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学習塾に詳しい税理士が消費税について基本から解説します。納税義務の判定や簡易課税制度、インボイス対応をわかりやすく整理しました。全国対応で税務初心者の方にも親身に寄り添う税理士がサポートします。今後の店舗展開や法人化に向けた準備にも対応可能です。

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学習塾・個別指導塾経営者必見!税理士が解説する消費税の納税義務とインボイス制度対応

学習塾や個別指導塾を経営されている皆さま、日々の授業や運営に忙しい中でも税務のことは気になるものですよね。特に消費税の納税義務や、2023年に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)が自分たちにどう関係してくるのか、不安や疑問をお持ちではないでしょうか。本記事では、学習塾・個別指導塾の経営者向けに、税理士の視点から消費税に関する基本や納税義務の判定方法、そしてインボイス制度への具体的な対応策をわかりやすく解説します。学習塾・個別指導塾業界に詳しい税理士が、難しい専門用語もなるべくかみ砕いて説明しますので、ぜひ最後までお読みください。

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まず結論から言えば、学習塾の経営者にも消費税は大いに関係があります。 消費税は原則として国内のほとんどの商品の販売やサービス提供に課される税金で、学習塾の授業料や月謝も例外ではありません。つまり、学校法人など正規の学校では公立・私立を問わず授業料が非課税となりますが、一般的な民間の学習塾や個別指導塾の授業料は課税対象になるのです。

「教育サービスだから消費税は関係ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、それは文部科学省所管の学校(幼稚園・小中高校・大学など)に限った話です。学習塾はあくまで民間企業が運営する教育サービス事業であり、正式に「学校」と認められていない限り授業料に消費税がかかります。したがって、学習塾の売上も基本的には消費税の課税対象となります。

もっとも、小規模な塾経営者の場合、すぐに消費税を納めなければならないとは限りません。消費税には、売上規模の小さい事業者を対象にした「免税点制度」というものがあり、条件を満たせば消費税の納税が免除されます。後ほど詳しく説明しますが、例えば、「基準期間(前々年度など)の課税売上高が1,000万円以下」である事業者は免税事業者として、その年の消費税の申告・納税義務が免除されることがあります。言い換えれば、売上が小さいうちは消費税を納めなくていいケースが多いということです。

しかし、売上が伸びればいずれ課税事業者として消費税の申告・納税が必要になりますし、2023年10月から始まったインボイス制度によって、小規模でも「消費税を預かる側」としての対応が求められる場面が出てきます。本記事では、「自分は免税事業者でいられるのか?」をチェックする方法から、インボイス制度による具体的な影響と対応策まで順に解説します。学習塾経営者の方が押さえておくべきポイントを確認していきましょう。

では、ご自分の学習塾が消費税の納税義務があるかどうか(免税事業者か課税事業者か)を見ていきましょう。ポイントは、「売上規模」と「期間」の2つです。具体的には、原則として2期前(個人事業主なら前々年)の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判定します。この基準を超える場合は課税事業者となり、消費税の申告・納税が必要です。超えなければ免税事業者となり、その年は消費税を納めなくて済みます(事業者免税点制度)。ただし、例外もあることに留意してください。

免税事業者とは、文字通り消費税の納税が免除される事業者です。原則として、基準期間(課税期間の2期前など)の課税売上高が1,000万円以下であれば、その事業年度については消費税の申告・納税義務は免除されます。たとえば、2023年の売上が1,000万円以下であれば、2025年分の消費税については納税義務が免除されるイメージです。

これは学習塾に限らず全業種共通のルールで、いわゆる「事業者免税点制度」と呼ばれるものです。新規開業の場合も、基準期間が存在しないため原則として開業から最初の2年間程度は免税事業者になれます。(※ただし、法人の場合、設立時の資本金が1,000万円以上だと特例で1期目から課税されますので注意が必要です。また、後述する特定期間の課税売上高等による判定で課税事業者となる場合もあるため注意してください。)要するに、小さな塾で年間売上が1,000万円を超えないうちは、通常は消費税を納めなくてよいわけです。

免税事業者でいることの利点は、単に手続きが楽なだけではありません。消費税分を納めなくて済むため、売上に含まれる消費税相当額をそのまま手元に残すことができます。極端に言えば「消費税分が自分の利益になる」状態で、これを俗に「益税(えきぜい)」とも呼びます。もちろん商品やサービスの価格設定上は消費税相当額も含めて請求して問題ありません(免税事業者が消費税分を請求しても違法ではありません)。ただ、この益税はあくまで制度上認められたものであり、将来的に課税事業者になれば当然納税義務が発生する点は念頭に置いておきましょう。

課税事業者とは、消費税の申告・納税義務がある事業者です。前述の免税点(基準期間、年間1,000万円)を超える規模の売上がある場合、原則として課税事業者となります。具体的には、「基準期間(2期前)の課税売上高が1,000万円超」のケースで、その年度は消費税の申告と納税をしなければなりません。

例えば、2023年の売上が1,000万円を超えた場合、2025年分から課税事業者となり、2026年の3月末までに消費税の確定申告と納税を行う必要があります。これは個人の学習塾であれば、2023年に大きく売上が伸びて1,000万円を超えたら、2年後の2025年の分から消費税を納める義務が出てくる、というスケジュール感です。このように、2年前の売上がボーダーを超えたかどうかが基本的な判定基準になります。

さらに、もう一つ注意すべき基準があります。それが「特定期間」の売上または給与支払額です。特定期間とは、通常、個人事業主の場合「前年の1月~6月」のことを指しますが、この期間の課税売上高および支払給与総額がそれぞれ1,000万円を超えた場合も、その年は免税事業者になれません。簡単に言えば、「昨年前半に急に売上が伸びたうえ、人件費を多く支払った場合」は、前々年が基準を満たしていてもその年から課税事業者になる場合があるということです。学習塾でいえば、新規教室を拡大して昨年前半だけで大口の売上が入ったようなケースでは早めに課税事業者となる可能性があります。特定期間の判定は少し複雑なので詳細は税理士にご確認ください。「基本は2年前、例外的に前年前半もチェックがある」と覚えておきましょう。

課税事業者になった場合、何もしなくても自動的に税務署から消費税の申告用紙が送られてきたりはしません。事業者自身で消費税の確定申告を行い、期日までに納税を完了する義務があります。

ここまで、売上規模によって自動的に課税事業者になるケースを説明しましたが、実は自発的に課税事業者を選択することも可能です。つまり、「自分は基準期間の売上高が1,000万円以下だけど、あえて消費税課税事業者になる」という選択ができるのです。

このためには税務署に「消費税課税事業者選択届出書」という書類を提出します。これを出せば、たとえ売上が1,000万円以下でも原則的にその届出をした翌課税期間から課税事業者として扱われます。インボイス制度の開始に伴い、2023年10月以降、売上1,000万円以下でもインボイス発行事業者(=課税事業者)になる小規模事業者が増えていますが、まさにこのケースでは届出書の提出が必要です。

では、なぜ本来免税でいられるのに課税事業者を選ぶのでしょうか?主な理由は以下のような場合です。

  • インボイス発行のため:後述するインボイス制度では、課税事業者でなければ適格請求書(インボイス)を発行できません。法人顧客などから「インボイスを発行してほしい」と要請された場合、免税事業者のままでは応えられないため、課税事業者になる必要があります。
  • 仕入税額控除を受けるため:設備投資や教材の購入などで支払った消費税(仕入税額)が多い場合、課税事業者になって消費税の申告をすれば、その支払った消費税分の控除や還付を受けられる可能性があります。例えば、新教室開設のために多額の備品や内装工事費を支出して消費税を払った場合、課税事業者として申告すればその分の消費税が戻ってくる(還付される)場合があります。このように「支払った消費税>預かった消費税」となるような年は、あえて課税事業者を選択した方が有利になるケースもあるのです。
  • 将来的な規模拡大を見据えて:いずれ売上が1,000万円を超えて課税事業者になるのが確実な場合、早めに課税事業者として経理体制を整えたり、価格設定を調整したりしておこうと考える経営者もいます。免税から課税に切り替わるタイミングで価格を変更すると顧客に与える印象が変わるため、成長過程で先んじて課税事業者になる判断もあり得ます。

ただし、自発的に課税事業者を選択する場合には注意点があります。一度「課税事業者選択届出書」を提出すると、原則として2年間は免税事業者に戻れないというルールです。例えば、「今年だけ課税事業者になって来年はやっぱり免税に戻りたい」ということは基本的にできません(少なくとも2年間は課税事業者として継続する必要があります)。また、一旦課税事業者を選択すると、納税義務が発生するだけでなくインボイス発行事業者としての責任も生じます。「思ったより手続きが大変だからやっぱりやめたい」と後から思ってもすぐには解除できませんので、この届出を出すタイミングや是非については慎重に検討しましょう。

