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「帳簿作成も申告も分からない…。そんな理容師さんの“はじめて”を支える税理士が、青色申告と経営の土台づくりをサポートします。」

理容室のオーナー様へ、税理士が青色申告の基礎から実践までを丁寧に解説します。65万円の特別控除、専従者給与、減価償却の特例などをきっちり活かして節税。弥生会計やクラウド対応、経費精算から税務調査対策まで、理容室の事業に沿った支援体制を整えています。

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理容室の青色申告とは?まず知っておきたい基礎知識

理容室の経営者の皆さまは、一度は「青色申告」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。青色申告とは、一定の条件を満たして正しく帳簿を付け、適切な確定申告を行う個人事業主が受けられる税制上の優遇制度のことです。簡単に言えば、事業の収入や経費をきちんと記録して税務署に報告することで、税金面でいくつかのメリットが受けられる仕組みです。理容室のように店舗を構えてサービスを提供する事業も対象となり、多くの理容室経営者がこの青色申告を選択しています。

一方で白色申告とは、青色申告の届出を行わずに行う通常の確定申告のことです。白色申告でも事業の申告はできますが、青色申告に比べて税制上の特典が少なく、節税の機会を逃してしまうことがあります。そのため、毎日の経理をしっかり行う意思があり、税金をできるだけ節約したいと考える理容室オーナーには青色申告がおすすめです。

では、具体的に青色申告を選ぶと何が良いのでしょうか。青色申告を行うと、最大65万円の特別控除をはじめ、家族従業員への給与を経費にできる制度や、赤字の繰越設備投資の特別償却など、様々なメリットを受けることができます。こうした特典により、理容室の経営において大きな節税効果が期待できます。ただし、青色申告を利用するには事前の申請と、日々の適切な記帳(複式簿記)が必要になります。

初めて青色申告に挑戦する理容師の方にとっては、帳簿付けや申告の手順に不安を感じるかもしれません。しかしご安心ください。当税理士事務所のような税理士事務所がサポートすれば、面倒な経理作業や申告書類の作成もスムーズに進めることが可能です。当税理士事務所は、理容室の青色申告に関する豊富な知識を持ち、フルリモート対応で全国のクライアントを支援しています。本記事では、理容室経営者の方向けに青色申告の基礎知識から具体的な手続き、メリットや注意点までをわかりやすく解説していきます。

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青色申告と白色申告の最大の違いは、税金面のメリット手間のかかり具合です。理容室を経営するうえで、どちらの申告方法が有利かを判断するために、それぞれの特徴を比較してみましょう。

白色申告の主なポイント:

  • 事前申請が不要:税務署への届け出なしで選択できます(開業届は必要ですが、青色申告承認申請書の提出が不要という意味です)。
  • 帳簿や書類が簡易:提出する申告書類は「収支内訳書」と確定申告書Bのみで、比較的シンプルです。帳簿付けも簡易なもので構い、複式簿記の厳密さは求められません。
  • 特典や控除がない:青色申告のような特別控除(後述)がないため、同じ所得額であれば青色申告よりも納める税金が多くなりがちです。家族への給与も経費にできず、赤字の繰越も認められません。
  • 保存期間が短い:帳簿や領収書の保存期間は原則5年とされています(青色申告では7年、詳細は後述)。

青色申告の主なポイント:

  • 事前申請が必要:青色申告をするには、所轄税務署長への「所得税の青色申告承認申請書」の提出と承認が必要です。一度承認を受ければ翌年以降も継続して青色申告ができますが、切り替え時には期限内の申請を忘れないようにしましょう。
  • 帳簿や書類が充実:確定申告の際に「青色申告決算書」(損益計算書や貸借対照表を含む)を作成・提出する必要があります。日々の取引を複式簿記で記帳し、より詳細な帳簿管理が求められます。
  • 各種特典が受けられる:後述するように、最大65万円の青色申告特別控除や、青色事業専従者給与(家族給与の経費算入)、純損失の繰越控除、少額減価償却資産の特例など、税金面で有利な制度を活用できます。これらは理容室経営において大きな節税効果をもたらすでしょう。
  • 保存期間が長い:青色申告では帳簿類の保存期間が7年間と定められており、しっかり記録を残しておく必要があります(※書類によっては例外あり)。

結論として、理容室経営においては多くの場合青色申告の方がお得です。例えば、年間の所得が300万円程度ある場合、青色申告特別控除(最大65万円)を受けられれば課税所得が実質235万円まで圧縮され、所得税・住民税の負担を大きく減らすことができます(節税効果が得られます)。一方、白色申告ではこうした控除がないため、同じ利益でもそのまま課税対象となってしまいます。加えて、家族に手伝ってもらっているケースや、開業初年度で赤字計上となるケースでも、青色申告の方が有利です。

もちろん、青色申告は帳簿付けなど手間がかかります。しかし、近年はクラウド会計ソフトの普及や、税理士による記帳代行サービスも充実しており、経理負担を大きく軽減できます。「経理の専門知識がないから白色で…」と敬遠する必要はありません。税理士に依頼するコストを考慮しても、青色申告による節税メリットで十分元が取れるケースが多いです。当税理士事務所でも、理容室オーナーの皆さまに青色申告のメリットを享受していただけるよう、フルリモートで経理・申告をサポートしております。税金をできるだけ節約したいとお考えなら、ぜひ青色申告の活用をご検討ください。

青色申告を始めるには、いくつかのステップを踏む必要があります。まず最初に税務署への届出手続きを行い、その後、日々の帳簿付け(複式簿記)を継続し、最終的に確定申告時には青色申告用の決算書類を作成・提出します。以下では、それぞれの手順について具体的に見ていきましょう。

青色申告を利用するには、事前に税務署から「青色申告をしても良いですよ」という承認を受ける必要があります。そのための書類が「所得税の青色申告承認申請書」です。この申請書を所轄の税務署に提出し、承認を得ることで晴れて青色申告が可能になります。提出の期限は、開業時期によって異なるので注意しましょう。

  • 新規開業の場合:新たに理容室を開業した場合、開業日が1月1日〜1月15日のときはその年の3月15日までに提出します。1月16日以降〜12月31日までに開業したときは、開業日から2か月以内が提出期限です(例:4月10日に開業した場合は6月9日まで)。
  • 白色申告からの切り替えの場合:すでに開業していて白色申告をしていた方が、翌年から青色申告に切り替えたい場合は、青色申告を開始したい年の3月15日までに申請書を提出する必要があります。

