本業と副業のはざまで悩むサラリーマン大家さんへ。法人化と確定申告の不安は、税理士による丸ごと支援で解決します。
不動産投資(不動産賃貸業)専門の税理士法人加美税理士事務所による法人化サポートサービス
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まず「法人化」とは何か、その概要を押さえておきましょう。不動産投資における法人化とは、個人事業主として行ってきた不動産賃貸業や管理業務を法人(会社組織)に切り替えることを意味します。具体的には、これまでオーナー個人が受け取っていた家賃収入などを、新たに設立した会社名義で受け取り、経費計上や税金の申告も法人として行う形に移行します。
法人化しても、不動産経営そのものの内容が大きく変わるわけではありません。物件の所有形態や契約主体が個人から法人になるだけで、基本的には運営主体が変わるイメージです。例えば入居者から見れば、賃貸借契約の貸主名義がオーナー個人からオーナーの設立した会社に変わる程度で、日々の賃貸経営の実務はこれまで通り継続できます。また「法人化」と聞くと大掛かりな手続きや従業員の雇用が必要な印象を持つかもしれませんが、実際には一人社長の会社でも問題なく、不動産収入を法人で受け取ることが可能です。家族経営の小さな会社からスタートでき、役員(社長)もオーナー自身が務めます。つまり比較的手軽に会社を作れるようになっており、近年では節税目的で不動産投資を法人化するケースも増えています。
ただし、法人化にはメリットばかりではなく、会社設立や維持にコストがかかる点にも注意が必要です(詳細は後述)。節税や資産保護を目的に法人化を検討する際は、メリットとデメリットを正しく理解することが重要です。
不動産投資の法人化を語る際に「不動産管理法人」や「資産管理会社」という言葉がよく出てきます。不動産管理法人(資産管理会社)とは、個人が保有する不動産などの資産を管理・運用する目的で設立した法人のことです。オーナー個人が100%出資して自分の資産を移すケースが多く、設立する会社の形態は一般的に株式会社か合同会社となります。資本金は1円からでも設立可能であり、会社の住所も自宅を登記することができます。したがって、大規模なオフィスや従業員を用意しなくても小規模な「マイクロ法人」として不動産管理会社を設立することが可能です。
では、不動産投資を法人で行う具体的な方法(スキーム)にはどのような種類があるのでしょうか。実は法人化と一口に言っても、運用スキームには主に3種類あります。オーナー様の状況に応じて使い分けられますが、代表的なものを以下に紹介します。
- 不動産所有方式(法人買取方式) … 法人自体が不動産を所有し、賃料収入を法人の売上として計上する方法です。オーナー個人が持っている賃貸物件を法人が購入または現物出資によって取得し、以後の家賃は法人に入ります。これは個人と法人の間で物件の売買を行う形になるため、特に「法人・個人間売買スキーム(略して法個売買)」とも呼ばれます。個人の資産を法人に移転できるため節税効果が大きい一方、物件を移す際に譲渡税や登記費用など売却時のコストが発生する点に注意が必要です。※(法個売買スキームについて詳しくは「法個売買スキームの特集ページ」をご覧ください。)
- 不動産管理委託方式(管理料方式) … 不動産の所有権は個人のままで、管理業務のみを法人に委託する方法です。法人はオーナーから管理を請け負い、管理料を受け取ります。この管理料収入を法人の売上とすることで、個人から法人へ一部所得を移転します。比較的手軽な方法ですが、管理料の金額設定による節税には限度があり、税務上あまりに不自然な高額設定は否認されるリスクがあります。
- 一括転貸方式(サブリース方式) … オーナー個人が所有する物件を法人が一括借上げ(サブリース)し、法人が入居者に転貸する方法です。法人はオーナーに毎月一定のマスターリース料(賃貸料)を支払い、入居者からの家賃との差額を利益として受け取ります。管理委託方式に比べ法人にリスク(空室リスクなど)が移るため、適正な範囲であれば管理料方式より多くの利益を法人側に残すことも可能です。こちらも金額設定が不適切だと税務上問題となる点は同様ですが、一定の節税効果が見込めます。※(サブリーススキームについて詳しくは「サブリーススキームの特集ページ」をご覧ください。)
以上のように、不動産法人化には管理委託方式・サブリース方式・法人買取(法個売買)方式といった複数のスキームがあります。それぞれメリット・デメリットが異なりますので、自身の所得規模や運用方針に合った方式を選ぶことが大切です。初めて検討する方は難しく感じるかもしれませんが、税理士に相談すれば最適なスキームの選択も含めてアドバイスを受けられるので安心です。
次に、個人事業と法人運営の違いを押さえておきましょう。法人化の意義を理解するために、以下のポイントで個人と法人の違いを比較します。
- 税制上の違い: 個人事業の不動産所得は、他の所得と合算して累進課税(所得が増えるほど税率が上がる仕組み)で課税されます。一方、法人の所得(法人税)は原則一律の税率で課税されます。例えば個人の所得税率は所得額に応じ5%から最大45%まで段階的に上がり、住民税(一律10%)と合わせると最大で約55%もの税負担になります。これに対し法人税率は、中小法人であれば年800万円までは15%、800万円超部分は23.2%、法人住民税等を含めた実効税率でも約33%程度といった水準(令和5年現在)で、個人より低い税率で安定しています。つまり利益が大きくなるほど法人の方が税負担を抑えやすい傾向があります。
- 法律上の違い(責任の範囲): 個人事業は事業主本人と事業用資産が法律上同一視されます。万一事業で負債や損害賠償が発生した場合、オーナー個人の全財産が責任の対象となり得ます。これに対し、法人はオーナー個人とは別個の法的存在(法人格)です。法人が事業主体となることで、オーナー個人は有限責任(出資額の範囲内で責任を負う)となり、万一法人が経営破綻しても個人の資産まで差し押さえられるリスクを抑えられます(後述する「有限責任のメリット」で詳しく解説)。
- 社会的信用や事業展開の違い: 法人は登記簿に記録される正式な企業体です。そのため一般的に対外的な信用力が個人より高いとみなされる傾向があります。銀行融資の審査でも「会社組織として実績がある方が有利」とされる場合があり、将来的に資金調達をしやすくなる可能性があります。また法人名義で契約や取引を行えるため、事業規模を拡大しやすく、事業承継(相続)の面でも後述するようにスムーズになるケースがあります。反面、法人は毎期の決算報告や税務申告義務が発生し、行政上の手続きも個人より複雑になります。こうした運営コストや手間の増加も法人化の一つの側面です。
以上が個人事業と法人運営の主な違いです。まとめると、法人化の意義は「税率構造や制度の違いを活かして節税を図ること」「責任範囲を限定してリスクから個人資産を守ること」「事業体としての信用力を高め、将来の展開や相続を円滑にすること」にあります。次章から、これらのポイントを踏まえて法人化で得られる具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
不動産投資を法人化することには、さまざまなメリットがあります。本章では大きく「節税効果」「リスク分散(資産保護)」「信用力向上と公的制度の活用」という観点で、それぞれのメリットを解説します。専門的な内容も出てきますが、重要ポイントはなるべくかみ砕いて説明します。
不動産の法人化で得られる最大のメリットが、やはり節税効果です。個人で不動産収入を得ている場合、前述の通り累進課税により所得が増えるほど税率が高くなります。特に給与所得のあるサラリーマン大家さんだと、不動産収入が給与と合算されて高い税率で課税されがちです。法人化すれば、この所得を個人から法人へ振り分ける(所得分散する)ことで税負担を軽減できる可能性があります。
具体的な節税ポイントとしては次のような点が挙げられます。
- 所得税と法人税の税率差の活用: 個人の所得税・住民税が累進課税で最大約55%に達するのに対し、中小法人の法人税等は約33%程度で頭打ちになります。この税率差を利用して、ある程度以上の利益は法人で受け取った方がトータルの税額を抑えられるのです。