まとめると、「1年間の売上が1,000万円を超えたら後々自動的に課税事業者になる」「それ以下でも必要に応じて自ら課税事業者を選ぶこともできる」ということです。学習塾の規模や取引先の状況によって最適な判断は異なりますので、自社がどの位置に当てはまるかを一度チェックしてみてください。

続いて、2023年10月にスタートしたインボイス制度について解説します。インボイス制度は消費税の仕入税額控除のルールを大きく変える新制度で、学習塾経営にも影響を及ぼします。「インボイス(適格請求書)って何?」「小さな塾でも対応が必要?」と不安に思われている方も多いでしょう。この章では、インボイス制度の目的と概要から、従来との違い、そして学習塾業界への具体的な影響まで順に見ていきます。

適格請求書等保存方式、通称「インボイス制度」は、事業者間の取引における消費税の計算を適正に行うために導入された制度です。適格請求書(インボイス)とは、一定の要件を満たした請求書や領収書のことで、従来の請求書様式に次の情報を追加したものを指します。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号(Tから始まる13桁の番号)
  • 取引ごとの適用税率税率ごとに区分した消費税額

これらの事項に加え、従来から必要だった取引日付や品目、税込金額なども含めて記載することで、その請求書は「適格請求書(インボイス)」として認められます。要するに、売手が買手に発行する請求書類のルールを厳格化したものと言えます。

インボイス制度の目的は、事業者間取引で適用税率と消費税額を正確に把握し、適正な税額の申告・納税を確保することです。特に、これまで免税事業者だった小規模事業者が実質的に消費税分を受け取っていても課税されない(益税となる)ケースがありましたが、インボイス制度によりそうした取引にもメスを入れる狙いがあります。売手側である事業者は、インボイス制度のしくみや影響を十分理解した上で、自社がインボイス発行事業者となるかどうか、早めに検討する必要があります。

インボイス制度によって最も大きく変わるのは、仕入税額控除のルールです。仕入税額控除とは、事業者が支払った消費税(仕入れにかかった消費税)を、自身の売上にかかる消費税から差し引ける仕組みですが、この適用要件がインボイス制度開始後は厳しくなりました。

これまでは、たとえ相手先が免税事業者であっても、受領した請求書や領収書に必要事項が記載されていれば、その取引にかかった消費税を仕入税額控除することができました。しかしインボイス制度開始後は、仕入税額控除を受けるために原則として「適格請求書発行事業者」が発行した請求書(インボイス)が必要となりました。つまり、取引の相手先がインボイス発行事業者でない場合、その取引について支払った消費税は原則として控除を受けられなくなってしまったのです。

ただし、制度開始直後から中小事業者に急激な負担増とならないよう、経過措置も設けられています。インボイスの有無にかかわらず、一定期間は支払った消費税額の一部について仕入税額控除が認められる措置です。その控除可能割合は段階的に縮小していき、2023年10月1日~2026年9月30日までの期間は80%2026年10月1日~2029年9月30日までは50%、そして2029年10月1日以降は0%(控除不可)となります。つまり、インボイスを発行しない免税事業者との取引については、当面は買手側が一部控除できるものの、最終的には全く控除できなくなる方向です。

具体例で考えてみましょう。ある課税事業者(例えば大手企業)があなたの学習塾に研修サービスを委託し、税込110万円(本体100万円+消費税10万円)を支払ったとします。あなたがインボイス発行事業者でない場合、相手企業は本来控除できるはずの10万円の消費税について、経過措置期間中であればその一部(例えば80%の8万円)までしか仕入税額控除できず、残り2万円は負担しなければなりません。経過措置終了後は10万円丸ごと控除できなくなります。逆に、あなたが適格請求書発行事業者であれば、相手企業は10万円全額を消費税の控除対象にできるため、余計な負担が生じません。

この違いは、BtoB(企業間取引)では取引先のコストに直結します。買手(顧客)が課税事業者の場合、売手がインボイスを発行できるかどうかが取引条件として重視されるようになるのです。「うちは塾だから企業相手の取引なんてない」という場合はともかく、後述するように取引先によってはインボイス発行の有無がビジネスに影響を与えます。

それでは、インボイス制度が学習塾業界に具体的にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。特に、自身が現在免税事業者である塾経営者の方にとっては、「インボイス制度が始まったら何か不利になるの?」という点が気になると思います。

結論から言えば、顧客層によって影響の大小が分かれます。もし顧客があなたの学習塾のふつうの生徒(一般消費者)で占められている場合、インボイス制度による影響はほとんどありません。買い手が消費税の仕入控除と無縁な一般消費者である場合、売り手(学習塾側)はインボイス制度の影響を受けないからです。一般消費者の方はそもそも消費税の申告をする立場ではないため、こちらがインボイス発行事業者かどうかは関係ありません。極端な話、これまで通り領収書を渡そうが何もしまいが、取引上の問題は生じないわけです。

一方、取引先(顧客)が課税事業者である場合には注意が必要です。例えば、塾向け教材を他校に販売していたり、企業や学校法人から講師派遣や研修の依頼を受けたりして対価を得ているようなケースです。その相手先が課税事業者である場合は、あなたにインボイスを発行してほしいと求めてくる可能性があります。もしあなたが免税事業者のままだと適格請求書を発行できないため、取引先は支払う消費税を仕入控除できず負担増となります。結果として、「インボイスを発行できないなら取引条件を見直したい」と言われたり、最悪取引停止になるリスクも考えられます。学習塾ではあまり大企業との取引は多くないかもしれませんが、例えば地方自治体や学校からの委託事業、法人経営の学習支援プロジェクトへの参画などがある場合には要注意です。

インボイス制度開始から数年間は前述の通り経過措置がありますので、現時点(2025年)では取引先企業も完全には困りません。免税事業者との取引でも2026年9月までは80%の控除が認められるため、取引先にとっては「消費税分の2割がコスト増になる」程度に留まります。しかしこれが2029年10月以降には100%控除不可(全額コスト増)となるため、取引先としては徐々にその負担を意識し始めます。場合によっては、「今後控除できなくなる分、取引価格を下げてほしい(消費税相当分を値引きしてほしい)」と交渉される可能性もあります。特に同業他社でインボイス発行事業者になっているところがあれば、取引先はそちらに乗り換えた方が得という判断にもなりかねません。

一方、免税事業者である学習塾自身が仕入れる側の場合についても触れておきます。もしあなたが免税事業者であれば、自身は消費税の申告をしないため仕入税額控除の恩恵を受ける場面はありません。言い換えると、どこから仕入れようが関係なく、支払った消費税は全てコストになります。したがって、インボイス制度によって自分の支払先(教材業者や外部講師など)がインボイス発行事業者かどうかを気にする必要も基本的にはありません。ただ、将来的に課税事業者になることを見据えるなら、仕入先が適格請求書を発行できるかどうかは頭に入れておくと良いでしょう。いざ自社が課税事業者になった際、取引先がインボイス非対応だと自社の控除漏れに繋がりますので、必要に応じて取引先の変更や価格交渉を検討する場面も出てくるかもしれません。

まとめると、インボイス制度の影響は相手次第ということです。生徒や顧客が一般消費者中心の学習塾であれば、免税事業者のままでも当面大きな問題は生じません。しかし、取引先に課税事業者(企業等)が含まれる場合や、今後その可能性がある場合は、インボイス発行事業者への登録を視野に入れる必要があるでしょう。次の章では、実際にインボイス制度へどう対応すべきか、具体的な判断ポイントと対応策を解説します。

インボイス制度が始まった今、学習塾経営者として「インボイス発行事業者になるべきか、それとも免税事業者のまま継続するか」悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、その判断のポイントと、選択に応じた具体的な対応策について説明します。自塾の状況(顧客層や売上規模)を踏まえて最適な対応を検討してみましょう。

