本業が忙しくても、不動産投資の税金対策はここまでできる。青色申告で、節税と信用を手に入れましょう。
サラリーマン大家が知っておくべき青色申告のメリットと手続き
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副業で不動産所得(家賃収入)があるサラリーマンの方でも、条件を満たせば青色申告を行うことができます。青色申告には、所得税の負担を軽減し将来の税務リスクを抑える様々なメリットがあります。ここでは、サラリーマン大家が青色申告を選択する主なメリットを見ていきましょう。
まず青色申告とは何かを押さえておきましょう。青色申告は、個人事業主や不動産所得がある個人が事前に届出を行い、日々の取引を適切に帳簿へ記録することで、確定申告時に税制上の優遇措置を受けられる制度です。サラリーマンであっても給与以外に事業所得や不動産所得があれば青色申告の対象になり得ます。例えば、副業として賃貸アパート経営をしている場合、所定の手続きを踏めば会社員(給与所得者)でも青色申告を選択可能です。
青色申告に対するよくある誤解の一つに、「自分は会社員だから青色申告は関係ない」というものがあります。しかし実際には、給与所得者であっても20万円超の不動産所得(家賃収入から必要経費を引いた利益)があれば確定申告が必要となり、その際に青色申告を活用できるケースが多いのです。青色申告を利用するためには、後述する開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出し承認を受ける必要がありますが、一度承認されれば以降は毎年の確定申告で青色申告特有の控除やメリットを享受できます。
青色申告最大の魅力は、なんといっても所得税の青色申告特別控除が受けられることです。適切な複式簿記による記帳と決算書類の作成・提出を行うことで、確定申告時に最高で65万円(一定の場合は55万円)の所得控除を受けることができます。ただし、不動産所得の場合には事業的規模かどうかで控除額が異なり、一般に「5棟以上の住宅または10室以上のアパート等」の規模に満たない小規模な賃貸経営の場合、特別控除額は最大で10万円となります。つまり物件数が少ないサラリーマン大家さんですと控除額は10万円止まりとなるケースもありますが、それでも白色申告(控除0〜10万円)より有利であり、将来的に物件を増やして事業規模が拡大すれば最大65万円控除の恩恵を受けるチャンスがあります。
さらに、青色申告には損失の繰越控除という大きなメリットもあります。不動産経営では、例えば空室が続いたり修繕費がかさんだ年など赤字(損失)が出ることもあります。青色申告をしていれば、その年の赤字を翌年以降最大3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺(控除)することが可能です。例えば今年50万円の不動産所得の赤字が出てしまっても、翌年に不動産所得で50万円の黒字が出れば相殺して税金をゼロにできるわけです(青色申告をしていない白色申告者の場合、赤字の繰越は認められません)。サラリーマン大家にとって、初期投資の減価償却費や不動産取得税、ローン利息で一時的に赤字になるケースは少なくありませんが、青色申告ならその損失を無駄にせず将来の節税に活かせます。
青色申告を行うためには日々の取引を複式簿記で帳簿付けし、貸借対照表や損益計算書を含む決算書類を作成・保存することが求められます。これは一見手間に感じられるかもしれませんが、適切な帳簿管理には次のようなメリットがあります。
- 税務調査リスクの低減:帳簿がきちんと整備されている納税者は、税務署から見ても信用度が高く、申告内容に大きな誤りが生じにくい傾向があります。青色申告で求められる水準で経理を行っていれば、いい加減な記帳のまま申告するよりも税務調査(税務署のチェック)が入るリスクは低くなると考えられます。もちろん青色申告をしていれば絶対に税務調査が来ないというわけではありませんが、日頃から帳簿と証憑類を整備しておけば、万一調査となっても慌てず対応できます(税務調査への備えや対策について詳しく知りたい方は「税務調査の特集ページ」をご覧ください。
- 金融機関・第三者からの信頼向上:貸借対照表や損益計算書を毎年作成しているということは、その不動産賃貸経営の財務状況が一目で分かるということです。追加で融資を受けたい場合や、新たに物件を購入する際に金融機関へ事業実績を示す材料として、青色申告決算書は強力な資料になります。実際、銀行から「しっかり経理している大家さんだ」と評価を受け、融資交渉がスムーズに進んだケースもあります。第三者に対しても、帳簿が整っていることはビジネスの信頼度向上につながります。
このように、青色申告は節税メリットだけでなく、事業管理や対外的な信用面でもプラスに働きます。経理の専門知識に自信がない方もご安心ください。当税理士事務所では不動産投資専門の税理士が親身にサポートし、帳簿の付け方や経理体制の構築についても丁寧にアドバイスいたします。
青色申告のメリットを受けるには、事前の届出が欠かせません。具体的には「青色申告承認申請書」を期限内に税務署へ提出し承認を得る必要があります。また、不動産賃貸を副業として開始するにあたっては「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の提出も強く推奨されます。ここでは、青色申告の適用を受けるために必要な手続きとスケジュールについて解説します。
青色申告をするための第一歩が「青色申告承認申請書」の提出です。これは文字通り「青色申告をしたいので承認してください」という申請書で、税務署に出すことで青色申告者としての承認を受けます。提出先はお住まいを管轄する税務署です。
肝心なのは提出期限です。青色申告承認申請書は、青色申告を適用したい年の3月15日までに提出しなければなりません。例えば令和5年分から青色申告をしたい場合は、令和5年3月15日までに申請書を出す必要があります。ただし、年の途中で新たに不動産投資を開始した場合などは例外があります。1月16日以降に開業(不動産賃貸を開始)した場合は、開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出すればその年分から青色申告が可能です。提出が遅れるとその年は青色申告ができず白色申告になってしまいますので、物件を購入したり賃貸事業を始めたりしたら速やかに手続きしましょう。
提出方法は、大きく分けて窓口提出、郵送提出、オンライン提出の3つです。窓口や郵送の場合は税務署備え付けの様式か国税庁サイトからダウンロードした申請書に記入・押印して提出します。オンライン提出は、国税庁のe-Taxシステムを利用して電子送信する方法です。e-Taxで申請すれば郵送の手間が省け、受付の控えもデータで受け取れるため便利です。当税理士事務所でもe-Taxでの申請方法についてサポートや、代理申請のサポートが可能ですので、お気軽にご相談ください。
不動産投資を始めたサラリーマン大家さんは、個人事業の開業届(正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」)も提出しておくことをおすすめします。実は、不動産所得のみであれば開業届の提出は法律上は義務ではありません(事業所得ではないため提出しなくても罰則はありません)。そのため、「届け出なくてもバレないし面倒だから出さない」という方も多いのが現状です。
しかし、税務上のメリットを考えると開業届を提出しておく価値は大いにあります。開業届を出すことで青色申告承認申請を受理してもらいやすくなり、前述した青色申告の各種特典(最大65万円控除や損失繰越など)をフルに享受できるからです。逆に開業届を出していない状態だと、そもそも青色申告を行う前提である「事業を開始した」という事実が税務署に伝わっておらず、青色申告承認申請書を出すタイミングを逸してしまうケースもあります。不動産投資を始めたら、物件の引き渡しを受けてから1ヶ月以内を目安に開業届を提出すると良いでしょう(遅れて提出しても罰則はありませんが、提出が遅いと青色申告初年度の適用を逃す可能性があるため要注意です)。
