税理士法人
加美税理士事務所

分院展開には、クリニック経営にもたらす多くのメリットがあります。主な利点として、診療圏の拡大による収益チャンスの増加、スケールメリットによるコスト削減、そして柔軟な人材配置による組織力強化が挙げられます。これらのメリットによって、クリニック全体の売上拡大と経営の安定化が期待できます。それぞれのポイントを詳しく見てみましょう。

分院を展開する最大のメリットは、クリニックの診療圏（患者さんが来院する範囲）が広がり、新たな収益チャンスを確保できることです。1つのクリニックだけでは地理的な集患範囲に限界がありますが、2院目・3院目と複数の拠点を構えることで、より広いエリアから患者さんを迎えることが可能になります。

例えば、本院ではカバーしきれなかった隣接エリアや、これまで通院が難しかった患者層にも分院を通じて医療サービスを提供できます。これにより新規患者層の獲得につながり、結果としてクリニック全体の売上増加が見込めます。また、分院展開によって自院の診療圏を押さえておけば、競合他院がそのエリアに進出してくるのを抑制できるため、自院グループのシェア防衛にもなります。地域の患者さんにとっても通いやすい身近なクリニック網が構築でき、経営面でも大きなメリットと言えるでしょう。

クリニックを複数運営することで得られるスケールメリット（規模の経済）は、経営効率の向上とコスト削減に寄与します。一つのクリニックでは実現できなかったまとめ買い効果や業務の集約によって、支出を抑えることが可能です。

• 物品調達コストの削減: 複数院で使用する医薬品や医療材料、消耗品を一括発注すれば、仕入れ単価の割引や卸業者との価格交渉力アップが期待できます。大量購入によって単価が下がり、各院あたりの材料費負担を軽減できます。
• 広告・マーケティングの効率化: 本院と分院で合同の広告戦略を取ることで、別々に宣伝するよりも費用対効果が高まります。例えば、一度の求人広告でグループ内の複数クリニックのスタッフ募集をまとめて行えるため、求人費用を全体として抑制可能です。
• 管理部門の集約: 会計や労務管理、物品管理などのバックオフィス業務を本部で一元化すれば、各院で個別に担当者を置く必要が減り、人件費の削減や業務効率の向上につながります。電子カルテや予約システムも共通化すれば、IT関連コストの分散効果も得られるでしょう。

このようにスケールメリットを活かして経費を削減できれば、利益率の改善や価格競争力の強化にもつながり、経営の安定性が高まります。

分院を展開すると、グループ全体の人材配置を柔軟に調整でき、組織としての総合力が向上します。スタッフ規模が拡大することで人員運用の選択肢が増え、単一院では難しかった課題にも対応しやすくなります。

• 人手不足への対応: 急な欠員や看護師の産休などが発生した際、他の分院から応援スタッフを派遣するといった融通が利きます。スタッフをグループ内でシフト調整できるため、各院の診療体制を安定して維持できます。
• スタッフの定着・士気向上: 複数のクリニックを運営することで、キャリアパスの拡大が可能です。優秀なスタッフを将来の分院マネージャーや主任に登用するなど、昇進の機会を提供できます。職場に将来の展望があればスタッフのモチベーションが上がり、離職率の低下につながります。
• 職場環境の改善: 人間関係のトラブルにも柔軟に対処できます。本院と分院間でスタッフの人事異動が可能になるため、「どうしても馬が合わないスタッフ同士を別の院に配置換えして双方のストレスを軽減する」など、組織として円満な職場環境を保ちやすくなります。
• 組織全体の学習効果: 複数院間で成功事例やノウハウを共有できるのも強みです。「本院で導入した新しい診療補助システムを分院にも展開する」といった形で、良い取り組みをグループ全体に波及させることができます。スタッフ同士が情報交換し刺激しあうことで、組織全体のサービス品質向上にもつながります。

このように、人材面での柔軟性と組織力の強化は、経営リスクの分散にも役立ちます。分院展開によって得られるチーム力は、将来さらに院数を増やす際の土台ともなるでしょう。

メリットが多い一方で、分院展開には注意すべき課題やリスクも存在します。特に重要なのが、資金計画の綿密さと人材配置の適切さです。十分な準備や対策なしに拡大すると、本院の経営まで圧迫されて失敗してしまう恐れもあります。ここでは、分院展開に伴う主な課題とリスク、そしてそれへの対応策について解説します。

