税理士法人
加美税理士事務所

全国のお客様に税務サービスをご提供しています


「このままじゃ不安…」と感じたら、税理士があなたのクリニック経営と節税対策を丸ごとサポートします。安心と確実を青色申告から。

クリニックの節税に強い税理士が、AGAや脱毛など自由診療クリニックの青色申告を徹底支援。青色申告65万円控除の活用、経費精算、赤字の繰越控除、電子帳簿保存法対策もカバー。全国対応・費用控えめのオンライン顧問体制が好評です。初回無料相談実施中。

透かしロゴ

自由診療クリニックの医師必見!青色申告の基礎から実務、節税効果、法人化まで徹底解説

AGA治療や医療脱毛など、自由診療クリニックを運営する医師の皆さんは、日々の診療や集客に追われながらも、確定申告や税金対策にも対応しなければなりません。本記事では、税理士の視点から、クリニック開業医が知っておくべき青色申告の基礎から実務上のポイント節税効果、そして事業規模が大きくなった場合の法人化の検討ポイントまでを包括的に解説します。都市部で初めて開業したWeb集客中心のクリニックや、SNSで成長を目指す20代の最新設備クリニック、さらには法人化して多拠点展開するオンライン診療型AGAクリニックなど、それぞれのケースに即した具体的アドバイスや事例も交えています。専門的な内容もできるだけわかりやすく、親しみやすい言葉でお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

青色申告とは、個人事業主(開業医を含む)が一定の条件を満たした帳簿付けを行うことで、税制上の様々な特典を受けられる申告方法です。通常、クリニックのように事業所得がある場合、確定申告では「青色申告」か「白色申告」のどちらかを選択します。青色申告を行うためには事前に税務署へ青色申告承認申請書を提出して承認を受ける必要があります。一方、白色申告は特に申請をしなくても選択できますが、後述するように税制上のメリットがありません。

開業して間もない先生ほど、まずは青色申告の届出を忘れないことが肝心です。例えば、都市部で初めて開業するWeb集客中心の個人クリニックを開院したA先生も、開業と同時に税務署へ開業届と青色申告承認申請書を提出しました。新規開業の場合、事業開始から2ヶ月以内(1月1日~12月31日に開業した場合はその年の3月15日まで)に申請すれば、その年から青色申告が適用できます。A先生のように開業初年度は広告宣伝や設備投資で出費がかさみ、場合によっては赤字になることもありますが、青色申告の承認を受けていればその赤字を翌年以降の黒字と相殺できます(損失の繰越控除)。このように、事業開始当初から青色申告を選択しておくことで、後々大きな節税効果を得られる可能性があります。

青色申告を行うためには複式簿記(貸借対照表や損益計算書を作成できる記帳方法)による帳簿作成が求められます。ただ、「複式簿記なんて難しそう…」と身構える必要はありません。最近ではクラウド会計ソフトや市販の会計ソフト(例えば弥生会計など)を使えば、入力画面に従って取引を記録するだけで、自動的に貸借対照表(バランスシート)や損益計算書を作成できます。また、税理士に記帳や決算を依頼することも可能です。当事務所(加美税理士事務所)はフルリモート対応で記帳から申告書作成までサポートしており、開業まもないクリニックでも気軽に専門家の力を借りることができます。開業届の提出や青色申告の申請手続きに不安がある場合は、専門家による開業支援を活用するのも一手です。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

こうしたサポートを活用して、開業時の各種届出をスムーズに済ませ、経理体制を早期に整えておくことで、本業に専念できる環境を整えましょう。

青色申告を選択したら、日々の経理業務を着実に行っていくことが大切です。具体的には、クリニックの収入(診療収入や美容施術の売上など)と支出(スタッフ給与、医薬品や備品の仕入れ、テナントの家賃、広告費、水道光熱費など)を漏れなく帳簿に記録し、領収書や請求書などの証憑を保存します。忙しい先生方にとって経理は後回しになりがちですが、会計ソフトを活用すれば負担を大きく減らせます。銀行口座やクレジットカードと連動して自動で取引データを取り込めるクラウド会計ソフトもあり、日々の記帳作業を簡素化できます。

