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複雑な消費税対応、還付、インボイス制度――一人で抱えず、全国対応の不動産投資専門税理士と一緒にクリアにしましょう。

不動産投資専門の税理士が解説する消費税対策の完全ガイド。不動産法人やサラリーマン大家の納税義務、インボイス対応、還付制度の仕組みまでを網羅。フルリモートで全国対応可能な税理士法人加美税理士事務所が節税と税務調査リスクの回避を支援します。

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不動産投資における消費税の基本と対策【税理士監修】

不動産投資を行う上で、「消費税」の知識は避けて通れません。特にサラリーマン大家や不動産管理法人のオーナーにとって、賃貸収入や物件売買における消費税の扱い方は重要なポイントです。本記事では、不動産投資に関連する消費税の基本ルールから最新の制度変更まで、税理士の視点を交えてわかりやすく解説します。不動産投資 税理士として多数の相談実績を持つ当税理士事務所が監修しており、専門性と親しみやすさを両立した内容になっています。消費税の仕組みを正しく理解し、適切な対策をとることで、思わぬ税負担を防ぐとともに有利な節税を実現しましょう。

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まず、不動産投資において自分が消費税の納税義務(課税事業者)に当たるかどうかを確認することが重要です。賃貸収入がある個人大家や、不動産を所有する法人オーナーは、一定の条件下で消費税の申告・納付義務が生じます。ここでは、その判定基準とタイミングについて見ていきましょう。

消費税では、課税売上高が年間1,000万円を超える場合に納税義務が生じ、課税事業者として消費税の申告・納付を行います。具体的には、基準期間(個人事業主の場合は原則として2年前、法人の場合は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えたかどうかで判定されます。例えば、2025年の基準期間(個人なら2023年)の課税売上が1,000万円を超えていれば、2023年(課税期間)には課税事業者となり消費税の納税義務が発生するという仕組みです。

さらに注意すべきなのは、特定期間と呼ばれる判定です。基準期間で1,000万円以下でも、前年の上半期(1月~6月)等の課税売上高もしくは給与支払額が1,000万円超の場合には、例外的にその翌年(翌期)は課税事業者となります。これは急成長する事業者等を捉えるためのルールで、例えば前年前半の売上が大きく伸びた場合には翌年から消費税を納める必要が出てくるわけです。

判定時期についてまとめると、個人事業主の場合は毎年の基準期間(2年前)と特定期間(前年上半期)を確認し、法人の場合も前々期および前期半年間の数値で判定します。基準期間で超えれば2年後、特定期間で超えれば1年後に課税事業者になるのが原則です。一方で、これらに該当しなければ免税事業者としてその年の消費税納税は免除されます。例えば、新規に事業を開始した個人は基準期間が存在しないため、開業年とその翌年は原則として消費税は免除されます。

サラリーマン大家のように個人で不動産賃貸を営んでいる場合、消費税判定上の「課税売上高」にはその個人が行うすべての消費税の課税対象となる事業収入が合算されます。ポイントは、消費税の対象となる売上かどうかです。例えば、居住用アパートの家賃収入は非課税売上なので課税売上高には含まれませんが、駐車場収入や店舗テナントからの賃料収入は課税売上に該当します。したがって、個人事業主としてそれら課税売上の合計額が1,000万円を超えるかどうかで判断します。

合算の例: サラリーマンであるAさんが副業で賃貸マンション経営をしており、年間の住宅家賃収入が800万円、駐車場収入が300万円あるケースでは、住宅部分は非課税ですが駐車場は課税売上です。この場合Aさんの課税売上高は300万円となり、合計1,100万円の収入があっても課税売上高は1,000万円以下なので翌々年も免税事業者のままとなります。逆に、課税売上にあたる事業収入が基準期間に1,000万円を超えていれば、給与所得(サラリーマン収入)は含まなくとも課税事業者に該当します(給与や不動産譲渡などはそもそも消費税の課税取引ではないためカウントされません)。

要するに、個人の消費税は同一個人の事業売上をトータルで判定するということです。サラリーマン収入や株式譲渡益など事業とはみなされない所得は含めず、賃貸業やその他事業収入が複数あればすべて足し合わせて確認します。複数の物件を所有していればもちろん全物件トータルの課税売上で判定しますので、「サラリーマンだから大丈夫」という油断は禁物です。副業大家でも課税売上が大きくなれば消費税の申告義務が生じますので注意しましょう。

不動産を保有する法人(不動産管理会社など)の場合も、基本的な判定基準は個人と同じで、前々事業年度の課税売上高が1,000万円超であるかで当期の課税事業者該当性が決まります。法人では事業年度が基準となるため、例えば決算期が3月の会社なら2022年4月~2023年3月期(2期前)の課税売上高を基準期間として、そこで1,000万円を超えていれば2025年4月期から課税事業者になる、といった流れです。

法人にも特定期間の概念があり、前事業年度開始日から6か月間(第1期であれば設立日から6か月)の課税売上高または給与支払額が1,000万円超の場合には、当期から課税事業者となることがあります。新設法人の場合、原則として資本金1,000万円未満で設立すれば最初の2期は基準期間が無いため免税となりますが、資本金が1,000万円を超える法人は設立初期から消費税が免除されない点に注意が必要です。つまり、1,000万円超の資本金で会社を作ると、第1期から問答無用で課税事業者となる特例があります(大企業等が安易に免税メリットを享受するのを防ぐ措置です)。

要点を整理すると、法人オーナーも基本は「2期前売上高」で判定し、さらに直前期の前半6か月もチェックするという点は個人と共通です。ただし法人特有の例外として「資本金1,000万円超で設立した場合」などは初年度から課税事業者になるため、節税目的で会社を作る際には資本金額にも留意しましょう。不動産管理法人を新設して賃貸収入を移管する場合など、設立時の条件で消費税免除の可否が変わってきます。

免税事業者とは上述の基準で消費税納税義務が免除されている事業者を指し、この間は売上に対し消費税を預からず納める必要もありません。一方、課税事業者になると課税売上に対して原則として消費税分を預かり、申告によって納税するとともに、仕入や経費で支払った消費税の控除(仕入税額控除)が可能になります。免税事業者のままでは消費税の還付を受けることもできませんので、大きな設備投資をする際には課税事業者になることのメリット・デメリットを検討する必要があります。

2023年10月にインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まり、これに合わせて「2割特例」と呼ばれる経過措置も導入されました。これは、免税事業者だった事業者がインボイス発行事業者(=課税事業者)となった場合に、一定期間、納める消費税額を売上にかかる消費税額の2割に軽減できる特例制度です。平たく言えば、本来100%納めるところを20%だけ納付でOK(80%は実質免除)という緩和措置で、インボイス制度開始後3年間(法人は原則2023年10月~2026年9月までの各課税期間)適用できます。この特例を使うと、たとえ課税事業者になっても消費税の納税負担が大幅に抑えられるため、免税事業者からの転換による影響を緩和できます。

ただし2割特例の対象者はあくまで「インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった事業者」に限られます。元々基準期間で1,000万円超だったような事業者(既存の課税事業者)は対象外です。また適用期間が限られており、いずれ通常の納税に移行します。申告時に特例適用の旨を記載するだけで利用できますが、一度通常課税で申告した後に遡って特例適用に変更することはできない(適用漏れに注意)など、いくつか細かな注意点もあります。

免税事業者と課税事業者のどちらが有利かはケースバイケースです。免税事業者でいる間は消費税分丸々が手元に残りますが、例えばテナント等から「インボイス発行ができないなら賃料を見直してほしい」と交渉されるリスクもあります(次項で解説)。課税事業者になれば消費税分を価格転嫁できますが、同時に納税義務や事務負担が発生します。2割特例もうまく活用しつつ、どちらの立場を選ぶかは収支シミュレーションと取引先の状況を踏まえて判断すると良いでしょう。

2023年10月より開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、事業者間取引における消費税の仕入税額控除の方式を大きく変える制度です。不動産賃貸業にも少なからず影響が及ぶため、大家さんや不動産オーナーも基本を押さえておく必要があります。ここではインボイス制度の概要と、不動産賃貸に関わるポイントを整理します。特に、居住用と事業用で扱いが異なる点に注意しましょう。

インボイス制度とは、簡単に言えば「適格請求書発行事業者」が発行する一定の要件を満たした請求書・領収書(=適格請求書、通称インボイス)を用いて取引毎の消費税額を正確に把握しようという制度です。適格請求書には登録番号税率ごとの消費税額などの情報を記載することが義務付けられ、これらの要件を満たさない請求書では仕入税額控除(仕入側が消費税を差し引くこと)ができなくなります。制度開始に伴い、事業者は自ら税務署に申請してインボイス発行事業者(課税事業者)として登録を受ける必要があり、登録された事業者には「Tから始まる13桁の登録番号」が付与されます。

インボイス制度の目的は、消費税の適正な課税と公平性を確保することです。これまでは免税事業者からの課税仕入れでも仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度後は適格請求書を保存していない課税仕入れについては控除不可となりました。したがって、仕入側(購入者)は取引先にインボイス発行事業者であることを求めるインセンティブが働きます。売り手側はインボイス発行事業者となっていない場合、取引先から敬遠されたり消費税分の値引きを求められる可能性があります。

まとめると、インボイス制度=登録事業者が発行する「仕入税額控除に使える請求書」のことです。発行事業者になるには課税事業者である必要があり、免税事業者のままではインボイスを発行できません。2023年10月以降、ビジネスの現場では請求書に登録番号等が記載されているかが非常に重要になっています。不動産業でも例外ではないため、次節で賃貸経営における具体的な影響を見ていきましょう。

