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不動産業の経費計上と法人税・節税ポイント総まとめ
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不動産業の経理では、経費計上の適切さが節税と経営管理の要となります。現金出納の多い不動産取引では、どの費用を経費(必要経費)として計上できるかを正しく理解し、証憑をきちんと残すことが肝心です。特に不動産業界特有の費用(例:広告宣伝費や紹介手数料、保証料など)は科目選択や処理方法に注意が必要です。また、業態ごとに収支構造が異なるため、経費計上のポイントも異なります。このセクションでは、不動産業の4つのビジネスモデル別に、経費計上の重要ポイントを解説します。税務調査を意識した注意点も織り交ぜますので、将来の調査リスクに備えた経理体制づくりの参考にしてください。
賃貸物件の仲介を行う「賃貸仲介業」では、日常的に発生する様々な費用を適切に経費計上することで、節税メリットを最大限享受できます。経理初心者の方でも把握しやすいよう、代表的な必要経費とその勘定科目、計上時のポイントをまとめます。
- 広告宣伝費:空室物件の入居者募集にかかる費用です。物件情報サイトへの掲載料、ポータルサイト(例:SUUMOやホームズ等)の利用料、チラシ作成費用などが該当します。不動産業に精通した税理士の立場から言えば、広告費は経費計上漏れがないよう注意が必要です。小さな不動産会社ではつい個人立替した広告費の精算を忘れがちなので、領収書を月次でまとめ、漏れなく経費計上しましょう。
- 業務委託費・支払手数料:他社の仲介業者に客付け(入居者紹介)を依頼した際の成功報酬などが該当します。これらは支払手数料あるいは販売促進費として計上可能です。一方、支払った紹介料などは経費となり節税につながります。仕訳処理を誤ると税務調査で指摘されることがあるため、証拠となる契約書や請求書を保管して正確に処理しましょう。
- 事務所家賃・地代家賃:店舗や事務所の家賃は地代家賃科目で経費計上できます。不動産仲介業は来店型のビジネスですのでテナント料がかさみますが、忘れず経費に算入しましょう。事務所が自宅兼用の場合は、使用部分按分で経費計上できますが、このケースは税務調査でプライベートとの区分を確認されやすいため、合理的な按分基準を用意してください【※税務調査を意識した注意点】。
- 交通費・通信費:物件案内の際の交通費(ガソリン代・駐車場代、電車代等)は旅費交通費で処理します。また、お客様やオーナーとの連絡に使う電話代やネット通信費は通信費科目で経費になります。営業車両のガソリン代・高速料金も忘れず計上しましょう。社用車がある場合、車両関係費(ガソリン・自動車保険・車検代)もすべて必要経費です。
- 接待交際費:オーナーとの関係構築や営業活動で発生する接待費用(飲食代や贈答品)は接待交際費として経費計上できます。ただし中小法人の場合、年間800万円超の接待交際費は損金不算入(経費にできない)となる点に留意が必要です。支出目的や参加者等をしっかり記録し、税務署に説明できるようにしておきましょう(領収書の裏に用途メモを書くなど)。
以上が賃貸仲介業で経理初心者の方でも押さえておきたい主な経費です。特に広告宣伝費や紹介料は仲介業に特徴的な費用であり、正しく経費化することで法人税対策になります。日々の領収書管理と会計ソフトへの入力をこまめに行い、決算前に経費漏れがないか税理士にチェックしてもらうと安心です。当税理士事務所でも不動産仲介業のお客様には経費科目の整理からサポートしていますので、「この費用は落とせるのかな?」という疑問もお気軽にご相談ください。
不動産の売買仲介業(売買物件の仲介)は、1件あたりの取引金額・手数料が大きい反面、成約までの広告コストや他社との手数料シェアなど、収支の変動も大きい業態です。ここでは、売買仲介における経費計上のポイントとして、広告費の扱い方と粗利管理のコツを解説します。
- 広告宣伝費の計画的活用:売買仲介では高額物件の集客のため広告宣伝費が嵩みがちです。ネット広告(不動産ポータルサイトへの掲載料)や折込チラシ、モデルルームの設営費用など、多額の販促費用が発生します。これらは販売費および一般管理費として全額経費計上できますが、粗利(売上総利益)に対する広告費の割合を常に意識することが大切です。自社の広告費率を把握し、費用対効果の低い広告は見直すことで、無駄な支出を抑えられます。広告費は節税にはなりますが、使い過ぎれば本末転倒です。計画的に予算配分し、「経費=戦略的投資」の視点で支出しましょう。
- 共同仲介時の手数料精算:売買仲介では、他の不動産会社と共同で契約をまとめるケースも多く、その際の手数料分配があります。たとえば、片方が売主側、もう片方が買主側の仲介を担当し、仲介手数料を折半するような場合です。この際、自社が他社へ支払った金額は支払手数料(または仕入高)として経費処理できます。逆に他社から受け取った分は売上計上します。一見売上総額が大きく見えても、他社へ支払う取り次ぎ手数料を差し引いた粗利が自社の実質的な利益です。経理上は適切に仕訳し、社内管理上も1件ごとに「売上-支払手数料=粗利益」を算出しておくと、案件別の採算管理に役立ちます。税務上も、手数料支払いの事実を示す契約書・領収書を備えておくことで、調査の際に費用計上の妥当性を説明できます。
- 粗利率のモニタリング:売上総利益(粗利)率を定期的にモニタリングしましょう。粗利率とは「(仲介手数料収入-直接原価)÷仲介手数料収入」で算出します。直接原価には上記の他社への手数料や、特定案件の広告費(例えば販売物件専用の広告を出した費用)などを含めます。粗利率が低下している場合、広告費がかかりすぎているか、手数料割引などで収入自体が減っている可能性があります。早めに原因を分析すれば、次年度以降の営業戦略や経費見直しにつなげられます。特に売買仲介では一件あたりの利益額が大きいため、税務調査を意識した注意点として、計上漏れや架空経費の計上がないよう注意しましょう。高額な接待交際費や成功報酬の扱いは正当に処理し、社内でも承認フローを設けておくことが望ましいです。
以上のように、売買仲介業では広告費用のコントロールと粗利管理が経費計上のポイントとなります。短期的な節税だけでなく、長期的な利益率の維持向上を視野に入れて経費を使うことが大切です。税理士法人加美税理士事務所では、不動産売買仲介業者様向けに経費分析レポートの提供や、節税と業績管理を両立するアドバイスも行っております。経費の使い方に不安がある方はぜひ専門家にご相談ください。
サブリース業(不動産の一括借上げ・転貸業)では、オーナーから物件を借り上げて第三者に又貸しするため、常に空室リスクと隣り合わせです。このビジネスモデル特有の経費計上ポイントとして、空室が発生した場合の費用負担や収支調整について説明します。
- オーナーへの支払賃料の扱い:サブリース会社は物件オーナーに対し、契約で定めた保証賃料を定期的に支払います。これはサブリース会社にとって仕入れまたは原価に相当する費用であり、経理上は地代家賃あるいは支払家賃等の科目で経費計上されます。オーナーへの支払賃料はたとえ空室でも発生する固定費ですので、毎月確実に経費として計上し、損益を把握しましょう。サブリース契約では通常、入居者から受け取る家賃の7~9割程度をオーナーに支払うケースが多く、その差額がサブリース会社の粗利(保証料)となります。この粗利部分から営業経費と利益を捻出する構造のため、オーナーへの支払賃料という固定経費が収支に占める割合は極めて大きいです。
- 空室損失への備え:入居者がいない空室期間中は、サブリース会社はオーナーへ賃料を支払い続ける一方で、自社には家賃収入が入りません。これが空室損による収益圧迫です。経費計上上は、空室でもオーナーへの支払賃料は通常どおり経費となります。したがって、空室が増えると会社の経費総額は変わらなくても収入が減り、利益が圧縮されます。節税という観点では利益圧縮は一見プラスに思えますが、実際には本業が赤字になっては意味がありません。空室リスクに備えた経費処理として、普段から満室時に得た利益の中から一定額を内部留保し、空室発生時の赤字補填に充てる資金計画が重要です。会計上、将来の空室に備えて引当金を積むことは原則できません(発生していない損失は経費計上できません)が、経営管理上は「空室損失予備費」をシミュレーションしておきましょう。また、場合によっては家賃保証保険等の商品を活用し、保険料を経費にしつつ万一の空室損を補填することも検討できます。
- その他の経費(管理費・修繕費等):サブリース契約の内容によっては、小修繕や入居者募集広告をサブリース会社側が負担する場合もあります。その場合、修理代は修繕費、募集広告費は広告宣伝費として経費計上されます。また、入退去時のクリーニング費用や設備交換費用なども契約上どちらが負担するか確認が必要です。サブリース会社側で負担するコストは漏れなく経費とし、どの物件(契約)に紐づく支出か社内で把握しましょう。物件ごとの収支管理(プロパティごとの収益貢献度分析)が重要で、これがプロジェクト収支管理にも通じます。税務上も、物件別の収支資料を備えておくと、税務調査を意識した注意点として「この物件は空室で赤字だった」という説明がしやすくなります。調査官から見ると、経費が多い=利益が少ない場合にその理由を知りたがりますので、空室によるものだと明確に示せれば安心です。
- 消費税の取扱いに注意:サブリース業では収入の大半が住宅の家賃収入で消費税非課税となる一方、関連する支出(募集広告費や管理費用など)は課税仕入れで消費税を含むものが多くあります。そのため、消費税の計算上仕入税額控除が十分に受けられず、実質的に消費税分がコスト高になる点に注意しましょう。この点については後述の「不動産業の消費税対策」で詳しく説明します。また、消費税について詳しくは「消費税の特集ページ」をご覧ください。
以上、サブリース業では空室リスクを織り込んだ経費計上と収支管理が要となります。経費そのものは他業態と同様に正確に計上しつつ、空室による収入変動を睨んだ保守的な資金計画が求められます。当税理士事務所でもサブリース事業を手掛けるクライアントに対し、物件別収支の分析や節税と利益確保のバランスについて助言しております。「空室が増えたら税金はどうなる?」といった素朴な疑問も含め、何でもご相談いただければと思います。
建売業(開発分譲・戸建て建売販売)では、土地の取得から建物の建築・販売まで一連のプロジェクトを経て収益を上げるため、他の不動産業とは異なる原価管理とプロジェクト収支管理が求められます。この業態における経費計上の特徴と重要ポイントを解説します。
