「税金が高すぎる…」と悩む前に、法人化という選択肢を。税務に不安な自由診療の先生方に、今すぐ安心と可能性を。
AGAなどの自由診療クリニックに精通した税理士が法人化とそれによる節税対策を徹底解説。社宅・退職金など法人特有の節税スキームを活用しつつ、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応。フルリモートで遠隔地の先生も安心の税務顧問体制を整えています。

自由診療クリニックの法人化ガイド – AGA・脱毛クリニックが知っておくべきメリット・タイミング・節税策・手続き
自由診療クリニック(AGA治療・医療脱毛など)の先生方向けに、クリニックの法人化(医療法人化)に関する実務ガイドをお届けします。本記事では、税理士の視点から法人化のメリット、適切なタイミング、法人化後に活用できる節税対策、そして実際の手続きについて詳しく解説します。都市部で開業したばかりで不安を抱える先生、最新設備で事業が急成長中の若手医師、複数拠点やオンライン診療で管理体制・税務が複雑化しているクリニックなど、それぞれの状況に合わせたポイントも取り上げます。専門的な内容もできるだけわかりやすく、具体例を交えながら説明しますので、クリニック経営の今後の判断材料にぜひお役立てください。
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法人化のメリット(税制・社会保険料・資金繰り面)
まず、クリニックを法人化(医療法人を設立)することで得られる主なメリットを見ていきましょう。税制面の優遇や社会保険料負担の見直し、そして資金繰り・経営面のメリットがあります。それぞれ詳しく解説します。
税制上のメリット
税率の引き下げによる節税効果: 個人事業のままですと、院長先生の利益に対して累進課税の所得税・住民税が課され、最高税率は合わせて約55%にも達します。しかし法人化して医療法人を設立すると、所得に応じて段階的に法人税率(15%~23.2%)が適用されるため、同じ利益でも実質的な税率は約30%程度に抑えられます。例えば、年間の課税所得が1,800万円を超えるようなケースでは、個人では税率50%以上になるのに対し、医療法人では約30%程度に収まります。この税率差により、所得が増えても法人化しておくことで税金負担を大幅に軽減できるのです。
給与所得控除の適用: 法人化すると院長は自分のクリニックから「役員報酬」という形で給与を受け取ることになります。これにより、給与所得者に認められる給与所得控除を活用できる点も大きなメリットです。個人事業主のままではどれだけ利益が出ても青色申告特別控除65万円が上限ですが、法人化して給与収入にすれば収入に応じて最大245万円もの給与所得控除を受けられます。この控除額は事実上の経費とみなされ課税所得を減らすため、大きな節税効果があります。例えば年収1,000万円程度の院長給与を設定すれば、概算で200万円超の給与所得控除が得られ、個人事業では得られない節税が可能です。ただし給与を支払うことで法人・個人双方で社会保険料の負担が生じる点には注意が必要です(社会保険料については後述)。
親族への所得分散: 法人化すれば、家族をご自身のクリニックの役員や従業員として雇用し、給与を支払うことも可能です。これはクリニックの節税策としてよく活用されます。たとえば配偶者やご家族に相応の給与を支給すれば、所得を家族に振り分ける(分散する)ことになり、一人に集中するよりも一家全体で見た税率を抑えることができます。個人事業のままでは院長本人や配偶者に給与を出して経費計上することは原則できませんが、法人化後であれば実際に業務に従事してもらう前提で家族従業員への給与を経費にできるため有効です。これにより高所得の院長個人に課される税金を減らし、ご家族も含めたトータルでの節税が可能となります。
経費計上できる範囲の拡大: 法人になると、経費として認められる費用の範囲も広がります。たとえば院長個人の生命保険料も、法人契約に切り替えて一定の要件を満たせば法人の損金(経費)に算入できます。個人では生命保険料控除の上限は年12万円程度ですが、法人契約の定期保険にすれば支払保険料の全額を経費計上できる商品もあり、将来の備えをしつつ課税所得を減らすことができます。また社用車や交際費の範囲拡大など、クリニック経営に必要な支出を柔軟に経費化しやすくなるのも利点です。結果として利益を圧縮し、法人税の節税対策につながります(詳細な節税策は後述の「法人ならではの節税対策」で解説します)。
消費税面でのメリット: 自由診療クリニックの場合、AGA治療や美容目的の医療脱毛など保険適用外の診療収入は消費税の課税対象となります。そのため売上規模が大きくなると消費税の納税負担も無視できません。法人設立には、この消費税対策のメリットもあります。一般に、新規設立の法人は出資額(拠出金)が1,000万円未満であれば設立後最初の2期は消費税が免除されます。個人事業で既に消費税を納めていた場合でも、法人を新たに設立して事業を承継すれば、一時的に消費税の納税義務から外れることが可能です。例えば年間の売上高が数千万円規模で消費税負担が大きいクリニックが法人化すれば、初年度から約2年間は消費税申告・納税が不要(免税事業者)となり資金繰りが大きく改善します。なお、この免税措置を受けるためのタイミング調整や出資額(拠出金)設定など専門的な計画が必要です(詳しくは税理士にご相談ください)。消費税について詳しくは「消費税の特集ページ」をご覧ください。
社会保険料負担・福利厚生面のポイント
