本業と副業のはざまで悩むサラリーマン大家さんへ。法人化と確定申告の不安は、税理士による丸ごと支援で解決します。
不動産投資の法人化とは?専門税理士がメリット・手続きを徹底解説
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まず「法人化」とは何か、その概要を押さえておきましょう。不動産投資における法人化とは、個人事業主として行ってきた不動産賃貸業や管理業務を法人(会社組織)に切り替えることを意味します。具体的には、これまでオーナー個人が受け取っていた家賃収入などを、新たに設立した会社名義で受け取り、経費計上や税金の申告も法人として行う形に移行します。
法人化しても、不動産経営そのものの内容が大きく変わるわけではありません。物件の所有形態や契約主体が個人から法人になるだけで、基本的には運営主体が変わるイメージです。例えば入居者から見れば、賃貸借契約の貸主名義がオーナー個人からオーナーの設立した会社に変わる程度で、日々の賃貸経営の実務はこれまで通り継続できます。また「法人化」と聞くと大掛かりな手続きや従業員の雇用が必要な印象を持つかもしれませんが、実際には一人社長の会社でも問題なく、不動産収入を法人で受け取ることが可能です。家族経営の小さな会社からスタートでき、役員(社長)もオーナー自身が務めます。つまり比較的手軽に会社を作れるようになっており、近年では節税目的で不動産投資を法人化するケースも増えています。
ただし、法人化にはメリットばかりではなく、会社設立や維持にコストがかかる点にも注意が必要です(詳細は後述)。節税や資産保護を目的に法人化を検討する際は、メリットとデメリットを正しく理解することが重要です。
不動産投資の法人化を語る際に「不動産管理法人」や「資産管理会社」という言葉がよく出てきます。不動産管理法人(資産管理会社)とは、個人が保有する不動産などの資産を管理・運用する目的で設立した法人のことです。オーナー個人が100%出資して自分の資産を移すケースが多く、設立する会社の形態は一般的に株式会社か合同会社となります。資本金は1円からでも設立可能であり、会社の住所も自宅を登記することができます。したがって、大規模なオフィスや従業員を用意しなくても小規模な「マイクロ法人」として不動産管理会社を設立することが可能です。
では、不動産投資を法人で行う具体的な方法(スキーム)にはどのような種類があるのでしょうか。実は法人化と一口に言っても、運用スキームには主に3種類あります。オーナー様の状況に応じて使い分けられますが、代表的なものを以下に紹介します。
- 不動産所有方式(法人買取方式) … 法人自体が不動産を所有し、賃料収入を法人の売上として計上する方法です。オーナー個人が持っている賃貸物件を法人が購入または現物出資によって取得し、以後の家賃は法人に入ります。これは個人と法人の間で物件の売買を行う形になるため、特に「法人・個人間売買スキーム(略して法個売買)」とも呼ばれます。個人の資産を法人に移転できるため節税効果が大きい一方、物件を移す際に譲渡税や登記費用など売却時のコストが発生する点に注意が必要です。※(法個売買スキームについて詳しくは「法個売買スキームの特集ページ」をご覧ください。)
- 不動産管理委託方式(管理料方式) … 不動産の所有権は個人のままで、管理業務のみを法人に委託する方法です。法人はオーナーから管理を請け負い、管理料を受け取ります。この管理料収入を法人の売上とすることで、個人から法人へ一部所得を移転します。比較的手軽な方法ですが、管理料の金額設定による節税には限度があり、税務上あまりに不自然な高額設定は否認されるリスクがあります。
- 一括転貸方式(サブリース方式) … オーナー個人が所有する物件を法人が一括借上げ(サブリース)し、法人が入居者に転貸する方法です。法人はオーナーに毎月一定のマスターリース料(賃貸料)を支払い、入居者からの家賃との差額を利益として受け取ります。管理委託方式に比べ法人にリスク(空室リスクなど)が移るため、適正な範囲であれば管理料方式より多くの利益を法人側に残すことも可能です。こちらも金額設定が不適切だと税務上問題となる点は同様ですが、一定の節税効果が見込めます。※(サブリーススキームについて詳しくは「サブリーススキームの特集ページ」をご覧ください。)
以上のように、不動産法人化には管理委託方式・サブリース方式・法人買取(法個売買)方式といった複数のスキームがあります。それぞれメリット・デメリットが異なりますので、自身の所得規模や運用方針に合った方式を選ぶことが大切です。初めて検討する方は難しく感じるかもしれませんが、税理士に相談すれば最適なスキームの選択も含めてアドバイスを受けられるので安心です。
次に、個人事業と法人運営の違いを押さえておきましょう。法人化の意義を理解するために、以下のポイントで個人と法人の違いを比較します。
- 税制上の違い: 個人事業の不動産所得は、他の所得と合算して累進課税(所得が増えるほど税率が上がる仕組み)で課税されます。一方、法人の所得(法人税)は原則一律の税率で課税されます。例えば個人の所得税率は所得額に応じ5%から最大45%まで段階的に上がり、住民税(一律10%)と合わせると最大で約55%もの税負担になります。これに対し法人税率は、中小法人であれば年800万円までは15%、800万円超部分は23.2%、法人住民税等を含めた実効税率でも約33%程度といった水準(令和5年現在)で、個人より低い税率で安定しています。つまり利益が大きくなるほど法人の方が税負担を抑えやすい傾向があります。
- 法律上の違い(責任の範囲): 個人事業は事業主本人と事業用資産が法律上同一視されます。万一事業で負債や損害賠償が発生した場合、オーナー個人の全財産が責任の対象となり得ます。これに対し、法人はオーナー個人とは別個の法的存在(法人格)です。法人が事業主体となることで、オーナー個人は有限責任(出資額の範囲内で責任を負う)となり、万一法人が経営破綻しても個人の資産まで差し押さえられるリスクを抑えられます(後述する「有限責任のメリット」で詳しく解説)。
- 社会的信用や事業展開の違い: 法人は登記簿に記録される正式な企業体です。そのため一般的に対外的な信用力が個人より高いとみなされる傾向があります。銀行融資の審査でも「会社組織として実績がある方が有利」とされる場合があり、将来的に資金調達をしやすくなる可能性があります。また法人名義で契約や取引を行えるため、事業規模を拡大しやすく、事業承継(相続)の面でも後述するようにスムーズになるケースがあります。反面、法人は毎期の決算報告や税務申告義務が発生し、行政上の手続きも個人より複雑になります。こうした運営コストや手間の増加も法人化の一つの側面です。
以上が個人事業と法人運営の主な違いです。まとめると、法人化の意義は「税率構造や制度の違いを活かして節税を図ること」「責任範囲を限定してリスクから個人資産を守ること」「事業体としての信用力を高め、将来の展開や相続を円滑にすること」にあります。次章から、これらのポイントを踏まえて法人化で得られる具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
不動産投資を法人化することには、さまざまなメリットがあります。本章では大きく「節税効果」「リスク分散(資産保護)」「信用力向上と公的制度の活用」という観点で、それぞれのメリットを解説します。専門的な内容も出てきますが、重要ポイントはなるべくかみ砕いて説明します。
不動産の法人化で得られる最大のメリットが、やはり節税効果です。個人で不動産収入を得ている場合、前述の通り累進課税により所得が増えるほど税率が高くなります。特に給与所得のあるサラリーマン大家さんだと、不動産収入が給与と合算されて高い税率で課税されがちです。法人化すれば、この所得を個人から法人へ振り分ける(所得分散する)ことで税負担を軽減できる可能性があります。
具体的な節税ポイントとしては次のような点が挙げられます。
- 所得税と法人税の税率差の活用: 個人の所得税・住民税が累進課税で最大約55%に達するのに対し、中小法人の法人税等は約33%程度で頭打ちになります。この税率差を利用して、ある程度以上の利益は法人で受け取った方がトータルの税額を抑えられるのです。
- 所得分散(配偶者や家族への給与支給): 法人を設立し、家族に役員報酬や給与を支払うことで、所得を家族間で分散できます。家族に支払った給与は法人にとって経費となり法人税を圧縮します。一方、給与を受け取った家族側では「給与所得」として課税されますが、給与所得には給与所得控除という手厚い控除枠があります。例えば年間給与103万円までであれば、給与所得控除(最低55万円)と基礎控除(48万円)により所得税が発生しません。この「103万円の壁」を利用して、配偶者やお子さんに一定額の給与を支払えば、その範囲内では一家全体で非課税で所得を移転したことになり、大きな節税になります。複数のご家族に給与分散することで、累進課税の高い税率帯に所得が集中しないように調整できるわけです。
- 経費計上の幅が広がる: 法人にすることで、個人事業では経費にしづらかった支出も法人経費として計上できる場合があります。例えば自宅の一室をオフィス代わりにすれば家賃や光熱費の一部を社宅・事務所費として計上できますし、業務で使うパソコン・スマホ、車両の維持費、研修やセミナー参加費、接待交際費等も会社の経費として認められるケースがあります。また役員報酬も法人の損金(経費)になります。経費計上の幅が広がれば、それだけ課税対象となる利益を圧縮できるため、節税につながるわけです。
- 将来の退職金・賞与の活用: 法人にしておくと、オーナー自身に対して役員退職金を支給することも可能です。退職金には税額計算上大きな控除枠が設けられており、長年の勤務に対する退職金ほど低い税率で済みます。個人事業主にはそもそも退職金の制度がありませんが、法人化しておけば将来引退する際に多額の資金を低税率で受け取れる可能性があります。また業績に応じて役員賞与を出すことで利益調整を図るなど、法人ならではの柔軟な所得コントロールも可能となります。
以上のように、不動産投資の法人化には所得を分散・調整し税率差を活かせるメリットがあります。特に収益規模が大きく個人で高い税率を適用されている方ほど、法人化による節税メリットが大きくなります。ただし、後述するように一定規模に満たない場合は法人維持コストで効果が相殺されるケースもあるため、「どのくらいの所得規模なら法人化すべきか」慎重に見極める必要があります。
法人化の大きなメリット二つ目は、リスク分散による資産防衛です。前述したように、法人はオーナー個人とは別人格のため、事業上の責任を限定できる特徴があります。具体的には、法人が負った債務や損害賠償責任について、オーナー個人は原則として出資額の範囲までしか責任を負わない(有限責任)ことになります。これは不動産賃貸業においても重要なポイントです。