開業届提出にあたり、会社員の方が気にされる点として「勤務先に副業がバレないか?」という心配があるかもしれません。ご安心ください、開業届を税務署に出したからといってその情報が勤務先企業に通知されるようなことは通常ありません。また、「開業届を出すと税金が高くなるのでは?」という誤解もありますが、それも誤りです。むしろ開業届提出を機に青色申告が可能となり、結果的に節税効果が高まるケースが多いのです。
なお、開業届を出すことと法人を設立すること(法人化)は全く別物です。開業届はあくまで個人事業主として税務署に登録する手続きであり、それ自体で会社を設立するわけではありません。個人事業(不動産所得)の場合、所得税は累進課税で最大税率45%(住民税も含めると55%)にも達しますが、一方の法人税は原則一律で約23%(中小法人の軽減税率適用で年800万円以下の所得は15%前後、法人住民税等を含めた実効税率でも約33%)です。不動産収入が大きく育ってきた場合には法人化することで税率面のメリットが見込めます(この点は後述する「法人化のメリット・デメリットを考える」で詳しく述べます)。まずは個人事業主として開業届を提出し青色申告を活用することからスタートし、将来的な節税策として法人化も視野に入れると良いでしょう。
※賃貸経営における消費税の取扱いについて詳しく知りたい方は、下記のページもご参照ください。
青色申告を行うには日々の帳簿付けが欠かせませんが、「経理なんて苦手…」という方も心配いりません。現代では便利な会計ソフトが充実しており、初心者でも比較的簡単に複式簿記の記帳ができます。当税理士事務所でも、お客様には弥生会計をはじめとした実績ある会計ソフトの活用をおすすめしています。
会計ソフトを導入するメリットは多数あります。例えば、収入や支出を入力すると自動的に仕訳が作成され、貸借対照表や損益計算書もボタン一つで作成可能です。青色申告決算書(不動産所得用)や確定申告書の様式に沿った帳票もソフト上で出力できますので、手書きやエクセル管理に比べ格段に効率的です。また、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で明細を取り込む機能があるソフトもあり、家賃入金や経費支出の記録漏れを防ぐことができます。仕訳の科目選びに迷った場合も、不動産所得向けのテンプレートや当税理士事務所から提供する勘定科目セットを使えば、どの費用を何費として計上すればよいかが分かりやすくなります。
弥生会計は不動産業の経理にも対応した定番ソフトで、サポート体制も充実しています。当税理士事務所には弥生会計に精通した税理士・スタッフが揃っており、初期設定から日々の入力方法、決算書の作成までしっかりとサポートいたします。ソフト導入にあたって不安がある方も、専門家の助言を受けながら進めれば安心です。会計ソフトを上手に活用し、帳簿付けを「経営の武器」にしていきましょう。
ここからは、サラリーマン大家さんが年に一度行う確定申告の手順について見ていきます。給与所得と不動産所得をどのように合算して申告するのか、書類作成の際に注意すべきポイントや必要書類、そして提出方法(e-Taxと書面)それぞれの特徴を解説します。副業としての不動産所得がある方にとって、初めての確定申告は不安もあるかもしれませんが、流れを押さえてしまえば難しくありません。当税理士事務所も毎年多くのサラリーマン大家さんの申告をお手伝いしておりますので、ぜひ参考にしてください。
会社員の方が副業で得た不動産収入を申告する場合、給与所得と不動産所得を合算して所得税を計算する必要があります。具体的には、勤務先から年末に受け取る源泉徴収票に記載された給与収入・源泉徴収税額などの情報と、賃貸経営で生じた不動産所得の金額(収入-必要経費)を確定申告書に両方記入します。確定申告書では、給与所得については源泉徴収票を転記する形で所得金額を記載し、不動産所得については別途「不動産所得用の青色申告決算書」または「収支内訳書(白色申告の場合)」を作成してその数字を申告書に転記します。
サラリーマンの場合、給与所得については会社が年末調整を行い既に所得税が源泉徴収されていますが、不動産所得の部分はご自身で申告して清算する必要があります。合算結果、もし副業不動産所得を含めた年間の所得税額が源泉徴収された税額より少なければ還付(払い過ぎ税金の返金)となりますし、逆に多ければ不足分を追加納税する形になります。
ポイントとして、給与と不動産の所得区分ごとに所得控除等が適用され計算されるわけではなく、あくまで最終的な課税所得は合算されます。そのため、不動産所得で赤字が出て給与所得の金額を食い込む形になれば、払い過ぎた源泉税が戻ってくる(節税になる)ことになります。特に減価償却費などで不動産所得がマイナスになるケースでは、給与から天引きされていた所得税が大きく戻ってくる可能性があります。サラリーマン大家にとって、確定申告は税金の精算とともに、給与以外の所得状況を正しく申告する大事な機会です。計算が難しい部分は専門家に任せ、適法かつ有利に申告しましょう。
確定申告書を作成する際には、いくつか事前に用意すべき書類や押さえておきたいポイントがあります。
必要書類のチェックリスト:
- 源泉徴収票(給与所得の証明):勤務先から交付されたもの。原本を確定申告書に添付(電子申告の場合は内容を入力)します。
- 不動産所得の帳簿(収支記録):日々の家賃収入や経費を記帳した帳簿類。青色申告の場合はここから青色申告決算書(不動産所得用)を作成します。
- 青色申告決算書:青色申告者は貸借対照表と損益計算書を含む決算書を作成します。不動産所得専用の様式があり、家賃収入や経費内訳、減価償却費などを記載します(当税理士事務所では会計ソフトから自動作成できます)。
- 各種控除証明書:生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、小規模企業共済掛金払込証明書など、所得控除を受けるための証明書類。給与所得の年末調整で提出済みのものも再度提出は不要ですが、年末調整で処理していない控除があれば申告で適用します。
- 経費の領収書や契約書の控え:不動産所得の必要経費を証明する書類類(リフォーム代の領収書、管理委託契約書、水道光熱費の領収書など)。申告書提出時に添付はしませんが、税務調査で確認される可能性があるため7年間は保管しておきます。
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類:確定申告書にはマイナンバーの記載と本人確認書類の提示/添付が必要です。e-Taxの場合はマイナンバーカードがあると電子署名で本人確認できます。
作成のポイント:
- 青色申告決算書の数字(所得金額や経費明細)は確定申告書第一表・第二表に転記する必要があります。不動産所得欄にしっかり反映させましょう。
- 減価償却費の計算は間違いやすいポイントです。新たに取得した物件がある場合は、減価償却資産の償却費計算明細書も作成して申告書に添付します。会計ソフトを使えば自動計算されますが、耐用年数や取得価額の入力ミスに注意してください。
- 青色申告特別控除額(65万円または10万円)をきちんと計上しましょう。申告書第二表の所得金額欄で、不動産所得から控除額を引いた金額に調整します。65万円控除を適用するには、先述の通り複式簿記による記帳・決算書の添付、電子申告の実施、事業的規模等の条件を満たす必要があります。
- 申告書の用紙は国税庁ウェブサイトからダウンロード可能で、手書き提出もできますが、計算誤りを防ぐため国税庁の確定申告書作成コーナーや市販の確定申告ソフトを利用するのがおすすめです。
書類を一通り作成したら、最後に提出方法を選択します。次項で、e-Tax(電子申告)と紙提出の違いを見てみましょう。