- 所得分散(配偶者や家族への給与支給): 法人を設立し、家族に役員報酬や給与を支払うことで、所得を家族間で分散できます。家族に支払った給与は法人にとって経費となり法人税を圧縮します。一方、給与を受け取った家族側では「給与所得」として課税されますが、給与所得には給与所得控除という手厚い控除枠があります。例えば年間給与103万円までであれば、給与所得控除(最低55万円)と基礎控除(48万円)により所得税が発生しません。この「103万円の壁」を利用して、配偶者やお子さんに一定額の給与を支払えば、その範囲内では一家全体で非課税で所得を移転したことになり、大きな節税になります。複数のご家族に給与分散することで、累進課税の高い税率帯に所得が集中しないように調整できるわけです。
- 経費計上の幅が広がる: 法人にすることで、個人事業では経費にしづらかった支出も法人経費として計上できる場合があります。例えば自宅の一室をオフィス代わりにすれば家賃や光熱費の一部を社宅・事務所費として計上できますし、業務で使うパソコン・スマホ、車両の維持費、研修やセミナー参加費、接待交際費等も会社の経費として認められるケースがあります。また役員報酬も法人の損金(経費)になります。経費計上の幅が広がれば、それだけ課税対象となる利益を圧縮できるため、節税につながるわけです。
- 将来の退職金・賞与の活用: 法人にしておくと、オーナー自身に対して役員退職金を支給することも可能です。退職金には税額計算上大きな控除枠が設けられており、長年の勤務に対する退職金ほど低い税率で済みます。個人事業主にはそもそも退職金の制度がありませんが、法人化しておけば将来引退する際に多額の資金を低税率で受け取れる可能性があります。また業績に応じて役員賞与を出すことで利益調整を図るなど、法人ならではの柔軟な所得コントロールも可能となります。
以上のように、不動産投資の法人化には所得を分散・調整し税率差を活かせるメリットがあります。特に収益規模が大きく個人で高い税率を適用されている方ほど、法人化による節税メリットが大きくなります。ただし、後述するように一定規模に満たない場合は法人維持コストで効果が相殺されるケースもあるため、「どのくらいの所得規模なら法人化すべきか」慎重に見極める必要があります。
法人化の大きなメリット二つ目は、リスク分散による資産防衛です。前述したように、法人はオーナー個人とは別人格のため、事業上の責任を限定できる特徴があります。具体的には、法人が負った債務や損害賠償責任について、オーナー個人は原則として出資額の範囲までしか責任を負わない(有限責任)ことになります。これは不動産賃貸業においても重要なポイントです。
例えば、個人でアパート経営をしている場合に大きな事故・トラブルが起きて多額の損害賠償責任を負ったり、借入返済が困難になったりすると、事業用だけでなくオーナー自身の個人資産まで含めて債務の返済に充てる必要が出てきます。最悪の場合、自宅や貯蓄などを処分せざるを得ないリスクもあります。ところが、資産管理会社を設立してその法人が賃貸事業を営んでいれば、基本的には法人名義の資産だけが責任の対象となります。法人が倒産しても、オーナー個人の預貯金や他の私有財産までは差し押さえられにくくなるため、個人の資産を守る防波堤の役割を果たすのです。
ただし注意点として、不動産投資の融資ではオーナー個人が連帯保証人になるケースが多く、実質的に個人保証を求められることがあります。この場合、法人の借入でもオーナー個人が責任を負う点でリスク分散の効果は限定的です。しかし物件管理上の一般的な債務や賠償責任については法人と切り離せますし、将来的に融資の個人保証を外せることになればメリットが大きくなります。また複数の物件を持っている場合、物件ごとに別法人を設立してリスクを分散させる方法も考えられます。例えば1棟ごとに管理会社を分けておけば、ある物件で問題が起きても他の物件や資産への波及を防げます。このように法人化はリスクヘッジの手段としても活用でき、特に資産規模が大きくなってきたオーナーにとっては重要なメリットとなります。
上記以外にも、不動産投資を法人で行うことには様々なメリットがあります。代表的なものをまとめると以下のとおりです。
- 社会的信用力の向上: 個人より法人の方が社会的な信用度は高い傾向があります。会社名義の方が金融機関や取引先の受け止めが良く、融資を受けやすくなる場合があります。事業実績を積んで決算書を整備していけば、銀行から法人向け融資枠を提案されるケースもあります。また「会社社長」という肩書きになることで周囲の信用が得やすくなるという側面もあるでしょう。
- 事業拡大や資金調達の柔軟性: 法人化すると金融機関からの資金調達手段が広がるメリットもあります。例えば法人向けの事業ローンや補助制度、助成金へのアクセスが容易になります。個人では利用できない創業融資や事業者向け補助金(IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など)に応募できる可能性もあります。また法人名義で不動産を購入すれば、物件を会社資産として担保に入れて別の融資を受けるなど、レバレッジを効かせた投資展開もしやすくなります。
- 税務・財務管理の透明性: 法人は毎年決算書を作成し、法人税の申告を行う必要があります。一見デメリットにも思えますが、裏を返せば事業の収支状況をきちんと把握できるということです。法人化を機に会計ソフト(例えば弥生会計など)で帳簿を付け始めれば、物件ごとの収益率や経費の内訳が「見える化」されます。専門税理士のサポートを受けながら財務管理を行うことで、経営の安定化や将来の投資判断にも役立つでしょう。また法人は節税策の選択肢も多いため、税務戦略の幅が広がるメリットもあります。
- 相続・承継対策につながる: 不動産を法人に移しておくことは、将来の相続税対策にもなり得ます。個人所有の不動産は相続時に評価額が大きく、そのまま相続税の課税対象となります。一方、法人所有に切り替えておけば、相続時には法人の株式の評価額が課税対象となります。株式評価は不動産そのものより低く出るケースが多く、結果的に相続税評価額を抑えられることがあります。さらに生前に法人株式を子や孫に贈与(※毎年110万円まで非課税の贈与枠を活用)しておけば、スムーズな事業承継が可能です。相続発生後の煩雑な不動産の分割手続きも、法人で一括管理されていれば株式の名義を書き換えるだけで済むため簡便になります。このように法人化は資産承継の観点からもメリットが期待できます。
以上、法人化によるその他のメリットも含めて見てきました。節税・リスク分散だけでなく、信用力や将来の展望まで考えると、法人化の恩恵は幅広いことがご理解いただけたかと思います。ただしメリットばかりに目を向けず、次に述べる適切なタイミングや場合によっては生じるデメリットも踏まえて、総合的に判断することが大切です。
メリットが多い法人化ですが、誰もが今すぐ法人化すべきとは限りません。事業規模や所得額によっては、法人化による節税効果よりコスト増の方が大きくなってしまう場合もあります。ここでは「どんな人が法人化すべきか」「法人化に適したタイミングはいつか」を判断するためのポイントを解説します。将来的に法人化を検討している方は、自分が当てはまるかチェックしてみてください。
法人化の判断基準としてまず重要なのは、現在の不動産所得(およびその他所得)の規模です。一般に、不動産収入が一定規模を超えてくると法人化の節税メリットがコストを上回ると言われています。そのボーダーラインについて、いくつかの目安があります。
- 年間利益が500~600万円を超える場合: 不動産専門業者や税理士の間では「不動産所得がだいたい600万円程度になったら法人化を検討してもよい」という声があります。600万円というのは一つの目安ですが、このくらいの規模になると個人の所得税・住民税負担が約30%に達し、法人税率との差が出てきます。実際には経費控除後の課税所得ベースで見るべきですが、ざっくり年間の不動産所得が500~600万円超なら、法人化による節税効果が法人維持コストを上回りやすいラインと考えられます。
- 所得税率が30%以上になってきた場合: 個人の所得税率が20%台後半から33%以上に上がってくるタイミングが、一つの分岐点です。具体的には、課税所得が695万円を超えると所得税23%・住民税10%で計33%、さらに900万円を超えると所得税33%・住民税10%で計43%もの税率が適用されます。この辺りの高率課税ゾーンに入っている方は、法人税率(実効税率約33%)より明らかに負担が大きくなるため法人化の有利性が高いです。裏を返せば、所得税率がまだ20%前後のうちは無理に法人化せずとも大きな差は出ないとも言えます。
