税理士法人
加美税理士事務所

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“先生らしい医療”を続けていくために、私たちは数字と未来を整えるお手伝いをします。医療法人化で次のステージへ。

クリニック経営相談に強い税理士が、医療法人化の進め方と節税・財務戦略を徹底解説。法人化のタイミング・節税スキーム・社会保険料対策・資金繰りシミュレーションまで丸ごと支援。日本全国完全オンライン対応可能で顧問料も相場より低め、初回相談は無料。

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開業医・クリニック経営者様のための医療法人化ガイド

クリニック(医院)を開業・経営されているドクターの皆さま、こちらのウェブページにお越しいただきありがとうございます。クリニック専門の税務サポートをしております税理士法人加美税理士事務所と申します。今回は、クリニックの法人化(医療法人化)について、専門の税理士として分かりやすく解説いたします。

クリニックを法人化することで得られるメリットや最適なタイミング、活用できる節税スキーム、さらに具体的な設立手続きまで、網羅的にご紹介します。開業準備中の若手医師の方から、すでに開業して個人事業でクリニックを運営している院長先生、すでに法人化を済ませている理事長先生、そしてベテラン院長先生まで、医療業界で活躍される全てのドクターに役立つ情報をお届けします。

それでは、クリニック専門税理士が知る「クリニック法人化」のポイントを見ていきましょう。

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まず、クリニックを法人化することで得られる主なメリットを見てみましょう。個人で開業している場合と比較して、法人化(医療法人化)によって以下のような利点があります。

  • 税率の引き下げによる節税:個人開業医の場合、所得税は累進課税で最高税率が55%(所得税45%+住民税10%)にも達します。一方でクリニックを法人化すると、法人税は中小法人なら年800万円まで15%、超過部分も23%程度(※)と大幅に税率が低くなります。高所得のドクターほど、法人化によって税負担を軽減できる可能性が高いのです。
  • 所得分散による節税:法人化すると、ご家族を役員や従業員として迎え入れ、給与を支給することで所得を分散できます(後述します)。院長先生お一人で所得を集中させるよりも、複数人に配分することで各人の所得税率が抑えられ、トータルの税額を減らすことができます。
  • 経営の安定性・信用力向上:法人形態になることで、金融機関や取引先からの信用が高まり、資金調達や設備投資がしやすくなります。銀行融資の審査でも、個人事業より法人の方が事業継続性や組織体制が評価され、有利に働くケースが多いです。また、法人化によって経営とプライベートの財産を明確に分離できるため、万一経営上のトラブルがあっても個人資産を守りやすくなるという側面もあります。
  • 事業承継・相続のしやすさ:クリニックを医療法人にしておくと、将来的にお子様や後継のドクターへの事業承継がスムーズになります。個人で営むクリニックの場合、院長先生が引退される際に事業そのものを引き継ぐのは容易ではありませんが、法人としてクリニックを運営していれば社員資格や理事の交代を通じた運営権の承継といった形でスピーディーに世代交代が可能です。

※税率は法人所得に対する国税の法人税率であり、別途地方税等を含めた実効税率は約30%前後になります。

上で挙げたように、クリニックの法人化には経営の安定性向上節税の二つの大きな柱があります。経営の安定性という点では、法人化することでクリニックが個人の延長ではなく組織的な運営となり、金融機関からの信用力アップや人材採用面での安心感につながります。特に複数の診療科目や分院展開を考えている場合、法人格があることで対外的な信用が得やすく、成長戦略を描きやすくなるでしょう。

一方、節税面でのメリットは、何と言っても税率の差と所得分散の効果です。個人の高額所得に比べて法人の税率は低いため、利益が大きいほど節税メリットも大きくなります。また、法人化により経費計上の幅も広がります。例えば、院長先生ご自身への役員報酬(給与)を支給すれば、その分が法人の経費となり課税所得を圧縮できます(個人事業では事業主本人の報酬は経費とみなされません)。この違いは大きいです。

さらに、法人ならではの節税策として退職金の積み立て社宅制度の活用といったスキームも利用可能です(これらは後ほど詳しく解説しますが、個人での開業では難しかった制度を活用できる点も法人化の魅力と言えます)。当事務所では税理士として他業種への支援や制度研究をもとに、クリニック法人化に対応するノウハウを蓄積してきましたが、適切なタイミングで法人化し各種スキームを駆使すれば、経営の安定と大幅な節税の両立も十分に可能だといえます。

先ほどメリットの項目で触れた「所得分散」による節税について、もう少し具体的に見てみましょう。所得分散とは、一人に集中していた所得を複数の人に分けることで各人の所得税負担を軽減し、トータルで節税を図る方法です。

クリニックを法人化すると、院長先生のご家族を役員従業員として登用し、給与を支払うことが容易になります。例えば、配偶者の方を法人の役員(理事など)や職員にして毎月給与を支給すれば、その給与は法人の経費となり法人税の課税所得を減らせます。同時に、受け取った配偶者の所得は配偶者自身の所得として課税されますが、一般的に院長先生お一人で高額所得となる場合に比べてご家族それぞれの所得は低く抑えられるため、適用される所得税率も低くなります。