- 土地・建築費の原価計上:建売用に取得した土地代金や建築工事費は、取得した時点では仕掛品(在庫)として資産計上し、物件を販売した時に売上原価として一括計上します。したがって、販売が完了するまでこれらの支出は損益計算書上は経費に現れません。経理処理としては、プロジェクトごとに土地代・建築費・造成費などを台帳で管理し、物件引渡し時に取りまとめて原価計上する流れです。税務上も、この在庫計上と売上原価算出を適正に行うことが重要で、期末に売れ残った在庫(土地・建物)については経費にならず課税所得を押し上げる点に注意が必要です。可能であれば決算期の前に契約・引渡し時期を調整し、利益の偏りを平準化することも一案ですが、これはあくまで事業上の都合との兼ね合いになります(税務調査を意識した注意点:意図的な期ずらしが行き過ぎると指摘対象になり得るため、実態に即した範囲で行うことが肝要です)。
- 原価管理の徹底:建売事業では一件一件のプロジェクトにかかる原価が非常に重要です。原価管理とは、各プロジェクトの予定原価と実行原価を管理し、差異を分析することです。具体的には、土地代・建築請負費・外注費・許認可費用・造成やインフラ引込費用など、あらゆるコストを一覧化し、当初予算と比較します。予定より原価超過していれば原因を究明し、次回以降の事業にフィードバックします。経費計上の場面では、適切に工事進行基準や完成基準を使い分け、支出のタイミングで費用化すべきもの(販売促進費や人件費等の期間費用)と、売上原価として集計すべきもの(直接工事費等)を区分します。小規模な建売業者ではエクセルでプロジェクト収支を管理していることが多いですが、経理担当者は工事台帳やプロジェクト別損益表を作成し、常に最新の原価累計を把握しましょう。税理士も決算時にプロジェクト別の利益率を確認し、異常値があればヒアリングしますので、社内で説明できる体制を整えておくことが望ましいです。
- プロジェクト収支管理の重要性:建売業では「1件売れば大きな利益が出るが、売れ残れば大きな在庫リスクを抱える」という極端な収支構造になりがちです。したがって、プロジェクト収支管理(プロジェクト単位での収支予測と実績管理)が特に重要です。複数の建売分譲を並行して行う場合は、それぞれの販売見込時期・見込利益を一覧化し、会社全体の資金繰りと税金予測に役立てます。例えば、今年度A分譲で大きな利益が出そうだがB分譲は来期に繰り越し――といった場合、今年度の法人税負担が大きくなりすぎないよう決算対策を検討します。必要であれば、節税策として決算前に設備投資を行ったり、役員報酬や賞与の支給を調整したりといった手段もあり得ます(これらについては後述する法人の節税策で説明します)。重要なのは、プロジェクトごとの利益が会社全体の税負担にどう影響するかを把握しておくことです。税理士法人加美税理士事務所では、不動産開発業者向けの決算シミュレーションも実施しておりますので、大型プロジェクトを控えている際などはぜひ早めにご相談ください。
以上、建売業では原価管理とプロジェクト収支管理を通じて経費計上と利益計算を正確に行うことが求められます。在庫や原価計上ルールを誤ると、納税額にも大きく影響しますので、専門家のチェックを受けることをおすすめします。実際、税務調査では開発物件の原価配分や棚卸資産の評価がチェックポイントとなります。不安があれば事前に税理士に確認し、適切な経理処理で臨みましょう。
ここまで不動産業の業態別に経費計上のポイントを述べてきましたが、続いて法人企業として活用できる節税策の基本を解説します。法人税の仕組みや考え方を理解し、計画的に対策を講じることで、合法的に納税額を抑えることが可能です。ただし節税策は「やり過ぎる」と資金繰り悪化や将来的な負担増につながる恐れもあります。税務調査を意識した注意点も踏まえ、無理のない範囲で実行することが肝心です。
以下では、不動産業における法人税の基本と節税の考え方、特に設立初年度に検討すべき対策、消費税に関する基礎知識、そして法人化による節税メリット(個人事業の青色申告との違い)について順番に見ていきます。
まず、法人税の基本的な仕組みを押さえておきましょう。法人税等(狭義の法人税に加え、地方法人住民税・事業税を含む)は、法人の課税所得(益金-損金)に対して課されます。不動産業だからといって特別な税率が適用されるわけではなく、一般の法人と同じく原則23.2%の法人税率(課税所得年800万円以下の中小法人は15%の軽減税率適用)に加え、住民税・事業税が課税され、実効税率は約30%前後になります。
節税策を考える際、基本となる考え方は「課税所得をいかに減らすか」です。課税所得を減らす方法は大きく2つあります。
- 益金(収入)を繰り延べる or 圧縮する:収入の計上時期を遅らせたり、非課税枠を活用したりして、一時的に利益計上を抑える方法です。ただし不動産業では収入は契約や引渡しなど事実に基づき発生するため、意図的な繰延べには限界があります。売却益に対する圧縮記帳(固定資産を売った利益で新たな資産を買った場合の特例)などは不動産売買で活用できるケースがありますが、適用要件が厳しいです。どちらかというと次の「損金を増やす」方が節税の本流になります。
- 損金(経費)を確実に計上・増やす:必要経費を漏れなく計上し、可能な範囲で費用を先行計上する方法です。例えば減価償却費は耐用年数に沿って計上しますが、中古耐用年数を適用する、定率法を選択できる資産は早めに償却する、30万円未満の少額減価償却資産は購入時に一括損金算入する(中小企業の特例)などがあります。また、役員報酬や賞与の支給、退職金の準備なども節税メリットを生む損金算入策です。不要な支出を増やすのは本末転倒ですが、「将来必要な投資を前倒しする」「役員給与の適正化」等により税負担を平準化するのは有効です。
節税の考え方として重要なのは、節税と企業成長のバランスです。税金は利益に対するものであり、利益が出ているということは本業が順調な証でもあります。むやみに利益を圧縮しすぎて社内留保が減り、投資余力が削がれては本末転倒です。「使える経費は使い、残す利益は残す」というメリハリが肝心と言えるでしょう。また、税務調査の視点では、過度な節税スキーム(例えば不自然な時期ずらしや、経費とは認め難い支出の計上)は後々否認リスクを伴います。専門家である税理士に相談しながら、合法かつ健全な節税策を採用することが大切です。
不動産業の法人に特徴的な節税ポイントとしては、減価償却費の大きさや在庫調整があります。建物や設備の減価償却費は毎年計上できますし、耐用年数短縮の特例(特定の資産に対する割増償却)などがあれば活用できます。在庫(土地・建物商品)の評価損は基本認められませんが、時価が著しく下落した場合には評価減の検討も可能です。また、不良債権の貸倒引当など一般業種では使えない繰入も、不動産賃貸業で一定の要件を満たせば認められるケースもあります(ただし大口貸付金が対象になることが多く、通常の賃貸借の未収家賃程度では難しいでしょう)。
最後に、節税策は単年度だけでなく中長期的な視点で考えることも必要です。今年は大幅に税負担を減らせても、翌年以降その反動で課税所得が増えればトータルでは変わらないか、却って不利になることもあります。不動産業は景気変動やプロジェクト収支で利益が凸凹しやすいため、損失の繰越や利益の繰延を組み合わせ、数年単位で平準化する発想が有用です(※この点、後述の青色申告の項で損失繰越について触れます)。また、将来の事業承継まで見据えた税金戦略も重要ですが、その詳細はまた別の機会に譲ります。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。
法人を設立した最初の年(第1期目)は、税務上いくつか特別な対応やチャンスがあります。不動産業に新規参入・法人化した場合、初年度から賢く税務対策を講じることで、その後の運営がぐっと楽になります。ここでは、設立1期目にぜひ検討していただきたい税務上のポイントを整理します。
- 青色申告の承認申請を忘れずに:法人を設立したら、原則として自動的に青色申告法人として扱われますが、正式には所轄税務署に「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります(設立後3ヶ月以内、または第1期の期末までの早い方が期限)。青色申告のメリットは、欠損金(赤字)の繰越控除が最大10年間認められることや、一部の準備金計上が可能になることです。特に不動産業は初期投資が大きく初年度赤字になりがちですので、青色申告の適用でその赤字を次年度以降の利益と相殺できるようにしておくことが重要です。青色申告について詳しくは「青色申告の特集ページ」をご覧ください。なお、法人の場合、個人事業のような青色申告特別控除(最大65万円)はありませんが、帳簿を整備して青色であること自体が各種特典の前提となります。
- 設立費用・開業費の取り扱い:会社設立時には定款認証や登録免許税、設立代行手数料など様々な創立費がかかります。また、営業開始までの調査費用や広告宣伝費、開業準備の人件費等は開業費という勘定で扱えます。これら創立費・開業費は、支出時に一旦資産計上し、任意のタイミングで償却(経費化)できます。初年度の法人税対策として、利益が出そうであれば全額を損金算入してしまうことで課税所得を圧縮できますし、逆に初年度大幅赤字なら償却を繰り延べて翌期以降に負担を回す選択もあります。自社の損益状況を見極め、計画的に費用化すると良いでしょう。
- 減価償却方法・耐用年数の検討:不動産業では事務所の什器備品、社用車、業務用パソコンなど設備投資も発生します。購入した資産は原則として法定耐用年数に従って減価償却費を計上しますが、減価償却方法(定額法 or 定率法)を選択できる資産については、初年度に税務署へ届出を出すことで有利な方法を適用できます。中小企業の場合、多くの減価償却資産は定率法がデフォルトですが、敢えて定額法にすることで償却を緩やかにし利益を平準化する、といった発想も場合によってはあります。逆に節税重視なら初年度から定率法で早期償却し、キャッシュを確保する手もあります。また、取得価額が10万円未満のものは消耗品費として即時経費化、10~20万円未満も一括償却資産として3年均等償却が可能です。30万円未満の償却資産については中小企業の特例で年間300万円まで一括損金算入できます。初年度に何をどれだけ購入するかで減価償却費は変わりますので、購入タイミングも含め検討しましょう。
- 消費税の事業者区分に留意:資本金1,000万円未満で設立した法人は、原則として設立1期目と2期目(※)は消費税の納税義務が免除されます。不動産業の場合、売上が少なく初年度免税となることも多いですが、もし初年度に大きな設備投資や不動産購入を行い、仕入税額控除を受けたい場合はあえて課税事業者を選択することも考えられます。課税事業者選択届出を出せば消費税申告・納税義務が発生しますが、大きな消費税還付を得られるケースもあります(例:課税売上ほぼ無いが課税仕入れが多額にある場合など)。この判断は専門的なシミュレーションが必要なので、税理士と相談してください。いずれにせよ、初年度の売上見込みや仕入税額を把握し、消費税の扱いを検討することも重要なポイントです。※2期目は特定期間における課税売上高等の判定により課税事業者となることがあるため注意が必要です。