- 保有物件数・事業規模の拡大: 単一物件の小規模経営なら個人でも十分ですが、今後も物件数を増やして事業規模を拡大する計画がある場合、早めに法人化しておくメリットが高まります。物件が増え利益も増大すれば、いずれ前述の高税率ゾーンに入ってきますし、法人であれば複数物件の収益を一元管理しやすくなります。また規模が大きいほどリスク分散効果(有限責任のメリット)も意味を持ってきます。将来的に従業員(家族以外)を雇って本格的な賃貸業を営む可能性があるなら、早めに法人基盤を作っておく方が信頼性の面でもプラスでしょう。
- 赤字計上・減価償却の状況: 現状、減価償却費などの影響で不動産所得が赤字になっており、その赤字を他の所得(給与所得等)と通算して節税できているケースでは、すぐに法人化しない方が有利な場合があります。個人では不動産の損失を給与所得と相殺できますが、法人にすると不動産事業の損失は法人内でしか通算できず、せっかくの節税効果が享受できなくなるためです。特に木造アパート取得直後など減価償却が大きく効いている期間は、個人のままで損失計上した方が節税になります。黒字転換したタイミングで法人化する、といった判断も必要でしょう。
以上を総合すると、「年間の課税所得が概ね800~1000万円に近づくか、それを超える頃」が法人化検討の一つの目安と言えます。このレンジに入ると個人の税率が大幅に上がり始めるためです。特に所得900万円超で税率33%(住民税含43%)を超えていれば、法人税率との差が顕著なので法人化の節税メリットが大きくなりやすいでしょう。逆に、不動産所得が数百万円以下のうちは法人化のメリットがそれほど大きくなく、設立費用・毎年の顧問税理士費用などでかえってトータル手取りが減るケースもあります。まずは自身の所得規模と税率をチェックし、損益分岐点を超えていそうか検討してみてください。
特にサラリーマン大家さん(本業で給与所得があり、副業で賃貸経営をしている人)の場合、法人化のタイミング判断には独自のポイントがあります。サラリーマン大家は給与と不動産所得が合算されるため、本業の収入が高い人ほど早めに法人化した方が節税効果を得やすいからです。
前述の基準と重なりますが、サラリーマンの場合はまず給与所得の金額に注目しましょう。本業の年収がすでに高額(例えば課税所得900万円超)である場合、その人の所得税率は33%(住民税と合わせ43%)に達しています。この状態で賃貸収入が発生すると、その収益部分にも高い税率が適用されてしまいます。例えば不動産所得100万円の場合、その追加の100万円には約43%の税率がかかり手取りは57万円程度に目減りします。しかし法人を設立し賃貸利益100万円を法人で受け取れば、法人税等は約23%(中小法人の800万円以下15%+地方税等)で済み、およそ77万円が手元に残る計算です。同じ100万円稼いでも20万円もの差がつくわけで、給与収入が高い人ほどこの差額が大きくなります。
そのため一般には、「年収が高く不動産所得もある程度見込めるサラリーマン大家は早めに法人化を検討すべき」と言われます。具体的には前述の通り課税所得900万円超が一つのラインで、そこに達する人は不動産所得が少額でも法人化メリットが出やすいです。一方、給与収入がそれほど高くない場合(例えば年収500万円前後)で賃貸利益も小さいうちは、無理に法人化せずまず物件を増やしたりローン返済を優先した方が得策かもしれません。
また、サラリーマン大家特有の留意点として社会保険の問題もあります。個人として副業収入を得ている分には給与の勤務先で社会保険に加入するだけですが、自ら法人を設立し役員報酬を取るとその法人での社会保険加入義務が生じます。会社員が副業法人から給与を受け取る場合、二重加入となって保険料負担が増える可能性があります(給与額や加入状況によります)。そこで法人からあえて給与を取らず利益は社内留保するとか、報酬額を低めに設定して社会保険料負担を抑えるといった工夫も必要になるケースがあります。この点は専門的な判断が絡むため、本業の勤務先の状況も含め税理士・社労士に相談すると安心です。
まとめるとサラリーマン大家の場合、「本業収入+不動産収入の合計が高額になってきたら法人化の検討時」という点は共通ですが、その“高額”の基準が人によって異なります。本業年収が低めなら不動産収入が相当増えるまで不要かもしれませんし、本業年収が高ければ不動産収入が小さくても法人化メリットが出ます。自分の給与所得と賃貸利益を合算してみて、年間合計でどの税率ゾーンにいるかを確認し、法人化すればどれくらい税負担が軽減できるか試算してみるとよいでしょう。必要であれば税理士がシミュレーションを行いますので、気軽に相談してみてください。
では具体的に「よし、法人化しよう」と決めた場合、いつ会社を設立するのがベストなのでしょうか。結論から言えば、明確な絶対基準はありませんが、以下のようなタイミングが一つの目安になります。
- 利益が本格的に出始める前: できれば不動産収入が大きく増えて高税率を適用される年度になる前に法人設立できると理想的です。その方が早い段階から節税メリットを享受できます。例えば「来年から新築アパートの家賃収入が入り所得が倍増しそう」という場合、増収前のタイミングで法人を作り、最初からその収入を法人に振り向ける方が得策でしょう。逆に大きな売却益など一時的に所得が跳ね上がる直前に法人化しておくと、個人の高額納税を回避できる可能性があります。ただし物件を法人に移す場合は譲渡所得税等が発生するため、そのタイミングによっては事前に個人で売却してしまった方がいいケースもあります。大きなイベントが控えている場合こそ、事前に税理士と相談してスケジューリングすることが重要です。
- 減価償却のメリットが薄れる時期: 先述のように、新築木造など減価償却が大きい物件は購入後数年間は個人のまま赤字計上した方が節税になります。しかし減価償却費が減って利益が出始めたら、その段階で法人化を検討しましょう。例えば購入後○年目で毎年の減価償却費が一巡し、そろそろ不動産所得が黒字化するタイミングが法人化の好機です。逆に減価償却メリットを享受している間に慌てて法人化すると、前述の通り損益通算ができなくなり節税機会を逸することになります。
- 物件追加取得のタイミング: 新しい物件を購入する予定があるなら、その物件を個人名義ではなく法人名義で取得することを検討しましょう。既存物件をあとから法人へ移すと登記や税金のコストがかかりますが、購入時から法人で買えばその手間が省けます。したがって「次の○○の物件購入に合わせて法人を設立する」というのもスマートなタイミング戦略です。また融資面でも、新規購入時に法人で借入れできれば将来の保証人リスク軽減につながる可能性があります。物件増加に合わせてステップアップ的に法人化するのも一案です。
- 年度切り替わりの時期: 法人を設立するなら、キリの良い時期にスタートする方が管理しやすいです。多くの方は1〜3月頃に確定申告を終えるので、その直後の4月以降に会社設立するとちょうど年度単位で区切りやすくなります(法人の事業年度は自由に決められますが、暦年に揃える人も多いです)。また賃貸経営では契約更新や繁忙期が年度末〜春先に重なるため、そのタイミングで法人へ移行することで入居者対応もスムーズに切り替えられます。ただ、これは必須条件ではなく、思い立ったが吉日でいつ設立しても構いません。重要なのは設立した日以降の収入を法人に計上できるという点ですので、余裕を持って計画しましょう。
まとめると、法人化のベストタイミングは「収入規模や状況が法人化のメリットを最大化できる局面に差し掛かったとき」と言えます。早すぎても遅すぎても損になりますので、事前にシミュレーションしつつ計画的に進めることが大切です。適切なタイミングを判断するのは難しい面もありますから、税理士に相談して一緒にベストな時期を見極めることをおすすめします。
法人化を成功させるには、事前の準備と専門家によるチェックが欠かせません。当税理士事務所のような不動産税務に強い税理士に相談すれば、現在の状況を踏まえて法人化すべきか丁寧に診断し、進める場合は必要な手続きを丸ごとサポートいたします。ここでは、税理士相談で確認できる法人化チェック項目の一例をご紹介します。
- 現在の所得状況の分析: まずオーナー様の現在の収支状況をヒアリングし、個人で申告している不動産所得や給与所得の金額、適用税率を確認します。家賃収入や経費、減価償却の明細を把握し、個人での納税額を試算します。これにより法人化した場合にどの程度節税余地があるかの土台データを整えます。
- 法人化による節税効果のシミュレーション: 次に、所得を法人に振り替えた場合の税負担をシミュレーションします。具体的には、役員報酬の額をいくらに設定し法人にどれだけ利益を残すか、家族への給与配分をどうするかなど複数プランを試算し、法人税+個人所得税の合計額を比較します。「法人化しない場合」「法人化してフルに所得分散した場合」等を比べ、損益分岐点を見極めます。当税理士事務所では最新の税制に基づき、将来を見据えたシミュレーションも行います。