例えば、SNSを活用して成長を目指す20代若手医師の最新設備クリニックを経営するB先生は、診療と情報発信で多忙な中でも、クラウド会計ソフトを活用して経理効率化を図っています。銀行取引やクレジットカードでの支払い情報を自動連携し、月末にまとめて内容を確認・仕訳することで、毎日経理に時間を割かずに済んでいます。また、B先生は定期的に税理士とのオンライン面談を行い、記帳内容のチェックや経営数値の報告を受けています。柔軟なサポートを受けることで、本業に集中しながらも経理状況を正確に把握できている好例です。当事務所でもクリニックの事情に合わせ、記帳代行のみ依頼したい、毎月オンラインで経営相談をしたい等、ニーズに応じた支援を行っています。市販ソフトで自計化(自分で経理入力)している場合でも、弥生会計対応などによりスムーズに連携可能ですので、すでに導入済みの環境があっても安心です。

確定申告の流れとしては、毎年1月1日から12月31日までの事業の収支を集計し、翌年2月16日から3月15日までに確定申告書を提出します。青色申告の場合、提出する書類は確定申告書B様式青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表等を含む)です。日々の記帳をきちんと行っていれば、決算時期にあわてることなく数字をまとめられます。減価償却が必要な医療機器などがある場合は、会計ソフト上で耐用年数に応じた償却費が自動計算されます。不明点があれば税理士に決算書や申告書の作成を依頼しましょう。

申告期限内に申告・納税を済ませれば晴れて青色申告の完了です。なお、所得税とは別に消費税にも注意が必要です。自由診療(自費診療)の収入は基本的に消費税の課税対象となるため、開業から時間が経ち売上が大きくなってくると、消費税の納税義務が発生する可能性があります(基準期間(通常は前々年)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります)。特に美容系クリニックの場合、保険適用外の診療収入が多いため一定規模以上では消費税申告が避けられません。また、高額な医療機器を購入した年などは、あえて消費税課税事業者になって仕入れにかかった消費税の還付を受ける、といった選択肢もあります。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

さらに、クリニックでスタッフを雇用している場合は給与支払に伴う事務も発生します。従業員の毎月の給与から所得税(源泉所得税)を天引きし、原則として翌月10日までに納付します(従業員が常時10人未満であれば納期の特例により半年分まとめて納付も可能)。また、年末には給与所得者の年末調整を行い、その年の従業員の税額を精算します。これらは青色申告・白色申告に関わらず必要な手続きですが、ミスなく処理するためにも税理士や給与計算代行のサービスを活用すると安心です。

日々の経理記帳から決算・申告、給与計算、消費税対応まで、やるべきことは多岐にわたります。しかし、適切に体制を整えておけば青色申告の恩恵をフルに受けつつ、クリニックの経営数値を把握して計画的に運営していくことができます。経理に時間を取られすぎないよう工夫しつつ、必要なところは専門家の力を借りて、無理のない範囲で青色申告の実務を回していきましょう。