インボイス発行事業者(課税事業者)になるかどうか迷う場合、まず自社の顧客層と収入規模を確認することが重要です。

  • 顧客層のチェック:あなたの塾のお客様は個人(一般消費者)が中心でしょうか?それとも事業者や企業や学校など法人の取引先がありますか?先述のとおり、顧客の大半が個人である場合、インボイスを発行できなくても取引上困ることはほぼありません。この場合は無理に課税事業者になる必要はなく、免税事業者のまま様子を見る選択も十分ありえます。一方、売上の一部でも法人や課税事業者との取引がある場合は、その取引規模に応じて対応を検討しましょう。主要顧客から「インボイスに対応していますか?」と問い合わせを受けるようなら、思い切って登録を決断した方が良いかもしれません。
  • 収入規模のチェック:次に、年間売上高の水準です。直近や今後の見込みで、年間の課税売上高が1,000万円に近づいていないか確認しましょう。もし今は500~600万円程度であっても、教室数を増やしたり生徒が増加傾向にあれば、数年内に1,000万円を超える可能性もあります。いずれ課税事業者になる見込みが強いなら、早めにインボイス登録して準備する選択も考えられます。逆に、売上規模が小さく当面1,000万円を超える見込みがないなら、経理負担を増やしてまで課税事業者になるメリットは薄いでしょう。
  • 事業方針のチェック:塾の将来計画も判断材料です。例えばフランチャイズ展開を考えている、企業との提携プログラムに参入したい、大学や自治体と共同で教育事業を行いたい、など事業を広げる予定がある場合は、インボイス発行事業者であることが前提となるケースが増えるかもしれません。その場合は早めに登録準備を進める方がスムーズです。一方、「今後も地域密着の小規模塾としてやっていく」というスタンスなら、引き続き免税事業者のままでも問題ないでしょう。

こうしたポイントを総合的に見て、自塾がインボイス発行事業者になる必要性が高いか低いかを判断します。判断に迷う場合は、「取引先(顧客)から要請があるか」「課税事業者になることで得られるメリット(仕入控除など)があるか」「事務負担や納税負担に耐えられるか」といった観点で整理するとよいでしょう。不安であれば税理士に相談し、シミュレーションしてもらうのも有効です。「インボイス登録した場合としない場合でどちらが得か?」を数字で示してもらえれば、判断もしやすくなります。

検討の結果、「うちは免税事業者のままでいこう」と判断した場合、いくつか注意すべきポイントがあります。

  1. 適格請求書は発行できない:免税事業者のままでは税務署へのインボイス発行事業者登録ができないため、取引先に対して適格請求書(インボイス)を発行することはできません。請求書や領収書自体は発行できますが、あなたの登録番号がない請求書は相手にとってインボイスではなく、仕入税額控除に使えない書類です。そのため、法人顧客には事前に「当社は適格請求書発行事業者ではありません」と伝えておくことが望ましいです。見積書や契約書にその旨注記しておくと、後々のトラブル防止になります。
  2. 取引先からの要請に注意:もし法人などの取引先がある場合、今後インボイス対応を求められる可能性があります。「インボイスに未対応なら〇%値引きしてほしい」といった交渉や、「次回契約時までに登録しないと契約継続が難しい」といった打診があるかもしれません。そうした場合には改めて対応方針を再検討する必要があります。経過措置が終わる2029年までには数年ありますが、取引先との関係性にも気を配るようにしましょう。
  3. 益税を活用しつつ計画的に:免税事業者でいるメリットは前述の通り消費税分が利益に残ることです。しかし、この「益税」をあてにして価格競争に臨むのはリスクもあります。将来的に課税事業者になった途端、その分の利益が消えるためです。免税期間中に設備投資や内部留保を進めて財務体質を強化しておくなど、将来に備えた活用を意識しましょう。また、毎期の売上が1,000万円を超えないよう意図的に調整するのはやめましょう。不要な支出を増やしたり売上計上を遅らせたりする行為は税務上不適切ですし、万一税務調査になればペナルティを受ける可能性があります。
  4. 消費税の預り金に留意:免税事業者であっても、売上代金には消費税相当額が含まれている場合がほとんどです(多くの料金表示は税込です)。本来なら税務署に納めるはずのお金を預かっている形なので、道義的にはそのお金は事業の発展に有効活用するか、価格に還元するのが望ましいでしょう。法律上問題はなくても、「消費税上乗せ分を懐に入れている」と見られるのが気になる場合は、価格設定を調整する選択肢もあります(例えば税込価格ではなく税抜価格ベースで料金設定し直す等)。ただし値下げは経営に響きますので、あくまで慎重に判断してください。

以上の点を踏まえ、免税事業者を継続する場合でも「将来いつでも課税事業者に転換できる」ように心構えと準備はしておきましょう。特に売上規模が拡大して基準超えが見えてきたら、早めに次の対応に移れるよう、帳簿の整備や関係者への周知を計画しましょう。

なお、「インボイス制度に対応するために2割特例というお得な課税方式があるらしいが、自分も使えるのか?」と疑問に思う方がいるかもしれません。2割特例とは、免税事業者がインボイス登録して課税事業者になった場合に、一定期間、納める消費税額を売上税額の20%に軽減できる特例ですが(後述します)、免税事業者のままでいる限り関係ありません。2割特例は課税事業者になった人のための措置なので、免税事業者を継続するなら意識しなくて大丈夫です。

次に、「取引先からの要請もあるし、うちは適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)になることに決めた!」という場合の対応策です。インボイス発行事業者になる=課税事業者になるということですから、消費税の申告・納税義務が新たに発生します。スムーズに移行するために、以下の準備と対応を行いましょう。

  1. 税務署への登録申請:まずは税務署でインボイス発行事業者の登録手続きを行います。具体的には「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します。これは所轄税務署へ持参または郵送、あるいはe-Taxで電子申請も可能です。登録申請が受理されると、国税庁から登録番号(T + 13桁の番号)が通知され、公表されます。この登録番号が発行されて初めてインボイスを発行することが可能になります。既に課税事業者になっている方はもちろん、免税事業者から転換する方もこの手続きを忘れずに行いましょう。制度開始時点(2023年10月)に登録が間に合わなかった場合でも、その後随時申請は受け付けています。なお、登録申請書を提出するタイミングによっては登録が翌課税期間の開始からになる場合がありますので、早めの手続きをお勧めします。
  2. 帳票類の整備(請求書・領収書の様式変更):登録が完了したら、請求書や領収書の様式をインボイス対応に変更しましょう。具体的には、自社の登録番号を記載し、請求書の場合は適用税率ごとの消費税額や税込合計額などを明記します。幸い、学習塾の提供するサービスは基本的に消費税率10%の課税対象のみでしょうから、複数税率が混在することは少ないはずです。請求書や領収書に「適格請求書発行事業者 登録番号:T0123456789012」というように番号を追記し、税込価格と消費税額を分けて表示する形式にすればOKです。市販の会計ソフトや請求書発行ソフトを使っている場合、インボイス対応版へのアップデートを行いましょう。
  3. 経理体制の整備:課税事業者になるということは、今後消費税の申告を毎期毎年行う必要があるということです。免税事業者時代は売上や経費の記帳だけで済んでいたものが、課税事業者になると「預かった消費税」と「支払った消費税」を管理して計算する必要が出てきます。経理ソフトで消費税区分の設定を正しく行い、帳簿上で消費税額を把握できるようにしましょう。慣れないうちは専門家(税理士)の力を借りるのも手です。特に初年度は戸惑うことも多いので、顧問税理士にサポートを依頼してスムーズに移行するケースもあります。
  4. 資金繰りへの配慮:消費税は預かったお金とはいえ、一時的には自社の現金として手元に残ります。しかし課税事業者になると、いずれ納税でその分を支払わなければなりません。納税は通常、個人事業主なら年に1回(原則3月末まで)、法人なら事業年度末の2ヶ月後までに行います。うっかり使い込んでしまうと納税資金が足りなくなる恐れがあります。そこで、預かった消費税分は別口座にプールしておくなど、資金管理をしっかり行いましょう。特に免税から切り替わった初年度は感覚が掴みにくいので、毎月預かり消費税額を計算して積み立てておくと安心です。
  5. 価格設定の見直し:課税事業者になると実質的な利益率が変化します。例えば今まで月謝3万円(税込)を受け取っていた場合、免税事業者ならその3万円がまるまる収入でしたが、課税事業者になればその内約2,727円(10%の消費税相当額)は後で納税するお金です。したがって、課税事業者になった後も税込価格を据え置くと利益が減少します。このギャップを埋めるため、価格改定を検討する余地があります。競合他社や顧客の反応にもよりますが、例えば税込33,000円を税抜30,000円+税3,000円=33,000円という内訳に変更し、実質値上げする方法です。ただし値上げは慎重に判断しましょう。特に個人顧客が相手の場合、価格アップは敏感に受け取られます。経営努力で吸収できる範囲なら既存価格据え置きでも良いですし、負担が大きいなら思い切って理解を求めることも必要です。いずれにせよ、自社の損益に与える影響を試算し、必要であれば価格戦略を見直すことをお勧めします。
  6. 簡易課税制度や特例の活用検討:詳細は次項で述べますが、課税事業者になった後、消費税計算の負担を軽減する制度があります。基準期間における売上が5,000万円以下であれば「簡易課税制度」を選択して計算を簡略化できますし、インボイス登録を機に課税事業者になった小規模事業者には期間限定で「2割特例」という納税額を抑える措置もあります。課税事業者になるタイミングで、これらの制度を利用すれば納税負担が大きく緩和される場合があります。必ず事前に要件や手続きを確認し、自社に有利な制度は積極的に活用しましょう。