社会保険(厚生年金・健康保険)加入義務の違い: 個人経営のクリニックでは、スタッフが常勤5名以下であれば社会保険の加入は任意適用(加入は努力義務)となっています。実際には従業員の希望や福利厚生の観点から任意加入するケースもありますが、規模が小さいうちは院長自身は国民健康保険・国民年金で対応し、人件費負担を抑えていることも多いでしょう。一方で法人(医療法人)にすると、雇用人数に関係なく常勤職員は社会保険への加入が強制となります。つまり院長先生ご自身も法人の「従業員(役員)」として厚生年金保険と健康保険に加入する必要があり、法人と個人(役員)がそれぞれ保険料を半額ずつ負担することになります。社会保険加入により法人・個人双方で負担増になる点はデメリットに感じられるかもしれませんが、その反面、従業員にとって充実した福利厚生を提供できるというメリットでもあります。厚生年金や健康保険(協会けんぽなど)に加入できることは、人材確保や定着に有利に働きますし、院長ご自身にとっても将来的に国民年金より手厚い年金を受け取れる、公的医療保険の給付が充実する(傷病手当金や高額療養費制度など)といった利点があります。
社会保険料負担の調整: 法人化後は役員報酬額に応じて社会保険料(厚生年金・健康保険料)が発生します。報酬を高く設定すればその分社会保険料の会社負担・個人負担が増えますが、報酬を低めに抑えれば保険料負担は軽減されます。ただし役員報酬を低くしすぎると法人側に利益が出すぎて税負担が増えるため、税金と社会保険料のバランスを見ながら最適な報酬額を設定することが重要です。この点については後述の節税対策の項で触れますが、例えば役員報酬の一部を社宅制度や出張手当など非課税の形で受け取ることで、社会保険料負担を抑えつつ実質的な手取りを増やす工夫も可能です。法人化により社保加入義務が生じるのは事実ですが、その分将来の年金受給額の増加や従業員の安心感向上というリターンも得られますので、単なるデメリットと捉えずトータルで検討すると良いでしょう。場合によっては社会保険料の負担増加分以上に法人化による節税メリットが大きいケースもありますので、専門の税理士とシミュレーションしてみることをおすすめします。(※法人化前に個人で節税する方法については「青色申告の特集ページ」も参考にしてください)
資金繰り・信用面のメリット
源泉徴収の不要化による資金繰り改善: 保険診療を行っているクリニックの場合、個人事業のままだと診療報酬から所得税相当額が源泉徴収で天引きされて入金します。これは税金の前払いのようなものですが、法人化するとこの源泉徴収が不要になるため、その分手元資金が増えます。結果として資金繰りが改善し、運転資金にゆとりが生まれるメリットがあります。※自由診療メインのクリニックでは保険診療報酬は少ないかもしれませんが、例えば一部自費で行っていた検査や健診収入についても、法人化後は源泉徴収の影響を受けずに済む点は有利です。
金融機関からの信用向上: クリニックを法人化することで、対外的な信用度が高まる傾向があります。法人は決算書を作成し公的に信頼性のある形で業績を示すため、金融機関から見ると融資先として評価が上がります。個人の銀行口座とは別に法人名義の預金口座を開設し、資金を明確に分けて管理できる点も信用力につながります。「クリニックを法人化=経営が軌道に乗り発展途上にある」というポジティブな印象を与えることもあり、今後設備資金の借入をしたい場合や、新規事業の資金調達を検討する場合にも法人の方が融資を受けやすいと言われます。実際、政府系金融機関や銀行の医療機関向け融資制度では、医療法人であるほうが大きな枠・長期の借入が可能なケースもあります。また、法人化によって事業と個人の財布が明確に分かれるため、クリニックの財務状況を正確に把握しやすくなるという効果もあります。資金繰り管理が透明化し、将来の計画を立てやすくなる点でも法人化はプラスに働くでしょう。
経営の安定性と事業拡大の柔軟性: 法人化することで、クリニック経営が組織として盤石になるメリットもあります。法人になると分院の設置や介護事業など関連事業への参入が可能になり、事業展開の自由度が増します。個人では一つの診療所しか開設できませんが、法人なら複数の診療所を運営できます。また、将来的に事業承継や売却を検討する際も、法人形態の方がスムーズです。個人事業では事業を引き継ぐ際に大きな相続税・贈与税の問題が生じますが、法人であれば後継者に理事長職を引き継ぐだけで事業承継が可能(持分のない医療法人の場合、相続税も原則不要)になるため、次世代への承継リスクを減らすことができます。こうした点から見ても、一定規模以上に成長したクリニックにとって法人化は経営の安定と発展を支える有力な選択肢と言えるでしょう。
法人化すべきタイミング
メリットが多い法人化ですが、すべてのクリニックが開業直後に法人化すべきとは限りません。タイミングを誤ると、時間とコストをかけた割にメリットが少なかったり、場合によってはデメリットが上回ってしまうこともあります。そこで、この章ではどのようなタイミング・状況になったら法人化を検討すべきかを解説します。目安となる主なポイントは以下のとおりです。
- クリニックの利益(所得)が一定水準を超え、個人の税負担が大きくなってきたとき
- 事業を拡大するフェーズ(分院の開設や新サービス開始)に差し掛かったとき
- 開業から数年が経過し、減価償却費の減少などで利益が急増しそうなとき
- 将来の事業承継や相続を見据えて準備を進めたいとき
上記のような局面で法人化することで、節税効果や経営上のメリットが最大限に活きてきます。それでは、対象となるクリニックのパターンごとに具体的なタイミングの考え方を見ていきましょう。
開業直後の都市部クリニックの場合
開業したばかりのクリニックでは、まず目の前の経営を軌道に乗せることが最優先です。開業直後は設備投資や広告宣伝など出費が多く、利益も不安定なため、法人化による節税メリットがすぐには大きくならないケースが一般的です。利益がまだ少ない段階では、無理に法人化せず個人事業のままで様子を見るのも一つの判断です。個人事業であれば青色申告による65万円控除や、開業費の損金算入など基本的な節税策で対応できますし、赤字が出た場合も3年間の損失繰越が可能です。一方、法人化には設立コストや事務手続きの負担が伴います。都市部で初開業の場合、まずは患者数の確保と経営の安定化に注力し、年間の利益がおおむね500万~1,000万円を超える見込みが立ってから法人化を検討するのが無難でしょう。もちろん、ケースバイケースで初年度から黒字が大きく出るようであれば早めに法人化した方が有利な場合もあります。このタイミング判断について不安がある場合は、税理士にシミュレーションを依頼し、法人化でどれくらい節税できるか・社会保険料負担はどう変わるかなど具体的に試算してもらうと安心です。開業直後で不安の多い先生ほど、まずは専門家に相談しながら経営計画を立てることをおすすめします。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。