例えば、個人でアパート経営をしている場合に大きな事故・トラブルが起きて多額の損害賠償責任を負ったり、借入返済が困難になったりすると、事業用だけでなくオーナー自身の個人資産まで含めて債務の返済に充てる必要が出てきます。最悪の場合、自宅や貯蓄などを処分せざるを得ないリスクもあります。ところが、資産管理会社を設立してその法人が賃貸事業を営んでいれば、基本的には法人名義の資産だけが責任の対象となります。法人が倒産しても、オーナー個人の預貯金や他の私有財産までは差し押さえられにくくなるため、個人の資産を守る防波堤の役割を果たすのです。
ただし注意点として、不動産投資の融資ではオーナー個人が連帯保証人になるケースが多く、実質的に個人保証を求められることがあります。この場合、法人の借入でもオーナー個人が責任を負う点でリスク分散の効果は限定的です。しかし物件管理上の一般的な債務や賠償責任については法人と切り離せますし、将来的に融資の個人保証を外せることになればメリットが大きくなります。また複数の物件を持っている場合、物件ごとに別法人を設立してリスクを分散させる方法も考えられます。例えば1棟ごとに管理会社を分けておけば、ある物件で問題が起きても他の物件や資産への波及を防げます。このように法人化はリスクヘッジの手段としても活用でき、特に資産規模が大きくなってきたオーナーにとっては重要なメリットとなります。
上記以外にも、不動産投資を法人で行うことには様々なメリットがあります。代表的なものをまとめると以下のとおりです。
- 社会的信用力の向上: 個人より法人の方が社会的な信用度は高い傾向があります。会社名義の方が金融機関や取引先の受け止めが良く、融資を受けやすくなる場合があります。事業実績を積んで決算書を整備していけば、銀行から法人向け融資枠を提案されるケースもあります。また「会社社長」という肩書きになることで周囲の信用が得やすくなるという側面もあるでしょう。
- 事業拡大や資金調達の柔軟性: 法人化すると金融機関からの資金調達手段が広がるメリットもあります。例えば法人向けの事業ローンや補助制度、助成金へのアクセスが容易になります。個人では利用できない創業融資や事業者向け補助金(IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など)に応募できる可能性もあります。また法人名義で不動産を購入すれば、物件を会社資産として担保に入れて別の融資を受けるなど、レバレッジを効かせた投資展開もしやすくなります。
- 税務・財務管理の透明性: 法人は毎年決算書を作成し、法人税の申告を行う必要があります。一見デメリットにも思えますが、裏を返せば事業の収支状況をきちんと把握できるということです。法人化を機に会計ソフト(例えば弥生会計など)で帳簿を付け始めれば、物件ごとの収益率や経費の内訳が「見える化」されます。専門税理士のサポートを受けながら財務管理を行うことで、経営の安定化や将来の投資判断にも役立つでしょう。また法人は節税策の選択肢も多いため、税務戦略の幅が広がるメリットもあります。
- 相続・承継対策につながる: 不動産を法人に移しておくことは、将来の相続税対策にもなり得ます。個人所有の不動産は相続時に評価額が大きく、そのまま相続税の課税対象となります。一方、法人所有に切り替えておけば、相続時には法人の株式の評価額が課税対象となります。株式評価は不動産そのものより低く出るケースが多く、結果的に相続税評価額を抑えられることがあります。さらに生前に法人株式を子や孫に贈与(※毎年110万円まで非課税の贈与枠を活用)しておけば、スムーズな事業承継が可能です。相続発生後の煩雑な不動産の分割手続きも、法人で一括管理されていれば株式の名義を書き換えるだけで済むため簡便になります。このように法人化は資産承継の観点からもメリットが期待できます。
以上、法人化によるその他のメリットも含めて見てきました。節税・リスク分散だけでなく、信用力や将来の展望まで考えると、法人化の恩恵は幅広いことがご理解いただけたかと思います。ただしメリットばかりに目を向けず、次に述べる適切なタイミングや場合によっては生じるデメリットも踏まえて、総合的に判断することが大切です。
メリットが多い法人化ですが、誰もが今すぐ法人化すべきとは限りません。事業規模や所得額によっては、法人化による節税効果よりコスト増の方が大きくなってしまう場合もあります。ここでは「どんな人が法人化すべきか」「法人化に適したタイミングはいつか」を判断するためのポイントを解説します。将来的に法人化を検討している方は、自分が当てはまるかチェックしてみてください。
法人化の判断基準としてまず重要なのは、現在の不動産所得(およびその他所得)の規模です。一般に、不動産収入が一定規模を超えてくると法人化の節税メリットがコストを上回ると言われています。そのボーダーラインについて、いくつかの目安があります。
- 年間利益が500~600万円を超える場合: 不動産専門業者や税理士の間では「不動産所得がだいたい600万円程度になったら法人化を検討してもよい」という声があります。600万円というのは一つの目安ですが、このくらいの規模になると個人の所得税・住民税負担が約30%に達し、法人税率との差が出てきます。実際には経費控除後の課税所得ベースで見るべきですが、ざっくり年間の不動産所得が500~600万円超なら、法人化による節税効果が法人維持コストを上回りやすいラインと考えられます。
- 所得税率が30%以上になってきた場合: 個人の所得税率が20%台後半から33%以上に上がってくるタイミングが、一つの分岐点です。具体的には、課税所得が695万円を超えると所得税23%・住民税10%で計33%、さらに900万円を超えると所得税33%・住民税10%で計43%もの税率が適用されます。この辺りの高率課税ゾーンに入っている方は、法人税率(実効税率約33%)より明らかに負担が大きくなるため法人化の有利性が高いです。裏を返せば、所得税率がまだ20%前後のうちは無理に法人化せずとも大きな差は出ないとも言えます。
- 保有物件数・事業規模の拡大: 単一物件の小規模経営なら個人でも十分ですが、今後も物件数を増やして事業規模を拡大する計画がある場合、早めに法人化しておくメリットが高まります。物件が増え利益も増大すれば、いずれ前述の高税率ゾーンに入ってきますし、法人であれば複数物件の収益を一元管理しやすくなります。また規模が大きいほどリスク分散効果(有限責任のメリット)も意味を持ってきます。将来的に従業員(家族以外)を雇って本格的な賃貸業を営む可能性があるなら、早めに法人基盤を作っておく方が信頼性の面でもプラスでしょう。
- 赤字計上・減価償却の状況: 現状、減価償却費などの影響で不動産所得が赤字になっており、その赤字を他の所得(給与所得等)と通算して節税できているケースでは、すぐに法人化しない方が有利な場合があります。個人では不動産の損失を給与所得と相殺できますが、法人にすると不動産事業の損失は法人内でしか通算できず、せっかくの節税効果が享受できなくなるためです。特に木造アパート取得直後など減価償却が大きく効いている期間は、個人のままで損失計上した方が節税になります。黒字転換したタイミングで法人化する、といった判断も必要でしょう。
以上を総合すると、「年間の課税所得が概ね800~1000万円に近づくか、それを超える頃」が法人化検討の一つの目安と言えます。このレンジに入ると個人の税率が大幅に上がり始めるためです。特に所得900万円超で税率33%(住民税含43%)を超えていれば、法人税率との差が顕著なので法人化の節税メリットが大きくなりやすいでしょう。逆に、不動産所得が数百万円以下のうちは法人化のメリットがそれほど大きくなく、設立費用・毎年の顧問税理士費用などでかえってトータル手取りが減るケースもあります。まずは自身の所得規模と税率をチェックし、損益分岐点を超えていそうか検討してみてください。
特にサラリーマン大家さん(本業で給与所得があり、副業で賃貸経営をしている人)の場合、法人化のタイミング判断には独自のポイントがあります。サラリーマン大家は給与と不動産所得が合算されるため、本業の収入が高い人ほど早めに法人化した方が節税効果を得やすいからです。
前述の基準と重なりますが、サラリーマンの場合はまず給与所得の金額に注目しましょう。本業の年収がすでに高額(例えば課税所得900万円超)である場合、その人の所得税率は33%(住民税と合わせ43%)に達しています。この状態で賃貸収入が発生すると、その収益部分にも高い税率が適用されてしまいます。例えば不動産所得100万円の場合、その追加の100万円には約43%の税率がかかり手取りは57万円程度に目減りします。しかし法人を設立し賃貸利益100万円を法人で受け取れば、法人税等は約23%(中小法人の800万円以下15%+地方税等)で済み、およそ77万円が手元に残る計算です。同じ100万円稼いでも20万円もの差がつくわけで、給与収入が高い人ほどこの差額が大きくなります。
そのため一般には、「年収が高く不動産所得もある程度見込めるサラリーマン大家は早めに法人化を検討すべき」と言われます。具体的には前述の通り課税所得900万円超が一つのラインで、そこに達する人は不動産所得が少額でも法人化メリットが出やすいです。一方、給与収入がそれほど高くない場合(例えば年収500万円前後)で賃貸利益も小さいうちは、無理に法人化せずまず物件を増やしたりローン返済を優先した方が得策かもしれません。
また、サラリーマン大家特有の留意点として社会保険の問題もあります。個人として副業収入を得ている分には給与の勤務先で社会保険に加入するだけですが、自ら法人を設立し役員報酬を取るとその法人での社会保険加入義務が生じます。会社員が副業法人から給与を受け取る場合、二重加入となって保険料負担が増える可能性があります(給与額や加入状況によります)。そこで法人からあえて給与を取らず利益は社内留保するとか、報酬額を低めに設定して社会保険料負担を抑えるといった工夫も必要になるケースがあります。この点は専門的な判断が絡むため、本業の勤務先の状況も含め税理士・社労士に相談すると安心です。
まとめるとサラリーマン大家の場合、「本業収入+不動産収入の合計が高額になってきたら法人化の検討時」という点は共通ですが、その“高額”の基準が人によって異なります。本業年収が低めなら不動産収入が相当増えるまで不要かもしれませんし、本業年収が高ければ不動産収入が小さくても法人化メリットが出ます。自分の給与所得と賃貸利益を合算してみて、年間合計でどの税率ゾーンにいるかを確認し、法人化すればどれくらい税負担が軽減できるか試算してみるとよいでしょう。必要であれば税理士がシミュレーションを行いますので、気軽に相談してみてください。