申請書の様式は国税庁のウェブサイトからダウンロードできるほか、税務署の窓口でも入手できます。記入項目は氏名や住所、事業の種目(理容業など)、開業日、会計期間、所得の種類(事業所得)など簡単なものです。提出方法は、税務署窓口への持参、郵送のほか、e-Tax(国税電子申告)でオンライン提出することも可能です。

注意:期限を過ぎて申請書を提出した場合、その年は青色申告の承認が受けられず青色申告特別控除などの特典を享受できません。例えば開業後に提出を失念すると、その年は白色申告扱いになってしまいます。せっかくの節税機会を逃さないためにも、開業時や年度切り替え時には必ず期限内に申請を行いましょう。当税理士事務所では、開業届の提出とあわせて青色申告承認申請のサポートも行っておりますので、不安な方はお気軽にご相談ください。

青色申告の承認が下りたら、日々の経理記録(記帳)を適切に行っていくことが重要です。青色申告では複式簿記という正規の簿記で帳簿をつけることが求められます。複式簿記とは、一つの取引を「借方」と「貸方」の2つの面から記録する方法で、これによって資産・負債・収益・費用の増減を正確に把握できます。

例えば、理容室でシャンプーや整髪料などの商品を仕入れて現金で支払った場合、「現金」という資産が減り、「仕入(または消耗品費)」という経費が増えるという2つの要素が同時に発生します。複式簿記ではこの取引を仕訳として、「(借方)仕入○○円/(貸方)現金○○円」のように記録します。毎日の売上も同様で、現金売上があった日は「(借方)現金○○円/(貸方)売上高○○円」と記帳します。このような仕訳を積み重ねていくことで、1年間の取引をすべて網羅した帳簿(仕訳帳や総勘定元帳)が作成され、最終的に損益計算書・貸借対照表を作る基礎資料となります。

日々の仕訳入力は、従来は手書きの帳簿でも行われてきましたが、現在では会計ソフトを利用するのが一般的です。会計ソフトを使えば、複式簿記の知識が十分でなくても、画面の指示に従って入力するだけで自動的に仕訳が作成されたり、貸借の金額が一致しているかチェックしてくれたりします。クラウド会計ソフトで銀行口座やクレジットカード明細と連携すれば、取引データを自動取り込みして半自動で帳簿付けができる機能もあります。

重要なのは、取引の証拠となるレシートや請求書をすべて保存し、それに基づいて正確に記帳することです。青色申告では売上や経費を漏れなく記録することが求められるため、現金売上の日計表や経費の領収書ファイルなどを用意し、経理のルーティンを習慣づけましょう。忙しい理容師の方は、無理に毎日でなくとも週に一度まとめて記帳する、または当税理士事務所の記帳代行サービスをご利用いただくことで、継続的な帳簿作成をサポートすることも可能です。

複式簿記による帳簿付けに慣れてくると、自分の理容室の経営状況が数字ではっきりと見えてくるようになります。「今月は材料費が先月より増えたな」「売上の中で物販の割合が何%あるのか」といった分析も可能となり、経営改善にも役立ちます。最初は難しく感じるかもしれませんが、税理士のサポートや会計ソフトの力を借りて、コツコツと記帳を続けていきましょう。

青色申告で1年の帳簿付けを終えたら、年度末(通常は12月末)に決算を行い、確定申告の書類を作成します。青色申告の場合、提出する主な書類は「確定申告書B」(所得税の申告書)と「青色申告決算書」です。

青色申告決算書とは、その年の事業の決算内容をまとめた書類で、一般的に4ページ構成になっています。1ページ目と2ページ目に損益計算書(売上や経費の内訳、専従者給与や減価償却費の明細欄を含む)が、3ページ目に貸借対照表(年末時点の資産・負債・資本の状況)が記載されます。4ページ目は事業種類別の収入内訳や期首・期末の棚卸資産の明細などの欄になっており、理容業の場合は主に売上の内訳欄などを使用します。

一方、確定申告書Bには、青色申告決算書で算出した事業所得の金額や、青色申告特別控除額、所得控除の額などを転記し、最終的な所得税額・復興特別所得税額を計算します。青色申告特別控除を受ける場合には、申告書第二表などの所定欄に控除額(55万円または65万円)を記入することを忘れないようにしましょう。

書類作成の際には、会計ソフトを利用している場合は決算書類を自動作成できる機能があります。また、当税理士事務所のような税理士に依頼いただければ、帳簿データをもとに正確な青色申告決算書と申告書を作成いたします。提出期限は原則として翌年の3月15日です。この期限までに申告書類を提出(またはe-Taxで送信)しないと、青色申告特別控除が適用されなくなってしまうため注意してください。

最近ではe-Taxを利用した電子申告にもメリットがあります。電子申告を行うことで65万円控除の要件を満たすことができますし、郵送や税務署に行く手間も省けます。マイナンバーカードなどの準備が必要ですが、一度設定すれば毎年オンラインで手続きが可能です。当税理士事務所でも電子申告に対応しておりますので、ご希望の場合はサポートいたします。

以上が青色申告の開始から申告までの大まかな流れです。初年度は慣れない作業も多いかもしれませんが、きちんと手順を踏めば難しいことはありません。不明点があれば専門家に相談しつつ、青色申告にチャレンジしてみましょう。

理容室を経営する上で、日々の経理や帳簿管理にはいくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは、どんな費用が経費になるのか売上をどのように管理するか経理の負担を減らす工夫、そして帳簿保存や税務調査への備えについて、基本的な事項を解説します。

「どこまでが経費になるのだろう?」というのは、理容室のオーナーが経理をする際によくぶつかる疑問です。経費にできる費用は、“事業の遂行上必要な支出”であることが条件です。所得税の範囲ならば、収益を上げるために直接必要という点も考慮する必要があります。理容室の場合、以下のような費用項目が主な経費として挙げられます。