- 適切な法人化スキームの選択: 前述した管理委託方式・サブリース方式・法人買取方式のうち、どの方法がオーナー様に最適か検討します。例えば現在物件に融資が残っているならサブリース方式で様子を見る、自己資金に余裕があり早く所得を移したいなら法人買取方式で一気に資産移転する、など節税効果と初期コストのバランスを考慮して方針を決めます。必要に応じて不動産の評価額算定や融資条件の確認も行い、最適なスキームを提案します。
- 会社設立手続き・登記のサポート: 法人化を進めると決まったら、実際に会社を設立する段取りに入ります。商号(会社名)や本店所在地、事業目的、資本金、役員構成などを決め、定款を作成します。税理士事務所によっては司法書士や行政書士と提携し、定款認証・設立登記を代行してくれるところもあります。当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)の場合も、会社設立手続きは全国対応・オンライン完結でサポート可能です。お客様は必要事項のヒアリングに答えていただくだけで、煩雑な書類作成や役所手続きを丸ごと弊所にお任せ(丸投げ)いただけます。
- 物件の名義変更と契約切替: 法人を設立した後、実際に賃貸物件の収入を法人へ移すための実務手続きも確認します。管理委託やサブリースの場合はオーナー個人と法人との間で契約書を交わし、入居者や管理会社への通知を行います。物件を法人に売却する場合は売買契約書の作成や登記変更、ローンの借り換えなども必要です。これらのステップで発生する税金(登録免許税、不動産取得税、譲渡所得税など)や手数料についても事前にシミュレーションします。税理士が関与していれば、そうした諸費用も含めた収支計画を立ててから実行できるので安心です。
- 法人化後の会計・税務サポート: 法人設立が完了して終わりではなく、その後の決算申告や日々の会計処理についてもサポートします。法人化直後は慣れない経理作業が発生しますが、当税理士事務所では弥生会計などのクラウド会計ソフトにも対応しており、初期設定から運用方法まで丁寧にご案内します。もちろん帳簿付け自体を丸投げしていただくことも可能です。また、法人化後に活用できる追加の節税策(役員退職金制度の活用や経営セーフティ共済への加入等)もアドバイスし、節税効果の最大化を継続的に支援いたします。
上記のように、税理士との相談を通じて法人化に関するあらゆるチェックと準備を進めることができます。特に不動産分野に明るい税理士であれば、賃貸経営に特有の論点も踏まえたきめ細かい提案が可能です。税理士法人加美税理士事務所でも、これまで多数のサラリーマン大家さんやオーナー様の法人化支援を行ってまいりました。当税理士事務所の強みは、全国対応・オンライン完結のサービス提供に加え、初回相談無料で気軽にご相談いただける点です。専門用語が多い税務の話もできるだけ平易に説明し、煩雑な手続きはすべてプロに任せていただけます(まさに「丸投げ対応」です)。さらに会計ソフトは弥生会計等お客様の使い慣れたツールに対応し、クラウド共有でリアルタイムに経営状況を確認いただくことも可能です。こうした体制で、忙しいサラリーマンの方やご高齢のオーナーでも安心して法人化にチャレンジできるようサポートしております。
まとめ|不動産投資の法人化は、節税・資産保護・信用力向上など多くのメリットが期待できる反面、適切なタイミングの見極めや専門知識が求められるテーマです。本記事では「不動産投資の法人化」に関する基本からメリット・手続きまでを専門税理士の視点で解説しました。ポイントをおさらいすると、メリットとして所得分散による節税効果や有限責任によるリスク分散、事業拡大・相続対策のしやすさが挙げられます。一方で、法人化の判断基準として所得規模や税率、水面下のコスト(設立費用・社会保険料等)も考慮が必要です。そして何より、経験豊富な税理士に相談しながら進めることで失敗のない法人化が実現できるという点を強調させていただきます。初めての法人設立は不安も多いかと思いますが、当税理士事務所では専門家チームが親身にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの不動産投資が法人化によってさらに飛躍するお手伝いができれば幸いです。
不動産投資を法人化する際には、会社設立の具体的な手続きから必要書類、費用の目安まで把握しておくことが大切です。ここでは、登記までの基本ステップや準備すべき書類、設立にかかる費用感について、税理士の視点から分かりやすく解説します。
会社を設立するには、大きく分けて以下のステップを踏みます。それぞれの段階で必要な準備がありますが、専門家に依頼することでスムーズに進めることも可能です。
- 会社形態の決定と基本事項の決定:まず株式会社にするか合同会社にするかといった会社形態を選択します(詳細は後述)。併せて、会社名(商号)、本店所在地、事業目的、資本金額、役員構成など基本事項も決めます。不動産賃貸業を目的とする場合、定款の事業目的欄には「不動産の所有、賃貸、管理及び運用」程度に留めるのが一般的です。※「不動産の売買およびその仲介」まで含めてしまうと宅建業免許が必要になるため注意しましょう。
- 定款の作成・認証:会社の基本ルールを定めた定款を作成します。定款には会社名や目的、本店所在地、資本金、発起人・役員の氏名などを記載します。株式会社の場合、公証役場での定款認証が必要です(手数料約5万円)。合同会社は認証不要ですが、定款は作成します。
- 資本金の払い込み:定款で定めた資本金を発起人の銀行口座に振り込みます。払込証明として通帳のコピー等を用意します。資本金は1円から設定可能ですが、不動産管理目的の法人であれば1万円~100万円程度にするケースが多いです。なお、資本金を1,000万円以上にすると新設法人でも消費税課税事業者となったり、毎年支払う法人住民税の均等割が高くなるため、特別な理由がなければ避けた方が無難です。
- 登記書類の準備:法務局に会社設立の登記申請を行うための書類一式を準備します。具体的には定款(株式会社は認証済みのもの)、資本金の払込証明書、役員の就任承諾書、発起人の決定書、印鑑登録証明書(発起人や役員全員分)、登記申請書などを用意します。会社代表印(実印)もこの段階で作成し、印鑑届出書に押印します。書類の詳細は次項で解説します。
- 法務局へ登記申請:管轄の法務局に必要書類を提出し、会社設立の登記申請を行います。書類に不備がなければ、申請から約1~2週間程度で登記が完了します。登記が完了すると「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」や「印鑑カード」を取得でき、これらが法人設立の正式な証明となります。その後、法人名義の銀行口座開設などの手続きを進めます。
以上が登記までの大まかな流れです。当税理士事務所では提携司法書士と連携し、お客様に代わってこれらの手続きを進めるサポートが可能です。遠方の方やお忙しい方でもオンライン等で柔軟に対応いたしますので、安心してご相談ください(初回相談無料)。
会社設立時には多くの書類を整える必要があります。主な必要書類は以下のとおりです(※株式会社か合同会社かで若干異なります)。
- 定款:会社の基本規則を定めた書面。株式会社では公証人の認証済みのもの。
- 登記申請書:会社設立登記を申請するための書類一式の表紙となる申請書。
- 登録免許税貼付台紙:登録免許税(後述)の収入印紙を貼る台紙。
- 発起人の決定書:本店所在地や設立時役員などを発起人が決定したことを証する書面。
- 役員就任承諾書:取締役や代表取締役(合同会社では代表社員)に就任することを承諾する書面。
- 役員の印鑑証明書:設立時取締役全員(または合同会社の社員全員)の個人の印鑑登録証明書。
- 資本金の払込証明書:発起人の口座に資本金が振り込まれたことを証明する書類(通帳コピーに押印したもの等)。
- 印鑑届出書:会社実印(代表者印)を法務局に登録するための書類。
- 登記すべき事項を記載した書面:登記簿に記載する事項をまとめた書類またはCD-R等の電子データ。
これらの書類は不備なく綴じ込んで法務局に提出する必要があります。専門用語も多く準備が大変ですが、専門家に依頼すればテンプレートの提供や記載事項のチェックを受けられるので安心です。
法人設立にはいくらぐらい費用がかかるのかも把握しておきましょう。主な費用は登録免許税と定款認証費用で、会社形態によって異なります。