最新設備で急成長中のクリニックの場合
最新の医療設備を導入し患者数・売上が急増している若手医師のクリニックでは、早めの法人化を検討する価値が高いです。開業から数年以内でも、すでに利益が高水準になっている場合、前述した税率差による節税メリットを享受できる余地が大きいからです。一般に、年間課税所得が800万円~1,000万円を超えると個人より法人の方が税率面で有利になり始め、1,500万~2,000万円を超える頃には法人化の節税メリットがかなり大きくなります。急成長中のクリニックは設備投資による減価償却費も多いため、開業後しばらくは利益が圧縮されているかもしれません。しかし、医療機器の耐用年数(例えば6年)が過ぎる開業7年目以降になると減価償却費が計上できなくなり、その分一気に利益が増加して高額納税になってしまうことがあります。そうなる前に法人化しておき、役員報酬の支給や退職金制度などで利益コントロールできる体制を整えることが肝心です。「今年は設備投資減税のおかげで所得が少ないが、来年以降は大幅な黒字になりそう」というタイミングが見えているなら、その直前の期から法人化手続きを進めるのが理想です。税負担だけでなく、急成長に伴いスタッフが増えて社会保険適用が避けられなくなるケースもありますので、成長フェーズでは早めに法人化して組織体制を整えておくと安心です。実際に、最新のAGAクリニックや美容系クリニックが開業数年で法人化する例は少なくありません。成長の勢いに乗っている今だからこそ、税務・財務の専門家である税理士と二人三脚で法人化プランを検討しましょう。収益力が高いうちに法人化し内部留保を蓄えることで、将来のさらなる設備投資や分院展開に向けた資産形成にもつながります。
複数拠点・オンライン診療のクリニックの場合
複数のクリニック拠点を運営している、あるいはオンライン診療で全国に患者を抱えるようなケースでは、もはや法人化は必須に近い選択と言えます。法律上も、医師個人で開設できるのは原則1ヶ所の診療所に限られるため、2拠点目以降は医療法人を設立して運営するのが一般的です。もし現時点で2つ以上の拠点を個人事業で運営している場合は、早急に法人化を検討すべきでしょう(実質的に複数拠点を個人で運営することは医療法上グレーゾーンとなる可能性があります)。オンライン診療を展開している場合も、組織としての管理体制が重要になります。遠隔地の患者さんやスタッフを抱えるなら、法人格を持っていた方が信頼性も高まり、契約や提携もスムーズです。また、複数拠点やオンライン診療では売上や経費の管理が複雑になりますが、法人化して会計を一元管理することで経営実態を正確に把握しやすくなります。経理面でも、個人事業で拠点ごとに帳簿を分けて管理するのは手間ですが、法人なら部門別会計などを導入して効率的に管理可能です。さらに、人事面でも法人組織であればスタッフの異動・配置転換や人員融通がしやすく、オンライン診療のバックオフィス業務を集約することもできます。多拠点展開やITを駆使した診療を行うクリニックほど、組織体制の整備は急務です。法人化することで得られる信用力アップも見逃せません。対外的に「〇〇クリニック〇〇医療法人」という形になれば、行政とのやり取りや患者さんからの信頼感にもプラスに働くでしょう。なお、多拠点・オンライン診療の場合、各拠点ごとに管理者(院長)の配置や医療法人の定款への明記など、専門的な手続きが必要になります。これらについても専門の税理士や行政書士と相談しながら進めることをおすすめします。当事務所では完全オンライン対応(全国サポート)で複数拠点の法人化支援ノウハウも豊富ですので、このようなケースのご相談もお気軽にどうぞ。
法人ならではの節税対策(給与所得控除、役員退職金制度、借上社宅制度 等)
法人化によって得られる節税メリットをさらに最大化するために、法人ならではの各種制度やスキームを活用した節税対策を講じましょう。ここでは代表的なものを紹介します。法人化後はこれらを上手に使うことで、クリニックの手元資金を厚くしつつ、将来の資産形成やリスク対策にもつなげることが可能です。
給与所得控除のフル活用
前述のとおり、法人化後は院長先生に役員報酬という形で給与を支払い、給与所得控除を活用することが基本となります。この給与所得控除は、給与収入に応じて自動的に差し引かれる税法上の経費で、収入が増えるほど控除額も大きくなります。例えば年収500万円なら給与所得控除は約154万円、年収1,000万円では約220万円、年収1,800万円では上限の245万円(令和5年現在)もの控除を受けられます。個人事業ではこれほど大きな控除は得られないため、高収入になればなるほど給与所得控除の恩恵は大きいと言えます。適正な役員報酬を設定することで、この控除により大幅な所得圧縮(節税)が可能です。ただし、役員報酬は毎年期首に金額を決定すると原則1年間固定となり、途中で増減できない点に注意が必要です。クリニックの業績見通しを踏まえて無理のない報酬額を設定しましょう。なお、給与所得控除はあくまで所得税・住民税の節税効果であり、給与額に応じて社会保険料は発生します。そこで後述する社宅や手当の活用と組み合わせて、課税上有利かつ社会保険料負担の少ない役員報酬構成を検討することがポイントです。
役員退職金制度の活用