  • 地代家賃:店舗の賃料です。テナント料や駐車場代など、店舗運営のために支払っているものは全て経費計上できます。自宅の一部を店舗として使っている場合は、使用面積や使用時間の按分によって相当部分を経費にできます。
  • 水道光熱費:店舗で使用する水道代、電気代、ガス代です。シャンプーで使う水、照明やドライヤーの電気など、理容サービス提供に不可欠な光熱費は経費になります。自宅兼店舗の場合も、事業で使った分を按分して経費計上します。
  • 消耗品費:ハサミ、ブラシ、クシ、タオル、カミソリの刃、ヘアケープ、洗剤や掃除用品など、比較的低価格で購入し繰り返し使う備品や消耗品の費用です。一般的に、取得価額が10万円未満の備品や消耗品は購入時に全額を経費にできます(耐用年数が1年未満のものも同様)。
  • 仕入(原価):理容室で物販(後述)を行っている場合の商品の仕入れ代です。例えば、シャンプーや整髪料を卸業者から仕入れて販売している場合、その仕入費用は売上原価として経費に含めます。また、カラー剤やパーマ剤など施術で使用する薬剤も、在庫管理する商品であれば仕入原価となります。
  • 減価償却費:10万円以上の高額な設備や備品を購入した場合の費用です。シャンプー台、理容椅子、鏡や収納家具、エアコンなどは耐用年数にわたり少しずつ経費化していく減価償却の対象です。ただし、青色申告の特典として30万円未満の資産であれば購入年に一括で経費計上(即時償却)できる特例があります【後述】。
  • 人件費(給与・外注費):従業員を雇っている場合の給料や社会保険料事業主負担分、またはアシスタントや清掃などを外部委託した場合の外注費です。青色申告者で家族に支払う給与(青色事業専従者給与)も、所定の手続きをすれば経費になります(詳細は後述)。
  • 広告宣伝費:集客のための費用です。折込チラシの作成費用、地域情報誌やウェブ広告の掲載料、看板のデザイン費、ポイントカードやパンフレットの印刷代、InstagramやFacebookなどSNS広告にかかった費用などが該当します。
  • 通信費:業務で使う電話代やインターネット回線費用です。予約管理に電話を使ったり、サロンのWi-Fiやクレジットカード決済端末の通信にネット回線を利用したりしている場合、その費用は通信費として計上できます。
  • 旅費交通費:業務のための移動にかかる交通費です。たとえば理美容の展示会や講習会に参加するための電車代・ガソリン代、取引業者との打ち合わせに出向く際の交通費などです。出張などが少ない業種ではありますが、研修参加や備品の購入で遠方へ行った場合などは忘れずに領収書を保管しましょう。
  • 接待交際費:取引先や顧客との飲食など交流にかかった費用です。理容業では頻繁には発生しないかもしれませんが、たとえば地域の異業種交流会に参加して情報交換をした際の会費や、お世話になっている業者への贈答品代などは接待交際費になりえます。ただし、金額や使途によっては経費として認められないケースもあるため、必要性・妥当性に留意しましょう。
  • その他の経費:このほかにも、店舗の内装工事代・修繕費、業務用のユニフォーム代(私服兼用の衣服は不可ですが、制服として使うものは経費可)、業務中に使うマスクや手袋等の衛生用品、業務用の保険料(火災保険など)、組合費・協会費、税理士に支払う顧問料、銀行の振込手数料やリース料など、多岐にわたる費用が経費になり得ます。

以上のように、理容室の運営に必要な支出は基本的に経費計上できます。ポイントは、「仕事のための支出かどうか」を意識することです。個人的な買い物や家族のプライベートな費用は経費に含められません。また、事業と私用が混在する費用(自宅兼店舗の水道代など)は合理的に按分計算して計上する必要があります。経費計上に迷うものがあれば、無理に判断せず税理士に相談してみましょう。適切に経費計上することで、合法的に税負担を減らしつつ、健全な財務管理ができます。

理容室の売上には、大きく分けてサービス収入(ヘアカットやシェービング、パーマなど施術による収入)と、物販収入(シャンプーや整髪料、育毛剤など商品の販売による収入)の2種類があります。経理の面では、これらを分けて管理することをおすすめします。

売上を分けて管理する理由:

  • 採算分析がしやすくなる:サービスと物販では利益率が異なります。施術サービスは主に技術料で原価が人件費中心、物販は仕入原価が売上に直接対応します。それぞれ別々に売上と原価を把握することで、どちらが利益を多く生んでいるか、どちらに力を入れるべきかといった経営判断がしやすくなります。
  • 在庫管理が容易になる:物販を行う場合、在庫商品の管理が必要です。物販売上を独立させておけば、期末の棚卸在庫の評価や仕入との突き合わせが明確になり、商品が適切に管理できます。
  • 税務上の区分に対応:将来的に事業が大きくなり消費税の課税事業者になった場合でも、サービス売上と物販売上を分けておけば消費税申告の際に科目ごとの集計が楽になります(※消費税率はサービスも物販も通常同じ10%ですが、売上と仕入の区分管理がしやすくなります。簡易課税制度のみなし仕入れ率にも関係があります。)。また、青色申告決算書の「収入金額内訳」欄にもサービス収入と商品販売収入を分けて記載することで、税務署にも事業の実態が伝わりやすくなります。

具体的な管理方法:帳簿上で科目を分けることが第一歩です。例えば会計ソフトの収益科目として「サービス売上」と「商品売上」を用意し、それぞれ別々に入力します。同時に費用側でも「商品仕入」や「商品原価」といった科目で物販の仕入費用を管理します。これにより、月次でサービス部門と物販部門の粗利益を算出することも可能です。

もし理容室の規模が小さく、売上もさほど多くない場合でも、最初から分けておくことで後々の手間が減ります。特に物販の割合が増えてくると、混在したままでは利益計算が煩雑になりがちです。初めはノート等で簡易的に分けてメモする形でも構いませんので、「サービス売上」と「物販売上」を意識して記録する習慣をつけておきましょう。

サービス提供と物販販売の両方を行う理容室では、このように売上を二本立てで管理することで、経営状況の把握と財務管理がより的確になります。当税理士事務所でも、会計ソフトの初期設定時にこうした科目分けを行い、理容室経営者の皆さまが自社の数字を理解しやすい帳簿づくりをサポートしております。

青色申告に対応した複式簿記の帳簿付けは、慣れないうちは負担に感じるかもしれません。しかし現代には便利なツールやサービスが揃っています。それらを活用することで、経理作業の負担を大幅に軽減することが可能です。

1. 会計ソフトの活用
市販の会計ソフト(クラウド型・インストール型問わず)を利用すれば、伝票の専門知識がなくてもスムーズに記帳ができます。例えば、クラウド会計ソフトのfreeeマネーフォワードクラウド会計、定番の弥生会計などは、青色申告決算書の作成にも対応しており、理容室の経理にも幅広く利用されています。銀行口座やクレジットカードを連携して自動仕訳したり、レシートをスマホ撮影するとAIが勘定科目を推測して仕訳を起こしてくれたりといった機能もあり、手作業を大きく減らせます。また、売上や経費をグラフ化して見せてくれる機能もあり、経営分析にも役立つでしょう。

2. 税理士・記帳代行サービスの活用
「ソフトを使う時間すらなかなか取れない」「経理担当者を置く余裕がない」という場合は、記帳代行や税理士の月次サポートを利用するのも一つの方法です。領収書や通帳コピー、売上記録などをまとめて渡していただければ、プロが代わりに仕訳入力から月次試算表の作成まで行います。理容室経営者はそのレポートを確認するだけで済むため、本業に専念できます。また、税理士と定期的にやり取りしていれば、節税のアドバイスや経営相談も気軽にできるというメリットがあります。