不動産賃貸業で扱う収入のうち、居住用物件の家賃収入は消費税が非課税です。これはアパートやマンションの賃料のように、居住の用に供する建物の貸付については消費税を課さないという法律上の定めによるものです。したがって、住宅の家賃にはそもそも消費税がかからず、貸主(大家)は入居者から消費税を預かることもありません。そのため、インボイス制度においても居住用賃貸のオーナーはインボイス発行事業者になる必要が基本的にはありません。適格請求書が無くても非課税取引なので、借主(入居者)は仕入税額控除の影響を受けないためです。

例えば、サラリーマンが個人契約で賃借する住宅や、企業が社員寮・社宅として借り上げる物件(契約名義が法人でも居住用であれば非課税)の賃料は、貸主が課税事業者かどうかに関わらず消費税は発生しません。したがって請求書に消費税額を表示する必要もなく、インボイス(適格請求書)の交付義務もありません。居住用賃貸しかしない大家さんであれば、無理にインボイス登録する必要はない場合が多いのです。

ただし注意点として、居住用賃貸のみだと課税売上がゼロで免税事業者のケースがほとんどですが、他に事業収入がある場合には状況が変わります。例えば駐車場収入等で課税売上がある場合や、後述するようにテナント用の店舗物件も所有している場合には、一部でも課税取引を行う以上インボイス対応を検討しなければなりません。その場合でも、居住用の部分については非課税であるためインボイス不要ですが、課税取引部分との切り分けに注意する必要があります。いずれにせよ、純粋に住宅の賃貸だけを行っているオーナーであればインボイス制度開始後も大きな影響はなく、現状通りの経営を継続できます。

店舗や事務所など事業用物件の賃料は、住宅と異なり消費税の課税対象です。オフィスビルやテナント貸ししている店舗物件の家賃には10%の消費税が上乗せされ、貸主が課税事業者であれば借主から消費税を預かって納税します。インボイス制度の導入により、事業用物件の貸主(オーナー)はインボイス発行事業者への登録を強く求められる状況になりました。

理由は、借主側(テナント企業等)が支払う賃料の消費税について仕入税額控除を受けたいからです。もし貸主がインボイス未登録(=免税事業者)のままだと、テナントは適格請求書を受け取れないため支払った消費税の控除ができず、実質的なコスト増になります。そのため、多くの事業用テナント契約では「貸主がインボイス発行事業者であること」を条件としたり、少なくともテナント側から登録の打診があるでしょう。今後契約更新や新規契約時に、「インボイスに対応していないなら家賃を減額して欲しい」「他の物件に移る」といった交渉・判断が行われるケースも想定されます。

貸主側の対応要点としては、課税事業者になる決断と事務対応の準備が挙げられます。課税事業者になると消費税の納税義務が発生し、それまで免税だった分の収入が減る(消費税分を納税する)点に留意が必要です。一方でインボイス未対応のままだと、先述の通りテナント離れや賃料交渉といった経営リスクが高まります。事業用物件を所有するオーナーは、自身の課税売上規模や収支に基づき、インボイス発行事業者へ登録すべきか早めに検討するべきでしょう。

また、登録した場合は適格請求書の交付・保存など事務作業の煩雑化も伴います。毎月の請求書発行業務で消費税額や登録番号の記載が必要になるほか、受け取る側としても仕入れの請求書管理が厳格化します。これらに対応するため、会計ソフトの活用や税理士への依頼によって事務負担を軽減することも有効です。

まとめ: 店舗・事務所などへの賃貸収入があるオーナーは、インボイス制度の影響を強く受けます。課税事業者となりインボイス発行に対応することでテナントのニーズに応えることが重要ですが、その際は消費税納税や事務手続きの増加を見込んでおきましょう。なお、インボイス開始から6年間は経過措置があり、登録していない免税事業者からの課税仕入れでも一部(初期3年は80%、次の3年は50%)は仕入税額控除が認められます。しかし最終的には2029年10月以降、インボイスが無い取引の控除は一切できなくなるため、長期的にはインボイス対応が不可避といえます。

インボイス制度は賃貸取引だけでなく、不動産の売買にも影響します。不動産売買は多額の消費税が絡むケースがあり(建物部分の売買代金に消費税が課税されます)、売主・買主双方が事業者である場合にはインボイスの有無が重要になります。

売主の立場から見ると、自社が課税事業者で物件を販売する際には買主から適格請求書の発行を求められる可能性があります。なぜなら、買主がその物件を事業用途で購入する場合、支払った消費税の控除を受けるためにインボイスが必要となるためです。例えば不動産業者同士の取引や、法人が事務所ビルを取得する場合などでは、売主がインボイス発行事業者でないと買主に消費税額の控除という不利益を与えてしまいます。そのため、売主側は買主からの要望に応じてインボイス要件を満たす請求書を発行できるよう準備する必要があります。

一方で買主の立場では、物件購入時に払った消費税について仕入税額控除を受けるためインボイスを取得することが課題となります。もし売主が免税事業者(インボイス未登録)だった場合、その取引に消費税が含まれていても買主は控除を受けられません。実務上は、売買契約前に売主がインボイス発行事業者か確認したり、そうでない場合は売買代金を消費税込ではなく税込み相当額(消費税分を差し引いた値引き)にする交渉が行われる可能性があります。特に高額な建物取引では消費税額も大きいため、インボイスの有無で取引条件が大きく変わることも考えられます。

なお、不動産売買に関しては土地は非課税建物は課税という基本があります。土地代金に消費税はかかりませんが、建物代金には消費税が課されます。例えば中古マンションを個人から購入する場合、売主がそもそも事業者でなければ消費税は課されずインボイスもありません。この場合買主は消費税を払っていないので控除もありません。一方、新築建売住宅や事業用ビルを不動産会社から購入する場合は建物部分に消費税が課税され、買主(事業者)はその消費税を控除するためにインボイスを要求することになります。

まとめると、不動産売買において事業者同士の取引であればインボイス対応が強く求められます。売主は適格請求書の発行準備、買主は発行を受けられない場合のリスク織り込みが必要です。特に不動産投資家が物件を売却する際、自分が免税事業者だと買い手が敬遠するケースもあり得ますので、売却前に課税事業者を選択しておく(インボイス発行事業者になる)ことも検討すべきでしょう。逆に、買主の立場では売主が免税事業者でも、転売目的で仕入れる不動産なら帳簿のみ保存でも仕入税額控除が可能という特例もあります[宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入が対象です]。このあたりの扱いはケースバイケースで複雑なため、大口の不動産取引を控えている場合は事前に税理士へ相談することをおすすめします。

不動産投資の世界で一時期話題になったのが、消費税の還付です。高額な建物を購入した際に支払う消費税を、条件を満たせば税務署から還付(払い戻し)してもらえる制度で、資金繰り改善のメリットが注目されました。しかし、近年の税制改正で不動産投資における消費税還付スキームは大きく規制が強化されています。このセクションでは、消費税還付の基本的な仕組みと、その活用に潜むリスク・注意点について解説します。

消費税還付とは、課税期間(通常1年)の消費税計算で仕入税額控除の方が大きくなった場合に、その差額が納税者に返金されることを指します。消費税の納税額は「課税売上にかかる消費税 - 課税仕入等にかかる消費税」で計算されますが、もし仕入に含まれる消費税額が売上にかかる消費税額を上回ると、マイナス分は税務署から還付してもらえるのです。たとえば、課税売上に係る消費税が100万円、課税仕入に含まれる消費税が150万円であれば、その差額50万円が還付金として戻ってきます。

不動産投資で典型的なのは、建物購入時に巨額の消費税を支払い、その年の賃貸売上に係る消費税よりも支払った消費税の方が多い場合です。課税事業者として適切に申告すれば、この超過分は還付を受けられます。実際、課税売上が少ない初年度に大きな買い物(物件取得)をして還付を受け、その後数年間は免税事業者に戻るといったスキームが一時期多く用いられました。

ただし重要なのは、還付を受けるには課税事業者であることが前提という点です。免税事業者のままではどれだけ仕入税額が多くても消費税の申告すら行わないため、当然還付もありません。また、還付を受けるということは過大に払った消費税があることを意味します。つまり「仕入税額控除できる支出」が大きいほど有利ですが、それは裏を返せば多額の支出(物件購入や設備投資)をしている状況でもあります。還付金は一時的なキャッシュフロー改善にはなりますが、投資の収益性全体を冷静に見極める必要があります。

不動産投資家の中には「自分も消費税の還付を受けたいが、できなかった」という方もいます。還付が受けられない主な理由としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 売上が非課税取引中心である場合: 例えば住宅の賃貸収入しかないような場合、課税売上がほとんどありません。このように課税売上割合が極端に低いと、仕入に含まれる消費税の多くは控除できず還付に繋がりません(後述の95%ルール参照)。
  • 免税事業者で申告していない場合: そもそも基準期間1,000万円以下で課税事業者になっていないケースでは、消費税申告義務がなく仕入税額控除の制度自体を使えません。課税事業者選択をしていない限り、どれだけ建物を買おうが還付は受けられないのです。
  • 簡易課税制度を適用している場合: 簡易課税ではみなし仕入率によって一律で仕入控除額を計算するため、大きな設備投資をしても仕入税額控除額は増えません。結果として還付は発生しない計算になるため、大規模投資時には原則課税に戻っておく必要があります。
  • インボイス未対応の仕入がある場合: 2023年以降、仕入先が免税事業者だと控除できる消費税額が段階的に減っています。将来的にはインボイスが無い課税仕入は全額控除不可となるため、還付狙いであっても仕入先のインボイス対応状況を確認しないと想定通り控除できない恐れがあります。
  • その他法律上の制限: 2020年の改正による居住用賃貸建物の仕入税額控除制限(後述)など、制度的に還付を封じる規定も増えています。これに該当すると、課税事業者であっても特定の支出については還付が受けられません。