役員退職金は、法人ならではの大きなメリットであり節税策として積極的に検討すべきです。個人開業医には退職金制度がありませんが、医療法人にすれば院長である理事長に退職金を支給することが可能になります。退職金は法人にとって損金(経費)扱いとなり、支給した期の利益を大きく圧縮できます。一方で受け取る個人側では退職所得控除があり、さらに残額については1/2課税という優遇税制が適用されます。平たく言えば、退職金として受け取ったお金は他の給与所得などに比べて格段に低い税率で済むのです。例えば勤続20年の院長が5,000万円の退職金を受け取る場合、退職所得控除額は800万円×2=1,600万円(20年超は1年ごとに40万円加算)となり、残り3,400万円の1/2である1,700万円が課税対象所得となります。この1,700万円に対してのみ所得税・住民税がかかる計算になり、仮に税率20%程度としても実効税率は10%強に抑えられます。これは通常の給与や事業所得であれば数十%課税されることを考えると非常に有利です。したがって、長期的な視点で利益を院長の退職金としてプールする戦略は、医療法人の節税対策として定番と言えます。毎年の役員報酬を抑え気味にして法人内に利益を残し、それを積み立てて後年まとめて退職金で支給すれば、法人税も削減しつつ個人の受取時も低税率ですみます。また、院長が引退する際だけでなく、万一の死亡時に遺族へ退職金を支払うことも可能で、その場合は相続税の非課税枠(死亡退職金の非課税限度額:500万円×法定相続人の数)も使えるため、相続対策としても有用です。もっとも退職金額の算定には社会通念上の妥当性が求められ、金額が高すぎると経費として否認されるリスクもあります。業界水準や法人の業績に見合った退職金規程を整備し、計画的に準備を進めることが大切です。
社宅(借上社宅)制度の活用
社宅制度(借上社宅)とは、法人が住宅を借り上げ(または購入)して役員や従業員に貸与する仕組みです。医療法人でも院長ご自身(理事長)に社宅を提供することが可能で、これを上手に使うと大きな節税効果が得られます。具体的には、法人が負担する家賃等は法人の経費になります。一方、入居する院長は法人に対して一定の低額な賃料を支払うことで済み、その低額賃料分だけ給与で受け取った場合に比べて手取りが増える仕組みです。税法上認められる社宅家賃の計算式があり、例えば木造賃貸の場合は「その物件の固定資産税評価額 × 0.4%」程度が月額賃料の目安となります。この算定賃料は市価よりはるかに低いため、院長個人が同じ物件を借りて自腹で家賃を払うより、法人に借り上げてもらって低廉な賃料を支払う方が圧倒的に有利になります。結果として、住居費用の多くを法人の経費で落としつつ、院長個人の所得税・住民税・社会保険料の基礎となる給与所得を減らすことができます。例えば月額30万円のマンションを社宅として借り上げた場合でも、院長から法人への支払家賃は月数万円程度で済み、残りは法人負担経費となります。年間で見れば家賃360万円の大半が法人経費化され、院長個人の可処分所得を増やせる計算です。
ただし、医療法人における社宅制度利用にはいくつか注意点があります。まず、社宅として適用できる家賃には上限や算定ルールがあるため、あまりに高額な物件だと一部が給与とみなされ課税される可能性があります。また、医療法人は剰余金の配当が禁止されていますが、理事長のみが社宅の恩恵を受けると事実上の利益配当と見なされる恐れもあるため、必要に応じて他の勤務医や職員にも社宅制度を整備するなどの対応が推奨されます。これらの点をクリアすれば、社宅制度は院長個人にとって住宅費を経費化できる非常に強力な節税策となります。なお、社宅として提供する物件はクリニック近隣で業務に支障のない範囲に限られる、転貸禁止条項のある賃貸契約では大家の承諾が必要、といった実務上の留意事項もありますので、導入の際は専門家に相談するとよいでしょう。
その他の節税策と社会保険料の関係
上記のほかにも、法人化後に活用できる節税アイデアはいくつかあります。
- 日当・出張手当の活用: 法人では役員に対して国内出張日当を支給できます。日当に関する社内規程を整備すれば、出張時に一定額を非課税で受け取ることが可能です。この日当は給与ではなく旅費扱いで法人経費となり、しかも消費税の仕入税額控除対象にもなります。院長先生が学会や研修で出張する機会が多い場合、適切な範囲で日当を支給すれば所得税・社会保険料をかけずに報酬を受け取れることになります。
- 医療法人の保険加入: 前述のように、法人契約の生命保険を活用した節税も可能です。逓増定期保険など節税効果のある保険商品に法人で加入し、一定期間後に解約返戻金を退職金の原資に充てる手法は、多くの医療法人で採用されています。保険料の一部または全額を損金算入できるため、支払期間中は法人税が軽減され、将来の解約返戻金受取時も経理処理を工夫して税負担を抑えることができます。
- 小規模企業共済等: 法人化すると院長個人は小規模企業共済に加入できなくなりますが、その代わり法人で中小企業倒産防止共済(セーフティネット共済)に加入する選択肢があります。こちらは月額上限20万円で積立でき、掛金は全額を法人経費にできるため節税になります(将来解約時には益金になりますが、退職金と組み合わせるなどで税負担を調整可能)。
これらの施策を組み合わせることで、法人化後の税負担・保険料負担を総合的に最適化することが可能です。特に役員報酬の設定は税金と社会保険料に大きく影響します。役員報酬を高く設定すれば給与所得控除のメリットは享受できますが、社会保険料負担も増えます。逆に低く抑えれば法人税が増える可能性があります。そこで、上記のような社宅や日当、保険、退職金といった制度を活用し、課税されない手当や後払いで税優遇のある報酬の割合を増やすことでバランスを取るのがポイントです。例えば、役員報酬を適度な水準に抑えつつ社宅で住宅費を経費化し、さらに不足分は業績連動賞与(事前確定届出給与)や将来の退職金支給で補填する、といった設計も考えられます。これらは専門的なプランニングが必要になるため、ぜひ税理士に相談しながら自院に最適な節税スキームを構築してください。法人ならではの節税策は多数ありますが、無理のない範囲で活用し、クリニックの発展に役立つ資金をより多く手元に残すことが大切です。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