青色申告を選ぶ最大の利点は、なんといっても税金面での優遇措置が受けられることです。ここでは青色申告ならではの主な節税メリットを解説します。

  • 青色申告特別控除(65万円控除): 青色申告者で正規の簿記に基づき確定申告を行うと、所得から最大65万円(条件により55万円または10万円の場合もあり)の特別控除を受けられます。65万円の控除というと、税率20%の層で約13万円、税率40%の高所得層では約26万円もの所得税が軽減される計算です。例えば課税所得が800万円程度であれば、この控除による節税額は所得税・住民税合わせて15〜20万円前後になります。クリニックの利益が大きくなるほど節税効果も高まるため、青色申告特別控除は非常に強力です。ただし、この控除を受けるには前述のとおり期限内に申告を行い、貸借対照表を含む決算書を提出することが条件です(電子申告を行えば控除上限が65万円にアップします)。
  • 赤字の繰越控除: 青色申告をしていれば、その年に発生した**赤字(純損失)**を最長3年間にわたって翌年度以降の黒字と相殺できます。開業当初や大きな設備投資を行った年など、事業が赤字になるケースは珍しくありません。例えば開業1年目に赤字200万円、2年目に黒字500万円だった場合、青色申告であれば2年目の500万円の利益から繰越した赤字200万円を差し引き、実質300万円に対して課税されます。これにより、本来2年目に支払うはずだった所得税・住民税を大幅に減らすことができます。白色申告では赤字を繰り越すことができず切り捨てになってしまうため、事業の浮き沈みがある場合ほど青色申告のありがたみを実感できます。
  • 青色事業専従者給与(家族への給与の経費算入): 個人でクリニックを営む場合、家族(配偶者や親族)が受付や経理補助など事業を手伝ってくれることも多いでしょう。青色申告者であれば、事前に届出をすることで、家族に支払った給与を全額必要経費にすることができます。その家族が専ら事業に従事していて15歳以上であるなど一定の要件を満たす必要はありますが、適正な給与であればその金額分だけ所得を圧縮できるわけです。例えば、B先生がクリニックの受付業務を奥様に手伝ってもらい、年間120万円の給与を支払ったとします。青色申告ならこの120万円を経費にできるため、120万円×税率分の税金が節約できます。一方、青色申告の届出をしていない白色申告の場合、配偶者に対する控除は最大86万円まで(配偶者以外の親族は一人50万円まで)と上限が定められており、しかも控除額であって実際の支払給与を経費計上できるわけではありません。つまり白色申告では家族にどれだけ多く給与を支払っても節税効果には限界があるのです。家族を事業専従者として活用できる青色申告は、所得分散による節税という観点でも優れています(所得の高い開業医ほど、このメリットは大きくなります)。
  • 少額減価償却資産の特例(30万円未満の即時償却): 医院の開業には様々な備品や機器を購入しますが、一つ一つの金額が大きいと通常は数年にわたり減価償却で経費計上します。ただし、青色申告者の場合、取得価額が30万円未満の固定資産については年間合計300万円まで、一括してその年の経費に落とすことができます。例えば1台20万円の施術用ベッドを3台購入した場合、合計60万円をその年の必要経費に計上できるのです。白色申告だと同じ備品を購入しても法定の耐用年数(例えば5年)で按分して経費計上するため、1年あたりの経費は僅かになり節税効果も先延ばしになります。青色申告なら設備投資した年に一気に費用化できるため、キャッシュフローの観点でも有利です。特に最新設備に積極投資するB先生のようなケースでは、この特例を活用することで毎年の課税所得を圧縮し、設備導入による利益圧迫を緩和できます。
  • 家事関連費の按分計上: 青色申告者は、事業とプライベートで共用している費用を按分して経費計上しやすいという利点もあります。例えば、自宅の一室をカルテの管理や事務作業スペースとして使っている場合、その部屋の面積比に応じて家賃や電気代の一部を事業経費に振り替えることが可能です。また、自家用車を往診や物品仕入れに利用しているなら、走行距離の事業利用割合に応じてガソリン代や自動車関連費用を必要経費とできます。こうした按分経費は、実態に合わせて適切に処理すれば認められます。オンライン診療が中心で自宅から全国の患者を診ているC先生(法人化済)のようなケースでは、自宅の通信費や光熱費の一部を経費按分するなど、細かな節税も積み重ねると効果的です。

以上が主な青色申告の節税メリットです。逆に言えば、白色申告を選んでいるとこれらの恩恵が受けられず、結果的に納める税金が多くなってしまう可能性が高いです。特に開業医の場合、年収が高くなりがちなため節税余地も大きく、青色申告を活用しない手はありません。後述する法人化も含め、取れる節税策は積極的に取ってクリニックの手元資金を厚くすることが、安定経営に繋がります。

なお、青色申告以外にも活用できる節税対策は多数あります。例えば、小規模企業共済に加入して将来の退職金積立をしつつ全額所得控除を受ける、必要な備品は決算前に購入して当年の経費にする、生命保険を活用して保障と節税を両立する…など様々な方法があります。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告のメリットを理解したところで、「白色申告と具体的に何が違うのか」も整理しておきましょう。基本的には前述の特典があるかないかが大きな違いですが、手続きや帳簿管理の面でも違いがあります。