以上のように、「消費税を払いすぎたから必ず戻ってくる」というわけではなく、消費税法の要件を満たして初めて還付が受けられる点を理解しましょう。特に不動産賃貸業は非課税売上が多いため、意図的に課税事業者になっておかないと還付チャンスはありません。また、近年の法改正で不動産投資に関する抜け道が塞がれつつあるため、最新の制度を踏まえた戦略が必要です。

かつて不動産投資家の間で利用されていた消費税還付スキームには、いくつかユニークな方法がありました。その代表例が「自販機スキーム」「金地金スキーム」と呼ばれるものです。これらは、不動産の賃貸収入が非課税であるため低くなりがちな課税売上割合を人為的に引き上げ、仕入税額控除を最大化しようとする手法でした。

  • 自販機スキーム: 購入したアパートやマンションに自動販売機を設置し、その売上を作ることで課税売上割合を上げる方法です。例えば住宅家賃だけだと課税売上0%ですが、自販機飲料の売上を立てれば多少なりとも課税売上が発生します。これにより「課税売上割合が95%以上なら全額控除可能」というルールを満たそうとする狙いがありました。特に空室が多いときに有効な手法でした。ただし、税務署にも目を付けられやすい方法でした。
  • 金地金スキーム: もう一つは金の延べ棒(地金)の売買を利用したものです。課税事業者となった上で消費税付きの金を大量購入し、それを売却することで課税売上割合を上げる方法です。こちらは自販機スキームとは違い満室稼働でも効果がありました。結果、多額の還付を受けられるため一時期横行しましたが、租税回避的な行為として問題視されました。

これら以外にも、「1物件1法人」で免税点を狙う方法(複数法人を駆使して各社の売上を1,000万円以下に抑える)、農地等の非課税資産を絡めたスキームなど、様々な手法が模索されてきました。しかし国税当局も黙って見ていたわけではなく、平成28年(2016年)改正令和2年(2020年)改正で段階的に規制を強化しました。

2016年の改正では、新設法人が設立直後に高額資産を購入して還付だけ受けてしまうケースを抑止するため、一定額以上の資産を取得した場合にはその後2期に渡り課税事業者選択の変更(簡易課税への変更等含む)を制限する仕組みが導入されました。これにより、短期間で免税事業者に戻ったり計算方式を有利に変えたりすることが難しくなりました。また、金融商品を使った脱法的な還付も封じ込められています。

極めつけが2020年の税制改正で、次項で詳述する居住用賃貸建物の仕入税額控除そのものを認めない措置です。これによって、従来の自販機や金地金で課税売上割合を上げるといった小手先では太刀打ちできない、大幅なスキーム封じが実現しました。背景には、消費税還付を狙った不自然な取引が相次いだことや、消費税収入の減少に対する危機感があります。税務当局と納税者の「いたちごっこ」の歴史の中で、不動産投資分野における消費税還付は年々ハードルが上がってきたと言えるでしょう。

消費税還付はうまくハマれば一時的に多額のキャッシュを得ることができますが、その節税スキームには相応のリスクも伴います。ここでは、還付を狙う際に注意すべき点を税務リスクの観点から整理します。

  • 経営の自由度が制限される: 還付スキーム最大のデメリットは、「本来であれば自由にできた経営判断が税制によって縛られる」ことです。例えば、本当は物件購入後2年で高値売却できたのに、消費税還付を受けたがために最低3年間は売却できず(後述の3年縛り)、結局3年後には市況悪化で思ったほどの値段で売れなかった…という事態も起こりえます。還付のメリットと引き換えに、投資のタイミングを逃すリスクがあることを認識しましょう。
  • 税制改正リスク: 前項で見たように、消費税還付スキームは法改正により封じられる可能性が高いです。実際2020年改正は不意打ちに感じた投資家も多く、従来の手法が突然使えなくなりました。将来さらなる改正が行われる余地もあり、今有効なスキームがこの先も保障されているわけではありません。「グレーな手法ほど早晩封じられる」という前提で、長期的な計画を練る必要があります。
  • 税務調査のリスク: 大きな還付申告をすると、高確率で税務署による内容確認や調査が行われます。適法な手続きであれば問題ありませんが、領収証の不備や事実と異なる申告がないか厳しくチェックされます。特にインボイス制度開始後は、仕入税額控除の適否を確認する調査がより細かくなると予想されます。不備があれば還付が減額・否認され、追徴課税や延滞税のリスクもあります。
  • 事務負担と専門知識: 還付を受けるには課税事業者選択から適切な帳簿処理、申告書の別表作成まで煩雑な手続きが必要です。個人で対応するのは難しく、税理士など専門家のサポートが不可欠でしょう。その費用や手間も織り込んで、果たして還付スキームが「割に合う」のかを見極めることが大切です。

以上を踏まえ、消費税還付は万能ではないことを肝に銘じましょう。確かに、投資初期に還付金を得られれば資金繰りは楽になります。しかしその裏にはリスクやコストが存在し、最終的な利益を総合的に判断する必要があります。「節税対策だから」と飛びつくのではなく、メリットとデメリットを天秤にかけた上で慎重に決断すべきです。不安な点があれば信頼できる税理士に相談し、自分の投資スタイルに合った方法かどうか検証してもらうのが賢明でしょう。

前章で触れた通り、2020年の税制改正において不動産投資家に大きな影響を与えたのが、居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限です。これは、賃貸住宅(アパートやマンション)を購入した際に支払った消費税の扱いに関するもので、いわゆる還付スキームへの抜本的対策となりました。この章では、令和2年改正の内容と背景、さらに新たに設けられたルール(3年縛りや転用時の調整)について詳しく見ていきます。

2020年(令和2年)の税制改正により、居住用賃貸建物を取得した際の消費税について原則として仕入税額控除ができなくなりました。具体的には、課税事業者が2020年10月1日以降に税抜価額1,000万円以上の居住用賃貸建物を購入した場合、その建物に含まれる消費税相当額は、それ以降の消費税申告で預かった消費税(売上側)から控除できないこととされたのです。簡単に言えば、アパートやマンションを買っても消費税の還付を受けられなくなったということになります。

例えば、従来であれば課税事業者として1億円の賃貸マンション(うち建物7,000万円+消費税700万円)を購入し、賃貸売上に対する消費税が少なければ700万円の還付を受ける…といったことが可能でした。しかし改正後は、この700万円は仕入税額控除の対象から除外されます。したがって消費税の計算上は還付どころか、その700万円分は控除不能税額として処理され、最終的に経費(建物の取得原価)に算入されることになります。なお、この改正は原則課税方式(本則課税)にのみ適用されます。簡易課税を選択している場合は元々建物購入による個別の仕入控除計算はしないため、この制限の直接の影響は受けません(もっとも簡易課税では還付が発生しないため、還付スキーム自体活用できませんが)。

ただし、この改正には経過措置的な救済策も設けられました。それが「3年内に売却した場合の後からの控除」です。購入した居住用賃貸建物について、取得の日が属する課税期間開始日から3年以内にその建物を譲渡(売却)した場合には、当初認められなかった仕入税額控除を後になってまとめて受けることができます。例えば上記のマンションを購入後2年で売却した場合、購入時には控除できなかった消費税700万円の一部を、売却時の課税期間において仕入税額控除として認めるという措置です。これは、短期売却(いわゆる転売)目的の取得まで一律に控除不可とすると実需の投資に影響が大きいため、一定のフォローをしたものと考えられます。

また、購入した建物が一部事務所や店舗として使われている混合用途の場合にも対応があります。建物全体が住宅用途なら全額控除不可ですが、仮に1階部分がテナント(課税対象)で2階以上が住宅という場合には、床面積割合等に応じて事務所部分は課税仕入として控除が可能です。一方、住宅部分に対応する消費税だけが控除できない扱いとなります。つまり、その建物が実際にどの程度居住用かに応じて課税・非課税を按分計算することになります。

この令和2年改正は、多くの不動産投資家に衝撃を与えました。従来、数千万円規模の還付を受けていたスキームが完全に使えなくなったためです。「これで消費税還付は終わった」と言われるほど大きなインパクトであり、実際この改正以降、消費税還付を前提にした投資話は影を潜めています。

それでは、なぜここまで思い切った改正が行われたのでしょうか。背景には、前述した不自然な還付スキームの横行と、それによる租税公平性の歪みがあります。特に居住用賃貸建物の購入を巡っては、多くの投資家が課税売上割合の低さを逆手に取った還付を受けていました。課税売上割合が低い場合は本来仕入税額控除額が制限されますが、そこを補うべく金地金の売買等で割合を引き上げる手法が広まっていたのです。

国税庁はこうした動きを問題視し、「居住用不動産購入時の消費税は最初から控除させない」という大胆な一手に踏み切りました。この制度導入の経緯としては、租税回避的な還付を未然に防ぎ、消費税制度の信頼性を守る目的がありました。住宅の賃貸は非課税なのに、その取得段階の消費税だけ返してもらえるのはおかしい、という考え方です。実際、改正により課税売上割合に関係なく仕入税額控除不可となったことで、「少しでも課税売上を作れば丸ごと還付できる」という余地は完全になくなりました。