法人化の実務手続き(医療法人と株式会社の違い・必要書類・スケジュール等)
実際にクリニックを法人化する場合、どのような手続きを踏めばよいのかを把握しておきましょう。この章では、医療法人(クリニックの法人)設立の手順と、一般的な株式会社との違いについて解説します。必要な書類や設立までのスケジュール、関係機関とのやり取りについても触れていきます。手続きは煩雑ですが、一つひとつ確認していきましょう。
医療法人と一般の株式会社の違い
クリニックを法人化する方法としては、大きく分けて「医療法人」を設立する方法と、場合によっては「株式会社」を活用する方法があります。ただし、日本の法律上、医師または医療法人でなければ医業を開設・運営することはできないとされています。そのため、クリニックをそのまま株式会社(いわゆる普通の営利法人)で運営することは原則できません。医療法人は医療法に基づく法人形態で、都道府県知事の許可を受けて設立するものです。一方、株式会社は会社法に基づき登記のみで設立できますが、医療業を目的に含めることはできず、医師個人が開設者とならない限り診療所を運営できません。医療法人を設立せずに医療行為を提供するのはグレーあるいは違法となる可能性がありますので、本記事では正攻法である医療法人の設立を前提に進めます。
医療法人には社団医療法人(出資持分あり/なし)と財団医療法人がありますが、通常クリニックが法人化する場合は社団医療法人(出資者で構成される法人)を選択します。平成19年以降、新規設立の医療法人は持分の定めのない社団医療法人(いわゆる「持分なし医療法人」)しか認められていません。持分がないとは、法人の財産は全て法人のものであり、出資者といえども勝手に取り出せないことを意味します(解散時も残余財産は国庫などに帰属)。つまり、株式会社のように株主が出資額に応じて会社の資産を所有する形態ではない点が大きな違いです。その代わり、医療法人の出資者(社員と呼ばれます)は持分を持たない代わりに配当を受け取ることもありません。クリニックの利益はすべて法人内に蓄積され、必要に応じ役員報酬や職員給与、退職金等として支払われるのみで、株式配当のように自由に分配することはできません。この仕組みは、医療法人が営利追求ではなく公共性の高い医療提供を目的とするために設けられています。
一方、株式会社との手続き上の違いとして、設立に行政の認可が必要な点、解散時にも残余財産の処分に制限がある点などが挙げられます。株式会社であれば発起人(出資者)一人からでも数日で設立可能ですが、医療法人は後述するように数ヶ月に及ぶ認可プロセスが必要になります。また医療法人は決算公告義務がないなど運営面で株式会社と異なる点もあります。まとめると、クリニックの法人化=医療法人の設立であり、これは株式会社など通常の法人とは法律的にも運営面でも異なる特別な法人形態であることを押さえておいてください。
法人設立に必要な書類・準備
医療法人を設立するには、かなり多くの書類を準備しなければなりません。主な必要書類・準備事項は以下のとおりです。
- 定款の作成: 医療法人の基本ルールを定めた定款を作成します。法人名称(〇〇会など)、目的(診療所の開設・運営等)、事業内容、役員構成、拠出額(出資金)などを記載します。各都道府県で「医療法人設立の手引き」が公開されており、定款モデルも載っていますので、それに沿って作成するとよいでしょう。
- 社員・役員等の決定: 医療法人の社員(出資者)および役員(理事長=院長、その他理事、監事)を決めます。社員は通常院長先生お一人か、ご家族等も含め複数でも構いません。理事は3名以上(うち1名は必ず常勤)、監事1~2名が必要です。監事には医師やその6親等内親族、クリニックの利害関係者は就任できない決まりがあるため、顧問税理士や知人の専門家など第三者にお願いすることが多いです。
- 設立趣意書・事業計画書等の作成: なぜ法人化するのか、その法人で何を行うのかを示す設立趣意書や事業計画書、収支予算書などを作成します。既存クリニックを法人化する場合は直近の決算書や診療実績の資料も求められます。新たに分院を設立する場合はその計画概要や資金計画書も必要です。
- 設立総会の開催: 上記の定款案や役員案に基づき、社員を集めて設立総会を開催します。議事録を作成し、定款や役員の選任、設立当初拠出額(出資金)の払い込み承認などを決議します。この設立総会議事録も申請書類に添付します。なお、設立総会自体は実際に開催し議論するというより、形式的なものですが、書類として不備なく作成する必要があります。
- 各種申請書類の準備: 都道府県知事宛ての医療法人設立認可申請書を作成します。これは役員名簿や定款、事業計画、議事録など複数の添付書類とともに提出する一式の書類です。都道府県によって提出様式や部数、提出期限(受付期間)が決められており、例えば東京都では年2回(春と秋)程度の受付期間があります。締切に間に合うよう逆算して準備を進めましょう。
- 関係機関との事前協議: 提出前に都道府県の担当部署(医療政策課等)や所轄保健所との事前相談が行われることも多いです。計画内容に不備がないか、必要な医師・看護師の配置基準を満たすか、など専門的観点でアドバイスをもらえます。場合によっては地元医師会への根回しや、医療審議会委員への説明が必要なケースもあります(地域によります)。
以上の準備を経て、揃った書類一式を期限内に提出します。必要書類の種類は非常に多岐にわたり、他にも役員全員の住民票・履歴書、診療所の不動産賃貸契約書写し、建物の平面図、医師免許証の写し、預金残高証明書なども求められます。都道府県の要項を熟読し、漏れのないようチェックリストを作って進めると良いでしょう。専門家に依頼すれば、これら書類作成を代行・サポートしてもらえますので、初めて法人化する場合は司法書士や行政書士、税理士事務所の支援を受けることを強くおすすめします。