では具体的に「よし、法人化しよう」と決めた場合、いつ会社を設立するのがベストなのでしょうか。結論から言えば、明確な絶対基準はありませんが、以下のようなタイミングが一つの目安になります。
- 利益が本格的に出始める前: できれば不動産収入が大きく増えて高税率を適用される年度になる前に法人設立できると理想的です。その方が早い段階から節税メリットを享受できます。例えば「来年から新築アパートの家賃収入が入り所得が倍増しそう」という場合、増収前のタイミングで法人を作り、最初からその収入を法人に振り向ける方が得策でしょう。逆に大きな売却益など一時的に所得が跳ね上がる直前に法人化しておくと、個人の高額納税を回避できる可能性があります。ただし物件を法人に移す場合は譲渡所得税等が発生するため、そのタイミングによっては事前に個人で売却してしまった方がいいケースもあります。大きなイベントが控えている場合こそ、事前に税理士と相談してスケジューリングすることが重要です。
- 減価償却のメリットが薄れる時期: 先述のように、新築木造など減価償却が大きい物件は購入後数年間は個人のまま赤字計上した方が節税になります。しかし減価償却費が減って利益が出始めたら、その段階で法人化を検討しましょう。例えば購入後○年目で毎年の減価償却費が一巡し、そろそろ不動産所得が黒字化するタイミングが法人化の好機です。逆に減価償却メリットを享受している間に慌てて法人化すると、前述の通り損益通算ができなくなり節税機会を逸することになります。
- 物件追加取得のタイミング: 新しい物件を購入する予定があるなら、その物件を個人名義ではなく法人名義で取得することを検討しましょう。既存物件をあとから法人へ移すと登記や税金のコストがかかりますが、購入時から法人で買えばその手間が省けます。したがって「次の○○の物件購入に合わせて法人を設立する」というのもスマートなタイミング戦略です。また融資面でも、新規購入時に法人で借入れできれば将来の保証人リスク軽減につながる可能性があります。物件増加に合わせてステップアップ的に法人化するのも一案です。
- 年度切り替わりの時期: 法人を設立するなら、キリの良い時期にスタートする方が管理しやすいです。多くの方は1〜3月頃に確定申告を終えるので、その直後の4月以降に会社設立するとちょうど年度単位で区切りやすくなります(法人の事業年度は自由に決められますが、暦年に揃える人も多いです)。また賃貸経営では契約更新や繁忙期が年度末〜春先に重なるため、そのタイミングで法人へ移行することで入居者対応もスムーズに切り替えられます。ただ、これは必須条件ではなく、思い立ったが吉日でいつ設立しても構いません。重要なのは設立した日以降の収入を法人に計上できるという点ですので、余裕を持って計画しましょう。
まとめると、法人化のベストタイミングは「収入規模や状況が法人化のメリットを最大化できる局面に差し掛かったとき」と言えます。早すぎても遅すぎても損になりますので、事前にシミュレーションしつつ計画的に進めることが大切です。適切なタイミングを判断するのは難しい面もありますから、税理士に相談して一緒にベストな時期を見極めることをおすすめします。
法人化を成功させるには、事前の準備と専門家によるチェックが欠かせません。当税理士事務所のような不動産税務に強い税理士に相談すれば、現在の状況を踏まえて法人化すべきか丁寧に診断し、進める場合は必要な手続きを丸ごとサポートいたします。ここでは、税理士相談で確認できる法人化チェック項目の一例をご紹介します。
- 現在の所得状況の分析: まずオーナー様の現在の収支状況をヒアリングし、個人で申告している不動産所得や給与所得の金額、適用税率を確認します。家賃収入や経費、減価償却の明細を把握し、個人での納税額を試算します。これにより法人化した場合にどの程度節税余地があるかの土台データを整えます。
- 法人化による節税効果のシミュレーション: 次に、所得を法人に振り替えた場合の税負担をシミュレーションします。具体的には、役員報酬の額をいくらに設定し法人にどれだけ利益を残すか、家族への給与配分をどうするかなど複数プランを試算し、法人税+個人所得税の合計額を比較します。「法人化しない場合」「法人化してフルに所得分散した場合」等を比べ、損益分岐点を見極めます。当税理士事務所では最新の税制に基づき、将来を見据えたシミュレーションも行います。
- 適切な法人化スキームの選択: 前述した管理委託方式・サブリース方式・法人買取方式のうち、どの方法がオーナー様に最適か検討します。例えば現在物件に融資が残っているならサブリース方式で様子を見る、自己資金に余裕があり早く所得を移したいなら法人買取方式で一気に資産移転する、など節税効果と初期コストのバランスを考慮して方針を決めます。必要に応じて不動産の評価額算定や融資条件の確認も行い、最適なスキームを提案します。
- 会社設立手続き・登記のサポート: 法人化を進めると決まったら、実際に会社を設立する段取りに入ります。商号(会社名)や本店所在地、事業目的、資本金、役員構成などを決め、定款を作成します。税理士事務所によっては司法書士や行政書士と提携し、定款認証・設立登記を代行してくれるところもあります。当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)の場合も、会社設立手続きは全国対応・オンライン完結でサポート可能です。お客様は必要事項のヒアリングに答えていただくだけで、煩雑な書類作成や役所手続きを丸ごと弊所にお任せ(丸投げ)いただけます。
- 物件の名義変更と契約切替: 法人を設立した後、実際に賃貸物件の収入を法人へ移すための実務手続きも確認します。管理委託やサブリースの場合はオーナー個人と法人との間で契約書を交わし、入居者や管理会社への通知を行います。物件を法人に売却する場合は売買契約書の作成や登記変更、ローンの借り換えなども必要です。これらのステップで発生する税金(登録免許税、不動産取得税、譲渡所得税など)や手数料についても事前にシミュレーションします。税理士が関与していれば、そうした諸費用も含めた収支計画を立ててから実行できるので安心です。
- 法人化後の会計・税務サポート: 法人設立が完了して終わりではなく、その後の決算申告や日々の会計処理についてもサポートします。法人化直後は慣れない経理作業が発生しますが、当税理士事務所では弥生会計などのクラウド会計ソフトにも対応しており、初期設定から運用方法まで丁寧にご案内します。もちろん帳簿付け自体を丸投げしていただくことも可能です。また、法人化後に活用できる追加の節税策(役員退職金制度の活用や経営セーフティ共済への加入等)もアドバイスし、節税効果の最大化を継続的に支援いたします。
上記のように、税理士との相談を通じて法人化に関するあらゆるチェックと準備を進めることができます。特に不動産分野に明るい税理士であれば、賃貸経営に特有の論点も踏まえたきめ細かい提案が可能です。税理士法人加美税理士事務所でも、これまで多数のサラリーマン大家さんやオーナー様の法人化支援を行ってまいりました。当税理士事務所の強みは、全国対応・オンライン完結のサービス提供に加え、初回相談無料で気軽にご相談いただける点です。専門用語が多い税務の話もできるだけ平易に説明し、煩雑な手続きはすべてプロに任せていただけます(まさに「丸投げ対応」です)。さらに会計ソフトは弥生会計等お客様の使い慣れたツールに対応し、クラウド共有でリアルタイムに経営状況を確認いただくことも可能です。こうした体制で、忙しいサラリーマンの方やご高齢のオーナーでも安心して法人化にチャレンジできるようサポートしております。
まとめ|不動産投資の法人化は、節税・資産保護・信用力向上など多くのメリットが期待できる反面、適切なタイミングの見極めや専門知識が求められるテーマです。本記事では「不動産投資の法人化」に関する基本からメリット・手続きまでを専門税理士の視点で解説しました。ポイントをおさらいすると、メリットとして所得分散による節税効果や有限責任によるリスク分散、事業拡大・相続対策のしやすさが挙げられます。一方で、法人化の判断基準として所得規模や税率、水面下のコスト(設立費用・社会保険料等)も考慮が必要です。そして何より、経験豊富な税理士に相談しながら進めることで失敗のない法人化が実現できるという点を強調させていただきます。初めての法人設立は不安も多いかと思いますが、当税理士事務所では専門家チームが親身にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの不動産投資が法人化によってさらに飛躍するお手伝いができれば幸いです。
不動産投資を法人化する際には、会社設立の具体的な手続きから必要書類、費用の目安まで把握しておくことが大切です。ここでは、登記までの基本ステップや準備すべき書類、設立にかかる費用感について、税理士の視点から分かりやすく解説します。
会社を設立するには、大きく分けて以下のステップを踏みます。それぞれの段階で必要な準備がありますが、専門家に依頼することでスムーズに進めることも可能です。
- 会社形態の決定と基本事項の決定:まず株式会社にするか合同会社にするかといった会社形態を選択します(詳細は後述)。併せて、会社名(商号)、本店所在地、事業目的、資本金額、役員構成など基本事項も決めます。不動産賃貸業を目的とする場合、定款の事業目的欄には「不動産の所有、賃貸、管理及び運用」程度に留めるのが一般的です。※「不動産の売買およびその仲介」まで含めてしまうと宅建業免許が必要になるため注意しましょう。
- 定款の作成・認証:会社の基本ルールを定めた定款を作成します。定款には会社名や目的、本店所在地、資本金、発起人・役員の氏名などを記載します。株式会社の場合、公証役場での定款認証が必要です(手数料約5万円)。合同会社は認証不要ですが、定款は作成します。
- 資本金の払い込み:定款で定めた資本金を発起人の銀行口座に振り込みます。払込証明として通帳のコピー等を用意します。資本金は1円から設定可能ですが、不動産管理目的の法人であれば1万円~100万円程度にするケースが多いです。なお、資本金を1,000万円以上にすると新設法人でも消費税課税事業者となったり、毎年支払う法人住民税の均等割が高くなるため、特別な理由がなければ避けた方が無難です。
- 登記書類の準備:法務局に会社設立の登記申請を行うための書類一式を準備します。具体的には定款(株式会社は認証済みのもの)、資本金の払込証明書、役員の就任承諾書、発起人の決定書、印鑑登録証明書(発起人や役員全員分)、登記申請書などを用意します。会社代表印(実印)もこの段階で作成し、印鑑届出書に押印します。書類の詳細は次項で解説します。