新たにクリニックを開設するには、思いのほか多くの資金が必要です。物件取得費用（テナントの保証金や前家賃、物件購入費など）、内装工事費、医療機器の導入費用、開設前後の広告宣伝費、そして開業後しばらく赤字を補填する運転資金…。これらをどう調達し、どう管理するかが分院展開成否の鍵を握ります。

まず、分院開設にあたっては自己資金だけでなく銀行融資等の資金調達計画を立てましょう。1院目開業時と同様に金融機関への事業計画提出が求められる場合があります。分院のコンセプトや収支予測を明確に示し、必要な融資を確保することが重要です。

次に、開業後の資金ショートを防ぐために資金繰り表（キャッシュフロー計画表）を作成します。月ごとの収入と支出、手元資金残高の見通しを一覧にした計画表です。作成のポイントは以下の通りです。

1. 初期費用と固定費の洗い出し: 内装工事費用、医療機器購入費、保証金など開業までの初期費用と、家賃・人件費・光熱費など開業後の毎月の固定費を漏れなく計上します。
2. 慎重な収入予測: 開業直後は患者数が少ない前提で売上を保守的に見積もり、徐々に患者増を見込む現実的なシナリオを設定します。万一計画通りに患者が増えなくても最低限やっていけるラインを把握しておきましょう。
3. 資金調達とキャッシュフロー確認: 自己資金と銀行融資で必要資金を賄えるかシミュレーションし、返済開始時期も含めて資金繰りに組み込みます。各月の収支予測を積み上げ、途中で資金残高がマイナスにならないかチェックします。必要に応じて融資額の調整や支出カットを検討し、常に十分な余裕資金を確保できるようにします。

このように資金繰り表を詳細に作成しておけば、分院開設に伴う資金面のリスクを大きく軽減できます。逆に、資金計画が甘いと運転資金が底をつき、分院を軌道に乗せる前に撤退せざるを得なくなる可能性もあります。本院の収支に余裕があるうちに、2院目の資金計画を万全にしておきましょう。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

分院展開でもう一つ大きなハードルとなるのが、分院長となる医師やスタッフの確保です。法律上も、本院の院長が同時に複数の診療所を管理することは認められていないため（医療法により医師一人につき管理できる診療所は原則1ヶ所までと定められています）、分院には専任の管理医師（分院長）を置く必要があります。そのため、信頼できる医師を新たに招聘するか、現在本院に勤務している医師に分院長を任せるといった人事が求められます。

しかし、経験豊富で経営の責任を担える医師を確保するのは簡単ではありません。分院長の採用難易度は高く、人選ミスが分院経営の致命傷になるケースもあります。理想の分院長像は、診療スキルが高いだけでなく、院長先生（理事長）の経営方針や診療理念を共有できる人物です。価値観が合わない人を据えてしまうと、スタッフとのトラブルや患者離れを招きかねません。

この課題への対応策として、以下のポイントが挙げられます。

• 信頼できる人脈の活用: 分院長候補は、自院で勤務中の医師や大学時代の同期・後輩など、能力や価値観をよく知る医師から選ぶのが理想です。身近に適任者がいない場合は、医師の紹介会社を活用して分院長候補を探す方法も検討しましょう。
• 内部昇格・育成: すぐに適任者が見つからない場合は、将来的に分院長を任せられる勤務医を本院で計画的に育成する方法も有効です。例えば「○年後の分院開設を見据え、現在の副院長を分院長に昇格させる」といったプランを立てて人材育成を行います。開業志向のある医師にはのれん分け（分院長として独立開業を支援し、自院の分院として運営してもらう形）を提案するケースもあります。
• スタッフ採用計画: 看護師や受付スタッフなども早めに確保し、配置計画を立てましょう。本院のベテランスタッフに分院立ち上げを手伝ってもらい、新人は本院で受け入れるなどの柔軟なやり方も有効です。
• 退職リスクへの備え: 万一分院長が退職した場合に備え、非常勤医師のネットワークを作っておく、一時的に理事長自身が分院をカバーできる体制を検討しておくなど予備プランを用意しておきます。日頃から分院長と密にコミュニケーションを取り、働きやすい環境を整えることで退職リスクを下げる努力も重要です。

