消費税課税売上になる可能性があります。医療行為でも美容目的・患者負担のものは課税対象となり得るためです(※基本的な保険診療や医師による治療行為は非課税ですが、美容外科的なものは課税扱い)。その際、消費税の申告・納税も視野に入れる必要があります。開業直後で売上高が小さければ消費税免税事業者になれますが、自由診療を積極展開する場合は早めに課税事業者選択届を出し仕入税額控除を受けた方が有利になることもあります。例えば美容目的のレーザー装置を購入した場合、課税事業者ならその消費税を控除できます。一方、免税事業者だと設備購入時の消費税を自費負担しなければなりません。自由診療の割合が多くなりそうか、税理士と相談しつつ消費税の有利不利を判断しましょう。
  • 医療事故対策費用や保険料: 外科は手術リスクが伴うため、医療過誤保険への加入が必須です。支払う保険料は当然必要経費になります。さらに、安全対策として手術室の増設工事や滅菌設備の高度化などに投資した場合、その費用は資本的支出になる可能性がありますが、医療の質向上に直接寄与する部分は経費化できるケースもあります(税務上グレーな場合は事前に税理士に相談を)。また、スタッフ教育のためのシミュレーター購入費用も減価償却資産として節税に役立ちます。リスク管理費用は経費算入を漏らさず、万全の医療提供体制づくりと節税を両立させましょう。
  • 車両や交際費の扱い: 外科系の院長先生は学会や救急搬送対応で公用車を使用することもあります。往診・往訪用の車がある場合、その減価償却費やガソリン代は業務割合分を経費計上できます。もし高級車を所有している場合でも、業務利用部分は堂々と経費にして構いません。ただし私用利用が大半だと認められると減価償却費がごく一部しか落とせないこともあります。運行記録や用途メモを残し、業務利用割合の根拠を示せるようにしましょう。交際費についても、医師会や地域病院との情報交換会費用は必要経費ですが、単なる私的交流と区別がつかない支出は否認リスクがあります。例えば他院の先生とのゴルフ代を経費にする場合、「地域医療連携の情報交換」が目的と言えるかがポイントです。説明できない交際費は計上しないか、自費にするのが無難です。

整形外科クリニックの節税は、リハビリ設備や各種保険請求の特殊性に着目して行います。整形外科は骨折や関節疾患の治療、リハビリテーションを扱うため、物理療法機器など設備投資が比較的多い科目です。また、交通事故の自賠責保険や労災保険の取扱いもあり、他科とは異なる収入区分や税務論点があります。そうした特徴を踏まえ、節税のポイントを解説します。

  • リハビリ機器の減価償却と特別償却: 整形外科では温熱療法装置、電気刺激装置、牽引ベッドなどリハビリ機器への投資が必要です。これらは高額になりやすいため減価償却費の計画的な算入が重要です。開業時に一度に購入すると初年度は大きな減価償却費で利益圧縮できますが、逆に減価償却費が尽きた後の年度は利益が跳ね上がることがあります。節税のためには、必要に応じて設備更新のタイミングを図り、特別償却制度を活用するのも手です。令和5年度税制では一定の先端設備は即時償却や税額控除が認められる措置もありますので、リースとの比較を含め税理士に相談するとよいでしょう。なお、30万円未満の備品(治療用ハンマーや小型超音波器具など)は購入年度に全額経費化できます。
  • 自賠責・労災収入と消費税: 整形外科には交通事故診療(自賠責)労災診療が多い傾向があります。これらは患者さん本人の負担がなく保険者(自賠責保険会社や労災基金)から後日振り込まれる収入です。ゆえに売上計上タイミングがズレやすく、未収金管理が重要です。税務調査でも未収金の計上もれがチェックされます。例えば事故日の属する期に診療を行ったが、入金が次期になる場合、正しく売掛金計上していないと指摘対象です。さらに自賠責診療では、診断書料や証明書料といった文書料収入が含まれることがあり、これは消費税課税対象です。整形外科が消費税課税事業者の場合、文書料部分に対して適切に消費税を申告しているかも確認されます。見落としがちな論点なので注意しましょう(逆に課税売上がある分、仕入税額控除も可能になります)。
  • 特殊な経費:義肢装具費と委託費: 整形外科ではコルセットや義肢装具の作製指示を出し、装具業者に作成を委託することがあります。その費用は患者に請求し保険請求もしますが、一旦クリニックが業者に支払います。この装具外注費はクリニックの必要経費になります。また装具代の患者負担分を一時立て替える場合もあるため、経費計上と収入計上のタイミングを一致させる(未収金処理をする)ことが大切です。装具費用は高額になる場合もあるので、期末に未払いがあれば経費計上し忘れないよう注意してください。これらの経理処理は複雑になりがちなので、税理士のサポートのもと正確に対応しましょう。それにより不必要な課税を避け、キャッシュフローを適正化できます。
  • 法人化による所得分散: 整形外科は手術やリハビリを多くこなすクリニックほど収益性が高まります。もし院長先生お一人で診療していても、利益規模が大きくなれば法人化による節税メリットは大きいでしょう。例えば年間利益が数千万円規模に達した場合、法人化して院長報酬+法人利益に分けることで、大幅な税率引下げ効果が得られます。また、将来後継のドクター(ご子息など)と二人三脚で診療する際も、医療法人にしておけば後継者を理事に加えて報酬配分することで一家トータルでの税負担を軽減できます。法人化すると社会保険加入や留保金課税リスクなど考慮点もありますが、整形外科のように設備投資が多い場合は法人の減価償却で利益調整しやすい利点もあります。専門の税理士と相談し、ベストな経営形態を選びましょう。

耳鼻科クリニックの節税ポイントは、耳・鼻の疾患を中心とした診療の中で発生する特有の経費と、限られた自由診療項目の扱いです。耳鼻科(耳鼻咽喉科)は比較的保険診療が中心で、自由診療は少ない科目です。しかし花粉症の舌下免疫療法や各種予防接種など、一部自費や公費負担の診療もあります。そうした特徴を踏まえ、税務上の留意点を解説します。