制度導入時には不動産業界から慎重論もありました。賃貸住宅の供給にブレーキがかかるのではないか、という指摘です。しかし当局は、真に実需の賃貸経営であれば消費税還付がなくとも成立するはずであり、むしろ還付ありきの投資は健全でないと判断したのでしょう。結果として改正は予定通り実施され、現在に至ります。不動産投資家にとっては厳しい内容でしたが、これも消費税還付スキームの濫用に対する一種のペナルティと捉えることもできます。

今後もし賃貸用物件の取得で消費税還付を期待するのであれば、それは事務所ビルや商業施設など100%課税売上を生む物件に限られると言っても過言ではありません。居住用を含む物件では基本的に還付は望めないため、投資判断も変えていく必要があります。この改正は税務リスクと制度改正リスクの現実化そのものであり、これからの不動産投資戦略において重要な教訓となりました。

2020年改正に関連して、不動産投資家が押さえておくべきルールに「3年縛り」があります。正式には高額特定資産に関する規定ですが、わかりやすく言えば「高額な資産を購入して還付を受けたなら、少なくとも3年間は課税事業者で居続けなさい」というものです。具体的には、1,000万円超の建物など調整対象固定資産を取得した課税期間の翌期以降、3年間は課税事業者から免税事業者に戻ることができず、かつ簡易課税の選択も制限される仕組みです。

この新3年縛りによって、以前行われていた「還付だけ受けてすぐ免税事業者に戻る」「翌期から簡易課税にして納税額を圧縮する」といった動きは困難になりました。例えば、課税事業者を選択して物件取得により還付を受けた場合、少なくとも向こう3期は課税事業者のまま消費税申告を継続し、賃貸収入に対する消費税納税を行わなければなりません。免税事業者に戻れるのは4期目以降ということになります。

このルールは法人・個人を問わず適用されます。したがってサラリーマン大家であっても、還付スキームを使った場合は3年間は消費税の申告と納税の義務から逃れられないことになります。簡易課税の選択もできないため、その間は手間のかかる原則課税で計算を続ける必要があります。

なぜ3年なのかという点ですが、これは先ほど触れた居住用賃貸建物の3年内売却時の救済措置と歩調を合わせたものと考えられます。3年未満で売却した場合には後から控除を認める一方、3年以上保有するなら最初から還付を受けるのはおかしい、という理屈です。要は「短期売却なら例外を認めるが、長期保有前提で還付だけもらって逃げるのはダメ」とするバランスなのでしょう。

この新3年縛りは、以前からあった2年縛り(課税事業者選択は原則2年間継続)より期間が延びた形でもあります。より厳格に還付スキームを封じる意思の表れと言えます。今後、不動産を購入して消費税還付を得ようとするなら、少なくとも3年間は消費税を払い続ける覚悟が必要です。その間の納税も踏まえてトータルで得か損か、慎重に判断しなければなりません。

前述のように、居住用賃貸建物については購入時に仕入税額控除が認められませんが、用途転用や譲渡の際には調整措置があります。具体的には、取得後3年以内にその建物を事業用に転用(例えば社宅をオフィスに変更して賃貸)したり、第三者へ譲渡した場合には、その時点で仕入税額控除を認めることとされています。

例えば、当初は賃貸アパートとして取得した建物を2年後に自社で社用ビルとして使うことにした場合、「住宅の貸付以外に転用した」ことになります。このケースでは、購入時には控除できなかった消費税分を、転用した課税期間の仕入控除税額として計上できます。同様に、取得から3年以内に売却した場合も、その売却時にまとめて控除が認められます。これらは3年以内に用途変更や売却が行われた場合に限る点に注意が必要です。裏を返せば、3年を過ぎてから転用・譲渡しても既に時遅しで、購入時に控除不可だった消費税は結局戻ってこないということになります。

また、転用や譲渡をした際には、それ以前に控除できなかった消費税額をどの程度認めるかを計算する必要があります。もし建物の一部のみ事業用に転用した場合(例えば半分は引き続き住宅賃貸で半分を事業利用)、按分してその部分に対応する消費税のみ控除されます。売却の場合は所有者が変わりますので、控除の権利が後任者に引き継がれるわけではなく、あくまで自分が持っている間の購入分が清算されるイメージです。

この調整措置は投資家にとって一筋の光明とも言えます。将来、物件の用途変更や売却の可能性がある場合、厳しい居住用還付制限にも一応の救済が用意されているからです。しかし逆に言えば、「3年以内にそうした動きをしないなら控除は永久に失われる」ことも意味します。したがって購入段階で、3年以内に売却/転用する計画がないなら還付は当てにせず、消費税分はコストとして織り込むべきでしょう。

以上、居住用賃貸建物の消費税還付制限について詳しく見てきました。2020年改正は不動産投資における消費税実務を大きく変えたと言えます。このルールを踏まえて、投資判断やシミュレーションを行うことが肝要です。当税理士事務所では、こうした最新税制に対応したコンサルティングも行っておりますので、不明点があればお気軽にご相談ください。

不動産賃貸業、とりわけ居住用物件の賃貸は消費税法上課税売上割合が低くなりがちという特徴があります。課税売上割合とは、課税期間内の総売上高に対する課税売上高の比率のことです。賃貸業では非課税売上(住宅家賃)が大半を占めるため、この割合が極端に低くなります。ここでは課税売上割合の基本と、それが賃貸業に与える影響、さらにそれを踏まえた簡易課税制度の利用について解説します。

課税売上割合とは、ある期間の総売上に占める課税取引の売上割合を指します。基本的には、課税期間中の課税売上高 ÷ 総売上高(課税+非課税売上)で求めます。消費税の仕入税額控除を計算する上で重要な指標で、この割合が95%以上かどうかで控除計算方法が変わります。

  • 課税売上割合が95%以上の場合: 課税仕入に含まれる消費税額の全額を控除可能です。つまり、経費や仕入にかかった消費税をすべて差し引いて納税額を計算できます。大量の非課税売上がないため、消費税計算上シンプルなケースと言えます。
  • 課税売上割合が95%未満の場合: 課税仕入等の消費税額のうち、課税売上に対応する部分のみ控除します。基本的には、課税仕入に含まれる消費税額 × 課税売上割合 = 控除可能額、残りは控除不可(損金算入などの対象)と理解してください。

この95%基準は中小事業者への簡便措置として設けられていたもので、現在は適用対象が「課税売上高5億円以下」の事業者に限定されています(大規模事業者にはたとえ95%超でも個別按分計算を求める改正がされています)。

計算方法の例: ある課税期間の総売上が1億円で、そのうち課税売上が5,000万円だった場合、課税売上割合は50%となります。これが95%未満なので、その期間の課税仕入に含まれる消費税は半分しか控除できず、残り半分は控除不可となります。一方、課税売上が9,800万円・非課税売上200万円(比率98%)であれば95%超なので全額控除可能です。

また、仕入税額控除の計算方法には「個別対応方式」「一括比例配分方式」があります。個別対応方式では課税対応の経費と非課税対応の経費を分けてそれぞれ控除計算し、共通経費部分は按分します。一括比例配分方式では全経費に課税売上割合を乗じて一括計算します。どちらを採用するかで控除額が変わることもあり、不動産賃貸のように非課税売上が多い業種では慎重な検討が必要です(一般には共通率が高い場合、一括比例の方が簡便な反面控除額が少なくなりがちです)。このような計算の選択・シミュレーションも、税理士の腕の見せ所と言えます。

では、なぜ不動産賃貸業は課税売上割合が低くなりやすいのでしょうか。その理由は単純で、売上の大部分が非課税取引だからです。具体的には、個人向け住宅の家賃収入や月極駐車場(住宅付帯としての駐車場含む)は非課税売上になります。一方、課税売上に該当するのは事業用物件の賃料やコインパーキング収入、自販機売上など一部です。

例えば典型的なアパート経営では、収入のほぼ100%が非課税の住宅家賃でしょう。課税売上割合は0%となり、仕入税額控除は原則一切認められません。もし駐車場代や看板設置料などでわずかに課税売上があっても、大抵は全体の数%以下です。95%には到底届かないケースがほとんどで、結果として課税仕入れの大半は控除できず自腹を切る形になります。

このように居住用賃貸中心の大家さんでは、課税売上割合が極端に低いのが通常です。だからこそ前節まで述べた還付スキームでは、自販機や金地金取引で無理やり課税売上を作る必要があったわけです。しかしそれも先述の通り制度で封じられ、現状では割合が低いままでは大きな仕入控除は望めません。

なお、課税売上割合が低い=悪いこととは一概に言えません。非課税売上が多いということは、住宅ニーズに応える賃貸経営をしている証拠でもあります。また税務面では実は有利であり、消費税の面から見ると消費税を納める必要のない売り上げが大半ということがいえます。

ところで、商業ビル賃貸は売上=課税売上なので100%が普通です。住宅と商業の複合物件を持っている場合、商業部分の割合をどれだけ増やせるかで課税売上割合が上がり、相対的に仕入控除額も増える可能性があります。

前述の通り、課税売上割合が95%以上であれば仕入税額控除を全額受けられるという一つのボーダーがあります。しかし居住用賃貸業で95%を超えるのは至難の業です。ほぼ全戸を事務所用途に転用しない限り、住宅家賃が少しでもあればすぐ95%未満に落ちてしまうからです。