人材に関する課題は、金銭面の問題と並んで分院展開の成否を左右します。「人」が足りなくてはどんな戦略も実行できません。時間をかけてでも適切な人材を確保・配置し、人が定着する組織づくりを心がけましょう。

クリニックの規模が大きくなると、税務面でのリスクも増えてきます。複数院の収支を管理する中で経理処理や税務申告が複雑化し、ミスや漏れが生じるリスクが高まります。また、売上規模が拡大すれば税務署からの目も厳しくなり、税務調査（税務署による帳簿や申告内容のチェック）の対象となる可能性も高くなるでしょう。

こうした税務リスクを適切にマネジメントするため、以下の点に注意が必要です。

• 適切な会計管理: 本院・分院の収支を部門別に管理し、経費も科目ごとに正しく記帳するなど、複数院の会計体制を整備します。公私の混同を避け、申告漏れや経理ミスが起こらないようにしましょう。
• 税制優遇の活用: 分院開設に伴う設備投資では、中小企業向けの特別償却や税額控除など利用できる制度は積極的に活用しましょう。適切な節税策を講じて法人全体のキャッシュフローに余裕を持たせます。
• 税務調査への備え: 領収書や契約書類を日頃から整理・保管し、人件費や役員報酬の額などに不自然な点がないか定期的に確認します。税理士の助言を受けながら帳簿を整えておけば、税務調査があっても落ち着いて対応できます。

税務面の管理は専門知識が要求されるため、医療業界に強い税理士のサポートがあると安心です。複数院の経営を始めるタイミングで税務顧問を依頼し、節税も含めたトータルの財務戦略について助言を受けると良いでしょう。適切な税務対応を行っていれば、万一調査が入っても必要な書類が揃っているため慌てることはありません。日頃からの備えと専門家のサポートによって、税務リスクを最小限に抑えましょう。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

ここまで見てきたように、分院展開には資金や人材、税務など多方面の準備が必要です。実際に分院を設立・運営する際には、法人化や行政手続きといったフォーマルなプロセスも欠かせません。特に、個人でクリニックを経営している場合、2院目を出す段階で医療法人化を検討することが一般的です。また、分院開設にあたっては各種許認可や行政への届出が必要となります。さらに、開設後も適切な資金管理と長期的な経営ビジョンが求められます。このセクションでは、分院設立前後の具体的な手続きや運営上のポイントを解説します。

分院展開を進める上でまず検討すべきは医療法人化です。個人事業のままでは、法律上「同一の医師が2箇所の診療所を開設・管理する」ことが原則できないため、実質的に分院開設を行うには医療法人を設立する必要があります（既に1院目を医療法人で運営している場合はこの限りではありません）。医療法人とは、都道府県知事の認可を受けて設立する病院・診療所運営のための法人組織のことです。院長先生は理事長として法人の代表者となり、理事や監事といった役員を置いて組織的な運営を行います。

医療法人化のメリットとして、以下が挙げられます。

• 分院開設が可能になる: 医療法人になれば、法人を開設主体として複数の診療所を運営できます。法的に認められた形で多院経営ができるようになります。
• 税制上の利点: 法人化により所得は法人税課税となり、高収入でも税率が一定に近く抑えられます。また、院長や家族に役員報酬を支給して所得分散を図るなど、節税の幅も広がります（役員退職金の活用や社用車の経費計上など個人では難しい手法も可能）。
• 事業承継と信用力向上: 法人は半永久的に存続できるため、院長先生が引退・交代してもクリニック事業を継続しやすく、後継者へのスムーズな承継が可能です。組織として対外的な信用力も増し、金融機関から融資を受けやすくなる効果も期待できます。

医療法人の設立手続きの流れは以下の通りです。

1. 定款等の書類準備: 定款や設立趣意書、事業計画書、収支予算書、役員名簿など必要書類を作成します。法人名、所在地、診療科目、役員構成（理事長・理事・監事）など基本事項を決め、専門家に相談しつつ書類を整えます。
2. 都道府県への認可申請: 開設地を管轄する都道府県知事に医療法人設立の認可申請を行います。審査には通常数ヶ月を要するため、計画的に早めの申請が必要です。
3. 法人設立登記: 認可後、法務局で医療法人の設立登記を行い、法人が正式に成立します。登記完了により法人名義で契約や資産保有が可能になります。
4. 資産・事業の承継: 個人経営から移行する場合、既存クリニックの事業を新法人に承継します。これにより本院は「医療法人○○」による運営となり、同法人が新たな分院を開設できる体制が整います。