以上が、インボイス発行事業者(課税事業者)になる場合の主な対応策です。初めは手間が増えるように感じますが、一度仕組みを作ってしまえば日々の授業運営に専念できます。適切に消費税対応することで、法人顧客からの信頼も得られ、将来的なビジネスチャンスを広げることにもつながるでしょう。

課税事業者になった場合、ぜひ知っておきたいのが「2割特例」「簡易課税制度」です。これらは中小事業者の消費税計算・納税の負担を軽減する制度で、学習塾にも活用できる可能性があります。それぞれ概要を説明します。

  • 2割特例(小規模事業者の納税額2割負担特例):2割特例とは、本来免税事業者に該当する小規模事業者がインボイス登録のため課税事業者に転換した場合に設けられた経過措置です。具体的には、2023年10月1日から約3年間(個人事業主の場合は2026年12月31日まで)に限り、該当事業者は「売上にかかる消費税額の20%」を納めれば済むという特例が適用できます。言い換えると、本来10預かったらその全額(10)から仕入控除を差し引いて納税するところ、2割特例なら預かった消費税の2だけ納税すればよいという非常に有利な計算方法です。 2割特例を利用する条件は、「2023年10月以降、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になったこと」です。まさにインボイス対応で課税事業者を選択した学習塾経営者に該当します。届出の必要はなく、該当期間中の消費税申告書でこの特例計算を適用する旨を記載すればよいとされています(適用年ごとに選択可能)。注意点として、この特例は令和5年10月1日から開始する課税期間から令和8年9月30日までに含まれる課税期間まで(個人は2026年分まで)に限定されています。その後は特例が失効するため、引き続き課税事業者である場合は通常の計算か簡易課税制度などへ切り替える必要があります。 学習塾のように仕入れが少ない業種にとって、2割特例は非常に有利になりやすいです。例えば売上にかかる消費税が50万円だったとして、本来ならそこから経費分の消費税を引いて納税するところ、2割特例を使えば一律10万円(50万円×20%)を納めるだけで済みます。実質、仕入税額控除を簡略化した上に大幅割引されるイメージです。「免税から課税になったけど、最初の3年弱は負担が軽くて済む」というありがたい措置なので、該当する場合は必ず活用しましょう。
  • 簡易課税制度:簡易課税制度とは、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できる消費税計算の特例制度です。通常、課税事業者は「預かった消費税 – 支払った消費税」を一つ一つ計算して納税額を求めますが、簡易課税では業種ごとに定められたみなし仕入率を用いて簡便に計算します。具体的には、事業をいくつかの区分(第一種~第六種)に分類し、それぞれ売上高の◯%を仕入(経費)相当額とみなして仕入税額控除を計算します。 学習塾はサービス業に分類されますので、第5種事業(サービス業等)に該当し、みなし仕入率は50%となります。つまり、売上に係る消費税額の50%を仕入税額として控除できる計算です。例えば1年間に預かった消費税が100万円なら、仕入控除は一律50万円とみなされ、差引50万円を納税することになります。実際の経費にかかった消費税額に関係なく半分控除してもらえるわけです。 サービス業の場合、実際には人件費の占める割合が高く仕入にかかる消費税はそれほど多くないケースが多いため、簡易課税を使った方が納税額が少なくて済む場合が多々あります。学習塾でも、家賃や通信費など多少の経費はありますが、預かった消費税の半分を下回ることが多ければ簡易課税が有利になるでしょう。なお、オリジナル教材の販売については、第3種事業(書籍等の発行、出版を行う事業)に該当し、みなし仕入率は70%となります。簡易課税制度を利用したい場合、事前の届出が必要です。原則として適用したい年の前事業年度末まで(個人事業主なら前々年の12月31日まで)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出しなければなりません。例えば、令和7年(2025年)から簡易課税を使いたければ、令和6年(2024年)の12月末までに届出が必要です。課税事業者に新たになるタイミング(基準期間売上超過で課税に転換する場合)には届出忘れに注意しましょう。一度届出をすると2年間は原則継続適用しなければならず、やめるときも「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出してから原則2年は通常計算に戻れません。計画的に判断してください。

簡易課税のメリットは計算がシンプルになることと、場合によっては納税額そのものが減ることです。デメリットは、もし実際の仕入額(経費にかかった消費税)がみなし率より大きいと不利になる点ですが、学習塾では大規模投資でもしない限りその心配は小さいでしょう。免税事業者から課税事業者になる際は、この簡易課税も積極的に検討してみてください。

まとめると、課税事業者としてインボイス対応する場合でも、上記の2割特例(期間限定)簡易課税制度を使えば、消費税の負担・事務を大幅に軽減できる場合があります。これらの制度はどちらも原則として事前届出や選択が必要(2割特例は申告時選択)なので、忘れず手続きをしましょう。税理士に相談すれば届出のタイミングや有利不利の判定もサポートしてくれます。賢く制度を活用して、なるべく本業に支障が出ない形で消費税対応を進めてください。

消費税とインボイス制度について詳しく見てきましたが、学習塾・個別指導塾の経営者にとって押さえておきたい税務のポイントは他にもあります。この章では、所得税の青色申告アルバイト講師への源泉徴収事業の法人化節税対策開業時の融資といったトピックについて、順に簡単に解説します。どれも塾経営に関連する大事なポイントですので、ざっと目を通して参考にしてください。

学習塾を個人事業として営んでいる方は、ぜひ青色申告を活用しましょう。青色申告とは、一定の要件を満たした帳簿付けを行い申告することで、税制上のさまざまな優遇を受けられる制度です。白色申告(簡易な申告)より手間はかかりますが、その分得られるメリットが大きいため、塾経営者には強くお勧めします。

青色申告の代表的なメリットは、なんといっても「青色申告特別控除」です。しっかりと帳簿をつけて期限内に確定申告を行えば、所得から最大で65万円(または55万円、10万円の場合もあり)の特別控除を受けることができます。65万円もの所得減算は非常に大きく、所得税と住民税を合わせた節税額は約20万円にもなります(所得金額によりますが)。この控除を受けるには、複式簿記による記帳と損益計算書・貸借対照表の作成、そして電子申告等の条件を満たす必要がありますが、逆に言えばそれだけで大きな節税になるのです。

さらに青色申告には他にも特典があります。例えば、事業で赤字(損失)が出た場合にその損失を翌年以降3年間繰り越して控除することができます(純損失の繰越控除)。開業したてで赤字になっても、次年度以降の黒字と相殺できるので税負担を軽減できます。また、親族を従業員として雇っている場合、一定の届出をすることで「青色事業専従者給与」として家族への給与を全額必要経費にできる制度もあります。白色申告だと家族への給与は一部しか認められませんので、家族に手伝ってもらっている塾では大きな差です。このほか、貸倒引当金などの各種引当金を計上できたり、30万円未満の備品を一括経費計上できる特例(少額減価償却資産の特例)が使えたりと、青色申告者だけの有利な制度が色々あります。

青色申告をするには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出して承認を受ける必要があります。新規開業の場合は開業日から2ヶ月以内、既存事業者の場合はその年の3月15日まで(1月始まりなら)に出すのが期限です。一度承認を受ければ、毎年適切に帳簿をつけて申告する限り青色申告を継続できます。

塾経営では日々の授業準備や生徒対応で忙しく、帳簿付けが後回しになりがちですが、経理をしっかり管理することは経営の健康状態を把握する上でも重要です。青色申告の要件を満たすためには複式簿記での記帳が必要ですが、最近ではクラウド会計ソフト等も発達しており、専門知識がなくても比較的簡単に帳簿を付けられます。もし不安であれば税理士に記帳代行や指導を依頼することもできます。「青色申告にしたいけど帳簿の付け方がわからない」という方もご安心ください。税理士に依頼すれば帳簿の整備から申告書の作成までサポートしてもらえますし、当税理士事務所でも学習塾経営者の方の青色申告導入支援を行っています。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告によって節税しつつ、正確な経理で経営状況を“見える化”することは、健全な学習塾経営の土台となります。ぜひ前向きに検討してみてください。

学習塾では、大学生や主婦の方などアルバイト講師を雇っているケースが多いでしょう。従業員(パート・アルバイト)に給与を支払う際には、雇用形態や支給形態に応じて所得税の源泉徴収を行う義務があります。これは塾であっても他の業種と同じですので、正しく理解しておきましょう。

