初めての税務調査に不安な開業医の先生へ。初心者でも安心できる、税理士による伴走型サポートを全国対応でご提供します。
開業医・クリニック経営者専門の税理士法人加美税理士事務所による税務調査サポートサービス
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税務調査とは、税務署(国税庁の管轄)が企業や個人の申告内容を確認し、適切に納税が行われているかを調べることです。事業所得のある個人開業医も対象となり得ますが、すべての納税者が調査されるわけではありません。むしろ確率としては毎年ごく一部(開業医を含む個人事業主の場合およそ0.5〜1%程度と言われます)に過ぎませんが、万一に備えて心構えと対策をしておくことが大切です。
税務調査の根本目的は、不公平やミスのない公平な納税の実現にあります。法律の範囲内での正当な節税は問題ありませんが、現実には故意の脱税や経理ミス・申告誤りも起こり得ます。こうした不正や誤りを是正し、適正な申告納税を担保するのが税務調査の役割です。調査官は申告内容と帳簿・証憑を照らし合わせ、所得や経費が正しく計上されているか、法律に反する処理がないかをチェックします。つまり、税務調査は医療機関にとって「決算書の健康診断」のようなものと言えます。
税務調査には大きく分けて「任意調査」(一般的な税務調査)と「強制調査」(いわゆるマルサによる査察)があります。強制調査は悪質な脱税が強く疑われる場合に、裁判所の令状に基づき強制的に行われるもので、一種の刑事捜査です。現金の差押えや家宅捜索も伴う厳しい調査であり、開業医レベルで強制調査を受けるケースは極めて稀です。一般のクリニックで行われる税務調査のほとんどは「任意調査」になります。
任意調査は通常、事前に税務署から連絡があり日程調整を経て実施されます(後述するように正当な理由なく拒否はできません)。調査官が訪問して帳簿書類や経営状況のヒアリングを行い、申告内容を確認するものです。任意とはいえ法律上、税務署職員には質問検査権が認められており、納税者は正当な理由なく調査への協力を拒めないとされています。したがって「任意だから放っておいて良い」というものではなく、通常は誠実に対応する義務があります。もっとも、後述するように調査には納税者の権利も配慮されるべきであり、必要以上に委縮する必要もありません。
一見すると、保険診療が中心の医療機関は税務調査と無縁に思えるかもしれません。しかし実際には開業医・クリニックは税務調査の対象になりやすい職種の一つとされています。その背景には以下のような医療業界特有の事情があります。
- 保険診療収入と自費収入の混在: 保険診療報酬はレセプト(診療報酬明細書)で管理され、公的機関から入金されるため漏れにくい一方、自費診療(自由診療)や美容・健診、ワクチン接種、サプリ等の物販収入はクリニック側で正確に計上しないと申告漏れが発生しやすい傾向があります。税務署もこうした自費収入の計上漏れを重点的にチェックする傾向があります。
- 経費計上の特殊性: 医院には医薬品や衛生材料、医療機器など特殊な経費項目があります。また、往診用の車両や自宅併用クリニックの光熱費等、事業と私用の按分が必要なケースも多いです。税務署は同業他院の平均と比べて経費割合が異常に高くないか、個人的経費を計上していないかを注視します。特に開業医は他業種と比べ所得規模が大きく経費の額も大きくなりがちなため、経費科目の内容まで細かく調べられる傾向があります。
- 数年周期で定期的に実施: 特段の不正がなくとも、一定年数ごとに機械的に調査対象となるケースがあります。医療機関では「最後の税務調査から5年程度経過すると声がかかる」とも言われ、実際に「特に心当たりはないのに調査が来た」という事例も珍しくありません。したがって「うちは大丈夫」と油断せず、常に来訪し得るものと考えておく方が良いでしょう。
- 調査実施のタイミング: 一般に税務調査は確定申告後の夏〜冬にかけて集中的に行われます。税務署では毎年7月に人事異動があり、新体制が落ち着く8月頃から本格的にその年度の調査が進むのが通例です。個人クリニックの場合、申告(決算)月が3月のことが多いため、秋口〜年末に調査が入るケースが多いようです。調査は通常、直近の申告年度を含む過去3〜5年分を一度に確認します。
以上のように、医療業界でも税務調査は決して稀ではなく、「誰にでも(内容によらず)やって来るもの」と捉えておくことが大切です。税務調査=「何か悪いことをしたから来るもの」というイメージで過度に恐れる必要はありませんが、日頃から正しい申告・経理を心がけ、公平な税負担に協力している姿勢を持つことが信頼につながります。
ここからは、実際に税務調査の連絡を受けてから調査が完了するまでの一般的な流れを解説します。「ある日突然税務署の人が来て帳簿をひっくり返すのか?」と不安な先生も、具体的な進行を知れば心の準備ができるでしょう。
税務調査は通常、事前に税務署からの連絡(通知)があります。多くの場合は税務署職員から医院あて、または顧問税理士あてに電話がかかってきて、「◯月◯日に◯◯年度分の税務調査を行いたい」と打診されます。電話では以下のような情報が伝えられます。
- 調査の対象税目(所得税か法人税、消費税、源泉所得税など)と対象年度(通常は直近○年分)
- 調査に来る予定の日付とおおよその時間(初日は午前10時頃からが多いです)
- 調査に何日くらい要する見込みか(小規模なら1日、通常は2日間程度と案内される)
- 当日用意しておいてほしい資料の案内
《通知を受けたら》まず落ち着いて日程を確認しましょう。提示された日がクリニックの外来日で都合が悪い場合、日程の調整交渉は可能です。急なオペ日や学会出張等があるなら遠慮なく申し出て、できれば休診日や午後休診の日にあててもらうと良いでしょう(調査中はカルテ閲覧のため診察室やスタッフを一部使う可能性があり、診療と並行だと何かと支障が出ます)。税務署も無理強いはしませんので、「〇曜日は終日休診なのでその日でお願いします」など自院の都合を伝えて日程調整しましょう。
日程が決まったら、すぐにやるべきは事前準備です。もし顧問税理士がいる場合はただちに連絡し、事前打ち合わせの機会を作りましょう。税理士が税務署と日程打ち合わせしてくれる場合もあります。通知から調査日までは通常1〜2週間程度の猶予があります(場合によっては数日のこともあります)。その間に以下の準備を進めます。
- 必要書類の準備: 税務署から指示された資料を集めます。典型的には過去〇年分の申告書一式、決算書、総勘定元帳、補助元帳(売上帳や経費帳など)、預金通帳、領収書・請求書ファイル、給与台帳、固定資産台帳、棚卸表などです。個人医院なら所得税の確定申告書、医療法人なら法人税申告書・決算報告書類が該当します。普段から整理していれば難しくありませんが、もし領収書がバラバラになっているようなら科目ごと月別など調査官が見やすい形に整理しましょう。特に現金出納帳・預金通帳はつじつまチェックに使われるため要準備です。
- 自社データの再確認: 過去の申告書や決算内容を自分でもう一度確認しましょう。「そういえば一昨年は接待交際費が突出して多かったな」「昨年は機器を大量購入して特別償却を使ったな」等、調査官の視点になって気になる点を洗い出すことが大切です。事前に気づいた疑問点は、税理士と相談して説明シナリオを用意したり、関連資料を揃えておくと安心です。例えば交際費が多かった年はその内訳リストを用意する、機器購入について補助金利用があればその書類を用意する、といった具合です。
- 税理士との事前ミーティング: 税理士が立ち会ってくれる場合、事前打ち合わせで調査官への対応方針を共有します。想定問答を練習したり、弱点になりそうな箇所のフォロー方法を決めておくと良いでしょう。税理士不在でご自身のみ対応する場合も、可能ならスポットで税務調査に詳しい税理士に相談(セカンドオピニオン)しておくと心強いです。当税理士事務所でも税務調査前のワンポイント相談を受け付けています(詳細は後述)。
- 現場の整理: 調査当日に調査官が閲覧する可能性のある書類は事前に出しやすくしておきます。会計ソフトのデータを税理士事務所に預けているなら印刷物を用意してもらいましょう。また金庫やレジの中、棚卸在庫の置き場などもこの機会に点検し、帳簿残高と実物の不一致がないか確認します(古い薬剤の廃棄漏れがあれば処分記録を残す等)。カルテ等医療情報は基本調査対象ではありませんが、患者数や診療記録の裏付けとして質問されることもあります。必要最低限のカルテのみ閲覧許可を出すのが原則なので、医療秘匿情報の保護には十分配慮しましょう。
以上の準備を経て当日を迎えます。まとめると「通知→資料準備・内部確認→税理士と作戦会議→現場整理」という流れです。準備段階で不明点があれば税務署に事前質問することもできますが、基本的には税理士を通じて行う方がスマートでしょう。特に初めての税務調査では不安も大きいと思いますが、入念な準備こそ最大の防御策です。
いよいよ税務調査当日です。通常、調査官(国税調査官)は2名一組で来訪します。開始時間は午前10時前後が多く、まずは受付で身分証(調査官証)の提示があります。調査官は公務員証のような身分証明書を携帯していますので、必ず最初に提示を受けて氏名を確認しましょう(必要なら名刺ももらっておく)。そして院長先生や税理士と挨拶を交わし、調査がスタートします。
《初日の午前:オリエンテーションと概要ヒアリング》
調査官は調査の冒頭に「本日は◯年分の所得税(または法人税等)の調査で来ました。よろしくお願いします。」と簡単に趣旨説明をします。その後、まずクリニックの概況ヒアリングが行われるのが一般的です。典型的な質問としては:
- 医院の開業時期と経緯: 何年に開業し、現在〇年目か。分院がある場合はその開設時期。
- 診療科目と患者層: 内科クリニックなら主な診療内容、患者数の推移、1日平均来院数など。美容系なら主なメニュー等。
- 収入の種類: 保険診療収入と自費診療収入の割合、保険収入の入金サイクル(社保・国保から翌々月に振込等)や、自費は現金・カードどちらが多いか等。
- 経理体制: 会計ソフトは何を使っているか(弥生会計など)、記帳は誰がしているか(院長本人かスタッフか外部委託か)、月次で税理士チェックを受けているか。
- スタッフ体制: 従業員数(看護師◯名、受付◯名等)、家族は働いているか、役員(理事)が他にいるか。
- 設備資産: 医療機器や医院建物の所有関係(自前かリースか、建物は自己所有か賃貸か等)。
- その他: 最近大きな変化(増改築や新サービス導入など)はあったか、など。
こうした「事業のプロフィール」確認は、調査官が全体像を掴むために行います。リラックスして事実を答えましょう。雑談的に聞かれることもありますが、回答は簡潔かつ正確にが鉄則です。自信がない数字(「1日の患者数は…大体50人くらいですかね?」など)はあやふやに答えず、「平均50人程度ですが日により変動します」といった表現に留めるか、後で正確な資料を示すようにします。不用意に断定したり推測で答えることは避け、わからないことは「後ほど確認します」と保留するのも一つの手です。
《帳簿類のチェック:売上》
概況ヒアリングの後、具体的な帳簿の調査に入ります。調査官はまず売上の計上漏れがないかを重点的に調べます。医療機関特有の売上チェックとして以下が行われることがあります。
- レセプト件数との突合: 保険診療の場合、その期間のレセプト総点数に基づく診療報酬請求額が把握できます。調査官は国保連合会等から情報入手できる場合もありますが、クリニック側にレセプト件数や請求総額を尋ねることもあります。売上帳に記載された保険収入とレセプト請求額が概ね一致しているかを確認します(多少のズレは入金タイミングの関係で生じますが、大きな差異は未収金計上漏れ等の可能性があります)。特に年末時点の未収金(診療報酬の未収入金)の計上をきちんとしているかはチェックポイントです。例えば12月診療分の支払が翌2月になるケースで、未収計上を失念すると所得を過少計上してしまうため、指摘対象になります。
- 自由診療の領収書チェック: 美容医療や自費診療については、領収証や予約システムの記録と売上帳の整合が見られます。調査官は任意調査では基本的に患者個人名までは見ませんが、日計表やカルテIDベースで売上を抽出し、「この日の売上高に対し預金への入金額が少ないが現金手元残高はどう処理したか」といった質問をします。現金売上が多い場合、その管理方法(毎日銀行に入れているか、レジ金はどうしているか等)を聞かれるでしょう。例えばレジ現金が常に数十万円プールされていると、「多額な現金残があるが帳簿と合っているか」と問われます。現金商売では現金残高の突合作業も調査官が行うので、日々の現金出納帳が合っているか改めて確認されます。