専従者給与という制度を使えば個人事業でも家族に給与を支払って経費計上は可能ですが、支給額や対象となる親族に制約があります。その点、法人化後であれば配偶者に限らず成人されたお子様やご両親を含め、クリニック運営に関与するご家族に対して柔軟に給与を支給できます。重要なのは、支給する給与があくまで仕事の実態に見合った適正な金額であることです。税務調査の際には、家族への給与が高すぎないか(実態以上に支払っていないか)チェックされますので、専門の税理士と相談しながら適切な水準を設定する必要があります。しかし、適正な範囲であれば家族への給与支給は非常に強力な節税スキームです。法人化によってこの所得分散の幅が格段に広がることは、クリニック経営における大きなメリットと言えるでしょう。

「クリニックを法人化するなら、いつが良いのだろう?」というタイミングの問題もよくある相談です。ここでは、法人化の検討時期について判断する目安やシチュエーション別のポイントを解説します。売上規模の基準から分院計画、ご家族の雇用タイミングまで、専門税理士の視点を参考にベストなタイミングを見極めましょう。

昔から「売上が8,000万円を超えたら医療法人化を」と言われることがあります。この8,000万円という数字は一つの目安で、実際、年商8,000万〜1億円規模に成長したタイミングで法人化に踏み切るクリニックが多い傾向があります。これは、前述のようにそのくらいの規模になると個人の所得税負担が非常に大きくなり、法人化による節税メリットが顕著になるためです。

しかし、8,000万円超えれば必ず法人化すべきというわけではありません。法人化の適切なタイミングはクリニックの状況により異なります。 例えば、利益率が高く手元に十分な利益が出ているなら売上7,000万円程度でも法人化のメリットが出ることがありますし、逆に経費が多く利益が少ない場合は売上1億円でも法人化の効果は限定的かもしれません。また、既に専従者給与などで所得分散を実施しており個人でもある程度の節税を図れているケースでは、法人化による節税幅は小さくなるでしょう。

目安として、以下の点を総合的に考慮して判断することをおすすめします:

  • 売上規模・利益水準:年商が8,000万円を超え、かつ院長先生の手元に残る利益(所得)が2,000万~3,000万円以上となっているかどうか。利益水準が高いほど法人化メリットが大きくなります。
  • 将来の事業計画:今後さらに患者数の増加や診療科目の追加などで売上アップが見込まれるか。将来的に年商1億円を超える成長を視野に入れているなら、早めに法人化して節税メリットを先取りする価値があります。
  • 院長先生のご年齢:院長先生がご高齢であと数年で引退予定の場合、法人化のメリットを十分享受する前にリタイアとなる可能性があります。逆に、まだ若く今後長く開業医としてやっていくのであれば、早めに法人化して長期的な節税メリットを蓄積する選択肢が有効です。
  • 現状の節税策の活用状況:個人事業のままで専従者給与や経費計上など節税策をフル活用しているかどうか。活用しきれていない場合、法人化による改善余地が大きいと言えます。

以上を踏まえ、8,000万円という数字はあくまで一般的な目安と考えてください。「売上○○万円以上なら必ず法人化」という硬直的な判断ではなく、クリニックの実情と今後の見通しを踏まえて柔軟に検討することが大切です。不安な場合は税理士に相談し、具体的なシミュレーションを行ってもらうとよいでしょう。

分院を開設して事業を拡大する計画がある場合は、その前に法人化して組織基盤と信用力を強化しておくことが必要です。法人化により経営管理が組織的になり、本院と分院の役割分担が明確になります。また、法人の看板があることで金融機関からの融資も受けやすく、物件の賃貸契約など対外的な手続きでも信用力が向上します。さらに、事業規模拡大で得られる利益にも法人税率が適用されるため、税制面でも有利です。分院開設の時期が決まったら、余裕をもって法人設立の申請準備を進めましょう(認可取得まで数ヶ月かかるため、半年前には着手するのが安心です)。

配偶者やご家族をこれからクリニックの従業員として正式に雇用しようと考えている場合も、法人化の検討をおすすめします。家族従業員の活用は先述の所得分散による節税の要となるため、雇用のタイミングで法人化しておくことで最大限の効果を得やすくなります。

個人事業のままでも青色申告の専従者給与制度を使って家族に給与を支払うことは可能ですが、制度上、専従者は事業に専念する親族に限られ、支給額も事前に届け出た範囲内で適正な額に制限されます。一方、法人化してしまえば配偶者やお子様を含むご家族を役員や従業員として自由に雇用でき、給与額も職務内容に応じて柔軟に設定できます。例えば、奥様がクリニックの事務長として常勤する場合、法人の役員として月々適切な報酬を支払うことで、その分を法人の経費にできますし、奥様自身の所得として税率の低い範囲で納めることができます。

また、お子様が将来医師としてクリニックを手伝う予定があるなら、早めに法人化して家族経営の体制を整えておくメリットは大きいです。法人化されたクリニックであれば、お子様が医師になった際に理事や院長職を継承しやすく、将来的な事業承継の土台にもなります(事業承継については後述します)。このように、家族を雇用してクリニックを運営していくビジョンがある場合、そのタイミングでの法人化は有力な選択肢と言えるでしょう。

法人化のタイミングを見定めるには、資金繰り表を用いたシミュレーションが非常に有効です。漠然と「そろそろ法人にした方が良いかな?」と考えるより、具体的な数字でシミュレーションすることで、法人化によるメリット・デメリットを定量的に把握できます。