  • 補助金収入・検診収入の管理: 耳鼻科では自治体の行う難聴検査や学校検診、乳幼児健診などを担う場合があります。これらは自治体からの委託料や公費負担で支払われるため、収入の計上漏れに注意が必要です。特に年度末に実施した検診の委託料が翌年度入金になるケースでは、未収金計上を忘れないようにしましょう。税務調査でも「検診実施件数に対して収入計上が正しく行われているか」確認されることがあります。ワクチン接種についても同様で、耳鼻科で扱うインフルエンザ予防接種などの収入は自治体負担分も含め漏れなく把握することが肝心です。
  • 医療器具・消耗品の経費計上: 耳鼻科特有の器具として、耳鏡、内視鏡(鼻咽喉スコープ)、聴力検査機器、ネブライザー(吸入器)などがあります。これらの購入費用やリース料は当然経費になりますが、耐用年数に応じて減価償却が必要なものもあります。開業時にまとめて導入した場合は初年度に大きな減価償却費が発生しますが、以降は負担が軽くなるため利益が出やすくなります。節税策として、必要な医療器具の買い替え時期を調整することも考えられます。例えば老朽化した内視鏡を年度末に更新すれば、その年の減価償却費を増やして税負担を抑えられます。もちろん医療に必要な投資が前提ですが、設備投資タイミングの工夫が節税に直結する点は念頭に置きましょう。
  • 自由診療(自費治療)の取扱い: 耳鼻科は自費項目が少ない科目ですが、皆無ではありません。例えばスギ花粉症に対する舌下免疫療法(シダキュアなど)は保険適用外で自費となる場合があります。また、補聴器適合のための特殊検査料や、場合によってはピアス穴あけ等の完全自費サービスを提供するクリニックもあります。こうした自由診療収入は、金額を問わず適切に売上計上することが大前提です。保険診療と違い第三者機関からのチェックが及びにくいため、カルテや予約表と売上伝票を突合し、漏れがないか確認しましょう。なお、補聴器自体の販売を院内で行う場合、その売上は物品販売となり消費税課税の対象です。この場合、仕入れた補聴器代の消費税は控除可能になります。医療と物販が混在する場合は、税理士と相談し消費税申告で不利のない方法(簡易課税制度の選択等)を検討してください。
  • 交際費・福利厚生費の使い方: 耳鼻科は地域の学校や企業との連携も多いため、地域関係者とのコミュニケーション費用が発生することがあります。例えば学校医としての活動後の懇親会費用などは事業上必要な交際費と言えるでしょう。ただし単なる趣味的な集まり(例えば医師仲間同士だけの飲み会)は経費と認められにくいので注意が必要です。「情報交換」を理由にする場合でも、それがクリニックの収入にどう結びつくか説明できるようにしておくことが望ましいです。一方、スタッフ向けにはインフルエンザ予防接種を法人負担にしたり、暑気払い・忘年会を開いたりすれば福利厚生費として経費計上できます。少額でもスタッフの士気向上につながる支出は節税も兼ねて検討すると良いでしょう。

耳鼻咽喉科(じびいんこうか)クリニックの節税対策も、基本的には前述の耳鼻科と同様です。「耳鼻咽喉科」は耳・鼻・喉すべてを扱う正式名称ですが、一般的なクリニック実務や税務上の論点は耳鼻科と変わりません。ただし、声帯ポリープの日帰り手術や咽頭内視鏡検査など喉に関する処置を行う場合、若干設備や収入構造に特徴が出ます。以下では耳鼻科に補足する形でポイントを挙げます。

  • 日帰り手術と設備投資: 耳鼻咽喉科では局所麻酔下で可能な日帰り手術(声帯ポリープ摘出、扁桃肥大に対する手術など)を行う場合があります。必要な機器として喉頭鏡、手術用内視鏡、レーザー装置などを導入すると、設備投資額が大きくなります。これらは耐用年数に沿って償却しますが、購入時期を調整して減価償却費をコントロールすることが節税に有効です。例えば高額なレーザー装置を導入する際は、税制の即時償却の可否やリースとの差異を検討しましょう。医療機器のリース料は全額経費になるメリットがあり、減価償却よりキャッシュアウトのタイミングを平準化できます。税理士と相談し、購入かリースかを含め最適な節税策を検討してください。
  • 音声外来・自費サービスの収入: 喉の専門外来として、歌手やアナウンサー向けの音声ケア、ボイストレーニング的なプログラムを提供する医院もあります。これらは保険適用外で自由診療収入となりますが、金額設定によっては消費税も絡む可能性があります。例えばボイスクリニックとして発声指導サービスを提供し料金を受け取る場合、それは医療行為ではなくコンサルティング的サービスと見做され、課税売上になるリスクも考えられます。慎重にメニュー設定を行い、収益が大きい場合には法人を分けることも視野に入れましょう。いずれにせよ、自由診療部分は漏れなく収入計上し領収書を発行することが信頼関係上も重要です。
  • 学会出席と専門医資格: 耳鼻咽喉科は専門領域が広く、音声言語医学やアレルギー専門医など様々な資格取得の機会があります。これらの学会費・研修費は経費になりますので、積極的に参加し領収書を経理担当(税理士)に渡しましょう。専門医資格の取得は患者さんからの信頼向上にもつながり、結果的に集患力アップ=収益増にも貢献します。こうした自己研鑽への投資を経費にできるのも開業医の特権ですから、使える制度は活用しつつ知識向上と節税を両立してください。
  • 遠隔地の先生もオンラインで相談可: 私たち税理士法人加美税理士事務所は前述の通りフルリモート対応で全国のクリニックをサポートしております。耳鼻咽喉科は地方でもニーズが高い診療科ですので、遠方であっても医療に精通した税理士にオンラインで相談できる体制は心強いでしょう。地域の税理士では判断が難しい医療特有の節税策も、専門事務所ならではの知見でしっかりフォローいたします。

眼科クリニックの節税ポイントは、高額な医療機器の導入計画と自由診療の扱いに注目する必要があります。眼科は白内障手術やコンタクトレンズ処方などで比較的収益性の高い科ですが、その分医療機器投資も大きくなります。視力検査機、眼底カメラ、OCT(光干渉断層計)、手術顕微鏡など、多額の設備資金が必要です。またLASIKなど保険外の手術もあり、消費税の論点も絡みます。これらを踏まえ、節税につながるポイントを解説します。

  • 白内障手術と在庫管理: 多くの眼科開業医が行う白内障手術では、眼内レンズという高価な医療材料を扱います。眼内レンズは種類によって保険適用(単焦点レンズ)と自費(多焦点レンズ等)があり、クリニックが仕入れて患者に提供します。税務上は在庫として扱い、使った分だけ経費計上することになります。税務調査でもレンズ在庫の数や種類が売上・仕入と一致しているかチェックされるでしょう。節税のためには適正在庫を保つことが肝心です。余剰在庫を抱えると当期の経費にならずキャッシュが寝るだけなので、発注量を調整して在庫圧縮=節税効果を狙います。逆に期末直前に必要なレンズを発注し翌期使用する場合、当期に経費化できない点に注意しましょう(未使用なら棚卸資産となります)。税理士と相談し、在庫評価の方法(最終仕入原価法等)も含め有利な処理を行います。
  • LASIK・オルソケラトロジーなど自由診療: 眼科特有の自由診療として、近視矯正手術のLASIKや夜間装用コンタクトによる視力矯正(オルソケラトロジー)があります。これらは高額な自費治療であり、売上計上漏れは厳禁です。税務署も手術の予約台帳やカルテを確認し、適切に収入計上されているか調べることがあります。また、LASIK手術は医療行為ですが、消費税法上は課税医療に該当します。したがって消費税のシミュレーションも行っておきましょう。例えばLASIK収入が多額になるなら、課税事業者として計算しなおしても損しないかを確認します。コンタクトレンズの院内販売を行う場合は、その売上は明確に課税対象ですので、課税売上高の集計を忘れずに行いましょう。
  • 医療機器購入のタイミング: 眼科は診断・治療機器が進歩する分野で、開業後も新機種導入の機会が多々あります。OCTや視野計などは数百万円単位の投資ですが、減価償却費として毎年計上することで節税効果があります。利益が多く出た年は思い切って設備更新し、翌年度以降の償却費を増やすことで納税額を平準化できます。また、一定の設備は税額控除の対象にもなり得ます。購入前に税理士に相談すれば、補助金情報やリースとの比較含め、最適な節税策を提案してもらえるでしょう。設備投資はクリニックの将来への投資であると同時に、税負担を調整する有力な手段となります。
  • 医院併設物販と経費振り分け: 眼科では患者さんの便宜を図って、院内で目薬やサプリメント、コンタクト保存液などの物品販売をすることがあります。これら物販売上は課税売上です。共通経費の按分にも注意しましょう。例えば待合室の一角でコンタクトレンズを販売している場合、そのスペースや人件費の一部は物販部門の経費と考えられます。税務上は明確な規定はありませんが、消費税計算上は課税売上割合が影響するため、物販比率が大きい場合は経費の按分計算もしてみる価値があります(簡易課税制度を使うか、本則課税で個別対応方式を選ぶかの判断材料になります)。専門的な内容になるため、顧問税理士と相談し最も有利な方法を選択してください。

