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節税の第一歩は、知らなかった「経費」の発見から。不動産所得を賢く抑える方法、私たちがわかりやすくご案内します。

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節税対策の基本:賃貸不動産オーナーが知っておくべきポイント

賃貸不動産のオーナー(サラリーマン大家や不動産管理法人のオーナー、企業経営者、そして高齢の不動産オーナーなど)にとって、税金対策(節税対策)は賃貸経営の重要なポイントです。家賃収入から得られる利益を最大化し、手元に残るお金を増やすためには、適切な節税策を講じる必要があります。本節では、賃貸不動産オーナーがまず押さえておくべき節税の基本について解説します。

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賃貸経営における節税のメリットは、手取り収入の増加にあります。税負担を減らせば毎月の家賃収入から手元に残る現金が増え、それをローン繰上返済や新規投資に充てることでさらなる資産形成につなげることができます。長期的に見れば節税で浮いた資金を再投資することで資産拡大のスピードを上げる「雪だるま式」の効果も期待できます。ただし節税はあくまで合法的な範囲で行うもので、脱税(違法な所得隠し)とは異なるものです。正しい節税を積み重ねて将来の安定収入と資産拡大の基盤を築きましょう。

賃貸不動産から得られる収入は税法上「不動産所得」として給与所得とは別に扱われます。不動産所得の計算式は非常にシンプルで、まず年間の賃貸収入(家賃や共益費、礼金などの収入)を合計し、そこから必要経費を差し引いて算出します。具体的には、

不動産所得 = 賃貸収入総額 - 必要経費総額

となります。給与所得とは異なり、不動産所得では経費にできる項目が多く存在します。賃貸経営に直接必要な支出であれば基本的に経費計上できるため、課税対象となる所得を意図的に小さくすることが可能です。例えば、後述する減価償却費やローンの利息、修繕費などは全て必要経費として所得から差し引けます。

一方で、賃貸経営に関連する税金は所得税だけではありません。事業規模や所得額によっては住民税や個人事業税の負担も発生します。また、居住用の住宅家賃には消費税はかかりませんが、駐車場収入や事務所・店舗など事業用物件の賃料は消費税課税対象です。消費税の取扱いについても正しく理解しておくことが大切です。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

賃貸収入と必要経費の関係

賃貸収入から差し引くことのできる必要経費とは、収益を得るために直接的に要した費用のことです。不動産オーナーが計上できる代表的な経費には次のようなものがあります。

  • 減価償却費:建物や設備の購入代金を耐用年数にわたって按分した費用。現金の支出を伴わない経費ですが、帳簿上は大きな費用となり節税に直結します。
  • ローンの利息:アパートローンなど物件購入のための借入金利息。元本返済部分は経費になりませんが、利息部分は全額が必要経費となります。
  • 修繕費:建物の壊れた箇所の修理や設備交換など、物件の維持管理のための費用。原状回復や設備の入替えなど、資産価値を高める目的でない修繕は経費計上できます(※耐用年数を延ばすような大規模リフォームは「資本的支出」と判断され、経費ではなく資産計上となる場合があります)。
  • 租税公課:固定資産税や都市計画税、不動産取得税など賃貸物件にかかる税金。賃貸用の土地については条件を満たせば固定資産税・都市計画税が軽減される特例もあります。
  • 管理費・募集費:管理会社へ支払う管理委託料や、入居者募集の広告費用。
  • 火災保険料:物件にかける火災保険・地震保険等の保険料。
  • 専門家への報酬:税理士や弁護士、不動産コンサルタント等に支払う顧問料。

これらの経費をもれなく計上することで、不動産所得を圧縮し所得税・住民税の節税につなげることができます。特に減価償却費は現金支出を伴わない費用であり、計上漏れがないよう注意が必要です。経費計上漏れを防ぐには、日頃から領収書や請求書を整理し、帳簿に記録しておくことが大切です。

損益通算で赤字を活用する仕組み

賃貸経営では、減価償却費やローン利息の影響で帳簿上赤字(損失)になる場合があります。この不動産所得の赤字は確定申告で他の給与所得などの黒字と損益通算(相殺)することが可能です。特に高所得の給与所得者ほど不動産の損失による節税効果は大きくなります。

ただし、不動産所得の損失のうち土地取得にかかったローン利息相当分は他の所得と損益通算できないという制限があります(土地購入資金の利息は損益通算不可)。あくまで実際に発生した正当な赤字であることが前提であり、無理に赤字を作る行為は避けましょう。

節税対策を語る上で忘れてはならないのが、適切な帳簿管理正確な確定申告です。どんなに優れた節税策も、日々の記録や申告手続きが杜撰では効果を発揮できませんし、場合によってはペナルティを受けるリスクもあります。

賃貸不動産オーナーは事業主であるとの自覚を持ち、収支の記録をきちんと残しましょう。具体的には、会計帳簿の作成(できれば複式簿記)を行い、領収書や契約書類を整理・保管する習慣が重要です。これにより、経費漏れを防ぐだけでなく経営の実態を正確に把握できるため、将来の投資判断にも役立ちます。

また、毎年の確定申告は期限内に正しく行いましょう。不動産所得がある場合、原則として所得がプラスでもマイナスでも確定申告が必要です。適法な節税を講じるには、税法上認められた控除や特例を確実に適用しつつ、事実に基づく正しい申告を行うことが肝心です。いい加減な申告や記帳ミスは、税務調査のリスクを高める原因となります。

もし会計や税務に不安がある場合は、早めに税理士など専門家に相談するのも一つの手です。プロのサポートを受ければ、節税のアイデアを漏れなく実行できるだけでなく、税務リスクの管理も万全になります。帳簿管理と正確な申告という土台を固めることが、長期的に見て最大の節税対策と言えるでしょう。

自分名義で賃貸経営を行っている個人事業主(いわゆる賃貸大家さん)に向けて、有効な節税対策を解説します。副業でアパート経営をするサラリーマン大家の方も、ここで紹介する方法を取り入れることで所得税・住民税の負担軽減が期待できます。ここでは主に所得税に焦点を当て、個人でできる節税のポイントを見ていきましょう。