- 登録免許税:会社設立登記の際に国に納める税金です。株式会社の場合は資本金額の0.7%相当額(最低15万円)、合同会社の場合は0.7%(最低6万円)となります。多くの不動産投資法人では資本金を小額に抑えるため、実際の登録免許税は株式会社15万円、合同会社6万円が適用されるケースがほとんどです。
- 定款の印紙税:紙の定款を用いる場合、定款に貼付する収入印紙代4万円がかかります。ただし、電子定款(PDF等で作成し電子署名した定款)にすれば印紙税は不要です。専門家へ依頼すれば電子定款対応で4万円を節約できることが多いです。
- 定款認証手数料:株式会社のみ、公証役場での定款認証費用(約5万円)が発生します。合同会社は認証不要のためこの費用はかかりません。
- 司法書士等への依頼手数料:自分で設立手続きを行う場合は不要ですが、司法書士や専門代行サービスに依頼する場合はその報酬が必要です。相場として、株式会社で5万~10万円程度、合同会社で数万円程度が目安です(依頼先やサービス内容によります)。
以上を合計すると、株式会社の設立費用は約20~25万円、合同会社は約8~12万円程度が一般的な目安となります(自分で手続きするか専門家に依頼するかによって変動)。電子定款を利用すれば株式会社でも約4万円コストダウンできます。当税理士事務所にご依頼いただければ、電子定款の準備を含めコストを抑えた形で法人設立をお手伝いいたします。
不動産投資用の会社を作るにあたり、株式会社にするか合同会社にするか迷う方も多いでしょう。それぞれの特徴と違いを押さえておきます。
- 株式会社:社会的信用度が高く、将来的に株式発行による資金調達や事業拡大をしやすい形態です。役員は取締役会の設置も可能(小規模なら不要)で、決算公告の義務があります。設立コストは合同会社より高めですが、対外的なイメージや銀行融資面で有利になる場合があります。
- 合同会社:設立・維持コストが低く、内部の機関設計もシンプルな形態です。出資者=経営者(社員)となり、柔軟な経営が可能です。決算公告義務もありません。社会的認知度は株式会社に比べるとやや劣りますが、少人数・小規模事業には適しています。特に不動産賃貸などオーナー個人が主体となるビジネスでは、合同会社で十分というケースも多いです。
不動産投資の法人化においては、初期費用を抑えられる合同会社を選ぶ方も多い一方、「株式会社でないと信用面で不安」という理由で株式会社を選択する方もいます。将来的に会社を売却したり他の出資者を迎え入れたりする可能性が低ければ、合同会社でコストを抑えるのも賢明です。迷った際は当税理士事務所へご相談いただければ、個々の状況に応じて最適な形態をアドバイスいたします。
「手続きが複雑で自分でできる自信がない…」という場合は、会社設立代行サービスの利用も選択肢です。司法書士や専門業者が書類作成から登記申請まで代行してくれるため、ご自身は必要事項のヒアリングに答えて書類に押印するだけで済みます。専門家に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 手間と時間の大幅削減:自分で調べて書類作成をする負担がなくなり、本業やお勤めに支障をきたしません。
- ミスのない設立:書類不備や手続き漏れによる申請却下を防げます。電子定款の扱いにも慣れているため、印紙代の節約にもつながります。
- 専門知識の活用:不動産業に適した事業目的の書き方や、節税上有利になる役員構成のアドバイスなど、プロならではの視点でサポートを受けられます。
当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)でも、提携司法書士との連携により会社設立をトータルでサポートしています。全国対応でリモート完結のサービス提供が可能ですので、遠方の方でもご自宅にいながら設立手続きを進めることができます。初回無料相談でお客様の状況をヒアリングし、必要に応じて丸投げでの対応も承っております。忙しいサラリーマン大家さんでも安心して法人設立を実現できるようサポートいたします。
法人化(法人成り)によって、不動産オーナーや中小企業経営者は様々な節税スキームを活用できます。個人で得た賃貸収入や売却益を法人に移転することで、所得税より低い法人税率や経費計上の柔軟性を享受できる点が大きなメリットです。以下では、税理士の視点から代表的な節税スキームを具体的に解説します。サラリーマン大家から企業オーナーまで、それぞれの状況に応じた対策を見ていきましょう。
サブリーススキームとは、個人所有の賃貸物件を自ら設立した資産管理会社(法人)に一括借上げ(サブリース)させる節税方法です。オーナー個人は法人から毎月一定の賃料(マスターリース料)を受け取り、法人は実際の入居者からの家賃収入を得ます。例えば個人オーナーへのマスターリース料を月80万円とし、物件が満室なら法人が月100万円の家賃収入を得るというイメージです。このように賃料の一部(約10~20%)を法人側の利益とすることで、本来個人に帰属するインカムゲインを法人に移転できます。
法人に利益を移すことで、個人の所得税等(最高55%の累進課税)ではなく法人税等(中小法人なら最高33%程度)で課税されるため税率差による節税効果が得られます。さらに、法人であれば役員報酬や経費計上を活用して利益調整が可能です。例えば、家族を法人の役員や従業員として給与を支給すれば所得分散による節税も実現できます。サブリース方式は物件の所有形態を変えずに手軽に導入できる点から、忙しいサラリーマン大家などにも適したスキームと言えるでしょう。
注意点として、親族間のサブリース料をあまりに高額に設定すると税務上否認されるリスクがあります。実態に見合った適正な範囲内(一般には家賃収入の20%程度まで)の利ザヤに留めることが重要です。適切に運用すれば、空室リスクを法人が負担する代わりに税負担を軽減できる有効な節税スキームです。サブリーススキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
法人個人間売買スキームは、オーナー個人が所有する不動産を一旦自分の法人に売却し、資産と収益源を法人に移す方法です。物件を法人所有に切り替えることで、以後の賃貸収入や売却益(キャピタルゲイン)はすべて法人に帰属し、個人より低い税率の法人税で課税されます。サブリースでは家賃の一部しか法人に移せませんが、売却方式ではインカムゲイン100%を法人側で計上できるため、最大限の節税効果が期待できるスキームです。
例えば賃貸規模が拡大して家賃収入が高額になったケースでは、一度法人に物件を売却してしまい、以降は法人で運用する方がトータルの税負担を抑えられる可能性があります。法人に売却する際には金融機関から法人へ融資を行い、個人オーナーはその売却代金で既存ローンを返済するといった資金繰りの調整が必要です。留意すべきは売却時に個人に譲渡所得税が発生する点で、物件の時価が取得時より大幅に上がっている場合、個人側で多額の税負担が生じるリスクがあります。長期保有で譲渡税率が20%程度に下がるタイミングや、譲渡益がそれほど大きくない物件を選ぶなど、事前シミュレーションが重要です。
また、親族間取引となるため売買価格は適正な時価で設定しなければなりません。時価より不当に安く売れば本来支払うべき譲渡所得税を免れる「利益移転」と見なされ、差額に課税されます。また高値で売って法人に損失を出すような取引も税務上否認されるリスクがあります。税理士の助言のもと、公平な時価で売買することが大切です。このスキームは一定以上の規模のオーナー向けですが、成功すれば大幅な所得分散と節税が可能になります。法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
複数の法人を活用できる場合には、合併や会社分割などの組織再編を活用した節税スキームもあります。適格要件を満たす組織再編であれば資産を簿価で引き継げるため譲渡益課税を生じさせずに法人間で資産移転ができます。例えば、オーナー会社と不動産管理会社を合併し、過去の繰越欠損金(赤字)と合算することで利益部分の課税を軽減するといった手法です。組織再編を通じて資産や事業を再配置すれば、税負担の平準化や将来的な事業承継対策にも役立ちます。ただし、これらのスキームは法規制も複雑で専門知識が不可欠です。当税理士事務所のように組織再編に精通した税理士へ相談し、適切な手続きを踏むことで、合法的かつ効果的な節税を実現できるでしょう。
