不安なまま相続や承継を迎えていませんか?安心して事業を託すために、今こそ税理士法人加美税理士事務所と一緒に準備を始めましょう。
不動産投資専門の税理士法人加美税理士事務所による事業承継サポートサービス
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まず「事業承継」とは何か、その基本を押さえましょう。事業承継とは、事業の資産や経営を次世代に引き継ぐことを指し、単なる相続(財産の受け渡し)や贈与(生前贈与による資産移転)とは異なります。賃貸不動産オーナーの場合、アパート経営・マンション経営そのものが一つの「事業」です。資産承継として物件や預金を渡すだけでは不十分で、賃貸経営という事業そのものを引き継いで初めて円滑な承継と言えます。実際、「遺言書を書いて物件を誰に相続させるか決めれば安心」と考えている方もいますが、遺言書を書いただけでは事業承継は上手くいきません。事前準備なしに単に資産を渡すだけでは、せっかく築いた不動産収入を次世代が維持・発展させるのは難しいのです。
では、なぜ不動産オーナーに事業承継の視点が重要なのでしょうか?ポイントは、賃貸経営の継続性と税負担にあります。賃貸物件は相続税対策として有効な資産でもありますが、それと同時に日々運営していく経営でもあります。「節税になるから」と不動産を買い増しても、その後の承継まで考えなければ本末転倒です。節税だけに目がいってしまうと、相続はうまくいきません。賃貸経営は資産を引き継いで終わりではなく、代替わり後も続いていく事業です。事業の承継をおざなりにすると、せっかくの相続税対策も台無しになる可能性があります。例えば後継者が不動産経営に関心を持たず知識もないままだと、相続後に「管理や修繕が面倒だ」「借入金の返済が大変だ」といって大事な不動産を手放してしまうケースもあります。そうならないよう、早めの準備と計画が欠かせません。
なお、不動産投資を法人で行っている場合(不動産法人)には、事業承継は会社の株式評価や事業承継税制の活用など法人特有の論点があります。法人オーナー向けの事業承継計画についても早めの対策が必要です。本記事ではまずはサラリーマン大家など個人オーナーのケースに焦点を当てて解説します。
「自分は中小企業の社長じゃないし、事業承継なんて大げさでは?」と思う個人オーナーの方もいるかもしれません。しかし、賃貸不動産をお持ちなら規模の大小に関わらず事業承継対策は重要です。その理由をいくつか挙げてみましょう。
- 相続税の負担が大きい: 都市部の土地や収益物件を持っていると、相続税評価額が高額になるケースが多く、相続人に重い税負担がのしかかります。現金や株と違い不動産はすぐ現金化しづらいため、納税資金が足りずにせっかくの不動産を泣く泣く売却せざるを得ない事態になりかねません。不動産オーナーにとって、税負担を軽減しつつ納税資金をどう確保するかは大きな課題です(対策は後述)。
- 複数の相続人で分けにくい: 不動産は分割しづらく、相続人が複数いる場合に揉める原因になりがちです。アパート1棟を長男に相続させたら、次男・三男には何を渡すのか、といった 遺産分割 の問題です。事業承継の観点では、承継者を誰にするか早めに決め、他の相続人には生命保険金や他の金融資産で代償分割するなどの配慮が必要です。明確な遺言や合意がないと、共有名義で不動産を持ち続けてしまい管理が煩雑になるケースもあります。
- 後継者の経営能力・意思: 賃貸経営を引き継ぐご子息がその事業に前向きかどうかも重要です。生前に全く経営にタッチしてこなかった人が突然大家になると、何から手を付けていいか戸惑い、「手間が多いしもう売ってしまいたい…」となりがちです。円滑承継のためには、早めに後継者を事業に関与させておきノウハウを共有する、人脈を引き継ぐ、といったソフト面の準備も欠かせません。
- オーナー自身の高齢化: 認知症リスクが高まる高齢オーナーにとっては、資産凍結の対策も必要です。もし判断能力を失ってしまうと、不動産の管理・処分や各種契約が一切できなくなり、家賃収入さえ凍結される恐れがあります。成年後見制度という公的手当もありますが、裁判所の監督下で自由度が低く思うような資産活用ができません。そのため、近年は柔軟に財産を託せる家族信託が不動産オーナーの認知症対策・事業承継対策として注目されています。
このように、個人オーナーであっても事業承継を他人事と考えず、税金・分割・後継者・認知症といった観点から早めに備えることが肝心です。事前に家族でよく話し合い、専門家の助言を得て対策を講じれば、将来「相続でもめて不動産を失う」「せっかくの不動産投資が失敗に終わる」といった事態を防ぐことができます。
改めて、事業承継と相続・贈与の違いを整理しましょう。相続や生前贈与はあくまで資産の名義を移す行為ですが、事業承継は事業そのものの引継ぎです。先ほど述べたように、単に不動産という資産を渡すだけでは不十分で、賃貸経営のノウハウや意思までも含めてバトンタッチする必要があります。極端な例を言えば、“財産は残ったが空室だらけで稼げないアパート”を渡してしまえば、後継者は維持に困ってしまいます。そうならないよう、収益を生む資産として次世代に引き継ぐのが事業承継の考え方です。
そして事業承継で何より大切なのは、早期に準備を始めることです。相続税対策というと、つい「どうやって税金を減らすか(節税)?」に目が行きがちですが、繰り返しになりますが節税だけ考えてもうまくいきません。早めに動き出すことで、税負担を減らす策はもちろん、後継者育成や遺産分割の調整など時間を要する対策にもじっくり取り組めます。例えば、元気なうちに賃貸管理を子どもと一緒に行って経営感覚を養う、生前に少しずつ贈与を活用して財産移転を進めておく、不動産を法人に移して株式で承継する道を検討する、といった具合です。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
準備開始が早ければ選択肢も増え、結果的に節税効果も高まりやすくなります。
さらに早期準備のメリットとして、法改正や市場変動に対応できる点も挙げられます。相続税制や不動産市況は時とともに変化します。例えば利用できる特例制度が変わったり、不動産価格や金利が将来どうなるかで最適な対策も変わりえます。余裕をもって計画しておけば、状況の変化に合わせて戦略を見直すことも容易です。事業承継対策は一度立てたら終わりではなく、定期的に専門家とシミュレーションを行いながらアップデートしていくと安心です。私たち税理士法人加美税理士事務所でも不動産法人を含む複雑なケースの相続税シミュレーションを行い、最適プランをご提案しています。
早めの準備を強調しましたが、「まだ子どもが小さいから後継者が決まらない…」「物件を増やしたばかりで先のことまで手が回らない…」という場合もあるでしょう。しかし事業承継対策はできることから少しずつ始めて構いません。たとえば今のうちに賃貸経営の現状把握や専門家(当税理士事務所など)への相談をしておくだけでも、将来の大きな安心につながります。ポイントは、「相続が発生してから考えればいいや」と先延ばしにしないことです。元気なうちに動き出す——これが不動産オーナーの事業承継成功への第一歩です。
それでは、具体的な対策についてサラリーマン大家など個人オーナーの場合を中心に見ていきましょう。個人で賃貸経営をしているオーナーが事業承継に備えるには、大きく分けて「人」と「お金」の両面からの準備が必要です。つまり、誰に引き継ぐか(承継者対策)と引き継ぐための資金をどう確保するか(資金・税金対策)という二本柱です。以下では、個人大家が直面しがちな課題とその対策を整理した上で、納税資金対策、円満承継のための法律ツール、相続税評価額を下げる特例について詳しく解説します。
個人オーナーが賃貸不動産を次世代に引き継ぐ際、主に以下のような課題に直面します。それぞれの課題に対する基本的な対策も合わせて見てみましょう。
- 高額な相続税と納税資金の不足: 不動産は評価額が大きくなりやすい一方、相続税は原則として10か月以内に現金一括納付しなければなりません。預貯金や株式が少なく不動産ばかりだと、相続人は税金を払うために物件を売却せざるを得ないケースもあります。対策として、生前に生命保険に加入しておき相続人が保険金で納税できるようにする、あるいは物件の一部を売却して現金化しておく、相続発生後に延納(分割納付)や物納(不動産で納税)制度を利用する、といった方法があります。この納税資金対策については、次章で詳しく解説します。
- 不動産の分割と遺産分割協議: 複数の相続人がいる場合、賃貸不動産を誰が引き継ぐかは円満な話し合いが必要です。アパート1棟を法定相続分どおりに均等割りすることはできませんから、「誰がどの資産を相続し、他の人にどう埋め合わせるか」を決める必要があります。対策として、オーナーの意思を明記した遺言書を作成しておくことが第一です。特定の承継者に物件を集中させる場合は、他の相続人には生命保険金や現預金を充当する(代償分割)などの配慮が不可欠です。また、遺言書だけで心配な場合は家族信託の活用も検討できます(後述)。いずれにせよ生前にしっかり計画しておくことで、相続発生後の揉め事を予防できます。
- 承継者の負担軽減と事業継続: 後継者となる人が安心して賃貸経営を続けられるよう、引継ぎ時の負担を減らす工夫も大切です。例えば、煩雑な経理業務は私たち税理士法人加美税理士事務所に依頼しておく、物件の管理は信頼できる管理会社に任せておく、といった体制づくりです。特に遠方に住むお子様に承継する場合などは、専門家のサポートがあるだけで随分負担が和らぎます。また、オーナー変更後も家賃収入が安定するよう、サブリース(一括借上げ)契約を活用する方法もあります。サブリースなら一定の賃料保証が得られるため、承継者が初心者でも経営を維持しやすくなります。ただしサブリース契約にはデメリットや注意点もあるため、内容をよく理解した上で判断しましょう。サブリーススキームについて詳しくは「サブリーススキームの特集ページ」をご覧ください。いずれにせよ承継者が「これなら自分でもやっていけそうだ」と思える環境を用意してあげることがポイントです。