個人事業主として賃貸経営を行うなら、青色申告を選択することは節税の基本中の基本です。青色申告とは、一定の要件を満たして事前に承認を受けることで、税制上の様々な優遇措置を受けられる申告制度です。中でも大きいのが青色申告特別控除65万円で、不動産所得から最大65万円を控除できる制度です。

65万円控除を受けるためには、複式簿記で正規の帳簿を作成し、損益計算書や貸借対照表を確定申告書に添付することが条件です(事前に税務署へ青色申告承認申請が必要)。賃貸物件の戸数や規模によっては、「事業的規模」とみなされるケースがあります。一般に賃貸住宅の場合、5棟以上または10室以上の賃貸物件を所有・賃貸していると事業的規模(不動産所得が事業所得に準ずる扱い)と判断されます。事業的規模かどうかは青色申告65万円控除そのものの適用要件ではありませんが、事業的規模であると認められれば節税の幅がさらに広がるメリットがあります。例えば、事業的規模であれば後述する専従者給与(家族への給与支払い)による所得分散が可能になりますし、小規模企業共済への加入資格にもつながります。

なお、賃貸規模が小さい場合でも青色申告特別控除を受けることは可能です。節税メリットを考えれば青色申告が断然有利と言えるでしょう。青色申告を活用すれば、不動産所得が小さい場合でも課税所得をゼロ近くまで圧縮できる可能性があります。具体的な手続きやメリットの詳細は別ページでも解説しています。詳しくは下記のページをご覧ください。

前述の通り、賃貸経営では様々な支出を必要経費として計上できますが、その中でも節税効果の高い経費に着目して解説します。特に見落としがちなものや、効果が大きいものを中心に確認しましょう。

  • 減価償却費を最大限活用:建物本体や設備の購入費用は耐用年数に渡って減価償却します。減価償却費は現金支出を伴わない経費であり、計上すればするほど帳簿上の利益を減らせます。木造アパートなら22年、鉄筋コンクリート造マンションなら47年といった耐用年数が定められており、その期間で費用配分します。中古物件の場合は法定耐用年数より短い年数で償却できるケースもあるため、中古建物を購入した場合も忘れず計上しましょう。減価償却費を賢く活用することで、大幅な所得圧縮による節税が可能です。
  • ローン金利は確実に経費計上:借入金の利息部分は立派な必要経費です。毎月のローン返済額の内訳を確認し、金利分を漏れなく経費に算入しましょう。借入金利息は支払った年分しか経費にできませんので、年末には金融機関から発行される「残高証明書」でその年の利息支払額を確認すると安心です。
  • 修繕費・維持管理費を経費に:物件の維持にかかる費用はこまめに経費計上しましょう。設備の故障修理代、原状回復のためのリフォーム費用、共用部の清掃費用、エレベーターや給湯器等の点検契約費など、名称は様々ですがどれも必要経費となります。修繕費は発生したタイミングで一括計上できるため、古くなった設備は早めに交換することでその年の経費を増やす節税効果も得られます。ただし、建物の増改築や耐震補強など資産価値を高める工事は修繕費ではなく資本的支出となり減価償却の対象になりますので、工事内容によって経費にできるか注意しましょう。

上記以外にも、火災保険料・管理委託料・通信費(賃貸管理用の電話やインターネット)・交通費(物件巡回や業者打合せのための移動)・セミナー参加費など、「経営に必要」と説明できる支出は基本的に経費になります。趣味的な支出やプライベートな出費を無理に経費に入れるのはNGですが、ビジネスに関連する費用は遠慮なく計上しましょう。特に家賃収入が多く利益が出ている年は、将来の修繕を前倒しで実施する、必要な設備投資を行うなどして適切に経費を増やすのも節税テクニックの一つです。

賃貸経営を家族で手伝っている場合、家族に給与を支払って経費計上することで所得分散による節税が可能です。個人事業主には「事業専従者給与制度」という仕組みがあり、青色申告者で事前に届出をしていれば、配偶者や親族に対して支払う給与を必要経費にできます。

例えば、妻が賃貸管理の事務作業を手伝っているような場合に、専従者給与として一定額を給与支給すれば、その金額だけ事業主(オーナー)の不動産所得を圧縮できます。配偶者や親族に収入を分散させることで、一家全体としての所得税・住民税の総額を減らす効果が期待できます。特にオーナー本人が高所得で高い税率が適用されている場合、低所得の家族に給与を移転させるメリットは大きいでしょう。

専従者給与を適用するための条件として、配偶者や親族がその事業に専ら従事していること(年間6ヶ月超、他に主要な職業がない)が挙げられます。また、支払額は労働内容に照らして「相当な金額」である必要があります。不相当に高額な給与は経費として認められませんので注意しましょう。さらに、事前に税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、その内容通りに支払うことが求められます。

なお、事業的規模に満たない小規模な賃貸では専従者給与が認められない場合があります。例えばマンション1室のみ賃貸など副業レベルの場合、税務上は家族を専従者とするのは難しいでしょう。しかしある程度の戸数を貸し出しており家族にも実質的な労力を割いてもらっているなら、この制度を使わない手はありません。専従者給与を活用することで、家族ぐるみで節税しつつ円滑な賃貸経営の協力体制を築くことができます。

賃貸不動産オーナーは、本業の所得があるサラリーマン大家であっても、将来の備えとして活用できる税制優遇付きの積立制度があります。その代表格が小規模企業共済iDeCo(個人型確定拠出年金)です。これらは節税を図りながら将来の資金準備ができる一石二鳥の制度です。

  • 小規模企業共済:小規模企業共済は、個人事業主や中小企業経営者のための退職金積立制度です。不動産賃貸業も一定の事業規模(5棟10室基準など)に該当し事業所得に準ずると認められれば、オーナーはこの制度に加入できます。掛金(月額1,000円~7万円)は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除されるため、掛金の分だけ所得税・住民税が軽減されます。将来、解約(事実上の退職)時に受け取る共済金は退職所得扱いとなり、大きな退職所得控除が適用されるので受取時の税負担も抑えられます。賃貸経営を事業として長く続ける予定であれば、節税しながら退職金を準備できるこの制度は非常に有力です。
  • iDeCo(イデコ):iDeCoは個人が任意で加入できる年金制度で、掛金が全額所得控除になる点で共済と似ています。会社員大家であれば企業年金の有無に応じ一定額、専業大家(自営業)なら月額最大6.8万円まで拠出でき、こちらも全額が小規模企業共済等掛金控除となります。運用益も非課税で再投資され、60歳以降に年金または一時金で受け取れます(受取時にも一定の控除があり税優遇があります)。iDeCoは将来の年金を自分で作る制度ですが、その過程で毎年の所得税・住民税を減らせるため、長期的視野での節税策兼ライフプラン対策としてぜひ検討したいところです。