確定申告書の提出方法には、大きく税務署へ書面(紙)で提出する方法と、自宅からe-Tax(電子申告)で提出する方法があります。それぞれの特徴を押さえて、自分に合った方法を選びましょう。
- 紙提出(書面提出): 確定申告書を紙で作成し、税務署の窓口へ持参するか郵送で提出する方法です。従来からある方法で、パソコンが苦手な方でも手書きや印刷で対応できます。ただし、受付時間内に税務署へ出向く必要があったり、郵送の場合は郵送事故に備えて写しをとって書留郵便で送る手間がかかります。また、青色申告特別控除の満額(65万円)を受けるためには電子申告が推奨されており、紙提出だと控除額が10万円減額(55万円控除止まり)となる場合があります※。
- e-Tax(電子申告): インターネットを通じて申告データを電子送信する方法です。自宅にいながら24時間申告でき、受付の控えも電子発行されるため非常に便利です。近年はマイナンバーカードを使った認証や、スマホで申告できるシステムも整っており、以前より格段に利用しやすくなっています。e-Taxで申告すれば青色申告特別控除を最大限(65万円)受けられるメリットもあり、青色申告者には原則e-Taxを強くおすすめします。当税理士事務所のお客様にも、初めての電子申告をサポートし、「紙より簡単だった」「もう郵送には戻れない」とご好評をいただいています。また、代理送信による電子申告も承っています。
※2020年度の税制改正により、従来は青色申告特別控除65万円を受けるために電子申告が必須となりました。ただし電子申告をしない場合でも、事前に電子帳簿保存の届出を行い要件を満たせば65万円控除を維持する方法もありますが、一般的にはe-Tax利用が最も簡便です。
以上をまとめると、手軽さ・正確さ・控除額の観点から、サラリーマン大家の方はe-Taxでの申告を検討してみてください。環境の設定や操作に不安がある場合は、税理士が代理送信することも可能ですのでご相談ください。
不動産投資を軌道に乗せるには、日々の帳簿付けと経費管理をおろそかにしないことが大切です。青色申告の65万円控除を受けるには正確な帳簿が必要なのはもちろんですが、日々の経理をきちんと行うことが結果的に節税チャンスを逃さないポイントでもあります。ここでは、サラリーマン大家が押さえておきたい記帳と経費精算の基本について解説します。
前述の「帳簿準備のポイント」でも触れましたが、青色申告で複式簿記を行うなら会計ソフトの活用はほぼ必須と言ってよいでしょう。特に不動産賃貸業は、毎月決まった家賃の入金やローン返済、管理費の支出など、パターン化できる取引が多いので、ソフトを使えば仕訳をテンプレート化して効率的に記帳できます。
弥生会計には、不動産所得者向けに便利な機能がいくつかあります。例えば、毎月発生する家賃収入を自動仕訳登録しておけば、入金日ごとに家賃の仕訳を起票する手間が省けます。また、固定資産台帳を管理する機能があり、建物や設備の減価償却費を物件ごとに計算・集計することが可能です。これにより、決算時に減価償却費を手作業で算出する必要がなくなります。さらには、確定申告書類の様式に合わせたレポート出力機能があるため、青色申告決算書や貸借対照表の作成もスムーズです。
当税理士事務所では弥生会計の導入支援から日々の運用方法まで、きめ細かくサポートしています。例えば、「どの勘定科目を使えばいいかわからない」という方には、不動産投資に特有の経費科目(例:租税公課(固定資産税等)、支払利息、修繕費、管理費 etc.)の使い分けをアドバイスし、科目体系の初期設定をお手伝いします。さらに、毎月のデータ入力後には帳簿データをクラウド経由で共有いただき、税理士が内容をチェック・フィードバックするサービスも提供可能です。ITツールと専門家の知恵を組み合わせて、経理の効率化と正確性向上を図りましょう。
不動産投資における帳簿付けの基本は、「お金の動きを一つ残らず記録する」ことです。具体的なコツをいくつか挙げます。
- 事業用口座を使う: プライベートの出費と賃貸経営の出費をごちゃまぜにしないよう、賃貸物件専用の銀行口座を用意するのがおすすめです。家賃収入や管理費の引き落とし、ローン返済などすべてをその口座で行えば、通帳の記録がそのまま帳簿の元資料になります。事業用クレジットカードを併用するとさらに経費の見える化が進みます。
- 収入と経費を項目別に把握: 家賃収入は物件ごと・月ごとに漏れなく計上しましょう。一方、経費は科目分類を意識して記帳します。例えば、固定資産税や都市計画税は「租税公課」、火災保険料は「損害保険料」、ローンの利息は「支払利息」、管理会社への手数料は「管理費」、修繕費用は「修繕費」という具合です。正確な科目分類は最終的な損益分析にも役立ちます。
- 領収書・レシートにメモ: 経費の領収書をもらったら、その場で「◯◯物件の設備修理」など簡単なメモを書き込んでおきましょう。後から見返したときに何の支出か分かりやすくなります。特にホームセンターやネット通販で買った備品などは、用途を記録しないと忘れがちなので注意です。
- 月次で収支をチェック: 帳簿付けは溜め込むと大変なので、できれば月に一度は収支をソフトに入力して集計しましょう。毎月の家賃収入と経費総額を一覧すれば、物件ごとの採算が見えてきます。年間を通じて黒字・赤字の見通しも立ち、節税策(例えば年内にできる修繕を前倒しする等)を検討する材料になります。
以上のコツを押さえれば、帳簿は単なる作業ではなく自分の資産を守り増やすための経営ツールとなります。最初は慣れないかもしれませんが、習慣化してしまえば難しいことはありません。不安な点は税理士や先輩大家さんに相談し、正しい方法で記帳を進めましょう。
不動産所得の計算上、「何が経費として認められるか」は常に気になるポイントです。経費計上できるものとできないものの代表例を整理してみます。
経費にできる主な支出:
- 固定資産税・都市計画税: 賃貸物件に課される毎年の税金。これは賃貸収入を得るために必要な費用として全額経費になります。
- ローンの利息: 物件購入資金の借入金利息は「支払利息」として経費計上可能です。(元金返済部分は経費になりませんので注意)また、赤字の場合は土地等負債利子に相当する部分については控除できないことに注意が必要です。
- 減価償却費: 建物や設備の購入費用を耐用年数に渡って配分した費用。詳しくは後述しますが、建物本体やエアコン・給湯器等の設備は減価償却という形で毎年経費算入できます。
- 修繕費: 物件の維持・修理のための費用。故障箇所の修理代や原状回復費用など、資産価値を高める目的でない純粋な修理費用は経費になります。
- 管理費・管理委託手数料: 管理会社等に支払う物件管理の委託料や、清掃費用等は経費計上できます。
- 光熱費・通信費: 共用部の電気代や、水道代、賃貸経営に必要な電話・インターネット費用等も按分して経費にできます。自宅を事務所代わりにしている場合、自宅のネット代・携帯電話代などの一部を事業用按分費用とすることも可能です。
- 交通費: 物件の様子を見に行ったり、入居者との打ち合わせに行く際の電車賃・ガソリン代、高速道路料金なども業務上必要なら経費になります。マイカーを主に物件管理に使っている場合は、車両関連費用の一定割合を経費計上する方法もあります。
- 減価償却資産の取得費: エアコン、給湯器、照明器具、家具家電など、一定額以上の資産を購入した場合は即時費用ではなく減価償却で経費化します。ただし10万円未満の備品や消耗品は購入時に全額経費として構いません。青色申告をしていれば30万円未満の資産について年間合計300万円まで一括経費算入できる特例も活用可能です。
経費にできない主な支出:
- 借入金の元本返済: ローンの元本返済部分は資産の形成に充てられるお金なので経費にはなりません(利息部分のみ経費)。
- 所得税・住民税: 個人事業主本人の税金や国民年金保険料等は、不動産収入を得るための費用ではないため経費計上できません(所得控除として税計算上差し引かれるものはありますが、経費にはしません)。