設立までのスケジュール
医療法人設立は通常の株式会社設立に比べて長い時間がかかります。一般的な株式会社なら、定款を作成して公証人認証を受け、法務局に登記申請すれば早ければ1~2週間で設立完了です。しかし医療法人の場合、準備開始から厚生局への届出完了まで7~10ヶ月程度は見ておく必要があります。具体的なスケジュールの一例を東京都のケースで示すと以下のようになります。
- 設立準備開始(- 約6ヶ月前): 手引き入手、定款案作成、役員内諾、必要書類収集開始。
- 設立総会開催(- 約5ヶ月前): 定款確定、議事録作成、出資金払込(預金口座用意)。
- 仮申請書類提出(- 約4ヶ月前): 都道府県への設立認可申請書一式を提出(受付期間内に提出必須)。
- 審査・ヒアリング(申請後約3ヶ月): 都道府県による書類審査期間。不備があれば補正指示が出ます。また、保健所による現地調査や代表者(院長)面談が行われることもあります。必要に応じ追加書類提出。
- 本申請書類提出(- 約1ヶ月前): 審査が概ねOKとなったら、本申請用の正本書類を改めて提出します。原本への実印押印や利害関係者の署名が求められるため、事前に関係各所(金融機関、家主、リース会社等)に協力依頼しておきます。
- 医療審議会での諮問・答申: 都道府県の医療審議会に諮られ、問題なければ設立認可書の交付となります。ここまでで申請から約3~4ヶ月程度です。
- 法務局で法人設立登記(認可後~2週間以内): 認可書を受け取ったら、2週間以内に所轄法務局で設立登記を行います。これで法人自体は成立です。登記が完了すると法人の印鑑証明書が取得できます。
- 診療所の開設手続き: 新たに医療法人が診療所を開設する形になるため、保健所に診療所開設許可申請を行います。既存クリニックを継承する場合は一度個人の診療所を廃止し、法人として新規開設するため「開設・廃止届」が必要です。保健所の現地調査を経て開設許可書が交付されます(この許可がないと法人で診療を開始できません)。
- 保険医療機関の指定申請: 開設許可後、管轄の地方厚生局に対し健康保険医療機関の指定申請を行います。法人名義で保険診療を行うための手続きです。書類審査のみで、問題なければ指定通知が出ます。
- 各種届出: 税務署への法人設立届出・青色申告承認申請、都道府県税事務所への法人設立届、年金事務所への社会保険新規適用届、労働基準監督署・ハローワークへの労働保険関係成立届など、税務・労務関係の諸届を行います。これらはすべて法人として新たに手続きをする必要があります。
以上がおおまかな流れです。非常に多くの手続きがありますが、見方を変えれば一度医療法人を設立してしまえば、その後は長年にわたり節税メリットを受け続けられるとも言えます。設立作業に手間取ってタイミングを逃すと、申請が次回募集まで持ち越しになり開業が半年~1年遅れることもあります。そうならないためにも、スケジュールには余裕を持ち、専門家のサポートを受けながら着実に進めることが重要です。
関係機関への届出・手続き
前項でも触れましたが、法人化には様々な行政機関・関係者とのやり取りが発生します。最後に主な関係先と対応すべき手続きを整理しておきます。
- 都道府県知事: 設立認可申請先。設立趣意書や定款案などの書類審査・許可を行います。事前に保健所などと協議しながら書類をまとめ、指定の期日までに提出します。
- 保健所(行政の医務課等): 診療所の開設許可を担当します。施設基準や人員配置のチェック、現地調査、開設・廃止届の受付など。個人から法人への承継時はタイミングを揃えて廃止・開設を行う必要があります。
- 地方厚生局: 保険医療機関の指定、および保険医の登録(院長先生が新たに法人所属の保険医となる)手続きを行います。書類提出のみですが、開設許可後すみやかに申請します。
- 法務局: 医療法人の設立登記を行います。株式会社と同様に登記申請書や定款、認可書等を提出します。法人名や所在地、役員などが登記され、法人格が正式に発生します。登記事項証明書(登記簿謄本)や印鑑証明はここで取得できます。
- 税務署・都道府県税事務所・市区町村役場: 法人設立後1ヶ月以内に税務署へ「法人設立届出書」を提出します。合わせて青色申告を受ける場合は「青色申告承認申請書」も提出しておきます。都道府県税、市区町村税についても法人設立の届出が必要です。さらに、消費税の課税事業者選択届出や事業廃止届(個人事業を廃止した届出)など、税務関係の書類を漏れなく提出します。
- 年金事務所(日本年金機構): 社会保険の新規適用手続きとして、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「被保険者資格取得届」等を提出します。従業員の年金手帳情報や法人の登記情報、口座振替の設定書類なども必要です。法人設立から5日以内など早めの期限が定められている場合があります。
- 労働基準監督署・ハローワーク: 従業員を雇用していれば、労災保険と雇用保険の成立手続きが必要です。新しい法人として「労働保険関係成立届」「労災保険概算保険料申告書」を労基署へ提出し、ハローワークには「適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。従業員の雇用保険番号や離職票交付希望有無などの情報も届け出ます。
- 金融機関・取引先: 法人名義の銀行口座を開設し、開業資金や日常の収支の受け皿とします。既存の融資やリース契約がある場合、契約主体を法人に引き継ぐ手続きや承諾が必要なことがあります。また、診療報酬の振込口座も法人名義に変更します。医薬品や医療材料の取引先にも法人化の旨を伝え、請求書宛名や支払方法の変更などを行います。
- スタッフ対応: 従業員との雇用契約も法人に引き継ぎます。個人事業主での雇用契約を終了し、新法人との間で雇用契約書を締結し直す必要があります。給与支払者が法人に変わるため年末調整や源泉徴収簿も法人で新規作成します。従業員にとっては勤務先の名称が変わるだけですが、社会保険証の切替や源泉徴収票の扱いなど実務的なフォローが求められます。