- 各種届出・制度の活用:法人設立後は、税務や社会保険に関する多数の届出が必要ですが、中には初年度において特に有効な節税制度もあります。たとえば、「欠損金の繰戻還付制度」は青色申告の中小法人が初年度に赤字・2期目黒字となった場合に、初年度の赤字を繰り戻して税金の還付を受ける制度です(設立2期内に限定の特例)。他にも、従業員を雇っていれば雇用促進税制の適用要件チェック、交際費の定額控除枠利用、少額減価償却資産特例の活用など、見落としがちな節税策があります。初年度は何かと手続きに追われますが、税理士と一緒に一つ一つ検討していくことで、後から「しまった!」とならずに済みます。
以上が設立1年目の主な法人税対策ポイントです。要約すると、「使える制度は使い、計画的に損金経理し、将来に備える」ということになります。特に不動産業は初期投資型のビジネスが多いため、最初の年にしっかり整えておくことで2年目以降の節税余地が広がります。当税理士事務所でも新設法人の税務顧問として、初年度から丁寧にサポートしておりますので、「何から手を付ければ良いかわからない」という方もお気軽にご相談ください。
不動産業に携わる法人にとって、消費税の取り扱いも重要なテーマです。不動産取引は、消費税法上非課税となるものと課税となるものが混在するため、消費税の計算や対策には業界特有の注意点があります。ここでは、不動産業における消費税の基礎知識と、押さえておきたいポイントを解説します。
- 非課税売上と課税売上の区分:不動産に関する収入で消費税が非課税となる代表例は、住宅の賃貸料と土地の譲渡です。居住用のアパート・マンションの家賃や、駐車場としてでなく純粋な土地を売った場合の代金には消費税はかかりません(非課税取引)。一方で、事業用不動産の賃料(オフィスや店舗の家賃)や、建物部分の売買代金、不動産の仲介手数料などは消費税の課税対象です。例えば、不動産仲介業者が受け取る仲介手数料は課税売上です。また、駐車場収入(月極駐車場など)は課税対象になります。このように、自社の売上が「非課税」と「課税」でどの程度含まれるかを把握することが、消費税対策の第一歩です。
- 消費税課税事業者になる基準:法人の場合、原則として基準期間(通常、前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超であれば当年度は消費税の課税事業者となります(前々期がない新設法人は上述のとおり原則2期免税)。不動産業は一件の売上が大きいこともあり、売買仲介手数料や建売の物件販売収入があるとすぐに1,000万円を超えて課税事業者になるケースが多いです。課税事業者になったら、売上に対して原則10%を預り消費税として納める一方、仕入や経費に含まれる消費税(課税仕入れの消費税)は仕入税額控除できます。ただし前述の通り、住宅家賃など非課税売上には仕入税額控除の適用がありません。課税売上と非課税売上を両方行っている場合、仕入税額控除も按分計算(課税売上割合に応じた控除)となるため、不動産賃貸業主体の会社では払い損の消費税が発生しやすいです。この点を念頭に置き、例えば設備投資の時期を課税売上が多い年に合わせるなどの工夫が考えられます。
- 簡易課税制度の検討:課税事業者には、本則課税の代わりに簡易課税制度を選択できるケースがあります。基準期間(通常、前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下であれば簡易課税の選択が可能で、これは業種ごとに定められたみなし仕入率を用いて納税額を計算する方法です。不動産業の場合、一概に何業種とは決めづらいですが、仲介手数料収入や管理料収入は第6種不動産業(みなし仕入率40%)、建売の建物販売収入は第3種(みなし仕入率70%)など、事業の内容ごとに判定されます。簡易課税が有利か不利かは実際の経費構造によりますので、税理士と相談して選択しましょう。注意点として、簡易課税選択や取りやめは原則として事前届出が必要で、2年間は継続適用となります。
- インボイス制度への対応:令和5年10月から導入された適格請求書保存方式(インボイス制度)にも触れておきます。不動産業では、課税取引について適格請求書(インボイス)の発行・保存が求められます。仲介手数料の請求書や、事業用賃貸の賃料請求書などは、自社が適格請求書発行事業者として適切な記載をした請求書を発行しなければ、取引先が仕入税額控除を受けられなくなります。また、自社が支払う側の場合でも、仕入先から受け取る請求書がインボイスでなければ自社の仕入税額控除が制限されます。不動産業界では、小規模な大家さん(個人の賃貸オーナーなど)がインボイス発行事業者でない場合も多く、管理会社経由の支払などで注意が必要です。自社が発行事業者になるには税務署への登録申請が必要ですので、課税事業者になったら早めに手続きしましょう。
- 消費税対策の基本:以上を踏まえて、不動産業の消費税対策の基本は「課税・非課税のバランスを意識し、計画を立てる」ことです。例えば、将来的に大きな設備投資(課税仕入)を予定しているなら、課税事業者選択を検討する、課税売上が一時的に減るなら簡易課税で納税額を抑える、といった戦略が考えられます。ただし、税制改正等で条件が変わることもありますので、最新情報をチェックすることも重要です。税理士法人加美税理士事務所では不動産業のお客様向けに消費税シミュレーションサービスも提供しております。煩雑な消費税計算もお任せいただければ適切なアドバイスをいたします。消費税について詳しくは「消費税の特集ページ」をご覧ください。
不動産業を個人事業で始めた方が、事業拡大に伴って法人化を検討するケースも多いでしょう。法人化には信用力向上など様々なメリットがありますが、税務面での節税メリットも大きな要素です。一方で、個人事業の青色申告にも税制上の優遇があります。この節では、法人化することで得られる節税上のメリットと、個人事業・青色申告の場合との違いについて解説します。
- 法人化による主な節税メリット:法人にすると、個人にはないさまざまな節税手段が取れるようになります。代表的なものを挙げます。
- 役員報酬の経費算入:法人では、社長自身や家族に支払う役員報酬を全額損金(経費)にできます。個人事業主の場合、自分や事業専従者(家族従業員)への給与には制限があります(青色専従者給与として事前届出した金額のみ経費可)が、法人なら役員給与規程に基づき適正額を支給すれば経費になります。例えば事業利益を役員報酬という形で社長個人に振り分けることで、法人の利益を圧縮し法人税を減らせます。もっとも受け取った個人には所得税がかかりますが、個人の税率が法人税率より低ければグループ全体では節税になります。
- 所得分散と累進税率の回避:個人事業では事業所得は全て事業主個人の所得となり、利益が大きくなると累進課税で最高55%(所得税45%+住民税10%)の税率が課される可能性があります。法人化して所得を法人と個人(役員報酬)に振り分ければ、それぞれに低い税率が適用できる範囲を増やせます。中小法人の年800万円以下の所得に対する15%税率や、役員個人の所得税の20%程度の層を上手に使えば、合計税率を下げることが可能です。また、法人に利益を留保すれば個人には課税されず、法人税だけで済みます(将来取り崩す際に課税は残りますが、タイミングをコントロールできます)。
- 経費計上範囲の拡大:法人は経費算入できる範囲が広がります。個人事業でも事業に関係ある支出は経費ですが、法人の方が社会通念上経費にしやすい項目があります。例えば役員社宅制度を使って自宅家賃を会社経費化する、役員生命保険に加入して保険料を経費にする、退職金制度を設けて将来の退職金準備金を積み立てる等、法人でこそ活用できる制度があります(保険料の損金算入や退職金の損金算入は法人の方が柔軟です)。また、交際費の損金算入枠拡大(個人は接待費も原則上限なく経費ですが、法人も中小法人は年800万円まで全額損金になるなど規定有)、旅費規程を使った出張手当の非課税支給など、法人税の方が対策のメニューが増えるイメージです。
- 消費税面の調整:個人事業から法人に移行すると、消費税の免税期間を新たに得られる場合があります。前述のとおり新設法人は最初の2期は原則消費税が免税になる場合があります。個人事業で課税事業者だった方も、法人設立によって一時的に消費税負担を免れることができます。ただし売上規模によってすぐ課税に該当することもありますので、メリットは限定的ですが、時期を見計らえば消費税の節税に繋がることもあります。
- 社会保険料対策:法人化すると代表者も厚生年金・健康保険に加入するため社会保険料負担は増えがちですが、工夫次第で圧縮も可能です。例えば後述する社宅スキームの活用で現物給付を増やし報酬額自体を下げる方法などがあります。社会保険料は法人・個人双方にとってコストですので、節税と合わせて検討すべきです。
- 個人事業(青色申告)との違い:一方、個人事業のまま青色申告を活用している場合にもいくつかの税優遇があります。例えば青色申告特別控除65万円(複式簿記で決算書を提出すれば所得から控除)、青色専従者給与(家族従業員への適正な給料を経費算入)、純損失の3年間繰越控除などです。これらは個人事業者の節税策として有用ですが、法人化によってこれらは使えなくなります(法人はそもそも制度が異なるため)。法人では青色申告特別控除こそありませんが、前述の通り損失繰越は最大10年になりますし、給与の経費化についてもよりフレキシブルです。大きな違いは税率構造で、個人は最大55%、法人は最大33%程度という点です。利益水準によっては、青色申告個人事業の方がトータル納税額が少ない場合もあります。一般に「年間利益が○○万円を超えたら法人化した方が有利」といった目安が語られますが、実際は家族従業員の有無や社長個人の他所得との合算などで変動します。おおまかには年間900万円以上の課税所得が出ているなら法人化メリットが出やすいと言われますが、ケースバイケースです。
- 法人化検討時の留意点:法人化すれば何でも経費になるわけではなく、個人と法人の財布を明確に分ける必要があります。法人化直後は、つい個人と法人の支出入が混同しがちですが、ここをきちんとしておかないとせっかくの節税策も台無しです。例えば個人の生活費を法人経費で落とすような行為は、税務調査で否認(役員賞与認定や交際費認定)され追徴課税のリスクがあります。社宅や保険料なども適切な手続きを踏んでいれば有効な節税ですが、雑にやると全額が社長への給与とみなされて逆効果になります。従って、法人化の節税メリットを最大化するには、社内規程の整備や証憑管理などガバナンス面の強化も必要です。当税理士事務所では、法人化支援から節税スキーム導入時の社内体制づくりまでトータルでお手伝いしております。法人化をご検討の方はぜひ一度専門家にシミュレーションをご依頼ください。法人化について詳しくは「法人化の特集ページ」をご覧ください。