- 法務局へ登記申請:管轄の法務局に必要書類を提出し、会社設立の登記申請を行います。書類に不備がなければ、申請から約1~2週間程度で登記が完了します。登記が完了すると「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」や「印鑑カード」を取得でき、これらが法人設立の正式な証明となります。その後、法人名義の銀行口座開設などの手続きを進めます。
以上が登記までの大まかな流れです。当税理士事務所では提携司法書士と連携し、お客様に代わってこれらの手続きを進めるサポートが可能です。遠方の方やお忙しい方でもオンライン等で柔軟に対応いたしますので、安心してご相談ください(初回相談無料)。
会社設立時には多くの書類を整える必要があります。主な必要書類は以下のとおりです(※株式会社か合同会社かで若干異なります)。
- 定款:会社の基本規則を定めた書面。株式会社では公証人の認証済みのもの。
- 登記申請書:会社設立登記を申請するための書類一式の表紙となる申請書。
- 登録免許税貼付台紙:登録免許税(後述)の収入印紙を貼る台紙。
- 発起人の決定書:本店所在地や設立時役員などを発起人が決定したことを証する書面。
- 役員就任承諾書:取締役や代表取締役(合同会社では代表社員)に就任することを承諾する書面。
- 役員の印鑑証明書:設立時取締役全員(または合同会社の社員全員)の個人の印鑑登録証明書。
- 資本金の払込証明書:発起人の口座に資本金が振り込まれたことを証明する書類(通帳コピーに押印したもの等)。
- 印鑑届出書:会社実印(代表者印)を法務局に登録するための書類。
- 登記すべき事項を記載した書面:登記簿に記載する事項をまとめた書類またはCD-R等の電子データ。
これらの書類は不備なく綴じ込んで法務局に提出する必要があります。専門用語も多く準備が大変ですが、専門家に依頼すればテンプレートの提供や記載事項のチェックを受けられるので安心です。
法人設立にはいくらぐらい費用がかかるのかも把握しておきましょう。主な費用は登録免許税と定款認証費用で、会社形態によって異なります。
- 登録免許税:会社設立登記の際に国に納める税金です。株式会社の場合は資本金額の0.7%相当額(最低15万円)、合同会社の場合は0.7%(最低6万円)となります。多くの不動産投資法人では資本金を小額に抑えるため、実際の登録免許税は株式会社15万円、合同会社6万円が適用されるケースがほとんどです。
- 定款の印紙税:紙の定款を用いる場合、定款に貼付する収入印紙代4万円がかかります。ただし、電子定款(PDF等で作成し電子署名した定款)にすれば印紙税は不要です。専門家へ依頼すれば電子定款対応で4万円を節約できることが多いです。
- 定款認証手数料:株式会社のみ、公証役場での定款認証費用(約5万円)が発生します。合同会社は認証不要のためこの費用はかかりません。
- 司法書士等への依頼手数料:自分で設立手続きを行う場合は不要ですが、司法書士や専門代行サービスに依頼する場合はその報酬が必要です。相場として、株式会社で5万~10万円程度、合同会社で数万円程度が目安です(依頼先やサービス内容によります)。
以上を合計すると、株式会社の設立費用は約20~25万円、合同会社は約8~12万円程度が一般的な目安となります(自分で手続きするか専門家に依頼するかによって変動)。電子定款を利用すれば株式会社でも約4万円コストダウンできます。当税理士事務所にご依頼いただければ、電子定款の準備を含めコストを抑えた形で法人設立をお手伝いいたします。
不動産投資用の会社を作るにあたり、株式会社にするか合同会社にするか迷う方も多いでしょう。それぞれの特徴と違いを押さえておきます。
- 株式会社:社会的信用度が高く、将来的に株式発行による資金調達や事業拡大をしやすい形態です。役員は取締役会の設置も可能(小規模なら不要)で、決算公告の義務があります。設立コストは合同会社より高めですが、対外的なイメージや銀行融資面で有利になる場合があります。
- 合同会社:設立・維持コストが低く、内部の機関設計もシンプルな形態です。出資者=経営者(社員)となり、柔軟な経営が可能です。決算公告義務もありません。社会的認知度は株式会社に比べるとやや劣りますが、少人数・小規模事業には適しています。特に不動産賃貸などオーナー個人が主体となるビジネスでは、合同会社で十分というケースも多いです。
不動産投資の法人化においては、初期費用を抑えられる合同会社を選ぶ方も多い一方、「株式会社でないと信用面で不安」という理由で株式会社を選択する方もいます。将来的に会社を売却したり他の出資者を迎え入れたりする可能性が低ければ、合同会社でコストを抑えるのも賢明です。迷った際は当税理士事務所へご相談いただければ、個々の状況に応じて最適な形態をアドバイスいたします。
「手続きが複雑で自分でできる自信がない…」という場合は、会社設立代行サービスの利用も選択肢です。司法書士や専門業者が書類作成から登記申請まで代行してくれるため、ご自身は必要事項のヒアリングに答えて書類に押印するだけで済みます。専門家に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 手間と時間の大幅削減:自分で調べて書類作成をする負担がなくなり、本業やお勤めに支障をきたしません。
- ミスのない設立:書類不備や手続き漏れによる申請却下を防げます。電子定款の扱いにも慣れているため、印紙代の節約にもつながります。
- 専門知識の活用:不動産業に適した事業目的の書き方や、節税上有利になる役員構成のアドバイスなど、プロならではの視点でサポートを受けられます。
当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)でも、提携司法書士との連携により会社設立をトータルでサポートしています。全国対応でリモート完結のサービス提供が可能ですので、遠方の方でもご自宅にいながら設立手続きを進めることができます。初回無料相談でお客様の状況をヒアリングし、必要に応じて丸投げでの対応も承っております。忙しいサラリーマン大家さんでも安心して法人設立を実現できるようサポートいたします。
法人を設立した後は、法人名義での不動産運用や、法人としての会計・税務処理がスタートします。個人事業とは異なるルールやスケジュールになりますので、ポイントを押さえておきましょう。
法人化後は、法人の収支を正確に記帳していくことが求められます。個人の青色申告では簡易簿記で済ませていた方も、法人では原則として複式簿記による帳簿作成が必要です。そこで役立つのが会計ソフトの活用です。
近年は「弥生会計」や「freee」「マネーフォワードクラウド会計」といった市販・クラウド会計ソフトが充実しており、銀行明細やクレジットカードと連携して自動仕訳する機能もあります。これらを活用すれば、日々の経理事務を大幅に効率化できるでしょう.
会計処理の基本としては、法人名義の収入(家賃収入など)と支出(管理費、ローン利息、修繕費等)をすべて法人の口座経由で管理し、領収書類も法人のものとして整理・保管します。個人の生活費や他の収入と明確に分けることが重要です。毎月または毎期末に会計ソフトへ仕訳入力し、試算表を作成することで、現状の収支や利益を把握できます。
「経理なんて苦手…」という方は、当税理士事務所が導入支援から記帳代行までお手伝いいたします。弥生会計をはじめ主要な会計ソフトに対応しており、お客様が入力したデータをチェックしたり、丸ごとお任せいただくことも可能です。専門の税理士が関与することで、漏れのない経理と適切な節税対策につなげます。
法人化後にまず検討すべきなのが、オーナーであるご自身への役員報酬(給与)の設定です。役員報酬は原則として毎月定額で支給する必要があり(定期同額給与)、金額を事前に決定しておく必要があります。設立当初であれば、設立から3ヶ月以内に支給開始額を決め、その後は毎期の期首に見直す形となります。
適切な役員報酬の額を設定することは、節税の観点でも重要です。役員報酬として支払った金額は法人の経費(損金)となり法人税の課税所得を減らせます。一方で受け取った個人側では所得税・住民税の課税対象となりますが、給与所得として給与所得控除(みなし経費)を差し引けるため、トータルの税負担が軽減されるケースが多々あります。
例えば、年間の不動産所得500万円をまるごと法人の利益とした場合、法人税等(中小法人の実効税率約30%)で約150万円の税負担となります。しかし、適切に役員報酬を支給して所得分散することで、法人税と個人の所得税・住民税のバランスを調整し、手元に残る金額を最大化できる可能性があります。特にご家族を役員にして役員報酬を分散すれば、各人の所得税率が抑えられ、所得の分散効果による節税も期待できます。
役員報酬の額が高すぎると、個人側での高額納税や社会保険料負担増につながる点には注意が必要です。また、法人の利益を極端に圧縮するほどの過大な役員報酬は税務上否認(損金不算入)されるリスクもあります。適正な範囲で、法人利益と個人所得のバランスを見ながら設定しましょう。当税理士事務所では、不動産収支のシミュレーションを行い、最適な役員報酬額や分配方法をご提案いたします。
※役員報酬以外にも、不動産管理法人ならではの節税対策が多数あります。経費計上可能な費用の見直しや、消費税還付スキームの検討など、詳しくは節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
法人化すると、毎年の決算と確定申告のスケジュールも個人事業とは異なります。一般的な中小法人の場合、事業年度終了後2ヶ月以内に法人税の確定申告を行い、法人税・法人住民税・法人事業税を納付します(例えば決算日を3月末にした場合、5月末が申告期限)。決算書(貸借対照表や損益計算書)の作成と税額計算を期限までに行わなければなりません。
また、一定規模以上の場合や任意に課税事業者を選択した場合には消費税の申告・納税も同じく事業年度終了後2ヶ月以内に必要です。もっとも、不動産賃貸業の場合、住宅の賃貸収入は非課税売上となるため、消費税の課税対象となるのは物件の売却や駐車場収入など限定的です。設立当初の2期分は資本金1,000万円未満であれば消費税が免除されるケースが多いですが、条件次第では早期に課税事業者となることもあります。物件購入時の消費税還付を狙って課税事業者選択届を提出するケースもありますが、慎重な判断が必要です。
スケジュール管理としては、事業年度末から申告期限まで2ヶ月しかありませんので、日頃から会計帳簿を整備し、早めに決算準備に取り掛かることが重要です。給与支払報告書や法定調書合計表の提出(毎年1月末)、償却資産申告(1月)、法人事業概況説明書の提出(申告時)など、法人特有の事務も発生します。煩雑に感じる場合は税理士に依頼し、スケジュール管理も含めて任せてしまうのが安心です。当税理士事務所では決算前の事前打ち合わせを行い、適切な決算対策を講じた上でスピーディーに申告書類を作成いたします。