当事務所では、クリニックの過去の決算書や収支データを基に、法人化した場合のシミュレーションを行っています。具体的には、現在の個人事業のままの場合と、○年から医療法人化した場合とで、それぞれ5年〜10年スパンの収支計画表を作成し比較します。シミュレーションでは次のようなポイントを検討します:

  • 個人事業のまま継続した場合の毎年の所得税・住民税負担額
  • 法人化した場合の法人税・住民税負担額と、院長先生個人に支払う役員報酬に対する所得税・住民税
  • ご家族への給与支給や退職金制度導入による節税効果の見込み
  • 社会保険料の負担増減(法人化により院長先生自身も厚生年金・健康保険に加入する必要があるため)
  • 法人設立に伴うコスト(設立時の定款認証費用、法人運営のための顧問税理士報酬等)

こうした項目をすべて織り込んだうえで、「法人化後の手元資金が5年後・10年後にどの程度増えるか(もしくは減るか)」を試算します。例えば、あるクリニックでは、法人化によって5年間でトータル数百万円以上の節税効果が見込まれ、社会保険料負担の増加分や設立コストを差し引いてもなお十分メリットがあるという結果が出ることもあります。また別のケースでは、節税効果はあるもののわずかで、当面は個人事業のまま様子を見た方が良いとの結論になることもあるでしょう。このように、シミュレーションを行えば数字に基づいた明確な判断が可能になります。

法人化の判断に迷われたら、ぜひ専門の税理士にシミュレーションを依頼することをおすすめします。当事務所でも初回のご相談は無料で承っており、全国対応でクリニックの法人化シミュレーションサービスを提供しております。数字に強い税理士が客観的なデータを示しますので、安心して意思決定ができるでしょう。

クリニックを法人化すると、個人事業の時には使えなかった様々な節税スキームを活用できるようになります。特に「所得分散」と「役員報酬・退職金」の調整は、法人化後の節税策として二本柱となります。それぞれ、どのように節税効果を高められるか見てみましょう。

法人化後は、前述のとおりご家族への給与支給による所得分散が強力な武器となります。ポイントは、どの家族にどれくらいの給与を配分するかを戦略的に設計することです。

例えば、院長先生(理事長)の給与を必要最低限に抑える一方、常勤でクリニックを手伝っている奥様に手厚く給与を支払うといった配分です。こうすることで、院長先生個人の高額所得を圧縮しつつ、配偶者の所得控除や低い税率の範囲を有効活用できます。また、成人されたお子様が受付や事務を手伝っているなら、パートタイムであっても適正な範囲で給与を支給することも可能です(個人事業の専従者給与では「生計を一にする親族で他に主要な職業がないこと」等の条件がありますが、法人なら該当しません)。

もちろん、ご家族に給与を支払う分、法人としての社会保険料負担は増加します。しかし、所得税・住民税の軽減効果と照らし合わせればトータルでメリットが大きいケースがほとんどです。社会保険料については後述する社宅活用など他のスキームで調整することも可能です。いずれにせよ、法人化によって自由度が増した給与配分を活かし、家族ぐるみで賢く節税に取り組むことが重要です。

医療法人の経営においては、役員報酬(院長先生の給与)と将来の退職金をどう設定するかも節税に直結します。法人化したからといって、むやみに役員報酬を高額に設定すると、せっかく法人税率が低くなっても院長先生個人の所得税率が跳ね上がり、トータルの税負担が増えてしまう恐れがあります。一方で、役員報酬が低すぎると、法人に利益が残りすぎて法人税を多く支払うことになります。

重要なのは、法人税と所得税のバランスを見ながら役員報酬額を最適化することです。例えば、法人の利益が年間3,000万円程度出る場合、2,000万円を役員報酬、1,000万円を法人に残す、といった按分にすることで、法人税と所得税・住民税の合計額を最小化できるケースがあります(報酬額の決定は専門家とのシミュレーションが不可欠です)。役員報酬は原則として期首に定めて1年間固定する必要があるため、一度決めたら年度途中で安易に変更できません。したがって、初年度から適切な報酬額を設定することが大切です。当事務所では、クリニックの収支予測に基づき最適な役員報酬モデルをご提案しています。

さらに見逃せないのが退職金の活用です。医療法人では、院長先生が引退する際に退職金を支給することが可能で、その支給額は法人の損金(経費)となります。退職金として受け取る所得(退職所得)は、税法上非常に優遇された扱いを受けます。具体的には「退職所得控除」といって、勤続年数に応じて何千万円もの金額が非課税枠となり、さらに課税対象となった金額も1/2だけが課税所得としてカウントされます。長期間勤め上げた場合、退職金にかかる税率は実質的に数%程度にまで圧縮できるのです。

この制度を活かすことで、在職中に高額な役員報酬として受け取って高い所得税を払う代わりに、敢えて役員報酬を適度に抑えて法人内に利益を蓄積し、引退時に退職金としてまとめて受け取るといったプランニングが可能になります。適切な退職金規程を整備しておけば、将来受け取る退職金額を事前に積み立てていくこともできますし、税務上も安心です。このように、役員報酬と退職金をトータルでデザインすることが法人化後の節税成功の鍵となります。