- 特異な収入の漏れ確認: クリニック特有のその他収入、例えば交通事故診療(自賠責保険)の収入や健診の委託料、薬品メーカーからのリベート等があれば、その申告漏れがないか注目されます。こうした雑収入もきちんと帳簿に計上していれば問題ありませんが、「通帳には入金あるのに収入科目に計上されていない」なんてことがあると指摘は免れません。
調査官は売上原始資料(レセプト総括表や日報)から帳簿・申告書まで、一連の流れを辿って抜けがないか丁寧に見てきます。ここで一点、院長先生として注意したいのは「曖昧な返答をしない」「質問の意図を把握する」ことです。例えば「〇月の売上が他の月に比べ少ないのはなぜですか?」と聞かれた場合、単に8月でお盆休みがあったから減っただけかもしれません。その場合「お盆で休診日が多かったためです」と事実を答えれば十分です。決して「売上が少ないと怪しまれるかも…何か補填したと言うべき?」などと考え不要な発言をしないことです。質問の背景には何を疑っているのかを考え、心当たりがあれば素直に、特になければそのまま事実を答えます。税理士が立ち会っている場合は、このような質疑応答でフォローしてくれるので安心です。
《帳簿類のチェック:経費》
売上の確認が進んだら、次は経費項目のチェックに移ります。調査官は気になる費目から領収書や契約書類の提示を求めます。医療機関で指摘されやすい経費ポイントは例えば以下の通りです。
- 人件費(給与・専従者給与): 家族に給与を支払っている場合、その人の勤務実態や仕事内容について質問があります。「奥様に毎月20万円の給与を支払っていますが、主な担当業務は何ですか?」といった具合です。専従者給与(個人事業主の配偶者等への給与)は事前届出や金額の妥当性も見られますし、医療法人の役員給与は適正か、非常勤役員に高額報酬を支払っていないかなどもチェック対象です。実態のない給与や過大な役員報酬は経費否認になるため、説明できる根拠を用意しておきましょう。
- 貸倒れや未収金処理: 保険診療の未収金は通常確実に入金がありますが、自由診療で分割払い等にしていると貸倒リスクがあります。貸倒損失や引当金の計上があれば、その妥当性を詳しく聞かれます。また患者未収金の管理(督促状況など)について尋ねられることもあります。
- 減価償却資産: 医療機器や内装工事など高額資産の償却について、購入時の契約書・領収書を確認されたり、設置状況を目視されることがあります。例えば「今年導入のレントゲン装置(〇百万円)の設置場所を確認させてください」と調査官が診療スペースに入るケースもあります。架空計上がないかや、私物を計上していないかの確認です。もちろん実際に使っている設備なら何ら問題ありません。
- 地代家賃・水道光熱費: 自宅兼クリニックの場合、家事按分割合を質問されます。「全体延べ床○㎡のうち待合・診療部分は○㎡なので家事按分30%です」といった客観的説明ができると安心です。按分の根拠を示す資料(平面図など)があれば提出します。按分割合が不自然に高すぎると経費過大計上を疑われますので、誰が見ても納得できる基準かどうか再点検しましょう。
- 交際費・福利厚生費: クリニックの交際費は製薬会社や他院との付き合いなど少ないかもしれませんが、医局関連の会合費やスタッフ懇親会費用などが該当します。特に高額な接待飲食費があれば、その相手先や目的を聞かれます。「同業の先生との情報交換会食」「開業時に世話になった方との会食」等、正直に答えれば問題ありませんが、プライベートな飲食を経費計上していた場合は指摘を受けかねません。また、交際費に紛れて家族旅行の費用を研修名目で落としていないかなどもチェックされます。調査官は経費科目名だけでなく内容も見ますので、領収書の裏にでも参加者や目的をメモしておくと説明がスムーズです。
- 役員貸付金: 医療法人の貸借対照表に「役員貸付金」(理事長貸付金)が計上されていると、間違いなく質問を受けます。これは法人がお金を貸し付けている=社長(院長)が会社から金を引き出して返していない状態なので、税務上は好ましく見られません。「この貸付金はどういう経緯で発生しましたか?返済計画は?」と聞かれ、実質は役員への前払い報酬や私的流用ではないか確認されます。もし説明がつかない場合、貸付金が実態は役員への賞与と見なされ課税されたりします。心当たりがある場合は事前に税理士と是正策を相談しましょう。
このように、経費面では「事業と無関係な支出が紛れ込んでいないか」を主眼に調査が進みます。院長先生としては、経費一つひとつにどういう理由で使ったか説明できるよう、領収書やカレンダー予定を見ながら思い出せる準備をしておくと安心です。調査官も人間ですから、明らかに怪しい経費(例:家族旅行代を研修費と偽装など)がない限りは、きちんと説明すれば納得してくれるケースがほとんどです。逆に「えーと、この領収書何でしたっけね…」などと言葉に詰まると不審を招きます。普段から経費のメモを取る習慣がものを言います。
《実地の確認:現物・現場》
帳簿と書類の確認に加え、必要に応じて現物の確認も行われます。医療機関では以下のような場面があります。
- 現金の実査: レジや金庫の現金残高をその場で確認されることがあります。帳簿上の残高と合っていれば問題ありませんが、万一過不足があると理由を問われます。調査官が来る当日の朝時点で、一度現金残高を点検し帳簿と合わせておくと良いでしょう。
- 在庫の確認: 調査官によっては薬剤や衛生材料など在庫品の数量確認をすることがあります。これは棚卸資産の虚偽計上(架空在庫や過大在庫計上による利益調整)がないかを見るためです。医薬品庫や備品庫に案内し、「この在庫リストであっていますか?」と質問されることがあります。
- 設備・施設の確認: 前述の通り、高額資産が実在するか確認するため院内を一巡することもあります。また、自宅兼医院の場合でプライベート空間と診療所部分が明確に分かれているかを見ることもあります。調査官が勝手に住居スペースに踏み込むことはなく、あくまで任意の協力ベースですが、不必要な立ち入りはきっぱり断ることも可能です。基本は診療所エリアの確認に留まります。
以上、税務調査当日の流れとしては「質疑応答(ヒアリング)⇒帳簿類検証⇒(必要に応じて現場確認)」というイメージです。初日は概ねこれらで終日が過ぎます。調査官は必要に応じて領収書類のコピーを取ったり、メモを作成したりします。調査官同士でヒソヒソ相談していることもありますが、気にせずリラックスしてください。
《調査2日目以降》
小規模クリニックの場合、調査は1日で終わることもあります。法人で取引量が多かったり疑問点が多い場合は2日目が設定されます。2日目は初日に持ち帰った帳簿コピー等の精査結果をもとに追加質問があったり、初日で見きれなかった経費項目の確認などが行われます。例えば「交際費についてもう少し詳細を教えてください」「この貸付金の関連資料を見せてください」等のリクエストが出ます。用意できるものはすみやかに提示し、もしその場で回答が難しければ後日の提出でも構いません(提出期限はだいたい調査終了後1〜2週間以内を指定されます)。
調査日程が2日間でも、連日ではなく1週間空けて次回来訪ということもあります。その間に追加書類を準備しておくよう求められる場合もありますので、指示に従いましょう。
《調査官の態度や対応について》
任意調査の場合、基本的に調査官は礼儀正しく接してきます。しかし中には高圧的な物言いをする人や、医療の知識が乏しく的外れな質問をする人もいるかもしれません。そのような場合でも感情的にならず冷静に事実を説明してください。こちらが誠実に答えていれば、多くの調査官は理解を示してくれます。どうしても理不尽に感じる対応があれば、その場では波風立てず、後日税務署に設置されている「納税者支援調整官」などに相談する手もあります。ただ、ほとんどの場合は税理士が間に入って調整・軟着陸してくれますので、心配しすぎなくても大丈夫です。
すべての調査日程が終了すると、調査官は持ち帰った資料をまとめ、申告漏れや誤りがないか最終判断を行います。後日、税務署から「調査結果の連絡」があり、指摘事項があれば具体的に伝えられます。流れとしては:
- 問題なしの場合: 何も誤りが見つからなければ「申告内容に特に問題ありませんでした」と口頭または書面で伝えられます。令和元年の税制改正以降、法人税等の調査では申告是認(問題なし)だった場合に「更正等しない旨の通知書」を交付する取り扱いになっています。個人でも同様の運用があります。つまり「あなたの今回の申告は適正でしたよ」というお墨付きがもらえるわけで、これは納税者にとって安心材料です。もっとも、そこまで正式でなく口頭説明のみの場合もあります。
- 誤りがあった場合: 申告漏れ所得や過大経費など誤りが指摘された場合、その内容と修正すべき税額が示されます。例えば「交際費のうち〇〇円は個人的支出なので経費から除外します」「売上の計上漏れが△△円ありました」といった具合です。指摘に納得した場合、修正申告という形で訂正手続きを取ります。これは自主的に間違いを訂正して追加納税する手続きです。調査官から指摘を受けてから提出する修正申告でも、形式上は納税者の自主訂正という扱いになります。修正申告書の作成は税理士がいれば代行してくれますし、いなければ税務署が書き方を指導してくれます。
- 追加の税額とペナルティ: 修正申告をすると、不足税額に加えて過少申告加算税というペナルティ税が課されます(期限後申告や無申告だった場合は無申告加算税)。過少申告加算税は原則10%ですが、修正で納める税額が当初申告の不足分としてかなり大きい場合(50万円超でその不足割合が当初申告税額の10%超の場合)は15%に引き上げられます。また、調査官に指摘される前に自主的に修正申告した場合は加算税が5%軽減されます。逆に悪質な隠蔽・仮装があった場合は重加算税35〜40%と非常に重いものになります。よほどの故意的脱税でない限り重加算税は適用されませんが、もし交際費を架空名義で落としていた、売上を意図的に抜いて二重帳簿を作っていた等がバレれば重加算となります。加算税のほか、不足税額に対しては本来納付期限からの延滞税(年利概ね14.6%※日割)もかかります。したがって指摘事項に該当する税額が大きいほど、追徴税額(本税+加算税+延滞税)は高額になります。3年分まとめて修正すると何十万円〜何百万円になるケースもあります。
- 納得できない場合: 指摘にどうしても納得がいかない場合、調査担当者と再度協議することも可能です。税理士を通じて主張や追加資料を提出し、見解の相違を埋められないか試みます。それでも平行線なら、税務署側は「更正決定」(税務署が一方的に訂正する処分)を行い、納税者には更正通知書が届きます。その場合、納税者は不服があれば異議申立てや審査請求といった行政救済手段を取ることになります。もっとも、一般的な範囲の指摘事項でここまで争うケースは稀です。コストや時間もかかるため、現実には税理士と相談し「多少不本意でも修正申告して終わらせる」判断をすることが多いです。異議申立てなどは税理士や税務訴訟に強い弁護士の助力が必要になるため、その道の専門家に任せましょう。
《税務調査の終了》
修正申告書を提出し追加税額を納付すれば、ひとまず今回の税務調査は完了です。税務署からは「是正事項についてご協力ありがとうございました。今後お気をつけください。」などと講評がある程度で、正式な「完了通知書」が来るわけではありません(是認だった場合は前述の通知があるくらいです)。したがって、修正申告をもって一連の手続き終了と考えてよいでしょう。
《調査後にやるべきこと》
税務調査が終わったらホッとするのは当然ですが、指摘を受けた点は今後繰り返さないよう改善が必要です。例えば家事按分について指摘を受けたなら、今後は合理的な按分根拠を記録しておく、交際費の判定に迷ったら税理士に相談する、など再発防止策を講じましょう。税務署は次回調査の際、前回指摘事項がどう改善されたか必ず見てきます。同じミスを繰り返すと心証が悪くなるので、税務リテラシーを高めるチャンスと捉えてください。また、この機会に改めて月次での帳簿チェックや税理士とのコミュニケーションの重要性も実感できたと思います。調査後のフォローについては後述する税理士サポートの項で詳しく述べますが、今回の経験を今後の経営に是非活かしてください。
税務調査は数年に一度あるかないかですが、日頃の備えがいざという時の明暗を分けます。ここでは開業医の先生が日常的に実践できる税務調査への備えを紹介します。いずれも特別なことではなく、経営者として当然の心掛けですが、これらをコツコツ続けていれば調査が来ても怖くありません。
「帳簿はウソをつかない」──税務調査で一番の味方になってくれるのは、きちんと整備された日々の帳簿と証憑類です。日常業務がお忙しい中でも、以下の基本を押さえておきましょう。