法人化すると、社宅制度を利用した節税も可能です。借上社宅制度とは、法人が住宅を借り上げて役員や従業員(オーナー自身も含む)に社宅として提供する仕組みです。法人が支払う家賃は会社の経費(損金)となり、法人税の課税所得を圧縮します。一方、入居者である役員・従業員は会社へ一定の使用料を負担しますが、その金額は税務上の算定式で求める低廉な賃料で済むため、実質的に住居費の多くを非課税の福利厚生として享受できます。要するに、個人の税引き後の可処分所得で家賃等を払う代わりに会社に払わせることで、住居費を経費化する節税効果が得られるのです。
例えば、毎月の家賃10万円のマンションに社長が住む場合、法人名義で契約して会社が家主に10万円支払い、社長個人は会社へ数万円程度(算定式による自己負担分)を支払う形にします。会社負担分は社長にとって給与ではなく福利厚生費扱いとなるため所得税はかかりません。法人側は支払家賃全額が損金計上でき、利益圧縮による法人税軽減につながります。特に高額家賃の住居に住むオーナー経営者にとって、社宅制度は有効な節税策です。
留意点として、社宅の提供には税務上のルールがあります。自己負担額がゼロだと給与と見なされ課税されるため、税法で定める最低限の賃料は役員から徴収する必要があります(一般的な計算式に基づき賃料相当額の5割程度を負担するケースが多いです)。また、社宅としてふさわしい物件であること、実態として居住していることも求められます。適切に運用すれば、会社経費でマイホームのコストを落とせる魅力的なスキームと言えるでしょう。
退職金(役員退職慰労金)制度の活用も、法人化の大きなメリットです。個人事業主には自分に退職金を支給する仕組みはありませんが、法人の経営者であれば退職時に多額の役員退職金を支給し、所得調整を図ることが可能です。退職金は法人にとっては損金算入できる経費であり、支給年度の法人税負担を大幅に減らす効果があります。一方、受け取る個人側も退職所得控除や優遇税制があるため、通常の給与所得よりも低い税率で大きな手取りを得られます。
具体的には、退職所得には「退職所得控除」が適用され、勤続年数に応じて数百万円単位の控除額が設定されます。例えば勤続30年なら退職所得控除額は約15年間分(約1500万円)に上り、この控除を差し引いた残額のさらに1/2だけが課税対象となります。結果として、同額の役員報酬を分割でもらうより退職金として一括受取した方が圧倒的に税負担が軽くなるのです。経営者が高齢になり事業を引退する際、退職金として蓄積利益を支給すれば、会社の節税と個人の資金確保を同時に実現できます。
ただし、税務上認められる退職金額には常識的な範囲があります。中小企業の社長が何億円もの退職金を受け取れば不相当に高額と判断され、一部損金不算入となる可能性もあります。適正額は業種や会社規模、在任期間によりますが、同業他社の例などを参考に妥当な金額を設定することが大切です。また、退職金支給のための社内規定整備や株主総会決議など形式的手続も必要になります。計画的に準備を進めれば、法人ならではの節税の切り札として退職金制度を活用できるでしょう。
上記以外にも、法人化によって押さえておきたい節税ポイントがあります。その一つが損益通算と欠損金の繰越控除(赤字繰越)です。個人事業の場合、不動産所得の赤字は他の所得(給与所得や事業所得)と損益通算できるメリットがあります。例えば、減価償却費等で賃貸収支が赤字になれば、その分サラリーマン収入の所得税を軽減できるわけです。ただし、法人化すると個人と法人は別納税者になるため、法人の損失をオーナー個人の給与所得と相殺することはできなくなります。したがって、給与所得との損益通算を狙っている段階では法人化は慎重に検討すべきです。
一方で法人には欠損金の繰越控除という強みがあります。青色申告の中小法人であれば、発生した欠損金を最長10年間(※改正により期間延長されている可能性あり)繰り越して、将来の黒字と相殺できます。個人の不動産所得では赤字の繰越控除は最長3年ですから、法人の方が長期的な損失活用が可能です。例えば、法人化直後は減価償却等で赤字でも、その赤字を蓄積しておき翌年以降の利益と通算すればトータルの法人税を抑えられます。さらに、中小企業には一定の要件下で欠損金の繰戻しによる還付制度も使えるケースがあります。景気変動の大きい不動産賃貸業では、法人化による損失の柔軟な扱いが税負担の平準化に寄与するでしょう。
その他、法人化により経費計上の幅が広がる点も見逃せません。個人では難しかった出張費や交際費、通信費等も事業目的なら法人の必要経費にできます。また、法人が支払う役員報酬は適正額であれば全額損金となるため、家族従業員への給与含め所得分散策として活用可能です。このように法人化は単に税率の違いだけでなく、損失繰越や経費戦略など総合的に税負担を調整できる仕組みと言えます。自分に合った節税策を組み合わせ、長期的に賢く税金と付き合いましょう。
不動産投資を行う現役サラリーマン投資家の皆さん、個人での賃貸経営から法人化することで大きな節税メリットが得られる可能性があることをご存知でしょうか。私たち税理士法人加美税理士事務所は、不動産投資家に特化した税務の専門家として、物件オーナーの法人化を強力にサポートしています。個人と法人の税制の違いを熟知し、投資家それぞれの状況に応じた最適なスキームと節税プランを提案できるのが私たち税理士法人加美税理士事務所の強みです。ここでは、当税理士事務所ならではの法人化サポート内容について、税務上のポイントを中心にわかりやすく解説します。
不動産収入にかかる所得税・住民税は累進課税で、個人の所得が増えるほど税率も最高で約55%(所得税45%+住民税10%)に達します。一方、法人税(中小法人の場合)は所得金額にかかわらず概ね30〜33%程度で頭打ちとなり、個人より低い税率で安定しています。つまり、利益規模が大きくなるほど法人の方が税負担を抑えやすい傾向があります。
この個人と法人の税率差を上手に利用するのがタックスプランニングの基本です。具体的には、不動産収入が大きくなって高い所得税率が適用されるような場合には、その利益を個人ではなく法人で受け取ることで、全体の税負担を軽減できます。例えば年間の不動産所得が数百万円を超え、個人では税率が30%台・40%台に及ぶようなら、法人を活用して税率を約30%程度に抑える節税効果は見逃せません。実際、年間の不動産所得が約1,000万円を超える規模であれば法人化による節税メリットが特に大きくなる傾向があります。また本業の給与所得が既に高額で個人の税率区分が高い方(例えば所得税率が33%超など)も、法人化によって追加の不動産収入部分を低い税率枠に振り分けやすくなります。
ただし闇雲に法人化すれば良いわけではなく、法人の維持コストも考慮して慎重に判断することが重要です。法人を設立すると毎年必ず発生する法人住民税の均等割(原則年間7万円)や、決算申告の手間・顧問税理士費用などコスト増があります。そのため、収入規模が小さいうちに法人化しても節税効果が維持コストに相殺されてしまうケースもあります。私たち税理士法人加美税理士事務所では「どのタイミングで法人化すべきか」「法人化した方がトータルで得か」を事前のシミュレーションで丁寧に分析し、最適なタックスプランニングを提案いたします。
法人化の大きなメリットの一つに、所得分散による節税があります。自分一人で全ての不動産収入を受け取るのではなく、法人を通じて家族に役員報酬や給与を支給することで所得を分散できるのです。家族に支払った給与は法人の経費となり法人税の課税所得を圧縮します。一方、給与を受け取った家族側では「給与所得」として課税されますが、ここで活用したいのが給与所得控除などの各種控除枠です。
給与所得者には最低でも年額55万円の給与所得控除と、全ての納税者に適用される基礎控除48万円があります。例えば家族に対する年間給与を103万円までに抑えれば、給与所得控除(55万円)+基礎控除(48万円)=103万円までは課税所得がゼロとなり、所得税が発生しません(いわゆる「103万円の壁」※)。またその家族が配偶者であれば配偶者控除の適用にも収まります。つまり、年103万円以下の役員報酬を家族に支給すれば、その所得分について一家として非課税で受け取れることになり、大きな節税効果を生みます。さらに複数の家族に給与を分散すれば、累進課税の高い税率帯に所得が集中しないよう調整でき、一家全体で手元に残るお金を増やすことが可能です。
もちろん、家族に役員報酬を支給する場合は適正な金額設定が重要です。実態以上に高額な給与を家族に支払っていると税務調査で否認されるリスクがあります。税理士法人加美税理士事務所では、家族を役員や従業員に組み入れる場合の役員報酬額についても、業務内容や他社事例を踏まえた適正水準をご提案します。ご家族にも協力いただきつつ「一家で節税」を図るプランニングも、不動産投資に強い税理士だからこそできるサポートです。