これらの制度は老後の備えをしながら節税できる点が魅力ですが、資金を引き出せる時期に制限がある(原則60歳まで引き出せない等)ため、無理のない範囲で活用することが大切です。賃貸経営による収入が順調に出ている方は、こうした将来の資金準備策も組み合わせて総合的に税負担を減らす工夫をしてみましょう。

賃貸不動産オーナーが節税対策を極めようとすると、税法や会計の知識、最新の税制改正情報など幅広い専門知識が必要になります。そこで心強い味方となるのが税理士などの専門家です。特に不動産投資に強い税理士に依頼すれば、次のようなメリットが得られます。

  • 経費漏れや適用漏れの防止:プロのチェックにより、計上し忘れていた経費や、活用できる特例(青色申告や各種控除)の漏れを防げます。結果として本来より多く払いすぎていた税金を取り戻すことができます。
  • 複雑な税務の対応:物件を売却したときの譲渡所得税や、相続発生時の相続税申告、消費税の課税事業者選択など、節目ごとに発生する複雑な税務手続きも安心して任せられます。専門家なら最新の税制変更にも精通しており、常にベストな選択肢を提案してくれるでしょう。
  • 本業との両立支援:サラリーマン大家の場合、本業の合間に帳簿や申告を行うのは大変です。税理士に依頼すれば、煩雑な会計・申告業務から解放され、本業や物件管理に集中できます。高齢のオーナーでも、手続きの負担を感じずに済むようになります。
  • 将来を見据えた節税戦略:現在の節税だけでなく、将来的な法人化のタイミング、相続対策としての財産移転など、長期的視野でのアドバイスが受けられます。税理士は数字に基づいたシミュレーションを行いながら、トータルで税負担を最適化する戦略を一緒に考えてくれます。

このように専門家のサポートを受けることは、費用対効果の高い節税投資と言えます。特に賃貸不動産に強い税理士事務所を選べば、賃貸オーナー特有の悩みや業界の事情を理解した上で支援してくれるため、よりスムーズです。次項では、税理士法人加美税理士事務所の強みについて、具体的にご紹介します。

オンライン全国対応!税理士法人加美税理士事務所の強み

税理士法人加美税理士事務所は全国対応のオンラインサポートにより、お住まいの地域を問わずスピーディかつ丁寧な税務サービスを提供しています。遠方でも来所いただく必要はなく、忙しいサラリーマン大家さんやご高齢のオーナー様も安心してご利用いただけます。

また当税理士事務所には賃貸不動産税務に精通した税理士が在籍し、減価償却の有効活用や青色申告の指導はもちろん、法人化・相続対策まで不動産税務のプロとして幅広く対応可能です。最新の税制改正にも常にアンテナを張り、最適な節税策をご提案します。

さらにクラウド会計などITツールも積極的に導入し、領収書のデータ化やオンラインでの情報共有を通じて効率的な帳簿管理を支援します。デジタル技術と人のきめ細かな対応を融合させ、どなたでも安心してご相談いただける体制を整えています。

税務調査も丸投げOK!安心のサポート体制

税務署から調査の連絡が来ると、多くのオーナー様は不安になるものです。しかし税理士法人加美税理士事務所にお任せいただければ、税務調査の対応を丸ごと代行いたします。税務調査の事前対策として日頃から帳簿のチェックや適切な申告指導を行っているため、いざ調査となっても想定外の指摘事項が出にくい万全の体制を築いています。

実際に税務調査が入る際も、経験豊富な税理士がお客様の代理人として調査官と対応します。必要資料の準備から当日の立ち会い、質疑応答まで専門家に任せられるので、オーナー様ご自身は平常通りの生活を送ることができます。仮に指摘事項があった場合でも、妥当な範囲でお客様の権利を守り、適正な解決に導くよう交渉いたします。

このような手厚いサポート体制により、初めて税理士に依頼する方でも安心感を持って頂けるでしょう。当税理士事務所は「何かあれば税理士に丸投げできる」という安心感を提供し、賃貸オーナーの皆様が本業やプライベートに専念できる環境づくりをお手伝いいたします。

続いて、賃貸不動産オーナーの法人化(不動産会社の設立)に関する節税メリットを解説します。物件数や収入規模が大きくなってきた場合、個人より法人で運用した方が有利となるケースがあります。法人化を検討中の方や、既に不動産管理法人を運営されている方向けに、法人を活用した節税ポイントを見ていきましょう。

個人の所得税は累進課税で、所得が増えるほど最高で45%(住民税合わせ約55%)もの高税率が適用されます。一方、法人税(及び地方法人税)の実効税率はおおむね30%前後で頭打ちとなります。つまり、一定以上の利益が出る場合には、個人で稼ぐより法人で利益を計上した方が税率面で有利になるのです。

例えば、不動産所得が年間1,000万円を超えるような場合、法人化して法人税課税に切り替えることで大幅な税率ダウンが期待できます。また、法人にすれば経費計上の柔軟性も高まります。個人では認められなかった福利厚生費(後述)なども法人なら会社の経費にできますし、役員報酬という形で所得を分散させたり、利益を社内留保して将来の投資原資に回すことで節税と事業拡大を両立させることも可能です。

さらに、法人は決算期を自由に決められるため、例えば物件を購入して減価償却費が多く出るタイミングに決算期を合わせて利益圧縮効果を高めるといった調整も可能です。損失が出た場合も法人なら10年分をさかのぼって翌期以降の黒字と相殺できる(欠損金繰越控除)ため、トータルの税負担を軽減できます。