以上、法人化による節税メリットと個人事業・青色申告との違いを見てきました。まとめると、法人化すると経費算入の幅が広がり、所得分散により税率面でも有利になる可能性があります。ただし、規模が小さいうちは青色申告の特典でも十分カバーできる部分もあり、どのタイミングで法人化するかは事業の成長度合いと見通し次第です。不動産業の場合、物件購入などで融資を受ける際に法人格が信用面で有利だったり、節税以外のメリットもあります。税金だけにとらわれず総合的に判断しましょう。迷ったら税理士法人加美税理士事務所までお気軽にご相談ください。
続いて、不動産業の法人が活用できる節税策の一つとして注目される社宅スキームについて解説します。特に経営者(役員)が自宅を社宅扱いにする「役員社宅制度」は、所得税・法人税の節税だけでなく社会保険料対策にも繋がる有効な方法です。不動産業を営む法人は、自社で不動産を扱うだけに社宅制度にも馴染みがあり、導入しやすいでしょう。このパートでは、社宅制度の仕組みとメリット、さらに導入時の注意点(適正家賃設定や社内規程整備)について具体的に述べます。
役員社宅制度とは、会社が住宅を借り上げまたは所有して役員(社長など)に住まわせる制度です。社宅と言うと従業員向けのイメージがありますが、中小企業では経営者自身が社宅を利用するケースが多く、「役員社宅」と呼ばれます。この制度には以下のような仕組みとメリットがあります。
- 会社が住宅を借り上げて経費計上:会社が社宅としてマンションや戸建てを賃借し、その家賃を会社が支払います。この支払家賃は地代家賃などの科目で全額が会社の経費になります。つまり、本来なら個人が自腹で払っていた家賃を会社負担に置き換えることで、法人税の節税が図れます。例えば月額家賃10万円の物件に社長が住んでいる場合、年間120万円から下記の居住者負担分を控除した金額を会社の経費として計上できます。
- 役員からの家賃徴収と経済的利益の扱い:社宅とはいえ、役員が全く無料で住むとそれはそれで課税上問題になります。税法上、会社から提供された住宅に役員が居住する場合、役員個人に対し一定額の経済的利益(住宅貸与益)が発生したものとみなされます。ただし、その経済的利益は「会社が負担した家賃相当額」ではなく、非常に低廉な評価額です。具体的には物件の床面積や固定資産税評価額等に基づき算定される賃貸料相当額というものです。簡便的に言えば「その社宅の広さ・価値に応じて決められた安価な家賃」です。会社はこの賃貸料相当額を役員から徴収する必要があります。役員が会社に支払った家賃がこの額以上であれば、それ以上の経済的利益はないものとされます。逆に言えば、役員個人にはごく一部の家賃負担(安価な自己負担)だけで広い住宅に住めるわけです。役員に課税されるのは、この自分が払った額を下回る場合の差額だけです。
- 役員個人の税負担の軽減:上記の仕組みにより、役員個人としては本来なら自分の給与から支払っていた家賃負担が大幅に減ります。会社から見ると家賃を肩代わりしてあげている形ですが、その肩代わり分全額が役員の給与として課税されるわけではないのがミソです。課税されるのは先述の経済的利益(賃貸料相当額と実際の自己負担額の差)です。社長が月10万円の部屋に住み、賃貸料相当額が2万円と算定された場合、社長は会社に2万円を支払い、自身の経済的利益0円(差がないため)となります。会社は10万円を経費にし、社長は残り8万円分得しているように見えますが、それは非課税扱いとなります。このように、所得税面では社長は家賃相当額についてほぼ非課税の恩恵を受け、可処分所得を増やせます。
- 社会保険料の削減効果:役員社宅制度のもう一つの大きなメリットが社会保険料への影響です。社会保険料(厚生年金・健康保険)は役員報酬額をベースに算出されますが、社宅の家賃負担を会社が肩代わりした分は、現物給与として報酬と見なされる部分を除き、社会保険料算定基礎に含まれません。適正な家賃を徴収していれば、会社負担分は給与とは扱われず、したがって社長および会社が負担する保険料もその分抑えられます。特に高額報酬の役員ほど効果が大きく、年間で数十万円単位の社会保険料削減につながるケースもあります。先の例で言えば、社長の月給に本来家賃10万円を上乗せしていたらその10万円も標準報酬月額に含まれていましたが、社宅にして会社払いにすればその分は報酬にカウントされません。法人税と所得税の節税に加え、社会保険料の節減というトリプルメリットが得られるのが社宅スキーム最大の魅力です。
- 不動産業ならではの活用:不動産業を営む法人の場合、自社で物件を所有してそれを社宅に充てることもあります(社有社宅)。自社在庫のマンションを役員社宅にすれば、会社は減価償却費や固定資産税等を経費にでき、同様のメリットが生まれます。ただし社有社宅の場合も税法上の賃貸料相当額の計算方法がありますので、専門家の試算が必要です。いずれにせよ、不動産のプロである会社こそ社宅制度を上手に使いこなせる面があり、当税理士事務所でも多くの不動産業クライアントに社宅スキーム導入をおすすめしています。
以上が役員社宅制度の基本的な仕組みとメリットです。まとめると、会社が家賃を負担して経費化→法人税圧縮、役員はごく一部の家賃のみ負担→所得税・住民税軽減、さらに報酬額を抑制→社会保険料も軽減、という三方良しの節税が可能になります。ただし、これは適切に制度を設計・運用した場合に限ります。次項では、社宅スキームを導入する際に注意すべき点を解説します。
社宅スキームは非常に有効な節税策ですが、その反面、運用を誤ると税務上のリスクがあります。導入にあたっては以下のポイントに十分留意しましょう。
- 法人名義で契約すること:社宅とする物件の賃貸借契約は、必ず法人名義で締結します。個人契約の家賃を会社が払う形では税務上認められません。契約書上の賃借人を法人(会社)とし、使用人(役員)が居住する旨を明記するのが理想です。物件オーナーや管理会社にも社宅利用であることを伝えておきましょう。また、賃貸借契約書や重要事項説明書の写しはきちんと保管し、税務調査で提示できるようにしておきます。
- 適正な家賃(賃貸料相当額)の徴収:役員から徴収する家賃(自己負担分)は、税法で定める賃貸料相当額以上に設定します。賃貸料相当額は物件の種類や規模によって計算方法が異なります。広大な住宅や豪邸の場合は計算式が異なりますが、通常の住宅であればおおむね時価家賃の3分の1以下程度になることが多いです。この金額は毎年評価替えされる固定資産税評価額に応じて変動しますので、初年度に税理士等に試算してもらい、その額以上を毎月役員から徴収してください。もし徴収額が下回ると、不足分が役員への現物給与と見なされて所得税・住民税・社会保険料が課され、節税メリットが失われます。逆に多めに徴収する分には問題ありませんが、折角のメリットが減りますのでギリギリ適正額に設定するのが一般的です。
- 社内規程の整備:社宅制度を導入する際は、社内規程(社宅規程)を整えておくことを強く推奨します。社宅規程には、社宅を提供できる対象者(役職や勤続年数など)、会社負担範囲(家賃の○%まで等)、本人負担額の計算方法(賃貸料相当額に基づく等)、光熱費や共益費の負担区分、退去時の精算事項などを定めます。規程があることで、税務署に対して「社内で明文化された福利厚生制度」と説明でき、恣意的な節税ではないことを示せます。また、規程に基づき運用することで社内手続き(申請書・承認フロー等)も確立し、漏れなく家賃徴収を行えます。よくあるミスが、役員からの家賃徴収を失念してしまうケースです。毎月別途振込をさせるようにしましょう。とにかく継続的に徴収記録を残すことが重要です。社宅規程とその運用実績は税務調査でもチェックされる可能性がありますので、書面と通帳などで証跡を残しておきましょう。
- 税務上の注意点:社宅スキームは税務上も多くの会社が利用しており一般的ですが、いくつか注意点があります。まず、社宅として提供する住宅が高額すぎる場合です。極端に高級な社宅を役員が享受していると、会社経費とすべき範囲を超えて私的流用と見做されるリスクがあります。賃貸料相当額の算定式自体が高額住宅だと厳しくなる(床面積240㎡以上で計算式が異なり割高になる)ように、税法上も歯止めが効いています。常識の範囲内の物件を選ぶことが大切です。また、住宅手当との違いにも注意です。社宅ではなく毎月○万円を住宅手当として支給する会社もありますが、これは給与と同じ扱いで課税されます。社宅制度は手当ではなく現物提供だからこそ節税効果があります。したがって、社宅制度導入に伴い住宅手当は廃止する、もしくは社宅利用者は住宅手当対象外にするなど整合性をとってください。
- 社会保険料適用の確認:社宅制度そのものは社会保険料算定上も有利ですが、一方で法人化に伴い強制加入となる厚生年金・健康保険への対応が必要です。社長一人の会社でも社会保険加入は義務なので、まだの方は社宅節税と合わせて社会保険の手続きも漏れなく行いましょう。節税のために役員報酬を不当に低くする等は将来の年金額にも影響します。社宅スキーム自体は法の範囲内ですが、他の社会保険料削減スキームと併用する際はバランスを考えましょう。なお、社会保険料についても現物給与として報酬と見なされる部分に関する計算式が存在します。この計算式ついても確認を忘れないようにしましょう。
以上、社宅スキーム導入時の留意点を述べました。要は「正しく制度を整備し、ルール通りに運用する」ことに尽きます。これさえ守れば、社宅制度は非常に強力な節税・コスト削減策となります。不動産業を営む皆様は、物件を見る目も終始の勘所もお持ちでしょうから、ぜひご自身の会社でも社宅制度を検討してみてください。当税理士事務所では社宅規程のサンプル提供や賃貸料相当額の試算サービスも行っております。適用可否を含め専門家の視点でアドバイスいたしますので、ご興味ある方はいつでもお問い合わせください。
まとめ:不動産業の経費計上から法人税・消費税対策、社宅スキームによる節税まで幅広く解説いたしました。不動産業は収支金額が大きく税務にも慎重さが求められる反面、上手に経費を使い税制を活用すれば大きな節税メリットを享受できる業種でもあります。肝心なのは、節税ありきで暴走しないことと、信頼できる専門家と二人三脚で進めることです。税理士法人加美税理士事務所は、不動産業に特化した税務支援の豊富な実績があり、経営者の皆様に安心してご相談いただけるパートナーを目指しております。経費のこと、税金のこと、些細な疑問でも結構ですのでお気軽にお問い合わせください。適切な経理と節税で、御社の事業発展をしっかりサポートさせていただきます!