- 税務面のリスク: 相続・事業承継には各種税務上の特例や節税策が関わってきます。当然ながら税務調査が入る可能性も念頭に置いておくべきです。とりわけ不動産は評価の仕方で相続税額が大きく変わるため、適正な手続きと書類整備が欠かせません。例えば、小規模宅地の特例を適用するなら期限内に申告が必要ですし、物件を法人に売却するスキームを使うなら適正な時価で行うことが重要です。万一誤った評価や過度な節税をしてしまうと、後から指摘を受けて追徴課税…というリスクもあります。税務面でも専門の税理士と二人三脚で進め、正しい承継対策を講じましょう。税務調査について詳しくは「税務調査の特集ページ」をご覧ください。
以上のような課題に対し、一つひとつ適切な対策を講じていけば、たとえ相続発生時に大きな税金が発生しても不動産を失わずに済み、次世代も安定した賃貸収入を得続けることができます。それでは次章から、納税資金の確保策、遺言・信託の活用法、小規模宅地等の特例といった重要テーマについて詳しく見ていきましょう。
相続発生に備えてまず考えておきたいのが、相続税の納税資金をどう確保するかです。賃貸不動産は現金収入を生む優良資産ですが、相続税の支払いには現金が必要です。預金など十分な金融資産があればよいのですが、往々にして不動産オーナーの資産構成は「不動産が大部分で現預金が少ない」傾向があります。そのため、相続税のための現金づくりは事業承継対策の最重要ポイントと言っても過言ではありません。
納税資金を準備する代表的な方法として、生命保険の活用と不動産の売却・借入の二つがあります。それぞれメリット・デメリットがありますので、以下で順に解説します。
不動産オーナーの方にぜひ検討いただきたいのが、生前に生命保険に加入しておくことです。被相続人(オーナー)が亡くなった際に受取人である相続人に死亡保険金が支払われれば、それをそのまま相続税の納税資金に充てることができます。特に、相続財産が不動産ばかりの場合は生命保険で現金を用意する意義が大きいです。保険金があれば、相続人は慌てて不動産を売らずに済み、せっかく引き継いだ賃貸物件を手放さなくて済みます。
また、生命保険には相続税の非課税枠がある点も見逃せません。現在の税法では、「500万円 × 法定相続人の数」の金額までは死亡保険金が相続税の計算上非課税となります。例えば法定相続人が配偶者と子2人の計3人なら、1,500万円までの保険金は相続税がかからない計算です。生命保険は満額が現金で支給されるうえ、この非課税枠のおかげで結果的に相続税の節税にもつながります。まさに一石二鳥の納税資金対策と言えます。
注意点としては、保険契約の名義設定を適切に行うこと(被保険者=オーナー、受取人=相続人にする)、保険金額は将来の相続税見込み額に見合ったものにする、といったことが挙げられます。また高齢になってからでは保険料が高額になったり加入できなかったりしますので、やはり早めの加入がポイントです。どの程度の相続税が発生しそうかは専門家にシミュレーションしてもらえますので、将来の税額を試算したうえで必要な保障額を検討しましょう。
もう一つの納税資金確保策は、資産そのものを現金化または借入で賄う方法です。具体的には、相続前後に不動産を売却して納税資金を得る方法と、金融機関から借入(ローン)をして相続税を支払う方法があります。
まず売却については、生前対策としてオーナー本人が物件を売って現金に換えておくケースと、相続発生後に相続人が物件を売却して税金を払うケースがあります。前者の場合、所有不動産を減らすことで将来の相続税評価額を下げる効果もあります(資産の組み換えによる相続税対策の一環です。)
後者の場合、例えば相続人が複数物件を受け継いだ際に、その一部を売却して他の物件の相続税を支払う、といった形になります。売却のメリットは現金が確実に手に入ることですが、一方で譲渡所得税(売却益に対する税金)がかかる点に注意しましょう。特に亡くなった方から相続した不動産は取得費が低く計上されがちで売却益が大きく出る可能性があります。そのため、物件を売却する際は事前に譲渡税も含めた収支シミュレーションを行うことが重要です。また不動産売却には仲介手数料など諸コストもかかります。場合によっては消費税の課税もあり得ますので、大口物件の売却時には私たち税理士法人加美税理士事務所と相談して進めると安心です。消費税について詳しくは下記のページをご覧ください。
次に借入による方法ですが、金融機関には相続税の納付資金を融資してくれる商品(いわゆる相続税納税ローン)があります。銀行からお金を借りていったん税金を納め、後日ゆっくり不動産を売却して借入を返済するといった活用も可能です。すぐに買い手がつかない不動産でも、一時的にローンで税金を立替えておけば二次相続まで物件を維持できるメリットがあります。ただし借入には利息負担が伴いますし、金融機関の審査もありますので誰でも借りられるわけではありません。あくまで最終手段と考え、基本は上記の保険や不要資産の売却などで備えておくのが望ましいでしょう。
なお、どうしても現金で納付できない場合の制度として延納(分割払い)や物納(不動産そのものを納付)もあります。延納は文字通り相続税を何年かかけて分割納付する制度で、一定の要件(税額や担保の条件等)を満たせば最長20年の分割払いが認められます。ただし利子税がかかる点に注意が必要です。一方物納は、不動産など換金しづらい資産で相続税を納める制度ですが、延納でも無理な場合の最後の手段となります。物納できる財産の種類や順位も細かく定められており、誰もが利用できるわけではありません。
以上のように、納税資金を用意する方法はいくつかありますが、理想を言えば「納税のために不本意な売却や借入をしなくて済む」ようにしておくことです。税金を支払うためだけに大切な資産を手放したり利息を支払ったりするのは避けたいところです。そうならないよう、納税資金対策は節税対策と同様に早めに行っておきましょう。例えば生命保険の加入や現金預金の充実など、生前から準備できることがあります。これらは相続税額の試算とセットで検討すべき事項ですので、ぜひ専門の税理士法人加美税理士事務所に相談して計画を立てることをお勧めします。
事業承継対策の「人」の部分、つまり円満に事業を引き継ぐための法律的な手当てとして重要なのが、遺言書と家族信託の活用です。それぞれ役割が異なりますが、共通して言えるのは「財産の承継方法を生前に明確に決めておくことで、相続発生後のトラブルを防ぐ」という点です。
遺言書は言うまでもなく、生前に財産の配分や承継方法を指定しておける有力な手段です。賃貸不動産オーナーの場合、遺言書で「○○(長男)に△△アパートを相続させる」と明記しておけば、遺産分割協議を経ずにその物件を承継させることが可能になります。遺言がないと相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、意見が合わなければ揉めて長期化する恐れもあります。特に収益物件の場合、「誰が継ぐか」が決まらず共有名義になってしまうと経営判断が素早くできず大変非効率です。そうした事態を避けるためにも、承継者を特定して遺言に書いておくことは円満承継の第一歩です。
もっとも、遺言で全てが解決するわけではありません。賃貸不動産は評価額が大きいぶん遺留分(法定相続人が最低限保障される取り分)にも注意が必要です。たとえば長男にアパートを丸ごと相続させる遺言を書いた場合でも、他の相続人(次男・三男など)が遺留分を主張すれば一定の現金を渡す必要が生じる可能性があります。このように遺言書だけではカバーしきれない部分もありますが、その際に有効なのが家族信託です。
家族信託(民事信託)は、家族間で財産管理の仕組みを契約によって定めるものです。例えばオーナー(親)を委託者・受益者、子を受託者とする信託契約を結んでおけば、親御さんが元気なうちは受益者として家賃収入を享受しつつ、実務上の管理や契約行為は受託者である子どもが代わりに行えるようになります。これにより、万一オーナーが認知症になってしまっても資産が凍結されるのを防ぎ、賃貸経営を継続できるメリットがあります。また家族信託には、信託契約の終了時に財産を誰に帰属させるか(最終的な承継者)を指定できる遺言的機能があります。通常の遺言では自分の次の世代(子ども)までしか指定できませんが、信託を使えば「子どもが亡くなった後は孫に承継させる」といった数世代先までの財産承継先をあらかじめ決めておくことも可能です。先祖代々の不動産を将来にわたり一族で守っていきたい、といったオーナーのニーズにも応えられる点で、家族信託は非常に有用な仕組みと言えるでしょう。
ただし家族信託にも注意点があります。信託財産として預けた不動産は途中で契約を変更しづらかったり、信託の設定・運用に専門知識とコストがかかったりします。また信託を使えば何でも節税できるというものではなく、あくまで財産管理・承継を円滑にするための手段です。そのため、まずは遺言書の作成を基本としつつ、補完的・発展的な対策として家族信託を検討すると良いでしょう。実際、賃貸不動産オーナーの事業承継では「遺言+生命保険+(必要に応じて)家族信託」という組み合わせで備えるケースが増えています。これらの手続きを進める際は、法務や税務に詳しい専門家(税理士・弁護士・司法書士等)に相談しながら進めることを強くお勧めします。私たち税理士法人加美税理士事務所でも信託スキームの設計から税務面のフォローまでサポート可能ですので、関心のある方はお気軽にご相談ください。