- 私的な経費: 当然ですが、プライベートな支出(家族の食事代、趣味の購入品など)は経費になりません。事業用と私用の区別はシビアに見られます。
- 資本的支出: 建物の価値を高めたり耐用年数を延ばすようなリフォーム・改良工事費は、修繕費ではなく資本的支出とみなされ経費にはできません(資産計上して減価償却する形になります)。例えば、和室を洋室に変更する大規模リフォームや、建物の増築などが該当します。どこまでが修繕費でどこからが資本的支出かは判断が難しい場合もありますので、心配なときは税理士に相談しましょう。
以上のように、「業務に必要な支出」であれば基本的に経費になりますが、「個人的な支出」や「資産価値を増す投資的な支出」は直接の経費にはならないと覚えておきましょう。経費に計上できるか微妙なものは、事前に専門家に確認してから処理すると安心です。
経費をもれなく計上し、税務上も認められる形にしておくには、領収書等の管理と記録付けが重要です。次のポイントに留意しましょう。
- 領収書・レシートは必ず保管: 経費の裏付けとなる書類(領収書、レシート、請求書、契約書コピーなど)はすべて保管します。紙の領収書は日付順や科目別にファイリングしておくと後で探しやすく便利です。7年間の保存義務がありますので、捨てずに保管しましょう。
- 電子データでの保存: 紙の書類が増えて管理が大変…という方は、領収書をスマホで撮影したり、スキャナで読み込んだりして電子データで保存する方法も検討してください。ただし、電子帳簿保存法の要件に沿った形で保存する必要があるため、単に写真を撮るだけではなく適切な管理システムを使うことが望ましいです。会計ソフトによっては領収書画像を仕訳と紐付けて保存できるものもあります。
- 日付と金額、内容の記録: 領収書だけでは何の支出か分からない場合があります。ノートや会計ソフトのメモ欄に、その支出の具体的内容(○月分の電気代、◯◯物件の修理代等)を記録しておくと良いでしょう。後からまとめて精算する際に役立ちます。
- クレジット明細・請求書もチェック: 銀行引落やクレジットカード払いにしている経費も忘れずに。請求書や利用明細書を保存し、領収書同様に扱います。特にインターネットや電話代など領収書が発行されないものは、契約書や申込書などと併せて保管することにより明細書が証憑代わりになります。
- 現金出費は出金伝票でフォロー: どうしても領収書をもらい損ねた現金出費がある場合、出金伝票(メモ帳でも可)に日時・金額・用途を記録しておきましょう。領収書の代わりにはなりませんが、記録が全くないよりはましです。可能な限り現金払いは避け、証拠を残せる支払い方法を使うのが賢明です。
これらを徹底することで、「経費にできるのに記録がないために落としてしまった…」という事態を防げます。せっかくの節税チャンスを逃さないよう、日頃から書類整理の習慣をつけましょう。当税理士事務所でも領収書整理のコツや電子保存のアドバイスをしておりますので、お気軽にご相談ください。
不動産投資の経理において、減価償却と修繕費は非常に重要な概念です。建物や設備の購入費用は一度に経費に落とせず減価償却で少しずつ費用化し、一方で修繕費は発生時に経費計上できます。さらに、修繕費と資本的支出(資本的改善)の線引きも、税務上の争点になりやすい部分です。ここでは、減価償却と修繕費の基本を押さえておきましょう。
減価償却とは、建物や設備といった長期にわたり使用する固定資産の取得費用を、使用可能な期間(耐用年数)に渡って分割して経費として配分していく会計処理のことです。賃貸用不動産の代表例である建物は、購入した年に一度に全額を経費にはできません。例えば3,000万円で購入した木造アパートは、法定耐用年数(木造住宅なら22年)に基づき毎年定められた金額ずつ減価償却費として経費計上していきます。こうすることで、建物の価値の目減りを各年の費用として適切に配分するのです。
減価償却の対象となるのは建物本体だけではありません。構築物(外構や塀など)、設備(エレベーター、給排水設備、エアコンなど)、器具備品(家具・家電等)もそれぞれ耐用年数が定められており、個別に減価償却を行います。賃貸経営では、これらの減価償却費が毎年まとまった額の経費となり、所得税の課税所得を圧縮してくれる効果があります。特に減価償却費は現金支出を伴わない費用(=キャッシュフローには直接影響しない費用)なので、手元のお金を減らさずに税金を減らせる点が大きなメリットです。
なお、減価償却の方法には定額法や定率法などがありますが、一般的な住宅用建物については現在定額法が用いられています。会計ソフトを使えば、資産の取得年月日や金額、耐用年数を入力するだけで毎年の償却費が自動計算されるので便利です。減価償却費の計上漏れがあると節税の機会を逃してしまうため、取得した資産は必ず固定資産台帳に登録し、忘れずに償却していきましょう。
減価償却の計算には、資産ごとに耐用年数(税法で定められた使用可能期間の年数)を適用する必要があります。例えば、木造住宅は22年、鉄骨造(一定規模以下)は19年、鉄筋コンクリート造マンションは47年といった具合です。中古で物件を購入した場合は、残存耐用年数を一定の計算式で求めて適用します。例えば、木造住宅であれば最短4年になります。
耐用年数と同時に考えるのが償却方法です。個人の不動産所得では、多くの減価償却資産について定額法が適用されます。定額法とは、毎年同じ金額を償却していく方法で、計算が平易である一方、初年度から最終年度まで一定額の費用を計上する形になります。もう一つの定率法(毎年帳簿価額が減っていくにつれ償却額も減少する方法)は、現在では建物には適用されず主に一部の器具備品等に任意適用できますが、個人の場合選択制となっています。
実務上は、特段の理由がなければ会計ソフトの初期設定どおり定額法で処理するのが一般的です。ただし、例えば一括償却資産(取得価額20万円以上〜30万円未満の資産を3年間で均等償却)など、小規模事業者向けの簡便な方法もあります。青色申告をしている場合には前述したように少額資産の特例(30万円未満を即時償却)も活用可能ですので、その年の利益状況に応じて柔軟に選択しましょう。
減価償却は専門的な計算を要する分野ですが、逆に言えば計画的にコントロールできる節税費用でもあります。例えば、「今年は所得が多く出そうだからエアコンを新調して全額償却しよう」「来年以降に向けて今のうちに償却資産を増やしておこう」といった具合です。減価償却費はあくまで会計上の費用配分ですが、賢く活用すれば節税と設備投資のバランスを図る武器になります。
物件の維持管理には修理やリフォームがつきものですが、税務上修繕費として経費計上できるか、それとも資本的支出として資産計上(減価償却)しなければならないかの判断は重要です。基本的な考え方は以下の通りです。
- 修繕費: 建物や設備を元の状態に維持・原状回復するための支出。壊れたり劣化した部分を修理・補修し、機能を回復させるための費用です。例えば、給湯器が故障したので交換した、雨漏りを補修した、空室の原状回復工事(クロス貼替やクリーニング)を行った、などは修繕費となり、発生した年の経費にできます。
- 資本的支出: 建物や設備の価値を高めたり、耐用年数を延長させるような改良・増築等の支出。単なる修理の範囲を超えて資産価値を増加させる投資的な支出です。例えば、古い木造アパートに耐震補強工事を行って耐用年数を延ばした、大規模リフォームで間取り変更し機能・価値を向上させた、新たにエレベーターを増設した、などのケースは資本的支出となり、その支出はその年の経費にはできず資産として計上し減価償却で費用化します。
実務ではグレーゾーンも存在します。たとえば、古くなった設備を新品に交換する場合、それは単なる修理とも取れるし性能向上とも取れます。国税庁の事例では、「おおむね修繕費か資本的支出かの判定基準」が示されており、支出額の大小や工事の内容、効果の及ぶ期間などを総合的にみて判断することになっています。具体例としては「一度に多額(例えば数百万円以上)の修理費をかけて建物全体を改修した場合は資本的支出と推定される」「20万円未満程度の小額な修理は基本的に修繕費で差し支えない」などの目安があります。