- 会計ソフトでこまめに記帳: 手書き帳簿の時代と違い、今は弥生会計やfreee(フリー)など便利な会計ソフトがあります。銀行明細やクレジットカード明細を自動取込できる機能も活用し、日々または少なくとも月次で記帳を行います。【「レセプト収入の入力漏れ」「経費の科目付けミス」】などは月内に見直せばすぐ修正できますが、年末にまとめて記帳するスタイルだと記憶も曖昧でミスが放置されがちです。「忙しくて入力が…」という場合は記帳代行サービスやスタッフへの権限委譲も検討しましょう。税務調査では3〜5年前の帳簿も見られます。月次できちんと締められた帳簿なら過去を遡っても不備がなく、調査官からの信頼度が高まります。
- 領収書・請求書類の保存と整理: 医院運営では多くの領収書(レシート)や請求書が発生しますが、必ず保管しましょう。税法では原則7年間の保存義務があります。クリアファイルに月別・科目別に綴ったり、スキャンして電子データ保存するのも良いでしょう(電子帳簿保存法の要件に注意)。特に飲食を伴う交際費は領収書裏に参加者氏名・目的をメモ、医療機器購入や工事代金の請求書は契約書とセットでクリアファイルに、という具合に第三者が見ても分かる整理を心掛けます。調査では数年前の領収書について質問されることもありますが、整理されていればその場で提示して説明できます。逆に「領収書を捨ててしまった」は通用しませんし、最悪経費否認の憂き目に遭います。
- 現金管理の徹底: 現金商売部分がある医院では、現金の動きを明朗にしておくことが重要です。日々の現金売上はできるだけ早く銀行に預け入れ、長期間クリニック内に多額の現金を置かないようにします。日計表や出納帳で毎日の収入現金・支出現金・残高を把握し、定期的に実残高と帳簿を照合しましょう。現金過不足が出た場合はその理由をメモに残します。税務調査では「何月何日の終業時現金はいくら?」というレベルまで細かくは見ないものの、年末残高や概ねの現金推移には目を通します。ここが整合していれば、売上漏れや着服がないことの裏付けになるのです。
- 銀行口座の事業専用化: 法人口座と院長個人の口座は明確に分け、事業用支出は極力事業用口座・事業用クレジットカードを使うようにします。個人事業の先生も、プライベートと事業のお金は分けましょう。調査では通帳コピーも分析され、プライベート入出金が頻繁に混じるとややこしくなります。事業と無関係なお金が入ってくる場合(相続や個人の不動産収入など)は説明できるよう印を付けておくと親切です。
- 青色申告特典のフル活用: 青色申告者は正規の簿記(複式簿記)により帳簿作成・申告することが求められますが、その分税務上のメリットがあります。赤字の繰越控除や、30万円未満の少額減価償却資産の即時経費処理、事業専従者給与の必要経費算入などです。これら特典を受けている場合、税務調査でも帳簿の整備状況を重点チェックされます。いいかえれば、「青色申告の恩恵を受けている以上、ちゃんと経理していますよね?」という目で見られるということです。日頃から帳簿・書類の整備に努め、胸を張って青色申告の信頼に応えましょう。
以上のように、毎日の経理を丁寧に行うことが最大の調査対策です。経理ソフトの入力から証憑整理まで「月次できっちり締める」ことを習慣化すれば、数年後に税務署が来ても何一つ怖がる必要はありません。もし自力で難しければ、医療業界に強い税理士や会計事務所に顧問を委託するのも賢明です。最近ではオンラインでクラウド会計データを共有し、遠隔で記帳チェックや決算対応してくれる事務所も増えています。当税理士事務所ではfreee会計や弥生会計などの会計ソフトにも対応できるよう、体制を整備してあります。
開業医の先生方の中には、少しでも手元に残るお金を増やそうと様々な節税策を講じている方も多いでしょう。適切な節税は経営努力の一環ですが、中には税務調査で否認されてしまう節税スキームも存在します。税務署が「行き過ぎた租税回避」と判断するケースをいくつか挙げます。
- MS法人スキームの濫用: 医療法人がMS法人(メディカルサービス法人)を設立し、受付業務や物品販売をその法人に切り離すケースがあります。本来は経営効率化目的ですが、極端な例では医療法人からMS法人へ過大な管理料を支払い、医療法人の利益を意図的に圧縮する手法が問題視されます。取引価格に合理性がない場合、税務調査で否認されるリスクがあります。実際、「MS法人には人員も設備もなく実態がない」「医療法人とMS法人の取引が名ばかりで利益移転の手段に過ぎない」と判断され、経費否認された事例もあります。もしMS法人を活用するなら、業務実態と対価のバランスを常に検証し、不自然な資金移動になっていないかチェックが必要です。
- 家族への過大な給与・外部委託費: 前述したように、家族従業員や関連者への支払いが不相応に高額だと調査で指摘されます。例えば、何もしていない親族を「顧問」と称して高額報酬を払う、実在しない従業員に給与を払う(架空人件費)などは明確な不正です。また、例えば院長の個人所有不動産を医院が借りている場合、市価とかけ離れた高額家賃を支払っていると「家族内で所得分散を図っただけ」とみなされ、超過部分は経費否認となり得ます。同族間取引は第三者基準を常に意識し、行き過ぎた利益移転スキームは採用しないことです。
- 生命保険・退職金スキーム: 法人であれば、役員退職金の損金算入や法人契約の高額生命保険による節税策もあります。これ自体は合法ですが、過去には高額な節税保険(支払保険料の大半が損金算入でき後に解約返戻金を受け取るタイプ)が問題となり、税制改正で封じられました。調査でも、保険料を利用した利益操作がないか確認されます。同様に、院長の退任間際に異常に高額な役員退職金を計上した場合も、「功績倍率」等の基準から大きく逸脱すると一部否認されるケースがあります。税制趣旨を逸脱した過度の節税策は結局認められないと心得ましょう。
- 経費水増し・架空計上: 節税のために実際より経費を多く見せる行為は当然違法です。典型例はプライベート旅行を研修扱いにする、家族の食事を接待費にする、個人の車や自宅の費用を事業経費に紛れ込ませるなどです。調査では領収書からそれらは見抜かれますし、交際費や旅費の日程を聞かれて答えに窮すれば不正が露呈します。「バレなきゃいい」式の経費水増しは重加算税のリスクもあります。正当な範囲の経費計上に留め、私的費用は潔く自己負担しましょう。
- 申告漏れギリギリを狙う行為: よく聞く話に「課税売上高が1,000万円を超えると消費税がかかるから、少し抑えて999万円にしておこう」というものがあります。しかし、課税売上高が毎年1,000万円ギリギリだと税務署も疑念を抱きます。「恣意的に売上を調整していないか?」と見られ、場合によっては期ずれ計上などの不正が疑われて調査対象となり得ます。実際に毎年偶然ギリギリだっただけでも、目をつけられる可能性があるので、あまり意味のない小手先の調整はやめましょう。医業収入は季節変動や患者動向で上下するものですから、売上を意図的に抑えるより、むしろ伸ばして正々堂々納税した方が健全です。
以上、調査で否認される節税とは「度が過ぎたもの」です。逆に言えば、真っ当な節税策(青色申告特典の活用、法人化による税率引下げ、生命保険の範囲内活用、設備投資による特別償却など)は何ら問題ありません。税務署も違法でない行為まで否定しませんし、納税者には法律の範囲で節税策を講じる権利があります。大切なのは、節税と脱税・租税回避の線引きを理解することです。「これはグレーかな?」と感じるスキームは自分だけで判断せず、必ず税理士に相談しましょう。巷の噂話に飛びついて独自策を実行するのが一番危険です。税務調査ではプロの目でチェックされますので、胸を張って説明できないようなスキームには手を出さないことが肝要です。※より詳しい節税対策については下記のページをご覧ください。
税務調査において、税理士の立会いがあるかないかは心強さに大きな差が出ます。ここでは税理士が提供する税務調査サポートの内容と、そのメリット、さらに当税理士事務所の特徴的なサポート事例をご紹介します。
前述のとおり、税理士がいる場合は税務調査の通知が来た段階で即座に連絡し、事前対策がスタートします。税理士が行うサポートは大きく分けて以下のフェーズにわたります。
- 事前対策(プレ調査準備): 税理士は過去の決算書・申告内容を精査し、調査でポイントになりそうな箇所を洗い出します。例えば売上と預金入金の突合、経費科目の高額項目、在庫・固定資産明細の整合性チェックなどを行います。必要に応じて修正申告や訂正を事前に提案する場合もあります(明らかなミスが判明した場合など)。また、院長先生へのヒアリングを通じて想定される質問事項と回答案を準備します。「この経費はどう説明しましょう」「家族給与の役割を整理しましょう」等、当日の受け答えをリハーサルするイメージです。さらに調査当日に提出すべき書類の準備も税理士がチェックリストを作ってサポートします。不備があれば事前に補完し、万全の態勢で当日を迎えられるよう導きます。
- 調査立ち会い(当日サポート): 調査当日は税理士がクリニックに同行し、調査官と納税者の間に立って交渉・対応します。具体的には、調査官からの質問に対し院長に代わって税務的観点から回答したり、専門用語の説明を補ったりします。調査官が帳簿をチェックしている間、税理士はその様子を観察し、調査官の関心事項を読み取ります。もし調査官が誤解しているような点があれば、その場で訂正・解説することもあります(例:「これはこういう特殊な医療控除なので問題ありません」と説明するなど)。また、調査官が要求する資料について提出範囲をコントロールする役割も果たします。納税者に不利益になりかねない不要な資料提供は、税理士がやんわりと制限します。質問への回答に困った際も税理士がフォローし、「後ほど正式に回答いたしますので少々お待ちください」と場を収めることができます。調査官とのやりとりは緊張しますが、税理士が緩衝材となることで院長先生は平常心を保ちやすくなります。
- 税務署対応(交渉・主張): 税務調査では意見の相違が出ることもあります。そうした際、税理士は納税者の立場で論理武装して税務署と交渉します。例えば「この経費は業務関連性が薄いので否認」と言われた場合、税理士は法令や判例を踏まえて「業務関連性が認められた事例もあります」「必要経費の範囲として妥当です」と主張し、調査官に再考を促します。税理士は税法の専門家ですから、調査官もむやみに突っぱねず議論に応じます。結果、当初の指摘が撤回・軽減されるケースもあります。また、税額計算や加算税の適用可否など技術的な点も税理士がしっかりチェックします。税理士がいれば、納税者一人では難しい専門的な主張も可能となり、不利な追徴課税を防げる可能性が高まります。
- 調査後フォロー: 調査終了後、税理士は修正申告書の作成や追徴税額の試算、分割納付の手続き相談など、事後の手続きもサポートします。指摘事項を受けて今後の経理処理の改善策も提案してくれます。調査官への追加資料提出や問い合わせ対応も、税理士が窓口になってくれるので安心です。いわば最後まで伴走し、調査によるダメージを最小限にとどめる役割を果たします。
このように、税理士の税務調査サポートは「事前準備」→「当日対応」→「事後処理」までフルカバーしています。初めて調査を迎える院長先生にとって、経験豊富な税理士の存在は百人力です。「何を聞かれても税理士がフォローしてくれる」という安心感は精神的余裕を生み、結果として冷静で的確な対応につながります。税理士なしで臨むと、調査官の質問意図を誤解して不用意な発言をしてしまったり、指摘に過剰反応して揉めてしまったりするリスクがあります。税務のプロがそばにいることで、調査官とのコミュニケーションも円滑になり、スムーズに調査が終えられるのです。
では、いざという時頼りになる「税務調査に強い税理士」とはどんな税理士でしょうか。顧問税理士を選任・変更する際は以下のポイントに留意すると良いでしょう。
- 医療業界の専門知識: クリニックの税務に明るい税理士を選ぶことは大前提です。医療業界特有の論点(保険収入の未収計上、医療法人の非営利性に基づく留意点、消費税の扱いなど)を理解していない税理士では、適切なアドバイスができませんし調査対応も心許ないです。医療専門の税理士事務所や、医療クライアントの実績が豊富な税理士を選びましょう。「医科・歯科に強い」「○件以上の医療顧問実績」などを打ち出している事務所は安心材料です。ただし実績誇張には注意し、面談で具体的な経験談を聞くと良いでしょう。
- 税務調査対応の経験: 税務調査は実践経験がものを言います。経験豊富な税理士ほど調査官の心理や対応のコツを知っており、冷静に交渉できます。「過去にどれくらい税務調査立会いを経験していますか?」と尋ねてみても良いでしょう。中には元国税調査官の肩書きを持つ税理士もいます。必ずしも元調査官である必要はありませんが、そのような経歴の税理士は税務署側の論理も熟知しており、調査で有利に働くケースがあります。要は、税務調査を数多くこなしてきた“場慣れ”した税理士が望ましいということです。