最後に、相続税の負担を大きく減らす強力な制度である「小規模宅地等の特例」について説明します。これは、被相続人が生前に使用していた宅地(自宅や賃貸事業用の土地など)を相続した場合に、その土地の相続税評価額を最大80%も減額できる特例制度です。不動産オーナーにとって、ぜひ押さえておきたい節税策の一つと言えるでしょう。
小規模宅地等の特例にはいくつか種類がありますが、賃貸不動産オーナーに関係する主なものは以下の二つです。
- 特定居住用宅地等: 被相続人の自宅の土地を、配偶者や同居の親族が相続する場合の特例です。330㎡まで80%減額という非常に大きな優遇を受けられます。例えば評価額1億円の土地でも、この特例適用で評価額2,000万円まで圧縮できる計算です。自宅敷地については相続税の大幅減額が期待できます。
- 貸付事業用宅地等: 被相続人が賃貸事業に使っていた土地(賃貸アパートの敷地など)を相続する場合の特例です。200㎡まで50%減額が受けられます。つまり更地評価1億円のアパート敷地なら評価額5,000万円まで下がるイメージです。賃貸オーナーにとっては、この貸付事業用宅地の特例適用が相続税対策の要となります。
ご覧のように、小規模宅地の特例を使えば土地の相続税評価額(課税価額)を大幅に引き下げることができます。結果として課税遺産総額が減り、相続税そのものも大きく軽減されます。とりわけ土地比率の高い資産構成の大家さんにとって、この特例を利用できるかどうかで相続税額が何千万円も変わるケースがあります。
ただし、特例適用にはいくつか条件や手続きがあります。例えば貸付事業用宅地の場合、亡くなったオーナーが生前にある程度長期間(※注:直近3年以上)その土地で賃貸事業を行っていたことが条件です。亡くなる直前に取得した土地では認められません。また、相続人がその土地を相続税申告期限まで保有継続している必要もあります。さらに、特例を使うためには相続税の申告を期限内に行うことが必須です。たとえ相続税が発生しない場合でも、この特例を適用するには申告が必要なので注意しましょう(特例適用後に税額ゼロになるケースでも申告を省略できません)。
生前対策としては、特例を確実に使える態勢を整えておくことがポイントです。たとえば自宅の特例を確保するには、お子さんに同居してもらう(あるいは配偶者に確実に相続させる遺言を書く)ことが考えられます。また、貸付事業用宅地の特例をフル活用するため、賃貸物件の敷地はできるだけ200㎡以内に収まるよう購入時から意識する、といった視点も有効でしょう。逆に、生前にうかつに土地を生前贈与してしまうと特例対象から外れてしまう場合もあります。例えば相続時精算課税制度を使って土地を贈与すると、その土地には小規模宅地の特例が適用できなくなるので要注意です。このように専門的な論点もあるため、具体的な適用可否はぜひ当税理士事務所に相談してください。
小規模宅地等の特例は非常に強力な節税策ですが、適用を受けるには「事業を承継して継続していること」が前提となります。裏を返せば、賃貸経営をきちんと次世代に引き継ぎ継続させることが最大の節税対策にもなるのです。事業承継と節税はこのように表裏一体ですから、ぜひ早め早めの準備で両方の目標を達成しましょう。
以上、不動産投資家の事業承継対策について、基本知識から具体策まで詳しく見てきました。不動産投資と相続税は切っても切れない関係ですが、適切な事業承継対策を講じておけば大切な資産を守り、次の世代へスムーズにバトンタッチすることが可能です。【節税】対策・【納税資金】対策・【円満承継】対策の三本柱を軸に計画を立て、ぜひ安心できる未来を描いてください。その際は、ぜひ不動産に強い税理士にもご相談いただき、一緒に最善の承継プランを検討していきましょう。私たち税理士法人加美税理士事務所も、専門家として皆様の大切な資産承継を全力でサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
法人所有不動産の承継メリットと注意点
法人化して不動産投資を行っているサラリーマン大家さんの場合、資産管理会社(不動産所有会社)を通じて事業承継を行うメリットがあります。まず、不動産を法人名義で所有していることで、相続時に物件そのものを分割する必要がなく、株式という形で承継できる点が大きな利点です。例えば、複数の賃貸物件を保有する会社の株式を後継者に引き継ぐことで、不動産を直接相続するよりもスムーズに資産移転が可能となります。株式であれば細分化しやすく、一部ずつ贈与・譲渡することもできるため、後継者への段階的な承継計画が立てやすいでしょう。また、法人化により不動産所得が法人税の枠組みで課税されるため、所得の分散や経費計上の幅が広がり、不動産投資の節税スキームとして活用できる点も見逃せません。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。
一方で、法人所有に伴う注意点も把握しておく必要があります。法人を維持する以上、毎年の決算・申告や法人住民税の均等割(赤字でも一定額の税金が発生)といったコストがかかります。また、法人名義の不動産は個人資産と切り離されているため、社長個人が亡くなっても物件は法人に帰属し続けますが、その法人の株式評価が相続税課税の対象となります。この株式評価額は、会社が保有する不動産や現預金など純資産に基づいて算定されるため、事前対策なく会社の資産を増やしすぎると株価が高騰し、結果的に相続税負担が重くなるリスクがあります。特に、オーナー社長が自社株の100%を長期間保有し、利益剰余金を社内に蓄積しているケースでは、株価上昇による相続税負担増に注意が必要です。さらに、不動産管理会社は事業承継税制(後述)の適用対象外とされるケースが多く、単に法人化しただけでは相続対策として不十分な場合もあります。不動産貸付業を営む資産管理会社は、総資産の70%以上が有価証券や賃貸不動産などの場合に資産保有型会社と見なされ、原則として事業承継税制の優遇措置を受けられません。このように、法人化には承継面でのメリットがある一方、株価評価や制度適用の観点で対策が必要となる点に留意しましょう。
株式譲渡による承継方法と株価引下げ対策
法人化した不動産オーナーが円滑に事業承継するには、自社株式の譲渡・贈与を活用し計画的に後継者へ株を移転する方法が有効です。株式を事前に後継者や親族へ譲渡しておけば、オーナーの逝去時に相続財産そのものを減らすことができるため、相続税の課税価額を抑える効果が見込めます。しかし、譲渡や贈与時には株式評価額に応じた贈与税・譲渡所得税が発生する点に注意が必要です。そこで事前対策として重要になるのが「株価引下げ対策」です。株価(自社株評価額)をできるだけ低く抑えた状態で株式を承継すれば、贈与税・相続税の負担を軽減できます。以下では、不動産所有会社における代表的な株価引下げ策を解説します。
- 会社の利益圧縮による株価引下げ: 自社株評価は会社の純資産や利益水準に左右されます。そこで、事前に役員報酬の増額や修繕費などの大口経費計上などで意図的に利益を圧縮し、純資産額を引き下げる手法があります。特にオーナー社長に対し退職慰労金を支給すれば、法人の資産が大幅に減少すると同時に、退職金には税制上の優遇(退職所得控除)があるため、オーナー個人の税負担も抑えられます(詳細は後述)。また、含み益のある資産を売却して意図的に損失を発生させる(例えば、値下がりした不動産を売却処分する等)ことも純資産評価を下げる一策です。もっとも、過度な損失計上や利益圧縮は法人の財務体質を悪化させ、金融機関からの信用低下や税務調査リスクを招く恐れがあるため注意が必要でしょう。税務調査について詳しくは「税務調査の特集ページ」をご覧ください。
- 負債活用による株価引下げ: 法人が不動産を購入する際にあえて借入金を利用し、資産と負債をバランスさせるのも有効です。借入により物件を取得すれば、貸借対照表上は不動産という資産と同額の負債が計上され、純資産額の増加を抑えることができます。例えば、将来相続させたい賃貸マンションを会社がローンで取得すれば、会社の純資産価値は大きく膨らまず、その結果自社株評価も割安に抑えられる可能性があります。不動産投資ローン活用はレバレッジを効かせた事業拡大策であると同時に、株価対策としても機能するのです。ただし借入の増加は返済負担や金利コストを伴いますから、事業収支の見通しを立てた上で無理のない範囲で活用することが大切です。
以上のような一般論に加え、具体的に誰に株式を持たせるかを工夫することでも評価額引下げが可能です。株式評価は、株主が会社に対して持つ支配権の程度によって方法が変わります。通常、オーナー一族が株式の過半数以上を占める同族会社では、原則的評価方式(類似業種比準価額方式・純資産価額方式)によって評価されます。そこで、次項から贈与税の年間非課税枠を活用する方法、さらには持株会社スキームについて、そのメリットとポイントを見ていきましょう。
親族に株式を移転する際には贈与税の年間非課税枠(暦年課税110万円控除)を活用する方法があります。たとえば評価額の高い自社株を毎年少しずつ110万円以下の評価額分だけ子や孫に贈与すれば、贈与税負担なく持株の移転が可能です。この暦年贈与を活用したコツコツ承継プランは、不動産法人のオーナーが早めに着手すれば効果的な手法です。ただし、2024年以降は生前贈与加算(相続前贈与の持ち戻し期間)が従来の3年から7年に延長される改正があり、贈与のタイミングには注意が必要です。制度変更も踏まえて、最適な株式分散策は専門の税理士法人加美税理士事務所と相談しながら進めましょう。