サラリーマンとして働きながら不動産投資の法人運営を行う方にとって、確定申告は頭の痛い問題かもしれません。法人の決算申告に加え、ご自身の個人所得についても確定申告が必要になるケースがあるためです。
例えば、会社員の給与収入がある方でも、自分の法人から役員報酬を受け取っている場合や、不動産収入を個人でも得ている場合には、年間の所得をまとめて確定申告する必要があります。副業的に不動産収入があるサラリーマン大家さんの場合、勤務先で年末調整が行われても、不動産所得部分は別途確定申告が必要です。法人化して役員報酬を受け取っている場合も、2ヶ所給与の扱いとなり確定申告が必要となります。
確定申告では、給与所得と不動産所得、法人からの役員報酬、配当所得などを合算して申告します。経費計上や減価償却費の按分、損益通算の可否など検討事項も多岐にわたります。青色申告の承認を受けている個人事業者であれば特別控除などの恩恵がありますが、法人化後は別途、法人の青色申告承認申請も必要です(設立から3ヶ月以内)。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。
当税理士事務所では、サラリーマン大家さん向けに確定申告まるごとサポートを提供しております。平日日中に時間が取りにくい方でもリモート対応でヒアリング・書類の授受が可能ですので、本業に専念しながら申告手続きを進められます。法人税の申告とあわせて個人の確定申告まで一貫して対応しますので、分離して依頼する手間もかかりません。初回無料相談にて、必要なサポート内容(法人・個人双方の申告)をヒアリングし、お客様に最適なプランをご提案いたします。
法人運営を開始すると、税務署や自治体への各種届出や、将来的な税務調査対応への不安も出てくるでしょう。専門家がバックアップについているかどうかで安心感は大きく変わります。
まず、法人設立後は所轄税務署等へ各種届出を提出する必要があります。具体的には、設立から原則2ヶ月以内に提出する「法人設立届出書」、給与を支払う場合の「給与支払事務所等の開設届出書」(1ヶ月以内)、法人も青色申告を行うなら「青色申告承認申請書」(設立後3ヶ月以内)などが挙げられます。さらに、役員報酬から源泉所得税を毎月納付する必要がありますが、従業員が常時10人未満であれば「源泉所得税の納期の特例」の申請により年2回のまとめ納付も可能です。消費税に関しても、必要に応じて「消費税課税事業者選択届出書」や「適格請求書発行事業者の登録申請」を行うケースがあります。このように、設立後早々に税務署等へ提出すべき書類が多数あります。
当税理士事務所が税務顧問としてサポートさせていただく場合、これら届出書の作成・提出についても漏れなく対応いたします。お客様ご自身で税務署とやり取りする手間を省き、本業に集中していただけます。また、日々の税務相談や、将来万一税務調査が入った際にも税理士が窓口となり適切に対応いたしますので安心です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。
税理士によるチェック体制があることで、帳簿や申告内容についても平時から正確性が担保され、調査リスクの低減につながります。
不動産投資で法人化を検討中の方から、「設立後の会計・税務も含めて丸ごと任せられる専門家を探している」「サラリーマンで日中忙しいので、税務署対応までフォローしてほしい」といった声をよく伺います。当税理士事務所では、そのようなお客様ニーズに応えるべく全国対応でサービスを展開し、メールやオンライン会議で完結するリモートサポートを実施しています。初回相談は無料ですので、法人化後の運用に不安がある方もまずはお気軽にお問い合わせください。専門の税理士が親身にヒアリングし、不安を解消できるよう丁寧にサポートいたします。
法人化(法人成り)によって、不動産オーナーや中小企業経営者は様々な節税スキームを活用できます。個人で得た賃貸収入や売却益を法人に移転することで、所得税より低い法人税率や経費計上の柔軟性を享受できる点が大きなメリットです。以下では、税理士の視点から代表的な節税スキームを具体的に解説します。サラリーマン大家から企業オーナーまで、それぞれの状況に応じた対策を見ていきましょう。
サブリーススキームとは、個人所有の賃貸物件を自ら設立した資産管理会社(法人)に一括借上げ(サブリース)させる節税方法です。オーナー個人は法人から毎月一定の賃料(マスターリース料)を受け取り、法人は実際の入居者からの家賃収入を得ます。例えば個人オーナーへのマスターリース料を月80万円とし、物件が満室なら法人が月100万円の家賃収入を得るというイメージです。このように賃料の一部(約10~20%)を法人側の利益とすることで、本来個人に帰属するインカムゲインを法人に移転できます。
法人に利益を移すことで、個人の所得税等(最高55%の累進課税)ではなく法人税等(中小法人なら最高33%程度)で課税されるため税率差による節税効果が得られます。さらに、法人であれば役員報酬や経費計上を活用して利益調整が可能です。例えば、家族を法人の役員や従業員として給与を支給すれば所得分散による節税も実現できます。サブリース方式は物件の所有形態を変えずに手軽に導入できる点から、忙しいサラリーマン大家などにも適したスキームと言えるでしょう。
注意点として、親族間のサブリース料をあまりに高額に設定すると税務上否認されるリスクがあります。実態に見合った適正な範囲内(一般には家賃収入の20%程度まで)の利ザヤに留めることが重要です。適切に運用すれば、空室リスクを法人が負担する代わりに税負担を軽減できる有効な節税スキームです。 サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
法人個人間売買スキームは、オーナー個人が所有する不動産を一旦自分の法人に売却し、資産と収益源を法人に移す方法です。物件を法人所有に切り替えることで、以後の賃貸収入や売却益(キャピタルゲイン)はすべて法人に帰属し、個人より低い税率の法人税で課税されます。サブリースでは家賃の一部しか法人に移せませんが、売却方式ではインカムゲイン100%を法人側で計上できるため、最大限の節税効果が期待できるスキームです。
例えば賃貸規模が拡大して家賃収入が高額になったケースでは、一度法人に物件を売却してしまい、以降は法人で運用する方がトータルの税負担を抑えられる可能性があります。法人に売却する際には金融機関から法人へ融資を行い、個人オーナーはその売却代金で既存ローンを返済するといった資金繰りの調整が必要です。留意すべきは売却時に個人に譲渡所得税が発生する点で、物件の時価が取得時より大幅に上がっている場合、個人側で多額の税負担が生じるリスクがあります。長期保有で譲渡税率が20%程度に下がるタイミングや、譲渡益がそれほど大きくない物件を選ぶなど、事前シミュレーションが重要です。
また、親族間取引となるため売買価格は適正な時価で設定しなければなりません。時価より不当に安く売れば本来支払うべき譲渡所得税を免れる「利益移転」と見なされ、差額に課税されます。また高値で売って法人に損失を出すような取引も税務上否認されるリスクがあります。税理士の助言のもと、公平な時価で売買することが大切です。このスキームは一定以上の規模のオーナー向けですが、成功すれば大幅な所得分散と節税が可能になります。 法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
複数の法人を活用できる場合には、合併や会社分割などの組織再編を活用した節税スキームもあります。適格要件を満たす組織再編であれば資産を簿価で引き継げるため譲渡益課税を生じさせずに法人間で資産移転ができます。例えば、オーナー会社と不動産管理会社を合併し、過去の繰越欠損金(赤字)と合算することで利益部分の課税を軽減するといった手法です。組織再編を通じて資産や事業を再配置すれば、税負担の平準化や将来的な事業承継対策にも役立ちます。ただし、これらのスキームは法規制も複雑で専門知識が不可欠です。当税理士事務所のように組織再編に精通した税理士へ相談し、適切な手続きを踏むことで、合法的かつ効果的な節税を実現できるでしょう。
法人化すると、社宅制度を利用した節税も可能です。借上社宅制度とは、法人が住宅を借り上げて役員や従業員(オーナー自身も含む)に社宅として提供する仕組みです。法人が支払う家賃は会社の経費(損金)となり、法人税の課税所得を圧縮します。一方、入居者である役員・従業員は会社へ一定の使用料を負担しますが、その金額は税務上の算定式で求める低廉な賃料で済むため、実質的に住居費の多くを非課税の福利厚生として享受できます。要するに、個人の税引き後の可処分所得で家賃等を払う代わりに会社に払わせることで、住居費を経費化する節税効果が得られるのです。
例えば、毎月の家賃10万円のマンションに社長が住む場合、法人名義で契約して会社が家主に10万円支払い、社長個人は会社へ数万円程度(算定式による自己負担分)を支払う形にします。会社負担分は社長にとって給与ではなく福利厚生費扱いとなるため所得税はかかりません。法人側は支払家賃全額が損金計上でき、利益圧縮による法人税軽減につながります。特に高額家賃の住居に住むオーナー経営者にとって、社宅制度は有効な節税策です。
留意点として、社宅の提供には税務上のルールがあります。自己負担額がゼロだと給与と見なされ課税されるため、税法で定める最低限の賃料は役員から徴収する必要があります(一般的な計算式に基づき賃料相当額の5割程度を負担するケースが多いです)。また、社宅としてふさわしい物件であること、実態として居住していることも求められます。適切に運用すれば、会社経費でマイホームのコストを落とせる魅力的なスキームと言えるでしょう。
退職金(役員退職慰労金)制度の活用も、法人化の大きなメリットです。個人事業主には自分に退職金を支給する仕組みはありませんが、法人の経営者であれば退職時に多額の役員退職金を支給し、所得調整を図ることが可能です。退職金は法人にとっては損金算入できる経費であり、支給年度の法人税負担を大幅に減らす効果があります。一方、受け取る個人側も退職所得控除や優遇税制があるため、通常の給与所得よりも低い税率で大きな手取りを得られます。
具体的には、退職所得には「退職所得控除」が適用され、勤続年数に応じて数百万円単位の控除額が設定されます。例えば勤続30年なら退職所得控除額は約15年間分(約1500万円)に上り、この控除を差し引いた残額のさらに1/2だけが課税対象となります。結果として、同額の役員報酬を分割でもらうより退職金として一括受取した方が圧倒的に税負担が軽くなるのです。経営者が高齢になり事業を引退する際、退職金として蓄積利益を支給すれば、会社の節税と個人の資金確保を同時に実現できます。