大家さんとしては、「これは修繕費になるのか資本的支出扱いなのか?」と迷う場面も多いでしょう。その場合は、工事業者からもらう見積書や請求書の内訳をよく確認してください。単に「リフォーム一式 ○○万円」ではなく、「壁紙張替 ○円、畳表替え ○円、ユニットバス交換 ○円…」など細かく分かれていれば、修繕的部分と資本的支出的部分に分解できる可能性があります。判断が難しいときは、税理士に相談して適切な処理を検討しましょう。当税理士事務所でも過去の事例に基づき、できる限り有利な(経費計上できる)判定ができないかアドバイスいたします。
青色申告の活用以外にも、サラリーマンが副業として行う不動産投資では様々な節税対策が考えられます。税金は利益に応じて増えていくものですが、適切な対策を講じることで法の範囲内で負担を軽減することが可能です。ここでは、副業不動産オーナーに知っていただきたい節税のポイントをいくつか紹介します。
まず何と言っても先述してきた青色申告特別控除のフル活用が基本中の基本です。青色申告をして複式簿記で帳簿をつけ、確定申告書を電子申告すれば最大65万円の所得控除が得られます。この65万円控除は、不動産所得が黒字であればその分だけ課税所得を圧縮し、所得税・住民税を大きく減らす効果があります。
例えば、不動産所得が100万円の人が65万円控除を受ければ、実質所得は35万円となり、その分の所得税・住民税が軽減されます。税率33%の層であれば、ざっと21万円もの節税効果です。これは見逃せません。なお繰り返しになりますが、小規模な賃貸だと控除額は10万円に制限されるケースもあります。しかし10万円でも節税効果はありますし、物件数や規模が増えてきたときに65万円控除をスムーズに適用できるよう、早めに青色申告を始めておくメリットは大きいです。
65万円控除を受けるための条件(期限内の申請、帳簿の備付・保存、電子申告等)は本記事前半で述べましたが、もう一つ専従者給与の活用も条件に絡んできます。事業的規模で家族に給与を払っている場合、その給与の適正さなど一定の要件を満たせば「青色事業専従者給与」として必要経費にできます。これ自体も大きな節税策ですが、専従者給与を支給する場合は必ず青色申告でなければなりません。青色申告の枠組みが、他の節税策の土台にもなっているのです。
青色申告特別控除で事業の所得を減らした上で、さらに各種所得控除を組み合わせれば、確定申告で還付を受けたり納税額を減らしたりできる可能性があります。サラリーマンの方であれば年末調整である程度控除は受けていると思いますが、以下のような控除は確定申告で追加適用できるか改めて確認しましょう。
- 医療費控除: 1年間に一定額以上の医療費を支払った場合、確定申告で医療費控除を申請できます。サラリーマンの場合でも副業の確定申告時に併せて手続き可能です。
- 寄附金控除(ふるさと納税等): ふるさと納税を行っている場合、ワンストップ特例を使わなかったものは確定申告で寄附金控除として申告します。
- 雑損控除: 災害や盗難などで資産に損害を受けた場合、一定の控除を受けられます。もし賃貸物件で災害被害に遭った場合など、適用を検討します。
- 小規模企業共済等掛金控除: 個人事業主が将来の退職金積立として加入できる小規模企業共済の掛金は全額所得控除になります。賃貸経営が事業的規模であれば加入可能なので、掛金を支払っていれば確定申告で忘れずに控除しましょう。
- 生命保険料控除・地震保険料控除: 年末調整ですでに適用済みの場合は不要ですが、副業開始後に新たに保険加入した場合など未申告の控除があれば適用します。
これら以外にも、住宅ローン控除(自分の自宅の住宅ローンが対象)などサラリーマンとして享受できる税制は併用できます。要は、副業の不動産所得がプラスでもマイナスでも、使える控除は全て使うという発想が重要です。青色申告の控除と各種所得控除を組み合わせ、所得税・住民税の負担を最適化しましょう。当税理士事務所では、確定申告書作成時にお客様の控除漏れがないか丁寧にチェックし、最大限の節税をサポートしています。
節税の基本は、「本来経費にできるものを漏れなく経費計上する」ことです。当たり前のようですが、意外と見落としがちなポイントでもあります。特にサラリーマン大家の場合、本業が忙しくて経理が後回しになると、経費計上漏れが発生しがちです。そこで、必要経費をもれなく落とすための方法を改めて整理しましょう。
- 前述の帳簿付けの習慣化: 定期的に帳簿を付けることで、記憶が新しいうちに支出を記録でき、漏れを防げます。1年前のレシートを見て「これ何だっけ?」と悩む前に、当時の状況をリアルタイムで反映しておくことが大切です。
- 経費科目の洗い出し: 一年間の支出を科目ごとに並べてみましょう。例えば「旅費交通費ゼロだな…あ、そういえば物件見に行ったときの電車賃を計上し忘れている」など、科目ごとに見ると抜け漏れに気付きます。当税理士事務所では決算前に科目別の一覧をお客様に提示し、「この項目で他に計上漏れありませんか?」と確認するようにしています。
- 現金立替や共用費の精算: 管理費や光熱費を一時的に個人が立て替えて払っている場合、それを事業口座への振替や経費計上し忘れることがあります。また、自宅兼事務所の場合の水道光熱費や電話代の按分など、後から按分計算が必要な費用も漏れがちです。これらは決算時にまとめてでも構わないので、経費精算仕訳を忘れず切りましょう。
- 領収書以外の証憑も確認: 銀行振込で支払った費用やクレジット払いのものは、領収書という形で手元に残りません。通帳の振込記録やカード明細を見直し、必要な経費を計上し漏れていないか確認します。特に年払いの火災保険料や、固定資産税の口座引落などは忘れやすいので注意です。
副業で時間が取れない中でも、こうした工夫をすることで経費漏れゼロを目指せます。経費をきちんと計上することは合法的な節税であり、事業の実態を正しく反映するためにも重要です。「こんなものまで経費になるの?」と心配な支出も、とりあえず専門家に相談してみてください。意外なものが経費になるケースもあり、当税理士事務所でもお客様とヒアリングする中で経費算入可能な支出を発見できたことが多々あります。
最後に、副業不動産オーナーが所得税対策としてうまく活用できる具体的な支出例をいくつか挙げます。いずれも必要経費または所得控除となりうるものですので、該当しそうなものは積極的に検討しましょう。ただし、所得税では、収益を得るために”直接”要した費用のみしか必要経費に計上できないことを考慮すると、グレーゾーンに該当するものもありますので慎重さも必要です。
- セミナー参加費・書籍代: 不動産投資に関する勉強のためのセミナー受講料や専門書の購入費は、事業に資する支出として経費計上が認められる場合があります。知識習得も広い意味で事業必要経費です。※グレーゾーンに該当します。
- 旅費交通費: 物件視察や遠方の不動産会社訪問などビジネス目的の旅行費用は旅費交通費として経費になります。出張がてら現地の不動産市場を調査するなど、有意義に使ってみましょう。※グレーゾーンに該当します。
- 青色事業専従者給与: 家族が賃貸経営を手伝ってくれている場合、一定の届け出をしたうえで、その労務に対して給与を支払うことで経費化できます。例えば配偶者に毎月5万円の給与を払えば年間60万円の経費増、かつ配偶者側で所得控除内に収まればご家庭全体で見ても税負担を減らせます。
- 小規模企業共済の掛金: 先にも触れた小規模企業共済は、加入すれば月額最大7万円まで全額所得控除になります。将来の退職金積立にもなり、一石二鳥の節税策です。