- 交渉力・説明力: 調査官と堂々と渡り合える税理士かどうかも大切です。税務署からの指摘に何でも唯々諾々と従うだけではなく、おかしいと思ったら根拠を示して反論できる気概があるかどうか。逆に、税務署の言い分が正しい場合にはそれを柔らかく納税者に伝える調整力も必要です。また、院長先生への説明も分かりやすく丁寧であることが望ましいです。専門用語ばかり並べるのではなく、「それは法律上こういう理由で難しいです」「これは主張すれば通る可能性があります」といった具合に平易な言葉でコミュニケーションしてくれる税理士が信頼できます。
- 迅速なレスポンス: 税務調査の連絡は突然来ます。その際にすぐ捕まらない税理士では不安です。連絡したら早急に対応してくれる機動力も重要なポイントです。日頃からレスポンスが遅い税理士だと、調査対応も後手に回りがちです。メールや電話の対応速度、事前打ち合わせの日程調整の柔軟さなどをチェックしましょう。特に医療機関は診療時間が読みにくいので、夜間や土日の問い合わせにも対応できる体制だと安心です。
- 全国対応・IT活用: 現在ではオンライン会議やクラウド会計で遠隔地の税理士とも十分連携できます。もし地域に希望の専門税理士がいない場合、全国対応可能な税理士事務所を視野に入れるのも手です。当税理士事務所も含め、フルリモートで税務顧問・調査立会いを行う事例も増えています(次項で事例紹介)。ITツールに明るい税理士はDX時代の医療経営にもマッチするでしょう。
- 相性と信頼感: 最終的には人と人との相性も無視できません。税務調査はある意味センシティブな場ですから、税理士と院長先生の信頼関係が何より重要です。話しにくい雰囲気の税理士には相談事項も相談しづらく、結果コミュニケーション不足になりがちです。何でも気軽に聞ける人柄かどうか、これは実際に会ってみて肌で感じるしかありません。最初の面談やお試し相談を活用し、「この先生になら任せられる」という直感を大切にしてください。
以上を踏まえ、税務調査に強い税理士=医療に詳しく経験豊富で、交渉上手かつ機動力があり、信頼できる人物ということになります。欲張りな条件に思えますが、クリニック経営において良きパートナーとなる税理士選びは極めて重要です。ぜひ時間をかけてでも適任者を見つけ、長く付き合っていくことをお勧めします。当税理士事務所でも、初回無料相談等を通じて相性を確かめていただければ幸いです。
クリニックの院長先生にとって、税務調査は避けて通れないイベントですが、診療科目ごとに収入構造や経費の特徴が異なるため、注意すべき税務上のポイントも変わってきます。当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)は医療業界に特化した税務サポート体制を整えており、各科目ごとの論点に対するノウハウを蓄積しています。以下では内科、小児科、外科、整形外科、耳鼻科、耳鼻咽喉科、眼科、産婦人科、精神科、心療内科、泌尿器科、歯科、矯正歯科の順に、税務調査で特に注意すべき点を税理士の視点から解説します。それぞれの科目で典型的な保険診療と自費診療の割合、経費構造、医療機器や人員体制の違い、そして税務調査で指摘されやすいポイントについて触れていきます。
なお、文中の専門用語にはできるだけ補足説明を添え、わかりやすくお伝えします。私たちもフルリモート対応で全国のクリニックをサポートしておりますので、「近くに医療に強い税理士がいない」「税務調査が不安」という先生もご安心ください。税務調査の立会いや事前対策も柔軟に対応可能です。それでは、診療科目ごとの税務調査の留意点を見ていきましょう。
収入構造と保険・自費の割合: 内科クリニックの場合、多くは保険診療が収入の大半を占めます。一般的な風邪や生活習慣病の治療など、毎日の診療収入のほとんどが健康保険から支払われる診療報酬です。一方で、内科でもインフルエンザ予防接種や健康診断(人間ドックや市区町村の健診)など自由診療(保険外診療)の収入が一定程度発生します。保険診療収入はレセプト(診療報酬明細書)に基づき国保連合会等から入金されるため漏れにくいですが、予防接種の収入管理には注意が必要です。例えばインフルエンザワクチン接種では、問診票の枚数や使用したワクチンの本数から「本来あるべき売上」を税務署が推計し、帳簿上の売上と突き合わせることがあります。また、市区町村から委託を受けた特定健診などは後日自治体から振り込まれるため、未収金(後日入金される売上)の計上漏れにも要注意です。自治体ごとに入金タイミングが異なるため、年末時点での未収金を計上し忘れると申告漏れとみなされかねません(未収金とは、サービス提供済みでまだ入金されていない売上のことです)。
経費構造と設備・人員: 内科は基本的に投薬や検査中心で、外科的処置が少ない分、高額な医療機器は少なめです。ただし最近はエコー(超音波検査装置)や内視鏡などを導入する内科もあります。経費としては看護師や受付スタッフの人件費、院内で使用する医薬品・衛生材料費が中心です。院長先生自身が往診(在宅医療)を行う場合は往診用の自動車関連費用も発生します。自家用車を往診に使っている場合は、プライベート利用分との家事按分(仕事用と私用に分けること)比率を適切に設定しないと、経費の過大計上を指摘される可能性があります。例えばガソリン代や車両減価償却費(車の購入費を数年に分けて経費計上すること)について「事業利用○%、私用○%」と合理的に按分し、根拠を示せるようにしておきましょう。
税務調査での指摘ポイント: 内科特有の論点としてまず挙がるのが予防接種収入の計上漏れです。「予防接種の件数×料金」と実際の収入額を調査官が照合し、差異があれば問いただされます。例えば独自に自費で行っているワクチン(インフルエンザ以外にも健診オプションの血液検査や栄養注射等)があれば、その現金売上を正確に記録しているか確認されます。領収証控えや予約リストと売上帳の付き合わせが行われ、「○月○日の予防接種件数に対し、預金入金額が少ないが現金はどこにあるか?」といった質問を受けることもあります。現金収入が多い場合、毎日の現金の管理方法(都度銀行入金しているか、金庫にいくら保管しているか等)を説明できるようにしましょう。また、年末時点での診療報酬の未収入金(例:12月診療分の社会保険診療報酬が翌2月入金になるもの)の計上漏れは定番のチェック項目です。この未収入金を計上し忘れすると利益を少なく見せてしまうため、必ず決算時に把握しておきましょう。
さらに、内科では院長先生のご家族が受付などを手伝っているケースもあります。専従者給与(個人事業の院長が配偶者や親族に支払う給与)は税務上の届出や適正金額の要件があります。調査では「奥様に毎月◯万円支払っているが、実際どんな仕事を?」と勤務実態を確認されます。名目だけで高額な給与を計上していると経費否認(税務上経費と認めないこと)のリスクがありますので、家族であってもしっかり働いてもらい、仕事内容を説明できるようにしておきましょう。
税理士によるサポート: 内科クリニックの経理は一見シンプルですが、上述のようにワクチン収入や未収金管理など細かな論点が潜んでいます。医療業界に強い税理士であれば、日頃から月次決算をレビューする中で「予防接種の収入計上は大丈夫ですか?」などと先回りしてチェックします。当税理士事務所でもオンライン会議等で毎月サポート可能です。税務調査本番でも、内科特有のポイントを熟知した税理士が立ち会えば、調査官の質問意図を汲み取り適切にフォローできます。遠方の先生でもフルリモートで税務調査に立ち会い可能ですので、顧問税理士が不在で不安な場合はぜひご相談ください。
収入構造と保険・自費の割合: 小児科クリニックでは、日々の診療収入の多くは保険診療によるものです。小児科患者は乳幼児から中学生まで幅広いですが、小児医療費助成制度により子どもの自己負担分が無料または低額になる地域も多く、実際には親御さんから現金をもらわずに診療するケースが多数あります。その場合、クリニックは後日自治体に医療費を請求し、公費負担金として収入を得ます。これに加え、小児科特有の収入として予防接種(定期接種・任意接種)や乳幼児健診があります。予防接種の一部は公費負担(例:定期接種は自治体が費用負担)であり、健診も自治体の補助券利用があれば後日まとめて自治体から振り込みとなります。自由診療(保険外)の割合は小児科では高くありませんが、予防接種や健診など保険以外の収入が一定ある点が特徴です。
経費構造と設備・人員: 小児科は内科に似て大きな医療機器は多くありませんが、ワクチンの在庫管理が他科より重要です。インフルエンザや水痘、おたふくかぜワクチン等を冷蔵庫にストックし、シーズンに備える必要があります。未使用ワクチンの本数や在庫額も決算時に棚卸資産として計上します。また、待合室のおもちゃやキッズスペースの整備など、小児科特有の備品費もあります(税務上は少額減価償却資産や消耗品費として計上)。人員面では看護師や受付スタッフに加え、子どもの対応に慣れたスタッフ配置が求められるでしょう。経費全体で見ると人件費、ワクチン等医薬品の仕入、衛生材料費が主な項目です。
税務調査での指摘ポイント: 小児科で特に注意すべきは予防接種収入と公費負担金の未収計上です。予防接種は任意接種(インフルエンザ等)なら全額自費、定期接種(ヒブワクチン等)は公費負担ですが、いずれにせよ接種記録と売上計上の整合性が調査官にチェックされます。「〇月に〇人に予防接種を実施しているが、その月の自費収入と公費請求額は合っていますか?」といった具合です。小児科では自治体からの振込収入が多く発生しますので、入金タイミングのズレによる計上漏れがないかも見られます。例えば子ども医療費助成による自治体からの受取額や、乳幼児健診の委託料など、サービス提供済みで未入金のものは正しく未収金計上する必要があります。
また、小児科は季節変動が大きく、夏場に患者数が減ったり冬に増えたりします。「8月の売上が他の月より極端に少ないのはなぜか?」と尋ねられることもありますが、素直に「お盆休みで休診日が多かったためです」と事実を答えれば問題ありません。税務署は売上の凸凹から申告漏れを疑うことがありますが、心当たりが正当な理由であればきちんと説明しましょう。不要に取り繕ったり憶測で答える必要はありません。特に小児科は流行疾患の有無で売上変動しやすいので、その年のインフルエンザ流行状況なども説明できると良いでしょう。
ワクチン在庫と経費計上: 調査ではクリニックに保管中のワクチン在庫本数を確認される場合もあります。これは、架空在庫や過大経費の計上がないか調べるためです。例えば「今年度末にインフルエンザワクチンが○本残っているとのことだが、棚卸表はありますか?」といった質問です。適切に棚卸資産として計上し、無駄に廃棄した分が経費に入っていないかなども確認されます。小児科は比較的在庫品目が少ないですが、ワクチンや検査キットなどについて年末在庫を把握しておきましょう。
税理士によるサポート: 小児科の税務調査でポイントになる予防接種や公費収入の管理について、当税理士事務所でもノウハウを蓄積しています。「ワクチン接種の件数と収入額のチェック」「自治体からの振込予定リストと売上計上の突合」など、日頃から確認しておくべき事項を税理士がアドバイス可能です。特に小児科は領収証の発行先が保護者や自治体になるケースがあり複雑ですが、税理士がいれば整理して帳簿付けできます。税務調査当日も、私たち税理士が立ち会いサポートすることで調査官への説明もスムーズに進みます。小児科の税務調査に強い税理士とタッグを組み、安心して本業の診療に専念しましょう。
収入構造と保険・自費の割合: 外科系クリニック(一般外科)では、外来手術や処置の多くが保険適用されるため保険診療収入が中心です。例えば傷の縫合や皮膚のできもの摘出、痔の治療などは保険診療として行われ、患者さんの窓口負担と診療報酬請求により収入計上されます。ただし外科の場合でも、美容目的の小手術や先進的治療で保険適用外のものを扱うケースがあります。たとえば、単に見た目のためのほくろ除去・イボ取り、美容目的のシミ除去(皮膚科領域ですが外科で扱うことも)などは自由診療となり、その収入は全額患者負担です。また、胃カメラや大腸カメラの検診的な実施を行う外科クリニックでは、それら検査が自費扱いになる場合もあります。一般外科は自費割合は多くありませんが、ゼロではない点に留意が必要です。
経費構造と設備・人員: 外科クリニックは処置や手術が行えるよう処置室や簡易手術室を備えていることが多く、無影灯(手術ライト)や心電図モニター、救急カートなどの設備があります。大がかりな手術器械(内視鏡システムや高周波メス等)を導入している場合、その減価償却資産としての計上・償却を正しく行うことが大切です。調査官は高額な医療機器について「本当に事業で使われているか(私的流用や架空計上でないか)」を確認するため現物を見ることがあります。例えば「昨年購入した〇百万円の手術用機器を見せてください」と院内を確認されることもあります。経費面では手術用の縫合糸や麻酔薬、ディスポ手袋など衛生材料費がかさむ傾向があります。スタッフは看護師のほか、処置介助のための人員配置が必要で、人件費割合は高めです。