産婦人科クリニックの節税対策は、他科に比べ自由診療収入の割合が高い点に留意する必要があります。妊娠・出産に関わる診療は公的保険の適用外が多く、自治体の助成金や自費負担が絡み合う特殊な収入形態です。また入院設備を有する産科クリニックでは、規模拡大に伴い医療法人化するケースもあります。さらに助産師や複数医師の体制を取ることもあり、人件費や福利厚生費も大きなウエイトを占めます。これらを踏まえ、産婦人科ならではの節税ポイントを見ていきましょう。

  • 自費収入の適正管理と消費税: 産婦人科では妊婦健診費、分娩介助料、新生児検診費用など、保険適用外の収入が多岐にわたります。自治体から妊婦健診券による助成金が出ますが、上限超過分は患者自費負担となりますし、分娩費用は基本的に出産育児一時金(42万円)を超える分は自費です。税務調査では、分娩件数や健診件数に対して収入計上漏れがないか厳密にチェックされる傾向があります。特に分娩を扱う産科クリニックでは事業規模が大きくなりがちで、売上漏れは致命的です。カルテや分娩台帳と照らし合わせ、すべての収入を計上しているか確認しましょう。また、産科の収入は非課税医療収入ですが、個室利用料(差額ベッド代)や無痛分娩の麻酔管理料、母親学級の受講料など、一部消費税課税対象となる項目もあります。課税・非課税の判定が複雑ですので、収入項目ごとに整理し、課税事業者であれば消費税申告を適切に行う必要があります。
  • 助成金・補助金の活用と計上: 少子化対策の一環で、自治体から産科クリニックへの補助金制度が設けられている場合があります。例として、分娩施設の設備補助金や、不妊治療助成金による収入などが考えられます。これら補助金収入は収益として計上しますが、対応する支出があれば圧縮記帳の制度を使って課税対象から除外することもできます(例えば助成金で購入した医療機器は、助成金額分だけ帳簿上圧縮し、その分の益金計上を免除するといった方法)。また、不妊治療の保険適用範囲が拡大しましたが、なお高額な自費診療部分も残ります。不妊治療薬や体外受精の試薬などは患者からの実費徴収となり、一時的に預り金未払金の形で経理処理することもあります。科目や処理を誤ると利益が過大計上されてしまうこともあるため、税理士に相談して正確な処理を行いましょう。補助金・助成金を最大限活用しつつ、税負担を適切にコントロールすることが大切です。
  • 人件費と福利厚生の戦略的活用: 産婦人科はスタッフ体制が厚くなりがちな科目です。医師のほかに助産師、看護師、受付事務、場合によっては調理スタッフまで雇用するケースがあります。人件費は大きなコストですが、節税の観点からは手厚い福利厚生を整える好機でもあります。例えば24時間体制の職場では夜勤者への食事提供を行えば、その費用は福利厚生費として全額経費になります。職員用の仮眠室やシャワー室の設置費用も、業務必要性が明確であれば減価償却資産として経費算入できます。また、従業員の出産に対してお祝い金を支給する制度を設ければ、その慶弔見舞金も福利厚生費として経費になります(社会通念上相当な金額であれば課税扱いされません)。このように、人に厚く報いる経営をすることで職場定着率も上がり、結果的に経営安定と節税を両立できます。院長ご自身に関しても、医療法人化すれば役員報酬を自由に設定でき、退職金制度も活用できます。医療法人化の節税効果として、役員退職金を支給すれば1/2課税で大幅に税金を減らせ、法人の経費にもできます。将来引退時の退職金原資を積み立てる意味でも、利益が出たら一部を社内留保する計画を立てましょう。
  • 医療法人化と事業承継: 産科はクリニックによっては分娩件数が非常に多く、医療法人化によって節税メリットを享受しているケースが散見されます。特に分娩設備を拡張したり、病床数を増やして実質「病院」並みの規模になる場合、法人化による節税余地は大きくなります。法人化すれば税率が下がるだけでなく、将来利益の社内留保がしやすくなり、複数ドクター体制の人件費調整も柔軟になります。ただし、医療法人は剰余金の配当禁止や出資持分の問題など制度が複雑です。産婦人科の場合、ご子息やお弟子さんへの事業承継を考えて法人化することも多いです。早めに法人化しておけば、後継者に持分のない社団医療法人を引き継がせることでスムーズな承継が可能です。税理士法人加美税理士事務所でも設立から承継まで見据えたご提案をしておりますので、将来計画を踏まえてベストな経営形態を選択しましょう。

精神科クリニックの節税は、経費が比較的少ない事業構造を活かす点が特徴です。精神科(心療内科含む)はカウンセリングや投薬が主で高額な医療機器が不要なケースが多く、クリニック運営コストが低めです。その反面、医師個人の所得が高くなりやすいため、所得税対策所得分散が重要になります。また、収入は消費税非課税売上の保険診療が中心ですが、自由診療としてカウンセリングやセミナー収入を得る場合もあり、その扱いにも注意が必要です。以下、税理士視点で精神科ならではの節税策を解説します。