基本ルール: パートやアルバイトであっても、給与を支払う際には原則として給与所得者の源泉徴収が必要です。具体的には、講師に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してもらい、その有無や給与額に応じて税務署公表の「源泉徴収税額表」を使って所得税額を算出し、給与から天引きします。従業員がこの申告書を提出している場合は甲欄、提出がなく掛け持ちバイト等の場合は乙欄の税額表を用います。給与が日給や時給制で短期(2ヶ月以内の契約など)なら、一定要件の下で丙欄を使うケースもあります。要するに、アルバイトでも社員と同様の方法で所得税を計算し、源泉徴収するということです。

例えば、大学生の講師Aさんに毎月8万円の給与を支払うとします。Aさんが扶養控除等申告書を提出している場合、税額表の甲欄(月額給与8万円の欄)を見て算出された所得税額を給与から引き、残りを支給します。仮にその額が0円であれば天引きは無し、2,000円であれば2,000円差し引いて支給します。源泉徴収した所得税は、一旦事業者が預かり、翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません(納期の特例を適用している場合は半年分まとめての納付も可)。この流れは他業種と同じで、特別なことはありません。

留意点: アルバイト講師だからといって源泉徴収を怠ると違法です。仮に本来天引きすべき税金を引かずに満額支払ってしまった場合、後から税務署に指摘されると事業者側がその未徴収税額を負担することになります。源泉徴収は事業者の義務ですので、必ず計算・納付を忘れないようにしましょう。また、講師が年末調整をする場合には、必要に応じて扶養控除等申告書やマイナンバーの提出を受け、年末調整業務を行います(年末調整は主に甲欄適用者について実施します)。もし講師が他に本業を持つダブルワークで乙欄適用の場合は、そのアルバイト収入は先方で年末調整されないため、本人が確定申告で精算することになります。

実務のコツ: 給与計算や源泉徴収の処理は、慣れないと面倒に感じるかもしれません。毎月の計算、年末調整、源泉税の納付など、事務作業が発生します。人数が少ないうちはExcelなどで手計算でも可能ですが、煩雑であれば給与計算ソフトを導入するのも良いでしょう。また、個別指導塾の給与計算を税理士に依頼すれば、源泉徴収のミスを防止できて安心です。給与計算代行や年末調整だけ税理士に任せることも可能ですので、事務負担を減らしたい場合は検討してみてください。個別指導塾 給与計算 税理士といったキーワードでも検索される分野で、当税理士事務所でもそうしたご相談に対応しています。

源泉徴収Q&A: 「塾講師への支払いで源泉徴収が必要なケースって他にある?」という疑問もあるかもしれません。たとえば、非常勤講師を社員ではなく外部の委託講師(業務委託契約)として報酬を支払う場合があります。この場合、その講師が個人事業主扱いとなり、報酬に対する源泉徴収が発生するケースがあります。一般に、個人へ職業報酬や講演料を支払う際は10.21%の源泉徴収が必要ですが、教育関連の非常勤講師の報酬も一定の場合には源泉徴収の対象です。塾で講師を雇う形態によって取り扱いが異なりますので、もし特殊な契約形態で報酬を払っている場合は税理士に確認してください。多くの学習塾では雇用契約でアルバイト講師を雇うため、通常の給与として源泉徴収すれば問題ありません。

個人事業として学習塾を運営されている方の中には、事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人化(会社設立)を検討する方もいるでしょう。塾業は個人事業でも十分やっていけますが、法人化することで得られるメリットもあります。ただしデメリットもあるため、安易に「売上○○万円超えたら法人化すべき」と短絡的に決めない方がよいでしょう。ここでは学習塾を法人化する場合の主なメリット・デメリットを整理します。

◆ 法人化するメリット:

  • 節税の余地が広がる:法人にすると所得税ではなく法人税が課されます。個人事業の所得税は超過累進税率で最大55%(所得税45%+住民税10%)にも達しますが、法人税等の実効税率は中小法人で約30%以下です。事業の利益が大きくなると、法人の方が税率が低く抑えられます。また、法人にすると経費にできる範囲が若干広がったり、役員報酬の設定で所得分散したりと、税務プランニングの幅が広がります。役員である自分や家族に給与(役員報酬)を支払えば、その分法人の利益を圧縮できますし、役員報酬額も自由に設定可能です。
  • 消費税の免税期間をリセットできる:個人事業で売上1,000万円を超えて課税事業者になった場合でも、新たに法人を設立すれば原則として設立後最初の2期は消費税が免除されます(※資本金1,000万円以上の場合等の例外を除く)。例えば、個人塾で年商が1,200万円に達したタイミングで法人化すれば、向こう2年間はまた消費税を免税でスタートできます。このメリットを狙って法人化するケースもあります。ただし、単に消費税逃れだけを目的にした法人化はトータルで得かどうかシミュレーションが必要です。ケースによっては法人化コストの方が高くつく場合もあるため注意しましょう。
  • 対外的信用の向上:やはり「法人」の看板は社会的信用度が上がります。銀行融資を受けやすくなったり、取引先からの信頼感が増す効果が期待できます。また求人募集の際にも「会社の塾」の方が応募者に安心感を与えるかもしれません。規模拡大やフランチャイズ展開を目指すなら、法人化しておいた方がビジネス上スムーズな場面も増えるでしょう。
  • 有限責任によるリスク軽減:個人事業主は事業の債務を無限責任で負いますが、法人化して会社組織にすれば、基本的に会社の債務は会社資産で返済し、個人資産は切り離されます(代表者個人が連帯保証している借入などは別ですが)。万一事業が失敗した場合の法的リスクが限定される点は、法人のメリットです。学習塾で大きな負債を抱えることは少ないかもしれませんが、想定外の損害賠償リスク(事故やトラブル)があった場合にも個人資産が直ちに危険に晒されないのは安心材料です。
  • 事業の継続・拡大がしやすい:法人は永続性があり、代表者が交代しても事業はそのまま続きます。将来誰かに事業を譲渡したり、M&Aで売却するようなケースでも、法人で組織化されている方が手続きが容易です。また資金調達面でも、法人の方が融資や補助金、投資を受けやすい場面もあります。法人にしておくことで、事業拡大のチャンスに柔軟に対応できる土壌ができます。

◆ 法人化するデメリット:

  • ランニングコスト・事務負担の増加:法人を維持するには様々なコストがかかります。まず、毎年少なくとも均等割の法人住民税(地方税)が発生し、小規模でも年間7万円程度の支出があります。また、決算申告を毎期行う必要があり、これは個人の確定申告より複雑です。税理士報酬も、個人事業より法人顧問の方が高くなる傾向です(規模によりますが)。社会保険の加入義務も原則発生するため、厚生年金・健康保険の会社負担分が新たなコストとなります。事務手続きも、法人設立登記の費用(約25万円前後)に始まり、毎年の登記維持や場合によっては雇用保険・労災保険などの事務も増えます。小規模塾ではこれらコストが利益を圧迫する可能性があり、注意が必要です。
  • 社会保険の強制加入:先ほど触れましたが、法人になると経営者一人でも社会保険(厚生年金・協会けんぽ等)に加入しなければなりません(従業員がいなくても、法人代表者は加入対象)。社会保険料は会社と個人で折半ですが、個人事業のとき任意加入だった国民年金・国民健康保険に比べると負担が大きくなります。これは将来の給付も手厚くなるので悪いことばかりではありませんが、短期的には「手取りが減る」「会社負担が増える」というデメリットとして感じるでしょう。人件費全体も膨らむため、要計算ポイントです。
  • 税制面のデメリット:利益がそれほど大きくない場合、法人化するとかえって税負担が増えることもあります。例えば、個人事業なら所得が低ければ所得税が5~10%程度で済むところ、法人にしたために一律15~23%の法人税が課されて割高になるケースです。また、赤字の場合、個人事業なら他の所得と損益通算できたり3年間繰越せたりしますが、法人の場合、他の所得との通算はできず純粋に繰越控除(最大10年)だけです。小規模で利益がほとんど出ていないうちに法人化しても、税メリットが享受できないばかりかコストだけ増えることがあります。実際、年商1,000万円超えたら機械的に法人化すべきとは言えず、シミュレーションの結果、個人のままの方が得だったというケースもあります。
  • 融通が利きにくくなる:個人事業ならプライベートと事業の区別が曖昧でも自己責任で済みますが、法人ではそうはいきません。法人のお金と個人のお金をきっちり分け、経理処理もしっかり行う必要があります。会社名義の銀行口座を使い、社長個人の財布とは別管理にしなければなりません。経費の私的流用なども厳に慎む必要があります(税務上も問題になります)。このように、「何でも自分の裁量で自由に」というわけにいかず、コンプライアンスや管理体制の整備が求められる点は、小さなデメリットと言えるでしょう。