3. フルリモート対応の活用
当税理士事務所をはじめ、近年はオンラインでやり取りできる税理士サービスも増えています。メールやチャット、オンライン会議で相談でき、書類もPDFや写真データで提出できるため、遠方に住んでいても問題ありません。理容室は朝から晩までお客様対応で忙しいものですが、夜間や空き時間にスマホから経理資料を送信して相談するといったことも可能です。会計ソフトを導入していなくても対応可能で、紙の領収書しかない場合でも郵送やスキャン代行など柔軟にサポートいたします。

こうしたツールや専門家の力を借りれば、「経理のことがわからない」「時間がなくて放置してしまいそう」といった不安も解消できます。大切なのは、経理の負担を減らしつつ正確さを確保することです。理容師の皆さんは本業であるサービス提供に集中し、経理面は便利なソフトや信頼できる税理士に任せてしまうのも賢い選択でしょう。当税理士事務所でも、理容室の皆さまにとって最適な経理サポート体制を提案させていただきます。

青色申告で節税を実現するには、適切な帳簿管理書類保存が土台となります。日本の税法では、事業に関する帳簿書類を一定期間保存することが義務付けられています。個人事業主(理容室経営者)が青色申告をしている場合、基本的に7年間の保存義務があると考えてください(※前々年の事業所得が300万円以下の場合などは一部書類が5年間になる特例もありますが、念のため7年保存を徹底することをおすすめします)。

保存すべき主な帳簿書類:

  • 仕訳帳・総勘定元帳などの主要簿記類(法定帳簿)は7年間保存します。これらは青色申告特別控除を受ける前提として整備が求められる帳簿です。
  • 領収書・請求書などの証憑書類も、原則7年間(青色申告者の現金預金取引等関係書類)。ただし前々年所得300万円以下の場合は5年に短縮可。いずれにせよ、全ての領収書や経費証拠は7年間保管しておけば安心です。
  • 決算関係書類(棚卸表や減価償却資産の一覧など)は7年間。
  • 請求書控えや契約書通帳のコピーなど、事業の取引記録を裏付けるその他の書類も、できる限り7年間保管しておくと良いでしょう。

これらの保存義務を怠ると、いざというときに困ります。税務調査(税務署による帳簿チェック)が入った際、書類が散逸していたり保存期間内の帳簿が無かったりすると、青色申告の承認取り消しや重加算税等のペナルティが科される可能性もあります。また、適切に記帳・保存されていないと、税務署から申告内容を疑われやすくなります。

税務調査への備えとしては、まず上述のように帳簿と証憑をしっかり整備・保管しておくことが第一です。調査は通常、申告から数年後(3年~5年後程度)に行われることがありますので、その間に資料が散逸しないようファイリングやデータ保存を行いましょう。特に現金商売である理容室では、現金売上の日計表やレジの営業日報などをきちんと残し、売上計上漏れがないことを示せるようにしておくことが重要です。

また、近年は電子帳簿保存法の緩和により、領収書類をスキャンして電子データで保存する方法も認められています。適切な要件(タイムスタンプ付与や検索機能確保等)を満たせばペーパーレスで7年間保存も可能です。紙のまま保存する場合でも、年度ごと・月ごとに仕分けして保管すると調査時に提示しやすくなります。

万一税務調査の連絡が来た場合は、慌てずに準備しましょう。事前に税理士に相談しておけば、どのような点に注意すべきかアドバイスが得られますし、調査当日に税理士が立ち会うことも可能です。普段から税理士と契約している場合は、日頃の帳簿の状態も把握してもらっているため非常に心強いでしょう。当税理士事務所でも、クライアントの帳簿管理をサポートし、調査があっても落ち着いて対応できるよう備えております。

税務調査は怖がる必要はありませんが、「備えあれば憂いなし」です。正確な帳簿と適切な保存が、青色申告のメリットを最大限享受し続けるための安心材料となります。詳しい税務調査の流れや対策について知りたい方は、下記のページをご覧ください。

ここからは、青色申告を選択することで受けられる代表的な特典や節税メリットについて、具体的に見ていきましょう。理容室経営者にとってありがたい制度ばかりですので、ぜひ押さえておいてください。

青色申告者の最大のメリットと言えるのが、青色申告特別控除です。これは、一定の要件(複式簿記による記帳、決算書類の提出など)を満たすことで、所得から最高65万円を控除できる制度です。

65万円控除の概要:
通常、青色申告で正規の簿記を行い、期限内に確定申告をすると55万円の所得控除を受けられます。さらに、電子帳簿保存を実施しているか、もしくはe-Taxで電子申告を行えば控除額が10万円加算され、合計65万円の控除となります(2020年の税制改正以降の制度)。一方、簡易な記帳(単式簿記)の場合には控除額は10万円にとどまります。

節税効果の大きさ:
控除額65万円というのは、例えば所得税率10%の人なら6.5万円、20%の人なら13万円もの税額を減らせるインパクトがあります。理容室の規模にもよりますが、年間の利益がそれほど大きくない創業初期であっても、この控除のおかげで所得税・住民税がゼロまたはごく僅かで済むケースもあります。

要件を満たすために:
既に述べたように、65万円控除を受けるには原則として複式簿記で記帳し貸借対照表と損益計算書を提出し、期限内に確定申告を行う必要があります。また、65万円控除を狙うなら、ぜひ電子申告(e-Tax)に挑戦してみましょう。e-Taxで申告すれば郵送の手間も省け、控除額も10万円上乗せされます。電子申告の環境整備が難しい場合でも、最低限55万円の控除を受けられるよう帳簿付けと期限厳守を徹底しましょう。

注意点:
この特別控除は期限に遅れて申告すると適用されません(どんな理由があっても3月15日を過ぎると受けられなくなる点に注意)。また、事業所得や不動産所得が黒字でない場合、その年に控除できる金額は生じた所得まで(つまり青色申告特別控除額がそのまま余ることはありますが、赤字の穴埋めには使えません)。しかし赤字が出ている年は元々税負担がないため、控除を使い切れなくても問題ありません。

青色申告特別控除は、青色申告を行う最大の利点です。理容室の経営規模に関わらず受けられる可能性がある控除なので、ぜひ条件を整えてフル活用しましょう。私たち税理士も、65万円控除を確実に適用できるよう帳簿付けや電子申告のサポートを行っています。