95%ルールをクリアできないと、先述のように課税対応分以外の仕入税額控除ができません。例えば物件の管理料(課税)を支払っていても、住宅家賃に対応する部分は控除できずコストとして消えることになります。結果として、消費税分だけ実質的な経費負担が増える構造です。

この壁を超えるための策としては、そもそも賃貸経営の方針を変える必要があります。具体的には、住宅ではなく事業用賃貸にシフトする、あるいは建物の一部を積極的にテナント誘致するなどです。しかし住宅需要を捨ててまで消費税のために方針転換するのは本末転倒でしょう。多くの場合、不動産投資は住宅賃貸が主流であり、それ自体収益性もあります。無理に95%超えを狙うより、課税売上割合が低い前提で経営を組み立てる方が現実的です。

むしろ税務戦略としては、この壁を超えられない場合にどう対処するかがポイントです。次項で述べる簡易課税制度の選択も一つの手ですし、また居住用賃貸建物購入時の消費税を予めコスト計上しておく(還付を期待しない)といった割り切りも必要でしょう。いずれにせよ、不動産投資における消費税は「全額控除できないのが当たり前」という認識でいた方が安全です。

課税売上割合の問題と関連して、不動産賃貸業者にとって有用なのが簡易課税制度です。簡易課税制度とは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できる消費税計算方式で、業種ごとに定められたみなし仕入率を用いて納税額を計算する仕組みです。

不動産賃貸業は第6種事業に分類され、そのみなし仕入率は40%と定められています。つまり簡易課税を選択すると、売上に含まれる消費税額の40%を仕入控除税額とみなして計算することになります。例えば家賃収入の課税分が年間100万円(消費税額)あれば、40万円を控除した残り60万円だけ納税すればよいという計算です。

簡易課税のメリットは主に以下の点です。

  • 計算・事務が簡単: 実際の仕入や経費の消費税額を集計する必要がなく、売上高さえ把握できれば納税額を算出できます。課税売上割合の煩雑な按分計算も不要です。
  • 納税額が軽減される場合がある: 不動産賃貸業では経費の多くが非課税(固定資産税や減価償却費など)であり、実際には控除できる消費税が少ない傾向にあります。しかし簡易課税では一律40%を控除とみなせるため、実際より多めに仕入税額控除を取った計算になるケースもあります。結果、原則課税より納税額が減る(有利になる)可能性があります。
  • 消費税申告の手間削減: インボイス制度下でも、簡易課税であれば受領した請求書の保存義務こそありますが、自社が払った消費税の集計を厳密にする必要はありません。事務負担軽減につながります。

一方、簡易課税のデメリットもあります。

  • 多額の還付が受けられない: 最大のデメリットはこれです。にあるように、簡易課税を選択すると多額の設備投資をしても仕入税額控除は増えず、基本的に還付は発生しません。例えば1億円の物件を買って2,000万円の消費税を払っても、簡易課税計算上は売上に応じた控除しか取れないため大部分が戻ってこないのです。従って非居住用賃貸物件購入時には簡易課税だと極めて不利になります。
  • みなし仕入率が実態と合わない場合不利: 不動産賃貸の40%という率は、経費構造によっては不利になることもあります。もし課税仕入の割合が本当は売上比で70%くらいあったなら、原則課税ならもっと控除できたのに、簡易では40%しか引けず損をします。特に事業用物件で経費(課税)が多い場合は注意です。
  • 原則2年間は方式変更不可: 簡易課税制度は一度選択すると原則2年間は継続適用が必要です。逆に適用しないと決めたら2年間は原則課税のままです(特例あり)。そのため、将来の物件購入計画などを見越して制度適用を判断しなければ、タイミングのミスマッチが起こる可能性があります。

総合的に見ると、小規模な不動産賃貸業では「普段は簡易課税にしておいて、物件購入の年だけ原則課税に切り替えて還付を狙う」という使い分けが有効でした。しかし前述の通り居住用建物では還付自体が困難になったため、この戦略も色あせています。むしろ、長期的に物件購入予定が無く安定経営をしている大家さんなら、簡易課税で手堅く納税負担を抑えるのが良いでしょう。売上規模が増えて5,000万円超になれば適用できなくなりますが、その際は原則課税でしっかり帳簿を付ける体制に移行すれば問題ありません。

当税理士事務所でも、お客様の収支や投資計画を伺った上で簡易課税の届出を出すかどうかアドバイスしております。消費税の納税額を長期的に最適化するため、制度のメリット・デメリットを正確に踏まえて選択することが重要です。

不動産投資を個人ではなく法人(不動産管理会社等)で行うケースも増えています。法人所有にすることで節税や相続対策のメリットが得られる場面がある一方、法人特有の会計処理や税務上の注意点も存在します。この章では、不動産を法人名義で保有・運用するオーナー向けに、消費税の会計処理ポイントや法人化の利点、さらに相続・事業承継時の留意点について解説します。

まず、不動産を法人名義で取得する場合に押さえておきたいのが消費税と不動産取得税に関するポイントです。

  • 土地と建物で消費税の課税非課税が異なる: 個人で買おうが法人で買おうが、消費税法上は同じです。土地の購入には消費税がかかりませんが、建物の購入には原則10%の消費税がかかります。法人で物件を購入する際も、建物部分の消費税負担は考慮しなければなりません。課税事業者であれば後で仕入税額控除できる可能性がありますが、免税事業者だとコストとして確定します。したがって、新設法人で資本金1,000万円未満だからと油断していると、建物購入時に想定外の消費税を払ってそのまま戻ってこないという事態もありえます。
  • 不動産取得税の負担: 不動産を取得すると都道府県税である不動産取得税が原則として課税されます。これは購入額に対して(正確には評価額に対して)かかる税金で、建物・土地ともに課税対象です。居住用住宅には軽減措置があったりしますが、法人で取得しても適用されるケースが多いです。消費税が還付されても不動産取得税は戻らないため、物件取得コストの一部としてきちんと織り込む必要があります。節税スキームで消費税分が浮いても、取得税は数百万円単位で別途払うことを忘れないようにしましょう。

さらに、物件取得時には印紙税(契約書貼付印紙)や登記費用など様々なコストがかかります。これらは消費税とは別立ての費用ですが、法人の場合経費処理のルールが明確なので漏れなく計上しましょう。消費税に関して言えば、法人の方が大口取引が多いためかかる額も大きく、課税・非課税の区分管理がより重要になります。土地と建物の振り分けなど、契約段階からしっかり確認することが大切です。

不動産管理法人を運営している場合、毎期末の決算処理において消費税の取り扱いも一つの山場となりえます。法人税等の計算と並行して、消費税申告書の作成が必要になることがあるからです。ここでは法人決算における消費税関連の会計処理ポイントをいくつか挙げます。

  • 税抜経理方式 vs 税込経理方式: 法人は基本的に「税抜経理方式」を採用することが多いです。これは日々の取引を消費税抜きの金額で記帳し、預り消費税や仮払消費税を別建てで経理する方法です。こうしておけば、決算時に消費税の未払(または未収)額が貸借対照表上明確になり、損益計算書上の売上や経費に消費税が混ざりません。一方、課税事業者ではない場合や経理簡便のため税込経理とすることも可能です。ただし税込経理だと消費税分も含めて費用計上されるため、後で還付を受けると損益が増える(雑収入計上)などの調整が必要になります。不動産法人で課税事業者なら税抜経理が望ましいでしょう。
  • 未払消費税の計上: 決算日時点での預り消費税・仮払消費税の残高は、原則として翌期に申告・納税するまで企業内に滞留します。これを決算書に適切に計上することが重要です。具体的には、預かった消費税から控除対象の仮払消費税を差し引いた未払消費税等を負債計上します。もし控除超過で還付となる場合は未収還付消費税(流動資産)を計上します。特に大規模還付の場合、貸借対照表に大きな金額が載るので、金融機関に決算書を見せる際などは説明が必要になるでしょう。
  • 課税・非課税の仕訳区分: 賃貸料収入については、居住用か事業用かで課税・非課税の区分を正しく仕訳しておく必要があります。混在する場合、科目を分けるか補助科目で明細管理するなどして、後の申告で困らないようにします。同様に、経費側でも消費税の課税仕入れになるもの(修繕費、管理委託料など)と非課税または不課税のもの(租税公課、利息、減価償却費など)をきちんと区分します。これを怠ると、いざ消費税申告を作る際に集計漏れや計算ミスが生じかねません。
  • 減価償却資産の控除対象外消費税: 前述の通り、居住用賃貸建物購入時の消費税は控除できず建物取得原価に含める扱いになります。これを会計上控除対象外消費税等として資産計上し、後で減価償却していく処理が必要です。具体的には建物1億円+消費税1,000万円で購入した場合、建物勘定に1億1,000万円で計上し、その後通常通り減価償却します(別途経理も可)。このように、控除できなかった消費税は損金算入のタイミングがズレる点に注意しましょう。

以上のように、法人決算では消費税一つとっても考慮事項が多岐にわたります。適切な会計処理と申告で税務リスクを抑えることが重要です。不動産法人オーナーの場合、賃貸料の収受や経費支出が定型化している面もありますが、消費税区分の設定や申告書の別表(例えば課税売上割合の計算明細など)は専門的です。税理士と相談しながら決算対応することをおすすめします。

次に、不動産投資の法人化による節税メリットについて触れます。個人で持つか法人で持つかは永遠のテーマですが、消費税だけでなく所得税・法人税、相続税まで絡めて検討する必要があります。法人化によって期待できる主な節税・利点は以下の通りです。