  • 概算経費特例の活用: 精神科クリニックを個人事業で営む場合、租税特別措置法26条の概算経費特例の恩恵を大いに受けられる可能性があります。これは社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の医師に適用される制度で、実際の経費額に関係なく収入に一定率を乗じた額を経費とみなせる制度です。精神科は他科に比べ経費が少ない傾向があるため、実額経費より概算経費の方が大きくなるケースが多々あります。つまり、実際に支払った以上の金額を経費計上できる可能性があるのです。例えば実際の経費が収入の30%程度しかなくても、概算経費として40%前後を計上できれば、その差分だけ課税所得を圧縮できます。これは合法的な節税策として非常に有効です。ただし一度この特例を使うと実際経費での申告に戻すのが数年間できない制約があるため、適用メリットがあるか税理士とシミュレーションして判断しましょう。概算経費特例を使う場合は、経費節約に努めるほど節税効果が高まる点も覚えておいてください。
  • 青色申告と専従者給与による所得分散: 精神科は利益率が高くなりやすいため、青色申告による節税メリットを確実に享受しましょう。青色申告特別控除65万円はもちろん、赤字の3年繰越や少額減価償却資産の特例など基本特典を漏れなく受けることが大切です。また、家族がクリニック運営を手伝っている場合は青色事業専従者給与の届出を行い、適正な給与支給で所得分散してください。例えば奥様が受付兼カウンセラー補助をしているなら、勤務実態に見合った給与を支払うことで院長個人の所得税率を下げることができます。精神科はカウンセリング時間が長く、予約制であることから受付事務が請求業務以外に患者対応(電話相談やスケジュール調整)に割く時間も多いでしょう。その労務に報いる給与を経費化しつつ、世帯内の所得配分を最適化すれば、無理なく節税できます。
  • 福利厚生と研修費の活用: 精神科クリニックはスタッフ数が少数の場合も多いですが、スタッフのメンタルヘルスにも配慮した職場環境づくりが重要です。例えば定期的なストレスケア研修を取り入れ、その講師謝礼や研修図書購入費を経費計上すれば節税につながります。また、院長ご自身もカウンセリング技法や精神療法の研修会に参加することで最新知見を得られるうえ、参加費・旅費は必要経費になります。精神科は学会参加が強制ではない分、自主的な勉強会やセミナー参加が多くなる傾向がありますが、そうした費用を経費として計上することに遠慮はいりません。知識向上と節税が両立できるため、領収書はきちんと保管し申告時に反映させましょう。
  • 法人化と報酬最適化: クリニックの利益が大きくなってきたら、医療法人化も視野に入ります。精神科は設備負担が軽い分、人件費を除けば院長の利益が厚くなりがちです。例えば年間2,500万円の利益が出ているとすると、個人の超過累進課税では税負担が重くなります。法人化して役員報酬1,000万円・法人利益1,500万円に振り分ければ、役員報酬部分は給与所得控除が使え、法人利益部分は低い法人税率で済むため、トータルの税負担は大きく減るでしょう。さらに法人にすれば退職金制度も使えるので、将来の退職金を活用した節税も計画できます。ただし、精神科クリニックは院長先生お一人で完結することも多く、法人化の手間が見合うか総合判断が必要です。フルリモート対応の私たち税理士法人加美税理士事務所なら、遠方の精神科の先生でもオンラインで気軽に法人化シミュレーションのご相談が可能です。お気軽に今後の展望をご相談ください。

心療内科クリニックの節税も基本的には精神科と同様の考え方になります。心療内科はストレス起因の身体症状など、精神科と内科の中間的な疾患を扱う科目です。設備面では精神科同様に大掛かりな機器が不要な一方、必要に応じて血液検査や簡易な生理検査装置を備える場合もあります。収入の多くは保険診療ですが、カウンセリング料金など自由診療要素も含みます。精神科との違いを補足しつつ、心療内科特有の節税ポイントを整理します。

  • 概算経費特例の有利性: 心療内科クリニックも、個人事業の場合は概算経費特例(措置法26条)の適用を検討してください。心療内科は投薬や面談が中心で物品費が少ないため、概算経費の率(例えば診療報酬の40%)の方が実際の経費より高くなることが多々あります。これは精神科と同様で、経費が少ない科目ほどこの特例の節税効果が大きいことを意味します。実際に支出していない分も経費計上できれば、その分だけ手元資金を残せます。ただし実額経費で青色申告控除や専従者給与を計上する方法との比較が必要ですので、税理士とシミュレーションし最適な方法を選びましょう。なお、この特例を使う場合は数年間は実額経費方式に戻せない点に注意が必要です。
  • カウンセリング収入と消費税: 心療内科では医師によるカウンセリングは診療行為として保険適用となりますが、臨床心理士等を雇用してカウンセリングを提供する場合、その収入は保険外サービスとなり得ます。例えば心理士による有料カウンセリングや認知行動療法プログラムの実施料を患者から直接徴収する場合、それは医師の治療ではないため消費税課税売上になる可能性があります。規模が小さいうちは免税点内に収まるでしょうが、カウンセリング中心に展開する場合は課税事業者となっても問題ないよう会計処理を整えることが大切です。具体的には、カウンセリングフィーに消費税相当額を上乗せするか、もしくは収入に対する仕入税額控除が発生しないか検討します(人件費中心なので仕入控除は少ないですが、テナント家賃等の按分控除が考えられます)。収入区分の整理を行い、課税・非課税を正しく仕訳することで、後々の消費税調整もスムーズになります。
  • 医療費控除証明と雑収入: 心療内科では、統合失調症やうつ病の患者さんに対し診断書や通院証明書を発行する機会があるでしょう。これらの文書料収入は非保険診療収入として収益に計上します。税務調査では、発行部数に対して収入計上が漏れていないかチェックされる可能性があります。特に精神疾患で休職する際の診断書発行は数万円の費用となることもあるため、忘れず計上しましょう。また、重度の精神障害者保健福祉手帳等の申請用診断書は公費負担になる場合もあり、その委託料収入は役所からの入金を確認して計上します。小さな額でも収益を漏らさないことが申告是認につながり、結果として余計な税負担やペナルティを避ける節税となります。
  • 法人化によるトータルプランニング: 心療内科は院長先生一人でマイペースに運営されるケースが多いですが、なかにはメンタルクリニックグループを作って複数展開する事例もあります。将来的に規模拡大を考えるなら、早めに法人化して信用力や資金調達力を高めるのも一策です。法人にすることで金融機関からの融資を受けやすくなり、リロケーション(移転)や内装拡充の際に有利に働く面もあります。また、法人化すれば社会保険加入が義務になるため院長自身も厚生年金に入ることになりますが、将来の年金額増加や福利厚生充実というメリットも得られます。純粋な税率面だけでなく、トータルでメリットが大きいかを判断して法人化を検討しましょう。私たち税理士法人加美税理士事務所では、先生の将来ビジョンに応じた最適な節税プランをご提案しています。フルリモートで全国対応しておりますので、遠慮なくご相談ください。

泌尿器科クリニックの節税ポイントは、検診事業や自由診療の有無によって変わります。泌尿器科は前立腺疾患や尿路結石、ED治療など幅広くカバーし、一部に自費診療も含まれる科目です。また男性患者が多いことから、健康診断(PSA検査等)で地域の検診業務を請け負うこともあります。設備面では超音波検査装置や内視鏡など中規模の機器投資が必要です。これら特性を踏まえ、泌尿器科ならではの節税の着眼点を示します。