家族にお店を手伝ってもらっている理容室では、青色事業専従者給与という制度が非常に有用です。これは、青色申告者と生計を一にする家族(配偶者や親族)に対して支払った給与を、全額必要経費として計上できるという仕組みです(白色申告では家族への給与は経費にならず、「事業専従者控除」として配偶者86万円・親族1人50万円が上限の固定控除しか認められません)。

適用の条件:
青色事業専従者給与を経費にするには、いくつか条件があります。

  • 対象となる家族は、その年の12月31日現在で15歳以上であり、半年を超える期間にわたって専ら事業に従事していること(他に本業があるような場合は不可)。
  • 所轄税務署長に対し、「青色事業専従者給与に関する届出書」を給与を経費にしたい年の3月15日までに提出していること。開業年に専従者がいる場合は、開業日から2ヶ月以内の届出が必要です。
  • 実際に支払った給与が「労務の対価」として妥当な金額であること。極端に高額で実態に合わない給与は認められません。

メリット:
この制度を使えば、例えばご主人が理容師で奥様が受付や雑務を手伝っている場合、奥様に支払う給与(月5万円など)を全額経費にできます。仮に年間60万円支払えば、その分だけご主人の事業所得を圧縮でき、節税になります。奥様側も60万円の給与所得となりますが、扶養控除や基礎控除などが適用されれば所得税・住民税は発生しないかごく僅かで済む場合が多く、世帯全体で見れば税負担を減らすことが可能です。

また、家族への給与を経費計上することで、ご主人個人の所得が減るため、国民健康保険料や国民年金保険料の所得割部分が下がる効果も期待できます(地域によりますが、所得税以外の面でも節約になる可能性があります)。

注意点:
青色事業専従者給与を経費に含めた場合、その家族は他の所得者から見ると扶養親族にはなれません。つまり、ご主人が奥様の配偶者控除を受けることはできなくなります。しかし上記の通り、専従者給与として経費に入れた方が配偶者控除を受けるより節税効果は高いケースがほとんどです。また、給与を支払ったからには実際にお金を渡していなければなりませんので、帳簿上だけで計上する「架空給与」はNGです。毎月一定額を現金または振込で支払い、専従者給与台帳などを備えておくとよいでしょう。

青色事業専従者給与の活用により、家族ぐるみで理容室を経営する場合の税負担を軽減できます。当税理士事務所では、専従者給与の届出書作成や適正給与額のアドバイスも行っておりますので、家族にお手伝いいただいている場合はお気軽にご相談ください。

事業には好不調がつきものです。開業したての頃や、設備投資・店舗改装を行った年など、赤字(純損失)が出てしまう年もあるでしょう。青色申告をしていると、そんなときでも翌年以降にその赤字を活かせる可能性があります。それが純損失の繰越控除です。

仕組み:
青色申告者は、ある年の事業所得が赤字だった場合、その赤字を最長3年間、翌年以降の所得から差し引くことができます(青色申告で適用される所得税法上の特典)。例えば、今年度(1年目)に50万円の赤字になったとします。翌年度(2年目)が黒字100万円だった場合、本来なら2年目に100万円に対して税金がかかりますが、繰越控除により2年目の所得から前年度の赤字50万円を控除して、所得50万円分のみ課税される、という具合です。残った赤字があればさらにその次の年(3年目)にも繰り越して控除できます。

理容室経営での活用例:
創業直後は設備投資や広告宣伝に費用がかさみ、赤字になるケースも珍しくありません。しかし、青色申告を選んでいれば初年度の赤字を切り捨てずに済み、翌年以降の利益と相殺できます。3年以内に黒字転換すれば、初年度の損失をまるまるカバーできるわけです。また、景気悪化で一時的に業績が落ち込んだ場合でも、次に回復した年の税負担を軽減することができます。

注意点:
純損失の繰越控除を適用するには、損失が出た年も含めて継続して青色申告を行っていることが必要です。赤字だからといって申告を怠ったり、白色申告に戻したりすると、この特典は受けられなくなるので注意しましょう。また、繰り越せるのは3年間までで、4年目以降には使えなくなります(例えば1年目の赤字は4年目にはもう控除できません)。繰越を適用したい場合、確定申告書に損失申告用の添付書類(「純損失の繰越申告書」等)を提出する必要がありますが、税理士に依頼すれば適切に処理いたします。

純損失の繰越控除は、万一の赤字の年にも「無駄にならない」安心感を与えてくれる青色申告のメリットです。理容室経営でも、先行投資が必要な場面や予期せぬ不況時に、この制度が経営を支える助けとなるでしょう。

理容室を運営していると、高額な設備や備品を購入することがあります。通常、10万円以上する器具や内装設備は固定資産となり、その耐用年数にわたって少しずつ減価償却費として経費に落としていくのが原則です。しかし、青色申告者には中小企業等の特例として、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、その購入年度に一括で全額経費計上できる制度があります。これを少額減価償却資産の特例と言います。

具体例:
例えば、新しくマッサージチェアを仕入れたとしましょう。価格が25万円だった場合、本来は耐用年数(例えば5年)の間に毎年少しずつ経費化します。しかしこの特例を使えば、25万円全額を購入した年の必要経費に計上できます。即時に経費に落とせるため、その年の利益を圧縮し、大幅な節税につながります。理容室では他にも、業務用パソコンやタブレット端末(顧客管理や電子カルテ用)、エアコン、洗濯機、ソファなど、20万円台の備品を購入する機会があるでしょう。それらもこの要件に該当すれば一括償却可能です。

適用条件と限度額:

  • 青色申告者であること(個人事業主だけでなく中小企業の法人も利用可ですが、ここでは個人の理容室を想定しています)。
  • 1つの資産の取得価額が30万円未満であること(免税事業者の場合は、税込価格で判定します)。30万円ちょうどのものやそれ以上のものは対象外です。
  • その年にこの特例で経費にできる金額の合計上限は300万円までと定められています。つまり、一年間に対象資産を何十個も購入した場合でも、一括経費計上できる総額は300万円が限度です(通常、これを超えるほど購入するケースは少ないと思われます)。
  • 確定申告時に、該当資産の明細を「減価償却の計算明細書」などに記載して提出する必要があります。

メリットと注意点:
この特例を使うことで、理容室の設備投資に対する減税メリットを享受できます。たとえば店舗のリニューアルで20万円のシャンプー台を3台(計60万円)入れ替えた場合、本来なら耐用年数(おおむね15年)で償却するところを、全額を今年の経費にできるため、当年の課税所得を大きく減らせます。ただし、翌年以降は償却費として計上できなくなりますので、先行して経費化する節税策といえます。