株式承継のもう一つの高度な手法が、持株会社(ホールディングカンパニー)を活用するスキームです。持株会社を新たに設立し、その会社に現経営者が保有する不動産法人の株式を集約させることで、株価引下げと承継の円滑化を同時に図れます。具体的には、オーナー社長が新設の持株会社に対して自社株式を株式移転や現物出資によって移管し、不動産所有会社を持株会社の完全子会社とします。この時、持株会社が銀行借入等で資金調達しオーナーから株式を買い取る形を取れば、持株会社は資産(取得した株式)と負債(借入)を両建てで抱えることになり、その純資産価値は圧縮されます。結果として持株会社の株価が低く抑えられ、後継者への株式移転時の税負担軽減につながります。また、持株会社株式の評価では、子会社(事業会社)の含み益部分について37%相当が控除されるなどの優遇計算があるため、直接オーナーが事業会社株を持つより評価上有利になるケースもあります。仮に持株会社が純粋持株会社に該当せず一定の事業実態を備えていれば、類似業種比準方式の適用によってさらに株価が割安に算定される可能性もあり、相続税・贈与税の節税効果が期待できます。
持株会社化による事業承継は、親族内承継のみならず親族外承継(M&Aを活用した第三者承継)にも有効なスキームです。例えば、不動産管理会社と他の事業会社を複数経営しているオーナーが、事前に持株会社を設立してグループ全体を一括管理すれば、後継者はその持株会社の株式を取得するだけで複数企業をまとめて承継できます。株式移転によりホールディングス化しておくことで、後継者が経営権を集中して握りやすくなるほか、万一親族内に適任者がいない場合でもグループごと第三者に譲渡しやすくなるというメリットもあります。現経営者にとっても、株式の譲渡対価を持株会社から取得する形にすれば現金を得ることができるため、老後の生活資金や相続税納税資金の確保につながります。一方で、持株会社設立時には株式の譲渡所得税や設立コストが発生し、体制構築後も管理コスト増(決算の複数化)などのデメリットもあります。メリット・デメリットを踏まえた上で、専門家の助言のもと適切なスキーム選定を行いましょう。
併せて、親族間売買による事業承継についても触れておきます。これは、現経営者個人やその法人が所有する不動産や株式を、親族の会社や親族個人に売却する方法です。たとえば、親が経営する不動産管理会社の株式を子供が新設した会社に買い取らせる、あるいは親が個人で持つ不動産を子供の資産管理会社に時価で売却するといったケースが該当します。この法個売買スキームを活用すれば、親世代から後継者世代へ資産を移す際に対価として資金を親側に移転でき、事業承継と同時に親の手元資金確保が図れます。また、法人間や個人間の売買によって一度資産を組み替えることで、株価評価額のリセット効果(売却益に課税された後の簿価引き下げ)が期待できる場合もあります。ただし、親族間での売買は税務上注意点があります。著しく低い価額で売買した場合、税務署から贈与とみなされるリスクや、売買価格が時価とかけ離れていると指摘される可能性があります。不動産を法人へ売却する際は、税法上時価の2分の1未満の低額譲渡は時価で譲渡があったものとみなされる規定もあります。したがって、親族間売買を行う際は適正な時価評価に基づくこと、専門家の査定や税務署への事前相談も検討することが重要です。法個売買スキームについて詳しくは下記のページをご覧ください。
役員退職金・後継者給与の非課税枠活用
不動産オーナー社長の事業承継において、役員退職金制度は極めて有力な節税対策の一つです。社長が長年勤務した会社を引退する際に支給する役員退職金は、法人にとっては損金算入(経費)となり、法人の純資産を減少させることで株価引下げ効果を発揮します。一方で受け取る個人にとっては、退職所得控除という大きな非課税枠があるため、高額の退職金を受領しても所得税・住民税の負担は抑えられます。具体的には、勤続年数20年超であれば「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」という退職所得控除額が認められ、控除後の残額も1/2課税という優遇があります。例えば勤続40年のオーナー社長の場合、退職金のうち2,000万円程度まで税金ゼロで受け取れる計算になり、非常に大きな節税メリットです。こうした制度を利用し、事業承継のタイミングでオーナーに相応の退職金を支給すれば、法人から現金を引き出して株価を下げつつ、オーナー個人も低税率で資金確保ができます。退職金の金額設定は社内規定や功績に見合った合理的な範囲で行いましょう。あまりに高額だと法人税務調査で否認されるリスクもあるため、支給額の妥当性について税理士法人加美税理士事務所と検討することをおすすめします。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。
後継者(次世代)の側でも、給与や報酬の活用によって承継をスムーズにする工夫があります。例えば、後継者となる子息が早期に会社役員や従業員として参画し、一定の役員報酬・給与を受け取ることで、親からの生前贈与に頼らずとも事前に事業承継に必要な資金を形成できます。役員報酬として支払われた金額は法人の経費になるため、会社の利益圧縮=株価抑制につながる点も見逃せません。また、後継者への教育資金や住宅資金などを会社から貸与・支給する際には、福利厚生制度等を活用して非課税で支給できる場合もあります。具体的には、役員であっても社内規定に沿った慶弔見舞金や教育費補助は一定額まで非課税で支給可能ですし、社宅を提供して住宅費負担を軽減させることもできます。これらは金額的には小さいものの、後継者の経済的基盤を築きつつ法人税の負担を減らすことができます。ただし、役員への過度な福利厚生は経費として認められないケースもありますので注意が必要です。
以上のように、オーナーの退職金と後継者の給与・報酬を上手に活用することで、法人から個人への資産移転を税負担少なく実現し、事業承継に伴う資金ニーズに備えることができます。退職金の支給タイミングや金額、後継者給与の水準設定については、専門家と相談しながら最適化を図りましょう。
非上場株式の事業承継税制(納税猶予)の活用
中小企業の事業承継対策として近年注目されているのが、事業承継税制の活用です。この制度は、一定の要件を満たす中小企業のオーナーが後継者に株式を相続または贈与する際、本来課される相続税・贈与税の納税を猶予(最終的に免除も)する特例措置です。不動産賃貸業を営むオーナー社長にとっても、自社株式にかかる相続税負担を大幅に減らせる可能性があるため、一見魅力的な制度です。
ただし、この法人版事業承継税制を利用するためには厳格な条件があります。まず対象となる会社が中小企業者であること(資本金等や従業員数の要件を満たすこと)が前提ですが、賃貸不動産の管理会社など資産管理型会社は原則として対象外とされています。具体的には、総資産の70%以上が不動産・有価証券・現預金等の資産で占められている会社や、総収入の75%以上がそれら資産からの収益である会社は「資産保有型/資産運用型会社」に該当し、承継税制の適用を受けられません。不動産貸付業の会社はその性質上この資産管理会社に当てはまるケースが多く、実情として承継税制の適用ハードルが高いのです。したがって、法人化したサラリーマン大家の方がこの税制を使うには、自社が要件から除外される特例的なケースに該当する必要があります。
例外として、資産管理型会社であっても (1) 常時使用従業員が5名以上いる(しかも親族以外の従業員)こと、(2) 自社ビルではない店舗・事務所等の事業用設備を保有または賃借していること、(3) 少なくとも3年以上事業を継続していること、といった一定の実態要件を全て満たせば適用対象となり得ます。不動産賃貸業でも、規模が大きく従業員を雇用し実態として事業経営を行っている場合には、この枠組みに入る可能性があります。ただし要件の確認や適用手続きは専門的であり、適用可否については私たち税理士法人加美税理士事務所など専門家に早めに相談することが重要です。
また、事業承継税制には一般措置と特例措置の2種類があり、現在は後者の特例措置が時限立法的に大幅に緩和された内容となっています。特例措置では、相続税・贈与税の100%猶予(全額免除)が可能な点や、後継者を最大3人まで認める点、雇用維持要件の実質撤廃など、従来より利用しやすい制度設計になっています。ただし、この特例措置を受けるには2027年12月31日までに実際の株式贈与または相続を完了させる必要があり、さらにその2年前まで(当初計画では2025年まで)に都道府県知事に「事業承継計画」を提出することが条件となっています。現時点(令和7年頃)では申請期限の一部延長も発表されましたが、適用期限自体は2027年末で変わらない見込みです。制度終了が見えているため、検討される方は早めの準備と手続き開始をおすすめします。
事業承継税制を活用できれば、不動産会社の自社株にかかる多額の相続税を一時的に猶予し、事業を継続する限り納税を先送り(最終的に一定要件下で免除)できます。資金繰りが厳しい場合でも事業継続に専念でき、不動産投資の相続対策として非常に強力です。とはいえ、適用を受けた後も後継者が5年間株式を継続保有し、会社の代表者であり続けることや、万一会社を清算・株式売却する際には猶予税額を納める必要があるなど、長期にわたる縛りがあります。また、承継後も事業内容の変更や資産売却に一定の制約が生じる点にも注意が必要です。制度を利用したがゆえにかえって身動きが取れなくなるケースもあるため、メリットとデメリットを十分に比較検討しましょう。
以上、法人化したサラリーマン大家向けに、事業承継時の留意点と活用できる対策を解説しました。次の章では、複数法人を経営する不動産投資家のケースについて、グループ全体の承継戦略を見ていきます。専門的な知識が求められる局面ですので、ぜひ税理士法人加美税理士事務所などの専門家と連携しながら円滑な事業承継対策を進めてください。
高齢の不動産オーナーにとって、自身の引退や世代交代に備える事業承継は避けて通れない課題です。家族経営で法人名義の不動産事業では、単なる財産の相続ではなく会社の経営権も移す必要があり、これは単純な資産継承以上に綿密な計画を要します。弊所は不動産投資・相続対策を専門とする税理士事務所(いわゆる「不動産投資 税理士」)として数多くのご相談を受けてきましたが、多くのオーナー様が「まだ大丈夫」と先延ばしにしがちです。しかし、不動産法人の事業承継対策(不動産法人 相続対策)は早めの準備が肝心です。特に高齢のオーナー様は、健康リスクや認知症リスクも見据えて、退職後の生活と会社の将来を両立できるプランを検討する必要があります。