  • 自治体検診・健診収入の管理: 泌尿器科では市区町村の前立腺がん検診(PSA測定)を担当したり、企業の健康診断で尿検査を行ったりすることがあります。これらの収入は自治体や企業からの振込となり、患者個人からの受取ではありません。ゆえに未収金の計上が論点になります。例えば年度末に実施した検診の委託料が次年度に入金される場合、当年度の売掛金に計上しておかないと収入漏れと見做されます。税務調査でも検診実施数と収入計上を突合されるので、台帳を整備しておきましょう。反対に、まだ実施していない検診の前受金をもらっている場合は前受収益として計上する必要があります。収益計上の適時性を守ることが信頼に繋がり、不要な追徴課税を避ける節税効果になります。
  • 自由診療(ED治療等)の扱い: 泌尿器科ではED治療など自由診療を提供しているクリニックもあります。これらは全額自己負担の上、患者さんの希望によって行うものなので、医療というより自由サービスに近い位置づけです。したがって収入は消費税課税売上となり、納税義務が発生します。ただし、自由診療を行う場合は患者さんも費用を承知で来院されるので、予め消費税込みの料金設定にするなど調整可能です。仕入面ではED治療薬の在庫を適切に管理しましょう。薬価差益ビジネスの側面があるため、売れ残りは在庫資産となり当期経費になりません。一方、枠内で使い切れるなら期末に多めに仕入れておき、当期経費を増やすことも節税策として考えられます(在庫過多による廃棄リスクには注意)。また、ED治療薬等は医療費控除の対象外なので患者さんが医療費控除証明を求めることは少ないですが、領収書発行は漏れなく行い、売上除外がないよう徹底しましょう。自由診療収入が多い場合、法人化して収入を分散したり管理法人を作って薬剤販売部分を切り離すなど高度なスキームも考えられますが、慎重な検討が必要です。
  • 医療機器の減価償却: 泌尿器科では膀胱鏡や経尿道的処置具、超音波画像診断装置などの医療機器が必要です。これらは耐用年数8年程度のものが多く、一度購入すると長期にわたり減価償却費が発生します。節税の観点では、開業初年度にまとめて購入するより、数年ごとに段階的に更新した方が毎期の利益を圧縮しやすくなります。例えばエコーを開業時に新品導入せず中古で賄い、数年後に利益が出てきた段階で高性能の新品に買い替える、といった戦略です。こうすれば減価償却費を損金算入するタイミングをコントロールできます。また、リース活用も一法です。内視鏡システムなど高額機器はリースにすれば毎年均等額を経費処理でき、初期投資を抑えつつ節税できます。機器の導入計画を事業計画と照らし合わせ、税理士と相談しながら進めることで、無理なく節税と医療の充実を両立できます。
  • 法人化と所得分散の検討: 泌尿器科の収益構造は患者数や自由診療割合によって大きく異なります。もし自由診療が好調で利益率が高い場合、法人化して院長給与と法人利益に所得を振り分けるのが得策です。個人のまま高所得になると税率55%近くまで上がりますが、法人にすれば大半を約30%に圧縮できます。例えば年間2,000万円の所得なら、法人化によって社会保険料負担増を考慮してもなお節税メリットが出るケースが多いです。加えて、法人にすれば奥様を役員にして報酬を支払ったり、将来後継者に事業を引き継ぐ際も円滑になります。泌尿器科は将来的に透析クリニックとの連携や、介護施設の往診など事業拡大の余地もあります。その際、法人格があった方が対外的信用も高まります。医療法人化の手続きは都道府県の認可が必要で時間がかかりますので、検討は早めに始めましょう。税理士法人加美税理士事務所では医療法人設立支援のノウハウも豊富ですので、メリット・デメリットを含め丁寧にアドバイスいたします。

歯科クリニックの節税対策は、自由診療収入が多い点と高額設備の投資計画に注目する必要があります。歯科医院は保険診療のほか、自費の矯正治療やインプラント、ホワイトニングなど自由診療収入が多くなりがちです。そのため税務調査でも売上計上漏れのチェックが厳しく、歯科技工所への発注記録との突合などが行われます。一方で、開業時に歯科ユニット(治療台)やレントゲン機器など高額設備への投資が必要であり、減価償却費が大きく節税に寄与します。また歯科特有の経費(技工士への外注費、材料費、スクラップ貴金属の管理など)もあります。これらを踏まえ、歯科ならではの節税ポイントを整理します。

  • 自由診療売上の漏れ防止: 歯科医院では保険診療分はレセプトで管理されますが、自由診療(自費治療)分は院内管理となります。税務署は特に自費売上の計上漏れを警戒しており、カルテや予約簿の確認、そして歯科技工指示書(技工所への発注書)との突合を実施します。例えばインプラント治療では、インプラントの本数や技工士への発注内容から本来あるべき売上を推計できます。また矯正歯科でのワイヤー調整やマウスピース矯正の材料発注量からも収入を類推できます。さらに、患者側が医療費控除で自費治療費を申告すると税務署に情報が渡るため、歯科医院側の申告と照合されます。これらの仕組み上、売上除外はまず発覚すると心得ましょう。適切に売上を計上し、むしろ高額治療が増えた年は積極的に節税策(経費計上や設備投資)を講じて納税額を抑える正攻法が賢明です。
  • 貴金属スクラップと雑収入: 歯科特有の論点として、撤去冠(てっきょかん)の扱いがあります。これは患者の古い金属冠を外した際に出る金属スクラップで、貴金属として業者に売却すれば収入になります。最近の税務調査では、ほぼ必ずこの撤去冠の扱いを尋ねられる傾向にあります。廃棄せず業者に売却している場合はその代金を雑収入として計上しなければなりません。わずかな金額でも申告漏れがあれば指摘されるので注意しましょう。逆に言えば、この収入に対応する形でスクラップ保管や売却の記録を残しておけば、調査対応はスムーズになります。小まめに売却するより、まとまった量になってから売る方が高値になり節税資金も確保しやすいかもしれません(ただし売上計上は忘れずに)。また、院内で歯ブラシやデンタルフロスを販売している場合も、その売上は課税対象の雑収入です。物販売上の計上と在庫管理も疎かにしないようにしましょう。
  • 大型設備の減価償却と投資計画: 歯科は開業時に数千万円規模の設備投資が発生する科目です。歯科ユニット(チェア)、デジタルレントゲン、滅菌器、CTスキャン、技工機器など、高額機器は減価償却費による節税効果が絶大です。開業後数年で減価償却が一巡したら、次の設備更新を検討しましょう。例えばデジタル機器は5年もすれば陳腐化しますから、新モデルへの入れ替えを兼ねて節税策とするのも有効です。リースを活用するのも手で、リース料は全額経費になるため初期投資を抑えつつ毎年経費計上できます。また、ユニット増設や個室診療室の新設などの内装工事費も減価償却資産です。工事費のうち医療機器に該当する部分は短い耐用年数(機械装置)で償却できる可能性もあるので、見積書の科目区分を工夫してもらうとより早く経費化でき節税になります。歯科専門の税理士であれば、こうした細かな投資計画にもアドバイスできます。
  • 人件費と専従者給与: 歯科医院はスタッフ数が多くなりがちです。歯科衛生士や歯科技工士、受付スタッフとチームで診療するため、人件費は大きな経費です。ここで節税に役立つのが給与の適正配分です。院長のご家族が経営に関わっているなら、青色専従者給与制度を活用しましょう。例えば配偶者が受付兼経理を担当しているなら、一般のスタッフ並みかそれ以上の給与を支給しても問題ありません(勤務実態と見合っていれば高額でも認められます)。実際、他のスタッフより高めの給与を配偶者に支払う歯科医院は多いですが、その場合は職務内容や勤務時間を明確化し、タイムカード等で裏付けておくことが重要です。税務調査では専従者給与の妥当性もチェックされますが、適切な範囲であれば家族に所得分散できる効果は絶大です。さらに、スタッフ教育費や福利厚生費(親睦会や旅行など)を充実させれば経費計上しつつ職場のモチベーションアップにもつながります。特に歯科衛生士は人材確保が困難なので、働きやすい環境づくりに投資することは間接的な節税効果(離職防止による採用コスト削減等)もあります。
  • 医療法人化とMS法人の活用: 歯科医院の規模が大きくなってきたら、医療法人化を検討しましょう。利益が高水準で推移しているなら、法人化で税率を下げ大幅な節税が期待できます。実効税率30%前後の法人税と給与所得控除の組み合わせで、手元資金を厚く保てます。加えて、歯科ではMS法人(メディカルサービス法人)を併用するスキームも知られています。例えば物販部門や不動産管理を別会社(家族経営の株式会社等)に分離し、クリニック本体から経費として管理料を支払う方法です。これにより利益の一部を別法人に移転し、全体の税負担を軽減することができます。ただし、管理料の設定が不適切だと税務上否認されるリスクもあります。MS法人スキームは高度な節税策ですが、税理士と十分協議の上でないと逆効果にもなりかねません。正攻法の範囲内でメリットを享受できるよう、プロのアドバイスを仰ぎましょう。