- 倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金: 取引先の倒産に備える中小企業向け制度ですが、個人事業主(事業的規模の大家を含む)も加入可能で、年間最大240万円の掛金を必要経費にできます。途中解約すると収入になってしまいますが、短期的に所得を圧縮したい場合に活用する手もあります。
- 将来の修繕に備えた計画的支出: 年末時点で利益が多く出そうな場合、早めにできる修繕を行って経費を当期に計上するのも一策です。例えば来年やる予定だった外壁塗装を前倒しで今年実施すれば、その分今年の所得が減り節税になります(ただし必要性のない無駄な工事は本末転倒なので注意)。
こうした支出を活用するときは、「節税のためだけに不要な出費をする」のではなく、「将来必要な支出を計画的に前倒しする」「家族への支払いで所得分散を図る」といった事業目的と節税の両立を意識することが大切です。当税理士事務所では、お客様の収支見通しを踏まえた上で最適な節税策をご提案いたします。節税も行き過ぎると本末転倒ですが、適切な範囲でなら賢く利益を手元に残しましょう。
節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
賃貸不動産業が順調に拡大して収益規模が大きくなってきた場合、次に検討すべきは法人化です。個人事業として青色申告を続ける道もありますが、法人(不動産管理会社や不動産投資法人)を設立して運営することで節税や事業承継など様々なメリットが得られることがあります。一方で、法人化にはコストや手間も伴いますので、メリットとデメリットを総合的に判断することが必要です。この章では、不動産投資の法人化について考えてみましょう。
不動産賃貸業を法人化することには、いくつかの大きなメリットがあります。
- 税率の引下げ効果: 個人の所得税は累進課税で、所得が増えると最高45%(住民税合わせて約55%)もの税率になります。一方、法人税率は中小法人の場合、年800万円までの所得は約15%、800万円超部分も約23%程度(法人住民税等を加えた実効税率でも上限約33%程度)です。不動産所得が高額になると、個人より法人の方が税率面で有利になります。例えば年間の課税所得が900万円を超えるようなケースでは、法人化による節税額が相当大きくなります。
- 所得分散と給与所得控除: 法人にすると、自分や家族に役員報酬(給与)を支払うことができます。給与は法人の経費となり所得を圧縮すると同時に、受け取った側では給与所得控除が適用されます。これは個人事業の専従者給与にも似ていますが、法人の方が金額面・対象者面で柔軟に設定可能です。家族に給与を支給して所得を分散すれば、一家全体としての税負担を軽減できます。
- 経費の範囲拡大: 個人事業でも経費にはできますが、法人にすることでより経費化しやすくなる項目もあります。例えば役員報酬の他に、役員貸与の社宅費用(自宅を社宅扱いにして会社が家賃を負担)や、法人名義での生命保険加入による将来の資金準備、交際費の損金算入枠拡大など、法人特有のメリットが活かせます。不動産管理法人という形で自分の資産管理会社を持てば、経費計上の裁量も広がります。【不動産管理法人 節税】というキーワードで注目されるように、管理会社スキームによる節税効果は見逃せません。
- 資産の集約と信用力: 法人名義で資産を持つことで、融資を受けやすくなる場合があります。企業としての信用が付けば、より大きな規模の物件にチャレンジできるかもしれません。また、複数の物件を法人に集約すれば管理が一元化され、財務内容も見えやすくなります。
- 事業承継の円滑化: 法人化しておけば、将来ご自身に万一のことがあっても、物件は法人所有なので相続の手間が軽減されます。相続人は法人の株式を承継する形になり、不動産そのものを細分化して相続するよりも分けやすくなります。また、一定の中小企業は事業承継税制の適用も検討でき、相続税・贈与税の納税猶予などの制度を使える可能性もあります。事業承継を見据えた財産管理にも法人化は有効です(事業承継について詳しくは「事業承継の特集ページ」をご覧ください。)
もっとも、法人化には注意点やデメリットも存在します。
- 設立・維持コスト: 会社を作るには登録免許税や定款認証費用など初期費用がかかり、設立後も毎年の法人住民税(赤字でも均等割として最低7万円程度)や、税理士顧問料・決算申告費用などのコストが発生します。小規模な収益だとかえって手元利益が減る可能性があります。
- 損益通算ができない: 個人であれば不動産の赤字を給与所得と相殺できますが、法人にすると個人と法人は別納税主体なので、法人の損失を個人の給与所得と通算といったことはできません。初期投資で赤字が見込まれる場合、法人にしてしまうとその損失を個人の税金から取り戻すことはできず、法人内で繰越すしかありません(法人の欠損金は10年間繰越可ですが)。
- 資産移転時のコスト: 個人から法人に物件を移す際、通常は売買の形を取りますが、その際に不動産取得税・登記費用、そして譲渡益課税(譲渡所得税)が問題となります。自分の会社とはいえ売買は売買なので、時価で譲渡したとみなされ、値上がり益があれば個人に譲渡所得税(20%〜39%)がかかります。また、法人側も取得した物件の固定資産税評価額等に応じて不動産取得税を支払います。これらの移行コストが一時的に発生する点は念頭に置く必要があります。
- ダブル税務調査の可能性: 個人と法人で別々に税務申告するため、それぞれに税務調査の可能性が生じます。特に同族会社の場合、個人と法人の取引(例えば賃貸料のやり取りや資金貸借)が適正かどうか見られるため、よりシビアなチェックを受けることもあります。帳簿管理は一段と厳密に行う必要があります。
以上のように、一概に「法人化すべき・すべきでない」を断言するのは難しく、ケースバイケースです。不動産収入が年間数百万円規模で税率がそれほど高くないうちは、無理に法人化せず青色申告(個人事業)で節税を図るほうが得策かもしれません。逆に所得が大きくなり税負担感が強まってきたら、法人化のメリットを専門家と一緒に検討すると良いでしょう。当税理士事務所でも、お客様の状況に応じた法人化シミュレーションを行い、最適なタイミング・スキームをご提案しています。
法人化の形態の一つとして、当税理士事務所が不動産オーナー様におすすめしているのがサブリーススキームの活用です。サブリースとは、不動産の所有者から一括して物件を借り上げ、第三者に転貸(又貸し)する形態で、いわゆる「転貸借」や「マスターリース」とも呼ばれます。これを節税に応用する方法が、不動産管理会社(法人)を設立して自分の物件をその法人に貸し出し、法人が入居者に又貸しするというスキームです。
具体的には、賃貸物件のオーナーである個人が、自身の100%出資などで「不動産管理法人」を設立します。そして、その法人がオーナー個人から物件を一括借上げ(マスターリース)し、実際の入居者と賃貸借契約を結びます。法人は入居者から受け取る家賃から一定の手数料(サブリース料)を差し引いた金額をオーナー個人に家賃として支払います。この手数料部分が法人の利益となり、個人側の不動産所得を圧縮することができます。
例えば、入居者からの家賃月額100万円の物件について、管理法人との間で月80万円の一括貸上契約を結んだとします。個人は毎月80万円の家賃収入を得て、それ以外の経費を引いた額が個人の不動産所得になります。一方、法人は20万円の差額を収入として得ますが、法人側でも経費(管理業務に関する費用や役員報酬等)を計上し、最終的な法人利益に対して法人税が課されます。重要なのは、この家賃の分割により、もともと個人に集中していた所得が個人と法人に按分され、それぞれ低い税率が適用される可能性があることです。個人の所得税率が高ければ高いほど、サブリース料として法人に移した部分について税負担を軽減できる効果が大きくなります。