税務調査での指摘ポイント: 外科クリニックで調査官が注目するのは、自由診療収入の漏れ防止と手術記録と収入の突合です。保険診療部分はレセプト総点数から理論値を出せるため比較的チェックしやすいですが、自由診療はクリニック側の記録頼りです。そのため、調査では手術予定表やカルテ記載から自費手術の有無を確認し、該当する収入が帳簿に計上されているかを見ます。「○月○日に美容目的のほくろ除去術を何件か行っていますが、その日の自由診療売上はいくらですか?」という具合に、スケジュールと売上帳の照合作業が行われることがあります。オペ件数に比べ売上が少ない場合、「一部収入の計上漏れがないか」深堀りされますので注意しましょう。
また、交通事故患者の治療を行った場合の自賠責保険収入や、労災患者の治療費収入についてもタイミングに注意です。整形外科ほど件数は多くないかもしれませんが、外科でも交通事故の傷の処置などをすれば自賠責保険から後日まとめて入金があります。これも未収金として計上時期を管理しないといけません。税務署は他機関から自賠責や労災の支払情報を得られる場合があるため、入金されているのに申告漏れという事態は避けなければなりません。加えて、自賠責保険の入金には診断書作成料など文書料(患者への証明書類発行手数料)が含まれることがあります。医療行為ではない文書料は消費税課税の対象ですので、クリニックが消費税の課税事業者であれば、その区分経理も正しく行っているかチェックされます。
税理士によるサポート: 外科領域は保険・自費の混在や、場合によっては先進医療的なメニューの導入もあり得るため、税務処理が複雑になりがちです。私たち税理士法人加美税理士事務所では、そうした外科クリニック特有の収入管理についても対応ノウハウを持っています。例えば手術ごとの収入計上のタイミングや、未収金の整理、消費税区分の判断など、事前に適切に処理することで調査官からの指摘を未然に防ぐお手伝いができます。また、調査当日に税務署から細かい医療内容について質問があっても、税理士が立ち会っていれば専門用語の説明や収入計算の根拠をその場で補足できます。当税理士事務所はフルリモート立会いも可能な柔軟な体制で外科の税務調査に臨んでおります。
収入構造と保険・自費の割合: 整形外科クリニックは、一般外傷や骨折、関節疾患の治療など保険診療収入が主体です。リハビリテーション施設を併設しており、物理療法や運動療法も含め毎回保険点数化されます。自費診療の割合は多くありませんが、整形外科特有として交通事故診療(自賠責)や労災診療の収入が挙げられます。交通事故や労災の場合、患者さんからは窓口負担を受け取らず、後日保険会社や労災保険から一括振込で治療費が支払われます。このため、一時的に未収金扱いとなり、入金時期も通常の社保・国保より遅れます。また、自費診療としては先進医療的なリハビリ機器の利用料や、サポーター・コルセット等の物品販売収入が発生する場合があります。例えば保険適用外の膝関節再生医療(PRP療法)や衝撃波治療などを実施している整形外科では、それらの自由診療収入が収益構造に加わります。
経費構造と設備・人員: 整形外科は医療機器への投資が比較的大きい科目です。必須なのはレントゲン装置で、数百万円規模のX線撮影機器を備えます。さらにリハビリ用の温熱療法機器や牽引装置、超音波治療器など複数の物理療法機器を導入するケースもあります。これらは減価償却資産として耐用年数にわたり費用化しますが、購入時には高額な設備投資となるため、税務上は適切な減価償却の計算が必要です。調査官は新品の機器について実際に稼働状況を確認し、「開業医が私物をクリニック経費で落としていないか」「架空計上ではないか」をチェックします。整形外科の経費では他に、ギプスや包帯などの衛生材料費、湿布薬や注射薬などの医薬品費も嵩みます。人件費では看護師や受付に加え、理学療法士や柔道整復師等のリハビリスタッフを雇用することもあり、総じて人件費割合は高めです。
税務調査での指摘ポイント: 整形外科で税務署が注目する点の一つが自賠責・労災収入の計上タイミングです。前述の通り、これらは通帳への入金が診療から数ヶ月遅れで行われるため、収入計上を発生主義で適切に行っているか確認されます。例えば「○月に交通事故患者を治療していますが、その自賠責の未収金は計上されていますか?」という具合です。入金が遅いからといって計上を忘れていると、売上除外とみなされる可能性があります。同様に、労災の請求漏れや二重計上がないかもチェックポイントです。整形外科クリニックではレセプト請求とは別に保険会社対応が発生するため、煩雑さからミスが起きやすい部分でもあります。
もう一つのポイントは消費税です。通常、保険診療収入は非課税ですが、自賠責や労災からの支払金には診断書料など課税対象の文書料が含まれる場合があります。クリニックが消費税の課税事業者であれば、こうした収入の中の課税部分をちゃんと区分経理し消費税申告に反映しているか確認されます。消費税の計算誤りはペナルティの対象にもなるので注意が必要です。
さらに、整形外科では預り金やデポジットの扱いも稀に問題になります。例えばコルセット作成時に患者さんから一時金を預かり、後日精算するようなケースです。この預かり金をきちんと負債(預り金)として経理し、収入と混同していないか確認される場合があります。調査官は診療録や備品台帳からコルセット等の納品状況を見て、対応する収入・費用が正しく計上されているかをチェックします。
税理士によるサポート: 整形外科の税務調査では、こうした特殊な収入(自賠責・労災)や消費税論点について専門知識が求められます。当税理士事務所は医療専門の税理士がおり、整形外科クリニックの税務にも対応できるノウハウを蓄積しております。整形外科の先生にも満足いただけるよう、事前準備から万全を期すサポートを提供いたします。例えば、自賠責や労災の未収リストを決算前に一緒に洗い出したり、消費税の課否判定が難しい場合は事前に安全策を講じるなどの対策が可能です。調査当日も、整形外科のレセプトやリハビリ点数に精通した税理士が立ち会えば、専門用語の説明もスムーズで調査官に的確な回答ができます。遠隔地の先生でもオンラインで立ち会い対応いたしますので、安心してお任せください。
収入構造と保険・自費の割合: 「耳鼻科」のクリニックは、花粉症や中耳炎、扁桃炎などの治療が中心で、収入の大部分は保険診療から得られます。つまり、患者さんの自己負担分(1〜3割)と保険請求分(残りの公費負担分)が主な収益です。耳鼻科領域は自由診療となる項目が比較的少ないですが、それでもインフルエンザ予防接種や補聴器適合検査の診断書、一部のアレルギー検査など保険が効かない収入もわずかながら発生します。花粉症に対する舌下免疫療法は現在保険適用されていますが、自由診療で先進的なレーザー治療(粘膜焼灼術の保険外版)を提供する耳鼻科もあり、その場合は自費収入が増えるでしょう。一般的には耳鼻科の自費割合は低め(保険収入が圧倒的)だと言えます。
経費構造と設備・人員: 耳鼻科クリニックでは、診察にファイバースコープ(細い内視鏡)や電子スコープシステム、聴力検査機(オージオメータ)などを用います。これら中規模の医療機器への投資が必要です。また花粉症シーズンに備えてネブライザー(吸入器)を複数台設置し、患者さんに吸入治療を行う設備も整えます。経費面では、消耗品として綿棒や吸引チップ、薬液などの衛生材料費がかかるほか、ファイバースコープのリース料や減価償却費も発生します。人員体制は医師1名に対し看護師やスタッフ数名という規模が多く、人件費が主な固定費です。待合室には水槽やテレビを置くなどの工夫をするクリニックもあり、その維持費やが発生することもあります。
税務調査での指摘ポイント: 耳鼻科で想定される税務調査ポイントは、基本的には内科の場合と類似しています。すなわち、少ないながらある自由診療収入(予防接種や自由診療の検診など)の計上漏れがないかが焦点です。例えばインフルエンザ予防接種の件数と収入が見合っているか、自治体から補助金が出る難聴児の補聴器適合検査補助などを扱っていればその入金を計上しているか等が調べられます。調査官はカルテや予約表から「この日は花粉症のレーザー治療を◯件実施」と把握し、その日の自由診療売上と突合するといった手法を取る可能性があります。特にレーザー治療やピアス穴あけ(自費の場合)等、薬剤の仕入を伴わない施術は帳簿上で見逃されやすいため、予約記録と収入計上が合致しているか確認されるでしょう。耳鼻科は現金収入が少ないとはいえ、油断は禁物です。
また、耳鼻科でありがちなのが診断書料や証明書料です。学校提出用の治癒証明書や、補聴器適合に関する意見書など、1通数千円程度の文書料収入が発生します。これらは非課税の医療行為ではなく課税売上(消費税対象)となるため、クリニックが消費税課税事業者ならば請求額に消費税を上乗せしているはずです。税務調査では領収証を見て「この診断書料5,500円(税込)ですね。消費税区分は適切ですか?」といった確認も行われる可能性があります。少額とはいえ、積み重なると差異になりますので、きちんと会計ソフト上で課税売上として処理しましょう。
税理士によるサポート: 当税理士事務所は耳鼻科クリニックの顧問を務めるためにこれまで培ってきた医療業界の知識から、耳鼻科特有の税務論点にも対応可能です。例えば、花粉症シーズンの収入増減の分析や、補助金収入の適正処理など、事前に対策を講じることで調査で指摘を受けにくくします。耳鼻科の先生方は診療でお忙しいため、経理がおろそかになりがちですが、税理士が月次でチェックしていればピンチを招くような状況も未然に防げます。万一調査の連絡が来ても、当税理士事務所がフルリモートで立会い支援し、調査官への説明も全面フォローいたしますので安心です。
収入構造と保険・自費の割合: 「耳鼻咽喉科」は耳鼻科と同義ですが、喉の専門治療まで含む名称です。基本的な収入構造は前述の耳鼻科と同様で、保険診療収入が大半を占めます。例えば声帯ポリープの診察や扁桃炎の薬物治療など、保険適用の診療が中心です。自由診療についても耳鼻科と同様少なめですが、強いて言えばいびき治療や睡眠時無呼吸症候群の簡易検査で自由診療になるケース、または自費のワクチン接種(例えば子宮頸がんワクチンの任意接種を耳鼻咽喉科で扱う場合など)が考えられます。耳鼻咽喉科クリニックで補聴器そのものを販売することは少ないですが、もし院内で補聴器を販売した場合、その収入は物品販売収入(課税売上)となります。もっとも多くのケースでは専門店に紹介する形でクリニック自体の売上にはなりません。
経費構造と設備・人員: 耳鼻咽喉科は耳鼻科と同じくファイバースコープや聴力検査機器、ネブライザーなどを完備しています。加えて喉の診療で咽喉頭ファイバー(細径の喉用スコープ)を用いる場合、その維持管理費がかかります。また声帯ストロボスコープなど特殊機器を導入しているクリニックも一部あります。こうした機器はリース契約の場合も多く、月々のリース料は経費計上されます。経費構成比はおおむね耳鼻科と同様で、人件費・消耗品費・減価償却費(またはリース料)が主です。人員も看護師や検査技師などで構成され、必要に応じて言語聴覚士(ST)を配置するケースもありますが稀でしょう。
税務調査での指摘ポイント: 耳鼻咽喉科も基本的には自由診療部分の申告漏れを警戒されます。前述したいびき治療(例えばレーザーによる軟口蓋縮小術の保険外施術)を行っている場合、その施術件数と売上計上が合っているか調べられるでしょう。また睡眠時無呼吸症候群の簡易検査キット貸出料を自費で受け取っている場合、その収入計上漏れがないか確認されます。耳鼻咽喉科領域では、薬剤や材料を使わない処置(レーザー治療など)は仕入記録からの裏付けが取れないため、調査官はカルテ記載や予約台帳から収入を類推します。例えば「○月に無呼吸症候群の検査を◯名実施していますが、検査料の収入は計上されていますか?」等です。したがって、自費の検査・治療を導入している場合は、その都度きちんと売上に計上し、領収証を発行する運用が大切です。
もう一つ、耳鼻咽喉科で留意すべきは医療費控除との突合です。例えば自由診療のレーザー治療や補聴器の購入費用は患者さんが確定申告で医療費控除の対象にできる場合があります。税務署は患者側の申告情報から「○○クリニックに△万円支払った」というデータを持っています。その金額がクリニック側の収入に計上されていなければおかしいわけです。実際、所得税の医療費控除に記載された金額と突合して、クリニックの申告漏れを発見する調査官もいます。耳鼻咽喉科は高額な自由診療は少ないかもしれませんが、この点は常に意識しましょう。