以上のように、多方面にわたる手続きが必要になります。法人化は一度きりの大仕事ですので、煩雑な事務手続きは無理に院長先生自ら行おうとせず、ぜひ専門家の力を借りてください。「手続きの流れが複雑で自分では難しい」と感じられた場合は、当事務所にご相談いただければ提携司法書士との連携によるスムーズな法人設立をサポートいたします。医療法人設立手続き代行の経験豊富な専門家がサポートすることで、先生は本業の診療に専念できますし、最短のスケジュールで認可取得を目指すことができます。
おわりに:専門家のサポートで法人化を円滑に
自由診療クリニックの法人化について、メリットから手続きまで幅広く解説してきました。法人化は税務上・経営上多くの利点がありますが、その反面専門知識を要する判断や煩雑な手続きも伴います。重要なのは、信頼できる専門家(税理士・司法書士など)のサポートのもとで計画的に進めることです。税理士であれば節税シミュレーションから適切なタイミングのアドバイス、設立後の会計・税務処理まで一貫して支援できますし、司法書士との連携で登記など法的手続きも円滑に進められます。
私たち税理士事務所は、完全オンライン対応で全国のクリニックをサポートしております。特に医療業界の支援ノウハウが豊富です。経験豊富な税理士による柔軟な対応で、それぞれのクリニックの状況に合わせたきめ細かなサポートを提供いたします。また、提携司法書士との連携により法人設立手続きもスムーズに進めることが可能です。設立後も、弥生会計など各種会計ソフトに対応し、ご希望により記帳代行を含めた丸投げ経理プランで先生方の事務負担を軽減いたします。 医療法人化後の税務調査対策や経営サポートも万全です。
ぜひ法人化をご検討の際は、一度専門家にご相談ください。適切な法人化はクリニックの発展と院長先生の資産形成に大きく寄与します。本記事の情報がお役に立ち、先生方のクリニック経営が一層飛躍されることを心より願っております。

よくあるご質問
FAQ
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自由診療クリニックが法人化することで、どのような節税効果が得られますか?
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法人化によって、所得税から法人税への切替による税率の引き下げ、給与所得控除の活用、社宅制度や退職金制度などの導入が可能になり、大幅な節税が見込めます。特にAGAや脱毛など自由診療主体のクリニックでは課税所得が高くなる傾向があるため、法人化の恩恵は大きくなります。
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自由診療クリニックの法人化タイミングはいつがベストですか?
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一般的には、課税所得が年間800万〜1,000万円を超えた頃が法人化を検討する目安です。事業拡大前や、オンライン診療で多拠点運営を始める際にも法人化の意義が高まります。タイミングを逃さないよう、資金繰り表や月次試算表をもとに定期的な見直しを行うことが重要です。
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自由診療クリニックの開業時に必要な税務手続きは何ですか?
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自由診療クリニックを開業する際には、税務署への開業届の提出、青色申告承認申請書の提出、場合によっては消費税の課税事業者選択届出書の提出が必要です。節税を意識するなら、早い段階での会計ソフト導入や記帳代行の検討もおすすめです。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。
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自由診療と消費税の関係について教えてください。
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医業では、自由診療(AGA・脱毛等)は課税売上に含まれ、消費税の申告が必要になる点がポイントです。診療報酬請求がない自由診療では「みなし仕入率」や簡易課税制度の適用に注意が必要です。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。
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AGAクリニックが法人化する場合、どのような書類が必要ですか?
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医療法人化に際しては、設立趣意書、定款、出資者名簿、役員名簿、事業計画書、収支予算書、診療所の平面図、賃貸契約書の写し、医師免許証の写しなど多数の書類が求められます。都道府県によって提出書類や手続きスケジュールが異なるため、早めの準備が肝要です。
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法人化後に使える節税スキームにはどのようなものがありますか?
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法人化後には、役員報酬による所得分散、給与所得控除、退職金制度、借上社宅制度、逓増定期保険の活用など、多様な節税スキームが利用可能です。当事務所ではこれらを組み合わせ、法人税・所得税・社会保険料を総合的に抑えるご提案をしています。
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法人化によって社会保険料はどう変わりますか?