法人化による節税メリットは、具体的な数字を見るとその大きさが実感できます。ここで、累進課税の細かい計算を省いたシンプルなケースで比較してみましょう。

例えば、院長先生の個人所得(税引前利益)が年間3,000万円あるとします。個人事業のままだと、所得税・住民税でその約半分近く(45~55%程度)を納税する可能性があります。仮に50%とすれば約1,500万円が税金に消えるイメージです。※実際は累進課税の影響を受けるためもう少し税額が減少します。

一方、同じ3,000万円の利益でも、クリニックを法人化して奥様に給与を支給し、院長先生の役員報酬を抑えめに設定した場合、法人税とお二人分の所得税・住民税の合計は概ね30%台に収まるケースが多くなります。30%だとすると納税額は合計で900万円程度となり、個人事業の場合と比べて年間で数百万円もの差が生じます。この節税額が毎年積み重なれば、5年で数千万円規模の資金を手元に残せる計算です。

無論、実際の数字は各クリニックの状況によって異なりますが、法人化による節税メリットがいかに大きいかはご理解いただけると思います。特に高収入のドクターほど節税効果も絶大です。ただし、こうしたメリットを享受するためには正しい法人運営とスキームの実践が必要です。税務の専門家である税理士のサポートの下、シミュレーション結果を踏まえて適切に経営判断を行ってください。当事務所でも、節税に強い経営アドバイザー税理士として綿密なシミュレーションと実行支援を行っていますので、安心してご相談いただけます。

クリニックを法人化すると、社宅(借上社宅)制度を利用した節税策も可能になります。社宅とは、法人が住宅を借り上げて社員(理事長や職員)に住まわせる制度で、うまく活用することで所得税だけでなく社会保険料の負担軽減にもつなげることができます。ここでは、医療法人で利用できる社宅スキームのメリットと、その賢い活用法について解説します。

借上社宅制度とは、医療法人が不動産会社等から住宅を借りて、それを院長先生やスタッフに社宅として貸与する仕組みです。社員(この場合は医療法人の役職員)は社宅に住み、法人に対してわずかな賃料(税法で定められた「賃貸料相当額」)を支払います。法人は実際の家賃を支払い経費計上しますが、社員から徴収する賃料はごく一部であるため、法人側が負担した家賃の大部分が福利厚生費として経費になります。

この制度を利用すると、以下のようなメリットがあります:

  • 所得税・住民税の軽減:本来、院長先生個人が自分の収入で家賃を支払えば、その支払いは税引後の所得から出すことになります。しかし社宅として法人が家賃を負担すれば、院長先生個人は家賃相当額を負担せずに済むため、実質的に手取りが増えることになります。社宅の提供そのものには所得税は課税されず、先生が法人に支払う少額の賃料のみで済む点がポイントです(住宅手当として同額を給与で支給すれば、その分が課税所得となってしまいます)。
  • 社会保険料の負担軽減:社宅制度を使うことで、院長先生の給与の一部を家賃補助という形で法人負担に振り替えることができます。これにより、表面的な役員報酬額(給与)が下がるため、健康保険・厚生年金といった社会保険料の算定基礎も引き下げられます。結果として、院長先生ご自身と法人双方が負担する社会保険料を減らす効果が期待できます。

例えば、毎月20万円の家賃の住居に院長先生がお住まいの場合、これを法人の借上社宅としたとします。先生には税法上定められたわずかな自己負担(仮に月4万円程度)だけをご負担いただき、残りの約16万円を法人が支払います。法人が負担する年間約200万円の家賃は経費となり、その分法人税を減らせます。一方、院長先生個人は毎月4万円の賃料負担だけで住居を確保でき、従来20万円を自分で払っていた場合に比べて年間約200万円の手取りアップに相当します。また、役員報酬を20万円下げても生活水準を維持できるため、その分だけ社会保険料の月額も抑えられます。このように社宅スキームは、給与と課税の仕組みを工夫して実質的な可処分所得を増やす効果が大きいのです。

社宅制度のメリットを最大限享受するには、いくつかのポイントに注意して賢く活用する必要があります。

  1. 社宅規程の整備:まず、医療法人内で社宅制度を導入する場合は、社宅の対象者や自己負担額の算定方法などを定めた社宅規程を整備しましょう。これにより、税務上も適正な福利厚生として認められやすくなります。
  2. 適正な自己負担額の設定:税法上、社宅に入居する役員・従業員には一定の家賃自己負担が求められます。一般的な計算式が国税庁からも示されていますが、専門的な計算になりますので税理士に算出を依頼すると安心です。適正な自己負担額を設定することで、社宅の経済的利益部分に課税される心配を無くします。
  3. 物件の選定:社宅とする物件は、あまりに高額で「豪華社宅」とみなされると税務上問題になる可能性があります。一般的な家賃相場とかけ離れた高級マンション等を社宅にする場合は注意が必要です。常識的な範囲内で、ご家族の生活に適した物件を選びましょう。
  4. 専門家のサポート:社宅スキームは節税効果が高い反面、税務・社会保険のルールを踏まえた運用が求められます。適切な契約書の作成や経理処理、税務調整を行うためにも、医療業界に詳しい税理士のサポートを受けることをおすすめします。