矯正歯科クリニックの節税は、収入の大半が自由診療である点を最大限考慮して行います。矯正歯科は歯列矯正(ブラケット矯正やマウスピース矯正)が主な診療で、保険適用は基本的になく全額自費です。したがって売上は患者さんからの直接収入となり、管理を徹底しないと計上漏れリスクがあります。また治療期間が長期にわたるため前受金の管理も重要です。経費面では、矯正装置の材料費や外注技工料が大きな割合を占め、設備投資は一般歯科より少なめですがデジタルスキャナー等の導入が進んでいます。こうした矯正歯科特有の状況下で、適切な節税策を講じましょう。

  • 治療契約と収入計上: 矯正治療は1~2年かけて行う大きな契約です。患者さんによっては分割払い・ローン払いを選択することもあります。この場合、前受金と売上の計上基準が問題になります。税務上は提供した役務の部分に対応して収入計上することが原則ですので、例えば治療開始時に一括100万円受け取っても、その年に全額を売上にせず未実施部分は前受金として処理する方法もあり得ます。しかし実務上は患者への装置装着時点で重要な役務提供が完了したとみなして全額売上計上するクリニックも多いです。いずれにせよ、契約書に支払スケジュールとサービス提供時期を明記し、それに沿って収入計上することが大切です。税務調査でも契約書の内容と入金タイミングがチェックされます。前受金を適切に計上していれば、まだ提供していない部分の収入に対する税金を先払いする必要がなくなるため、キャッシュフロー上も節税的です。逆に前受を計上せず全額即時売上にして納税すると、後から役務提供に対応する費用だけが発生してアンバランスになります。継続的役務提供の収入認識は専門的判断になるため、税理士と相談してベストな処理方法を採ってください。
  • 材料費・外注費の適正計上: 矯正歯科ではブラケットやワイヤー、マウスピース材料など材料費が多く発生します。また、矯正装置を自院で製作せず歯科技工所に発注する場合は外注費も嵩みます。これらはその都度経費になりますが、前述のように長期治療ゆえ在庫品も抱えます。期末に未使用のブラケット類が大量に残っている場合は棚卸資産計上を検討しましょう。ただし消耗品については一括経費でも問題になりにくいです。一方、歯科技工所への支払いは領収書や指示書控えをきちんと保管し、金額と患者リストを紐付けておくことが大事です。税務署は技工所の発行する請求書と売上の突合を行う可能性があります。例えばマウスピース矯正で技工所から1ケースあたり○万円の請求が来ていれば、それに対応する患者からの収入が計上されているか確認します。経費記録と収入記録をリンクさせておけば、このような調査にも落ち着いて対応でき、結果として申告是認=安心という「節税」効果を得られます。
  • 広告宣伝費と集客投資: 矯正歯科は自費治療ゆえ、患者さんのニーズ喚起や集客に力を入れる必要があります。WebサイトのSEO対策費用、症例写真の撮影費、パンフレット作成費、紹介キャンペーンの特典費用など、広告宣伝費は積極的に計上しましょう。1件あたりの契約単価が高いため、広告費をかけてでも患者獲得すれば十分ペイするケースが多いです。税務上も、明らかに事業用であれば高額な広告費でも経費として認められます。ただし、紹介患者への謝礼として金品を渡す場合は注意が必要です。それが社会通念上適切な範囲(例えば紹介者に商品券1万円程度)であれば広告宣伝費として認められますが、過度に高額だと交際費扱いになる可能性があります。適切な範囲で紹介制度を活用し、税務上も問題ない形で経費計上しましょう。広告投資は将来の患者獲得=売上増に直結するため、臆せず実施しつつ、漏れなく経費にすることで賢く節税してください。
  • 医療法人化の検討: 矯正歯科専門で開業している先生も、利益が大きくなれば法人化による節税メリットは見逃せません。特に矯正は保険制約がない分、治療費設定次第で年商が大きく伸びる可能性があります。例えば年間売上が5000万円・経費2000万円で利益3000万円の場合、個人の所得税住民税では最大50%近い税率が適用される一方、法人化して院長給与1500万円・法人利益1500万円にすれば、給与部分は給与所得控除で圧縮され、法人利益部分も約30%の税率で済みます。トータルの税負担は個人事業の半分程度に抑えられる計算です。さらに法人になれば将来退職金の支給も可能で、一時的に大きく節税できます。矯正歯科は患者層が裕福で事業が安定しやすい反面、院長一人の技術に頼るビジネスモデルでもあります。将来的に他院との提携や事業多角化(例えば審美歯科の併設)を考えるなら、法人化により信用力・資金調達力を高めておくメリットは大きいでしょう。医療法人設立には行政との折衝も必要ですが、当税理士事務所ではそのプロセスもフルサポートいたします。先生のライフプランに合わせてベストな節税スキームを一緒に検討いたしますので、ぜひ気軽にご相談ください。

以上、診療科目ごとに開業医の先生方向けの節税ポイントを解説しました。科目ごとに収入構造や費用構成、税務上の注意点が異なるものの、共通して言えるのは「正しく計上し、使える制度を活用する」ことが最大の節税だということです。私たち税理士法人加美税理士事務所は、医療業界に精通した税務顧問として先生方のクリニック経営をサポートいたします。法律の範囲内で最大限に工夫を凝らしつつ、一線を越えるような不適切な節税策は決して行いません。税務調査の立会いも含め万全の態勢でバックアップいたしますので、安心して本業の診療に専念してください。フルリモート対応により全国どこからでも専門家のサポートを受けられますので、「この税理士になら相談したい」と感じていただけましたら是非お気軽にお問い合わせください。先生のクリニックの未来を共に築く良きパートナーとして、健全な経営と賢い節税を全力でお手伝いいたします。

節税対策を進める上で忘れてはならないのが、税務調査に耐えうる適法な範囲で行うということです。節税と脱税は紙一重と言われることもあります。最後に、税務調査を見据えた注意点と、万一調査が入った際の備えについて解説します。

節税はあくまで法律の範囲内で納税額を減らす工夫です。一方で脱税は法律に違反して納税を免れる行為であり、重い罰則が科されます。当たり前のようですが、この境界線をしっかり認識しておく必要があります。具体的には、嘘の申告をしないことが絶対条件です。売上の一部を除外したり架空の経費を計上したりするのは明確な脱税行為で、税務調査で発覚すれば追徴課税や重加算税、悪質な場合は告発され刑事罰のリスクもあります。例えば患者さんからの自費診療収入を一部記録せずポケットマネー化する、というようなことは絶対に避けましょう。また、グレーな方法を勧めてくる悪質な業者や自称コンサルタントにも注意が必要です。「これくらい大丈夫だろう」は通用しないのが税務の世界です。