不動産業を営む法人では、役員報酬の設定は節税対策の要(かなめ)です。役員への給与(役員報酬)は法人税法上、一定の条件下で損金(経費)にできるため、法人の利益調整に大きく影響します。しかし一方で、役員個人には所得税・住民税が課され、さらに社会保険料負担も発生します。そこで法人税・所得税・社会保険料のバランスを考慮し、最適な役員報酬額や支給方法を検討することが重要です。不動産賃貸仲介業・売買仲介業・サブリース業・建売業といった不動産業のあらゆるビジネスモデルにおいて、役員報酬の設定次第で税負担が大きく変わります。以下でそのポイントを詳しく見ていきましょう。
法人の利益に対する法人税率と、役員個人の所得に対する所得税率を比較して、税負担が全体として最も有利になるバランスを探ることが節税の基本です。一般に、中小法人(資本金1億円以下)では年間課税所得800万円までは法人税の軽減税率(約15%)が適用され、800万円を超える部分は約23%の税率になります。法人住民税等を含めた実効税率でも最大約33%程度です。一方、役員個人の所得税・住民税は累進課税で、所得が高くなるほど税率(最大55%程度)が上がります。そのため、例えば法人の利益が大きい場合に役員報酬を増やせば法人税負担を減らせますが、今度は個人側の高所得税率が適用される恐れがあります。逆に役員報酬を抑えすぎると法人に利益が残り、法人税が多く課税されることになります。
適切なバランスの例として、小規模な不動産会社で利益が年間1,000万円程度出る場合を考えてみます。仮に役員報酬を500万円支給すると、法人の課税所得も500万円程度に抑えられ、法人税は軽減税率枠に収まります。一方で役員個人の所得500万円に対しては所得税率が比較的低く(税額は数十万円規模)、結果として法人税・所得税合計の税負担を軽減できます。
このように、「法人税」と「所得税・住民税」のトータルで節税効果を考えることが重要です。当税理士事務所でも、役員報酬額のシミュレーションを行い、法人と個人の税率差を踏まえた助言を行っています。また、役員が複数いる不動産会社(例えばご夫婦で経営する賃貸仲介業など)の場合、報酬を適切に分散することで各人の所得税率を抑える工夫も可能です。さらに、役員報酬は法人税法上「定期同額給与」(毎月同額の固定給)などの条件を満たす必要があり、期途中で安易に増減額すると損金不算入(経費にならない)となる点にも注意が必要です。計画的な報酬設計を行い、税負担の最適化を図りましょう。
役員報酬を検討する際には、社会保険料の負担にも目を向ける必要があります。法人の役員は厚生年金や健康保険等の社会保険に加入する義務があるため、給与額に応じて会社負担分・個人負担分それぞれ約15%前後(健康保険・介護保険・厚生年金の合計、業種や地域によって多少変動)の保険料が発生します。会社負担分は損金計上できますが、支出であることに変わりはありません。つまり役員報酬を上げれば法人税は減る一方で、社会保険料の支出が増えるため、トータルのコスト増になりかねません。
社会保険料には標準報酬月額の等級区分があり、報酬が一定額以上になるとそれ以上は保険料が上がらない上限もあります(厚生年金は現在月額65万円が上限等級、健康保険も保険組合によりますが概ね同程度の上限あり)。そのため月額報酬が極めて高額な役員の場合、報酬をさらに増やしても社会保険料は頭打ちになるケースもあります。しかし多くの中小不動産会社では、まず保険料負担が報酬に連動して増える範囲で検討することになるでしょう。
最適な役員報酬額を設定するには、「税金」と「社会保険料」の両面からシミュレーションすることが大切です。例えば賃貸仲介業など毎月の収入が不動産業の中でも比較的安定している事業では、社会保険料負担も踏まえて無理のない範囲の定額報酬を設定し、利益が出た分は後述の賞与や退職金で調整する戦略が考えられます。一方、建売業のように物件販売のタイミングで利益が大きく変動する事業では、平時の役員報酬は社会保険料負担を抑えつつ控えめに設定し、好調な期に賞与や役員退職金で報いる、といった柔軟策も検討できます。社長ご自身のライフプランや会社の業績見通しも踏まえ、税理士とともに最適額を検討しましょう。
役員報酬の最適化を考える際には、配当金の活用も重要なポイントです。不動産業では業績が季節やプロジェクト単位で変動しやすく、毎月の定額給与だけでなく、臨機応変な支給方法を組み合わせることで節税と経営の柔軟性を両立できます。
配当金の活用も不動産会社オーナー社長にとって有力な選択肢です。配当は法人の利益処分として行われ、法人側では損金になりません(支給額に法人税がかかった後の残り利益を分配)が、受け取る役員(株主)個人にとっては給与ではなく株式の配当所得として課税されます。配当所得は一定の条件下で20%前後の分離課税や配当控除の適用が可能であり、特にオーナー社長が高額所得者の場合には、給与として受け取るよりも低い税率で手取りを得られる可能性があります。また配当に対しては社会保険料がかからない点も大きなメリットです。したがって、たとえばサブリース業などで毎期安定して利益が出る場合、役員給与は社会保険料負担を抑える観点から最低限にとどめ、蓄積した利益から適宜配当で還元する方法もあります。
もっとも、配当は法人税を減らす効果がないため、法人段階では利益に対する課税がそのまま発生する点に留意が必要です。また同族会社ではオーナー経営者への過度な高配当は会社の資金繰りを圧迫したり、将来の事業投資余力を削ぐ恐れもあります。不動産会社の場合、将来の物件取得資金や修繕費用などまとまった投資需要も見込まれるため、短期的な節税と長期的な資金計画のバランスが肝心です。
なお、配当の方針については、適切に議事録や株主総会での決議を行い、税務上問題のないよう手続を踏むことも重要です。不透明な資金の流れは税務調査で指摘を受ける原因となりますので、専門家のサポートのもとガバナンスを効かせましょう。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。
将来の役員退任時に支給する退職金(役員退職慰労金)は、法人・個人双方に大きな節税メリットをもたらす制度です。不動産業を営むオーナー経営者にとって、役員退職金は長年の貢献に報いると同時に税負担を軽減する有力な手段となります。ここでは役員退職金制度の優遇措置や、その効果的な活用タイミング(事業承継や引退時)について解説します。役員報酬の最適化と並び、将来を見据えた退職金の計画は不動産会社の中長期的な節税戦略の柱と言えるでしょう。
役員退職金(役員退職慰労金)は、役員が退任(引退)する際に支給される一時金で、税法上は非常に有利な取り扱いがされています。まず法人側のメリットとして、退職金の支給額はその期の損金(経費)に算入できるため、多額の利益を一度に圧縮することが可能です。例えば、賃貸管理業を長年経営してこられた社長が退任する際に3,000万円の役員退職金を支給すれば、支給した事業年度の法人税課税所得を一気に3,000万円減額できます(その期が赤字になった場合、欠損金として今後の黒字と相殺することも可能です)。不動産会社では物件売却などで臨時的に大きな利益が出ることもありますが、そうしたタイミングに退職金支給を行えば大幅な法人税削減効果が得られます。
一方、退職金を受け取る役員個人側のメリットも極めて大きく、ここに退職金制度最大の節税効果があります。役員退職金は税法上「退職所得」として扱われ、他の給与所得等とは分離して特別な計算で課税されます。具体的には、「退職所得控除」という優遇措置で長年勤続した分だけ大きな控除額が設定され、その控除後の残額についてさらに1/2だけが課税対象になる仕組みです。例えば勤続30年の役員が3,000万円の退職金を受け取った場合、まず退職所得控除額として(20年までの勤続分40万円×20年)+(20年超過分70万円×10年)=1,500万円が差し引かれ、残りの1,500万円のさらに半分=750万円だけが課税所得となります。750万円に対して所得税・住民税が課されるため、実質的な税負担は数百万円程度で済みます。仮に同じ3,000万円を役員報酬(給与)や配当で受け取った場合、数十%の税率がその全額にかかることを考えると、退職金に対する課税優遇の大きさがご理解いただけるでしょう。
さらに退職金には社会保険料が一切かからないという利点もあります。在職中の給与や賞与ですと、会社・個人双方から厚生年金・健康保険の保険料を拠出する必要がありますが、退職金はあくまで退職時の一時金であり賃金ではないため、保険料の対象外です。つまり、同じ1,000万円を従業員に払う場合でも、給与として払えば数百万円の社会保険料コストが発生するのに対し、退職金で払えばそのコストはゼロということです。中長期的に見れば、役員報酬として毎年少しずつ支給して社会保険料を払い続けるより、退職金としてまとめて支給する方がトータルコストを抑えられるケースも多々あります。
以上のように、役員退職金制度は法人税・所得税の両面で強力な節税メリットがあり、不動産業を営む中小企業でも積極的に活用が検討されています。ただし留意点として、退職金額があまりにも高額に設定されると税務上「過大役員退職金」とみなされ、損金算入を否認されるリスクがあります。一般には「最終月額役員報酬×勤続年数×功績倍率」といった社内規定に基づき合理的な額を算定します。不動産業界では土地や建物の売買規模などに応じて他社事例も参考にしながら、適正な退職金額のルール作りをしておくと安心です。当税理士事務所でも適正水準のアドバイスが可能です。また、役員退職金規程を事前に整備し、株主総会や取締役会の決議を経て支給することもお忘れなく。適切な手順を踏んでいれば税務調査の際も堂々と説明できるため安心です。
役員退職金の威力を最大限に発揮するには、「いつ支給するか」、すなわち支給のタイミングが重要です。多くの場合、社長や役員が高齢になり引退するとき、あるいは次世代への事業承継のタイミングで退職金を支給するケースが考えられます。不動産会社における効果的な活用策として、以下のような場面が典型的です。
- 事業承継のタイミングで支給する: たとえば不動産売買業の創業社長が勇退して息子さんに社長交代する際、役員退職金を支給して経営をバトンタッチするのは非常に有効です。退職金支給によって法人の内部留保(金)をオーナーへ移転できるため、会社の資産規模が縮小します。これは株価引下げ効果を通じて自社株の相続税・贈与税対策にもなりますし、次世代が引き継ぐ会社の財務内容をスリムにすることで経営しやすくする効果も期待できます。また、先代社長にとっても退職金でまとまった資金を受け取り老後資金に充てられるため安心です。まさに事業承継と退職金支給は相性の良い節税策と言えます。事業承継について詳しくは「事業承継の特集ページ」をご覧ください。
- 業績好調な引退時に支給する: 不動産のサブリース事業などで長年黒字を計上してきたオーナー社長が、一定の年齢で引退・廃業を検討する際にも退職金支給は有力です。例えば会社を数年内に清算する計画であれば、清算前の最終期に役員退職金を支給して利益を圧縮し、法人税を軽減したうえで社長個人に資金を移せます。退職金として受け取った資金は上記のとおり低い税負担で済みますし、会社清算時に残余財産を分配するより税効率が良い場合が多いです(清算時の残余財産分配はみなし配当として課税されます)。事業を畳むにせよ後継者に譲るにせよ、引退のタイミングを利用して退職金を支給することで、それまで蓄積してきた利益・資産を効率よく社外に払い出すことができます。
- 計画的に一部ずつ支給する: 役員が複数在籍する不動産管理会社などでは、一度に全員が退任すると高額な退職金支出で会社の資金繰りが厳しくなる恐れがあります。そこで例えば創業家の会長・社長・副社長と順次世代交代する際、何年かに分けてそれぞれ退職金を支給し、毎期の利益を調整する方法もあります。こうすれば1期あたりの法人税軽減効果を高めつつ、会社の資金負担を分散できます。
このように、退職金のタイミングは経営戦略と一体で考えることが求められます。不動産業では市場環境の変化や事業構造の転換(例: 賃貸仲介から管理業へのシフト等)に合わせて経営陣を刷新する場面もありますが、そうした節目こそ退職金活用の好機です。ただし、退職金支給には十分な資金手当てが必要ですので、日頃から業績に応じて社内留保を積んでおくことや、退職金支給に備えて生命保険や積立制度を利用することも検討しましょう。