このように、法人成りすることで税率面・税務戦略面でのメリットが得られます。ただし、法人化には設立コストや毎期の申告義務など新たな手間もかかります。十分な節税メリットが見込めるかどうか、専門家と試算しながら判断することが重要です。

法人化の一形態として、現状の不動産は個人名義のまま管理会社(不動産管理法人)を設立する方法があります。これは、所有と運営を分離するスキームで、個人オーナーが所有する物件の賃貸管理業務を自分の設立した法人へ委託するものです。

不動産管理法人を設立すると、オーナー個人から法人に管理料(業務委託料)を支払う形になります。この管理料は個人にとって必要経費となり不動産所得を圧縮します。一方、法人側では管理料収入が発生しますが、それに対応する経費(人件費や事務所経費等)を差し引いた後の利益に対して法人税が課税されます。

重要なのは、管理料の金額を調整することで所得分散が図れる点です。例えば、個人側の不動産所得が900万円出る場合、そのままだと高い個人税率が適用されます。ここで年間300万円を管理料として法人に支払い、個人の不動産所得を600万円まで圧縮すると、個人の税率区分が下がり税負担が軽減されます。法人側の300万円利益に対する法人税は中小法人の優遇税率(約20%)が適用され、トータルの税額が個人のみの場合より下がる可能性が高いです。

また、管理法人を使えば家族をその法人の役員や従業員にして給与を支払うことができます。個人事業の専従者給与と同様に家族への所得分散が図れ、社会保険の適用なども含めて柔軟な給与設計が可能です。さらに法人には生命保険や社宅制度など、後述する様々な福利厚生策を導入できるため、経費化の余地が広がります。

不動産管理法人の運営には毎期の法人維持コスト(顧問税理士費用、登記費用など)がかかりますが、賃貸収入規模によっては節税メリットがそれを上回ります。特に複数物件を所有するオーナーや、将来的に物件を増やす予定がある方にとって、管理法人スキームは低リスクで段階的に法人化のメリットを享受できる方法として有力です。

法人を活用した節税では、個人にはない制度を使える点が魅力です。ここでは、法人だからこそ実現できる主な節税ポイントを紹介します。

  • 役員報酬:法人の経営者(オーナー)は役員報酬という形で給与を受け取ります。この役員報酬は法人の経費となり課税所得を減らします。報酬額を調整することで、法人に利益を残すか個人に所得を移すかをコントロールでき、最適な税率になるよう分散できます。また、家族を役員や従業員にして適正な報酬を支給すれば、家族分の所得控除や低税率枠を活用でき、一家としての税負担を軽減できます。
  • 役員退職金:長年経営に携わったオーナーは、引退時に会社から退職金を受け取ることができます。退職金は法人にとって損金(経費)となり、その支給によって法人税を大幅に圧縮できます。一方、受け取る個人側は「退職所得控除」が手厚く用意されており、長期間勤務した場合は数千万円規模まで非課税になるケースもあります。さらに退職所得として課税される部分も、1/2課税という優遇税率が適用されます。退職金制度は法人ならではの強力な節税手段であり、将来オーナー自身が高齢になった際の資金確保策としても有用です。
  • 福利厚生:法人であれば従業員(役員含む)の福利厚生費を経費にできます。具体例としては、会社契約の社宅制度を利用して自宅家賃の一部を会社負担にしたり、業務に必要な自動車を社用車として経費計上しつつ私用もできるようにするといったことが挙げられます(一定のルールや税務上の扱いに注意は必要)。他にも会社負担で健康診断を受けたり、社員旅行を実施する、会社名義で生命保険に加入して将来解約返戻金を受け取る、といった様々なスキームがあります。これらは会社の経費として損金算入しつつ、オーナー個人や家族に便益をもたらすことができるため、結果的に現金流出を抑えつつ豊かな生活を送ることにもつながります。

このように、法人を活用すれば人件費や退職金、福利厚生といった形でお金を有効に使いながら課税所得を下げることが可能です。ただし、税務上認められる範囲や手続きの要件がありますので、計画の段階で税理士に相談しながら進めることをお勧めします。

不動産オーナーの節税手法として時折話題に上るのが、法人と個人の間で物件を売買するスキーム(法個売買スキーム)です。これは、オーナー個人が所有する物件を自分の法人に売却したり、逆に法人所有の物件を個人に売却したりすることで、両者の間で所得や資産を移転させ節税を図る手法です。

例えば個人所有の物件を法人に売却すれば、法人側で取得価額がリセットされ再度減価償却が可能になります。一方で個人には売却益が発生するものの、場合によっては長期譲渡所得の低税率で済むため、将来の賃貸収入にかかる高税率を払うより結果的に有利になることもあります。

しかし、この法個売買スキームには諸費用やリスクも伴います。不動産の売買には仲介手数料・登記費用・不動産取得税など諸費用がかかり、譲渡益に税金も発生します。不自然な価格設定は税務上否認リスクがあり、節税のみを目的とした取引と判断されると問題視される可能性もあります。

高度な節税策ではありますが、その分専門的な検討が必要なスキームです。実行する際は税理士や不動産の専門家と十分にシミュレーションを行い、メリット・デメリットを精査することが重要です。詳細については別記事でも解説していますので、興味のある方は下記のリンク先のページを参照してください。

サブリーススキームは、賃貸オーナーが自ら所有する不動産を活用した節税策の一つとして、特に不動産投資家や賃貸オーナーの間で注目を集めています。このスキームは、物件オーナーが所有する不動産を自分が経営する法人に一括で貸し出し、その法人がエンドユーザー(入居者)に再度転貸する仕組みです。

サブリーススキームの基本的な流れ

  1. オーナーから法人への一括貸し出し
    物件オーナーは、自分の不動産を一旦、自らが経営する法人に貸し出します。この時点で、オーナーは法人に対して「マスターリース契約」を結び、一定額の家賃(マスターリース料)を受け取ります。
  2. 法人から入居者への転貸
    法人は、オーナーから貸し受けた物件を、エンドユーザー(入居者)に転貸します。法人は入居者から家賃収入を得ますが、法人が設定する家賃の合計金額は、オーナーが受け取るマスターリース料よりも高くなることが一般的です。
  3. 家賃の移転と税率の違い
    マスターリース料として支払われる家賃は、オーナー個人に支払われますが、この家賃が法人を経由することで、税率の差を活用することができます。具体的には、法人税率が個人の累進税率より低いことがあるため、所得を法人に移転することで、税負担を軽減する効果が得られる場合があります。