  • 所得分散と税率の引き下げ: 個人の不動産所得は累進課税で最大税率が高い(所得税住民税合わせて最大55%程度)ですが、法人税率は中小法人なら年800万円以下19%、超過部分23.2%、法人住民税等を含めた実効税率でも上限で約33%(2025年度時点)と比較的低率です。サブリーススキームなどにより物件収入を法人に移すことで、全体としての税率を引き下げる効果が期待できます。特にサラリーマン大家で給与と不動産所得が重なり高額所得者になっている場合、法人化で所得を切り離すメリットは大きいでしょう。
  • 経費計上範囲の拡大: 法人にすると、役員報酬や従業員給与、退職金制度などを活用でき、経費として落とせる幅が広がります。例えば家族を役員にして給与を払えば、その分法人の利益を圧縮できます(個人では青色事業専従者給与の制度がありますが上限等あり)。また法人名義で経営セミナー参加費や交際費なども一定範囲で損金にでき、結果として節税に繋がります。
  • 消費税の免税点活用(法人分割スキーム): かつて流行したのが、物件ごとに法人を設立して免税事業者枠を複数活用するスキームです。法人A・B・C…と複数に分け、それぞれの課税売上を1,000万円以下に抑えることで消費税を永続的に納めないようにする戦略です。特にテナント収入など課税売上がある場合に有効でした。しかし、法人維持の手間やコストが増えること、新設法人にも特定期間や資本金ルールがあることから、実際にやるには慎重な検討が必要です。またグループ判定(関係法人の売上合算)の特例もあり、あまり過信できない面もあります。
  • 資産規模拡大と融資: 節税とは少し異なりますが、法人にすることで金融機関からの融資が受けやすくなる場合があります。事業として不動産投資を行っているとみなされ、法人格への信用供与が広がるためです。結果としてより大きな物件取得が可能になり、経費(減価償却など)も増えることで節税と資産拡大の好循環が狙えます。もっとも昨今は法人スキームに金融機関も慣れており、個人に比べ融資審査が厳しいこともあるので一概には言えませんが、一つのメリットです。

ただし法人化自体にもコストやデメリットがあります。法人を維持するには毎年の決算・申告費用がかかり、赤字でも均等割の法人住民税を支払う必要があります。損失が出ても個人の給与所得とは損益通算できない、将来法人からお金を引き出すときに配当に課税され二重課税になる、なども留意点です。法人化の節税メリットがそれらを上回るかしっかり試算しなければなりません。

税理士として感じるのは、「法人化すれば何でも節税できる」わけでは決してなく、適材適所だということです。例えば課税売上がギリギリ1,000万円前後の大家さんなら無理に法人化しない方が消費税も所得税も有利だったりします。一方、将来的に物件を増やして賃貸事業を大きくするビジョンがあるなら早めに法人にした方が良いかもしれません。当税理士事務所でも、お客様の状況を伺いながら法人化のタイミングや是非をアドバイスしています。

法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

最後に、不動産を法人で所有することの相続・事業承継面での利点について触れます。高齢のオーナー様にとって、自分の代で築いた不動産資産を円滑に次世代へ引き継ぐことは大きなテーマです。法人を活用すると、以下のようなメリットがあります。

  • 株式による分割承継: 個人で不動産を所有していると、相続時に物理的にその不動産を分割したり共有にしたりと扱いが難しくなります。法人所有の場合、後継者は法人の株式を承継する形になります。例えばオーナーに子供が二人いれば、株式を50%ずつ譲る(もしくは相続させる)ことで不動産自体を無理に分割せずに共同経営させることも可能です。株式は割合で持てますが不動産はそう簡単にはいかないので、株式という単位で資産承継できるのは法人の強みです。
  • 株価対策がしやすい: 非上場会社の株価算定は原則として会社の純資産ベース等で評価されます。例えば不動産を法人が所有している場合、その簿価や含み益、会社の利益水準などから株価(相続税評価額)が計算されます。ポイントは、適切に対策すれば株価を下げて相続税評価額を圧縮できる可能性があることです。具体的には、不動産購入の借入金を残すことで純資産額を抑える、利益を圧縮しておくことで類似業種比準価額を下げる、などです。個人で持っていると不動産の評価額(路線価等)そのままが相続税評価になりますが、法人だと計算式次第で評価額が変わり得ます。ただし過度な操作は認められませんので専門家とシミュレーションすることが重要です。
  • 納税資金や分割の融通が利く: 法人を活用すると、オーナーの死去時に会社から遺族へ役員退職金を支給したり、保険を法人で契約しておいて満期金を受け取るなど納税資金準備策が取りやすくなります。また、不動産をそのまま後継者に相続させると他の相続人との調整が大変ですが、法人なら他の遺族には現金(生命保険金や会社の他資産)でバランスを取るといった柔軟な対応もできます。
  • 事業承継税制の活用: 不動産賃貸業は一般に「事業的規模」であれば事業承継税制(中小企業の株式を後継者が相続する際の納税猶予制度)の対象になる可能性があります。一定の要件を満たせば相続税・贈与税の納税を猶予できるため、大きな節税になります。ただ不動産賃貸業の場合適用が難しいケースも多いので、利用可否は専門的検討が必要です。

もっとも、法人化すれば相続が全て解決というわけではありません。デメリットもあります。法人名義の不動産は相続ではなく株式の承継になるため、不動産そのものを売却して分割したい場合に一手間かかります。また、不動産管理法人の株式を後継者以外が取得した場合に経営方針がぶれるリスクもあります。さらに、相続税評価が場合によっては個人所有時より高くなることもありえます(会社に現預金が貯まりすぎている、含み益が大きい等)。

要するに、法人化は相続対策の一手段ですが万能ではなく、他の手法(生前贈与、信託の活用など)と組み合わせて検討する必要があります。高齢オーナーの方は、「自分の代で法人にしておけば子供が継ぎやすいだろう」という観点で検討されることも多いですが、実際には細かな設計が重要です。当税理士事務所では相続専門の税理士が不動産オーナーの事業承継プランをサポートしておりますので、法人の活用も含めてお気軽にご相談ください。

法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

ここまで専門的な話をしてきましたが、実際にサラリーマン大家さんや高齢のオーナーの方が直面する消費税に関する悩みや疑問は千差万別です。本章では、そうした方向けに当税理士事務所が日々受けている相談テーマをいくつか紹介しながら、ポイントをお伝えします。確定申告から節税策、税務調査対応、税理士の見直しまで、現場目線で解説します。

サラリーマン大家の場合、毎年の確定申告は所得税(不動産所得)の申告がメインになります。しかし、前述の条件で課税事業者となっている場合や、課税事業者選択をしている場合には、消費税の申告も併せて行う必要があります。個人事業主の消費税申告は、基本的に年度翌年の3月31日(法人は事業年度終了後2か月以内)が期限です。所得税の確定申告期限(3月15日)より半月遅いですが、実務的には同時期にまとめて行うことが多いでしょう。

消費税申告のポイントとしては、

  • 課税売上・課税仕入の正確な集計: 課税売上高1,000万円超かどうかの判定でも触れましたが、住宅家賃と駐車場代など課税・非課税の区分を正しく整理することが重要です。家賃収入は非課税なので申告書上は記載不要ですが、駐車場収入や事務所賃料があれば「課税売上」に計上します。また管理費や修繕費など課税仕入についても、領収書や請求書を集計し、適格請求書であるかチェックしながら控除額を算定します。申告ソフトや税理士のサポートを受けることでミスを減らせます。
  • 地方消費税の計算: 消費税申告には、国税分だけでなく地方消費税分の計算も必要です。現在、消費税率10%のうち2.2%分が地方消費税(後から按分計算)となっています。申告書ではこれらを別立てで記載し、最終的な納付額を計算します。専門的な話ですが、地方消費税の仕組みを理解していないと計算誤りを起こしやすいので注意しましょう。
  • 中間納付の要否: 一定規模以上の消費税納税義務がある場合、年1回ではなく途中で中間納付が必要なことがあります。前年度の消費税額が48万円超なら年1回、400万円超なら年3回、4,800万円超なら年11回と、規模に応じて前払い的に納める仕組みです。サラリーマン大家でここまでのケースは稀ですが、例えば大きな物件を売却して大量の消費税を納めた翌年などには該当する可能性があります。中間納付がある場合は税務署から通知が来ますが、見落とさないようにしましょう。
  • 申告漏れ防止: 本業が忙しいサラリーマン大家さんだと、つい消費税申告を失念しがちです。しかし申告漏れになると無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生します。基準期間売上を超えた際やインボイス登録した際には必ず消費税も申告すること、忘れそうなら税理士に依頼してスケジュール管理することをおすすめします。

当税理士事務所では、所得税の確定申告と合わせて消費税申告のサポートも行っております。帳簿整理から申告書作成までワンストップで対応し、適切な控除漏れがないかチェックします。特に初めて消費税申告をする方は不明点も多いと思いますので、プロに任せて本業に専念するのも賢明な選択です。

サラリーマン大家や個人オーナーが活用できる節税スキームはいくつかあります。消費税に直接関わるものだけでなく、所得税や他の税目での節税策も含めてトータルに検討することが大切です。ここでは代表的なものを簡単に紹介します。