一口に「不動産投資の法人化」と言っても、実は運用方法として主に3つのスキームがあることをご存知でしょうか。私たち税理士法人加美税理士事務所ではオーナー様の状況や目的に応じて、以下の3つの方式を使い分けるお手伝いをしています。
- 不動産管理委託方式(管理料方式) … 賃貸物件の所有名義はそのままオーナー個人に残し、管理業務のみを法人に委託する方法です。オーナー個人が法人と管理委託契約を結び、法人は物件管理の対価として管理料収入を得ます。管理料を法人の売上に計上することで、個人から法人へ一部の賃貸収入を移転できる仕組みです。比較的手軽に導入できる方式ですが、管理料として移転できる金額には常識的な範囲があります。節税を狙って不自然に高額な管理料設定をすると税務上否認されるリスクがあるため、適正額の設定が重要です。
- 一括転貸方式(サブリース方式) … オーナー個人所有の物件を法人が一括借り上げ(マスターリース)し、法人名義で入居者に転貸する方法です。法人はオーナーに対して毎月一定の賃貸料(マスターリース料)を支払い、入居者から受け取る家賃との差額を法人の利益とします。管理委託方式に比べて空室リスクなど経営上のリスクを法人が負うため、その分法人側により多くの利益を残すことも可能です。適正な範囲内であれば管理料方式より大きな所得移転が見込めます。ただしこちらも、あまりに恣意的な賃貸料設定を行うと税務上問題となる点は同様です。一般的には家賃の10〜20%程度を差額利益として法人に残す水準であれば妥当と考えられます。
- 法人買取方式(法個売買スキーム) … オーナー個人が持つ物件を法人が購入または現物出資で取得し、以後の家賃収入をすべて法人で計上する方法です。個人と法人との間で物件の売買を行う形になるため「法人・個人間売買(法個売買)」とも呼ばれます。このスキームでは賃貸収入の100%を法人に移転できるため節税効果が最も大きくなります。ただしその分、物件を法人に移す際に譲渡所得税や登録免許税などのコストが発生する点に注意が必要です。物件に含み益がある場合は譲渡税負担が大きくなる可能性があり、安易に行うと逆効果になるケースもあります。
以上のように、管理委託方式・サブリース方式・法人買取方式それぞれメリット・デメリットが異なります。初期費用を抑えつつ手軽に始めたいなら管理委託やサブリース、思い切って大きな節税効果を狙うなら法人買取方式、といった具合にオーナー様の戦略や所得規模によって最適解は変わります。当税理士事務所は豊富な支援実績に基づき、お客様に最も適したスキームの選択から導入手続きまでワンストップでサポートいたします。「どの方式が自分に合うのかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。税務のプロが分かりやすくメリット・デメリットを説明し、ベストな方法を一緒に検討いたします。
法人化によって、不動産オーナーの取れる節税策の幅が飛躍的に広がる点も見逃せません。法人を活用することで可能になる主な節税オプションには次のようなものがあります。
- 役員報酬の最適化 … 法人ではオーナーである自分自身に「役員報酬」という形で給与を支給できます。これは法人にとって経費(損金)となるため、その分法人税を減らすことができます。役員報酬額は毎期あらかじめ設定しておけば自由に決められるので、会社の利益と自身の給与所得を調整することが可能です。役員報酬の額をコントロールすることで、法人と個人トータルでの節税を図れるのは法人化の強みです。(※役員報酬は原則として期首に定額を決定する必要があるなどルールがありますので、当税理士事務所が適切な設定をご案内します。)
- 役員退職金の活用 … 退職金制度は法人化後にぜひ検討したい強力な節税手段です。個人事業主には自分に退職金を支給する仕組みがありませんが、法人の役員であれば将来会社を退任する際に役員退職金を受け取ることができます。法人にとって退職金は支給した事業年度の損金(経費)となり、大幅な法人税の圧縮効果があります。一方、受け取る個人側にとっても退職所得控除や優遇税制があり、同じ金額を給与でもらうより格段に低い税率で資金を手にできます。その結果、長年貯めた会社利益も、退職金として一括受取りすれば非常に低い税負担で手元資金化できるのです。当税理士事務所では役員退職金規程の整備や適正額の算定についてもサポートし、将来の円滑な資金確保と節税を両立する計画づくりをお手伝いいたします。
- 経費計上の拡大 … 法人にすることで経費にできる範囲が広がるケースも多々あります。個人の不動産所得でも必要経費は落とせますが、法人の方が経費計上しやすい項目が増える傾向があります。例えば、業務に関連するセミナー研修費、さらには取引先との情報交換を目的とした交際接待費なども、法人であれば必要経費として計上しやすくなります。さらに前述の役員報酬も含め、法人は事業に関係する支出を幅広く損金算入できるため、課税対象となる利益の圧縮につながる節税効果が期待できます。個人事業の時には経費にできるか判断が難しかった支出も、法人運営に切り替えることで明確に会社経費として処理できるケースがあります。ただし、何でもかんでも経費計上できるわけではなく「業務の遂行上必要な支出かどうか」がポイントです。当税理士事務所は不動産オーナー向けの経費項目のガイドラインも豊富に持っていますので、「これは経費になるの?」というご相談にも一つ一つ丁寧にお答えし、法人ならではの経費戦略を全面的に支援いたします。
以上のように、法人化によって役員報酬の調整、退職金の活用、経費枠の拡大など多彩な節税オプションが生まれます。これらを駆使すれば長期的な税負担軽減はもちろん、将来の資金計画や相続対策にも役立てることができます。私たち税理士法人加美税理士事務所では法人設立後も継続してオーナー様の税務顧問を務め、こうした節税策を適切に組み合わせながら税負担の最適化を長期的にサポートいたします。
不動産投資を法人に切り替えることで、税金以外にもさまざまな周辺環境の変化が生じます。税理士法人加美税理士事務所はそうした変化に対する対策についても十分にケアし、オーナー様がスムーズに法人運営へ移行できるようサポートします。
まず不動産投資ローン(融資)の面では、個人と法人で金融機関の対応が異なる場合があります。一般に、サラリーマン個人が副業で行う不動産投資では、勤務先の信用力や本人の給与収入を加味して融資が受けやすいという利点があります。一方で新設した法人で融資を受ける場合、金融機関から代表者個人の連帯保証を求められることが多く、融資条件が厳しくなることもあります。また個人名義で利用できた長期・低金利のローン商品(住宅ローンに近い形態のアパートローン等)が、法人名義では利用不可になるケースもあります。しかし法人として実績を積めば事業者向け融資でより大きな資金調達が可能になるメリットもあります。当税理士事務所では、提携金融機関や過去事例のデータを踏まえて、法人化後の資金調達計画についてもアドバイスを行っています。「法人にしたらローンはどう変わるの?」といった不安もお気軽にご相談ください。
減価償却についても法人化により取扱いが変わります。個人で物件を保有している場合、減価償却費は不動産所得の経費となり、赤字になれば他の所得と損益通算できる場面もありました(一定の制限あり)。法人に物件を移すと、減価償却費は法人の経費となり個人の所得とは切り離されますが、その代わり法人内部で損失を繰り越すことが可能になります。法人は青色申告を適用すれば最長10年間の繰越欠損控除が使えますので、大きな減価償却費で一時的に赤字になっても将来の黒字と相殺できます。むしろ物件を法人で取得する際に一括償却資産を活用した特別償却制度などを使えば、初年度から大胆に減価償却を計上して節税することも可能です。当税理士事務所は不動産会社や建築士とも連携し、減価償却費を含めたキャッシュフロー試算や特例の適用可否についてもアドバイス可能です。個人での経理とは勝手が変わる部分もしっかりフォローいたします。
さらに社会保険の取り扱いも重要なポイントです。個人で不動産所得を得ているだけなら社会保険料(健康保険・厚生年金)は賃金に対して発生しません(本業の会社員としては会社の社会保険に加入)。しかし法人を設立し代表者に役員報酬を支払う場合、その報酬額に応じて社会保険料の負担が生じます。法人は原則として社長一人でも社会保険への加入が義務付けられるため、給与に対して健康保険料と年金保険料を会社と本人それぞれ負担することになります。当税理士事務所では、本業の給与と法人からの報酬のバランス設計や、配偶者を含めた最適な社会保険加入形態についてもアドバイスしています。場合によっては法人側ではあえて報酬を支給せず、利益は配当で受け取ることで社会保険料負担を抑える選択肢もあります(※配当金には所得税・住民税が課されますが社会保険料の対象にはなりません)。このように税金だけでなく保険料まで含めたトータルのコストを計算し、有利な設計を検討できるのも当税理士事務所によるサポートの強みです。