  • 事前申請の有無: 青色申告は所轄税務署への事前申請が必要なのに対し、白色申告は申請不要です。何も届出をしなければ自動的に白色申告になります。
  • 帳簿の記帳方法: 青色申告では複式簿記による詳細な記帳と決算書の作成が求められます。一方、白色申告でも2014年以降は記帳と帳簿保存が義務付けられていますが、単式簿記(簡易な家計簿程度の記帳)で構いません。ただ、青色申告も会計ソフト等の普及で手間が大きく軽減されているため、現代では記帳の労力差は昔ほどありません。
  • 特別控除額: 前述の通り、青色申告には65万円(または55万円/10万円)の特別控除がありますが、白色申告には一切ありません。控除を受けられるかどうかで年間数十万円の税負担差が生じます。
  • 赤字の繰越: 青色申告では3年間の損失繰越が可能ですが、白色申告では赤字を翌年に持ち越すことができません。その年限りで損失が切り捨てとなります。
  • 専従者控除の違い: 青色申告では事前届出により家族への給与を全額経費にできますが、白色申告では配偶者は86万円、その他の親族は一人50万円が控除上限です。それ以上に支払っても経費にはできず、また実際に支払っていなくても上限額まではみなし経費として認められるという仕組みです。
  • 減価償却の扱い: 青色申告の少額減価償却資産特例(30万円未満即時償却)は白色申告には適用されません。白色では原則として10万円以上の資産は法定耐用年数に沿って減価償却しなければなりません(10万円未満の少額資産のみ全額経費算入可能)。つまり、青色申告者に比べて初年度に計上できる減価償却費が少なくなり、節税タイミングが遅れます。
  • 信用力・資料整備: 青色申告では貸借対照表を含む決算書を提出するため、事業の財務状況が明確になります。金融機関から融資を受ける際なども、青色申告でしっかり帳簿を付けている方が信用度が高いとみなされる傾向があります。白色申告だと簡易な収支計算書しか提出しないため、外部から事業実態を把握しづらく、不利とは言わないまでも情報開示が不足しがちです。
  • 税務調査リスク: 一般に、「白色申告だから税務調査されやすい」という明確な統計があるわけではありません。しかし、帳簿をきちんと整備している青色申告者に比べ、白色申告者は記帳が杜撰になりやすく、結果として申告漏れ等のミスが発生すれば税務調査の対象となる可能性は高まります。実際に税務調査が入った場合でも、青色申告で適切に帳簿管理していれば指摘事項が少なく、スムーズに対応できるでしょう。もし税務調査になった際の対策について不安がある方は「税務調査の特集ページ」も参考にしてみてください。

以上を踏まえると、クリニックを経営する立場で白色申告を選ぶメリットはほとんどありません。強いて言えば事前の届出をしなくて済む程度ですが、一度きりの届出を怠ったばかりに毎年の税負担が増えるのでは本末転倒です。

なお、一度白色申告を選択してしまった場合でも、翌年以降に青色申告へ切り替えることは可能です。その際は改めて青色申告承認申請書を期限内(原則3月15日)に提出すれば翌年から青色申告の適用を受けられます。「初年度から青色申告にしておけばよかった…」という声も実際にありますので、本記事をご覧になった先生は遅れないうちに青色申告の届出を検討してみてください。

クリニックの経営が軌道に乗り収益が拡大してくると、次に検討課題となるのが法人化(法人成り)です。法人化とは、個人事業をやめて株式会社や医療法人などの法人を設立し、事業主体を法人に移行することを指します。では、どのようなタイミングで法人化を検討すべきでしょうか?ここでは、事業規模に応じた法人化のメリット・デメリットと検討ポイントを解説します。

税率面でのメリット: 法人化を検討する大きな理由の一つが、税率の差です。個人事業主の所得税・住民税は超過累進課税で、所得が増えるほど税率(最大55%)が高くなります。一方、法人税率は所得に応じた段階はあるものの概ね一律で、中小法人の場合は年800万円までは15%、超過部分は23.2%(令和5年時点)と個人より低めに設定されています。ざっくり言えば、課税所得が800〜1000万円を超えるようだと、法人化による節税メリットが出やすいと言われます。例えば年間の事業利益が1500万円の場合、個人のままだと所得税・住民税で約45〜50%(700万円超部分は最高税率)もの税負担になるケースでも、法人にして自分に役員報酬を支払い経費化すれば、法人税+役員報酬にかかる所得税・住民税の合計を抑えることができます。特に高所得の開業医ほど、法人化によって税率を下げられる余地が大きいのです。