注意点としては、この特例で一括償却した資産についても、資産台帳で管理し耐用年数の間は記録を残しておくことが望ましいです(税務調査時に確認されることがあります)。また、30万円以上の資産には適用できませんが、10万円以上〜30万円未満の資産の場合、白色申告だと3年間で均等償却(「一括償却資産」制度)するルールはありますが即時費用化はできません。その点でも、青色申告者だけの有利な制度と言えます。

以上、青色申告による主要な特典・節税策を紹介しました。これらを活用することで、理容室の経営における税負担を大きく軽減し、浮いた資金を設備投資やサービス向上に回すことができます。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

これから理容室を開業しようと準備中の理容師の方にとっても、青色申告について知っておくことは大切です。開業前の段階から意識しておくことで、スムーズに青色申告の恩恵を受けることができます。以下に、開業準備中に押さえておきたいポイントをまとめます。

  • 開業届と同時に青色申告の申請を! 開業したらまず税務署に提出すべきなのが「個人事業の開業届出書」です。これと同時に、前述の青色申告承認申請書も忘れずに提出しましょう。開業から2か月以内という期限がありますので、「理容室オープンに向けて準備が整ったら税務署へ届出」というスケジュールを頭に入れておいてください。当税理士事務所では開業時の各種届出もサポートしております。
  • 開業前の支出も記録・保管:物件の敷金礼金、内装工事代、備品の購入費、開業前の広告宣伝費(チラシ作成など)、技術研修の参加費など、開業準備段階で発生する費用があります。こうした開業準備費のうち固定資産として計上すべきもの以外の費用(開業費)は、開業後に一括して経費に落とすことも可能です(繰延資産として計上し、任意のタイミングで償却できます)。領収書や請求書は漏れなく保管し、何にいくら使ったかをメモしておきましょう。開業後にまとめて帳簿に反映することで、スタートダッシュの年から節税効果を得られます。
  • 事業用の銀行口座を用意する:開業前に、プライベートとは別に事業専用の銀行口座を作っておくと良いでしょう。開業後の売上入金や経費支払いをその口座で行えば、通帳の動きがそのまま帳簿の資料になります。また、会計ソフトに銀行明細を取り込んで自動仕訳する際も事業用口座だけのデータなら処理が簡単です。創業時からお金の流れを分けて管理する習慣を付けておくと、後々の経理がぐっと楽になります。
  • 会計ソフト・税理士との契約検討:開業直後は何かと忙しく、経理は後回しになりがちです。青色申告を軌道に乗せるためにも、早めに会計ソフトを導入したり、税理士と顧問契約を結んだりすることを検討しましょう。ソフトの初期設定で科目を理容業向けにカスタマイズしておけば、最初の1件目の取引から正確に記帳できます。税理士に依頼すれば、開業初年度から青色申告決算書の作成までフルサポートが受けられますので、経理初心者の方も安心です。

開業準備中は覚えること・やることが山積みかと思いますが、青色申告の準備もその中の重要な一つです。最初にしっかり体制を整えておけば、開業後の会計・税務がスムーズに進みます。当税理士事務所では開業支援サービスを通じて、経営計画や資金繰りの相談から各種届出、青色申告の導入支援まで一括してフォローいたしますので、心強いパートナーとしてご活用ください。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

開業後1年目・2年目が過ぎ、創業から3年以内の時期に差し掛かっている理容室オーナーの方は、青色申告において新たに注意すべきポイントが出てきます。事業も軌道に乗り始める頃ですが、引き続き経理・税務面をしっかり管理していきましょう。

  • 消費税の課税事業者判定に注意:個人事業主は、開業してから最初の2年間は原則として消費税の納税義務が免除されています(前々年実績がないため)。しかし、3年目以降は前々年の売上高をもとに消費税の課税事業者になるかどうかが決まります。もし開業初年度(1年目)の売上が1,000万円を超えていた場合、3年目には消費税の申告・納税が必要になります。理容室では一般的にそこまで早期に売上が大きく伸びるケースは少ないかもしれませんが、経営が順調な方はご注意ください。逆に1年目・2年目が基準以下であれば、3年目も免税事業者として消費税は引き続き納めなくて済みます。ただし、免税期間でも適格請求書(インボイス)の発行を求められる取引がある場合は対応を検討しましょう(※消費税について詳しくは「消費税の特集ページ」をご覧ください。)。
  • 帳簿付けを継続し精度を上げる:開業から数年経つと、「だいたい経理には慣れた」という方も多いでしょう。このタイミングで、さらに帳簿の精度を上げることを意識してみてください。例えば、減価償却資産の管理(固定資産台帳の整備)や、在庫の棚卸評価、売掛金・買掛金の管理など、初期には手が回らなかった部分にも取り組むことで、決算書類の信頼性が向上します。税務署から見ても、創業数年経って帳簿がしっかりしている事業者は好印象ですし、税務調査の選定対象にもなりにくい傾向があります。
  • 青色申告特典の活用漏れがないか確認:3年以内の時期は、青色申告の主な特典をフル活用できているか見直すのに良い機会です。専従者給与を出せる家族がいるのに設定していない、30万円未満の資産を購入したのに通常償却にしてしまった等、見逃している節税ポイントはないでしょうか。特に、創業1〜2年目で赤字が出た場合は、3年目までが繰越控除の期限ですので、3年目に黒字転換した場合は忘れずに前年以前の赤字を差し引いて申告しましょう(税理士と相談すれば安心です)。
  • 法人化のタイミング検討:個人事業からスタートして数年が経つと、事業が安定して利益が出始める方もいるでしょう。その場合、法人化(会社設立)を検討し始めるタイミングでもあります。法人にすると税率が一定になり、所得が高くなるほど節税メリットが生じるケースがあります。また、社会保険への加入など経営環境が変わります。法人化するかどうかは慎重な判断が必要ですが、当税理士事務所では法人化シミュレーションを行い、メリット・デメリットをご提案することも可能です。実際に法人化した後の注意点は次の項で説明します。

以上のように、創業から3年以内の時期は新たなステージへの移行期とも言えます。青色申告を軸に据えつつ、事業の成長に応じた税務戦略を練っていきましょう。節税対策や経営改善の視点でお悩みが出てきたら、どうぞ私たち税理士にご相談ください。