以上のように、不動産投資を法人化すると融資条件や減価償却ルール、社会保険の扱いなど様々な環境が変化します。当税理士事務所は税務はもちろん、こうした周辺分野についても関連士業(司法書士・社会保険労務士・金融機関担当者等)と連携しながらワンストップで対応しますので、安心して法人化に踏み切っていただけます。
最後に、税理士法人加美税理士事務所が多くの不動産投資家の皆様に選ばれている理由をご紹介します。不動産投資に強い税理士法人として、法人化支援からその後の税務顧問までトータルでお任せいただける体制を整えております。
私たち税理士法人加美税理士事務所は全国対応・完全オンラインを掲げており、遠方のお客様でもご来所いただくことなく安心してサービスをご利用いただけます。電話やメール、Zoom等のオンライン会議システムを駆使して、ヒアリングからご提案、契約手続きまですべてリモートで完結可能です。北海道から九州まで、これまでにも全国各地のサラリーマン大家さんの法人化支援を行ってきた実績があります。「近くに不動産に詳しい税理士がいない」「仕事が忙しくて事務所に行く時間がない」という方でも大丈夫です。チャットツールで気軽に質問できる体制も整えており、対面と変わらないクオリティのサービスをお届けします。移動時間ゼロで専門的なサポートが受けられるので、遠方の方や海外在住のオーナー様でも安心です。
設立支援実績100社以上という豊富な経験こそ、税理士法人加美税理士事務所の大きな強みです。不動産管理会社の設立から運用支援まで100社以上携わってきた中で、蓄積されたノウハウは他に替えがたい財産となっています。過去の事例データを分析することで「不動産所得○○万円規模の方にはこのスキームが有効」「給与配分の比率はこの程度が適切」といった具体的なプランを自信をもってご提案できます。経験が浅い事務所では見落としがちなポイントも、100社分のケーススタディがある当税理士事務所なら抜かりありません。また、当税理士事務所は不動産投資専門の税理士法人として日々最新の税制改正や不動産市況の情報をアップデートしています。「豊富な経験」と「最新知識」の両輪で、お客様にとってベストな法人化プランを導き出します。実績に裏打ちされた提案力をぜひご期待ください。
法人を設立する際には、定款の作成や認証、法務局への設立登記といった専門的な手続きが必要です。私たち税理士法人加美税理士事務所では信頼できる提携司法書士と連携しているため、これらの手続きをワンストップで代行可能です。お客様には会社名や役員構成などの基本事項を決めていただくだけで、面倒な書類作成や役所への届出はすべてプロにお任せいただけます。また提携価格により設立費用も相場より低く抑えることができます。株式会社にするか合同会社にするかの選択についてもメリット・デメリットを丁寧に説明し、最適な形態を一緒に決定いたします。司法書士とのやり取りも当税理士事務所経由でスムーズに行いますので、「起業の手続きは初めてで不安」という方でも安心して会社設立を進められます。登記完了後の各種届出(税務署への設立届出や青色申告承認申請等)まで含めてサポートいたします。
経理や会計処理について不安をお持ちの方もご安心ください。税理士法人加美税理士事務所は弥生会計をはじめ主要な会計ソフトに対応しており、お客様がお使いのソフトでデータ共有が可能です。既にご自身で会計ソフトに入力されているサラリーマン大家さんであれば、そのデータを引き継いで月次チェックや決算書作成を行います。また、会計ソフトをお持ちでない方や経理の時間が取れない方は、領収書や通帳コピーさえご提出いただければ当税理士事務所が記帳代行いたします。「経理はまったくの素人なので全部任せたい」という場合でも大丈夫です。クラウド会計ソフト(freeeやマネーフォワード等)にも精通しておりますので、ITに明るいオーナー様には最新ツールを活用した効率的な管理手法をご提案できます。一方でデジタルが苦手な方には紙の領収証ベースでも対応可能です。このように各種会計ソフトや手法に柔軟に対応しますので、煩雑な記帳業務はすべて丸投げOKです。本業がお忙しいサラリーマン投資家の方でも、経理負担を気にせず法人運営に専念していただけます。
私たち税理士法人加美税理士事務所は法人化後のアフターケアにも自信があります。法人を設立して終わりではなく、その後の運営中に発生しうる様々なリスクや課題をワンストップでサポートいたします。たとえば税務調査。法人で不動産収入を計上し始めると、将来的に税務署から調査が入る可能性も否定できません。当税理士事務所は不動産オーナーの税務調査立会い実績も豊富で、調査前の事前対策から当日の立会い、追徴課税を防ぐための交渉までしっかりサポートします。また社会保険の手続きや労務管理についても、提携の社会保険労務士事務所と連携して対応可能です。法人運営では社会保険や労務の知識も必要になりますが、専門家チームがバックアップしますので心配いりません。さらに将来の相続対策についてもカバーします。法人化は相続税の面でもメリットがありますが、例えばオーナー社長が亡くなった際の自社株評価や、会社から支給する死亡退職金の非課税枠の活用など、専門的なプランニングが求められます。当税理士事務所は税理士法人として相続税対策のノウハウも有していますので、法人化後も含めお客様の資産承継まで見据えたトータルサポートを提供できます。これら税務・労務・相続の各分野でワンストップ対応できる体制により、法人化後のリスクも丸ごとカバーいたします。
「税理士に依頼すると高そう…」というイメージをお持ちの方もご安心ください。税理士法人加美税理士事務所の報酬設定は業界相場よりも低水準に抑えており、固定費をできるだけかけずに専門サポートを受けたい方に最適です。なぜ低水準を実現できるかというと、当税理士事務所ではオンライン対応の徹底や業務効率化ツールの活用により無駄なコストを削減しているからです。また不動産投資に特化することで業務を標準化・効率化でき、結果としてお客様への料金にも還元できています。具体的な顧問料や決算料は物件数や取引ボリュームによって異なりますが、同業他社より割安な料金プランをご提示可能です。毎月の顧問契約が負担に感じる場合は年一決算のみのプランなど柔軟な契約形態もご用意しています。法人化すると税理士費用も新たに発生しますが、当税理士事務所なら費用対効果の高いサービスで、コスト以上の節税メリットを実感いただけるはずです。まずは一度お見積りをご相談ください。明朗な料金体系でご説明いたします。
「法人化に興味はあるけど、本当に自分の場合メリットがあるのか不安…」という方もお気軽にお問い合わせください。私たち税理士法人加美税理士事務所では無料シミュレーション相談を承っており、現状の収支や将来計画をお伺いした上で法人化による節税効果を試算いたします。物件から得ている家賃収入や経費、ローン返済状況、本業の給与収入などを総合的に考慮し、法人化した場合の税負担(法人税+代表者給与の所得税等)と、個人のままの場合の税負担を比較します。「法人化すると年間○○万円の節税効果が見込めます」「逆に今の収入規模ですと法人維持コストを差し引くとメリットは小さいです」等、数値に基づいた客観的なアドバイスをいたしますので、判断材料として大変好評です。このシミュレーションはまだ法人化を決めていない段階でも無料で受けられますし、シミュレーションをしたからといって当税理士事務所への依頼を強制することも一切ありません。「まずは話だけ聞いてみたい」という段階でも大歓迎です。専門家の意見を参考にしながら、ご自身にとってベストな選択をしていただければと思います。
不動産投資×法人化は節税や資産保全の強力な手段ですが、その反面専門知識が要求される分野でもあります。税理士法人加美税理士事務所は「不動産投資専門の税理士法人」として培った知見と実績で、サラリーマン投資家の皆様の法人化を全面的にバックアップいたします。「不動産投資 税理士」「不動産投資 法人化」でお探しの方はぜひ一度、税理士法人加美税理士事務所までご相談ください。初回のご相談やシミュレーションは無料ですので、節税の可能性を一緒にチェックしてみませんか。お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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