医療法人化には上記のように時間と労力がかかりますが、分院展開を見据えるなら避けて通れないプロセスです。各都道府県で認可の時期や要件が異なることもあるため、早めに情報収集し専門家に相談すると良いでしょう。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人が設立できたら、いよいよ具体的に分院の新規開設手続きに取りかかります。分院を開設する際には、所轄官庁への届出・申請や各種登録が必要です。主な行政手続きのポイントは次の通りです。

• 開設届の提出: 分院所在地の保健所または都道府県に診療所開設届を提出します。図面や設備一覧、管理医師の勤務形態などを記載した書類を準備し、施設基準を満たしているか確認を受けます。
• 保険医療機関の指定: 分院で保険診療を行うには、地方厚生局などに保険医療機関の指定申請を行い、開院までに認可を受ける必要があります。
• 各種許認可: 分院で特殊な医療行為や設備を導入する場合、X線装置の管理者届出など必要な許可申請も忘れずに行います。
• 法人関連の届出: 医療法人で分院を開設した場合、定款の事業所追加変更届を提出します。また税務署や年金事務所にも新設事業所の届出を行い、分院スタッフの社会保険手続きを済ませます。

これらの行政手続きは煩雑ですが、開業コンサルタントや行政書士のサポートを受けることでスムーズに進めることができます。当事務所でも専門家と連携してワンストップでの支援が可能です。特に保健所への開設届は書類不備があると開院が遅れる恐れがありますので、事前の確認と計画的な準備が重要です。開業日から逆算して余裕を持って申請を行うよう心がけましょう。

分院開設後は、本院・分院それぞれの収支を毎月把握し、計画から大きく逸脱していないか確認しましょう。法人全体の資金繰りも定期的に見直し、必要に応じて融資の追加や支出の見直しなど機動的に調整します。また、複数院がある場合は各院の数ヶ月分の固定費に相当する運転資金を手元に確保しておくと安心です。資金管理については専門家とも相談しながら進め、分院展開後も安定した財務体質を維持しましょう。

長期的なビジョンを描いて分院展開を進めることも忘れないようにしましょう。5年後・10年後にいくつのクリニックを運営したいか、そのためにどんな組織体制や人材育成が必要かを検討します。また、ご自身の引退時期や後継者の有無などライフプランも考慮し、無理のない拡大計画を立てることが重要です。専門家の力も借りながら、現実的で意欲的な長期戦略を策定しましょう。

分院の開設・運営には、診療以外にも資金計画や法的手続き、人材マネジメントなど多岐にわたる業務が発生します。それらを院長先生お一人で対応するのは大変な労力です。そこで心強いパートナーとなるのが、クリニック専門の税理士です。医療機関の経営支援に特化した税理士であれば、会計・税務はもちろん、開業や分院展開に関する様々な実務について豊富な知識と経験を持っています。ただの「数字を処理する税理士」ではなく、院長先生の良き経営アドバイザーとして、二人三脚で分院展開を成功へ導くサポートをしてくれるでしょう。ここでは、クリニック専門税理士である私たち税理士法人加美税理士事務所が提供できる具体的な支援内容について紹介します。

クリニックに強い税理士である当事務所は、経営のアドバイザー役として重要な役割を果たします。いわば「ドクターサポート税理士」として、財務・税務の枠を超えて幅広い経営相談に乗ることができる存在です。

例えば、分院展開を検討する段階では、一緒に事業計画のブラッシュアップを行い、収支シミュレーションを詰めることができます。開業採算性の分析（何人患者が来れば黒字になるか、設備投資の回収に何年かかるか等）や銀行融資を受けるための書類作成支援など、具体的かつ実践的なアドバイスを行います。金融機関との交渉経験が豊富な税理士であれば、どの銀行にどうアプローチすれば有利な条件を引き出せるか、といった戦略も相談でき、心強いでしょう。

また、分院開設後の経営管理についても継続的にサポートが受けられます。月次決算書や試算表の読み方をレクチャーしてもらい、クリニック経営の健康診断を行うような形で経営状況をチェックできます。売上の伸び具合や経費率、人件費率などの指標を専門家の目線でチェックし、「もう少し広告費をかけても大丈夫」「人件費率が高めなので改善策を考えましょう」など具体的なアドバイスをいたしますので、心強く感じていただけるはずです。医療機関専門の税理士として他院の事例研究を重ねているため、他院の事例を踏まえた現実的な助言を行えることも強みと言えます。