税務調査対応と税理士サポート: 耳鼻咽喉科の先生方にとって、経理・税務は本業ではないため見落としがちです。例えばレーザー治療を始めたものの会計処理が分からない、といった場合でも、我々税理士がいれば適切にアドバイス可能です。税務調査では調査官も専門外の医療について深くは理解していないことがありますので、専門用語や治療の位置づけを税理士が補足説明し、「これは美容目的の施術なので消費税課税です」「こちらは治療行為なので非課税収入です」といった主張も行います。当税理士事務所は全国対応・オンライン立会いも可能ですので、耳鼻咽喉科の税務調査に不安がある場合は遠慮なくご相談ください。蓄積したノウハウを駆使し、先生のクリニックを守るべく全力でサポートいたします。
収入構造と保険・自費の割合: 眼科クリニックの収入は、白内障手術や緑内障治療などの手術・処置収入と、コンタクトレンズ処方や一般外来診療収入に大別されます。日本の眼科クリニックでは白内障手術を日帰りで行う施設も多く、その場合は1件あたり数十万円の診療報酬(保険収入)が発生し、クリニックの主要な収入源となります。白内障手術に絡んで患者さんが選択できる多焦点眼内レンズなどのオプション費用は保険適用外(高度医療または自由診療)となり、自己負担収入として得られます。また、近視矯正のレーシック手術やオルソケラトロジー(夜間装用矯正コンタクト)など、自由診療のみを扱う眼科も一部存在します。コンタクトレンズ販売については多くのクリニックが院内での直接販売は行わず隣接店に紹介していますが、もし院内販売をする場合は物販収入として課税売上になります。概して眼科全体で見ると保険診療収入の比率が高く、自由診療は追加的な収入源という位置づけのことが多いでしょう。
経費構造と設備・人員: 眼科は医療機器への投資額が大きい科目です。必須機器として手術顕微鏡、白内障手術装置(超音波乳化吸引装置)、レーザー治療機(網膜光凝固装置やYAGレーザー等)、OCT(眼底三次元画像解析装置)などが挙げられ、これらは数百万円〜数千万円規模の資産です。リースを利用する場合も多く、月々のリース料が経費になります。購入した場合は減価償却費として毎期経費化します。調査官は高額機器について購入時の契約書や設置状況を確認し、「本当に使っているか(遊休資産になっていないか)」を見ます。例えば「今年導入したOCTはどこにありますか?稼働状況を教えてください」と質問されることもあります。経費としては、手術材料費(眼内レンズや手術用使い捨てキット)、医薬品費(点眼薬や検査薬剤)、そして技工外注費(眼鏡処方箋に関連する検査外注などは少ないですが)等が中心です。人件費面では看護師のほか、視能訓練士(ORT)という専門スタッフを配置することが多く、人件費割合もそれなりに高くなります。
税務調査での指摘ポイント: 眼科ならではの論点として、手術スケジュールと収入計上の突合があります。特にレーシックなど自由診療の手術を行っている場合、調査官はオペの予定表やカルテから件数を把握し、その売上が帳簿にきちんと計上されているか確認します。レーシックは全額自己負担で高額になるため、計上漏れがないか厳しく見られるでしょう。「〇月〇日にレーシック手術を○件していますが、その日の自由診療売上はいくらですか?」といった質問が想定されます。レーシック患者は医療費控除目的で領収証をきちんと受け取る傾向があるためクリニック側でも記録が残っているはずですが、もし売上帳に計上忘れなどあれば指摘は免れません。また、保険診療中心の眼科であっても白内障手術関連の収入と在庫管理がチェックされます。具体的には、白内障手術で使用する眼内レンズの在庫です。「決算時に眼内レンズ在庫が◯個残っているが、その購入費用は在庫(資産)に振替えていますか?」と確認されることがあります。手術用にまとめてレンズを購入し決算前に未使用だった場合、対応する仕入費用は翌期に繰り越す必要があります(在庫計上しないと経費を前倒ししたことになるため)。
もう一点、眼科クリニックで調査官が目を光らせるのは収入計上時期の適正化です。例えば多焦点眼内レンズの追加費用を患者から手術前に一括でもらっている場合、その収入をいつ計上するかが問題になります。原則、サービス提供(手術実施)時に計上すべきですが、契約形態によっては前受金(将来の提供に対する預かり金)として処理しているケースもあります。税務調査では「この前受金はもう手術済みですか?まだならどのタイミングで収益計上しますか?」といった確認が行われます。特に年度またぎで手術を予定している場合、収入の繰り延べや前倒しがないか慎重に見られるでしょう。
税理士によるサポート: 眼科の税務は高度な医療機器の資産管理から特殊な自由診療収入の扱いまで幅広く専門知識が要求されます。当税理士事務所では医療機関の税務調査対応に関して、眼科特有の論点(例:眼内レンズの在庫計上、自由診療の収入時期など)についても万全の助言が可能です。眼科の先生にもご満足いただけるよう、日々最新の税制や業界動向を研究しております。例えば消費税の扱い一つとっても、眼科医療は非課税ですが、コンタクトレンズや洗眼液の販売をすれば課税売上になります。そのような混在も正確に経理処理することで、調査官から「消費税計算は大丈夫ですね」と信頼を得られます。税務調査当日には、我々税理士が調査官との質疑応答を適切にリードし、先生には本来の医療内容の説明に専念していただけます。眼科領域に明るい税理士チームがバックアップいたしますので、安心して税務調査に臨みましょう。
収入構造と保険・自費の割合: 産婦人科は、他科に比べ自費収入の占める割合が非常に高いのが特徴です。妊娠・出産に関する診療は公的医療保険が適用されず、分娩介助料や入院料は全額自己負担になります(公的には出産育児一時金など定額の補助があるのみです)。そのため、1件の出産につき数十万円の収入がクリニックに入り、大きな売上規模となりがちです。さらに、不妊治療(体外受精等)も近年一部保険適用が進みましたが、高度なものはまだ自費であり、これも産婦人科の自由診療収入となります。無痛分娩のオプション料金や4Dエコー写真サービスなど、細かな自費収入が積み重なるケースもあります。保険診療収入としては、妊婦健診の一部(超音波検査など)や婦人科疾患の治療(子宮筋腫や卵巣嚢腫の外来治療等)が該当しますが、売上全体に占める割合は低めです。例えば年間売上のうち保険収入が2割、自費収入が8割という産婦人科も珍しくありません。
経費構造と設備・人員: 分娩を扱う産婦人科は小規模な有床クリニック(病床あり)となることが多く、入院設備や手術室、新生児ケア設備など大掛かりな投資が必要です。分娩用ベッド、新生児保育器、無痛分娩の麻酔器具、帝王切開用の手術器械など、高額医療設備を揃えるため開業時の資金負担も大きくなります。加えて入院患者への食事提供設備やシャワー室等、ホテルに近い設備投資も発生します。経費面では、助産師や看護師、受付事務、ときには調理スタッフまで含め多数の人員を抱えるため人件費が最も大きな比率を占めます。また分娩に備えた医療材料(無菌ガウン、手袋、麻酔薬、点滴セット等)の消耗品費も膨大です。新生児用おむつやミルクなどの備品費も計上されます。これら経費の多さから、産婦人科は売上も大きいが支出も大きい事業といえます。
税務調査での指摘ポイント: 産婦人科で税務署がまず注目するのは収入計上漏れがないかです。保険収入が少なく、自費収入が多岐にわたるため、一つひとつチェックされる覚悟が必要です。例えば分娩件数と分娩収入の突合、無痛分娩の麻酔加算料や個室差額ベッド代の収入計上確認などが行われます。「昨年◯件のお産を扱っていますが、分娩予約金や分娩費用の未収金はないですか?」といった質問や、分娩予約リストと入金状況の照合などが典型です。産婦人科では事前に予約金を受け取り、退院時に清算することも多いため、前受金と売上の対応も調査官は見ています。「この予約金◯万円はいつ売上計上しましたか?キャンセル時の返金はどう処理していますか?」等、会計処理の整合性が問われます。未収金管理も重要です。出産一時金の直接支払制度を利用している場合、健康保険組合等からお金が後日振り込まれますが、その差額請求や受取タイミングをきちんと管理していないと漏れの原因になります。
また、産婦人科は消費税の点でも複雑です。医療行為としての妊娠・出産関連サービス自体は非課税ですが、差額ベッド代(個室料)やアメニティサービス、有料の母親学級受講料などは課税対象になる場合があります。産婦人科は売上規模が大きい分、消費税課税事業者になる可能性も高く、非課税売上と課税売上を正確に区分することが求められます。さらに、高額な医療機器を導入している場合、その減価償却費の計上にも目が向けられます。「この分娩台は一台◯百万円ですが、耐用年数○年で減価償却していますね?」といった具合です。開業時に一度に多額の機器購入があると赤字になりやすいですが、減価償却の見積もりが適切かどうかも含め、確認が入ることがあります。
税理士によるサポート: 産婦人科の税務は非常に専門性が高く、フリーランスの助産師への支払い(源泉徴収が必要な場合もあります)や、自費と保険のミックス収入、消費税の区分経理など難易度の高い論点が多々あります。当税理士事務所では、こうした産婦人科特有の税務論点にも対応できる体制を整備しています。蓄積した知識をもとに万全の事前対策を提供いたします。例えば、収入管理では分娩予約から出産までのフローをヒアリングし、会計処理の流れを整理します。消費税についても個室料等の課税売上を漏れなく集計し申告ミスを防ぎます。税務調査では調査官に対し、産婦人科のビジネスモデルを税理士が丁寧に説明することで、誤解に基づく指摘を防ぐことができます。全国対応・オンライン会議での事前打合せも可能ですので、大事なクリニック経営を守るパートナーとしてぜひ税理士の活用をご検討ください。
収入構造と保険・自費の割合: 精神科クリニックの収入は、大半が保険診療によるものです。うつ病や不安障害、統合失調症などの治療では診察と投薬が主な医療行為となり、診察料・処方料は健康保険から支払われます。患者さんの自己負担も基本的に3割(公費負担医療受給者証を持つ方は0割〜一部負担)であり、自由診療はほとんどありません。ただし例外として、カウンセリングを専任のカウンセラー(臨床心理士等)が提供する場合や、自由診療の薬(保険適用外の漢方薬やサプリメント等)を扱う場合には、自費収入が発生します。例えば認知行動療法の長時間カウンセリングを自費で実施した場合や、睡眠改善のサプリを院内販売した場合などです。また初診料に独自の追加カウンセリング料を設定して保険外併用療養費とするケースもありますが、収入全体から見ると微々たる割合でしょう。精神科では自治体から委託される自立支援医療(精神通院)の公費負担もありますが、これは保険診療の一部です。総じて言えば、精神科クリニックの収入構造は保険診療収入が9割以上を占め、自由診療は特殊なサービス提供時のみ発生します。
経費構造と設備・人員: 精神科は他の診療科に比べて医療機器を必要としません。診察室とカウンセリング室、投薬のための僅かな薬棚があれば開業できるため、初期投資も小さめです。強いて挙げれば脳波計や光トポグラフィー装置などを導入するケースもありますが稀です。そのため経費の主なものは人件費(医師・看護師・カウンセラー・受付スタッフ)と家賃、水道光熱費、通信費などの運営コストになります。カウンセラーを外部委託で雇っている場合は業務委託費が発生します。また患者さんにリラックスしてもらうため院内を凝った内装にしている場合、内装工事費の減価償却費や、観葉植物・アロマ等の費用が計上されることもあります。医薬品については向精神薬など処方箋を出し院外薬局で調剤する形が多いため、クリニック自身が在庫を抱える薬剤は限定的です(急性期対応の頓服薬程度)。したがって薬剤仕入はさほど大きな経費項目ではありません。
税務調査での指摘ポイント: 精神科クリニックで調査官が確認するポイントは、まず収入の整合性です。保険診療が中心とはいえ、例えば「毎月のレセプト総点数から試算した理論収入と実際の収入にズレはないか」チェックされます。さらに、精神科では診断書料の収入が頻繁に発生します。例えば休職のための診断書、障害年金申請用の診断書、通院証明書などです。これら1通あたり数千円の収入ですが、件数が多いとまとまった額になります。税務調査では領収証をチェックし、「診断書料○円が月に△件ありますが、すべて収入計上されていますね?」と確認します。お金を受け取った時点で都度売上計上していれば問題ありませんが、中にはカルテに挟んだまま記録漏れ…というケースもゼロではありません。日々の会計処理で見逃さないよう気をつけましょう。なお診断書料は消費税課税取引ですので、税込価格で受け取っている場合は預かった消費税を納税する必要があります(課税事業者の場合)。