所得分散と給与所得控除: 法人化すると、自身は会社から給与(役員報酬)を受け取る立場になります。給与所得には給与所得控除という一定の控除枠があり、役員報酬にも適用されます。つまり、個人事業で利益として受け取っていた金額を、法人の給与という形で受け取れば、その分給与所得控除が使えるため課税所得をさらに減らすことができます。また、先述の専従者給与と同様、配偶者やご家族を役員や従業員にして給与を支給すれば、法人の経費として落としつつ、各人の所得税はそれぞれの控除枠内に収まるよう調整するといった所得の分散も可能です。個人事業でも青色専従者給与で所得分散はできますが、法人の方が給与額や対象者の柔軟性が高く、事実上上限なく分散できる点で有利です。加えて、役員報酬という形にすれば給与所得控除が使えるため、同じ金額を手元に残す場合でも個人事業の事業所得として受け取るより税負担を軽減できるケースがあります。

損失の繰越期間: 個人事業の青色申告では赤字を3年間繰り越せると述べましたが、法人の場合、赤字(欠損金)の繰越控除期間は最大10年間とさらに長くなります。例えば、新規開院や新規事業(美容メニュー追加など)に投資を行い数年間赤字が続いても、法人であれば10年内の黒字と相殺できます。開業医の方でも、将来的に複数店舗展開や大規模設備導入を計画しているなら、法人化して長期的な繰越控除枠を確保しておくメリットは大きいでしょう(※法人でも青色申告の承認が必要ですが、通常設立時に同時申請します)。

事業拡大と信用力: 複数拠点かつ全国対応のオンライン診療型AGAクリニックを経営するC先生のように、事業規模が大きくなれば法人化は事実上必須となります。法人形態にすることで、事業用の銀行口座開設や融資・資金調達がスムーズになり、大きな設備投資もしやすくなります。また、法人名義でスタッフを雇用したり、他クリニックと提携したりといった経営上の活動が行いやすくなるのも利点です。個人のままでは一人で開業できるクリニックは原則一ヶ所ですが、法人化すれば複数の医院を運営し、自分以外の医師を雇って医療提供体制を拡大することも可能です。

社会保険への加入: 法人化すると代表者や従業員は原則として**社会保険(健康保険・厚生年金)**に加入することになります。個人事業の場合、従業員が5人未満であれば国民健康保険・国民年金のままでいるケースもありますが、法人は規模に関わらず強制適用です。社会保険料は従業員と会社で折半負担するため、法人になると人件費(福利厚生費)が増加する点には注意が必要です。ただ、その分将来受け取れる年金額が増えたり、従業員にとっても手厚い保険に加入できたりと、福利厚生の充実によるメリットもあります。開業医自身も厚生年金に加入することで老後の保障が手厚くなるため、一概にデメリットとも言い切れませんが、コスト増要因であることは確かです。

コストと事務負担の増加: 法人化には設立時に登録免許税等の費用(株式会社設立なら約20〜25万円)がかかり、毎年のランニングコストとしても法人住民税の均等割(赤字でも約7万円程度)や、税理士顧問料(個人事業より高めになる傾向)が発生します。また、法人になると決算公告や各種届出、株主総会や役員変更の手続きなど法務面の事務も増えます。ただし小規模な医療法人であれば実質オーナー医師1人の会社ですから、手続きは税理士や司法書士に任せてしまえば先生自身の事務負担はそれほど変わらない場合も多いです。当事務所でも法人化に伴う各種届出や税務署手続きもサポート可能ですので、個人から法人への移行に不安があれば専門家にご相談ください。

以上の点を踏まえると、法人化の判断基準としては大きく「利益水準」と「事業計画」の二つが挙げられます。まず利益水準については、先述の通り課税所得ベースで800万〜1000万円を超えてきたら法人化を検討する価値が高まります。また、利益はそこまで出ていなくても、近い将来2院目の分院開設を考えている、あるいは医師を増やして診療科目を拡大する予定がある、といった事業拡大の計画がある場合も、早めに法人化しておいた方が後々運営しやすくなるでしょう。一方、開業して間もない段階で利益も小さく、当面は一院のみで診療に集中したいという場合は、無理に法人化を急ぐ必要はありません。A先生のように、まずは個人事業の青色申告で十分な節税効果を享受し、経営が安定してから次のステップとして法人化を検討するのも堅実な進め方です。

なお、法人化する場合は税務だけでなく、都道府県への医療法人設立認可の取得や定款の作成など法的な手続きも伴います。これは専門知識が必要になる部分ですが、税理士や司法書士など専門家のサポートを受ければスムーズに進められます。法人化に関する詳しいメリット・デメリットや具体的手順については下記のページをご覧ください。