サブリーススキームの節税効果

  1. 所得の法人への移転
    物件オーナーが受け取る家賃収入を、個人税率の高い状態で受け取るのではなく、税率が低い法人を経由して受け取ることができるため、所得に対して適用されるの税率が低くなることがあります。
  2. 経費計上による節税
    個人オーナーは、サブリーススキーム導入前と変わらず、不動産の運営に伴う経費(例えば、修繕費や管理費、減価償却費など)を不動産所得における必要経費として計上することができます。

注意点とまとめ

サブリーススキームには、税務署による注意も必要です。特に、法人に対する過剰な家賃の設定や、実態に合わない不動産評価などが問題となることがあります。そのため、税理士などの専門家と連携し、適切な契約内容を設定することが重要です。

サブリーススキームは、賃貸オーナーにとって魅力的な節税策の一つです。法人を活用することで、税率の差をうまく利用し、所得の移転を行うことで、税負担を軽減できます。しかし、適切な契約と税務の管理が求められるため、事前に専門家と十分に相談しながら進めることをお勧めします。サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

では、実際に法人化を検討すべきタイミングとはいつでしょうか。また、法人化に際して注意すべきポイントは何でしょうか。

法人化を検討するタイミングの目安:

  • 不動産所得が大きくなり、個人の高額納税者となっている場合(概ね課税所得900万円超で税率33%を超えるあたりが一つの目安)。税負担が重いと感じたら法人化で税率引き下げが有効か検討しましょう。
  • 保有物件が増えて管理体制を強化したい場合。物件数が増えて家族経営では限界を感じたら、法人にして従業員を雇用するなど組織化することで経営の安定と節税を両立できます。
  • 将来的に事業承継(子供への引継ぎ)や相続を見据えている場合。後述するように、不動産を法人で持っておくことで相続時の資産分割がしやすくなったり、株式による承継に切り替えることで対策の幅が広がります。
  • 物件購入や売却の戦略上、法人を活用した方が有利なケース。例えば銀行融資を法人格で受けた方が条件が良い、あるいは短期売買を法人で行い個人資産は長期保有に徹するなど、戦略的に個人と法人を使い分けたい場合です。

法人化する際の注意点:

  • 法人設立や維持にコストがかかることを忘れずに。登録免許税や設立登記費用、司法書士・税理士への依頼料など初期費用が発生します。また毎年の決算申告の手間や顧問料といった維持費もかかります。節税メリットがそれらコストに見合うかどうか試算が必要です。
  • 不動産を個人から法人へ移す際の費用と税金に注意。物件を法人名義にする場合、不動産取得税登録免許税が新たにかかり、売買の形を取れば仲介手数料や譲渡所得税も発生します。多額のコストをかけたのに節税効果が少なければ本末転倒です。管理法人スキームなどコストの低い方法も含め検討しましょう。
  • 法人化後の事業計画を明確に。法人で利益が出れば法人住民税均等割や社会保険料負担など、新たなランニングコストも発生します。単に税率が下がるからと安易に法人化せず、中長期的に見て事業拡大や承継などのプランを踏まえて判断することが大切です。
  • 法人と個人の財布(経理)は明確に分け、プライベートな支出を法人で落とすようなことは避けましょう。法人と個人の区分が曖昧だと節税策が否認される恐れもあります。

以上を総合すると、法人化はタイミングと事前準備が肝心だと言えます。迷った場合は税理士等の専門家にシミュレーションを依頼し、最適な判断を下すようにしましょう。法人化に関する詳しい検討ポイントや手続きについては、下記のページをご覧ください。

賃貸不動産オーナーにとって、資産を次世代に引き継ぐ相続・事業承継の局面でも節税対策は重要なテーマです。不動産は相続税評価額が現金等に比べて低く抑えられる傾向にあるものの、評価額次第では多額の相続税が発生し得ます。このセクションでは、賃貸不動産に関する相続税の基本と節税策、そして事業承継のポイントについて解説します。

賃貸物件を所有したままオーナーがお亡くなりになった場合、その物件(土地建物)は相続財産として評価され、相続税の課税対象となります。賃貸不動産は現金に比べ、税法上の評価額が低めに算定されるため、相続税対策として有効な資産とされています。

まず土地について、相続税評価は通常路線価や固定資産税評価額を基に計算され、市場価格の8割程度になるのが一般的です。さらに賃貸用の宅地には強力な節税措置である「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性があります。被相続人(亡くなったオーナー)が貸付事業に使っていた宅地を、相続人が引き続き賃貸経営を行う場合、その土地評価額を最大50%減額できる制度です(限度面積200㎡)。

例えば賃貸アパートの敷地なら小規模宅地特例で評価額が50%に圧縮され、大きな節税効果が得られます。ただし適用要件があります。例えば被相続人が生前賃貸していた土地を相続人が申告期限まで賃貸継続していることなど、一定の要件を満たす必要があります。適用要件を満たせば、相続税評価額の減額により大幅な節税が可能です。

建物についても、相続税評価額は固定資産税評価額(建物の評価証明に記載の額)で計算され、市場価値より低めです。さらに賃貸中の建物であれば「貸家の評価減」といって評価額から約3割(借家権割合×賃貸割合)の減額調整も入ります。つまり賃貸不動産は土地・建物ともに、現金で持つよりも低い価値で評価されることになり、相続税を計算する上で有利に働きます。

このような理由から、資産家の方が相続対策として現預金を賃貸マンション建設に振り向けるケースも見られます。ただし不動産は流動性が低く、市場変動リスクや管理コストも伴うため、税対策だけを目的に無理に所有するのは避けるべきです。小規模宅地特例など有利な制度を活かしつつ、あくまで資産運用の一環として不動産を位置付けることが望ましいでしょう。