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法人化すると、院長自身も厚生年金・健康保険の加入義務が生じ、法人と個人の双方で保険料負担が発生します。負担増となる一方で、将来の年金額が増加し、傷病手当金などの保障も手厚くなります。報酬設計によって負担の最適化が可能です。
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医療法人の設立にはどれくらいの期間がかかりますか?
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通常は、準備から登記完了まで約6〜10ヶ月程度かかります。都道府県の申請受付期間に合わせて事前相談や書類準備を行う必要があるため、早めにスケジュールを確保し、税理士や司法書士との連携を進めていくことが重要です。
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法人化した後も、個人事業としての確定申告は必要ですか?
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医療法人化後は、法人としての決算・申告が必要となり、個人の事業所得に関する確定申告は不要になります。ただし、法人化前までの個人事業の収支については、その年の確定申告で正確に申告する必要があります。
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自由診療クリニックでよくある法人化後のトラブルは何ですか?
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代表的なものに、役員報酬の設定ミスによる社会保険料の過大負担、法人名義への契約切替忘れ、従業員の雇用契約や就業規則の不備などがあります。当事務所では、これらを未然に防ぐためのサポートも行っております。
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医療法人にした後の税務調査は厳しくなりますか?
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法人であるか否かにかかわらず、適正な申告がされていれば問題ありません。ただし、法人化により取引額や関係者が増えることで、調査の対象となる項目も増える傾向にあります。当事務所は税務調査対応を得意としており、オンラインでの立会も可能です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。
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法人化後の節税対策について、個人と何が違いますか?
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法人化することで、役員報酬の最適化、退職金制度の導入、社宅スキームの活用など、個人ではできない節税手法が多数使えます。これらを組み合わせることで、税金・社会保険料の負担を総合的に軽減できます。詳しくは節税対策のページもご覧ください。
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医療法人化後にかかる毎年の費用はどれくらいですか?
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毎年かかる費用としては、税理士顧問料(相場は月3〜10万円)、決算申告料、社会保険料、医療法人の事業報告提出義務に伴う手続費用などがあります。当事務所では費用面も考慮した柔軟な顧問契約をご提案しています。
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医療法人の設立後に金融機関の評価はどう変わりますか?
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法人化によって、財務内容の透明性が増すため、金融機関からの信用が高まる傾向があります。これにより、設備投資や分院展開の際の資金調達がスムーズになるケースも多く、事業拡大の土台が整いやすくなります。
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法人化後も弥生会計などの市販ソフトで帳簿管理は可能ですか?
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はい、弥生会計やfreeeなどの市販会計ソフトを活用して法人の帳簿管理を行うことは可能です。当事務所は各種ソフトに対応しており、導入支援や運用アドバイスも行っております。丸投げ希望の方には、入力不要で経理できる方法もご提案可能です。
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医療法人化に伴い消費税の扱いはどう変わりますか?
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自由診療による売上がある場合は、法人化後も引き続き消費税の課税対象となります。なお、法人設立直後は2期にわたり消費税が免除される特例もあるため、タイミングの見極めが重要です。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。
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若手医師が開業後すぐ法人化するのは早すぎますか?
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必ずしも早すぎるとは限りません。収益が立ち上がる見込みがあり、設備投資や人材採用を積極的に進める場合には、早期の法人化によって節税と信用力向上の両方を図ることが可能です。事前の収支シミュレーションが重要です。
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社宅スキームを活用した節税にはどのような注意点がありますか?
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社宅スキームは、法人が物件を借りて役員に貸与することで家賃を経費にできる節税策です。ただし、賃料は一定の算式で設定する必要があり、高額物件を選ぶと課税リスクが生じます。契約や物件の選定にも慎重さが求められます。
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医療法人化した後に退職金を支払う場合のメリットは?
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退職金は法人側では損金算入が可能で、受取る個人側は退職所得控除や1/2課税が適用されるため、非常に有利な課税制度です。長期的な資産形成や相続対策としても有効で、計画的な準備と退職金規程の整備がポイントとなります。
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医療法人化によって従業員の雇用形態や手続きは変わりますか?
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法人化に伴い、全従業員は新たに医療法人との雇用契約を結ぶ必要があります。雇用契約書の作成、社会保険・雇用保険の適用手続き、就業規則の整備などが必要になるため、労務管理体制の見直しが重要です。
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開業初年度に法人化を検討する場合、事前に確認すべきことは?
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初年度に法人化を検討する場合、収支予測と投資回収計画、消費税の免税期間の活用可否、資金繰りへの影響をシミュレーションする必要があります。開業支援の子ページでは、初年度法人化のポイントも詳しく解説しています。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。
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記帳代行を依頼する場合、法人化後の対応はどうなりますか?
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法人化後も記帳代行は継続してご利用いただけます。法人用の会計処理には仕訳数や内容の複雑さが増えるため、対応可能な税理士事務所を選ぶことが重要です。
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医療法人を設立しても自由診療は継続可能ですか?
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はい、医療法人であっても自由診療は継続可能です。ただし、保険診療との混合診療は禁止されているため、会計や診療体制を明確に区分して運営する必要があります。適切な価格設定と収入管理が求められます。
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医療法人の理事や監事に就任できるのは誰ですか?
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理事には医師を含む関係者が就任できますが、監事は利害関係のない第三者である必要があります。通常、顧問税理士や弁護士、親族以外の信頼できる知人などが選任されます。人選には慎重を期す必要があります。

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