サブリーススキーム活用上の注意点として、法人へ設定する家賃(マスターリース料)は適正な金額である必要があります。税務上、同族会社との取引価格が不当に安すぎたり高すぎたりすると、所得移転とみなされ是正される恐れがあります。一般の管理会社に委託する場合の相場や、物件の収益性を参考に、妥当な水準で契約を結ぶことが大切です。また、法人には実態ある業務(入居者対応やクレーム処理、家賃管理等)を行わせ、単なるペーパーカンパニーにならないようにすることもポイントです。当税理士事務所では、適切な契約書の作成から税務上問題ないスキーム設計までサポートいたします。
サブリーススキームは、不動産投資専門の税理士が推奨する有力な節税策の一つです。個人では経費にしづらかった支出を法人側で計上するなど、グループ全体としてトータルに節税を図ることが可能になります。すでにサラリーマン大家として実績を積まれている方は、ぜひこのスキームの導入をご検討ください。当税理士事務所は多くのサブリーススキーム構築支援実績があり、お客様の状況に合わせたカスタマイズ提案が可能です。
サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
さらに高度な節税スキームとして、当税理士事務所の不動産投資専門税理士が推奨する法個売買スキームがあります。これは、「法人」と「個人」の間で不動産を売買(譲渡)することで、税務上のメリットを引き出す手法です。「法個売買」とは「法人」と「個人」の間の売買を指し、タイミングや価格設定を工夫することで節税効果や資金対策効果が生まれます。
一つの典型例は、個人で長年所有して減価償却が進み簿価が小さくなった物件を、自身の関連法人に時価で売却するケースです。個人側では物件売却による譲渡所得が発生しますが、長期所有物件であれば税率は20%程度に抑えられます。一方、法人は時価でその物件を取得するので、新たに取得価額分の減価償却を計上できるようになります。つまり、個人ではもはやほとんど減価償却できなくなった資産でも、法人に移すことで再び大きな減価償却費を計上し、法人税の圧縮につなげることができるのです。
また、個人で物件を売却すると税負担が重いケースでも、法人を一旦かませて売買することでトータルの税額が軽減されることがあります。例えば、相続対策として親から子へ不動産を移転したい場合、直接贈与や売買をすると贈与税・譲渡税等が発生しますが、一度親の資産管理会社に売却することで、子は株式という形で間接的に資産を引き継ぎ、相続時にも評価額圧縮が図れる場合があります。このように、親族間・同族間で法人を利用した売買スキームは、相続税や所得税の負担をコントロールする強力な手段となります。
もっと身近なところでは、「個人の高所得者が物件を売却したいが、その譲渡益に高い税率がかかるためためらっている」という場合に、自分の法人に一旦物件を買い取らせ、その後法人から第三者に転売する方法も考えられます。個人→法人の譲渡は短期譲渡で約39%、法人→第三者への譲渡益は法人税等で上限約33%と、一度で個人が売るより税率面でメリットが得られるケースもあります。さらに法人に損失があれば益と相殺もでき、柔軟な税務戦略が可能です。
法個売買スキームの設計には、高度な税務知識と計画性が求められます。譲渡のタイミングや価格が不自然だと、税務署から指摘を受けるリスクもあります。しかし、適法かつ合理的に行えば、驚くほど大きな節税効果や資産承継効果が得られることも事実です。当税理士事務所では、お客様の資産背景・収支状況・将来計画を詳細にヒアリングし、最適な法個売買スキームを立案・実行支援いたします。これまでにも相続発生前の資産整理や、利益圧縮のための資産移転など、多くの成功事例があります。
「自分にもこんなスキームが使えるのだろうか?」と興味を持たれた方は、ぜひ専門家にご相談ください。税理士法人加美税理士事務所は、不動産に強い税理士としてこれら高度な節税策にも精通しておりますので、安心してお任せいただけます。
法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
実際に法人化した場合の不動産法人の会計処理についても簡単に触れておきます。法人になったからといって簿記の基本が大きく変わるわけではありませんが、個人事業とは異なる点もあります。
- 複式簿記・青色申告は必須: 法人は全て複式簿記で帳簿を付け、決算書(貸借対照表・損益計算書など)を作成することが法律上求められます。個人事業のように「白色申告で簡易帳簿」という選択肢はありません。ほとんどの法人は設立と同時に青色申告の届け出を出しますので、毎年の確定申告(法人税申告)では青色申告のメリット(欠損金繰越10年など)を受けつつ、正規の簿記で経理していくことになります。
- 会計期間と確定申告: 個人は1~12月が事業年度で翌3月15日までに確定申告でしたが、法人は任意の会計期間(通常1年)を設定でき、期末から2ヶ月以内に法人税の申告・納付を行います。サラリーマン大家さんが設立する管理法人であれば、本業の繁忙期を避けた決算月にするなど柔軟に決められます。
- 経理項目の増加: 法人になると、個人事業にはなかった科目も出てきます。例えば役員報酬(給与)、社会保険料、法人税等、借入金の利息以外に元本返済も貸借対照表上で管理、減価償却累計額の引継ぎ、など追加の処理があります。また、複数の物件を法人所有にすると、物件ごとの収支管理は内部管理として行いつつ、決算書上は合算されます。
- 消費税の申告: 法人化すると資本金や売上高によっては1期目または2期目から消費税の課税事業者になる場合があります。賃貸住宅の家賃は非課税ですが、駐車場収入や事業用物件賃料は課税ですので、課税売上が一定以上なら消費税申告も必要です。個人事業時代に非課税だった人も、法人の収入構成によっては注意が必要です。当税理士事務所では、必要に応じ消費税の届出やインボイス対応についてもアドバイスしています。
法人化後は、税理士との顧問契約を結んで毎月の帳簿をチェックしてもらったり、決算対策を相談しながら進める方が多いです。法人の会計・税務は個人より複雑になりますが、その分プロのサポートを受けることで本業に専念できます。当税理士事務所は不動産法人の会計処理にも豊富な実績があり、会計ソフトの選定から月次決算、決算申告書作成まで一貫してサポート可能です。「法人にしたものの経理が不安…」という場合も、お任せいただければ安心でしょう。
結局のところ、「個人で続けるべきか、法人化すべきか」という判断は、以下のポイントを総合的に考慮する必要があります。
- 税負担の比較: 現状の収益規模と将来予測に基づき、個人の所得税・住民税負担と法人にした場合の法人税等+個人の役員報酬の所得税負担をシミュレーションします。ある程度の利益規模(目安として年間500万~600万円以上の利益、課税所得で900万円以上)があると法人化メリットが見えやすくなります。
- 経費や控除の活用: 個人事業として青色申告特別控除や専従者給与を活用しきっているか、法人にしてさらに活用できる余地があるかを検討します。個人のままではこれ以上節税策が無い場合、法人ならではの策(前述の法人スキームなど)を使う意義が出てきます。
- 事業拡大の意欲: 今後も物件を増やし事業拡大していきたいのか、現状規模を維持する程度なのかによっても違います。拡大志向であれば早めに法人格を作って信用力を付けたり資金調達力を上げるメリットがあります。逆にそこまで拡大しないなら無理に法人にする必要はないかもしれません。
- 煩雑さとコスト: 法人運営には事務手続きや専門家費用がかかるので、それを負担と感じるかどうかです。本業が忙しいサラリーマン大家さんにとって、手間が増えるのはデメリットですが、税理士等に依頼すれば軽減できます。コストを払っても節税メリットで十分ペイできるかが判断基準です。
- 相続・承継: 将来的にお子さん等に事業を引き継ぎたい場合、法人にして株式で承継した方がスムーズな場合があります。高齢の方であれば早めの法人化により相続税対策を仕込むメリットもあります。一方、若くて資産が少ないうちはあまり気にしなくても良いでしょう。