実際、帝国データバンクの調査によれば不動産業社長の平均年齢はおよそ62歳と他業種より突出して高く、ここ数年でさらに上昇しています。しかし定年がない分「まだ働ける」と現役を続ける方も多く、気づけば引退のタイミングを逃しがちです。「自分の代で終わらせたくない」「会社を存続させたい」と願っていても、ふと周囲を見回すと後継者が見当たらず頭を抱える──そんなケースも少なくありません。ある調査では約7割の不動産業者が後継者不在に悩んでいるとの報告もあります。高齢となり体力や判断力が衰える前に、誰に事業を託すのか、どのように資産を引き継ぐのかを計画することが重要です。
なお、現在まだ個人名義で不動産をお持ちの場合、法人化(資産管理会社の設立)による承継スキームも有力な選択肢です。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。
法人にしておけば株式の形で事業を引き継げるため、分割や運用が比較的スムーズになります。ただし法人化には税務上のメリット・デメリットの検討が必要であり、専門家の助言が欠かせません。
以下では、高齢オーナーの事業承継について、老後を見据えたプランニングの考え方から、認知症対策としての成年後見制度と家族信託の使い分け、そして家族円満のための遺言書作成ポイントまで解説します。さらに事業承継計画の具体的な進め方として、現状分析や後継者育成、スケジュール策定、税理士法人加美税理士事務所などの専門家と連携するメリットについても詳述します。早めの準備と的確な対策で、大切な不動産資産と事業を次世代に円滑に引き継ぎましょう。
事業承継は「いつか必要だろう」と思いながら先送りされがちですが、計画的な事業承継のためにはできるだけ早期に動き出すことが肝心です。中小企業庁のガイドラインでは、平均的な中小企業経営者の引退年齢が70歳前後であることから、「概ね60歳頃には事業承継の準備に着手したい」とされています。これは後継者の育成期間も含め、承継完了までに5~10年程度かかると見積もられるためです。実際、多くの経営者は60代に入っても現役に専念し、準備を後回しにしがちです。しかし現実には、60代は事業承継準備のラストチャンスといえます。
では、老後を見据えた承継プランをどう考えればよいでしょうか。第一に、自身の「引退後の生活」と「会社の将来」双方のビジョンを明確にすることが大切です。例えば「何歳まで第一線に立ち、その後は相談役に退く」「リタイア後は賃貸収入を年金代わりに確保する」「会社は長男に継がせ、他の子には資産分配で公平を期す」等、ご自身とご家族の希望を整理します。老後の生活資金として不動産収入や退職金をどの程度確保するか、事業は親族内承継か第三者承継(M&A)も検討するのか、といった承継ゴール(目標像)の設定が出発点です。
次に、現在の会社・資産の状況を客観的に把握しましょう。法人名義の不動産を複数お持ちなら、各物件の市場価値や収益性、融資残高などを洗い出します。また株式評価額も確認し、後継者が相続する際の相続税額のシミュレーションを行うことをおすすめします。相続税の試算により、現状のままでは多額の相続税負担が生じると判明すれば、事前に節税対策や資金準備を講じておく必要があります。
例えば不動産評価額を引き下げる対策や、生命保険の活用、毎年の贈与による生前分割などが考えられます。事前にシミュレーションしておくことで、「このままだと相続税が◯◯万円かかる」「納税資金が不足する可能性がある」といったリスクを把握でき、計画に反映できます。
また、家族構成や後継者候補の意向も現状分析に含めましょう。ご家族と話し合い、誰が事業を引き継ぎたい・引き継げるのか、あるいは不動産を売却して現金分配する方が良いのか等、方向性をすり合わせます。特に複数のお子様がいる場合、早めに「誰が経営を担い、誰がオーナー権を持つか」を決めておかないと、いざ相続発生時に揉める原因になります。円満な承継のため、オーナーご本人が健在なうちに家族間のコンセンサスを得ておくことが望ましいでしょう。
老後の生活設計と承継プランを一体で考えることも重要です。例えば承継後は後継者に経営を任せ、ご自身は賃貸不動産オーナーとして配当や家賃収入を得る道もあります。会社の経営権は譲っても、不動産そのものはオーナー個人が信託収益権を持ち続ける家族信託スキームや、持株会社を活用してオーナーに安定収入を確保する手法もあります。いずれにせよ、「引退後も安心して暮らせること」と「次世代に事業を託すこと」の両立が事業承継プランのゴールです。そのために専門家と相談しながら、資産面・税務面・家族の気持ち面まで配慮した計画を練り上げましょう。
事業承継プランを考える上で見落とせないのが、オーナー自身の判断能力低下リスク、すなわち認知症リスクへの備えです。日本は超高齢社会であり、厚労省の推計では2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になる見込みです。認知症は誰にでも起こり得るもので、発症すれば財産管理や経営判断が困難になります。もしオーナーが判断能力を失った場合、適切な手続きを取らなければ預金や不動産が凍結され、日常の支払いすらままならなくなる恐れがあります。こうした事態に備え、認知症発症前から対策を講じておくことが肝心です。
認知症対策として代表的なのが成年後見制度と家族信託の活用です。それぞれ性質が異なるため、長所・短所を理解して使い分ける必要があります。本節では「成年後見制度では対応しきれない課題」と「家族信託導入のメリットと仕組み」について詳しく解説します。
オーナーが認知症になり判断能力を失った場合、何もしなければ最終的に成年後見制度の利用が避けられません。成年後見制度では、家庭裁判所が選任した後見人が本人に代わって財産管理や契約行為を行います。しかし、この制度には事業承継の観点からいくつかの課題・限界があります。
1. 家族が後見人になれるとは限らない: 日本では成年後見人に家族以外の第三者(弁護士や司法書士等の専門職)が選ばれるケースが多く、必ずしも親族が後見人になれるわけではありません。大切な不動産や会社の経営権を見知らぬ第三者に委ねざるを得なくなる可能性があり、精神的な抵抗感や不安材料となります。
2. 資産凍結と機動性の低下: 認知症発症後、後見人が選任されるまでの間は本人名義の資産が事実上凍結され、自由に動かせなくなります。たとえ後見が開始しても、後見人は裁判所の監督下で慎重に財産を管理するため、不動産の売却や新たな投資など迅速な意思決定が求められる経営判断に遅れが生じる恐れがあります。特に不動産賃貸業では空室対応や修繕、資産の組み換えなど機動的な対応が必要ですが、後見制度下ではこうした柔軟性が損なわれかねません。
3. 承継・相続対策が行えない: 後見人の使命はあくまで本人(被後見人)の財産を守り、その生活を維持することです。そのため、後継者への事業譲渡や生前贈与による節税策など、本人の死後を見据えた資産承継対策は後見人には実行できません。例えば、認知症発症後に「会社株式を後継者に贈与して相続税対策をする」といったことは後見制度では原則不可能です。結果として、オーナーが認知症になってからでは事業承継の手段が極めて制限されてしまいます。
4. 手続きや費用の負担: 成年後見制度を利用するには家庭裁判所への申立てや審理が必要で、開始まで時間と手間がかかります。さらに専門職後見人が付いた場合、その報酬(数万円~十数万円程度が月次で発生するケースもあります)は本人の財産から継続的に支払われます。小規模な不動産法人ではこのコスト負担も無視できません。また後見が開始すると、毎年裁判所への報告義務が生じるなど事務的負担も発生します。こうした煩雑さや経済的負担も、オーナーや家族にとって大きなデメリットと言えるでしょう。
以上のように、成年後見制度は本人保護の最後の砦として重要ですが、事前対策なしに迎えると事業承継や資産承継の面で不都合が大きいのが実情です。では代わりにどのような手を打てばよいのでしょうか。その答えの一つが家族信託の活用です。
家族信託(民事信託)とは、オーナーである委託者が信頼できる家族(受託者)に自分の資産管理・運用を託し、将来の資産承継先(受益者や帰属権利者)を指定しておく仕組みです。信託契約によって不動産などの財産の名義を家族に移し、管理・処分権限を託しますが、信託契約で定めたとおりオーナー本人や家族がその利益を受け取ります。簡単に言えば、「資産の名義は預けるが、運用益は今まで通り自分や家族が受け取れるようにする」制度です。認知症対策・相続対策として近年注目され、多くの不動産オーナーが導入しています。
家族信託の最大のメリットは、オーナーの判断能力が低下した後も資産を凍結させずに柔軟な管理・運用が続けられる点にあります。例えばオーナーが信頼する長男を受託者とする信託契約を結んでおけば、将来オーナーが認知症になっても長男が信託された不動産を管理・経営できます。その結果、成年後見制度を利用しなくても済む可能性が高まります。賃貸経営においても、空室対策や修繕・売却など必要な判断を家族が主体的に行えるため、事業が停滞しにくくなります。
また家族信託は相続に代わる仕組みとして機能する点もメリットです。信託契約時に、オーナー死亡後の財産の帰属先(残余財産受益者)を指定しておくことで、信託した資産については遺産分割や遺言執行を経ずに直接次の所有者に引き継ぐことが可能です。例えば「自分が亡くなったら信託不動産は長男に承継させる」と定めておけば、煩雑な遺産分割協議を経ずにその不動産を長男に引き継げます。これは相続手続きの簡略化や紛争防止に大いに役立ちます。