ただし、税務上認められる退職金額には常識的な範囲があります。中小企業の社長が何億円もの退職金を受け取れば不相当に高額と判断され、一部損金不算入となる可能性もあります。適正額は業種や会社規模、在任期間によりますが、同業他社の例などを参考に妥当な金額を設定することが大切です。また、退職金支給のための社内規定整備や株主総会決議など形式的手続も必要になります。計画的に準備を進めれば、法人ならではの節税の切り札として退職金制度を活用できるでしょう。
上記以外にも、法人化によって押さえておきたい節税ポイントがあります。その一つが損益通算と欠損金の繰越控除(赤字繰越)です。個人事業の場合、不動産所得の赤字は他の所得(給与所得や事業所得)と損益通算できるメリットがあります。例えば、減価償却費等で賃貸収支が赤字になれば、その分サラリーマン収入の所得税を軽減できるわけです。ただし、法人化すると個人と法人は別納税者になるため、法人の損失をオーナー個人の給与所得と相殺することはできなくなります。したがって、給与所得との損益通算を狙っている段階では法人化は慎重に検討すべきです。
一方で法人には欠損金の繰越控除という強みがあります。青色申告の中小法人であれば、発生した欠損金を最長10年間(※改正により期間延長されている可能性あり)繰り越して、将来の黒字と相殺できます。個人の不動産所得では赤字の繰越控除は最長3年ですから、法人の方が長期的な損失活用が可能です。例えば、法人化直後は減価償却等で赤字でも、その赤字を蓄積しておき翌年以降の利益と通算すればトータルの法人税を抑えられます。さらに、中小企業には一定の要件下で欠損金の繰戻しによる還付制度も使えるケースがあります。景気変動の大きい不動産賃貸業では、法人化による損失の柔軟な扱いが税負担の平準化に寄与するでしょう。
その他、法人化により経費計上の幅が広がる点も見逃せません。個人では難しかった出張費や交際費、通信費等も事業目的なら法人の必要経費にできます。また、法人が支払う役員報酬は適正額であれば全額損金となるため、家族従業員への給与含め所得分散策として活用可能です。このように法人化は単に税率の違いだけでなく、損失繰越や経費戦略など総合的に税負担を調整できる仕組みと言えます。自分に合った節税策を組み合わせ、長期的に賢く税金と付き合いましょう。
法人化は毎年の所得税・法人税対策だけでなく、将来の相続税・事業承継対策にも大きく関係します。不動産オーナーや中小企業経営者にとって、自社株や資産の引継ぎをどう進めるかは重要な課題です。ここでは法人化が相続・事業承継に与えるメリットや具体策について、税理士の視点から解説します。生前対策を検討中の高齢オーナーの方もぜひ参考にしてください。
個人資産を法人に移しておくことは、相続発生時の自社株評価額を抑える効果につながる場合があります。個人で不動産や金融資産を所有していると、それらは原則として相続税評価額(路線価や時価ベース)で遺産総額に算入されます。一方、法人化して資産を会社に移しておけば、相続時に引き継ぐのは会社の株式です。非上場株式の評価は原則として会社の純資産や利益水準に基づく方式で計算されますが、適切な対策により純資産額をコントロールすることで、直接資産を持っている場合に比べて評価額を低く抑えられる可能性があります。
例えば、不動産を法人に移転すると会社の貸借対照表上ではその評価額は固定資産税評価額や帳簿価額となり、時価より低く計上されるケースがあります。その結果、会社の純資産評価が圧縮され、自社株評価も下がります。また、法人に資産を移す過程でローンなど負債も法人側に付け替えることになれば、純資産額(=資産-負債)はさらに減少します。純資産評価にもとづく自社株評価額が下がれば、将来相続人が株式を取得する際の相続税負担も軽減される効果が期待できるのです。
さらに、法人を活用すればオーナー個人の現預金を減らしつつ、必要な資産運用は会社で続けるといった形で相続財産そのものを減らす効果も得られます。賃貸収入を個人ではなく法人に貯めることで、個人の財産増加を抑制できるのはその一例です。注意点として、資産管理会社が実質的に現預金ばかりを抱えていると「現預金を法人に移しただけ」とみなされかねず、株価評価で特段のメリットが出ない場合もあります。本業として不動産賃貸など収益事業を営む法人であることが、自社株評価引下げの前提条件となります。
法人化により資産が株式という形になれば、生前贈与や持株の譲渡による事業承継対策が取りやすくなります。株式は不動産そのものを分割するより融通が利くため、計画的に後継者へ移転しやすい財産です。例えば、毎年少しずつ自社株をお子様に贈与すれば、1人当たり年110万円の非課税枠内で移転できます。株価評価が低いうちに贈与を進めておけば、相続時にはオーナー個人の持株比率を下げられ、相続財産を圧縮できます。
また、オーナーから後継者への株式譲渡という方法もあります。後継者がある程度資力を持つ場合、親族間で株式売買を行い、計画的に経営権を移すケースです。譲渡対価をオーナーの老後資金に充てつつ、後継者へ事業をバトンタッチできます。ただし、低額譲渡は贈与と見なされるリスクがあるため適正な株価で取引する必要があります。株価算定には専門的な評価が必要なため、税理士のサポートを受けると安心です。
さらに、近年は中小企業の事業承継を支援する事業承継税制(納税猶予制度)も整備されています。一定の要件を満たせば、オーナーから後継者への株式贈与・相続にかかる税金の納税を猶予できる制度で、事業規模の大きな会社向けの特例措置です。一般的な不動産賃貸専業の資産管理会社では適用ハードルが高いものの、事業承継税制も視野に入れつつ贈与+猶予など複合的なスキームを検討すると良いでしょう。いずれにせよ、生前に株式移転を進めれば相続時の争いも防ぎやすく、円滑な事業承継に繋がります。専門家と連携しながら、自社に適した承継プランを立てることが大切です。
不動産オーナーにとって頭を悩ませるのが、複数の相続人への遺産分割です。相続財産が現金なら分けやすいですが、不動産は一物件を分割できず相続人間の共有や競売にせざるを得ないケースもあります。そこで法人化が有効となります。資産管理会社に不動産をまとめて保有させておけば、相続人はその株式を分け合う形で遺産分割が可能です。例えば、会社が賃貸マンションAとBを所有している場合、相続人それぞれに会社株式の○%ずつを承継させれば、各人が会社全体の利益に応じた権利を持つことになります。物理的に不動産を割る必要がないため、遺産分割でもめにくくなるメリットがあります。
また、複数の法人を活用して資産毎に承継先を分ける方法も考えられます。例えば、マンションAは法人Xに、マンションBは法人Yに保有させ、子供甲には法人Xの株式を、子供乙には法人Yの株式を相続させるというスキームです。こうしておけば、子供同士が物件の共有オーナーになることを避けられ、それぞれ自分の法人を通じて独立した資産運用ができます。将来的に売却処分する際も、株式ごと第三者に売れば不動産そのものの共有問題を引きずらずに済む利点もあります。
注意したいのは、法人に資産を集約しすぎると株式評価が高額になる可能性もある点です。分割相続に有利だからと全資産を1社に入れておくと、その会社の株価が非常に高くなり結局相続税負担が増える恐れがあります。適宜法人を分ける、一部資産は現預金で残すなどバランスを取ることが大切です。いずれにせよ、不動産管理法人を絡めた相続対策は遺産分割を円滑にし、相続税の納税資金確保にも役立ちます。将来の争族回避のためにも、法人活用を視野に入れた相続設計を検討すると良いでしょう。
法人化を問わず、不動産オーナーが取れる相続税評価引下げの具体策も押さえておきましょう。まず代表的なのが賃貸不動産への転換です。現金で持っている資産を賃貸マンションやアパートに変えておけば、土地・建物とも相続税評価額が圧縮されます。土地は賃貸用の貸家建付地として更地評価の約80%程度に減額され、建物も借家人の権利控除で評価額が下がります。例えば1億円の現金で賃貸物件を取得すれば、相続税評価上は数千万円単位で圧縮できる可能性があるのです。
次に小規模宅地等の特例の活用も欠かせません。被相続人の自宅や事業用宅地、賃貸用宅地について一定要件を満たせば、相続評価額を50~80%減額できる強力な特例です。例えば、亡くなった方が住んでいた自宅の土地は330㎡まで80%減額、賃貸住宅の敷地も200㎡まで50%減額といった優遇があります。法人所有の宅地には適用できないため、資産によっては法人に移さず個人名義のまま残しておいた方が有利なケースもあります。どの資産を法人化し、どれを個人で持つかは相続特例の適用可否も踏まえて判断すると良いでしょう。
法人オーナー特有の策としては、会社から支給される死亡退職金の非課税枠があります。オーナー社長が亡くなった場合、会社から遺族に死亡退職金を支給すれば、相続人の数×500万円までは相続税非課税で受け取れます。例えば相続人が配偶者と子2人の計3人なら1500万円が非課税枠となり、これも大きな節税効果です。死亡退職金は法人側で損金計上できるため、会社に残った利益を有効に遺族へ移転する手段にもなります。以上のような具体策を組み合わせ、総合的に相続税評価額の圧縮を図ることが重要です。
高齢の不動産オーナーやオーナー経営者が円滑に事業承継・相続対策を進めるには、早めの着手と専門家の活用が肝心です。まず、自身の財産規模や家族構成を把握し、相続税試算や承継課題の洗い出しを行いましょう。資産が基礎控除(※2025年現在、3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は本格的な節税対策が必要となります。そうした場合、信頼できる税理士事務所に相談し、オーダーメイドの事業承継プランを立てるのがおすすめです。当税理士事務所では全国対応でオンライン完結の相談も可能ですので、遠方のオーナー様もお気軽にご利用ください。
事業承継の進め方としては、①現状分析 → ②対策立案 → ③実行 → ④定期見直し の流れが一般的です。現状分析では、自社株評価額の算定や不動産評価、相続税試算を行い問題点を浮き彫りにします。続いて対策立案では、これまで述べた法人化スキームの活用や贈与計画、保険の加入、遺言作成など具体的な施策を検討します。高齢オーナーの場合、贈与できる時間も限られるため、株式や財産の移転スケジュールを逆算して計画することが重要です。実行段階では、会社の定款変更や不動産の名義変更など各種手続きを迅速に進めます。当税理士事務所では煩雑な手続きも丸投げ対応でサポートいたしますので安心です。