規模や状況に応じて最適な選択肢は変わりますが、いずれの場合も適切な申告と節税対策を講じることで、クリニック経営の財務面を健全に保つことができます。青色申告のメリットを最大限活かしつつ、将来の法人化も視野に入れて計画的に取り組んでいきましょう。税理士法人加美税理士事務所は、フルリモートでの対応や柔軟なサポート体制、クリニックの実情に合わせたリーズナブルな料金設定で先生方の事業をバックアップします。専門家をパートナーに迎えることで、安心して本業の医療に専念できる環境を整えていただければ幸いです。

よくあるご質問

FAQ

AGAや脱毛など自由診療クリニックでも青色申告は必要ですか?

はい、個人事業主として開業されている場合、青色申告は非常に有利です。医業として保険診療を行わない自由診療の収入も、すべて確定申告の対象になります。帳簿作成の義務はありますが、最大65万円の特別控除が受けられるなど、節税メリットは大きいため、特に開業初期の先生におすすめしています。

青色申告のために弥生会計などの会計ソフトは必須ですか?

必須ではありませんが、正確な帳簿作成と時間短縮のため、導入を推奨します。当事務所では弥生会計をはじめ、各種クラウド会計ソフトに対応しています。導入が難しい場合でも、記帳代行や安価なサポートプランをご提案可能ですのでご安心ください。

青色申告と白色申告では、どのくらい節税効果が違いますか?

具体的な差は所得金額によりますが、青色申告の65万円控除に加えて、赤字の繰越や家族への給与の全額経費算入が可能です。特にクリニック経営では高額収入になりやすく、青色申告のほうが節税インパクトが大きくなります。

青色申告を選ぶと税務調査が入りやすいという噂は本当ですか?

実際には帳簿の正確性が重要であり、申告方法だけで税務調査の確率が大きく変わることはありません。むしろ青色申告のほうが帳簿が整っているケースが多く、調査対応がスムーズです。当事務所ではオンラインでの税務調査立会いにも対応しています。

自由診療の売上管理が曖昧で申告に不安があります。どうすればよいですか?

売上管理は青色申告の根幹です。電子カルテやオンライン予約システムと連動した入金管理体制を整えることが第一歩です。当事務所ではPOSレジやネット決済の連携ノウハウも含めてアドバイス可能です。

青色申告特別控除の65万円を受けるには、具体的に何が必要ですか?

複式簿記による帳簿作成、期限内の確定申告、そして貸借対照表・損益計算書の提出が必要です。電子申告なら満額の65万円控除が適用されます。会計ソフトを活用した効率的な方法も当事務所がご提案可能です。

青色申告の申請はいつまでに提出すれば間に合いますか?

原則として開業から2ヶ月以内、もしくはその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。初めての開業で迷った場合も、当事務所が提出書類の準備を全面サポートいたします。

開業1年目で赤字でも青色申告をする意味はありますか?

あります。青色申告であれば最大3年間、赤字(純損失)を繰り越して翌年以降の黒字と相殺できます。開業初期に設備投資がかさむ自由診療クリニックにとっては、大きな節税効果につながります。

家族スタッフへの給与を経費にしたいのですが、青色申告で可能ですか?

はい、「青色事業専従者給与制度」を活用すれば、家族などの専従者に支払う給与を全額経費にできます。事前の届出と勤務実態の記録が必要です。自由診療クリニックでは受付業務や事務作業の家族協力がある場合に有効です。

青色申告と消費税申告の関係がよくわかりません。自由診療でも課税対象ですか?

はい、保険診療と異なり、自由診療の収入(AGA・脱毛など)は原則として消費税の課税対象です。課税事業者の選択や簡易課税制度の適用有無など、判断が重要です。詳しくは以下のページをご覧ください。

会計ソフトを使わずに青色申告は可能でしょうか?

可能ですが、手書きやExcelでの帳簿作成には手間と正確性のリスクが伴います。当事務所では、会計ソフトなしでも青色申告に対応できる「簡便経理プラン」をご用意しています。初めての方でも安心して取り組めます。

医療機器などの高額備品はどのように経費処理すればいいですか?

常は減価償却によって数年に分けて経費化しますが、30万円未満のものは即時償却が可能です(年間300万円まで)。青色申告での特例として節税効果が高いため、導入時期も含めたご相談をおすすめします。

オンライン診療中心でも青色申告は必要ですか?