以上のように、法人化にはメリットも多い反面、負担も増えることをご理解いただけたかと思います。「売上が1,000万超えたら法人化」という単純な基準ではなく、利益水準・将来計画・負担増に見合う効果などを総合的に考慮して判断することが大切です。実際に法人化する際は、税理士や司法書士に相談しながら進めると安心です。設立登記から各種届出、社会保険の加入手続きまで専門家がサポート可能ですし、シミュレーション結果に基づいてベストなタイミングをアドバイスしてくれます。

なお、当税理士事務所では学習塾の法人化支援サービスも行っております。実際に「法人化すべきか?」のご相談を受け、シミュレーションでメリット・デメリットを比較した上で決断いただくケースもあります。ご希望があればお気軽にご相談ください。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

経営者であれば「少しでも税金を減らしたい」と考えるのは自然なことです。学習塾でも適切な節税策を講じて利益を守り、事業に再投資したいところでしょう。ただし、節税には「やって良いこと」と「やってはいけないこと」があります。ここでは学習塾経営に関連する主な節税対策について、「できる節税」と「NGな節税」に分けて押さえておきましょう。

◆ 学習塾でできる節税策の例:

  • 必要経費をもれなく計上する:最も基本的な節税は、事業に関わる支出を経費として適切に計上することです。学習塾では家賃、光熱水費、通信費、教材仕入れ費、備品費、広告宣伝費、研修費、交通費など様々な経費が発生します。それらを領収書やレシートをきちんと保管して経費計上しましょう。経費が増えれば利益が圧縮され、結果として所得税や法人税が減ります。「経費で落とせるものはきちんと落とす」――まずこれが鉄則です。特に塾長ご自身が教室兼自宅を使っている場合、家賃や光熱費の一部を事業経費にする「家事按分」も可能です。例えば、自宅の20%を教室スペースとして使っているなら、家賃・電気代等の20%は経費計上できます。このような按分計算も忘れず行いましょう。
  • 青色申告特典の活用:前述した青色申告特別控除(最大65万円控除)は強力な節税策です。確定申告の際に所得から控除できますので、必ず要件を満たしてフル活用しましょう。同様に、純損失の繰越控除(赤字の繰越)も将来の節税につながります。これらは合法的かつ有効な節税手段です。
  • 小規模企業共済・iDeCo等への加入:個人事業の塾経営者なら、小規模企業共済に加入するのも一般的な節税策です。毎月掛金を積み立てると、その全額が所得控除となり、将来退職金のように受け取れます。個人型確定拠出年金(iDeCo)も同様に掛金が全額所得控除です。毎月コツコツ積み立てて節税と資産形成が両立できます。
  • 家族への給与支払(所得分散):もしご家族が塾の事務や送迎などを手伝っているなら、専従者給与(青色事業専従者給与)制度を使って適正な給与を支払いましょう。そうすればその給与は経費になり、家族側の所得として分散されます。家族に所得がないか低ければ低税率で済むため、世帯全体で見た税負担が軽減されます。ただし実態の労働が伴っていないと認められませんので、ちゃんと働いてもらう必要はあります。
  • 設備投資の時期調整:例えば塾でパソコンや机を新調する予定があるなら、利益が多く出そうな年に前倒し購入して経費にする、といった時期調整も一つの策です。特に決算間近の法人などでは「利益調整のために必要なものを買っておく」ことがあります。ただし不要な物まで買っては本末転倒なので、あくまで必要経費の支出時期を工夫する範囲に留めましょう。
  • 倒産防止共済の活用:あまり知られていませんが、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)という制度もあります。取引先の倒産に備える共済ですが、掛金は全額経費になり、40ヶ月以上積めば解約して資金を戻すこともできます。資金繰りが潤沢であれば一時的に積み立てて節税する手もあります。
  • 消費税の簡易課税や特例適用:こちらも前述の通りですが、消費税の納税が発生する場合は簡易課税制度2割特例を駆使して負担を下げましょう。これも法定の範囲内でできる節税策です。

◆ 学習塾でやってはいけない「NG節税」の例:

  • 私的経費の混入(経費の水増し):最も注意すべきは、プライベートな支出を経費に混ぜる行為です。例えば家族の食事代や旅行代を塾の研修費・会議費と偽ったり、自家用車のガソリン代を全額経費に落としたりするのはNGです。税務調査で指摘されれば、その経費は否認され追徴課税を受けますし、悪質な場合は重加算税などペナルティも科されます。「領収書さえもらえば何でも経費」という誤解がありますが、事業に関係ない支出は経費になりません。家事関連費は事業割合だけ按分する(前述の家事按分)のであれば問題ありませんが、明らかに私的なものは計上しないようにしましょう。
  • 架空経費・偽装:上記と似ていますが、架空の経費をでっち上げるのは脱税です。例えば実在しないアルバイトに給与を払ったことにしてその分を経費計上する、存在しない研修会の費用を捏造する、など論外です。粉飾決算や二重帳簿につながる行為でもあり、見つかれば厳しい処分を受けます。
  • 売上除外(申告漏れ):意図的に売上を計上しない、現金売上を帳簿から抜く、といった行為も脱税です。学習塾は口座振替や銀行振込で授業料を受け取ることが多く、売上除外は難しいかもしれません。しかし、例えば入会金やテキスト代を現金でもらって記録しない、といったことは絶対にやめましょう。税務署も現金商売には目を光らせていますし、最近では銀行預金やカード決済情報も把握しています。売上はすべて正直に計上することが健全経営の大前提です。
  • 過度な節税策の濫用:中には「節税のために利益をゼロにしよう」と考える人もいますが、利益が全く出ていないと金融機関からの評価が下がり融資が受けにくくなる、副業の方なら住宅ローン審査に不利になる、など弊害もあります。税金を極端にゼロに近づけることだけ考えるのも考えものです。適度に税金を払いながら信用を得ることも大切です。また、世間には「○○節税スキーム」と称するグレーな手法が出回ることもありますが、リスクを伴うものもあります。よくわからない節税話に飛びつかず、必ず専門家に相談してから判断しましょう。
  • 福利厚生費や交際費の偽装:学習塾ではあまり派手な交際費はないかもしれませんが、例えば家族との食事を「従業員との会食」と偽る、私的な飲み代を交際費にする等は認められません。また、福利厚生費として従業員でもない人の費用を落とすのもNGです。税務署は交際費・会議費・研修費あたりの科目に目を光らせていますので、内容に即した正しい処理をしましょう。

要するに、「経費で落とせるものは正当に落とす」「落とせないものは落とさない」、そして「ルールに沿った制度は大いに活用するが、ルールから外れたことはしない」ということです。節税と脱税の線引きを誤らないように気を付けましょう。

もし「この支出は経費になるのかな?」「もっといい節税策はないかな?」と悩んだときは、お気軽に税理士に相談してください。税理士は節税のプロですから、合法的かつ効果的な方法を一緒に考えてくれます。当税理士事務所でも学習塾の経費や税務相談を随時承っておりますので、迷ったときはぜひご活用ください。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

最後に、学習塾の開業時の融資について触れておきます。これから塾を開きたい方、あるいは既に開業していて設備拡張のために資金調達を検討している方もいるでしょう。そうした創業融資事業ローンの場面で、実は税理士に相談するメリットが大きいことをご存知でしょうか。

税理士というと税金の専門家というイメージが強いですが、創業支援や融資サポートに力を入れている事務所も多いです。融資を受けるには事業計画書や資金繰り表の作成、面談対策など色々と準備が必要ですが、税理士に任せると以下のような利点があります。

  • 借入可能額が事前に把握できる:税理士は財務の専門家ですので、金融機関が融資審査で見るポイントを熟知しています。依頼者の事業計画を精査し、「あなたの場合、このくらいの融資可能額が見込まれます」といったアドバイスをしてくれます。無理のない借入希望額の設定ができ、計画に合った資金を確保しやすくなります。
  • 融資審査の成功率向上:税理士が関与すると、事業計画書の内容も数字の整合性や妥当性が高まり、金融機関からの信頼度がアップします。実際、税理士に創業融資を任せると審査通過率が上がるとの指摘もあります。創業融資において税理士のサポートは「成功率の向上に期待できる」要素なのです。
  • 融資希望額の増額可能性:自力で申請すると100万円しか借りられなかったところを、プロの手で適切に事業計画を作り込めば200万円借りられる…ということも起こり得ます。税理士は資金繰りや必要経費の算定も精密に行うため、妥当かつ最大限の融資額を引き出せる可能性が大きくなります。
  • 書類作成と手続きの負担軽減:融資申込には各種書類の準備が必要で、慣れないと大変です。税理士に任せれば、事業計画書や資金繰り表の作成はもちろん、金融機関とのやりとりについても助言が得られます。場合によっては金融機関の紹介や同行支援をしてくれる税理士もいます。とにかく時間と手間、労力が大幅に節約できるのは大きなメリットです。
  • 経営計画の精度向上:融資を受けるためには、事業のビジョンや収支計画を数字で示す必要があります。税理士と一緒に計画を練ることで、自分の頭の中も整理され、開業後の経営目標が明確になります。税理士は単にお金を借りるお手伝いをするだけでなく、経営コーチ的な役割も果たしてくれるのです。「計画の甘さを指摘してもらって助かった」という創業者の声もよくあります。