私たち税理士法人加美税理士事務所でも、多くのお客様の社宅導入をお手伝いしてきた実績があり、医療業界での活用にも対応可能です。全国対応で社宅スキームに関するご相談も承っておりますので、「社宅を活用して節税したい」という先生はお気軽にご相談ください。給与体系の見直しによる社会保険料対策は、長期的に見ると大きなコスト削減につながります。社宅制度はその有効な一手段として、医療法人のメリットを最大化しましょう。

クリニックを法人化した際には、退職金制度をあらかじめ整備しておくことも重要です。適切な退職金規程を設けて運用することで、大きな節税効果を得られるだけでなく、社会保険料の負担軽減にもつながります。ここでは、退職金制度準備のポイントと、その活用による社会保険料対策について解説します。

医療法人を設立したら、まず院長先生(理事長)の退職金に関する規程を整えておきましょう。退職金規程とは、退職時に支給する退職金の算定方法や支給条件を定めた社内ルールです。これを作成しておくことで、将来退職金を支給する際も税務上問題なく損金算入(経費処理)でき、計画的な準備が可能になります。

退職金規程を作る際のポイントは、勤続年数に応じた妥当な支給額の設定です。例えば、「勤続年数×功績倍率×最終月額報酬」をベースに退職金額を決定する方式などが一般的です。重要なのは、税法上の非課税枠を最大限に活用できるような水準にしておくことです。退職所得には「退職所得控除」というものがあり、勤続年数20年までは年間40万円、20年超は年間70万円が控除されます。仮に勤続30年で退職する場合、最低でも40万円×20年+70万円×10年=1,500万円が非課税となり、それを超える部分も1/2に圧縮されます。つまり、長年勤務した上で受け取る退職金は、相当額まで税金がかからない仕組みなのです。この非課税枠を有効に使えるよう、退職金規程で十分な額を支給できる設計にしておくことが肝心です。

また、退職金規程は院長先生だけでなく、従業員向けにも整備しておくことでスタッフの将来の安心にもつながります。もっとも、クリニック規模によっては院長先生のみ規程を定めるケースもありますので、そこは柔軟に検討してください。

退職金制度を活用すると、社会保険料の負担を軽減する効果も期待できます。仕組みは前述の役員報酬の最適化と似ていますが、平たく言えば「今払う給与を将来の退職金に振り替える」イメージです。

具体的には、院長先生の役員報酬を必要最低限にとどめ、その代わりに退職時にまとまった退職金を支給できるよう準備しておきます。現役時代の給与を抑えれば、その分だけ毎月の社会保険料(健康保険・厚生年金)の負担も抑えられます。仮に年間で数百万円の所得を退職金に回す形にできれば、その分にかかる社会保険料(法人と個人で合計30%以上)を毎年節約できる計算です。もちろん、適正水準を超えて報酬を低く設定しすぎると日々の生活資金に困る恐れがありますから、無理のない範囲で計画することが大切です。また、将来の退職金支給に備えて法人内で内部留保を計画的に積み立てたり、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)や小規模企業共済といった外部積立制度を活用したりする方法もあります。これらの制度を使えば、積立金を経費にしながら退職時等に備えることが可能です(小規模企業共済は一定の要件を満たす場合に院長先生個人が加入できます)。

最後に、退職金制度を上手に導入・運用するためのコツを税理士の視点からお伝えします。

  • 早めの制度設計:前述の通り、退職金の税制メリットは勤続年数が長いほど大きくなります。できるだけ若いうちに、医療法人設立当初から退職金規程を整備し、制度をスタートさせるのが理想です。遅くとも法人化後数年以内には取り組みましょう。
  • 無理のない積立計画:毎年の業績や資金繰りを見ながら、無理のない範囲で退職金の原資を積み立てていきます。利益が出た年には役員給与として全額を引き出さず一部を社内留保し、将来の退職金支払いに充てる準備をします。逆に利益が少ない年は無理に積立をせず柔軟に調整します。
  • 税務上の妥当性を確保:あまりに高額な退職金を支給すると、税務署から「過大な役員退職金」とみなされ、一部が損金不算入(経費と認められない)となるリスクがあります。業界水準や法人の規模に照らして妥当な金額設定となるよう、税理士と相談しながら規程を作成しましょう。
  • 専門家と連携:退職金制度の導入には、税理士をはじめ社会保険労務士や場合によっては金融機関とも連携して進めることが重要です。税務・社会保険の両面に精通した経営アドバイザーとして、当事務所の税理士も制度設計から運用までサポートいたします。弥生会計など会計ソフトでの積立金管理や、共済制度の活用についてもご提案可能です。

適切に退職金制度を構築すれば、院長先生の将来の安心資金を確保しつつ、現役時代の税・保険料負担を軽減するという一石二鳥の効果が得られます。クリニック専門の税理士として培ったノウハウを活かし、私たちも経営アドバイザーの立場で先生の将来設計を全力でサポートいたします。

法人化を決断したら、次は実際の医療法人設立手続きに進みます。個人開業のクリニックを医療法人(社団医療法人)に移行するには、所定の書類を揃えて都道府県知事の認可を受け、法人として登記する必要があります。ここでは、医療法人設立のための必要書類やスケジュール、専門家と連携した設立ステップ、そして気になる費用と資金繰り管理について解説します。