税理士によるサポート: 精神科クリニックの先生方は、患者対応に専念するあまり経理面は後回しになりがちです。しかし税務署は数字の不整合を見逃しません。そこで頼りになるのが税理士です。当事務所では精神科領域の会計サポートも行っており、収入計上モレの防止策や適切な経費計上についてご提案可能です。また、精神科特有の自立支援医療や各種助成金の入金サイクルも把握していますので、それら未収金の管理もお任せください。税務調査では、我々税理士が立ち会い精神科医療に明るい税理士として調査官に対応いたしますので、専門用語や業界事情の説明もスムーズです。「このクリニックはしっかり税務管理されている」と調査官に感じてもらえるよう、日頃から二人三脚で経営をサポートいたします。
収入構造と保険・自費の割合: 心療内科は内科と精神科の中間的存在で、ストレスによる身体症状(胃潰瘍や過敏性腸症候群等)を診る科目です。収入の柱は保険診療であり、初診再診料や薬剤処方料が主です。ただし、心療内科クリニックによってはカウンセリングや心理療法を積極的に取り入れているところもあります。例えばリラクゼーションのグループセラピーを保険外サービスで開催したり、管理栄養士による栄養指導を自費提供したりといったケースです。これらの場合、参加費や指導料として自由診療収入が発生します。また、ビタミン点滴療法や漢方外来など自由診療メニューを用意している心療内科もあります。例えば「高濃度ビタミンC点滴による抗ストレス療法」を掲げている場合、その点滴の収入が全額自己負担となります。したがって、心療内科はクリニックの方針次第で自費収入の比率が増える可能性がありますが、一般的には保険診療収入がベースで自由診療は補助的な位置づけです。
経費構造と設備・人員: 心療内科は、クリニックによりカラーが大きく異なります。純粋に問診・投薬中心であれば精神科に近く設備投資は少ないですが、補完医療的に点滴設備やリラクゼーションルームを設けている場合もあります。例えばアロマセラピーを取り入れている場合、その備品やインストラクター費用が経費になります。経費全体としては人件費(看護師・受付・心理士等)がウェイトを占める点は精神科と同様です。加えて、内科的検査(血液検査や心電図等)を行う場合は検査委託費や試薬費が発生します。特に栄養解析やストレスホルモン検査など自由診療の検査を外注する場合、その検査委託費は忘れずに経費計上します。設備については、クリニックにより必要なものが異なりますが、点滴用ベッドや簡易な検査機器(心電計など)を備える程度であれば減価償却負担は小さいです。逆に、内装に凝ってリラックス空間を演出している場合、観葉植物レンタル費や音楽著作権使用料など細かな経費が積み上がることがあります。
税務調査での指摘ポイント: 心療内科で調査官が見るポイントは、基本的には精神科・内科と同様ですが、特に自由診療部分の管理です。もしカウンセリング料やセラピー参加費といった収入がある場合、現金授受のタイミングと帳簿計上が合っているか確認されます。「毎週開催のリラクゼーション教室は、その都度売上に計上していますか?」など具体的に聞かれるでしょう。こうした自由診療収入は領収証を発行しないと漏れやすいため、必ず受領時に領収証を発行し記録を残すことが重要です。また、心療内科で提供する漢方薬やサプリメント代を患者から直接受け取っている場合、その売上と仕入もチェック対象です。「サプリメントの在庫をどのように管理していますか?期末在庫はいくらありますか?」と問われ、棚卸表の提示を求められることもあります。医薬品的なものでも保険外商品は棚卸資産として扱われ、調査で不自然な在庫増減がないか見られます。一方、心療内科はレセプト点数と収入の突合も行われます。精神科的要素が強い場合、前述の精神科同様レセプト点数と窓口収入の整合性が検証されます。
税理士によるサポート: 心療内科は自由度が高い診療科ゆえ、税務や経理もクリニックごとに状況が異なります。当税理士事務所では、先生のクリニック独自のサービス内容までヒアリングし、オーダーメイドのサポートを行います。例えば、もし自由診療でリラクゼーション教室を運営しているなら、その収支計算を月次でチェックし、税務上問題がないか見ます。カウンセラーへの支払いがあるなら、源泉徴収の要否(社員か外部委託かで異なります)も確認します。調査官から指摘される前にリスクを潰しておくのが税理士の役目です。もちろん調査当日は、我々が立ち会い先生方の心強い味方となります。専門用語の説明や数値の根拠提示などすべて任せていただき、先生は患者対応と同じく落ち着いて質疑に答えていただければ大丈夫です。心療内科特有の繊細な対応も十分理解した税理士チームがサポートしますので、安心して税務調査に臨みましょう。
収入構造と保険・自費の割合: 泌尿器科クリニックの収入は、前立腺肥大症や尿路感染症、ED(勃起不全)などの治療に伴う保険診療収入が主体です。ただし泌尿器科特有の傾向として、自由診療の割合が比較的多い科目でもあります。典型例がED治療薬の処方です。バイアグラなど勃起不全治療薬は保険適用外のため、希望する患者にはクリニックが自費で薬剤を販売します。1錠いくらという形で現金収入が発生し、患者さんもプライバシーに配慮して薬局ではなく医療機関でもらうことを好む傾向があります。このED薬収入がクリニック売上の大きな柱になっている場合もあります。さらに、包茎手術やパイプカット(男性避妊手術)など選択的要素の強い手術も自由診療で行うケースがあります。前立腺がん検診については自治体の補助で委託健診として行う場合があり、その収入は後日自治体から振り込まれます。したがって、泌尿器科は保険収入をベースにしつつ、EDなど自由診療収入や自治体健診収入が加わる構造です。
経費構造と設備・人員: 泌尿器科の設備として必須なのは超音波検査装置(エコー)です。腎臓や膀胱、前立腺の診察に用います。また院内で尿検査や血液 PSA検査を行う場合は簡易検査機器や検査ストリップなどを備えます。外来小手術用に電気メスや内視鏡下手術器具(膀胱鏡など)を導入しているクリニックもあります。費用面では、それら医療機器の減価償却費・リース料が挙げられますが、眼科・産婦人科ほど高額な機器は多くありません。主な経費はやはり人件費(医師・看護師・受付)、尿検査試薬等の消耗品費、そしてED薬など院内処方する医薬品の仕入です。自由診療薬の在庫を抱える場合、仕入と売上管理が必要になります。例えばED薬を100錠仕入れて30錠販売したら、残り70錠分は棚卸在庫ですので、その購入費用の一部は次期に繰り越す処理が必要です。クリニックによっては院内処方をせず処方箋だけ発行するところもありますが、患者さんの利便性を考えて院内で薬を渡す場合、薬剤在庫の管理が税務上も求められます。
税務調査での指摘ポイント: 泌尿器科で特にチェックされるのは、自由診療収入の計上漏れと健診収入の未収計上です。まず自由診療について、代表的なED薬の販売がありますが、これは現金商売であり申告漏れリスクが高い項目です。税務署もそれを熟知しており、「◯◯クリニックではED治療薬を取り扱っていますか?1月あたり何錠くらい処方していますか?」などとヒアリングしてきます。実際、多くの調査官は製薬会社や卸業者からの情報も持っており、そのクリニックの薬剤仕入量を把握できる場合があります。「既に取引業者のデータを調査官が持っていて、これと突き合わせることもあります」との指摘もあるほどです。仕入量に対して極端に売上が少ないと「一部は院長のポケットに入ったのでは?」と疑われかねません。実際に、仕入伝票やクリニックの在庫数から本来売上に計上すべき数量を計算し、帳簿上の売上個数との差異を調べるケースがあります。ED薬などは患者さんも高額になるため領収証を要求しないことが多く(プライバシー配慮で名前なしの領収証にする場合も)、クリニック側が意識して正確に記録することが肝心です。
次に健診収入の面では、前立腺がん検診等を自治体委託で行っている場合、その委託料が未収金として計上されているか見られます。例えば「昨年10〜12月に実施した市の前立腺健診の委託料が年明けに入金されていますが、ちゃんと前年分の売上に計上していますか?」という確認です。これを忘れていると、収入漏れとして指摘されます。また、泌尿器科では往診(在宅診療)で膀胱カテーテル交換などを行う場合もありますが、訪問診療の一部負担金を患者から集金代行にしているケースでは、集金代行からの入金タイミング管理も重要です。
税理士によるサポート: 泌尿器科の自由診療収入や在庫管理は、専門的な目で見るとリスクを抱えやすい部分です。当税理士事務所ではニーズにも応えるべく、業界特有のポイントを把握しております。例えば、ED薬の売上については仕入と販売数量の管理方法を一緒に確立し、毎月の販売数を帳簿でチェックします。必要に応じて棚卸表の作成も支援し、調査で「在庫は何箱ありますか?」と聞かれても即答できる状態にしておきます。また、自治体健診の入金予定一覧を作成し、未収漏れがないよう決算前に確認するフローを構築します。「税務調査で何を聞かれるか不安だ」という先生も、事前に税理士と想定問答集を作っておけば落ち着いて対応できます。当税理士事務所はフルリモートでの打合せ・立会いも可能ですので、地方であっても医療専門の税理士による品質の高いサポートを受けていただけます。泌尿器科クリニックの先生が安心して診療に集中できるよう、税務面はプロにお任せください。
収入構造と保険・自費の割合: 歯科医院の収入構成は、他の医科とは大きく異なります。一般的な歯科では保険診療収入と自由診療収入が混在し、その割合は医院の方針や地域ニーズによって様々です。保険診療には虫歯の治療(レジン充填や銀歯装着)、抜歯、根管治療、定期健診などが含まれ、患者さんの自己負担1〜3割と健康保険請求分で成り立つ収入です。一方、自由診療にはインプラント治療、セラミッククラウン・義歯、美容目的のホワイトニング、矯正治療(一部例外を除き自費)などがあり、これらは患者さんから全額自己負担で受け取る高額収入になります。都市部の審美歯科では自由診療が売上の大半を占める一方、地域の一般歯科では保険7割・自費3割といったケースもあります。税務調査上は、この自費診療収入の正確な把握が一つの肝になります。保険収入はレセプト点数から理論値を計算できるため不自然な乖離がないか調べれば概ね検証できます。それに対し自費収入は医院ごとの事情に左右されやすく、税務署も重点的にチェックする傾向があります。
経費構造と設備・人員: 歯科医院の経費はまず技工関連費が大きな割合を占めます。保険・自費を問わず、詰め物・被せ物や入れ歯を作製する際は外部の歯科技工所に発注するため、その技工所への外注費が発生します。自費治療が多いほど高品質な素材を使うため技工費用も高額になりがちです。また、歯科材料費も主要経費です。レジン(歯科用樹脂)、金合金やセラミックブロック、インプラント体、歯科用接着剤、印象材など、多種多様な材料を購入します。消耗品費もグローブや紙コップ等でかさみます。設備投資としては、歯科ユニット(診療台)やレントゲン装置、CTスキャン、口腔内スキャナー、ミリングマシン等があり、高価な機器が多いです。これらは減価償却資産となり毎期費用配分されます。人件費も歯科衛生士や歯科技工士、受付スタッフなど複数名を雇えば大きな比率です。経費構造として特徴的なのは、売上に対する材料・外注費の割合が医科より高い点です(一般に変動費率が高め)。そのため、税務署は材料費・技工費の動きにも注目し、「材料費の割に売上が少なくないか」など業界標準との比較でチェックすることがあります。
税務調査での指摘ポイント: 歯科医院の税務調査でほぼ必ず議題に上るのが自由診療売上の計上漏れです。調査官はまず保険点数と保険収入・窓口収入の突合せを行い、そこで家族やスタッフへの無償治療による負担金減免がないか確認します(前述の精神科同様、歯科でも家族に無料で治療した場合は収入計上が必要です)。その上で、本丸である自由診療については予約簿やカルテと売上台帳の照合を細かく行います。「◯月◯日にインプラント手術を2件行っていますが、その売上はいつ帳簿に計上されましたか?」といった具合です。特にインプラントや矯正治療は治療期間が長期にわたるため、一括前受け金をどう計上しているかが問われます。税務調査では収入計上時期の適正性について、「矯正治療費〇万円を治療開始時に全額受領しているが、役務提供の完了時期に対応して収入計上すべきではないか」と確認されることがあります。国税庁の質疑応答事例でも、矯正料の基本報酬は装置装着時に全額収入計上すべき旨が示されています。これに従わず分割的に計上している場合、調査官から修正を求められることがあります。