相続発生前にオーナーが取れる対策として、生前贈与家族信託があります。いずれも資産を早めに子や孫に移転しておく方法ですが、それぞれ特徴があります。

  • 生前贈与による節税:生前贈与とは、読んで字のごとく生きているうちに財産を贈与することです。毎年110万円までは贈与税が非課税になる暦年贈与の仕組みを利用し、コツコツと子や孫に現金等を贈与しておけば、その分相続財産を減らすことができます。また、大口の生前贈与には贈与税がかかりますが、賃貸不動産そのものを贈与する場合は評価額が低いため現金を渡すよりも少ない税負担で済むケースもあります(ただし不動産取得税や登録免許税、住宅資金贈与の特例の有無など総合的な検討が必要です)。いずれにせよ贈与には贈与税申告や不動産取得税等のコストも伴いますので、実行に当たっては専門家と相談しながら計画を立てましょう。
  • 家族信託の活用:家族信託(民事信託)とは、資産管理や承継をスムーズに行うために信頼できる家族に財産を託す仕組みです。例えば高齢のオーナーが、自身を受益者、子を受託者として賃貸不動産を信託し、管理・運用・収益受取を任せる契約を結ぶケースが増えています。家族信託自体には直接的な節税効果(税負担軽減)はありませんが、認知症対策として有効です。オーナーが判断能力を失っても、受託者である子が賃貸経営を継続できるため、資産が凍結されず収益が途絶えません。これにより、相続発生までの間に適切な資産分配や対策を講じやすくなるメリットがあります。また信託によって受益権を細分化し、複数の相続人に配分するといった活用も可能です。

生前贈与も家族信託も、「生きているうちに手を打つ」という点で共通しています。相続直前に慌てるのではなく、早め早めの資産移転計画が結果的に節税につながるでしょう。ただし制度の濫用は禁物ですので、贈与も信託も専門家と相談しながら進めることをお勧めします。

賃貸不動産を個人ではなく法人で所有している場合、相続は「株式の相続」という形になります。不動産管理法人の株式を後継者が相続または生前贈与で取得し、会社ごと引き継ぐパターンです。ここで活用が検討されるのが事業承継税制(非上場株式等にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度)です。

事業承継税制は本来、後継者が事業を継続する中小企業向けの制度で、賃貸業だけの資産管理会社は原則この制度の対象外です。賃貸管理会社は資産保有型会社とみなされ、制度の趣旨に合わないためです。もし不動産管理会社がこの制度の対象に含まれれば、相続時に株式にかかる相続税の納税猶予・免除が受けられるため莫大な税負担を回避できますが、現実には適用のハードルが高く、ほとんどの賃貸オーナーには利用が難しいのが実情です。

それでも法人化しておくことには別の意味で承継メリットがあります。法人名義の不動産は相続時に分割協議の対象にならず(株式として一括承継される形となるため)、複数の相続人がいる場合でも資産分割がシンプルになります。また、株式は少しずつ子や孫に贈与して移転することも可能で、生前贈与の非課税枠を活用しつつ段階的に承継していくこともできます。

いずれにせよ、事業承継税制の活用可否については非常に専門的な判断を要しますので、関心のある方は税理士に相談してみてください。詳細は別途「事業承継」に関するページも参照してください。

高齢の不動産オーナーにとって、資産を円満に次世代へ引き継ぐことは大きな課題です。事業承継プランを早めに立てておくことで、相続発生時の混乱や不要な税負担を避けることができます。以下に、高齢オーナーが取り組むべき承継準備のポイントをまとめます。

  • 後継者(次世代オーナー)の育成:賃貸経営を子や孫に継がせたい場合、元気なうちから少しずつ実務を経験させておくことが大切です。入居者対応や建物管理、家賃の管理方法、税務申告の流れなど、現オーナーが培ったノウハウを伝えていきましょう。突然相続が発生して何も分からない状態では、せっかくの収益不動産も十分に活用できません。親子で協力しながら賃貸経営に取り組む期間を設けることで、後継者はスムーズに事業を引き継げ、特例適用の要件(例えば小規模宅地特例の賃貸継続要件)も満たしやすくなります。
  • 資産の分割計画:不動産は分割しにくい資産です。相続人が複数いる場合、誰がどの物件を引き継ぐか、または売却して現金で分けるか、といった方針を予め検討しておく必要があります。特定の子に事業を継がせる場合、他の相続人には生命保険や現預金を多めに残すなど、公平感のある配分を考えましょう。遺言書を作成しておくことも有効です。遺言によって賃貸事業の承継者を明確に指定し、あわせて不動産以外の財産配分も指示しておけば、相続争いのリスクを減らせます。
  • 節税と生活のバランス:高齢になると介護費用や医療費など支出増の可能性もあります。相続税を気にするあまり手元資金が不足して生活が困窮しては本末転倒です。生前贈与や保険加入など節税策を講じる際も、ご自身の老後資金は確保した上で行いましょう。また、賃貸物件の老朽化が進んでいる場合は、大規模修繕や建替えを子の代まで先送りせず、自分の代で実施して相続時の負担を減らす判断も必要です。

このように、高齢オーナーは「いつか来る相続」に向けて早めの準備と家族の話し合いを始めることが肝心です。税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーなど専門家の協力も得ながら、後悔のない事業承継プランを作り上げましょう。

節税対策をしっかり講じて賃貸経営を行うことは重要ですが、同時に税務調査への備えも忘れてはなりません。正しく申告・納税していれば恐れる必要はありませんが、万一誤りや行き過ぎた節税策があると指摘を受け追徴税が発生する可能性があります。最後に、賃貸不動産オーナーが留意すべき税務調査のポイントとリスク回避策について確認します。