また、経営者の場合は後継者の育成や承継体制の整備も並行して進めましょう。後継者が決まっていない場合はM&Aや第三者承継も選択肢に入ります。不動産オーナーの場合でも、資産管理会社を後継者に任せるのか、資産ごと売却して現金分配するのかなど方針を明確にする必要があります。高齢になるほど判断力や体力も衰えますので、元気なうちに家族と話し合い意向を共有しておくことも大切です。公正証書遺言の作成や後継者への事前承継(親子間の同族会社経営の引継ぎ)など、法的な備えも検討してください。
最後に、事業承継対策は一度立てたら終わりではなく、定期的な見直しが必要です。税制改正や家族構成の変化、資産状況の変動に応じてプランをアップデートしましょう。プロの視点から継続サポートを受けることで、最新の節税策や特例の恩恵を漏れなく享受できます。当税理士事務所は弥生会計などクラウド会計にも対応し、数字に強い事業承継の専門家が揃っております。「うちは大丈夫」と油断せず、ぜひ早めにご相談いただければと思います。 事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。
一般に「法人化すれば税負担が軽くなる」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。法人の法人税率は原則一律で、中小法人なら年間利益800万円までは15%(一部19%)と低く抑えられ、それ超過分も23.2%程度です。法人住民税等を含めた実効税率でも最高約33%程度です。一方、個人の所得税率は累進課税で、課税所得が900万円を超えると33%、さらに住民税10%が加わり実質40%以上にもなります。最高で55%になります。このため、課税所得が高額な場合には法人の方が税率が低くなり、節税効果が期待できるケースがあります。例えば個人の課税所得が1,000万円を超えるような高収入のサラリーマン大家さんであれば、法人化によって所得にかかる税率を下げられる可能性があります。また、家族を役員にして報酬を支給すれば、法人の経費として利益を圧縮しつつ家族に所得分散できるため、一人あたりの税率を下げることも可能です。不動産所得が事業的規模(一般に戸数10室以上など)で大きくなってきた場合、法人化を検討するタイミングと言えるでしょう。
しかし利益が少ない場合や、法人から利益をすべて個人に引き出してしまう場合には注意が必要です。法人化すれば自動的に節税になるわけではなく、利益水準や資金の使い方によって結果は大きく変わります。年間の課税所得が一定レベル以下であれば、個人事業のままの方が税負担が軽いケースも十分あり得ます。実際、多くの場合法人化による節税効果が顕著に現れるのは利益が相当程度大きい場合であり、利益が小さいうちは法人化しても節税メリットは限定的です。たとえば課税所得が数百万円規模であれば、個人の方が低い税率区分で済むため法人にするメリットは薄いでしょう。さらに法人であっても利益を役員報酬や配当の形で全額オーナー個人に出せば、結局その分に所得税や住民税・配当税が課されます。法人段階の税と個人段階の税の二重課税となり、トータルではむしろ税負担が増えてしまうケースもあります。サラリーマン大家の場合、法人を設立しても家賃収入を生活費として全て自分の給与にしてしまうと、所得税・住民税に加え社会保険料まで個人で負担することになり、法人税率の低さが相殺されてしまいます(この社会保険の点については後述)。
節税策の期待と現実のギャップにも目を向けましょう。確かに法人を活用すれば、家族への給与分散や経費計上枠の拡大など節税対策の幅が広がります。例えば自宅を法人に賃貸して地代を経費化したり、社用車や出張費を計上するといったことも可能になります。また、法人に利益を留保すれば個人の所得税を繰り延べでき、将来オーナー様の所得が下がったときに取り崩すことで節税できる場合もあります。しかし不動産賃貸業特有の事情として、個人であれば不動産所得の赤字を給与所得と損益通算できる(※土地取得ローンの利子を除く)メリットがあります。初期投資で減価償却や金利負担が大きく赤字が出る場合、個人ならその赤字で給与の税金を減らせますが、法人にすると個人の給与と通算できません。高齢のオーナーの場合も、法人化による節税効果よりも相続面の影響に注意が必要です。法人に不動産を移すことで、相続人間で資産を株式として分割しやすくなる利点はあります。しかし、資産が法人名義になることで小規模宅地等の特例が使えなくなったり、株式評価額によっては相続税がかえって増えるケースもあります。またご高齢であれば法人運営の手間負担も大きなリスクです。「法人化すれば相続税も節約できる」と安易に考えるのは誤解で、むしろ事前に専門家と十分な検討が必要です。
要するに、「法人にすれば税金が必ず下がる」というのは半分正解で半分誤解です。節税効果を最大化するには所得規模やお金の使い方、家族構成、将来計画まで踏まえた総合的な検討が欠かせません。特にサラリーマン大家の方は給与との合算課税、高齢オーナーの方は相続税との兼ね合いを考える必要があります。法人化のメリット・デメリットを正しく理解し、事前に税理士にシミュレーションや節税戦略の相談をすることが重要です。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
法人化には税金以外にもコストや手間の面で注意すべき点があります。まず法人を設立する際にはまとまった初期費用がかかります。株式会社設立の場合、定款認証や登録免許税など少なくとも約22万円程度の実費が必要です(司法書士等に依頼すればさらに報酬が加わります)。合同会社なら費用を抑えられますが、それでも登録免許税は6万円かかります。さらに、法個売買を行う場合には注意が必要です。不動産を法人名義に移す際に不動産取得税や登記費用が発生し、場合によっては個人から法人への譲渡益に対する所得税も検討しなければなりません。例えば、個人所有の物件を法人に売却するときには不動産取得税(評価額の3~4%)が課税されますし、名義変更の登録免許税も掛かります。こうした移行コストは高齢のオーナー様ほど無視できない負担となるでしょう。
法人設立後の運営コストも見落とせません。法人を維持するだけで毎年一定の費用がかかります。その一つが法人住民税の均等割で、法人の所得に関係なく毎年少額の地方税を納める必要があります。東京都の場合、資本金等1,000万円以下・従業員50人以下の法人でも都民税2万円+区市町村民税5万円=計7万円程度が最低課税されます。赤字でも毎年約7万円の税金負担が発生する点はデメリットです。一方、個人事業主であれば赤字の年は住民税も発生しません。さらに決算・申告にかかる事務負担も法人の方が格段に増えます。法人は複式簿記による厳密な会計帳簿の作成が法律で求められ、年度末には決算書と法人税申告書の提出が必要です。消費税や法人事業税の申告、法定調書や償却資産申告など各種届出も毎年発生します。専門知識がないと作成が難しいため、多くの場合顧問税理士への依頼費用が必要になるでしょう。例えば会計ソフト代や税理士顧問料として年間数十万円のコストは見込んでおくべきです。規模が大きくなれば社内経理担当者の人件費も発生します。
加えて、法人運営には事務手続きの手間もかかります。法人名義の銀行口座開設、税務署や自治体への設立届出(異動届)、社会保険・労働保険の新規適用手続きなど、設立時に行うべき手続きが数多くあります。設立後も役員変更や増資減資の際の登記、定款変更や株主総会手続きなど、個人事業にはない法的な手続きが発生します。また、毎年の株主総会議事録の作成や役員報酬の改定決議など形式上の作業も必要です。小規模な家族経営法人であっても、これらの手続きを怠ると法令違反となる可能性があります。総じて、法人化することで「事業運営コスト(金銭面・時間面)」が増大する点には注意しなければなりません。特に本業で忙しいサラリーマン大家さんにとって、法人運営の煩雑さは想像以上の負担になることがあります。「節税できるから」と安易に法人を作ると、あとで事務処理に追われて後悔するパターンも少なくありません。事前にこれらコストと手間を試算し、それを上回るメリットが出るか専門家と検討することが大切です。
法人化に伴う社会保険料の負担にも注意しましょう。会社を設立すると、たとえ社長一人の会社であっても社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務が生じます。よく「従業員5人未満の法人は社会保険に入らなくて良い」と誤解する方がいますが、それは個人事業主の場合の特例であり、法人には当てはまりません。法人は従業員数に関係なく強制適用事業所となるため、代表者に役員報酬を支払う場合は必ず厚生年金・健康保険に加入しなければならないのです。社会保険料の負担額は給与支給額の約30%にも達し、会社と個人(役員)が折半で納めます。例えば年収500万円の役員報酬を受け取れば、約150万円もの社会保険料を会社と本人で負担する計算です。この追加負担は法人化による節税メリットを大きく減殺してしまうポイントです。法人でどれだけ税金を減らせても、社会保険料負担が増えれば手元に残るキャッシュは減ります。特にサラリーマン大家さんの場合、本業の会社ですでに社会保険に加入しているケースがほとんどでしょう。その状態で自分の法人から給与を受け取ると、2社分の給与を合算した額を基に保険料が再計算されます。結果としてトータルの社会保険料が大幅アップし、「法人にしたのに手取りが増えない」どころか減ってしまう事態も起こり得ます。
こうした事態を避けるため、給与支給の有無や金額の調整が重要になります。一つの方法は、自社からあえて役員報酬を出さないことです。給与をゼロにすれば厚生年金・健康保険への加入義務は生じず、社会保険料負担は発生しません。その代わり法人に利益が残り法人税はかかりますが、中小法人で所得800万円以下なら実効税率は約24%と個人の高率課税より低いため、社会保険料を払うよりトータル負担が抑えられるケースもあります。実際、勤務先で社会保険に加入しているサラリーマン大家の方は、自身の会社からはあえて報酬を取らず無報酬役員として運営する選択肢もあります。ただしこの方法は、自分個人が法人の利益を使えない(生活費に充てられない)というデメリットがあります。法人に利益を貯め込んでも、それを引き出すときには結局給与や配当で税金がかかりますし、ずっと社内留保を続けると中小同族会社特有の留保金課税の問題も生じかねません。現実には「法人には利益を残しつつ、生活費は本業の給与で賄い、必要資金は将来退職金や配当で受け取る」というプランを立てるケースもあります。このように社会保険と役員報酬をどう設計するかは、法人化の損得に直結する重要ポイントです。