  • 青色申告の活用: 不動産所得を得ている個人は、一定の要件(5棟10室基準など事業的規模)を満たせば青色申告の承認を受けることが可能です。青色申告をすると、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるほか、青色事業専従者給与(家族への給与を必要経費にできる)や純損失の繰越控除(赤字を3年間繰り越せる)など多くの特典があります。賃貸規模が小さく事業的規模に該当しなくても、簡易な青色(10万円控除)は可能です。消費税とは直接関係ありませんが、所得税住民税の節税に大きく寄与します。当税理士事務所でも青色申告の届出サポートや帳簿付けの指導を行っています。
  • 減価償却費の計画的計上: 不動産投資における大きな経費である減価償却費は、節税のキモです。建物は定額法で耐用年数に応じて費用配分しますが、中古物件を買った年など一時的に償却費が多くなるときは、その年の所得税を大きく圧縮できます。また、償却資産として計上できる設備(エアコンや給湯器等)を個別に計上することで短い耐用年数で費用化するテクニックもあります。消費税還付が難しくなった分、減価償却による節税効果を最大化する方向にシフトするのも一案です。ただし将来の売却益圧縮も考慮する必要があります。
  • 小規模企業共済やiDeCoの活用: 個人事業主として大家業を営んでいる場合、小規模企業共済に加入して掛金を経費にする、あるいは個人型確定拠出年金(iDeCo)で掛金を全額所得控除にする、といった制度も使えます。節税と老後資金準備が両立できるメリットがあります。特に本業を退職された高齢オーナーの方などは、小規模企業共済への加入資格があるケースがありますので検討してみる価値があります。
  • 家族への分散: 不動産収入を家族に分散させ、各人の所得を抑えるのも基本的な節税策です。例えば物件の共有名義にして配偶者に家賃収入の一部を帰属させるなどです。収入分散で各人の税率を下げる効果が期待できます。ただし持分を動かすと不動産取得税や贈与税の問題も出ますので注意が必要です。
  • 法人スキーム: 既に紹介した法人化による節税も大きな論点です。法人スキームは所得税だけでなく消費税の免税メリットや相続税対策にも関わるので、総合的な節税プランとして検討します。実際に法人を設立する場合は、そのタイミング(物件購入の直前が良いか、年度切替が良いか等)や資本金設定に工夫が要ります。

これら節税策は、人それぞれ適用可否や効果が異なります。例えばサラリーマンの方だと小規模企業共済は使えませんが、代わりに確定申告で住宅ローン減税を受けているとか別の事情があります。大切なのは、税目横断でトータル最適な節税をすることです。当税理士事務所では、不動産所得だけでなくお客様全体の税務を見据えてアドバイスしていますので、「自分にはどんな節税策があるの?」という疑問はぜひ専門家にぶつけてみてください。

青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産オーナーにとって税務調査は避けたいイベントですが、万一調査が入った場合、消費税についてもチェックが入る点に留意が必要です。特に近年のインボイス制度導入後は、消費税の調査項目が増える可能性があります。主なチェックポイントを挙げます。

  • 課税・非課税の売上区分が適切か: 住宅の家賃を課税売上に含めていないか、逆に駐車場収入など課税売上を申告漏れしていないか確認されます。不動産所得の内訳と消費税申告の売上高が矛盾していないかも見られるでしょう。
  • 仕入税額控除の根拠書類: インボイス制度開始後は、仕入税額控除の適否が厳しく見られます。調査では適格請求書の保存状況や、経費計上した取引先の登録番号の有無などをチェックされる可能性があります。家賃送金や管理料の領収書、リフォーム費用の請求書など、税額控除を受けたものは一通り証憑の提示を求められるでしょう。
  • 過去の還付に対する整合性: もし過去に消費税還付を受けている場合、その後の経理や用途区分が適正かどうか見られることがあります。例えば3年間課税事業者を継続したか、新3年縛りを守っているか、といった点や、転用時の調整計算を漏れなくしているか等です。過年度の申告についても関連事項は確認されるため、資料は7年間は保管しておきましょう。
  • 収支全体の突合: 消費税調査と所得税調査は基本的にセットで行われます。不動産所得の経費と消費税の課税仕入額に大きな差異がないか、売上計上漏れがどちらかで発生していないか等、総合的に見られます。どちらか片方だけごまかすのは難しく、調査官も両面から検証してきます。

調査リスクを下げるには、日頃から正確な帳簿と書類保存を心がけることです。特に消費税は証憑書類が命ですので、領収書や請求書は整理して保管しましょう。また、調査対応は専門的ですので、税理士にお任せいただくと安心です。当税理士事務所でも税務調査立会いや事前対策のサービスを提供しております。万一お手持ちの帳簿等に不安がある場合は、早めにプロに点検してもらうと良いでしょう。

税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

最後に、顧問税理士の変更についてです。現在すでに税理士に頼んでいる大家さんや法人オーナーの中には、「もっと不動産に強い税理士に変えた方が良いのでは?」と感じている方もいらっしゃるでしょう。当税理士事務所にもセカンドオピニオン的に相談が寄せられます。税理士変更のメリットと注意点を整理します。

メリット:

  • 専門知識による提案: 不動産投資に詳しい税理士であれば、消費税還付スキームの規制動向やインボイス対応、法人化や相続対策など、専門的な提案が可能です。一般的な税理士だと敬遠しがちな消費税還付も、実績がある事務所なら安全にサポートできます。今の税理士がそうした提案をしてくれないなら、変更によって大きな節税効果を得られるかもしれません。
  • コミュニケーションの改善: 相性やレスポンスの問題で不満がある場合、新しい税理士に変えることで相談しやすさが向上する場合があります。特に若手大家さんだとITツール対応や情報発信に積極的な税理士の方が合うかもしれませんし、高齢オーナーだと親身に話を聞いてくれる税理士が良いかもしれません。当税理士事務所ではお客様との対話を重視し、不安や疑問に丁寧に答える方針です。
  • 報酬やサービス内容の見直し: 税理士によって得意分野やサービス範囲、報酬体系も異なります。もし今の契約がコストに見合っていないと感じるなら、他の税理士に切り替えて必要十分なサービスを適正料金で受けられる場合もあります。特に法人顧問料などは事務所によって幅があるので、比較検討する価値があります。

注意点:

  • 引継ぎ時のトラブル: 税理士を変更する際は、前任から資料を引き継ぐ必要があります。顧問契約を打ち切ると知った前税理士が協力的でないケースも稀にありますが、基本的には職業倫理に則り引継ぎしてもらえます。とはいえ、決算書や申告書、固定資産台帳など重要な資料は手元にも保管しておき、スムーズに次の税理士に渡せるようにしましょう。
  • タイミング: できれば決算や確定申告が終わった直後などキリの良い時期に変更するのが望ましいです。期中に変えると前任と後任で分担が曖昧になる可能性があります。ただ、緊急性があれば期の途中でも対応は可能です。インボイス登録時や消費税申告が発生したタイミングなど、必要に迫られたときは躊躇せず相談してみてください。
  • 解約の通知: 顧問契約には解約予告期間が定められていることがあります(月末解約なら○ヶ月前通知等)。契約書を確認し、マナーとしても早めに意思を伝えるようにしましょう。角が立たないよう丁寧にお礼を伝え、円満に終了することが次の税理士との関係にもプラスです。

総じて、税理士は相性と専門性が大事です。不動産投資という分野でより頼りになるパートナーが必要と感じたら、税理士変更を検討する意義は大いにあります。当税理士事務所ではセカンドオピニオン無料相談も受け付けておりますので、今の税理士には聞きにくいことでもお気軽にご相談ください。

長文にわたり、不動産投資と消費税に関する基本知識から最新制度、そして実践的なアドバイスまで解説してきました。不動産投資家、とりわけサラリーマン大家さんや不動産管理法人のオーナーにとって、消費税は難解でありながら無視できない重要テーマです。適切に対策すれば節税やキャッシュフロー改善に繋がる一方、知識不足から対応を誤ると思わぬ損失やリスクを被ることもあります。

税理士法人加美税理士事務所(当税理士事務所)は、不動産投資に強い税理士事務所として、多くのオーナー様の税務をサポートしてきました。消費税についても、インボイス制度の導入支援から還付申告の実績、法人スキームの活用、相続対策まで幅広く経験とノウハウを蓄積しています。記事内でも触れたように、法律や制度は常に変化しており、特に近年の消費税法改正は不動産業界に大きな影響を及ぼしました。当税理士事務所では最新の税制にキャッチアップしつつ、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な提案を心がけています。

不動産投資 税理士を探している」「消費税の申告や節税をプロに任せたい」「サラリーマン大家として何に気を付ければいいのか知りたい」――そんな時はぜひ当税理士事務所にご相談ください。初回のご面談で現在の税務状況をヒアリングし、問題点や改善余地を洗い出します。難しい専門用語はできるだけ噛み砕き、親しみやすく丁寧な説明を心掛けていますので、税金が苦手な方でも安心です。

不動産投資における消費税対策は、信頼できる税理士パートナーとの二人三脚で大きな効果を発揮します。当税理士事務所では記帳・申告代行といった基本サービスにとどまらず、経営計画や将来の相続も見据えた総合的なサポートを提供しております。「不動産投資の消費税のことなら当税理士事務所にお任せください」――この言葉に嘘はありません。お客様の大切な資産を守り、最大限に活用するお手伝いをすることが、私たち税理士の使命です。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が皆様の参考になり、消費税への不安が和らいだのであれば幸いです。具体的なケースでのシミュレーションや個別相談をご希望の際は、ぜひお気軽に当税理士事務所までお問い合わせください。専門家チーム一同、皆様のお役に立てる日をお待ちしております。

よくあるご質問

FAQ

サラリーマン大家でも消費税の納税義務が発生することはありますか?