分院展開にあたっては、法人化や大きな設備投資などが絡む分、税務戦略をしっかり立てることで節税につなげる好機となります。当事務所は、クリニック専門税理士として医療業界特有の税制優遇や経営手法を熟知しており、分院展開に合わせた最適な節税策を提案いたします。

例えば、2院目開設に合わせて医療法人化を選択した場合、院長先生の役員報酬を適切に設定することで法人・個人トータルの税負担を軽減するシミュレーションを行います。ご家族を従業員や役員にして給与を支給することで所得分散を図るといった組織内での節税策も、税務上問題ない範囲であれば検討します。

また、分院開設時の大きな設備投資については、減価償却のタイミングを調整することで節税を図ります。開設初年度に特別償却の制度などを活用して費用を多めに計上し、利益を圧縮することで税負担を軽減します。逆に初年度大幅な赤字が見込まれる場合は繰越控除を活用し、翌年度以降の黒字と相殺することで長期的に税負担を平準化します。

このように、クリニック専門税理士と一緒に最適な税務戦略を立てれば、分院展開後の納税額を最小限に抑え、浮いた資金を次の投資やスタッフ増強に回すことも可能になります。

クリニック専門税理士である当事務所は、現在の分院展開だけでなく将来的な医療法人組織の拡大まで視野に入れてアドバイスを行います。医療法人として分院を増やしていくと、組織規模が大きくなるにつれ経営管理の手法も変化していきます。そうした段階に備え、早めに取るべき施策について助言いたします。

例えば、3院目・4院目と展開していく場合、各分院長だけでなく統括管理者（エリアマネージャーや事務長）を置くことを検討するタイミングが来るでしょう。当事務所の税理士は、財務データから判断して「そろそろ院長先生一人で全院を見るのは難しくなっています。管理体制を見直しましょう」といった適切な提言を行います。そして、その際に増加する人件費を賄うための利益目標や、組織変更に伴うコスト計算などについても一緒に検討いたします。

また、場合によっては他院のM&A（クリニック同士の合併・譲渡）による事業拡大を提案させていただくこともあります。エリア内に条件の良い譲渡案件があれば、ゼロから分院を新設するよりも譲り受けた方が早いケースもあるからです。医療機関のM&Aに詳しい税理士事務所であるため、適切な企業価値評価や財務デューデリジェンスのサポートすることができますし、買収後の経営統合についても助言いたします。

さらに、医療法人のガバナンス強化や内部統制の構築についても相談していただけます。複数院体制では、理事長の目が届かないところで不正やミスが起こるリスクが高まります。そこで、定期的な内部監査の仕組みやスタッフによる自主チェック体制の導入など、具体策についてアドバイスをいたします。経営コンサルの観点から、クリニックグループ全体の経営改善プロジェクトを請け負うこともできます。

このように、クリニック専門税理士である加美税理士事務所は目先の数字を見るだけでなく、法人全体の成長ロードマップに伴走してサポートいたします。長期的なお付き合いの中で、経営者のパートナーとして頼れる存在となれるように精一杯支援させていただきます。

「自分のクリニックは特殊な科目だから、一般的な開業事例は当てはまらないのでは？」と不安に思う院長先生もいるかもしれません。しかし、クリニック専門の税理士事務所でるため、診療科目を問わず医科・歯科それぞれの業界特性を踏まえた分院展開支援に対応できる知識と体制を整えています。

内科・小児科・美容系クリニック・歯科など様々なケースの支援ノウハウがあり、診療科目ごとの収益構造や保険制度の違いなど業界特性も熟知しています。また、科目により異なる課題（美容系なら集患とカウンセリング重視、歯科なら技工所との連携管理など）にもきめ細かく対応し、それぞれの院長先生の不安を解消いたします。

要するに、診療科や地域を問わずクリニックの成長支援に対応できるよう、業界知識と支援体制を整えている税理士であるため、専門用語が多い税務や会計の話でも医師の先生方にわかりやすく噛み砕いた説明をさせていただくことができます。科目に特化した知識と豊富なノウハウを持つ私たち加美税理士事務所は、頼れる経営パートナーとなるべくきめ細やかなサポートを心がけております。