最後に強調したいのは、役員退職金は金額も大きく税効果も高い分、専門家のサポートが重要だという点です。税理士法人加美税理士事務所では、不動産会社様の状況に応じた退職金規程の整備や適正額の試算、支給時の税務手続きまでトータルでサポートいたします。安心してご相談ください。
不動産業の経営では、減価償却費のコントロールも有力な節税手段となります。不動産会社は物件や設備、車両など多くの資産を扱うことが多く、これらの減価償却資産を適切に活用することで税負担を軽減できます。ここでは、減価償却の基本的な仕組みと不動産業における効果、さらに設備投資や少額減価償却資産の特例など具体的な節税策について解説します。
減価償却とは、建物・車両・機械・備品などの固定資産を購入した際に、その費用を一度に経費計上せず、耐用年数にわたって少しずつ費用配分していく会計・税務上の手続きです。減価償却費は実際の支出を伴わない非現金費用であり、計上した分だけ帳簿上の利益を圧縮できるため、法人税の節税効果があります。不動産業にとって、減価償却は重要な経費科目の一つです。
不動産会社で特に大きな減価償却費が発生するのは、建物等の不動産そのものを保有している場合です。例えば賃貸仲介会社が自社でビルを所有し賃貸経営も行っている場合や、サブリース会社が契約物件の一部を自己所有している場合、建物の取得価額に応じた減価償却費が毎期発生し、賃料収入にかかる税金を軽減してくれます。また、自社ビルや事務所を保有している場合も同様です。事務所用について、建物の耐用年数は木造で22年、鉄筋コンクリート造で50年(中古資産は築年数に応じ短縮可能)など長期にわたりますが、毎年確実に経費計上できるため長期間にわたって安定した節税効果をもたらします。
建物以外でも、不動産会社にはさまざまな減価償却資産があります。例えば物件案内用の社用車、事務所の机やパソコン、営業用のデジタルカメラやタブレット、さらにはモデルルーム用の家具・什器なども該当します。建売業の場合、販売用の建物や土地は商品在庫(棚卸資産)の扱いになるため減価償却はできませんが、モデルハウスとして一時使用する建物を資産計上するケースでは減価償却が発生します。不動産管理業では入居者募集用の看板や案内設備、監視カメラ等の設備投資もあるでしょう。事業の種類を問わず、減価償却資産をどれだけ持つかで節税の余地が変わるのです。
減価償却による節税のメリットは、支出を伴わずに税金計算上の費用が計上できることです。利益が減れば法人税も減りますので、利益が出ている限り減価償却費は節税効果を発揮します。また、もし将来その資産を売却した場合には帳簿価額が低くなっている分譲渡益が大きく出る可能性はありますが、少なくとも保有期間中は資金流出を伴わず節税できる点がメリットです。特に利益変動の大きい不動産業では、利益が多い年度に積極的に資産を購入して減価償却費を計上し、利益が少ない年度には購入を控えるなど、計画的な資産取得による節税調整も考えられます(ただし節税目的だけで不要な資産を買うのは本末転倒なので注意が必要です)。
利益が多く出そうな期には、将来の事業に役立つ設備投資を行うことで結果的に節税につなげる方法があります。不動産会社にとって必要となりやすい投資例として、社用車の買い替え、事務所の設備機器導入、オフィスの改装・移転などが挙げられます。こうした投資を適切なタイミングで行えば、事業効率やサービス向上に資するだけでなく、減価償却費や場合によっては修繕費として経費計上を増やすことができ、税負担を軽くする効果があります。
具体的に見てみましょう。例えば賃貸仲介業を営む会社で、今年度は仲介件数が伸びて利益が出そうだという場合、思い切って営業用の社用車を新調することを検討します。200万円の車両を購入すれば耐用年数6年の定率法で減価償却できますし、業務効率化にもつながります。同様に、売買仲介業の会社であれば高性能のPCやタブレット、物件提案ソフトウェアなどIT機器に投資する、サブリース業の会社であれば管理物件数増加に備えた社内システムやサーバーに投資するといった具合です。建売業では、老朽化した重機や作業車両を入れ替えることもあるでしょう。これらはいずれも減価償却資産となり、購入金額に応じた減価償却費を今後数年間にわたり計上できるため、単に現金で納税するよりも有意義に資金を使いつつ節税できます。
また、オフィスの改装や設備更新も効果的です。不動産会社の店舗や事務所は来店客の印象に直結するため、内装や什器備品のリフレッシュは本業にもプラスになります。例えば老朽化した空調設備を200万円で入れ替えた場合、耐用年数15年で毎期約13万円ずつの減価償却費が発生し、従業員の快適性向上と節税を両立できます。あるいは思い切って新たな支店オフィスを開設する投資もあるでしょう。賃貸物件を借りて内装工事を行えば、その造作は資産計上して減価償却します(耐用年数は貸借人の内装設備として原則15年など)。こうした将来への積極投資は事業拡大に繋がるだけでなく、短期的には減価償却費増加による法人税減少という恩恵があります。
設備投資による節税策で気を付けたいのは、「必要性の低い無駄な投資までしてしまわない」ことです。節税のためだけに不要な高級社用車を購入したり、使い道のない機器を買ってしまうと、支出が税金節約額を上回り資金繰りを悪化させかねません。あくまで本業に資する投資かどうかを見極め、タイミングを工夫して実行することが重要です。また、投資額が大きくなる場合は減価償却でなく一括で経費にできる方法がないか検討することもポイントです。大規模な修繕やリフォームは資本的支出ではなく修繕費(経費)として処理できるケースもありますし、一定の環境対応設備等には特別償却や税額控除の制度が用意されている場合もあります。このあたりの判断も税理士等の専門家に相談すると良いでしょう。
中小企業には、設備投資をした際に即時償却(全額経費化)できるお得な制度があります。それが「少額減価償却資産の特例」です。通常、取得価額が10万円以上の資産は減価償却で数年かけて経費化しますが、青色申告をしている中小企業者等(資本金1億円以下・常時使用従業員500人以下などの法人)は、1品あたり30万円未満の減価償却資産について年間合計300万円まで、取得した期に全額を損金算入できる特例が適用できます。例えば、20万円のパソコンや15万円の事務机といった資産を多数購入した場合でも、この特例を使えば購入額の全てを当期の必要経費とできるため、大幅な法人税の節税効果が得られます。※法人化や青色申告の有無によって適用可否が異なるため、詳細は専門家に確認してください。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。
具体例を挙げましょう。売買仲介業のA社は業務効率化のため、一度にノートパソコンを10台(1台あたり20万円)購入し、計200万円の投資を行いました。通常であればパソコンの耐用年数4年に応じ、少しずつ減価償却して経費計上します。しかし少額減価償却資産の特例を適用すれば、200万円全額を購入年度の経費にすることができます。仮に実効税率30%とすると、この投資によって当期の法人税を約60万円減らせる計算です。4年かけてじわじわ経費化するより、早期に節税メリットを享受できる点で資金繰り上も有利です。
少額減価償却資産の特例を活用するポイントは、購入する資産の金額をうまくコントロールすることです。例えば1台35万円のコピー機を2台買うと合計70万円ですが、残念ながら1台あたり30万円以上の資産は特例の対象外となり、通常の減価償却になってしまいます。そこで、もし性能上問題なければ1ランク下の機種(1台28万円)にすることで特例の対象にする、といった判断も考えられます。また、金額が微妙な場合には値引き交渉などで30万円未満に抑えられないか検討する価値があります。ただし意図的に資産を分割購入して実態に合わない適用をすると指摘を受ける可能性がありますので、あくまで実態に沿った範囲で活用しましょう。
この特例は中小企業支援策として平成18年度に始まって以来、適用期限を延長しながら現在も継続しています(現行では令和8年3月までの取得が対象)。不動産業でも、事務所備品から営業車両の付属設備、工具類など活用できる場面は多くあります。例えば、サブリース業者が各管理物件に設置する10万円程度のIoT機器をまとめて購入した場合や、建売業者がモデルハウス用の家具をまとめて購入した場合など、一件一件の金額が30万円未満であればどんどん当期経費にできます。ただし年間上限300万円までという枠もありますので、計画的に購入時期を配分することも必要です。超過しそうな場合は無理に年内に買わず翌期に回す、といった調整も検討しましょう。
繰り返しになりますが、減価償却資産の購入は将来の事業に必要な範囲で行うことが大前提です。その上で、購入金額やタイミングを工夫し本制度を活用すれば、不動産会社の経費計上を最大化し、納税額を抑えることができます。当税理士事務所でも設備投資計画の段階から税務面のシミュレーションを行い、最適なアドバイスを提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
不動産会社の節税対策として近年注目されている制度に、「経営セーフティ共済」があります。正式名称を「中小企業倒産防止共済制度」(独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営)といい、取引先の倒産防止を目的とした共済制度ですが、その掛金が全額損金算入できるため、節税と資金繰りの安定の両面でメリットがあります。不動産賃貸・売買・サブリース・建売業と業態はさまざまでも、共通して経営には予期せぬリスクや資金需要がつきものです。経営セーフティ共済を活用すれば、いざという時の備えをしながら税負担を和らげることが可能です。以下、その仕組みと具体的効果、利用時の注意点について解説します。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、中小企業が取引先企業の倒産による連鎖倒産や資金繰り悪化から身を守るための共済制度です。毎月一定額の掛金を積み立てておき、万一主要な取引先が倒産して売掛金などが回収不能になった場合に、積立額の範囲内で共済金の貸付け(無担保・無保証人)を受けられる仕組みです。掛金は月額5,000円から20万円まで自由に設定でき(5,000円単位)、最大で総額800万円まで積み立て可能です。例えば不動産売買仲介業でデベロッパーからの手数料収入をあてにしていたところ、そのデベロッパーが倒産してしまった場合、当座の運転資金をこの共済から借り入れて凌ぐことができます。
不動産業における直接的な適用場面は、たとえば建売業者が工事業者の倒産で前払金を回収できなくなったケースや、法人向け不動産仲介で取引先企業が倒産したケースなどが考えられます。ただ実際には、「倒産時の貸付制度を使うため」というよりも、節税や資金積立の手段として加入する企業が多いのも事実です。経営セーフティ共済の最大の特徴は次項で述べる通り「掛金の全額が損金計上できる(≒加入すればその分利益を減らせる)」点にあります。不動産会社にとって、業績が好調な年にこの共済に加入・拠出することで大きな節税メリットが得られ、かつ積み立てた資金は将来貸付や解約手当金として戻ってくるため、単なる経費支出よりも有利です。また掛金の増額・減額や一時停止、前納など柔軟な運用も可能で、自社の資金状況に応じて調整できます。前納(将来12ヶ月分まで一括払い込み)をすれば掛金総額に応じたわずかな割引もあり、直前期に一括で支払えば当期の損金を一気に増やすこともできます。
要件として加入企業は1年以上事業を継続している中小企業である必要があり(設立1年未満は利用不可)、また取引先が存在しないと制度上貸付けが受けられないため、不動産賃貸業のように主な取引先が一般消費者(入居者)ばかりの場合は本来の趣旨から外れる可能性があります。しかし加入自体は可能ですし、何より「掛金月額の調整による利益圧縮」という節税メリットは事業形態によらず享受できます。不動産会社にとっては、例えばサブリース業などで毎月安定収益があるなら余裕資金を積み立てておき、空室増など万一のときには低利で借入して資金繰りを支える、といった使い方ができます。また賃貸仲介業・売買仲介業でも、将来の事業拡大に向けた内部留保代わりに積み立てておけば、有事以外でも設備投資資金として借入れ活用することも考えられます。このように、経営の安心材料を作りながら経費も計上できる点が経営セーフティ共済の大きなメリットです。