医療法人を設立する際には、多くの書類を準備し、段取り良く提出することが求められます。主な必要書類の例を挙げると:

  • 医療法人設立認可申請書:医療法人を設立したい旨を知事宛に申請する正式な書類です。
  • 定款(案):法人の基本規則となる定款を作成します。目的や役員構成、資産の状況などを記載します。
  • 役員名簿・役員就任承諾書:理事長を含む役員予定者の氏名や経歴を書いた名簿、および就任承諾書を用意します。理事(通常3名以上)や監事(1名以上)の構成が必要です。
  • 開設予定の診療所の概要:本院および分院(あれば)の名称、所在地、診療科目、施設概要などの資料。
  • 事業計画書・収支予算書:医療法人設立後の運営計画や5年間程度の収支見込みをまとめます。
  • 財産目録:医療法人に引き継ぐ資産・負債の一覧です。開業医個人で保有する医療機器や備品、未収金・借入金などを洗い出します。
  • 関係者の書類:院長先生(理事長予定者)や理事の印鑑証明書、医師免許証の写し、履歴書なども必要です。

以上は一例で、自治体によって様式や追加書類の指定があるため注意が必要です。提出スケジュールについては、各都道府県で年に数回申請受付期間が設けられている場合があります(例えば○月と○月に審査委員会開催など)。その期間に合わせて、少なくとも提出期限の2~3ヶ月前から書類準備に取り掛かると良いでしょう。認可までの期間は自治体により異なりますが、申請から概ね3ヶ月~半年程度で認可が下りるケースが多いです。早め早めの準備が成功の鍵です。

医療法人設立は、税理士や司法書士といった専門家と二人三脚で進めるのがおすすめです。一般的な設立の流れをステップごとに見てみましょう。

  1. 事前相談と計画立案:まずは税理士に相談し、法人化後の運営計画や出資金(資本金)の額、役員構成などを検討します。必要に応じて司法書士や行政書士(医療法人設立の手続きを代行する専門家)とも連携し、全体スケジュールを策定します。
  2. 設立認可申請の準備・提出:前述の必要書類一式を揃え、都道府県庁の担当部署(医務課など)に提出します。税理士が事業計画書の作成を支援し、司法書士や行政書士が定款や申請書類の体裁を整えることで、スムーズな申請が可能となります。提出後、審査期間中に担当者から追加資料の要請やヒアリングがある場合は、その対応も専門家と協力して行います。
  3. 設立認可の取得:都道府県知事から医療法人設立の認可書が交付されます。認可が下りたら、書類を受け取り次第、次のステップへ進みます。
  4. 法人設立登記:司法書士の出番です。認可書の交付日から原則2週間以内に法務局で医療法人の設立登記を行います。登記申請書、認可書、定款、就任承諾書などを添えて登記を完了させます。これで晴れて医療法人が成立します。
  5. 諸官庁への届出:法人設立後、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場、年金事務所などに対し、法人設立届、青色申告の承認申請、給与支払事務所の開設届、社会保険加入手続きなど一連の届出を行います。税理士がこれら税務関係の手続きを代行します。
  6. 事業の引継ぎ:個人で営んでいたクリニックの事業を、新しい医療法人に引き継ぎます。従業員の雇用契約やクリニックの資産・設備を医療法人に承継し、個人事業の廃業届出など必要な処理を行います。税理士が最後まで伴走し、漏れなく手続きを進めます。

以上のように、多岐にわたるステップがありますが、税理士と司法書士が役割分担しつつ密接に連携することで円滑な法人化が実現します。当事務所でも提携司法書士とのワンストップサービスにより、先生方の手間を最小限に抑えた医療法人設立支援を行っています。

医療法人化に際して必要な費用と、法人化前後の資金繰り管理についても把握しておきましょう。

まず費用面ですが、主なものは以下の通りです:

  • 設立登記関係費用:定款認証手数料(約5万円)などの法定費用が発生します。
  • 専門家報酬:税理士や司法書士、行政書士等に支払う報酬です。当事務所では低価格な顧問料体系で医療法人化支援サービスを提供しており、初期費用を抑える工夫をしております。相場観として、設立支援のトータル費用は数十万円程度が一般的ですが、内容に応じて変動します。
  • その他実費:印紙代や必要書類の取得費用(印鑑証明書・登記簿謄本代など)、郵送費等の細かな実費も計上されます。

次に資金繰り面では、法人化によってお金の流れが変わる点に注意が必要です。医療法人の設立時には、個人から法人へ出資金を払い込みます(この出資金は法人の資本金となります)。この出資金や個人から法人に引き継ぐ資産の評価額は、設立直後の法人の財政状態に反映されます。

また、法人化後は診療報酬や経費支払いの全てが法人名義の口座で行われるようになります。個人用の預金とビジネス用の預金を明確に分け、経理管理も会計ソフト上で法人用に一本化します。移行期には個人事業の期末納税や法人の運転資金確保などで一時的に資金需要が増える可能性があるため、あらかじめ十分な手元資金を用意しておきましょう。

さらに、開業当初に個人で借り入れた設備資金ローン等がある場合は、その債務を法人に引き継ぐ(法人で借り換える)か、個人で返済を続けるかを検討します。状況によっては金融機関との協議が必要になるでしょう。