私たち税理士法人加美税理士事務所では、常に適法で健全な節税をご提案することをモットーにしています。法律の範囲内で最大限に工夫を凝らすのがプロの腕の見せ所ですが、一線を超えるようなアドバイスは決して行いません。先生方の中には「他のクリニックでこんなことをやって税金を減らしているらしい」と耳にするケースもあるかもしれませんが、それが本当に合法なのか慎重に見極める必要があります。節税と脱税の境界線は、基本に立ち返ればシンプルです。それは「事実にもとづき、正確かつ完全な申告をすること」。その上で利用できるルールを使うのが節税です。どうか正攻法の節税でクリニックの発展を目指してください。

適法な節税をしていても、税務調査が入れば細部までチェックを受けます。税務署に対して正当性を説明できるよう、日頃から書類や根拠を整備しておくことが重要です。経費の項目一つとっても、領収書や請求書が揃っているか、内容や日付がはっきりしているか確認しましょう。特に接待交際費や出張費などは、「誰に対する支出か」「目的は何か」をメモしておくとベターです(領収書の裏にでも一言書いておくと調査官も納得しやすくなります)。

また、専従者給与を支給している場合は、専従者としての働きぶりが客観的に示せる資料を用意しておくと安心です。出勤簿や業務日誌、給与計算の根拠資料などです。給与額が適正である説明に役立ちます。減価償却資産の除却(廃棄)で損金計上したなら、廃棄した事実がわかる写真や記録を保存しておくと良いでしょう。税務調査では基本的に過去3期分ほど遡ってチェックされますので、その期間の証憑類はきちんと保管し、必要に応じてすぐ提示できるようにしておきます。

調査官から質問を受けた際には、論理立てて説明できることも求められます。例えば「この車両費は事業用とありますが具体的にどう使われましたか?」と問われたら、「往診に週2回使用し、その割合で経費計上しています」と即答できる準備が必要です。ここであやふやだと「本当はプライベートじゃないのか?」と疑われかねません。普段から税理士と情報共有し、説明のストーリーを共有しておくと本番でも落ち着いて対応できます。結局のところ、節税とは言っても正当な処理であれば何らやましいことはないわけですから、自信を持って説明することが大事です。日頃の帳簿や書類を整えることは面倒に感じるかもしれませんが、「先生ご自身が経営判断した証跡」を残す作業と捉えてください。そうすれば税務署にも胸を張って節税の妥当性を主張できます。

クリニックは税務調査が入りやすい業種と言われます。実際、毎年多額の利益が出ている、または経費が大きく変動している、といったケースでは調査の対象になりやすい傾向があります【参照:国税庁調査統計】。決して「自分は関係ない」と思わず、いざという時のための対策も考えておきましょう。

税務調査への最大の備えは、日頃から適切な税務処理を行っておくことですが、それに加えて税理士に立ち会ってもらうことも非常に重要です。顧問税理士がいる場合、事前に日程調整の連絡がありますので、一緒に対応の準備をします。税理士は過去の申告内容を把握していますから、調査官が関心を持ちそうなポイントを予測してアドバイスできます。当日は税理士が調査官との質疑応答に同席し、専門的なやり取りをサポートします。クリニックの先生にとって税務の専門用語で質問されると戸惑うことも多いでしょう。その点、税理士がいれば言葉を噛み砕いて説明したり、先生に代わって回答したりできます。また、調査官も税理士がいることで無理筋な指摘はしにくくなるという側面もあります。万一、申告ミスなどが見つかった場合も、税理士が適切な範囲で主張すべきことは主張し、追徴税額を最低限に抑える交渉をします。

私たち税理士法人加美税理士事務所でも、税務調査の立会いは顧問サービスの一環としてしっかり行っています。調査中は先生方が不安にならないよう逐一フォローし、調査終了後の是正事項についても適切にアフターフォローいたします。税務調査は経験する機会は限られますが、プロの支援があるかどうかで結果が大きく異なるものです。安心して診療に打ち込むためにも、「いざという時は税理士が盾になってくれる」と思っていただければ心強いでしょう。節税対策も含め、透明性の高い経営を行っていれば何も恐れることはありません。私たちも先生方の経営の良きパートナーとして、万全の態勢でサポートいたします。

税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

最後に、開業医・クリニック経営者の先生方に私たち税理士法人加美税理士事務所の強みをご紹介します。税務の専門家としての知識はもちろん、医療業界に精通した総合力で先生方のクリニック経営を支えます。ぜひ私たちとのパートナーシップで、安心・安定の経営基盤を築いてください。

  • フルリモート対応で全国どこでも相談OK
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税金はクリニック経営において避けて通れない重要な要素ですが、適切な節税対策と専門家のサポートがあれば心強い味方に変わります。税理士法人加美税理士事務所は、開業医・クリニック専門の税務顧問として先生方の発展を全力でバックアップいたします。ぜひ私たちと一緒に、賢い節税と健全な経営でクリニックの未来を築いていきましょう。お気軽にお問い合わせいただき、安心と信頼のサービスをご体感ください。

よくあるご質問

FAQ

開業前から節税対策を始めた方がよいのはなぜですか?

開業準備段階からの節税対策は極めて重要です。開業に要した費用(医療機器リース、内覧会費用など)は「開業費」として処理でき、初年度に全額償却することで所得を圧縮できます。また、開業資金の出どころや使い道を明確に記録しておくことで、後のキャッシュフロー管理や資金計画シミュレーションにもつながります。私たち税理士法人加美税理士事務所では、診療科目問わず開業医の先生方を対象に、開業前からの節税設計をサポートしています。

スタッフ雇用を始めたばかりですが、福利厚生費で節税できますか?

はい、スタッフへの福利厚生費は一定の要件を満たせば全額経費となり、節税に有効です。たとえば健康診断費や親睦会費、制服購入費などは「福利厚生費」として認められます。開業直後のクリニックでは少額でも計画的に福利厚生を整備し、税務上の優遇を受けることが肝要です。当税理士事務所では、法人・個人を問わず、スタッフ雇用と節税対策の両立に向けたアドバイスを行っています。

医療法人にしたほうが節税できると聞きましたが、本当ですか?

はい、一定の利益水準に達したクリニックであれば、医療法人化することで法人税率が適用され、結果として個人の所得税よりも低税率で利益を残すことが可能になります。さらに、役員報酬の最適化や退職金制度の活用により長期的な節税効果が期待できます。ただし、法人化には設立・運営コストも伴うため、法人化のタイミングや法人化メリット・デメリットについては専門家との相談が不可欠です。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療機器のリース料や購入費も経費になりますか?

はい、診療に直接関係する医療機器のリース料や購入費用は必要経費として処理可能です。特にリース契約であれば月々の支払額をそのまま経費計上でき、キャッシュフローの安定にも寄与します。高額な医療機器の購入については減価償却により複数年にわたって費用配分が可能です。当税理士事務所では、医療機器の導入計画から節税シミュレーションまでサポートいたします。

青色申告をするとどんな節税効果がありますか?

青色申告を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられ、所得税・住民税の軽減に大きくつながります。また、専従者給与の経費化や赤字の繰越控除も可能です。節税の基本戦略として、開業初年度からの青色申告を強くおすすめします。
青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税目的で保険に入るのは意味がありますか?

節税対策として法人契約の保険商品(例:逓増定期保険など)を活用するケースがあります。掛金の一部または全部を経費計上できるため、キャッシュフロー調整や退職金準備とあわせて節税を図ることが可能です。ただし近年は税制改正もあるため、商品の選定には専門家のアドバイスが欠かせません。

個人事業主のままで節税できる制度には何がありますか?

iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済は、個人事業主にとって強力な節税ツールです。掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税の負担を抑えつつ将来資金の備えにもつながります。制度の併用も可能ですので、税理士法人加美税理士事務所ではその活用方法を個別にご提案しています。

消費税の課税対象になる収入とならない収入の違いは?