個人事業から発展し、法人化(会社設立)を遂げた理容室もあるでしょう。法人化後も、経理・税務の基本は大きく変わりませんが、いくつか注意すべき点があります。

  • 法人としての青色申告:法人にも青色申告制度があり、多くの中小企業は設立時に青色申告の承認申請を行っています(法人設立後3ヶ月以内などの期限あり)。法人も青色申告であれば欠損金の繰越控除(最大10年間)や少額減価償却資産の特例などを受けられます。ただし、個人と違って65万円控除のような制度はありません。また、決算期ごとに「法人税青色申告決算書」を作成して法人税の確定申告を行う点は共通です。
  • 経理業務の拡大:法人になると、経理業務は個人事業時代より増えます。例えば、毎月の給与計算と源泉所得税の納付、社会保険の手続き、年末調整、法人住民税の均等割納付、決算公告(小規模株式会社は不要な場合もあります)など、新たな業務が発生します。特に役員報酬(オーナー理容師自身の給与)については期首に定額を決め、期中で変更すると原則経費にできないなどの法人税特有のルールがあります。これらを踏まえ、計画的に経理処理を行いましょう。
  • 資金管理と税負担:法人では事業用とプライベートの区別がより厳格になります。オーナー個人のお金と会社のお金は明確に分け、社長個人の生活費を会社経費に入れることはNGです。また、法人になると、たとえ利益がゼロでも毎年少額の法人住民税(均等割)を支払う必要があります。さらに、一定以上の利益が出れば法人税・地方法人税の他、法人事業税も課税されます。個人事業と比べ税率や計算方法が変わりますので、設立当初は試算表を使って税負担をシミュレーションし、資金繰りに支障が出ないよう注意しましょう。
  • 会計体制の強化:法人化したことで取引先からの信用は増す一方、経理についてはより専門的な対応が求められます。銀行融資を受ける際などは貸借対照表の健全性収支計画がチェックされます。小規模な理容室法人であっても、会計ソフトで複式簿記を厳密に行い、必要に応じて税理士や社労士のサポートを受けることが重要です。当税理士事務所では、法人化後の会計・税務はもちろん、給与計算や社会保険手続きについても提携専門家と共にトータルサポートが可能です。
  • 法人独自の節税策:法人ならではの節税策も存在します。例えば、役員退職金の積立や、決算賞与の損金算入、倒産防止共済(セーフティ共済)や法人向け保険の活用、経費として認められる福利厚生の充実など、個人事業では限界があった施策が取れるようになります。青色申告という基盤は同じでも、法人はスケールに合わせた節税の選択肢が広がるため、専門家と相談しながら最適な策を講じましょう。

法人化したとはいえ、引き続き理容業という本業に集中するためには、経理・税務のバックアップ体制が不可欠です。個人事業時代から顧問税理士がいる場合は、そのまま法人の顧問として関与してもらうと良いでしょう。当税理士事務所でも、法人化の手続支援から法人税申告、日々の経理指導まで継続してフォローいたします。会社になったから経理が大変…と感じる方も、プロの力を借りれば安心です。なお、これから法人化を検討している方は、下記のページをご覧ください。

ここまで、理容室経営者の皆さま向けに青色申告の基礎から実践ポイントまで詳しくお伝えしてきました。内容が盛りだくさんで「ちょっと難しそうだな…」と感じられた部分もあったかもしれません。しかしご安心ください。青色申告は、私たち税理士の得意分野です。煩雑な手続きや帳簿付けも、専門家に任せればぐっとハードルが下がります。

当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)の強み

  • フルリモート対応:全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。遠方の理容室オーナー様や、お店が忙しくてなかなか対面で時間を取れない方でも、メール・チャット・WEB会議等でスピーディーにサポートいたします。
  • 節税に徹底的にこだわった支援:単に申告書を作成するだけでなく、節税対策の提案まで含めてサポートするのが当税理士事務所のモットーです。青色申告特別控除や専従者給与はもちろん、その他の節税スキームも駆使して、理容室経営のお財布事情をしっかりサポートします。
  • 会計ソフト未導入でもOK:まだ会計ソフトを使っていない方、経理が全くの初心者という方も心配いりません。当税理士事務所側で記帳代行を行ったり、エクセルや紙の資料からこちらでデータ化したりすることも可能です。「領収書だけとりあえず渡したい」という場合でもお気軽にご相談ください。
  • 業界知識と経験:サービス業の経理支援ノウハウが豊富な税理士が対応します。理容室特有の経費や業界動向にも理解がありますので、「理容室に強い税理士」をお探しの方にも最適です。

当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)は、理容室を営む皆さまの良きパートナーとして、青色申告をはじめとする経理・税務業務の負担を軽減し、本業に集中できる環境作りをお手伝いします。「青色申告を始めたいけど何からすれば?」「自分でやってみたけど合っているか不安…」という方も、ぜひ一度お問い合わせください。プロの目線で丁寧にサポートさせていただきます。

税金は私たちに任せて、皆さまは安心して理容の仕事に専念してください! 私たちが全力でバックアップいたします。青色申告や経理代行のご依頼・ご相談、いつでもお待ちしております。

よくあるご質問

FAQ

理容室の青色申告を始めるには、まず何から始めればよいですか?

最初に必要なのは「所得税の青色申告承認申請書」の提出です。開業日から2ヶ月以内、もしくはその年の3月15日までに税務署へ届け出る必要があります。当税理士事務所では開業届の提出や青色申告の承認申請までフルリモートでサポート可能です。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

青色申告を選ぶと、どのような節税メリットがありますか?

最大65万円の青色申告特別控除や、家族に支払う給与(専従者給与)の経費算入、赤字を3年間繰り越せる純損失の繰越控除など、多くの特典があります。減価償却の特例(30万円未満の資産を一括経費化)も利用可能です。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

理容室の経費にはどのような項目が含まれますか?

地代家賃、水道光熱費、消耗品費、仕入費、減価償却費、人件費、広告宣伝費、通信費など、事業に必要な支出は基本的に経費に計上できます。たとえばシャンプー台や理容椅子、タオル、整髪料なども該当します。経費の仕訳入力や記帳代行も当税理士事務所が対応可能です。

会計ソフトを導入していませんが、青色申告は可能ですか?

はい、可能です。当税理士事務所では会計ソフトが未導入の理容室オーナー様にも対応できる体制を整えています。弥生会計をはじめとした複数の会計ソフトに対応し、記帳代行や手書き帳簿のデータ化など柔軟にサポートいたします。

青色申告を行う際に必要な帳簿の種類は何ですか?

青色申告では、複式簿記による「仕訳帳」「総勘定元帳」が必須です。また、売上や経費の明細、固定資産台帳、棚卸表なども整備しておくと、青色申告決算書の作成がスムーズになります。会計ソフトで自動作成できる場合も多く、当税理士事務所では導入支援も可能です。

青色事業専従者給与はどうすれば経費にできますか?