経営セーフティ共済最大の特徴は、掛金の全額を損金(経費)に算入できることです。月額掛金は5千円から20万円まで幅がありますが、例えば上限の20万円で加入すると、1年で240万円もの支出を経費計上できる計算です。法人税実効税率30%程度とすれば、年間約72万円の法人税軽減効果が見込めることになります。特に利益が大きく出そうな年度に加入・増額すれば、その期の納税額をかなり圧縮できます。不動産会社では、好調な不動産市況に乗って売上が伸びた年や、大口物件取引で一時的に利益が膨らんだ年などがありますが、そうしたタイミングで経営セーフティ共済に駆け込み加入・前納するのは典型的な節税スキームです。実際、決算前に翌年度1年分(12ヶ月×20万円=240万円)をまとめて前納し、当期の経費に落とすという使い方もされています。
しかし経営セーフティ共済のメリットは節税だけではありません。積み立てた資金は将来必要になったときに融資(貸付)を受けられる or 解約して取り戻せるため、企業にとって一種の内部留保・貯蓄のような役割も果たします。単純に節税目的で税金を払う代わりに共済掛金を払っているだけではなく、「いざというときには自社に返ってくるお金」を積み立てている点が大きな安心材料です。必要なときに共済を解約すればほぼ同額が返ってきますし、あるいは解約せずに共済から低金利で借入れ(積立額の範囲内なら無担保)すれば、積み立ては継続しつつ資金調達も可能です。資金繰りの安定化という意味でも、この制度は中小企業の強い味方と言えます。
実際、不動産業では景気変動や物件在庫の増減によって資金需要が読みにくい面がありますが、経営セーフティ共済に積み立てておけば、「銀行借入を増やさずに自己防衛策を講じている」状態になります。金融機関から見ても、この共済に加入し積立がある会社は自己資金で備えを作っている分、信用力が増すという側面もあります。税負担を減らしつつ社内預金のようなものを作れる経営セーフティ共済は、不動産会社の財務体質強化にも役立つでしょう。
経営セーフティ共済は節税メリットが大きい反面、解約するタイミングや借入時の扱いについていくつか注意点があります。これらを理解しておかないと、「せっかく節税したのに後でまとめて税金がかかった」という事態になりかねませんので、ポイントを押さえておきましょう。
まず、共済を解約した場合についてです。解約するとこれまで積み立てた掛金が「解約手当金」として払い戻されます(40ヶ月以上積立継続していれば掛金全額、それ未満の場合は掛金の一部。例えば12〜23ヶ月の場合掛金の80%、24〜29ヶ月85%、30〜35ヶ月90%、36〜39ヶ月95%が戻ります)。法人がこれを受け取った場合、その解約手当金は益金として計上しなければなりません。つまり、解約した事業年度に一時金として課税対象になるのです。過去に掛金を払って節税してきたものが、解約時に一気に利益計上されるイメージです。このため、解約のタイミングを誤ると大きな税負担が発生します。例えば業績好調な年に解約してしまうと、高税率により課税を受けることにより、せっかく今まで節税した分以上に法人税が増えてしまう可能性があります。
では、どのようなタイミングであれば解約の税負担を抑えられるでしょうか。一般的に推奨されるのは、「利益が少ない(または赤字の)タイミングで解約する」ことです。例えば建売業で新規投資が重なり一時的に赤字になった年に解約すれば、戻ってきた解約手当金を利益と相殺でき、税金はほとんど発生しないでしょう。また不動産賃貸業で多額の減価償却により一時的に利益が圧縮されている年や、景気後退で仲介手数料収入が落ち込んだ年なども狙い目です。逆に言えば、黒字が続いているうちは安易に解約しないのが鉄則です。共済は無理に解約せず、後述のように借入制度を活用する手もありますので、節税の恩恵をできるだけ長く享受しましょう。
次に、共済金の借入れについてです。経営セーフティ共済では、取引先の倒産が発生した場合だけでなく、無担保・低金利での一般貸付制度も用意されています。解約せずに積立金の範囲内(積立額の最大95%)で借入が可能で、借入金はあくまで返済が必要な負債ですから、借入した時点では収益にはなりません(課税されません)。資金が必要だが解約による課税を避けたい場合、この借入制度を使うのが有効です。たとえば、売買仲介業で新店舗開設の資金が必要になった場合、共済から500万円を借り入れて資金に充て、後に営業利益でゆとりが出たときに返済する、といった活用法が考えられます。借入中も共済への積立は継続できますし、借入をしても掛金の損金算入という節税効果には影響ありません。「急場は借入でしのぎ、任意のタイミングで解約する」という柔軟な対応が可能なのも経営セーフティ共済のメリットです。
最後に、税制改正による留意点も触れておきます。経営セーフティ共済は節税手段として広く利用されてきましたが、その「掛金を損金→すぐ解約して再加入しまた損金」という極端な節税スキームが問題視され、令和6年10月(2024年10月)以降に解約して2年以内に再加入した場合、掛金の損金算入ができなくなるよう改正されています。これは短期間での脱退・再加入を繰り返す事例への歯止めで、要するに一度解約したらしばらく節税目的の再加入はできないということです。したがって、今後はより一層中長期的な視点で活用する制度と位置付けられるでしょう。頻繁に出し入れするのではなく、「必要があって加入し、40ヶ月以上継続してじっくり積み立て、適切な時期に活用する」という本来の趣旨に沿った使い方を心がけてください。
以上、経営セーフティ共済のメリットと注意点を見てきました。この制度は不動産業を含む中小企業にとって強力な節税・財務ツールですが、解約時のインパクトも大きいため、必ず事前に資金計画と税負担の試算を行うことが重要です。当税理士事務所では、経営セーフティ共済への加入アドバイスから解約シミュレーション、他の共済制度との比較検討までサポートしております(※例えば経営者ご自身の退職金準備に有効な「小規模企業共済」との併用などもご提案可能です)。節税と将来の備えを両立させるプラン作りを、ぜひ専門家と一緒に進めていきましょう。
まとめ
ここまで、不動産業を営む法人向けに「役員報酬」「退職金」「減価償却」「経営セーフティ共済」という主要な節税策を解説しました。それぞれ、法人税や所得税の圧縮、社会保険料負担の軽減、将来の資金準備など異なる角度のメリットがあります。重要なのは、これらを単独で使うのではなく会社の経営状況や将来計画に合わせて組み合わせて活用することです。たとえば、ある賃貸仲介会社では毎年の役員報酬を抑え社会保険料負担を軽減しつつ、数年後の事業承継時に備えて経営セーフティ共済で内部留保を蓄え、退任時には退職金で一括してオーナー報酬を受け取る、といった総合的なプランも考えられます。不動産業に強い税理士法人として、当税理士事務所は賃貸仲介・売買仲介・サブリース・建売業の各ビジネスモデル特有の事情を踏まえた節税対策のご提案が可能です。「うちの規模だとどんな策が有効だろう?」「この方法を試したいけど注意点は?」といった疑問がございましたら、ぜひ税理士法人加美税理士事務所にお気軽にご相談ください。不動産会社様の良きパートナーとして、税務・財務面で安心して経営に集中できるよう親身にサポートいたします。
不動産業を営む法人(賃貸仲介・売買仲介・サブリース・建売業)の経営者にとって、節税は重要な経営課題です。しかし、将来の税務調査リスクも踏まえて適切に行わなければ、かえって資金繰りの悪化や信用力低下などの弊害を招きかねません。本節では税務調査を見据えた節税の注意点と、避けるべきNGな節税策について解説いたします。
まず押さえておきたいのは、過度な節税による利益圧縮のリスクです。法人税等の税負担を減らそうとするあまり、不必要な経費計上や決算前の駆け込み支出を行うと、確かに一時的な節税効果は得られるかもしれません。しかしその一方で、手元の現金(キャッシュ)が減少し経営の安全性が損なわれるという大きなデメリットがあります。例えば、年度末に不要な備品をまとめて購入したり、高額な保険契約に加入したりすれば、支出が増えて現預金残高は減り、結果として資金繰りが苦しくなる可能性があります。また、利益の圧縮により貸借対照表の純資産が増えないため、金融機関や取引先から見た決算書の信用力も低下してしまいます。
特に不動産業界では、物件取得や開発にあたって銀行融資を活用する場面が多く、決算書の内容は融資可否に直結します。行き過ぎた節税策で損益計算書上の利益が乏しい状態が続くと、銀行からの評価が下がり融資交渉で不利になることがあります。銀行は企業ごとに格付けを行いますが、その際に重視するのは利益額と自己資本(純資産)です。したがって、必要以上に利益を圧縮して税金を減らすことばかり優先すると、結果的に企業の成長に必要な資金調達力を損ねてしまいかねません。不動産業の各分野(賃貸仲介・売買仲介・サブリース・建売業)いずれの場合でも、適度に利益を確保して内部留保を厚くし、財務基盤を強化することが長期的には重要です。税負担とのバランスをとりながら、金融機関にも評価される健全な決算書を作ることが、不動産会社の安定経営につながります。
節税のためとはいえ、不適切な会計処理や架空経費の計上は絶対に避けなければなりません。税務調査ではそうした不正やミスが厳しくチェックされ、指摘の対象となります。以下に、税務調査で指摘されやすいNG項目をまとめます。
- 売上の計上漏れ・期ズレ:実際には発生している賃料収入や物件売却代金などの売上を申告していないケースです。売上を意図的に除外すれば納税額を減らせますが、調査で発覚すれば重い追徴課税を招きます。また、本来その期に計上すべき仲介手数料や物件販売収益を翌期以降にずらす期ズレも不適切です。調査官は入金日や契約書の日付を詳しく確認し、不自然な期ズレがないかチェックします。
- 過大な経費計上・二重計上:架空の経費や私的な支出を経費として落とし、利益を過度に圧縮する行為です。不動産会社では接待交際費や広告宣伝費、車両費など経費科目が多岐にわたりますが、根拠のない支出計上は厳禁です。例えば、実際には存在しない外注費を計上したり、同じ領収書を二重に経費計上したりすることは明らかな不正行為であり、調査で必ず指摘されます。また、来期分の経費を前倒しで当期に計上している場合も注意が必要です。
- プライベートな支出の混入:オーナーや役員の個人的な支出を会社経費に混在させるケースです。例えば役員の私的な飲食代や旅行代を接待費や研修費として計上したり、家族の生活費を事業経費に紛れ込ませたりすると、調査で「同族会社の利益操作*とみなされ厳しく追及されます。社用車の私的利用割合が大きい場合も、その分の経費は否認対象となり得ます。
- 棚卸資産の不適切な処理:建売業や不動産販売業では、土地・建物などの棚卸資産の評価や計上漏れにも注意が必要です。売上に対して対応する原価が適切に計上されているかは調査官の重点確認事項です。例えば本来は棚卸資産に計上すべき未販売の建物が仕入原価に計上されていると、利益操作を疑われる可能性があります。また、在庫として残っている土地建物の評価額が不自然に低すぎないか(評価損の過大計上)もチェックされます。
- 固定資産と経費の区分ミス:事業用資産の購入時には、その金額によって経費計上ではなく資産計上し減価償却する必要があります。取得価額が10万円を超えるものは原則として固定資産とし、一括で経費にせず耐用年数にわたり償却しなければなりません。パソコンや事務機器、社用車はもちろん、不動産業では物件取得関連の費用など大口支出が多いため要注意です。資産計上すべきものを経費で落としていれば、調査で損金算入の否認(修正課税)につながります。ただし、少額減価償却資産の特例により、10万円超でも一時で償却できる場合もあるためよく確認してください。