クリニックの場合、保険診療報酬は非課税売上、自由診療や物販収入は課税売上となります。課税売上高1,000万円超で消費税申告が必要となりますが、インボイス制度との関係も要注意です。
消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

自由診療が増えた場合の税務的な注意点はありますか?

はい、自費診療は課税売上に該当するため、消費税申告の義務や課税売上高の判定に大きく影響します。特にインボイス制度施行後は、取引先との請求書対応にも注意が必要です。売上構成が変わったタイミングでの見直しをおすすめします。

開業支援と節税対策は同時にお願いできますか?

もちろん可能です。当税理士事務所では開業支援から節税設計、会計ソフト導入支援まで一貫して対応しております。初回無料相談で経営初心者の不安にも丁寧にお答えいたします。
開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

税理士に丸投げしても節税効果は出せますか?

はい、当税理士事務所では会計ソフトがない状態でも経理をお引き受けし、丸投げでも効果的な節税が可能です。経験豊富な税理士が、収支分析・キャッシュフロー管理・所得分散などの視点から、最適な節税策をご提案いたします。

分院展開時の節税ポイントはありますか?

分院を設立する際は、法人化シミュレーションや役員報酬の見直し、法人間取引の適正化などを通じた節税が可能です。また、税務署対応や税務調査の対策も事前に準備しておくべき重要ポイントです。
分院展開について詳しくは下記のページをご覧ください。

税務調査を受けた際に節税対策が問題になることはありますか?

適法な節税対策であれば問題ありません。ただし、書類の整備や根拠説明が不十分だと否認されるリスクもあります。私たち税理士法人加美税理士事務所では税務調査対応に強く、事前準備から立会いまでオンラインでも対応可能です。
税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

スタッフの増員を考えています。節税と関係ありますか?

はい、スタッフの雇用増加に伴う人件費や福利厚生費は経費となり、節税に直結します。また、賃上げによる税額控除(所得拡大促進税制)も適用できるケースがあるため、積極的な人材戦略と税務計画をセットで検討することが重要です。

節税と脱税の違いを教えてください。

節税は法律の範囲内で納税額を抑える行為であり、脱税は違法に納税を免れる行為です。たとえば架空経費の計上や売上の未記録は脱税となり、重加算税などの対象になります。当税理士事務所では、適法な節税スキームのみをご提案し、税務署からも説明可能な処理を徹底しています。

医療法人を活用した相続対策や事業承継に節税効果はありますか?

はい、医療法人を活用することで、事業価値評価や退職金支給を通じて相続税・贈与税対策を講じることができます。後継者選定や持分対策を含めた総合的な事業承継支援をご希望の方は、以下のページもご覧ください。
事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

売上予測や資金繰り表を作成しておくと節税に役立ちますか?

はい、売上予測や資金繰り表を作成しておくことで、利益の見通しが立ち、最適な節税タイミングや投資判断が可能になります。期末の利益調整や節税策の選定にも大きく貢献します。当税理士事務所では資金繰りや収支分析のご支援も承っております。

医療法人化のタイミングはどう決めればいいですか?

一般的に利益が2,000万円〜3,000万円を超えると医療法人化の検討が現実的になりますが、分院展開や家族経営、退職金準備なども考慮に入れる必要があります。法人化のタイミングは節税だけでなく、経営戦略にも直結します。
法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

税理士との顧問契約は節税にどう役立つのですか?

顧問契約を結ぶことで、月次の収支状況をタイムリーに把握し、節税に向けた対策を前倒しで講じることが可能になります。また、税制改正への対応や、年度末に向けた利益調整、役員報酬の見直しなど、節税に直結するサポートを継続的に受けられます。

開業医ですが、経理が苦手です。節税はあきらめるべきでしょうか?

いいえ、ご安心ください。税理士法人加美税理士事務所では弥生会計をはじめとした様々な会計ソフトに対応しており、経理が苦手な方でも丸投げや低コストの代行プランをご用意しています。経理に自信がなくても節税は十分に可能です。

税理士を途中で切り替えても節税対策の支障はありませんか?

税理士の切り替えは可能であり、実務上もよく行われています。当税理士事務所では引継ぎ資料の確認や過去の申告内容の精査を行い、節税のチャンスを逃さず適切な対策をご提案します。顧問料や対応力などで不安があれば、お気軽にご相談ください。

節税対策の一環で青色事業専従者給与を活用すべきですか?

はい、家族がクリニックに従事している場合、適正な範囲内で青色専従者給与を支払うことで所得分散が可能となり、大きな節税効果が得られます。給与額や届出には注意が必要です。
青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税目的で事業承継を早めに準備する必要はありますか?

はい、医療法人の事業承継は節税対策と直結しており、特に出資持分のない医療法人では早期の準備が重要です。退職金の支給や役員構成の見直しも含め、計画的に進めることが税負担の軽減につながります。
事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

美容医療や自由診療が増えたときの節税で気をつけることは?

美容医療や自由診療の売上はすべて課税対象となるため、課税売上割合の上昇に伴う消費税申告義務やインボイス対応など、税務処理が複雑になります。売上構成の変化に合わせて早期に税務戦略を見直すことが必要です。

医療法人の役員報酬はどのように節税に影響しますか?

医療法人では役員報酬を設定することで、法人から個人への所得分散が可能になります。役員報酬には給与所得控除が適用されるため、法人・個人双方での節税効果を狙うことができます。ただし、期中での変更は原則不可のため、年度初めに綿密な計画が必要です。

分院設立時に法人化を検討すべきタイミングはありますか?

はい、分院展開を視野に入れた時点で法人化の検討をおすすめします。基本的に分院展開のためには医療法人化が必須だからです。また、法人間取引の整備やキャッシュフロー戦略、節税スキームの設計がしやすくなるためです。制度や手続きの詳細は、以下をご覧ください。
分院展開について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人設立後に節税の見直しは必要ですか?

はい、設立直後は法人税・役員報酬・福利厚生費・保険活用など、法人特有の節税戦略に移行する必要があります。特に退職金制度の設計は、将来に向けた重要な節税要素となります。定期的な見直しをおすすめします。

税務調査に備えて準備しておくべき書類は何ですか?

売上や経費に関する帳簿・領収書のほか、専従者給与の勤務実態記録、出張費や交際費の目的記録なども重要です。調査官が求める合理的な説明ができるよう、日頃から整理整頓を意識しましょう。
税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

法人化のシミュレーションはいつ依頼すべきですか?

法人化を検討しはじめた段階でのご相談が理想です。売上・利益状況、スタッフ構成、家族の働き方などを総合的に判断し、最適な法人化タイミングを見極めるためのシミュレーションをご提供しています。
法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税に強い税理士を選ぶポイントは何ですか?

医療業界に精通し、診療科目問わず実績のある税理士を選ぶことが大切です。制度の最新動向に明るく、税務調査対応力も備えたパートナーが理想です。私たち税理士法人加美税理士事務所ではフルリモート対応・低価格・柔軟対応により全国の医師をバックアップする体制を整えてあります。

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