「分院展開に興味はあるが、何から手を付ければ良いかわからない」「メリットもリスクも理解した上で専門家の意見を聞きたい」という場合は、ぜひ一度クリニック専門税理士である当事務所への相談を検討してみてください。分院展開の構想段階から実現に向けた準備、開設後のフォローまで、一貫してサポートを受けることができます。初回の相談は無料で承っています。オンラインでの対応も可能です。

クリニックの事情に精通した税理士事務所であるため、ヒアリングを通じて院長先生の現状の課題や将来の目標を把握し、それに沿ったアドバイスを提供することができます。適切なタイミングや資金計画について具体的な見通しが得られれば、分院展開への不安も和らぐはずです。また、時期尚早であれば「まずはもう少し本院の基盤固めに集中しましょう」など率直な助言をいたします。そういった信頼できる専門家の特徴を備えた税理士が当事務所には在籍しています。

もちろん、相談いただいたからといって必ず分院を開設しなければならないわけではありません。将来の選択肢として話を聞くだけでも、今後の経営判断に大いに役立ちます。相談を通じて具体的なプランが見えてくれば、実行に移す際には各種手続きや詳細なシミュレーションまでトータルで支援を受けられます。

クリニック経営は本業の診療と並行して行うため、多店舗経営ともなると一人で抱えるには限界があります。信頼できるクリニックに精通した税理士とタッグを組むことで、分院展開のプロジェクトをスムーズに進め、成功率を高めることができます。【「餅は餅屋」】のことわざのように、専門家の知見を上手に活用して、理想のクリニックグループ実現に向けて一歩を踏み出してみませんか。

最後に、クリニック経営者のフェーズ別に、分院展開を考える際のポイントを整理してみましょう。開業前の若手医師、現在1院経営中の開業医、複数院を束ねる医療法人理事長、そしてベテラン院長と、立場や経験によって分院展開の考え方や注意点は異なります。それぞれの視点からアドバイスを述べますので、ご自身の状況に近いケースを参考にしてみてください。

これからクリニックを開業しようと準備中の若手医師の方にとっては、まず1院目を成功させることが最優先です。しかし、もし将来的に複数院展開も視野に入れているなら、開業前から2院目計画を意識しておくと良いでしょう。長期的な視点でスタートを切ることで、後々スムーズに分院展開へ移行できます。

• ポイント: 将来の分院展開を視野に、1院目の開業形態（個人事業か医療法人か）を検討しましょう。また、クリニック名やサービス内容も後々のブランド展開を意識し、スタッフ教育や診療マニュアルを整えて2院目への横展開に備えておくと安心です。

既にクリニックを開業し、院長として日々診療と経営にあたっている先生にとって、2院目を開設するべきかどうかは大きな決断です。経営が軌道に乗ってくると「次の分院を」と考え始めるタイミングが訪れますが、拡大戦略を実行に移す前に、改めて資金計画と税務面の対策を練る必要があります。

• ポイント: まず現在のクリニック経営が十分に安定しているか確認し、拡大のタイミングを見極めましょう。資金調達と返済計画を綿密に立て、必要に応じて医療法人化など税務戦略も検討しながら、無理のない形で2院目開設に踏み切ることが大切です。

既に医療法人の理事長として本院を経営している先生にとっては、分院展開は比較的取り組みやすい状況と言えます。法人という器が整っているので、あとはタイミングと具体策次第です。法人組織の強みを活かしながら、着実に分院開設を進めましょう。

• ポイント: 法人組織の強みを活かし、事務長や理事などとチームを組んで分院開設プロジェクトを進めましょう。分院長候補を理事に加えて経営方針を共有し、本部機能の強化など組織全体で効率的に多院展開に取り組むことが成功の鍵です。

長年一つのクリニックを切り盛りしてきたベテラン院長の先生が、安定運営から次の一手として分院展開を考えるケースもあります。経験豊富な院長先生だからこその強みを活かしつつ、無理のない形で事業拡大を図るポイントを押さえましょう。

• ポイント: 地域で築いた信頼を武器にしつつ、後継者となる若手医師に分院を任せて段階的に経営を引き継ぐなど、無理のない形で展開しましょう。院長先生ご自身の体力やプライベートも考慮し、決して焦らず一歩ずつ拡大していくことが重要です。

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