税務調査では、申告内容に不自然な点がないか様々な観点からチェックされます。賃貸不動産オーナーに関連して、調査官が注目しやすいポイントをいくつか挙げます。

  • 過剰な経費計上:賃貸に関係ない私的な支出を経費に落としていないか厳しく見られます。特に自家用車の費用や自宅部分の光熱費など、プライベートと事業の混在しやすい費用は要注意です。経費とするには業務関連性を説明できることが必要です。
  • 修繕費と資本的支出の区分:高額なリフォーム費用を一括で修繕費に計上している場合、それが本来資本的支出(資産計上すべきもの)ではないか確認されます。調査では工事の内容や領収書明細をもとに判断され、資本的支出とみなされればその場で経費否認・減価償却計上への訂正が求められます。
  • 専従者給与・役員報酬の妥当性:家族への給与額が高すぎないか、実態のない給与を払っていないか調べられます。タイムカードや業務内容のメモを用意するなど、家族がきちんと働いている証拠を示せるようにしておくことが望ましいです。専従者でない家族に経費名目でお金を渡している場合も指摘対象です。
  • 不自然な取引やスキーム:前述した法人と個人間の売買や、消費税還付を狙った複雑な契約など、特殊なスキームを実行した場合は詳細に調べられます。取引の経緯や目的について説明を求められ、正当な理由が説明できないと否認リスクがあります。税務署は節税スキームの情報を多数把握しており、過去に流行った手法などはマークされています。

以上のようなポイントを踏まえ、節税策はあくまで適法な範囲で行い、帳簿や証憑の整合性を保つことが大切です。万一調査官から質問があっても、自信を持って説明できる内容であれば特に問題はありません。逆に後ろめたい点があると指摘に対して弱腰になり、不利な展開を招く可能性があります。

税務調査への最大の備えは、「日頃から正しく申告・記帳しておくこと」に尽きます。不適切な節税や記録の曖昧さがなければ、仮に調査が入っても指摘事項ゼロで終わることも珍しくありません。調査リスクを下げ、万一調査が来ても怖くない状態を作るためのポイントを整理します。

  • 帳簿と証憑の完備:収入・支出の記録をきちんとつけ、領収書・契約書などを整理保管しておきましょう。特に経費関係は証憑が命です。誰にいくら支払ったのか、何のための支出か、一目で分かるようになっているとベストです。最近はスマホでレシートを撮影してクラウド管理することもできます。電子帳簿保存法の要件を満たせばペーパーレス化も可能です。
  • 期限内申告・納税:毎年の確定申告は期限内に正確に行い、納税もしっかり行うことが信頼につながります。遅延や申告漏れがあると目を付けられる可能性があります。青色申告の帳簿は正確さが求められるので、難しい場合は税理士の力を借りてでも適切に作成しましょう。
  • 合理的な節税策の範囲内に留める:法律の抜け穴をつくようなスレスレの節税策はリスクを伴います。魅力的に聞こえても、本当に問題ないか慎重に判断しましょう。税理士に相談すれば、そのスキームが過去に否認事例がないか、今後規制されそうかなどアドバイスをもらえます。王道の節税(経費計上・控除の活用等)を軸に、リスクの低い対策から実行する方が安全です。

結局のところ、正しく申告することが大切です。税務調査自体はランダム性もありますので、100%避けることはできません。しかし、やましい点がなければ必要以上に恐れることもありません。日々の適正経営こそが最大のリスクヘッジであり、結果的に心穏やかに賃貸経営を続けることにつながるでしょう。

税務調査の一般的な流れや対策については、下記のページをご覧ください。

最後に、税務調査への不安をお持ちの賃貸オーナー様に朗報です。税理士法人加美税理士事務所は、税務調査対応に強い事務所として定評があります。これまで多数の税務調査立会い・折衝を経験しており、調査官がどんな点に着目するか、どう説明すれば納得してもらえるかといったノウハウを蓄積しています。

お客様には「万一調査が来ても全て税理士に丸投げできる」という安心感を持っていただけます。実際の調査が入った場合、税理士が事前打ち合わせから当日の立会いまでフルサポートし、必要に応じて意見申し述べや修正申告手続きまで代行します。調査の連絡が来たときから終了まで、一貫してお客様の負担を最小限にとどめるよう尽力いたします。

税務調査は緊張するものですが、専門家のバックアップがあれば冷静に対処できます。賃貸不動産オーナーの皆様には、ぜひ安心と信頼のサポート体制を備えた税理士法人加美税理士事務所をご活用いただき、長期的な賃貸経営と資産形成に専念していただければ幸いです。

よくあるご質問

FAQ

サラリーマン大家でも節税対策は可能ですか?

はい、可能です。副業として不動産投資を行うサラリーマン大家の方でも、青色申告や減価償却、家族への専従者給与などを活用することで、所得税・住民税の大幅な節税が期待できます。当税理士事務所では副業の不動産投資に関する節税方法に精通した税理士が初回無料でご相談に応じます。帳簿作成から確定申告まで丸投げも可能ですのでご安心ください。

節税のために法人化するタイミングはいつが適切ですか?

節税目的での法人化は、年間の課税所得が一定額(目安として900万円超)を超えるタイミングがひとつの検討ポイントです。法人化により、所得分散や役員報酬、退職金などを活用した節税が可能になります。法人設立に関するメリットや注意点については、下記のページをご覧ください。

不動産管理法人を設立すると具体的にどんな節税効果がありますか?

不動産管理法人を設立することで、サブリーススキーム、管理料の法人経費化や役員報酬による所得分散、退職金や福利厚生費の活用が可能になります。これにより、高額な個人所得を法人に移すことで税率の抑制が期待できます。法人間取引や会計処理の最適化にもつながります。

サブリーススキームによる節税とはどういう仕組みですか?

サブリーススキームは、オーナーが所有物件を自分の法人に一括で貸し出し、法人がそれを第三者に再賃貸することで、家賃収入を法人へ移し節税する手法です。課税所得を法人に移すことで所得税の税率が抑えられます。法人側では多岐にわたる経費も活用可能です。サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

節税目的での不動産購入時に注意すべきポイントは?

節税目的で不動産を購入する際は、建物と土地の価格配分に注意が必要です。減価償却費として経費化できるのは建物部分のみのため、取得時に建物割合を適切に設定することが節税効果に直結します。また、修繕費と資本的支出の違いも理解しておくことが大切です。

不動産の確定申告で青色申告を活用するにはどうすればよいですか?

青色申告を活用するには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出し、複式簿記による帳簿付けを行う必要があります。65万円の控除を受けるには事業的規模(原則5棟10室)も条件となります。詳細な手続きや注意点については下記のページをご覧ください。

不動産法人で役員報酬を受け取る場合の注意点は?