最後に、答えは人それぞれということです。どちらが「得」かは、ご家族の状況や将来展望によって変わります。当税理士事務所では、個人と法人それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明し、お客様自身が納得できる形でご選択いただけるようサポートしています。迷ったらぜひ専門家にシミュレーションを依頼し、一番納得のいく方法を選びましょう。
法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。
最後に、不動産投資に特化した税理士法人加美税理士事務所として、当税理士事務所のサポート内容と特徴をご紹介いたします。サラリーマン大家さんや不動産オーナーの皆様が安心して税務を任せられるよう、専門性と親しみやすさを兼ね備えたサービスを提供しております。
当税理士事務所では、遠方のお客様やお忙しいサラリーマン大家さんでも気軽に相談いただけるよう、オンライン対応を積極的に取り入れています。メールや電話相談はもちろん、ZoomやMicrosoft Teamsなどを使ったオンライン面談にも対応可能です。書類の受け渡しもクラウドストレージや専用システムを利用して非対面で行えるため、全国どこからでもご依頼いただけます。
オンライン対応であってもサービス品質は対面と変わりません。画面共有しながら帳簿の入力方法をレクチャーしたり、リアルタイムで申告書の内容を確認していただくこともできます。対面では聞きづらいこともチャット等で気軽にご質問いただけますので、「忙しくて事務所に行けない」「地方在住だが不動産に強い税理士に依頼したい」という方にも安心です。コロナ禍以降、非対面でのコミュニケーションに慣れた税理士が揃っておりますので、ITツールが苦手な方にも丁寧にサポートいたします。
「税理士に依頼したいけど、料金が不安」という声をよく耳にします。当税理士事務所では初回のご相談を無料で承っております。まずは現在の税務のお悩みや不安な点をヒアリングさせていただき、必要なサポート内容をご提案します。その上で、お見積りを提示し、ご納得いただいてから正式に契約となります。
料金体系も明瞭で、月次顧問料+決算申告料といった形で事前に取り決めいたします。例えばサラリーマン大家さん向けには、不動産所得と給与所得の確定申告を代行するパッケージ料金をご用意しており、物件数や収入規模に応じて段階的な料金設定をしています。法人化支援や消費税申告が必要な場合も、都度オプション料金を明示し、不透明な追加請求は一切ありません。
また、「毎月の顧問契約までは必要ない」という方には、スポットでの確定申告書作成サービスや、ワンポイント相談サービスもございます。お客様のニーズに合わせて柔軟に対応いたしますので、料金面でも安心してご利用いただけます。明瞭な料金体系と丁寧な説明を心がけておりますので、初めて税理士に依頼する方もお気軽にお問い合わせください。
当税理士事務所には弥生会計に強い専門家が在籍しています。長年弥生シリーズを使用してきたベテラン税理士が、ソフトの操作から帳簿の付け方までしっかりサポートします。不動産業の勘定科目設定や部門管理のノウハウも豊富で、お客様ごとに最適な帳簿体系を構築いたします。※法人のお客様については会計ソフトなしでも丸投げサービスをご利用いただければ、すべてこちらで記帳することができます。
例えば、「弥生会計のデータ入力を自分でやってみたが、自信がない」というお客様には、定期的にデータをチェックして間違いを修正・アドバイスするサービスが人気です。減価償却資産の登録方法や、家賃の消費税区分(駐車場収入は課税、住宅家賃は非課税等)の設定も専門家が設定すれば安心です。また、弥生だけでなく、マネーフォワードやfreeeなどクラウド会計ソフトにも対応可能ですので、お好きなツールをお選びいただけます。
帳簿が正しく付けられているかどうかは、青色申告の適否や節税効果に直結します。当税理士事務所の専門家チームは、「自計化」(お客様自身での記帳)を支援しつつ、最終チェックと申告書作成の段階でプロがしっかりレビューする体制をとっています。これにより、経理力の向上と税務リスクの低減を同時に実現します。「自分で帳簿を付けたいが、不安だらけだ」という方こそ、ぜひ当税理士事務所の帳簿アドバイスサービスをご利用ください。
当税理士事務所は、不動産投資の法人化支援において豊富な実績を誇ります。小規模なマンション経営から、大規模な不動産賃貸業への法人移行まで、様々なケースでお客様をサポートしてきました。
法人設立にあたっては、税務的な観点はもちろん、法務手続き(定款作成や登記)についても提携の司法書士と連携してスムーズに進めます。適切な法人形態の選択(合同会社か株式会社か等)、出資比率の決定、設立時期の調整(期首をいつにするかで青色申告承認申請のタイミングが変わります)など、細かなポイントまで配慮したプランニングが強みです。
法人化後も、経理体制の構築から決算対策まで継続してフォローいたします。「法人にしたら税理士任せで自分はノータッチ」ではなく、オーナー様にも財務状況を把握していただきながら二人三脚で運営していくスタンスを大切にしています。法人化することで生まれる新たな節税策(前述の法人スキームなど)も積極的にご提案し、メリットを最大化します。
過去の支援事例として、サラリーマン大家から独立起業して本格的に不動産業を営むに至った方の法人設立をサポートしたケースや、親子二代で資産管理会社を設立し事業承継も視野に入れた体制を構築したケースなどがあります。お客様からは「もっと早く法人化すれば良かった」「スムーズに移行でき、節税額に驚いている」といった嬉しいお声をいただいております。
不動産オーナーにとって、税務調査は誰しも不安なものです。当税理士事務所では日頃から税務調査を見据えたアドバイスを行い、リスク低減に努めています。帳簿の整備や領収書管理の徹底はもちろん、「ここは指摘を受けやすい」というポイントを事前に潰しておくことで、万一調査になっても慌てず対応できる状態を作ります。
具体的には、経費の妥当性チェック(例えば自家用車経費の按分が過大でないか等)、家事関連費の分離(プライベート利用分との区分)、契約書類の整備(親族との金銭消費貸借契約や管理委託契約をちゃんと結んでおく)など細かい点まで目を光らせます。また、申告書の数字の異常値(収入に比して経費率が高すぎる等)がないか、自社基準や業界標準と比較して検討します。
万が一税務調査の連絡が来た際も、税理士が前面に立って対応いたします。お客様には事前に想定問答や必要書類の準備をサポートし、当日は税理士が立ち会って適切に説明・交渉します。Zoomなどを使用したオンライン立会も可能です。調査後のフォロー(修正申告が必要な場合の手続き等)まで責任を持って行いますので、初めての調査でも不安は最小限に抑えられます。
「きちんとやっているつもりだけど、もし調査が来たら…」と不安な方は、ぜひ当税理士事務所の専門家にご相談ください。リスクを知り、備えることで、堂々と不動産経営に専念できる環境を一緒に作りましょう。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。
以上、サラリーマン大家さんが知っておくべき青色申告のメリットと手続きについて、税理士法人加美税理士事務所の視点から詳しく解説しました。本業の合間に不動産経営を頑張る皆様にとって、税務は難しい部分も多いですが、正しい知識と専門家のサポートがあれば怖がることはありません。青色申告をフル活用して節税しつつ、事業の成長に応じて柔軟に法人化や高度なスキームも検討してみてください。
当税理士事務所は「不動産投資に特化した税理士事務所」として、常に最新の税制やノウハウを追求し、お客様に還元しています。不動産に強い税理士をお探しなら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。初回無料相談でお話しできるのをお待ちしております。

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