- 役員報酬・役員賞与の不適切な処理:役員報酬は株主総会で事前に決議された金額を毎月定額で支給するなど、税務上のルールがあります。にもかかわらず、期末になってから臨時で役員賞与を支給したり、名目上は従業員給与として役員の家族に過大支給するような行為は問題です。適切な手続きを経ていない役員給与の増減や架空名義の給与は、税務調査で確実に指摘される不適切処理に該当します。役員給与の扱いは基本的な事項ですが、同族経営の不動産会社では特に注意しましょう。
- 役員貸付金の放置:会社から役員への貸付金が長期間返済されないままになっているケースも調査対象です。形式上「貸付金」として計上していても、実質は役員への利益提供(賞与)ではないかと見做される可能性があります。不動産業では事業用資金をオーナー個人が立替えたり、その逆に会社資金を個人が一時流用することも起こりがちですが、貸付金や借入金が発生した場合は適切に契約書を交わし、経理処理と返済を行うことが重要です。
- 消費税の誤った申告:不動産業界では消費税の課税・非課税区分の誤りも指摘されやすいポイントです。例えば、住宅の賃貸収入は消費税非課税ですが、テナントビルの賃料や仲介手数料、建売住宅の建物代金は課税売上になります。それにも関わらず課税売上を過小に申告していたり、仕入税額控除の計算誤りがあると、消費税の追加徴収を受ける可能性があります。特に賃貸仲介やサブリース業では、課税売上と非課税売上が混在するため正確な区分経理が必要です。インボイス制度への対応状況や、課税事業者選択の適否なども確認対象となります。※消費税の取扱いについて詳しくは「消費税の特集ページ」をご覧ください。
以上のように、税務調査では売上や経費、資産計上の適否から役員関係の取引や消費税処理に至るまで、多角的にチェックが入ります。不適切な会計処理は最終的に追徴課税や重加算税といったペナルティだけでなく、会社の信用失墜にもつながります。日頃から「グレーゾーンの節税策」は避け、正しい経理を心がけることが肝心です。
税務調査への最大の対策は、平素から適切な経理処理と証拠書類の保存・整備を徹底しておくことです。調査が入ってから慌てて書類をかき集めるのでは遅く、日頃から準備しておくことで調査官への対応もスムーズになります。
具体的には、取引の証憑書類を漏れなく保管しておくことが重要です。見積書・契約書・請求書・領収書・銀行の入出金明細など、売上計上や経費計上の根拠となる資料はすべて整理し、必要に応じてすぐ提示できる状態にしておきましょう。例えば賃貸仲介業であれば仲介手数料の計算書や入金記録、サブリース業であればオーナーとの賃貸借契約書や送金明細、建売業であれば不動産売買契約書や決済時の領収書など、業種ごとの重要書類を一覧化して管理することをおすすめします。また、近年は電子帳簿保存法の改正により領収書等のデジタル保存要件も緩和されています。スキャンした書類やデータでの保存も活用しつつ、紛失や破損が起きないようバックアップを含めた体制を整えましょう。
併せて、会計記録(帳簿類)の適切な作成も欠かせません。日々の取引を記帳し、月次などの節目のタイミングで試算表を作成しておけば、決算時に大慌てする必要もなくなります。特に不動産業では高額な取引や長期にわたる工事案件などが多いため、後から「この収入は何の契約だったか」「この支出の詳細は?」とならないよう、科目ごとに明細を備えておくと安心です。青色申告の法人であれば適切な帳簿の備付けと保存は義務でもあり、日頃の経理体制整備がそのまま節税メリット(欠損金の繰越控除や各種青色申告特典)にもつながります。証拠資料と帳簿がしっかり整っていれば、万一税務調査になっても落ち着いて対応でき、調査官からの信頼感も得られるでしょう。
なお、税務調査対策としては専門家の力を借りることも有効です。日頃から税理士に記帳内容のチェックや月次監査を依頼し、問題点を指摘・修正してもらえば、調査時に指摘されるリスクを大幅に減らせます。また、税理士は調査当日の立会いも代行してくれますので、経営者自らが直接対応する負担も軽減できます。こうした日頃の準備と専門家のサポートによって、「来るなら来い」という万全の税務調査対策を築いておきましょう。
不動産会社にとって、税務顧問となる税理士選びの基準は非常に重要です。賃貸仲介・売買仲介・サブリース・建売業といった業態ごとにビジネスモデルや会計処理が異なる中、自社に合った税理士をパートナーに迎えることで、節税から資金繰り改善まで総合的なサポートを受けることができます。不動産業の会計・税務に強い税理士を選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。
まず第一に、不動産業界の実情や税務に精通している税理士かを見極めることが肝心です。不動産業には他業種にはない特有の税務論点や会計処理が数多く存在します。例えば、固定資産税の扱いや賃貸収入の消費税区分、不動産取得時の登録免許税や不動産取得税の処理など、不動産取引ならではの税務処理が必要です。さらに、住宅貸付に係る消費税の非課税対応や、非居住者・海外法人からの源泉徴収など、専門知識が要求される場面も多々あります。こうした不動産業特有の税務問題に詳しい税理士であれば、日々の会計処理から最適な節税対策まで的確にアドバイスしてもらえるでしょう。
税理士の不動産業界における経験値を知るには、顧問実績や担当した事例を確認するのが有効です。不動産業のクライアントをどれくらい抱えてきたのか、賃貸業や開発業など業態別のサポート実績があるか、といった点を事前に聞いてみましょう。不動産業界に強い税理士事務所であれば、自社と同じような業種の企業を複数サポートしているケースが多く、業界特有の習慣や勘定科目の扱いにも通じています。また、最新の税制改正や不動産業界の動向に関する情報感度が高いことも重要です。不動産税務の実績が豊富な税理士であれば、複雑な取引が絡む場合でも安心して相談でき、結果的に税務リスクの回避と業務効率化につながります。もちろん、私たち税理士法人加美税理士事務所は不動産業の顧問実績が豊富です。
不動産会社では、物件取得資金や開発資金など多額の資金調達が必要になる場面が珍しくありません。そのため、資金繰りの改善策や融資交渉に強い税理士を顧問に迎えることも大きなメリットとなります。単に決算書を作成して申告を代行してもらうだけでなく、財務戦略面でも頼れるパートナーであれば、事業拡大の心強い支援者となるでしょう。
具体的には、融資に強い税理士は銀行融資のポイントを熟知し、事業計画書や資金繰り表の作成支援ができることが挙げられます。銀行が融資審査で重視する財務指標や決算書の見せ方についてアドバイスを受ければ、より有利な条件での借入が実現しやすくなります。実際、融資支援の経験が豊富な税理士は「どの金融機関に、どんな融資制度を申し込むべきか」「自己資金や担保をどう確保すれば良いか」といった点まで総合的に助言してくれます。政府系金融機関(日本政策金融公庫など)の制度融資や助成金情報について提案してくれるケースもあります。
また、金融機関との太いネットワークを持つ税理士であれば紹介を受けられる可能性もあります。融資に強い税理士事務所は地元金融機関や信金との付き合いが深く、必要に応じて担当者を引き合わせてもらえることもあります。さらに、月次決算を通じたキャッシュフロー管理のサポートや、資金繰り悪化時のリスケ交渉アドバイスなど、資金面で困ったときに的確な対応策を提示してくれるのも頼もしい点です。例えば、「数ヶ月後に消費税の納税資金が不足しそうだがどう乗り切るか」「新店舗出店のために○万円の融資を受けたいが適切な借入方法は?」といった相談にも、経験豊富な税理士であれば具体策を示してくれるでしょう。
要するに、税理士を選ぶ際には税金計算のプロであることに加え、財務コンサルタント的な視点で経営に関与してくれる人物かを見ることが大切です。不動産業のようにダイナミックに資金が出入りする業界では、資金繰りと税務は切り離せない問題です。資金繰り改善や融資交渉に強い税理士なら、納税計画と資金計画の両面から会社をサポートし、事業成長を加速してくれるでしょう。
近年、会計業務の効率化とペーパーレス化の流れから、クラウド会計ソフトを導入する不動産会社も増えています。そこで税理士選びの際には、クラウド会計ソフトへの対応状況や経理サポート体制の充実度も確認しましょう。クラウド会計(例えばfreeeやマネーフォワード等)に精通した税理士であれば、日々の会計データ連携や書類のやり取りが飛躍的にスムーズになります。
クラウド会計に対応可能な税理士であれば、例えば領収書や請求書を紙ではなくPDFや画像データで共有しても円滑に処理してくれます。銀行口座やクレジットカード明細をソフトに連携させて、自動で仕訳を取り込む設定についてもアドバイスが受けられるでしょう。実際、経験豊富な税理士であれば自動仕訳ルールの設定も最適化してくれるため、日々の記帳業務の手間が大幅に削減できます。不動産会社は取引件数が多くなりがちですので、こうしたIT活用による効率化メリットは大きいはずです。また、リアルタイムで財務数値を共有できるため、経営者がどこからでも最新の資金繰り状況や利益を把握でき、税理士から適宜アドバイスをもらうことも容易になります。
経理支援体制の充実度も重要なチェックポイントです。具体的には、記帳代行や給与計算などの経理代行サービスに対応しているか、月次決算や試算表作成をサポートしてくれるか、といった点です。自社に経理担当者がいない場合は記帳代行を依頼できる税理士事務所が便利ですし、逆に自社でクラウド会計入力を行って顧問料を抑えたい場合は記帳内容をレビューしてくれる税理士が望ましいでしょう。また、担当者とのコミュニケーション手段(チャットやオンライン会議への対応など)やレスポンスの速さも大切です。会計ソフトへの対応力と親身な支援体制が整った税理士であれば、日常経理から決算・申告まで安心して任せることができます。
最後に、税務調査への対応力も含めてトータルにサポートしてくれる税理士を選びましょう。不動産会社に限らず、企業である以上は数年に一度の割合で税務調査が行われる可能性があります。その際に税理士が心強い味方になってくれるかどうかは、顧問契約を結ぶ上で重要なポイントです。
税務調査が入ると、調査官とのやり取りや追加資料の提出など経営者にとって大きな負担となります。しかし、顧問税理士がいれば事前準備の段階から相談に乗ってもらえ、調査当日も立会い対応や税務署との交渉を代行してもらえます。特に、不動産業特有の会計処理について調査官から疑義が呈された場合でも、業界事情を理解した税理士が論理的に説明・反論してくれるため、適切に自社の利益を守ることができます。例えば「なぜこのような契約形態で収益計上しているのか」「この経費計上の根拠は何か」といった質問にも、税理士が同席していれば的確に回答し、調査官の誤解を解くことが可能です。
また、調査の結果、申告誤りが見つかった場合の修正申告や追徴税の計算についても、税理士のサポートがあるのとないのとでは安心感が違います。自社だけで対応すると感情的になってしまう場面でも、税理士が間に入ることで冷静に対処できるでしょう。さらに、万一調査官の指摘に納得がいかない場合(見解の相違など)、税理士は不服申立て(再調査の請求や審査請求)の手続きについても助言してくれます。こうした一連の対応は高度な専門知識を要するため、最初から「税務調査まで含めてフルサポートします」と謳っている税理士を選ぶことが望ましいです。
総じて、税務顧問契約を結ぶ際には日常業務から非常時対応までワンストップで任せられるかという視点で検討すると良いでしょう。不動産会社の経営者にとって税理士は経営パートナーとも言える存在です。節税対策だけでなく将来の事業計画や資金繰り、そして万一の税務調査対応までトータルに寄り添ってくれる税理士と出会えれば、安心して本業に専念できます。
税理士法人加美税理士事務所も、不動産業に携わる皆様の良きパートナーとして専門的なサポートを提供しております。当税理士事務所では賃貸仲介・売買仲介・サブリース・建売業など不動産関連法人への顧問実績が豊富で、節税対策のご提案から資金繰り相談、クラウド会計導入支援、税務調査立会いまでトータルサポートが可能です。不動産業の会計・税務でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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