はい、オンライン診療であっても自由診療収入は課税対象となり、青色申告による特別控除や赤字繰越などのメリットを受けられます。多拠点展開や電子帳簿保存法への対応も含め、当事務所がフルリモートで支援可能です。

記帳が面倒なので丸投げでお願いできますか?

はい、当事務所では記帳代行サービスもご提供しております。丸投げプランだけでなく、ご自身で入力される場合より安価で効率的なプランもございます。会計ソフト導入の有無を問わず対応可能です。

青色申告と法人化はどちらが有利ですか?

所得規模や事業拡大の計画によって異なりますが、青色申告は個人のままでも強力な節税策です。ただし、所得が一定額を超えた場合や分院展開を見据えるなら、法人化による節税や社会保険対応のメリットが出てきます。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

SNS経由での広告費やマーケティング費用は経費になりますか?

はい、自由診療クリニックにおけるSNSマーケティングや広告戦略の費用は、事業に必要な支出として経費計上できます。投稿代行業者への委託費や撮影費用なども含め、領収書をしっかり残すことが大切です。

青色申告の帳簿をクラウド上で管理しても問題ありませんか?

はい、クラウド型会計ソフトを活用した帳簿管理も税務署に認められています。電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応可能なため、効率的な経理体制が整えられます。当事務所でも導入支援を行っております。

月々の資金繰りが不安定ですが、青色申告と関係がありますか?

青色申告自体が直接の資金繰りを改善するわけではありませんが、正確な帳簿管理を通じてキャッシュフロー分析や利益計画を立てやすくなります。経営数値を可視化することで資金繰り表の作成にも役立ちます。

税務調査が入った場合、青色申告をしていると有利ですか?

有利とは言い切れませんが、帳簿を整えて青色申告を行っている場合、調査の対応がスムーズに進みやすくなります。当事務所では税務調査対応の実績が豊富で、オンライン立会いにも対応しています。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

これから開業予定ですが、青色申告の準備はいつから始めればよいですか?

開業届と同時に青色申告承認申請書を提出するのがベストです。事業計画書の段階から帳簿設計を進めることで、スムーズにスタートできます。初期からの支援をご希望の方はぜひご相談ください。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

開業したばかりで経理の知識が全くありません。大丈夫でしょうか?

ご安心ください。当事務所では開業初期の先生向けに、青色申告の基本から記帳方法まで丁寧にサポートしています。フルリモート対応で全国どこからでもご相談いただけます。

青色申告を活用した節税対策の具体例を知りたいです。

例えば、医療機器を30万円未満に分けて購入し即時償却する、専従者給与を活用して所得分散するなどが代表的です。他にも様々な方法がありますので、こちらもぜひご覧ください。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

オンライン診療のみのクリニックでも領収書の保管は必要ですか?

はい、オンライン運営でも取引の証拠となる領収書・請求書等は電子帳簿保存法に沿って保管が必要です。クラウド保存やスキャンデータの活用も対応可能ですのでご相談ください。

弥生会計の導入サポートはしてもらえますか?

はい、当事務所は弥生会計に精通しており、インストールから初期設定、使い方の指導までフルサポート可能です。クラウド版にも対応しており、オンラインでのサポートも承っています。

すでに別の税理士に依頼していますが、相談だけでも可能ですか?

もちろん可能です。青色申告や経費処理についてのセカンドオピニオンや、将来的な法人化のご相談など、スポット相談も承っています。お気軽にお問い合わせください。

会計処理を途中から依頼することはできますか?

はい、可能です。途中までご自身で記帳されていた場合でも、帳簿データや領収書を基に当事務所で修正・仕訳の見直しを行います。必要に応じて決算対応も承ります。

青色申告の控除を最大限に活かすにはどうすればいいですか?

複式簿記による記帳と電子申告の実施が必要です。また、計画的に経費を把握し、特例や控除制度を正しく活用することが重要です。当事務所がその最適解をご提案いたします。

青色申告の控除や特典は将来的な法人化後も引き継がれますか?

個人と法人は別事業体のため、控除自体は引き継がれませんが、法人にも節税制度があります。法人化のタイミングで適切に切り替えれば問題ありません。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

お問い合わせ

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

関連ページ

Related Pages