このように法人化に伴って会計・財務面での変更点が多数ありますが、税理士が資金繰り表の作成支援やキャッシュフロー管理のアドバイスを行いますので、ご安心ください。当事務所は弥生会計等の導入支援も行っており、法人化後の会計・財務管理もスムーズに立ち上げられるようサポートいたします。

最後に、クリニックの法人化に関連するその他のトピックや制度について簡単に触れておきます。詳細は各トピックごとの専門ページで解説していますので、気になるものがありましたらご参照ください。

消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

個人開業の場合、青色申告によって65万円控除や専従者給与などの節税メリットが得られます。法人には青色申告控除こそありませんが、赤字の繰越期間が長い(最大10年)など法人独自のメリットがあります。個人と法人の節税制度の違いについては、別途比較記事をご参照ください。

青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

法人化前後では、税務調査でチェックされるポイントも若干変わります。例えば、家族給与の増減や個人から法人への資産引継ぎ処理などが注意点ですが、適切に処理していれば過度に心配する必要はありません。当事務所は税務調査対応にも強みがありますので、事前に懸念点をアドバイス可能です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

ここまで紹介した以外にも、クリニック経営には様々な節税対策があります。例えば、計画的な設備投資による減価償却の調整、生命保険や共済の活用、寄附金やふるさと納税の利用など多岐にわたります。大切なのはメリットとリスクを見極めて適切に選択することです。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

これから開業するドクターは、準備段階から将来的な法人化を視野に入れて計画を立てておくと良いでしょう。開業時の資金計画や収支シミュレーションに将来の法人化シナリオも組み込んでおくと、開業後の展開に備えやすくなります。当事務所では物件選びや資金調達支援と併せて、法人化を見据えた経営シミュレーションも提供しています。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

法人化によって得られる組織基盤や資金力を活かし、分院展開でクリニックを成長させる戦略もあります。複数の院を運営するには人員配置や収支管理など戦略的なマネジメントが必要ですが、税理士が財務シミュレーションや節税支援を行い、経営面から後押しします。法人化と分院展開のシナジーについては、関連ページで具体例を紹介しています。分院展開について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人化したクリニックであれば、院長先生の引退時の事業承継(後継者への引継ぎ)が比較的スムーズに行えます。そのためにも早めに後継ドクターを決め、理事就任のタイミングや引継ぎ計画を立てておきましょう。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

よくあるご質問

FAQ

医療法人にするとどんな節税メリットがありますか?

医療法人化により、法人税率の適用、所得分散による課税圧縮、退職金や社宅制度の活用など、個人開業では使えない多くの節税スキームを活用できます。当事務所では、法人化による節税効果を可視化するシミュレーションも行っています。

法人化にあたって、個人の借入や資産はどう扱われますか?

個人で開業している場合の借入金や資産は、法人設立時に医療法人へ「出資」または「譲渡」する形で引き継ぎます。借入はそのまま個人が返済するか、法人で借換・承継するかを検討する必要があります。税務・法務の観点からも事前の整理が重要です。

医療法人化のタイミングとして適切なのはいつですか?

一般的には年商8,000万円前後が一つの目安ですが、実際には利益水準、所得税率、今後の事業計画(分院展開・人材雇用)などによって変わります。当事務所では、資金繰り表や収支予測に基づいたタイミング診断を行っています。

法人化後の役員報酬の設定はどう決めればよいですか?

役員報酬は法人税と所得税のバランスを見て、最も税負担が軽くなる金額帯を設定するのが基本です。適切に設計しないと、法人にも個人にも余分な税金がかかるため、法人化とあわせて必ず専門家によるシミュレーションをおすすめします。

医療法人にすると社会保険の加入義務はどう変わりますか?

医療法人では原則として院長ご自身も厚生年金・健康保険に加入する必要があります。保険料負担が増えるケースもありますが、将来の年金受給額や従業員の雇用安定を考慮すると、法人化による長期的なメリットは大きいです。

社宅制度を導入すると本当に節税になりますか?

はい、医療法人が借上社宅制度を活用することで、法人が支払う家賃を経費にしつつ、院長先生個人の課税所得を減らすことが可能です。社宅規程の整備や適正賃料の設定など、実務には注意点がありますが、当事務所が丁寧にサポートいたします。

医療法人化すると退職金制度を導入できますか?

はい、法人化することで理事長や従業員に対する退職金制度の整備が可能になります。退職金は法人の損金(経費)にでき、受取側も優遇税制があるため、節税効果が非常に高い制度です。当事務所では退職金規程の作成支援も行っています。

開業からまだ1年未満ですが、法人化を検討するのは早すぎますか?

売上や利益が伸びてきている場合や今後の事業計画によっては、早期の法人化が有利になるケースもあります。特にスタッフの雇用や設備投資を予定しているなら、節税や資金調達面での恩恵を受けられる可能性が高いです。

法人化の手続きはどのように進めればいいですか?

医療法人化には都道府県への認可申請、定款作成、登記手続きなど複数のステップがあります。当事務所では司法書士と連携し、書類作成からスケジュール管理までワンストップで支援しています。初めての方でも安心してお任せいただけます。

法人化に必要な費用や初期コストはどのくらいですか?