家族信託は非常に柔軟で、契約内容は家族の状況やオーナーの意思に応じてカスタマイズできます。例えば、「生前はオーナー自身が利益を受け取り、死亡後は配偶者に生活費として収益を渡し、最終的な元本は子供たちに渡す」といった複層的な指定も可能です。遺言では実現しにくい長期的・分割的な資産承継を実行できる点で、事業用資産を守りながら家族の生活も支えることができます。
もっとも、家族信託も万能ではありません。例えば信託した資産は形式上受託者の所有になるため、金融機関との取引(融資審査など)で慎重な対応が求められる場合があります。また信託財産は相続財産から除外されるものの、遺留分侵害の問題が全く生じないわけではなく、他の相続人との調整が必要なケースもあります。さらに信託契約の組成には法律知識が不可欠で、契約内容も専門家と十分検討する必要があります。「信託すれば全て安心」というわけではないため、信託だけでなく遺言書や保険など他の対策と組み合わせることが重要です。
実務上、家族信託と成年後見制度(任意後見契約を含む)を併用するケースもあります。例えば資産管理は家族信託でカバーしつつ、最終的な見守りや身上監護(療養看護など身の回りの世話に関する代理)は任意後見契約で備えておく、といった形です。任意後見契約とは将来の後見人をあらかじめ契約で指名しておく制度で、信頼できる親族等を後見人候補に定めておけば、万一後見が必要になった場合も見知らぬ第三者が入るのを防げます。このように信託と後見を組み合わせることで、資産管理と身上監護の両面に万全を期すことも可能です。
家族信託の導入を検討する際は、信託契約書の作成から登記手続き、税務上の取り扱いまで専門知識が要求されます。実行に当たっては家族信託に実績のある専門家(司法書士・弁護士・税理士等)に相談し、適切なスキームを設計してもらうことが重要です。私たち税理士法人加美税理士事務所でも家族信託を含む資産承継対策に対応しておりますので、ご関心があればお気軽にご相談ください。
認知症対策と並んで、遺言書の作成も事業承継における必須項目と言えます。遺言書はオーナーの最終意思を法的に有効な形で示すもので、これがあるかないかで相続発生後の手続きは大きく変わります。遺言書がない場合、残されたご家族は遺産分割協議を行い全員の合意で分配を決めねばならず、不動産や会社の承継を巡って争いに発展する恐れがあります。一方、遺言書があれば遺産分割協議は原則不要で、遺言者の意思に従って財産分割が行われます。遺言によって誰が何を相続するか明確になっていれば、相続人同士の対立を避け円満かつ迅速な手続きを実現できます。
では、どのような遺言書を書けば良いのでしょうか。まず基本は、不動産法人の株式や不動産の承継者を明記することです。例えば「○○株式会社の発行済株式〇〇株は長男○○に相続させる」「〇〇不動産(所在地~~)は次男○○に相続させる」と具体的に指定します。加えて、事業を継がない他の相続人への配慮も忘れないようにしましょう。特に法定相続人には最低限の取り分(遺留分)が保証されています。遺言内容が遺留分を侵害する場合、侵害された相続人は遺留分相当額の取り戻しを請求できてしまいます。事業承継では後継者に株式や事業用資産を集中させたい一方、他の家族の遺留分にも配慮が必要です。そのため、遺言作成時に遺留分を考慮することが重要だといえます。
具体的な遺留分対策としては、例えば事業を継ぐ長男には会社株式を相続させ、他の子には代わりに現預金や他の不動産を相続させるよう遺言で調整する方法があります。また、生前に遺留分に配慮した贈与や保険金の活用も有効です。さらに相続人に事前に遺言の内容と趣旨を伝え、納得してもらうことで遺留分請求を思いとどまってもらう働きかけも考えられます(場合によっては相続人に家庭裁判所で遺留分放棄の許可を得てもらう手法もあります)。いずれにせよ、遺言を書く際は「誰に・何を承継させ、その結果他の相続人の遺留分は満たされるか」をシミュレーションし、不公平感を可能な限り減らす工夫が大切です。
遺言書作成にあたっては形式面にも注意が必要です。法律で定められた方式を守らなければ遺言は無効になってしまいます。自筆証書遺言の場合は全文自書・日付・署名押印といった要件を満たすこと、公正証書遺言の場合は公証人と証人2名の立会いが必要になること等、それぞれルールがあります。事業承継の要となる遺言が不備で無効…という事態は絶対に避けたいところです。専門家のサポートを受けつつ、形式と内容の両面で万全な遺言書を作成しましょう。
最後に、遺言書にはぜひ遺言執行者の指定も盛り込んでください。遺言執行者とは、遺言の内容を実現する手続きを担う人のことです。事業承継に関わる遺言では、信頼できる税理士や弁護士、あるいは後継者本人を執行者に指定しておくと安心です。遺言執行者がいれば、相続発生後の名義変更や株式の承継手続きがスムーズに進み、ご家族の負担軽減につながります。せっかく作った遺言を確実に機能させるため、執行者まで含めた準備をしておきましょう。
遺言書は家族円満な相続を実現する強力なツールです。不動産オーナーの事業承継では、認知症対策の信託と並んで遺言書作成による意思表示と遺留分対策が両輪となります。元気なうちに専門家と相談しながらベストな内容の遺言を書き残しておくことが、ご自身の想いとご家族の幸せを守ることにつながります。
以上のような観点を踏まえつつ、具体的に事業承継計画をどう策定し進めていくかを解説します。事業承継は単発のイベントではなく、段階的なプロセスです。現状分析から計画策定、後継者育成、権限移譲の実行、そして承継完了後のフォローまで、一連の流れを計画的に進める必要があります。以下では、
- 現状分析と承継ゴールの設定方法
- 後継者候補の選定と育成のポイント
- 承継スケジュールの立て方
- 税理士・専門家とチームで進めるメリット
の順にポイントを見ていきます。
現状分析(現状把握)は事業承継計画の出発点です。まずは現在の会社と資産、家族の状況を正確に洗い出しましょう。具体的には次のような項目をチェックします。
- 会社・事業の現状: 法人の事業内容や収支状況、従業員数、借入金の有無、取引先との関係などを整理します。特に不動産賃貸業の場合、保有物件の入居率や収益力、将来の修繕コスト見込みなども把握しておきます。
- 資産・負債の一覧: 法人名義および個人名義で所有する不動産物件のリストと評価額、預貯金や有価証券の額、ローン残高など、資産負債の目録を作成します。法人所有不動産については現在の時価と簿価、将来の相続税評価額(路線価ベース評価)なども確認しておくとよいでしょう。
- 株式・持分の状況: 自社株の発行部数と持株比率、評価額を確認します。オーナー一族以外に株主がいればその持株割合も把握が必要です。株式評価は相続税額を左右するため専門家に依頼して算定してもらうことをお勧めします。株価が高額な場合、後継者が株式を相続する際に多額の相続税納税が必要となるため、対策検討の重要なポイントとなります。
- 後継者候補の有無: ご家族や社内に後継者と考えられる人材がいるか、その人数や適性、意向を確認します。誰も適任者がいない場合、早急に育成するか、社外から迎える(あるいは将来事業売却を検討する)必要があります。
- 相続人の状況: 配偶者やお子様など法定相続人となる方々の年齢・職業・居住地などを整理します。加えて各相続人が将来的に相続で取得したい希望があるか(例えば「自宅は長女が住み続けたい」等)をリサーチしておくことも有益です。
こうした現状分析の結果を踏まえ、承継ゴール(目標)の設定に進みます。承継ゴールとは、「誰に・いつ・何を・どう引き継ぐか」を明確化した将来像です。例えば「5年後までに長男に社長職を譲り、自分は会長に退く。長男に株式の過半数を相続させる。他の子には金融資産を分配し、遺留分に配慮する」など、具体的なプランを描きます。承継ゴール設定のポイントは次の通りです。
- 後継者像の明確化: 誰を後継者(経営承継者)とするか決定します。親族内承継なら長男・長女など具体的な人物を特定し、もし適任者がいなければ社内のキーパーソンや第三者承継の可能性も検討します。「最終的にこの人に任せる」という軸が定まれば計画にブレがなくなります。
- 承継方法の決定: 事業と資産をどう引き継ぐか方針を定めます。株式の相続か贈与か、事業用不動産は法人に残すのか個人に移すのか、不採算物件は売却するのか等、大枠の方針を決めます。例えば「株式は全て長男に相続させる」「賃貸中の○○ビルは会社から長男個人に売却して法個間で資産移転する」といった具体策もこの段階で検討します。
- タイミングの設定: 「いつまでに何を完了させるか」の目標時期を定めます。オーナーの年齢や体調、後継者の成長度合いを考慮し、「◯年後に社長交代」「◯歳までに株式○%を移転」「◯年以内に信託契約締結」などマイルストーンを置きます。これにより計画にメリハリがつき、関係者も動きやすくなります。
- 家族の合意形成: 承継ゴールはオーナーの希望だけでなく、家族全員が納得できる形であることが重要です。設定したプランについて家族会議を開き、疑問や不安を解消しておきましょう。特に相続人が複数いる場合、それぞれの役割と受け取る財産のイメージを共有し、了承を得ておくことが円満承継につながります。
現状分析とゴール設定ができれば、それを文書にまとめた「事業承継計画書」を作成します。計画書には現状の課題、承継の方針、具体的な実施策、スケジュール、関与する専門家などを記載しておきます。この計画書は社内(家族内)で共有し、必要に応じてアップデートしながらプロジェクトを進めていきます。計画を「見える化」することで、何をいつまでにやるべきかが明確になり、承継準備が格段に進めやすくなるでしょう。
後継者の選定と育成は事業承継の成否を握る最重要ポイントです。特に家族経営の不動産事業では「誰に継がせるか」「どうやって育てるか」が悩みの種になりやすい部分です。ここでは後継者候補の選び方と、選んだ後継者をどのように育成していくか、そのポイントを解説します。