さらに、撤去冠の売却益もチェックポイントです。患者から外した古い金歯・銀歯(貴金属)は貯めて業者に売却できますが、これを雑収入として計上していない歯科医院が散見されます。調査官は最近ほぼ確実に「撤去冠(金属スクラップ)はどう処理していますか?」と聞いてきます。少なくとも年1回程度は売却して収入が発生するはずなので、決算書にその記載がなければ個人的に処分していないか追及されます。過去に売却していれば業者の交付する貴金属買い取り証(控え)があるはずなので、用意しておきましょう。加えて、棚卸資産・仕掛品の計上漏れも指摘されやすいです。決算日時点で技工所から納品された技工物(差し歯など)がまだ患者にセットしていない場合、その技工費用は仕掛品として資産計上が必要です。同様に、未使用の金合金やセラミックブロックなど材料在庫も棚卸計上します。調査官は技工所の請求書日付と売上計上日付を比較し、「期末直前に納品されて決算後装着のものは在庫に振り替えていますか?」と確認します。
税理士によるサポート: 歯科領域の税務は論点が多岐にわたります。保険・自費のハイブリッド収入、材料・技工の在庫管理、家族従業員への給与、さらに消費税の特例適用(簡易課税制度の有利不利判定)など、専門知識が不可欠です。当税理士事務所は医科・歯科合わせて豊富なノウハウを蓄積しており、歯科医院の税務調査対策も万全の体制で臨みます。歯科医の先生方にも、きっとご満足いただけるサポートを提供可能です。具体的には、事前に自由診療の売上計上時期を確認し適切な処理へ誘導したり、撤去冠の管理簿を作成していただくようアドバイスしたりします。調査官との交渉では、例えば「当院では基本料は装着時に全額計上済みです」と胸を張って説明できるよう準備します。また、医療費控除との突合についても、患者側が申告する高額医療費(インプラント等)の情報を把握しておき、クリニック収入との齟齬がないかチェックします。税理士が立ち会えば、調査官からの専門的な質問にも即座にデータを提示し回答できますし、「領収書の裏書メモを見せてください」等の要求にも適切に対応できます。歯科の先生が調査対応に悩む場面を税理士がすべてフォローいたしますので、安心して本業に集中してください。
収入構造と保険・自費の割合: 矯正歯科は歯列矯正を専門に扱う分野で、その収入はほぼ全額が自由診療収入です。通常、矯正歯科治療(ワイヤー矯正やマウスピース矯正等)は保険適用されないため、患者さんから数十万〜百数十万円の治療費を直接受け取ります(ただし先天異常等に起因する矯正は一部保険適用される場合がありますが、ごく少数です)。したがって、矯正歯科クリニックの売上は患者数×治療単価で決まり、保険請求による第三者チェックが効かない構造です。言い換えれば、税務署から見ると収入をごまかそうと思えばごまかせてしまうリスクが高い業種とも言えます。そのため、税務調査でも矯正歯科の申告漏れリスクには非常に敏感になります。具体的には、契約した患者数や装置装着数と実際の収入計上が合致しているかを詳細に確認されます。また、矯正治療費は高額であるため患者さんが医療費控除を申請するケースが多く、税務署は患者側の確定申告情報から「◯◯矯正歯科においくら万円支払った」というデータを掴んでいます。その金額がクリニックの売上に計上されていなければ明らかに不自然であり、簡単に指摘されます。こうした背景から、矯正歯科は他の科以上に正確な売上計上が求められるのです。
経費構造と設備・人員: 矯正歯科の主な経費は、歯科一般と重なる部分も多いですが、特に技工関連費用が大きな割合を占めます。矯正装置(ブラケットやマウスピース)の製作は歯科技工所に外注することが多く、その技工料が高額です。マウスピース矯正の場合、海外の専門ラボに発注するケースもあり、まとめて数十万円単位の外注費が発生します。また、ブラケットやワイヤー、矯正用アンカースクリュー等の材料費も馬鹿になりません。患者ごとにセットで用意し、調整の度に一部消耗していきます。設備では、デジタルスキャナーやセファロ分析ソフト、写真撮影用機材など矯正専用の機器を導入していれば減価償却費がかかります。ただし一般的な歯科ユニットやレントゲンは共有できるため、開業時投資は歯科ほどではない場合もあります。人員については、歯科衛生士が調整業務を補助することもあるため複数名雇用するケースもあります。経費全体では、技工外注費・材料費の変動費と、人件費・家賃等の固定費に二分されるでしょう。矯正は患者一人当たりの粗利が高い分、売上計上のタイミング次第で利益が大きく変動します。
税務調査での指摘ポイント: 矯正歯科における最大の論点は収入計上時期と漏れの有無です。矯正治療は契約から完了まで数年に及ぶため、一括前払い制の場合の収入計上が難しい問題です。国税庁も質疑応答事例で見解を示しており、「装置装着時に基本料金全額を収入計上する」ことを原則としています。税務調査でも「基本料を分割計上せず装着時に全額計上していますか?」と確認されることがあります。例えば200万円の矯正契約料を36回分割で受け取っている場合でも、装置装着(サービス提供の主要部分完了)時に200万円を売上に計上するのが望ましいとされます。この処理をせず都度入金ベースで計上していると、「期末時点で治療中の患者さんから未収金があるはずだが?」と未収金計上漏れを指摘されかねません。もっとも、実務上は入金都度計上でも継続していれば大きな問題にならないケースもありますが、税務署としては一括前受なら計上すべきという立場です。いずれにせよ、調査では契約書の内容や入金スケジュールを細かく聞かれるでしょう。
また、矯正歯科では医療費控除との突合チェックが強く行われます。前述の通り、高額な矯正費用は患者の確定申告で把握可能です。税務調査では「○○さんが医療費控除で100万円と申告していますが、クリニックの売上にも計上されていますね?」とダイレクトに確認されます。計上されていなければ明確な申告漏れです。実際、他の歯科で自由診療の売上除外が発覚した事例でも、患者側の医療費控除申告がきっかけだったケースがあります。矯正歯科は患者数が限られ特定しやすいので、こうしたクロスチェックには特に注意が必要です。
さらに、技工所への支払と売上の対応も見られます。「この技工所への◯月の支払100万円は、該当する矯正装置の売上がちゃんと上がっていますか?」というチェックです。極端に言えば、技工所への支払だけあって売上がないと、装置を装着せず在庫しているのか、あるいは売上計上漏れかどちらかになります。調査官は矯正装置の作製指示書や納品書の日付と実際の売上計上を照合し、タイミングのズレを確認してきます。
税理士によるサポート: 矯正歯科の税務は他業種にはない特殊性があります。当税理士事務所でも、医科歯科領域の知識を応用し万全の対応体制を整えております。例えば、収入計上基準の選択について事前に打合せし、税務リスクの低い方法をご提案します。「装着時一括計上」か「分割計上」かで迷われる場合、それぞれのメリットデメリットを説明し、調査で問題になりにくい方法をとります。また、患者ごとの収入・コスト管理表の作成を支援し、技工外注費と対応売上をリンクさせて経営管理するお手伝いも可能です。調査当日には、矯正治療の流れや会計処理方針について税理士が論理立てて説明し、調査官に正当性を納得してもらえるよう尽力します。税理士法人加美税理士事務所に相談してよかったと思っていただけるよう、最新の税制と実務に基づいた交渉力で先生方をサポートいたします。
最後に、私たち税理士法人加美税理士事務所が提供する税務調査対応サービスについてご案内いたします。当税理士事務所は医療業界専門の知見を活かし、開業前〜開業直後〜医療法人化〜承継に至るまで、あらゆるステージの先生方をサポートしております。税務調査対応も「事前相談・リスク診断」から「当日立会い」、そして「事後フォロー」までトータルにお手伝いします。
①事前相談・リスク診断: 「もしかして調査が来るかも」「調査の連絡があったが不安」という段階で、まずはお気軽にご相談ください。経験豊富な税理士がヒアリングし、クリニック特有のリスクポイントを診断いたします。帳簿や申告書を拝見できれば、短時間で問題の有無を洗い出します。もちろん秘密厳守です。その上で、必要に応じて調査前の自主点検(簡易監査)をご提案します。調査前に修正申告した方が有利な場合や、追加資料を準備すべき場合には率直にアドバイスいたします。開業以来一度も税務署が来ていない先生には、リスク診断サービスで「今のうちに是正すべき点」を明確にできます。
②税務調査立ち会いサービス: いざ税務調査が決定したら、当税理士事務所の税理士が現地またはオンラインで調査に立ち会います。上記で詳述したように、調査官とのやり取りはすべて我々がサポートし、院長先生の負担を最小限に抑えます。税務署との日程調整から当日の資料提示対応、質疑応答代行までフルカバーしますので、先生は診療に専念いただけます。遠方の場合もオンラインで対応可能です。北海道や沖縄の先生の先生の調査まで全国どこでも対応いたします。「税務署との窓口はすべて税理士に任せられる」という安心感を提供します。
③修正申告・事後フォロー: 調査終了後、万一修正申告が必要な際は迅速に書類を作成し、適法かつ有利な形で手続きを代行します。加算税や延滞税の計算も正確に行い、ご納得いただける説明をします。また、分割納付などの税務署との交渉も必要に応じて代行します。さらに、調査で指摘された点を踏まえた今後の改善策も提案いたします。例えば「レジ現金管理ルールを見直しましょう」「家事按分比率の根拠資料を用意しましょう」といった具体策を示し、再発防止までケアします。調査が終わってからが本当のお付き合いの始まりと考え、先生の税務コンプライアンス向上に寄与します。
一連のサービスをワンストップで提供できるのが当税理士事務所の強みです。他の専門家(社労士や弁護士)とのネットワークもありますので、社会保険や法務に関わる問題が生じた場合も適切に対応可能です。税務調査というピンポイントの場面だけでなく、クリニック経営全体を支える伴走者として力を尽くします。
私たち税理士法人加美税理士事務所は、医療業界に特化した税務・会計サービスを提供しており、医療機関の事情に精通した税理士がいます。医科・歯科合わせて多数のノウハウを持ち、日々研鑽を積んでおります。税務調査対応においても、医療機関特有の論点を熟知した税理士チームがサポートいたしますので、ご安心ください。
税理士法人加美税理士事務所のサポート体制は次のとおりです。
- 専門チーム制: 医療クライアント様には、医療専門チームが対応します。税務調査対応の際も、必要に応じ税理士複数名でバックアップし、あらゆる質問に即答できるよう体制を敷きます。調査官との折衝も一人の税理士だけでなく、チームで戦略を練って進めます。
- 全国対応・フルリモートOK: 前述のとおり、当税理士事務所は遠隔地の先生にもサービス提供しております。オンライン会議やクラウド会計導入支援にも長けており、物理的距離を感じさせないサポートが可能です。地方の先生から「東京の専門事務所だから心配」といった声もありますが、問題なく成果を出すことができます。全国どこでも同じ品質の税務調査支援をお約束します。
- 最新の税制情報: 医療分野の税制改正(消費税の診療報酬割合改定や、医療機器の減税措置など)にも常にアンテナを張っています。インボイス制度への医療業界の対応状況についても研究を重ね、適切なアドバイスを行っています。税務調査でも、新しい制度を知らない調査官にこちらから正しい解釈を説明し納得させることもあります。最新情報に基づく交渉力が強みです。
- 丁寧で親身な対応: 当税理士事務所は「先生方に安心していただくこと」をモットーにしています。難解な専門用語はできるだけ使わず、噛み砕いた説明を心がけています。税務調査は不安なものですが、我々がそばにいることで先生の心労が和らぐよう努めます。実績や知識をひけらかすことなく、常に寄り添う姿勢でサポートいたします。
- ワンストップで経営支援: 税務調査対応だけでなく、日々の記帳代行や月次監査、決算・申告、さらに将来の法人化や事業承継まで一貫してサポート可能です。調査で終わりではなく、その後の経営発展まで見据えたご提案ができます。必要に応じ、提携の社労士や弁護士とも連携し、労務トラブル対応や契約書チェックなど総合的にご支援します。税務を入口に、クリニック経営全般の安心を提供できる体制が整っています。
税務調査は確かに心配事ではありますが、適切な準備と専門家のサポートがあれば乗り越えられます。私たち税理士法人加美税理士事務所は、医療に携わる先生方が本業の診療に専念できるよう、税務面から全力でバックアップいたします。税務調査のお悩みや不安がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。経験豊富な医療専門税理士が親身に対応させていただきます。一緒に税務調査を乗り切り、さらに安心して発展的なクリニック経営を実現していきましょう!

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