登記費用、定款認証、専門家報酬などを含めて、一般的には数十万円程度です。当事務所では相場より低めの費用で対応可能ですので、詳細は無料相談でご確認ください。資金繰りへの影響もあわせてアドバイスいたします。

法人化後に消費税の扱いはどう変わりますか?

原則として保険診療は非課税ですが、自由診療や物品販売等の課税売上がある場合は消費税の納税義務が発生する可能性があります。
消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人化にすると自由診療にも影響がありますか?

自由診療(美容医療など)は課税対象になるため、消費税や収支管理の視点から法人化の影響は大きくなります。特にSNS集客や自由診療比率が高いクリニックでは、キャッシュフローや節税の計画を早めに立てることが重要です。

青色申告のメリットは法人化後も残りますか?

法人にも青色申告制度はありますが、個人事業主向けの65万円控除などは適用されません。法人は代わりに赤字の繰越や役員報酬・退職金の経費化など、別の節税策が活用できます。
青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

夫婦でクリニックを経営しています。法人化の際に役員にできますか?

はい、法人化により配偶者やご家族を役員や従業員として柔軟に登用できます。家族への給与支給による所得分散スキームも有効になりますので、法人化の大きな節税ポイントとなります。

節税対策として法人化を考えていますが、他にも手段はありますか?

はい、法人化は大きな節税策の一つですが、ほかにも保険の活用、設備投資、退職金積立、所得分散など様々な方法があります。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人の持分なし・ありの違いとは何ですか?

持分あり法人は出資額に応じて権利が認められ、将来的に相続税の課税対象になる場合があります。一方、持分なし法人は出資者の財産権が制限されますが、事業承継が円滑です。現在は「持分なし法人」が推奨される傾向にあります。

法人化後に税務調査が入りやすくなると聞きました。本当ですか?

医療法人だからといって調査頻度が極端に上がることはありませんが、法人化によって給与や取引が複雑になるためチェックされやすくなる側面はあります。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

法人化すると経理業務は難しくなりますか?

会計処理が個人事業よりは複雑になりますが、クラウド会計や丸投げプランを利用すれば手間を大幅に削減できます。当事務所では弥生会計をはじめとした主要ソフトにも対応しており、記帳から決算まで一貫してサポートいたします。

開業前から法人化を見据えるべき理由はありますか?

はい、開業時の資金調達や事業計画に法人化の選択肢を組み込んでおくと、将来的な節税・組織運営がスムーズです。開業支援と一体で法人化のアドバイスを行っております。開業支援について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人の理事構成にはどんな決まりがありますか?

原則として、理事3名以上(うち1名は理事長)、監事1名が必要です。家族経営の場合も要件を満たす形で構成する必要があります。当事務所では役員構成のアドバイスや書類整備もサポートいたします。

分院展開を考えていますが、法人化しておくべきですか?

分院を設ける際は基本的に法人格を持っている必要があります。また、資金調達・人材配置・信用力の面で有利です。法人化することで経営の柔軟性が高まります。分院展開について詳しくは下記のページをご覧ください。

退職金はいつから積み立てを始めるべきですか?

法人化直後から積み立てを始めるのが理想です。長期にわたり積み立てることで、税負担を抑えつつ、引退後の資金準備が可能になります。規程整備から積立シミュレーションまで当事務所が一貫してサポートいたします。

将来の事業承継を考えたとき、法人化は有利ですか?

はい、医療法人化することで後継者への理事長交代や資産承継がスムーズに行えます。持分なし法人なら相続税対策にも有効です。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

医療法人化後にスタッフの雇用形態を変える必要はありますか?

基本的には既存の雇用契約を法人と再契約する必要があります。雇用条件や労働保険の見直しも必要となるため、事前に社会保険労務士とも連携した対応をおすすめしています。当事務所でも必要に応じて専門家をご紹介可能です。

税務顧問を変更して法人化の相談をしたいのですが可能ですか?

はい、税理士の切り替えは可能です。当事務所ではクリニック専門の顧問税理士として法人化や節税に強みを持ち、全国からのご相談にもオンラインで対応可能です。

医療法人設立のために出資金はいくら必要ですか?

医療法人の出資金額に法的な下限はありませんが、運転資金や設備投資を見込んだ適正額を設定する必要があります。出資比率や持分の有無によっても将来のリスクが変わるため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

法人化後にM&Aを検討しています。事前にすべきことは?

医療法人はM&Aのスキームや評価方法が特殊です。事前に組織再編や持分整理、資産の見直しを行うことでスムーズな譲渡が可能になります。

医療法人設立の際、事業計画書はどこまで必要ですか?

都道府県の設立認可を得るためには、診療方針・収支予測・設備計画などを盛り込んだ事業計画書が必要です。当事務所では医業に特化した事業計画書の作成支援も行っておりますので、初めての方もご安心ください。

法人化後の資金繰りはどう管理すべきですか?

法人化により経費や人件費が増加する可能性があるため、資金繰り表を活用した月次管理が重要になります。税理士と連携してキャッシュフローの予測・調整を行いましょう。

オンラインだけで法人化支援を受けることは可能ですか?

はい、当事務所では全国対応の完全オンラインサポートが可能です。書類のやり取りから相談、進捗管理までWeb完結型で対応いたしますので、遠方の先生や多忙な方でも安心してご依頼いただけます。

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