役員報酬は法人の経費となり節税効果がありますが、事前に定款や株主総会議事録で金額を決定し、期中の変更は原則できません。また、社会保険の加入義務も生じるため、税務とキャッシュフローのバランスを事前にシミュレーションすることが重要です。

消費税の還付は今でも可能ですか?

居住用賃貸物件の取得に対する消費税還付は、2020年の税制改正で実質的に封じられました。ただし、事業用物件や課税売上割合の高い場合には可能なケースもあります。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産投資で損益通算を利用するには?

不動産所得が赤字の場合、他の所得(たとえば給与所得)と損益通算が可能です。ただし、土地取得費の利息部分や家事費とされる支出は通算対象外です。減価償却費や修繕費をしっかり計上することで節税効果を最大化できます。

法人化後も個人で不動産を保有していても問題ありませんか?

はい、問題ありません。個人所有と法人所有の不動産を併用することで節税の柔軟性が増します。ただし、法個売買を行う際は適正な価格設定が必要です。法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産所得の帳簿はどのようにつければよいですか?

不動産所得の帳簿は、家賃収入と必要経費を正確に記録することが基本です。会計ソフト(弥生会計など)を使えば自動仕訳も可能ですが、手書きやExcelでも対応可能です。当税理士事務所では会計ソフトを使っていない方への記帳支援も行っております。

税務調査の対象になりやすいのはどのようなケースですか?

高額な赤字計上や、過剰な経費計上、家族への不相当な給与支給がある場合は税務調査リスクが高まります。特に減価償却や修繕費の処理は注意が必要です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

減価償却の対象になるのはどのような支出ですか?

減価償却の対象は、建物や設備、エアコン、給湯器など耐用年数がある固定資産です。土地は対象外です。購入や取得に伴う附随費用なども含まれます。中古物件は耐用年数が短縮されるため節税効果が高まる傾向にあります。

相続を見据えた節税対策にはどのようなものがありますか?

賃貸物件は評価額を抑えて相続税を軽減できるため有効です。小規模宅地等の特例や家族信託、生前贈与などの活用も重要です。事業承継や株価評価を含めた対策については下記のページをご覧ください。

不動産管理法人と資産管理会社はどう違いますか?

不動産管理法人は、物件の運営・管理業務を行い、その対価として管理料収入を得ます。一方、資産管理会社は物件そのものを所有し、賃料収入を得る法人です。節税効果や設立目的によって最適な形態を選ぶ必要があります。

青色申告と白色申告、どちらが節税に有利ですか?

節税効果を重視するなら、青色申告が圧倒的に有利です。最大65万円の特別控除に加え、専従者給与の支給や赤字の繰越など多くの優遇措置があります。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

専従者給与は誰に・いくらまで払えますか?

専従者給与は、事業に6ヶ月超専ら従事する親族に対して、労務の対価として妥当な金額を支給する必要があります。金額に上限はありませんが、過大だと経費として否認される場合があるため、業務内容と時間に見合った水準にする必要があります。

法人で不動産を持つと赤字の繰越が可能になると聞きました

はい、法人では青色申告を行っていれば赤字(欠損金)の最大10年間繰越が可能です。これにより翌年以降の黒字と相殺して節税できます。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産法人に切り替えた後の会計処理が不安です

ご安心ください。当税理士事務所では弥生会計をはじめ、各種会計ソフトに対応可能です。また、会計ソフトを使用していない方でも、紙の領収書から経理を行う丸投げプランをご用意しております。法人化後の会計処理も全面的にサポートいたします。

不動産投資ローンの利息は経費になりますか?

はい、ローンの利息部分は不動産所得にかかる必要経費として計上可能です。ただし、土地部分の利息については損益通算が制限されるケースもあります。

不動産法人の役員報酬と給与所得のバランスはどう取ればいい?

サラリーマン大家が法人から役員報酬を受け取る場合、給与所得との合算で所得税が高くならないよう配分を調整する必要があります。最適な報酬額は税率や扶養状況により異なります。当税理士事務所ではキャッシュフローシミュレーションを用いたアドバイスが可能です。

不動産法人を活用した節税スキームにはどんなものがありますか?

節税スキームには、役員報酬による所得分散、法人による資産保有による相続対策、サブリース、法個売買などがあります。リスクと税務上の要件を満たすことが前提です。

サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。

小規模企業共済に加入するとどんな節税効果がありますか?

小規模企業共済は掛金全額が所得控除になるため、所得税・住民税の軽減が期待できます。将来の退職金としても利用でき、受取時には退職所得控除が使えるため税負担を抑えられます。賃貸経営が一定の規模であれば加入可能です。

不動産投資と事業承継はどのように関係しますか?

法人化した不動産を家族が承継する際、株式の評価や資産分割、納税資金対策が重要になります。信託や贈与との併用も検討されるケースが増えています。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税対策は税制改正によって影響を受けることはありますか?

はい、大いにあります。たとえば居住用賃貸物件の消費税還付スキームは2020年の税制改正で実質的に封じられました。常に最新の制度を把握し、適切な対応が求められます。

賃貸収入が増えてきた場合、どこからが法人化の目安ですか?

一般的には課税所得が年間900万円を超えるあたりから法人化による節税効果が顕著になります。所得税率の急増に対して法人税率は一定水準で抑えられているため、規模の拡大に応じて法人化を検討することが重要です。

税務調査で指摘されないために日頃から気をつけるべきことは?

正確な帳簿記帳、領収書の保管、合理的な経費計上が基本です。特に減価償却や専従者給与、修繕費の判断ミスは指摘を受けやすいため、事前の確認が重要です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

節税目的で不動産法人を設立する場合、司法書士や税理士への依頼は必要ですか?

法人設立はご自身でも可能ですが、節税を最大化するためには税務と法務の設計が重要です。当税理士事務所では提携司法書士との連携により、定款・設立目的の最適化から設立手続き、税務届出までワンストップでサポートいたします。

不動産法人の顧問税理士を変更するタイミングや注意点はありますか?

顧問税理士を変更する際は、決算期の前後など区切りの良い時期が望ましいです。引き継ぎ資料の準備や税務方針のすり合わせも重要です。当税理士事務所ではセカンドオピニオンも承っています。

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