1. 後継者候補の選定: まず承継候補を絞り込みます。親族内であれば、お子様の中から意欲・適性のある方を選ぶケースが一般的です。長子だから必ずしも適任というわけではなく、不動産や経営に興味関心が強い、人脈がある、責任感がある、といった資質を持つ人が望ましいでしょう。複数候補がいる場合、最終的にはオーナーの判断となりますが、できれば早い段階で本人同士・家族内で話し合い、「◯◯さんに継いでもらう」方向で一致できるのが理想です。親族に適任者がいない場合、信頼できる社員に承継する道も検討します。ただし不動産業は零細企業が多く、外部から優秀な人材を呼ぶのは容易でないのが現実です。将来的に第三者承継(M&Aなど)も選択肢に入れつつ、誰に任せるのが事業を存続できるか現実的に見極める必要があります。
2. 後継者候補への打診と意思確認: 候補が決まったら、早めに本人へ承継の意思を打診しましょう。承継される側にも人生があります。「継いで当たり前」と決めつけず、なぜあなたに継いでほしいのか、会社の将来をどうしたいのか、オーナーの思いを正直に伝え、本人の意思を尊重することが大切です。仮に本人が難色を示す場合、無理強いせず一旦保留し、他の候補や別の承継方法も検討します。逆に本人が承継を快諾した場合は、その日から計画の主要メンバーとして迎え入れ、一緒に準備を進める体制にします。
3. 後継者の育成計画: 承継までの期間で後継者を育成する計画を立てます。不動産オーナー業は営業・管理・経理・税務など幅広い知識が要るため、計画的な育成が必要です。育成のポイントとしては:
- 実務経験を積ませる: 後継者候補には可能な限り会社業務のあらゆる分野を経験させます。物件管理や入居者対応、資金繰り、税務申告、銀行折衝などを実践させ、オーナーが持つノウハウを少しずつ伝えていきます。最初は簡単な業務から始め、徐々に重要な仕事を任せましょう。
- 経営を疑似体験させる: 育成後期には、例えば一部の物件の運営を任せてみる、または代表者代理として会議や取引先対応に出席させるなど、経営者に近い立場を経験させます。疑似的に社長業を体験することで、自覚と覚悟が芽生えます。
- 専門知識の習得: 不動産や相続、税金に関する基礎知識を習得させます。必要に応じて外部セミナーや研修への参加、宅地建物取引士や管理業務主任者など資格取得も奨励すると良いでしょう。私たち税理士法人加美税理士事務所や弁護士など専門家から直接アドバイスを受ける機会を設けるのも有効です。
- 人脈・信頼の引継ぎ: 得意先や金融機関、テナント、取引業者などステークホルダーとの関係構築も重要な育成項目です。オーナーが築いた信用を後継者にも引き継げるよう、挨拶回りや面談の場を設けて紹介し、人となりを知ってもらいます。徐々に先方から後継者に直接連絡が来るくらい信頼関係を構築できれば成功です。
- 失敗経験も糧に: 育成期間中、後継者候補が何らかの失敗をすることもあるでしょう。しかしそれも貴重な学習機会です。大事に至らない範囲で失敗を経験させ、共に改善策を考えることで、危機管理能力や問題解決力が養われます。オーナーはフォローに回りつつ、あえて任せてみる度量も必要です。
4. 心構えとリーダーシップ醸成: 技術や知識以上に、経営者としての心構えを教えることも欠かせません。高い倫理観や責任感、決断力、そして何より「会社と従業員、家族を守る」という使命感を徐々に育んでいきます。オーナーの経営哲学や信条、大切にしてきた信用第一の姿勢などを繰り返し伝え、後継者の中に経営者マインドを醸成しましょう。場合によってはオーナー自身の失敗談や苦労話を共有し、経営の厳しさとやりがいを理解させることも有意義です。
以上のような育成プロセスには最低でも数年、長ければ5~10年を要することもあります。焦らず計画的に育成を進め、「この人なら大丈夫」と自他ともに認められる状態を目指します。周囲の従業員や取引先からも後継者として信頼されるようになれば準備万端です。なお、育成の進捗は事業承継計画のスケジュールにも反映させ、定期的に見直して必要な手を打つようにしましょう。
事業承継計画には具体的なスケジュールを設定することが重要です。漠然と「いずれ承継する」では物事は進まないため、各ステップに期限を設けて進捗を管理します。一般的な事業承継スケジュールの例を示します。
- 準備開始(今すぐ): 現状分析と課題整理を行い、事業承継方針を決定します(後継者候補の内定、承継方法の大枠など)。専門家(私たち税理士法人加美税理士事務所・弁護士)に相談を開始し、節税策や法務手続きの検討を始めます。
- 計画策定(1年目): 承継計画書を策定し、家族・関係者と共有します。併せて遺言書の作成や信託契約案の検討など法的準備を進めます。この時点で承継計画の全体像と役割分担が明確になっている状態にします。
- 育成期間(1~5年目): 後継者育成計画に沿い、徐々に業務移譲を進めます。3年目までに主要物件管理を後継者に任せ、4~5年目には経営判断の大半を後継者が担うようシフトします。また必要な株式贈与や資産移転は、毎年の贈与非課税枠を活用しながら段階的に実行します。
- 権限移譲(5年目~): 後継者が十分育ち関係者の信頼も得られたら、正式に社長職を交代します(株主総会や取締役会での選任手続)。代表印や銀行口座の権限も後継者に移し、オーナーは相談役や会長に退く形にします。社長交代後も一定期間は旧オーナーがバックアップし、必要に応じ助言できる体制を残します。
- 承継完了(5~10年目): オーナーが引退し、後継者体制が軌道に乗ったら事業承継は完了です。ただし承継後も経営環境は変化しますので、後継者は新体制で会社を発展させるべく努力を続けます。旧オーナーは経営には口を出しすぎず、次世代に任せる潔さも大切です。
上記は一例であり、各社の状況によって期間や手順は異なります。重要なのはいつまでに何をするかを明文化し、関係者と共有することです。節目ごとに進捗を確認し、遅れがあれば原因を分析して対処します。例えば「3年後に株式の半分を贈与する予定が、株価上昇で贈与税負担が重くなったため計画変更」など状況に応じた修正も必要でしょう。計画はあくまでロードマップですから、柔軟に見直しつつ最終目的地(円滑な事業承継)に到達できるよう舵取りしてください。
また、承継スケジュールを立てる際には税制の期限にも留意しましょう。中小企業の事業承継税制(非上場株式の相続税・贈与税猶予制度)を活用する場合、計画の提出期限や適用期限があります。例えば特例事業承継税制では2025年度までに「特例承継計画」を都道府県に提出し、その上で2027年末までに実際の承継(贈与・相続)を行う必要があります。こうした制度活用も見据えつつ逆算してスケジュールを組むことで、税負担を大きく軽減しながら承継を進めることが可能です。
最後に、計画通り進んでも油断は禁物です。オーナーの急病や経営環境の激変など、不測の事態はいつ起こるか分かりません。そこでリスクシナリオも用意しておきましょう。例えばオーナーに万一のことがあった場合の暫定的な指揮命令系統、緊急時に開封する手紙の作成、生命保険による資金手当てなどです。こうした備えがあれば、想定外の事態にも会社と家族を守ることができます。
私たち税理士法人加美税理士事務所は、不動産投資に特化した専門知識で事業承継をサポートしています。不動産オーナーの相続対策・事業承継対策に強い税理士が、全国どこからでもオンラインでご相談に対応。賃貸経営の継続と節税の両立を図り、スムーズな世代交代を実現するお手伝いをいたします。大切な不動産収入を次世代に安心して引き継ぐために、ぜひ専門家である当税理士事務所にお任せください。
不動産投資には、不動産評価の方法や家族信託の活用、相続税や事業承継税制といった独自の論点が数多く存在します。税理士法人加美税理士事務所はそうした不動産投資特有の税務知識に精通しており、一般的な税理士では見落としがちなポイントまで的確にサポート可能です。不動産の相続時には路線価や固定資産税評価額を踏まえた評価引き下げ策(※例えば小規模宅地の特例の適用)を検討し、税負担を軽減します。また、将来の認知症リスクに備える家族信託スキームの設計や、不動産管理法人を用いた相続税対策など、高度な手法にも対応できます。さらに、賃貸不動産特有の評価減(貸家建付地評価や借地権・借家権の扱い)などの知識も豊富で、オーナー様の状況に応じて最適な節税策を見極めます。
賃貸アパート・マンション経営の節税と将来の相続対策を一体的に考えることが、不動産オーナーにとって非常に重要です。税理士法人加美税理士事務所では、毎年の確定申告や経費計上のアドバイスから将来の資産承継プランまで、長期的視点でトータルにサポートします。例えば、現在の減価償却やローン計画が将来の相続税評価にどう影響するかまで踏まえ、賃貸経営と事業承継を両面から最適化。目先の節税効果だけでなく、次世代への円滑な引き継ぎまで見据えた税務戦略をご提案できるのが当税理士事務所の強みです。また、「節税になるから」と物件を増やしすぎると将来の相続税がかえって増えるケースもあります。当税理士事務所では賃貸経営の戦略と相続対策を両輪で考え、現在と将来のバランスを取った提案を行います。
不動産投資の法人化(不動産管理会社の設立)支援から、株式を含む事業承継計画の策定・実行まで、私たち税理士法人加美税理士事務所がワンストップで対応します。不動産管理法人の設立時には、定款作成や各種届出などの手続きを税務の視点からフルサポートし、その後の決算・申告業務まで継続してバックアップ。さらに、親族内承継や持株会社の活用、法人間での資産移転など、複雑な承継スキームにも対応可能です。一箇所の窓口で法人設立から承継完了まで一貫して支援しますので、複数の専門家に別々に依頼する手間がかかりません。私たちのチームと提携専門家が連携し、お客様に最適な承継プランをスムーズに実現します。不動産管理会社の設立支援実績も豊富で、過去の事例に基づいた的確な助言が可能です。また、社会保険手続きなど社労士が関与する業務も提携ネットワークでカバーし、安心のトータルサポートを提供します。