以上のように、税理士に融資サポートを依頼することは多くのメリットがあるのです。当然、プロに依頼するので成功報酬や手数料が発生しますが、融資額の数%程度であることが多く、十分元が取れるケースが大半です。例えば希望額より多く借りられれば手数料を払ってもお釣りが来ますし、何より融資獲得が叶わなければ事業が始まりません。

学習塾のようなサービス業でも、日本政策金融公庫の新創業融資制度や自治体の制度融資など、活用できる融資メニューは色々あります。税理士法人加美税理士事務所でも、創業融資の支援サポートを承っていますので、「融資を受けたいけど何から手を付ければ…」という方はぜひご相談ください。事業計画のブラッシュアップから融資申請書類の作成まで丁寧にサポートいたします。

長文になりましたが、最後に要点を振り返ります。学習塾・個別指導塾の経営者にとって、消費税の納税義務とインボイス制度への対応は無関係ではいられません。売上が小さいうちは免税事業者として恩恵を受けられますが、事業が成長すればいずれ課税事業者となり、消費税の申告・納税は避けて通れません。また、インボイス制度の施行により、例え自分が免税事業者であっても取引先の状況によって対応が求められるケースがあります。特に法人顧客と取引がある場合、インボイス発行事業者になるかどうかの判断を先送りしない方が良いでしょう

大切なのは、早めの情報収集と準備です。消費税やインボイス制度の基本を理解し、自社の売上規模・顧客層を踏まえて最善策を検討してください。本記事で解説したとおり、売上1,000万円がボーダーであり、超えるかどうかで対応が大きく変わります。また、インボイス制度下では「誰と取引しているか」も重要です。一般消費者相手の塾なら従来通りで問題ないケースが多いですが、企業相手の取引があれば要注意です。

免税事業者を続けるか、課税事業者になるかの判断に迷ったら、本記事のチェックポイントを参考につつ、遠慮なく専門家に相談しましょう。判断を誤ると、後々「取引先に対応できず機会損失」「納税資金の準備不足で資金繰り悪化」といったことになりかねません。しかし、適切に対応しておけば、消費税の納税も決して怖くありませんし、インボイス制度も上手に乗り越えられます。実際、消費税対応は早めの準備が肝心です。「知らなかった」「間に合わなかった」で損をしないよう、今のうちからできることを始めましょう。

また、本記事では消費税に限らず青色申告や源泉徴収、法人化や節税、融資についても触れました。これらは学習塾経営に関わる税務・会計の重要ポイントです。一度に全部を完璧にこなすのは難しいかもしれません。そんなときはぜひ税理士の力を借りることをご検討ください。税理士は税務のプロフェッショナルとして、経営者の良きパートナーになり得ます。困ったとき、悩んだときに相談すれば、必ずや道が開けるでしょう。

「税理士に相談してよかった!」と思える場面がきっとあります。税務のことは専門家に任せて、経営者の皆さまはぜひ本業である教育サービスに専念できる環境を整えてください。それが結果的に塾の発展にもつながるはずです。

学習塾・個別指導塾の経営者の皆さまへ――消費税対応や会計・経理のこと、一人で抱え込んでいませんか? 税理士法人加美税理士事務所は、そんな皆さまの強い味方です!当税理士事務所は東京・銀座に拠点を置き、中小企業や個人事業主の税務サポートに豊富な実績があります。学習塾・個別指導塾の税務も安心してお任せください!

当税理士事務所にご依頼いただくメリットの一部をご紹介します。

  • 業界に精通した税理士が在籍:当税理士事務所には中小企業税務に強い税理士が多数在籍しており、消費税のインボイス制度をはじめ最新の税制にも精通しています。学習塾・個別指導塾ならではの経理上の悩み(例:教材費の扱い、講師給与の処理、補助金対応など)にも的確にアドバイス可能です。学習塾・個別指導塾の顧問税理士をお探しなら、ぜひ当税理士事務所をご検討ください!
  • ワンストップ支援:記帳代行や決算・申告はもちろん、給与計算や社会保険手続き、融資支援まで、他の士業との連携も含めてトータルでサポートできます。経理・税務・財務のバックオフィス業務を丸ごとお任せいただければ、経営者様は本業に集中することができます。「経理担当者を雇う余裕がない」「事務処理が追いつかない」という塾経営者の方こそ、ご活用ください。
  • 親身でわかりやすいコミュニケーション:税理士法人加美税理士事務所では、親切丁寧な対応をモットーとしております。専門用語ばかり並べるのではなく、経営者様の立場に寄り添い、平易な言葉でご説明します。不明点はChatworkやメールですぐ確認できるなど、スピーディーなフォロー体制も整えています。税理士は先生というよりビジネスパートナー。疑問や不安は気軽にぶつけてください。
  • 全国対応・オンライン対応OK:当税理士事務所は東京にありますが、遠方の方でもご安心ください。クラウド会計やオンライン会議システムを駆使して全国どこからでもサポート可能です。実際に地方のクライアント様も多数おられます。コロナ禍以降、非対面でのやり取りにも慣れておりますので、お客様の負担になりません。もちろん近郊の方はご来所相談も歓迎です(東銀座駅すぐ)。
  • 初回無料相談あり「まずは相談してみたい」という方のために、初回のご面談は無料で対応いたします。現在の税務上のお悩みや顧問税理士への要望など、お気軽にお話しください。お話を伺った上で、当税理士事務所がお役に立てるサービス内容や料金プランをご提示いたします。無理な勧誘は一切いたしませんので、ご安心ください。

税理士法人加美税理士事務所は、「お客様の笑顔」と「事業の繁栄」を何より大切にしています。学習塾経営者の皆さまが子どもたちの成長を支えるように、私たちはその経営基盤を税務・会計面から支えてまいります。煩雑な消費税対応や帳簿管理はプロに任せて、本業の教育に全力投球しませんか?

学習塾・個別指導塾の税務相談は、ぜひ当税理士事務所へお気軽にご連絡ください! 私たちが全力でサポートいたします。一緒に貴塾の発展を実現しましょう。スタッフ一同、お問い合わせを心よりお待ちしております。

(※税理士法人加美税理士事務所は、東京都中央区に所在し、不動産税務を中心に多くの顧客を支援している事務所です。培ったノウハウを活かし、サービス業や教育業の皆さまの力にもなりたいと考えております。学習塾業界の皆さまの力強いパートナーとして、ぜひお役立てください。)

よくあるご質問

FAQ

学習塾を開業する場合、開業届の提出や開業資金の使い道に注意すべきことはありますか?

はい、個人事業主として学習塾を始める際には、税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出することが必要です。提出期限は原則として開業から1か月以内です。また、創業融資で得た開業資金の使途は、帳簿付けや確定申告にも関わるため、経費の仕訳や支出の証憑をしっかり保管しておきましょう。開業支援に必要な手続きについては、税理士にご相談いただくことでスムーズに進められます。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告を選ぶべきか迷っています。学習塾でもメリットはあるのでしょうか?

青色申告を選ぶと、最大65万円の青色申告特別控除や、赤字の繰越控除、家族への給与を必要経費にできる「青色事業専従者給与」などのメリットが受けられます。特に学習塾のような個人事業では、事業初期の赤字や家族経営のケースも多く、青色申告の恩恵を受けやすいといえます。導入には事前の「青色申告承認申請書」の提出が必要なため、早めの準備が大切です。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

オンライン学習塾でも税理士のサポートを受けられますか?

はい、当税理士事務所ではZoom面談やチャット相談に対応しており、全国のオンライン塾の方にもフルリモートで対応可能です。売上規模や事業形態に応じた節税対策や青色申告の導入支援も行っておりますので、対面不要で安心してご相談いただけます。クラウド会計や電子申告にも対応可能です。

青色申告の65万円控除を受けるには、どうすれば良いですか?

65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による帳簿付けと損益計算書・貸借対照表の作成、さらにe-Tax(イータックス)などを使った電子申告が必要です。会計ソフトを導入すればスムーズに対応できますし、当税理士事務所では弥生会計など主要ソフトに対応したオンライン記帳指導も可能です。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

学習塾の開業準備チェックリストのようなものはありますか?