所定の「青色事業専従者給与に関する届出書」を期限内に税務署へ提出し、対象者に対して実際に給与を支払えば、経費として計上できます。労務の対価として妥当な金額であることが要件です。当税理士事務所では届出書の作成支援も承っております。

青色申告承認申請書の提出期限を過ぎた場合はどうなりますか?

期限を過ぎると、その年は青色申告を利用できず、白色申告となります。節税特典を受けるには翌年からの申請となります。開業日から2ヶ月以内、またはその年の3月15日までの提出を忘れずに。当税理士事務所では申請期限の管理もサポート可能です。

開業初年度が赤字でも青色申告のメリットはありますか?

あります。赤字(純損失)は翌年以降の所得から控除できる「繰越控除」の対象となります。開業初年度の設備投資が大きい理容室では、翌年以降の節税につながる可能性が高いため、青色申告の活用は非常に有効です。

理容室の「サービス」と「物販」の売上は分けて管理すべきですか?

はい、サービス収入(施術)と物販収入(シャンプー等)の売上を分けることで、経営分析や節税、在庫管理、消費税申告などがしやすくなります。会計ソフトで売上分類を設定することをおすすめします。

青色申告と消費税の関係について教えてください。

青色申告そのものに消費税の有無は関係しませんが、消費税の申告義務がある場合、帳簿の正確さが求められます。特に基準期間における課税売上高1,000万円超で課税事業者となる点に注意が必要です。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告の記帳や申告を完全に税理士に任せることは可能ですか?

はい、可能です。当税理士事務所では記帳代行や確定申告書の作成代行、電子申告まで一括して対応可能です。領収書整理からまるごとお任せいただける「丸投げ」プランもご用意しています。

税務調査が心配です。青色申告の帳簿はどの程度整備しておくべきですか?

税務調査では帳簿の正確性と保存状況が重要です。7年間の帳簿保存義務があり、特に現金商売の理容室では日計表やレジ記録が重視されます。当税理士事務所では税務調査対応に強みがあり、事前準備から立会までオンラインで対応可能です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

減価償却の特例とは何ですか?理容室にも使えますか?

青色申告をしている個人事業主は、30万円未満の設備や備品を一括で経費計上できる特例(少額減価償却資産の特例)を利用できます。理容椅子やレジなどにも適用可能です。設備投資の際は有効活用しましょう。

理容室を法人化したい場合、青色申告はどう変わりますか?

法人化後も青色申告は利用できますが、手続きや提出書類(法人税申告書、法人用青色申告決算書など)は異なります。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

理容室の青色申告で専従者給与を設定する際の注意点は?

給与額は労務内容に見合った金額に設定する必要があります。過大・過少いずれも税務上問題となる可能性があります。また、実際に支払っている事実や給与台帳の整備も必要です。当税理士事務所で給与額の妥当性評価や帳簿作成も対応可能です。

理容室開業時の青色申告準備は何から始めれば良いですか?

開業届と同時に「青色申告承認申請書」の提出を行いましょう。また、開業準備中の経費(開業セミナー参加費など)も開業費として計上可能です。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告特別控除の65万円を受けるには何が必要ですか?

複式簿記による記帳、貸借対照表と損益計算書の作成・提出、確定申告期限内の申告が必要です。また、電子申告(e-Tax)を行えば65万円の満額控除が受けられます。当税理士事務所では電子申告もフルリモートでサポート可能です。

青色申告に関して家族にどこまで手伝ってもらえますか?

家族が従業員として事業に専従していれば、給与を「青色事業専従者給与」として経費にできます。ただし、届出や要件を満たす必要があります。給与計算や提出書類の作成は当税理士事務所にお任せいただけます。

クラウド会計ソフトの導入メリットは何ですか?

クラウド会計ソフトは自動仕訳や銀行連携などの機能で経理業務を大幅に効率化できます。理容室では日々の売上や経費処理がスムーズになり、青色申告決算書の作成も簡単になります。当税理士事務所では導入支援にも対応しています。

理容室を法人化した場合、社会保険はどうなりますか?

法人になると、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務が生じます。役員報酬の設定や社会保険料の計算が必要です。

理容室の開業資金に使った費用は経費になりますか?

開業準備段階の支出は「開業費」として繰延資産に計上できます。例えば、開業セミナーの参加費、開業前の広告費などが対象です。開業後に一括償却または分割償却が可能です。帳簿付けも当税理士事務所がサポートします。

理容室の売上管理はExcelでも問題ありませんか?

はい、Excelでも記録可能ですが、青色申告で複式簿記を行うには仕訳や集計の正確性が重要です。Excel管理からクラウド会計ソフトへの移行支援も当税理士事務所で対応しております。紙の記録からの移行もお気軽にご相談ください。

青色申告の確定申告書はどのように作成しますか?

青色申告決算書を基に、確定申告書Bを作成します。損益計算書や貸借対照表の数字を反映し、各種控除を適用して税額を算出します。会計ソフトでの作成や当税理士事務所での代行も可能です。電子申告なら65万円控除にも対応します。

理容室を法人化する際の登記や定款作成も相談できますか?

はい、可能です。当税理士事務所では提携司法書士と連携し、法人化手続き全体を一括でご案内できます。会社設立時の税務届出から、法人としての青色申告への移行もサポートいたします。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告と白色申告の大きな違いは何ですか?

主な違いは、青色申告には65万円の特別控除や専従者給与の経費計上、赤字の繰越控除、少額減価償却の特例など節税メリットが多くある点です。一方で帳簿付けに複式簿記が求められるため、正確な記帳が必要です。

理容室を法人化すると青色申告の控除はなくなりますか?

個人事業主における青色申告特別控除(65万円)は法人化後には適用されません。ただし、法人にも青色申告制度はあり、欠損金の繰越控除(最長10年)などの税制メリットがあります。法人化の詳細は当税理士事務所へご相談ください。

税理士に依頼するといくらぐらいかかりますか?

理容室の規模や依頼内容によって異なりますが、記帳代行や確定申告代行込みで月1万円台から対応可能なプランもあります。当税理士事務所では料金を相場より低めに設定し、柔軟な契約が可能です。無料相談もご利用ください。

理容室の事業計画書には税理士の関与が必要ですか?

必須ではありませんが、創業融資や補助金申請の際には専門家による事業計画書の整合性が評価されます。収支計画や資金繰り表の精度も高まるため、当税理士事務所のような税理士のアドバイスを活用すると効果的です。

創業融資を検討中です。青色申告との関係はありますか?

創業融資では、事業の収支見込みや資金使途を明確にすることが重視されます。青色申告を選ぶことで財務の信頼性が高まり、計画書の整合性にもつながります。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

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