事業承継対策では、相続税などの税金を減らす節税策だけでなく、その納税資金をどう確保するかも重要な視点です。私たち税理士法人加美税理士事務所では相続発生時にご家族が無理なく納税できるよう、資金繰りまで考慮した対策をご提案します。例えば、生命保険の活用により納税資金を準備したり、不要な不動産の売却で現金を確保するといった方法も総合的にアドバイス。節税の結果ばかりに注目して肝心の資金準備が不足しては本末転倒です。納税資金の準備を怠ると、いざというとき大切な不動産を手放さざるを得なくなる恐れもあります。当税理士事務所では納税資金対策まで含めたプランニングで、資産を手放さずに円満な承継を実現し、資金面の不安を取り除きます。こうした資金計画まで含めた包括的な支援で、将来への安心をご提供します。生命保険を活用すれば、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)も利用でき、効率的に資金準備が行えます。
不動産オーナーが法人をお持ちの場合、自社株評価の対策は事業承継における重要テーマです。税理士法人加美税理士事務所では、現在の財務状況や将来予測に基づいて相続税シミュレーションを行い、株式の評価額を引き下げるための具体策をご提案できます。例えば、事業承継のタイミングでオーナー社長に退職金を支給して内部留保を減らし株価を引き下げる方法や、毎年の生前贈与で少しずつ株式を移転する方法など、実践的な株価対策を検討します。また、要件を満たせば事業承継税制(自社株の相続税・贈与税の納税猶予制度)の活用シミュレーションも可能です。シミュレーションによって将来の税負担を「見える化」し、各種対策の効果を事前に把握できるため、無理のない計画を立てられます。綿密な試算に基づき、確実かつ無理のない形で後継者への株式承継を進めるサポートをいたします。
私たち税理士法人加美税理士事務所は、不動産オーナーのニーズに応じて家族信託や持株会社(ホールディングカンパニー)を用いた承継スキームの構築にも対応可能です。認知症対策や長期的な資産承継に有効な家族信託では、信託契約の設計から信託監督人の紹介まで専門家としてサポートいたします。また、複数企業や不動産資産を一元管理するための持株会社スキームについても、税務メリットとデメリットを踏まえて柔軟に検討します。例えば家族信託を利用すれば、高齢オーナー様が認知症となった場合でも資産凍結を防ぎ、賃貸経営を継続できます。また信託契約により二次相続・三次相続の承継者まであらかじめ指定することも可能です。こうした高度なスキームも、当税理士事務所ならではのノウハウでお客様の状況に合わせて活用し、最適な事業承継を実現します。
事業承継を円滑に進めるには、税務対策だけでなく各種法律上の手続きも伴います。税理士法人加美税理士事務所では司法書士や弁護士など他分野の専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップで支援します。例えば、不動産の名義変更登記や遺言書の作成、さらには株式譲渡契約書の締結や家族信託契約の公正証書作成など、各ステップで適切な専門家と協力して進めるので安心です。お客様自身が個別に専門家を探す手間は不要で、当税理士事務所が窓口となって全体をコーディネートいたします。必要に応じて行政書士や不動産鑑定士等とも連携し、あらゆる局面で専門的なサポートが可能です。各専門家との密な連携により、手続きの漏れや無駄な時間ロスを防ぎ、複雑になりがちな承継プロセスをスムーズに完了させます。専門家チームの総合力で最後までお客様をサポートいたします。
税理士法人加美税理士事務所は東京(銀座)に拠点を置きつつ、全国対応で不動産オーナー様の事業承継をサポートしています。遠方にお住まいの方でもご安心いただけるよう、電話やメールはもちろん、Zoom等によるオンライン面談を活用し、距離を感じさせないきめ細やかな支援を実現しました。資料の受け渡しや打ち合わせもすべてオンラインで完結可能ですので、地方のお客様でも首都圏と同様の専門サービスをご利用いただけます。これまで北海道から九州まで全国各地のオーナー様をオンライン支援してきた実績があり、地域に関係なく同水準のサポートを提供します。実際に対面せずとも円滑にやり取りできる体制で、忙しいオーナー様の負担を軽減いたします。オンライン対応により移動の手間や交通費もかからず、どこにいてもスピーディーに専門サポートを受けていただけます。時間や地理的制約を感じさせないサービスとして、多くのオーナー様にご好評いただいております。
私たち税理士法人加美税理士事務所は税務調査対応の実績が豊富であることも大きな強みです。その経験を生かし、節税策の効果とリスクを熟知した上で、税務当局から指摘されない堅実な事業承継対策を講じます。過度にリスクの高い節税スキームや将来否認される恐れのある対策は避け、合法かつ持続可能な承継プランを設計しますので、安心してお任せください。複雑な相続税・贈与税の特例を適用する場合も、事前に書類の整備や説明準備を徹底することで、調査リスクを低減します。日頃から税務署の視点を意識した帳簿管理や書類整備を行うことで、調査が入っても指摘事項を最小限に抑えられるよう備えています。もし相続発生後に税務調査が入った場合でも、専門家が適切に対処できる体制を整えております。税務調査に強い当税理士事務所ならではの万全の事前対策で、リスクを最小限にとどめます。計画段階から万全のリスク管理を行います。
私たちはお客様一人ひとりの状況やご要望に合わせて柔軟に対応し、きめ細やかなサポートを提供しています。事業承継の進め方やスケジュールについて、「できるだけ早く進めたい」「じっくり検討しながら進めたい」など様々なニーズにお応えします。また、専門用語や難しい制度については丁寧にかみ砕いてご説明し、ご納得いただけるまで打ち合わせいたします。もちろん、「面倒な手続きを丸ごと任せたい」というご要望にも対応可能です。定期的な進捗報告や状況確認も、お客様のペースに合わせて実施しますので、小さな疑問でもすぐにご相談いただける環境を整えています。お客様のペースと希望に寄り添ったサービス提供を心がけておりますので、初めての方でも安心してご相談いただけます。
税理士法人加美税理士事務所では、弥生会計やfreee、マネーフォワードクラウド会計など、多様な会計ソフトのデータに対応しています。現在お使いの会計ソフトがあれば、そのままの形式で帳簿データを共有いただくことが可能で、スムーズに顧問税理士業務を引き継げます。特定のソフトに限定せず柔軟に対応できますので、「会計ソフトを乗り換える必要があるか?」といった心配も不要です。また、市販の会計ソフトに限らずエクセル管理の収支表などにも対応可能です。様々なソフトに精通した税理士チームが対応しますので、データ形式の違いによる作業停滞も起こりません。クラウド会計ソフトにも対応しておりますので、リアルタイムでデータを共有しながら税務アドバイスを行うことも可能です。これにより、お客様ごとの状況に応じた無駄のない支援を実現します。ツールに合わせた柔軟な対応で、経理の効率化と正確な申告をサポートいたします。
「帳簿を付けたことがない」「経理処理は何もできていない」という方もご安心ください。私たち税理士法人加美税理士事務所では記帳代行や領収書整理からの丸投げにも対応しております。会計ソフトを導入していなくても、こちらで必要資料をお預かりして仕訳入力から申告書作成まで一括で対応可能です。お客様には領収書や通帳コピーなど基本資料をご用意いただくだけで、それ以降の帳簿作成から申告書提出まで当税理士事務所が責任を持って代行します。お忙しいオーナー様や経理に不慣れな方でも、面倒な作業はすべて当税理士事務所にお任せいただけます。もちろん状況が落ち着いてきたら自計化(ご自身での会計入力)に移行することも可能です。その際も操作方法を丁寧にサポートいたしますので、初心者の方でも安心です。
事業承継の内容によっては、新たに法人設立をしたり、グループ内で法人間取引(資産の売買や会社分割・合併など)を行ったりするケースもあります。税理士法人加美税理士事務所はこうした複雑な承継スキームにも精通しており、会社設立時の税務アドバイスからグループ再編時の会計・税務処理まで一貫してサポート可能です。例えば、資産管理会社とは別に持株会社を設立してオーナー株式を集約する場合や、不動産事業部門を分社化して承継する場合など、それぞれのケースで最適な手法をご提案します。司法書士や行政書士とも連携し、登記手続きや許認可申請が必要な場面でもスムーズに進められるようフォローいたします。高度な組織再編税制についても熟知しておりますので、複数法人が絡む場合でも安心です。複数法人が絡む承継対策も安心してご相談ください。
専門性の高い事業承継サポートというと費用が心配かもしれませんが、料金は業界相場よりも抑えた設定となっております。お客様に長期的にご利用いただけるよう、明朗かつ適正な価格で質の高いサービスを提供することを心がけています。また、初回のご相談は無料で承っておりますので、「ちょっと話を聞いてみたい」という段階でもお気軽にお問い合わせいただけます。ご契約前に具体的なお見積りを提示し、内容にご納得いただいた上でサポート開始となりますので、料金面で不安が残ることはありません。具体的なサポート内容や料金の目安については、初回面談時に丁寧にご説明いたします。費用対効果にご納得いただいた上でご契約いただけますので、まずは無料相談で私たち税理士法人加美税理士事務所の事業承継サポートを体感してください。

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