はい、あります。たとえば建物売却、駐車場収入、事務所賃料など、課税売上高が基準期間(通常は前々年)で1,000万円を超える場合、サラリーマン大家であっても課税事業者となり、消費税の申告が必要になります。当税理士事務所では、複数物件を所有する副業大家様向けに課税売上高の判定や適正な税務処理をご案内しています。

不動産管理法人を設立したのですが、消費税の申告は必要ですか?

不動産管理法人においても、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超えている場合などは、消費税の申告義務が発生します。また、特定期間の判定も必要です。課税事業者であれば、事業用建物の購入時に支払った消費税の仕入税額控除も検討可能です。法人設立後の申告義務や処理については、税理士法人加美税理士事務所がフルリモートで全国対応いたします。

課税売上割合とは何ですか?不動産賃貸業ではなぜ重要なのですか?

課税売上割合とは、課税期間内の総売上に対する課税売上の割合を指します。不動産賃貸業では、居住用賃貸が非課税売上になるため、課税売上割合が低くなりがちです。これにより、課税仕入れにかかる消費税を全額控除できず、結果的に税負担が増えるケースがあります。経費の処理や還付の可能性に大きく影響するため、注意が必要です。

不動産投資で消費税の還付を受けることはできますか?

原則として、課税事業者であれば、建物取得などの課税仕入れに係る消費税について還付を受けることが可能です。ただし、居住用賃貸建物は2020年の改正により、原則として仕入税額控除ができなくなりました。事務所用途など課税売上がある場合は、割合に応じて還付が受けられることがあります。当税理士事務所では、適用要件の判定や還付可能性のシミュレーションも対応可能です。

サラリーマン大家の副業収入に消費税はかかりますか?

副業収入であっても、課税売上(例:駐車場や事業用物件の賃料など)がある場合には、課税売上高の合計が基準期間で1,000万円を超えると課税事業者となります。ただし、非課税の住宅家賃は課税売上高に含まれません。判定が難しい場合は、税理士による確認をおすすめします。

青色申告にすれば消費税の還付が受けられるのでしょうか?

青色申告自体は消費税の還付に直接関係しませんが、事業としての信頼性向上や控除の幅が広がるという意味では間接的にメリットがあります。消費税の還付を受けるには課税事業者であることが前提です。青色申告制度について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

居住用賃貸の家賃収入はインボイス対応が必要ですか?

居住用賃貸の家賃収入は消費税が非課税のため、インボイス制度への対応は不要です。ただし、課税対象の取引(駐車場収入やテナント賃料など)がある場合は、インボイス発行事業者の登録が必要になることがあります。収入の内訳によって対応が異なるため、個別に確認が必要です。

節税のために消費税を活用するにはどうすればいいですか?

消費税の還付や簡易課税の選択は節税手段として有効な場合がありますが、事前の届出や課税売上割合の管理が必要です。居住用建物の購入による還付は原則として不可となっています。より多角的な節税策については、以下をご参照ください。

簡易課税制度を選択する際の注意点はありますか?

はい、簡易課税制度を利用するには、適用しようとする課税期間の初日の前日までに届出が必要です。また、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることが条件です。制度選択後は2年間変更できないため、将来の設備投資予定なども踏まえて判断することが重要です。

税務調査で消費税が重点的にチェックされることはありますか?

はい、消費税の申告内容は税務調査でもよく確認される項目です。特に還付を受けた年や、課税・非課税の仕訳が多い事業者は要注意です。当税理士事務所では、オンラインでの税務調査立会にも対応しています。税務調査について詳しくは以下をご覧ください。

不動産法人が建物を取得した際、消費税の仕入税額控除は適用されますか?

原則として課税事業者であれば、建物の取得に係る消費税は仕入税額控除の対象となります。ただし、住宅用賃貸建物の場合、2020年10月以降の取得については原則控除ができなくなりました。取得時の用途と建物の性質に応じて取り扱いが変わりますので、詳細な確認が必要です。

居住用賃貸建物を途中で事業用に転用した場合、消費税の扱いは変わりますか?

はい、購入時に仕入税額控除ができなかった居住用建物でも、取得後3年以内に事業用へ転用した場合は、転用時に対応部分の消費税が控除対象となる場合があります。ただし、転用部分の面積比や使用実態に応じた計算が必要となるため、専門家の判断が重要です。

消費税の課税事業者を途中から選択することはできますか?

はい、できます。課税事業者になるためには「課税事業者選択届出書」の提出が必要です。提出期限は原則として「適用しようとする課税期間の初日の前日まで」ですので、提出のタイミングに注意が必要です。選択後は原則として2年間は継続適用となるため、収支シミュレーションが重要です。

消費税の申告期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

消費税の申告が期限(個人は3月31日、法人は事業年度末の2か月後)に遅れると、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。還付申告を予定していた場合、還付の遅延にもつながるため注意が必要です。当税理士事務所では期限後対応のご相談も承っております。

サブリーススキームと消費税の関係について教えてください。

サブリーススキームでは、法人から個人へのマスターリース料が課税対象になる場合があるため、課税売上高の判定やインボイス対応が重要です。適切なスキーム設計により、消費税の課税事業者としての扱いや還付可能性が変わる場合があります。サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

消費税還付を狙って法人を設立するのは危険ですか?

目的が消費税還付だけである場合、税務署からの否認リスクが高まります。特に居住用建物の取得に対する仕入税額控除は、2020年10月以降原則不可となっており、制度を正しく理解した上で法人設立を行うことが重要です。還付目的の法人設立は慎重にご検討ください。

法個売買を行うと消費税にどんな影響がありますか?

法個売買で建物を法人へ売却する場合、建物部分には消費税が課税されます。売却者(個人)が課税事業者であれば消費税申告が必要となり、仕入税額控除も関係してきます。売買金額や課税売上割合の確認が欠かせません。法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産賃貸業でインボイス制度に登録すべきか迷っています。

賃貸物件が居住用中心であれば、インボイス登録の必要は基本的にありませんが、事務所や店舗、駐車場など課税取引が含まれる場合は登録を検討すべきです。取引先がインボイスを求めるケースもあるため、賃貸物件の種類と契約相手の状況に応じて判断します。

消費税の課税売上高と売上高は何が違うのですか?

課税売上高は、消費税が課される取引(例:店舗家賃、駐車場収入など)の売上の合計です。一方、売上高は非課税取引も含むすべての収入を指します。消費税の納税義務判定では、課税売上高が基準となりますので混同しないようご注意ください。

不動産法人を設立したばかりですが、消費税申告の流れを教えてください。

不動産法人でも課税売上高が一定以上になると、消費税の申告が必要です。基本的には年1回、法人決算期末から2か月以内に申告・納税を行います。課税売上の集計、経費の区分、仕入税額控除の確認など、申告前に整えておくべき事項は多岐にわたります。税理士法人加美税理士事務所では、初めての申告も丁寧にサポートしています。

不動産法人の相続に際し、消費税の負担も含めた対策が必要ですか?

はい、特に法人名義で所有している不動産の相続では、株式評価・納税資金・消費税の処理を含めたトータル設計が重要になります。消費税の未払分や、売却時の課税関係なども相続時に影響を及ぼします。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

消費税の2割特例とは何ですか?

2割特例とは、インボイス制度開始に伴い新たに課税事業者となった事業者が、消費税の納税額を売上消費税額の2割に軽減できる制度です。制度開始から3年間の経過措置で、特に小規模事業者やサラリーマン大家にとっては負担軽減の大きな助けになります。

不動産法人が赤字でも消費税の申告は必要ですか?

はい、たとえ赤字であっても、課税事業者であれば消費税の申告が必要です。消費税は損益ではなく取引に対して課税されるため、売上と仕入に対する適正な処理が求められます。還付申告が発生する場合もあるため、正確な計算と届出が重要です。

消費税の処理で顧問税理士の変更を考えています。注意点はありますか?

消費税の扱いや節税に関する提案が乏しい場合、税理士の変更を検討する価値があります。ただし、変更時には前任税理士との引継ぎや資料の整理が重要です。当税理士事務所ではセカンドオピニオンや変更のご相談も承っております。

消費税の非課税売上が多い場合でも帳簿は必要ですか?

はい、非課税売上が中心の不動産賃貸業であっても、消費税の課税取引がある限り帳簿の作成と保存が求められます。たとえば、駐車場収入や店舗賃貸など課税売上がある場合には、課税・非課税の区分管理が重要となります。帳簿が不備だと仕入税額控除が認められないこともあるため注意が必要です。

賃貸用不動産を複数所有している場合、物件ごとの消費税管理は必要ですか?

原則として、消費税の申告は事業全体で行いますが、物件ごとに課税・非課税の割合や経費内容が異なる場合、内部管理として物件単位での消費税区分をしておくと精度の高い申告が可能です。当税理士事務所では賃貸経営における物件別損益管理にも対応しています。

消費税の課税期間は自由に決められますか?

課税期間は原則として1年間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)ですが、一定の要件を満たす場合に短縮課税期間を選択することも可能です。還付申告を早めに受けたい場合などに使われますが、事前の届出が必要であるため注意が必要です。

不動産投資を始めたばかりで、確定申告が不安です。どこから手をつけるべきですか?

まずは帳簿付けと必要経費の整理から始め、課税売上高の有無を確認しましょう。青色申告承認申請書の提出期限にも注意が必要です。当税理士事務所では初回無料で確定申告サポートのご相談も承っています。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

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