はい、開業にあたっては「開業届の提出」「青色申告承認申請書の提出」「日本政策金融公庫等への創業融資申請」「事業計画書の作成」など、税務・会計上の準備が多数あります。当税理士事務所では、学習塾の開業準備に必要な項目を整理したチェックリストをご用意し、帳簿付けや資金計画も含めたご相談に応じられる体制を整えています。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

オンライン学習塾の売上が初年度から1,000万円を超えたのですが、消費税はどうなりますか?

個人事業主の場合、初年度は免税事業者ですが、2年目については前半の6か月間の課税売上高および支払給与額の合計が1,000万円超であるかどうかで納税義務を判定します。いずれも1,000万円を超えていた場合、2年目は課税事業者となります。なお、3年目についても基準期間(初年度)の課税売上高が1,000万円を超えているため課税事業者となります。詳細は税理士にシミュレーションを依頼すると安心です。

学習塾の必要経費にはどんなものがありますか?

教室の家賃、光熱費、教材費、広告宣伝費、講師への給与、インターネット通信費などが代表的な必要経費です。自宅兼教室であれば「家事按分」により一部を経費計上できるケースもあります。経費の仕訳は帳簿や青色申告の控除に直結するため、適切な処理が重要です。

アルバイト講師を雇う予定ですが、給与の源泉徴収は必要ですか?

はい、雇用契約を結ぶアルバイト講師には、原則として給与支払時に源泉所得税を天引きし、翌月10日までに税務署へ納付する義務があります。年末調整や支払調書の作成も必要となるため、初めて給与計算をされる方は税理士へのご相談をおすすめします。

源泉徴収の対象になる講師とならない講師の違いは何ですか?

雇用契約を結んでいる場合は給与として扱われ、原則として源泉徴収が必要です。一方、業務委託契約などで講師を外部委託する場合、その報酬は「報酬・料金」として処理され、源泉所得税は異なる税率(通常10.21%)で計算されます。契約形態や支払い形態によって取り扱いが変わるため、契約書類の整備も重要です。

個別指導塾の給与計算は税理士に依頼できますか?

はい、当税理士事務所ではアルバイト講師中心の給与計算や源泉所得税の処理、年末調整、労働保険・社会保険に関する手続きにも対応できる体制を整えています。会計ソフトを使っていなくても大丈夫ですので、お気軽にご相談ください。

副業講師に報酬を払う場合も源泉徴収が必要ですか?

副業講師であっても、個人事業主やフリーランスとして業務委託契約を結ぶ場合、報酬支払いには源泉徴収義務が生じることがあります。教育関連の講師報酬は、所得税法上の「報酬・料金等」に該当するため、10.21%の税率で源泉徴収する必要があります。契約形態の確認が大切です。

学習塾の消費税申告はいつから必要になりますか?

原則として、基準期間(通常は前々年、前々期など)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、その課税期間は課税事業者となり、消費税の申告・納税義務が発生します。また、特定期間の課税売上高と給与支払額の両方が1,000万円超の場合にも注意が必要です。タイミングを誤ると思わぬ納税負担が発生しますので、早めの判定が大切です。

簡易課税制度は学習塾にも有利ですか?

はい、年間の課税売上高が5,000万円以下で、仕入や経費にかかる消費税が少ない場合、簡易課税制度を選択することで納税額が少なくなることがあります。学習塾は第五種事業に該当し、みなし仕入率は50%です。制度の適用には事前の届出が必要ですのでご注意ください。

学習塾を法人化するメリットとデメリットは?

法人化のメリットには、節税余地の拡大、社会的信用の向上、消費税免税期間のリセットなどがあります。一方で、法人住民税や社会保険の強制加入、決算申告や経理負担の増加といったデメリットもあります。個人・法人どちらが有利かは利益額や将来計画に応じて異なります。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

法人化すると消費税はどうなりますか?

新たに法人を設立する場合、通常は資本金が1,000万円未満であれば、設立後2期分の消費税が免除されます(例外あり)。この免税期間を有効に使うことで、開業直後のキャッシュフローを改善することができます。ただし、事前にしっかりと設立スケジュールを計画することが重要です。

法人化に向けた資本金の設定はどうすべきですか?

資本金を1,000万円未満に設定することで、設立初年度から2期分の消費税が原則として免除されます。逆に1,000万円以上にすると設立初年度から課税事業者になるため注意が必要です。融資面の信用力や事業規模とのバランスを考慮した設定が重要です。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

進学塾の複数教室を展開していますが、店舗ごとに会計を分けた方がよいですか?

教室ごとに収支を把握することは、経営分析や資金繰りの可視化に非常に有効です。店舗別の部門会計を導入することで、利益率の低い拠点の見直しや資源配分の最適化が可能になります。当税理士事務所では月次試算表の作成やキャッシュフロー管理にも対応しています。

節税のためにできる具体的な対策を教えてください。

青色申告の活用、必要経費の家事按分、少額減価償却資産の特例、共済制度の加入(小規模企業共済)などが挙げられます。設備投資の時期を調整することも一つの手です。詳細は個別の状況により異なりますので、税理士にご相談ください。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税目的で法人化するのは危険ですか?

節税の観点から法人化が有利になるケースは多くありますが、売上や利益が少ない段階で法人化すると、むしろ税負担が増える可能性もあります。法人化には社会保険加入や事務負担の増加などの要素もあるため、節税だけにとらわれず、全体の損益を見据えて判断することが大切です。

税務調査は学習塾にも入ることがありますか?

はい、学習塾のような事業でも、売上や経費処理に不自然な点があると税務調査の対象となることがあります。特に現金収入が多い、帳簿付けが不十分、開業初期で急成長しているなどのケースは注意が必要です。当税理士事務所ではオンラインによる税務調査対応サポートも行っています。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

税務調査が入ったとき、どこまで税理士が対応してくれるのですか?

当税理士事務所では、税務調査の事前準備から立会い、調査後の是正対応・交渉まで一貫してサポート可能です。遠方のお客様でもZoom等を用いたオンライン立会いが可能ですので、全国どこからでも安心してご依頼いただけます。

税務署対応が不安です。塾のような小規模事業者にも税理士は必要ですか?

小規模な学習塾であっても、帳簿の整備や申告書の作成、税務署からの問い合わせ対応などで税理士のサポートがあると安心です。特にインボイス制度や青色申告、消費税の対応などは複雑になりやすく、ミスがあると税務リスクが高まるため、専門家の伴走が有効です。

将来的に学習塾を店舗展開したいと考えています。税理士に相談できますか?

はい、当税理士事務所では店舗展開を視野に入れたキャッシュフロー管理や資金調達、法人化タイミングの検討などについて、個別具体的なシミュレーションをご提供できます。教室別の収支管理や試算表作成などにも対応可能です。店舗展開について詳しくは下記のページをご覧ください。

複数教室を運営していますが、講師の社会保険加入は必要ですか?

常勤の講師や一定の労働条件を満たすパート・アルバイト講師については、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入が必要になる場合があります。特に法人の場合は適用範囲が広がるため、早めの確認と体制整備が重要です。年末調整や労働保険手続きも含めてご相談ください。

学習塾の後継者がいません。事業承継の準備は何から始めるべきですか?

まずは事業の財務状況を把握し、月次試算表や決算書を整えるところから始めましょう。その上で、後継候補者がいるか、外部承継(M&A)を検討するかなど、方向性に応じて準備項目が異なります。当税理士事務所では中小企業M&Aや事業承継税制の活用についても支援体制を整えています。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

学習塾でもインボイス制度の対応は必要ですか?

はい、特に法人や課税事業者を取引先に持つ場合は、インボイス制度に対応していないと不利益を被る可能性があります。課税事業者でなければインボイス(適格請求書)は発行できません。今後の事業拡大を考えるなら、インボイス対応の準備を進めることをおすすめします。

開業後すぐに顧問契約を結ばないと不利になりますか?

必須ではありませんが、開業初期から税理士と連携しておくことで、帳簿付けや経費処理、青色申告の準備、税務署手続きなどをスムーズに進めることができます。後から慌てて対応するよりも、早期に顧問契約を結ぶほうがミスや無駄を防げます。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

税理士との顧問契約を途中で変更することはできますか?

はい、現在の顧問税理士との契約を見直したい場合は、契約内容や更新時期を確認したうえで変更可能です。当税理士事務所では、顧問契約の切り替えや引き継ぎの際にも丁寧に対応し、安心してご利用いただけるサポート体制を整えています。初回の無料相談もぜひご活用ください。

無料相談ではどこまで対応してもらえますか?

初回無料相談では、現在抱えている税務・会計上のお悩みや、今後のご相談内容の方向性をじっくりお伺いします。開業支援から法人化、節税対策、税務調査対応まで幅広いご質問に対応可能です。Zoomまたはお電話で全国からご相談いただけます。

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