もう一つ見落とされがちなのが役員報酬の設定と運用です。法人では、社長である自分にいくら給与(役員報酬)を支払うか自由に決められます。ただし税法上、その報酬額は期首から3ヶ月以内に確定させ、1年間原則として固定する必要があります。一度決めた役員報酬は原則途中で増減できず、仮に臨時でボーナスを出しても法人の経費(損金)にはなりません。不動産賃貸業は家賃収入が概ね安定していますが、突発的な修繕費や空室増加で利益が変動することもあります。にもかかわらず役員報酬を固定せねばならず、柔軟な資金調整がしにくい点に注意しましょう。例えば業績悪化しても高額な役員報酬を払い続けると、法人は赤字になり節税どころではなくなりますし、逆に業績好調なのに報酬を低く据え置くと法人に利益が残り法人税負担が増えてしまいます。サラリーマン大家の場合、本業収入との兼ね合いで役員報酬額を調整しないと個人側の税率が跳ね上がる恐れもあります。適切な役員報酬額の決定には専門家の試算が有用ですし、必要に応じて家族への役員報酬配分も検討すべきです。なお、「非常勤役員であれば社会保険に入らなくてよい」という話を耳にすることがあります。確かに原則、常時勤務しない非常勤役員は厚生年金・健康保険の被保険者とならない可能性があります。しかし、たとえ非常勤の名目でも実態として経営に関与し報酬を継続的に受け取っていれば加入義務を免れるのは難しいとされています。安易に「非常勤だから大丈夫」と考えず、基本は役員報酬=社会保険加入と捉えてプランを立てましょう。
法人化することで税務調査のリスクも高まる点に注意が必要です。一般に、個人事業より法人の方が税務署から調査を受ける確率は高まる傾向があります。元国税調査官の見解でも、「法人化すると税務調査の確率が格段に高くなる」とされています。実際、国税庁のデータによれば、とある年の調査実施率は法人約3%に対し個人事業者約1%と報告されています。規模の小さい法人であれば調査率自体は数%と低いものの、それでも個人よりやや調査リスクが上がるのは事実です。「30年に一度くらい」と言われる頻度ですが、だからといって油断は禁物です。特に同族会社(オーナー会社)の場合、オーナー個人との金銭のやり取りや、家族への給与・貸付など関連当事者間取引が多くなるため、税務署も注意深く見る傾向があります。法人化後に利益が急減したり、役員報酬や経費計上で不自然な点があると、調査官の目に留まりやすくなるでしょう。また不動産管理法人では、オーナー個人が自社に物件を貸しているケースや、個人からの貸付金・借入金の処理など、確認すべき事項が増えます。こうした点から、法人化した場合はより一層適切な経理処理と証拠書類の保管が求められます。税務署から問い合わせや指摘を受けても慌てないよう、日頃から領収書や契約書類を整理し、会計帳簿をきちんと備え付けておきましょう。
税務調査に対する備えとして、やはり税理士の関与は心強い味方となります。調査が入る場合、事前に税務署から通知がありますが、その段階で顧問税理士に連絡すれば対策を協議できます。税理士は調査当日に立ち会い、オーナー様に代わって専門的な受け答えをしてくれます。特に不動産分野に明るい税理士であれば、減価償却の計算根拠や賃貸借契約の扱いなど業界特有の論点についても的確に説明・主張してくれるでしょう。また、日常的に税理士が帳簿をチェックしていれば、調査で指摘されそうなリスクを事前に把握し対処できます。税務調査自体は必要以上に恐れるものではありませんが、「備えあれば憂いなし」です。法人化によって帳簿の信頼性を高め社会的信用を得る一方で、税務署への対応準備も怠らないようにしましょう。万一調査になっても冷静に対応できるよう、普段から決算書の内容を把握し、不明点は税理士に質問するなどしておくと安心です。そして税務調査の基本知識や対応方法についても知っておくと良いでしょう。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。
不動産オーナーの法人経営を成功させるには、税理士の活用も大きなカギとなります。法人化後は顧問税理士を付けて経理・税務を丸投げしたいと希望される方も多いでしょう。ここでは、税理士に任せるメリットと注意点を確認します。
まず丸投げのメリットですが、何と言ってもオーナー様の手間と時間を大幅に節約できる点です。法人の帳簿付けや決算書・申告書の作成、税務署とのやりとりなどを税理士が代行してくれるため、本業や新たな物件探しに専念できます。不動産投資は物件管理や入居者対応など本来業務だけでも忙しいもの。経理・税務をプロに任せれば、煩雑な計算ミスや申告漏れの心配から解放されます。また、専門的な節税アドバイスが受けられるのも大きなメリットです。経験豊富な税理士であれば、法人と個人の所得バランスの調整や、経費計上のタイミング、減価償却の方法など、素人では気付きにくい節税ポイントを提案してくれます。「どのくらい役員報酬を取れば有利か」「家族への給与は幾らまで認められるか」といった戦略も、顧問税理士に相談することで最適解が見えてくるでしょう。さらに、税務リスクの管理という点でも税理士に任せるメリットは絶大です。先述の税務調査対応しかり、日々の会計処理についてプロのチェックが入ることで、将来の調査や罰則リスクを低減できます。決算前に打ち合わせを行い、利益圧縮のための必要経費計上や青色申告控除の適用確認なども的確に行えます。総合すると、税理士に丸投げすることで「時間の節約」「節税効果」「安心感」の三拍子を得られるわけです。
一方で注意点やデメリットも押さえておく必要があります。まず、「丸投げ」とはいえ最低限の経営者としての関与は不可欠ということです。通帳の入出金管理や領収書・契約書の保管、月次の収支報告の確認など、オーナー自身がやるべきことまで放置してしまうと、税理士も正確な申告書を作れません。例えば物件の修繕を行ったのに領収書を提出しなければ経費計上漏れになりますし、新規物件を購入したのに連絡しなければ減価償却計算が追いつきません。「全部プロ任せだから安心」と油断せず、情報提供とコミュニケーションはしっかり取りましょう。また、税理士に依頼するにも費用がかかります。一般的な顧問料や決算料は規模によりますが、月次数万円~十数万円、決算期に追加料金といったケースが多いです。しかしこれは裏を返せば、それ以上の節税メリットや時間節約効果で元が取れる投資とも言えます。実際、税理士の適切な助言で数十万円単位の節税が実現することも珍しくありません。ただし税理士であれば誰でも良いわけではなく、相性や専門分野の見極めも重要です。特に不動産投資に強い税理士を選ばないと、的外れなアドバイスをされたり、大切な特例を適用し忘れたりするリスクがあります。不動産に詳しい税理士は減価償却や譲渡所得、固定資産税評価、果ては相続対策まで総合的に考慮してくれるものです。逆に不慣れな税理士だと、法人化のメリット・デメリットすら十分に説明できない場合もあり得ます。顧問税理士選びは慎重に行いましょう。また、丸投げとはいえ定期的な打ち合わせや報告の確認は怠らないようにしてください。年に一度の決算のときだけ数字を見ても、思わぬミスや改善点の見逃しにつながります。毎月または毎季度の報告を受け取り、自社の財務状況や税金見込みを経営者として把握することも大切です。それにより次年度の資金計画や追加投資の判断も的確に行えるでしょう。
以上のように、顧問税理士との上手な協力関係を築けば、法人化の恩恵を最大限享受できます。「こんなこと聞いていいのかな?」という些細な疑問も、専門家には遠慮なく相談しましょう。信頼できる税理士は単なる経理代行者でなく、良き経営パートナーとしてあなたの不動産経営をサポートしてくれます。そのためにも、税理士選びはとても重要です。実績や得意分野、報酬体系、コミュニケーションの取りやすさなどを総合的に判断し、自分に合った税理士を見つけてください。
当税理士事務所は日本全国の不動産オーナー様に対応しており、すべての手続きをリモートで完結できます。遠方にお住まいの方やお忙しいサラリーマン大家の方でも、ご自宅にいながら専門家との打ち合わせが可能です。具体的には、Zoomなどのオンライン会議やお電話、メールを駆使してヒアリングから書類確認まで行います。創業以来、北海道から九州まで全国各地のオーナー様からご相談をいただき、物理的な距離を感じさせないスムーズな対応を心掛けてきました。対面でのご来所が難しい場合でも問題ありません。例えば法人設立に必要な定款や議事録の確認もオンラインで画面共有しながら進め、押印書類は郵送や電子署名で対応いたします。加えて、会計ソフトもクラウド会計や市販の弥生会計などに柔軟に対応しており、データのやり取りもインターネット経由でセキュアに行えます。これにより「書類を持って税理士事務所へ行くために半休を取る」といった手間は一切不要です。チャットツール等で気軽に質問できる体制も整えていますので、疑問点があればすぐに確認できます。全国対応・リモート対応の強みを活かし、地域を問わず迅速かつ丁寧なサポートをお約束します。
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当税理士事務所のサポートは法人設立だけに留まりません。設立後の経理・税務も含めてトータルサポートできる体制を整えております。具体的には、日々の記帳や月次決算のチェックから、年度末の確定申告(決算申告), 税務署への各種届出、さらに万が一の税務調査対応まで、すべてワンストップで対応可能です。「法人化したものの、その後の申告や帳簿づけが不安だ」という方もご安心ください。当税理士事務所が継続して顧問税理士として関わることで、煩雑な経理業務から解放され、本業の不動産運営に専念していただけます。例えば毎月の領収書や通帳コピーをお預かりすれば、試算表を作成して経営成績をフィードバックいたします。決算時には節税の最終チェックを行い、減価償却や各種控除の適用漏れがないよう万全を期して申告書を作成します。法人の申告は法人税・消費税・地方税と多岐にわたりますが、当税理士事務所にお任せいただければ一括してお任せいただけます。さらに、法人化後に税務調査の連絡が来た場合も、当税理士事務所が事前対策のアドバイスから当日の立会い・交渉まで責任を持って対応いたします。「申告書を作った税理士がそのまま調査にも対応してくれる」という一貫サービスは、大きな安心材料となるでしょう。加えて、個人でお持ちの他の不動産や給与所得の確定申告についても併せてサポート可能です。つまり法人とオーナー個人の税務を切り分けず、一体として最適化できる点も当税理士事務所の強みです。ワンストップサービスにより、複数の専門家に依頼する手間や情報共有のミスを防ぎ、シームレスかつ効率的な税務管理を実現します。
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