税理士法人加美税理士事務所

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「消費税って課税されるの?」「帳簿ってどう付けるの?」創業まもない不動産会社様のそんな悩みに、税理士法人加美税理士事務所がオンラインで丁寧にお応えします。

税理士による解説です。不動産会社の税務顧問としての知見を活かし、消費税申告の実務や記帳方法、インボイス対応を丁寧に説明します。不動産業界特有の課税・非課税取引もわかりやすくお伝え。全国対応・オンライン相談可。初回無料相談受付中。

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  1. 不動産業(賃貸仲介・売買仲介・建売など)に特化した税理士事務所|税理士法人加美税理士事務所
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不動産業の消費税対応のコツ(法人税と並ぶ重要ポイントを税理士が解説)

不動産業界では、法人税と並んで消費税の対応が経営上の重要ポイントです。売上規模が大きくなりやすい不動産会社では、消費税額も多額になりがちであり、正しい理解と対策が欠かせません。例えば、課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となり消費税の申告・納税義務が発生します。一方、消費税には課税対象と非課税(免税)対象が混在し、不動産取引では特に複雑です。本記事では、不動産業の主要4業態ごとの消費税のポイントと、不動産取引における課税・非課税取引の具体例を、不動産業に強い税理士が分かりやすく解説します。

不動産会社は日々の取引金額も大きく、消費税の計算ミスは経営に大きな影響を及ぼしかねません。また、近年導入されたインボイス制度(適格請求書保存方式)への対応も求められており、取引先から適格請求書発行事業者(課税事業者)になるよう要請されるケースも増えています。そのため、不動産業の税務顧問として経験豊富な税理士のサポートを受け、消費税や法人税を含めた税務全般を適切に管理することが重要です。当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)では、不動産会社の税務顧問として多数の実績があり、経理初心者の方へのサポートから高度な税務戦略の提案まで親身に対応いたします。

なお、個人で不動産業を営む場合は青色申告など所得税面の対策も検討されますが、本記事では消費税に焦点を当てています(※青色申告の詳細は下記ページをご参照ください)。

それでは、不動産業の各業態における消費税のポイントから確認していきましょう。

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不動産業と一口に言っても、扱う事業内容によって消費税の課税関係は異なります。ここでは、賃貸仲介業売買仲介業サブリース業建売業(不動産販売業)の4業態それぞれについて、消費税実務上のポイントを解説します。事業形態ごとの課税・非課税区分を理解し、正確な経理処理と納税計画に役立てましょう。

賃貸物件の仲介業者(賃貸不動産仲介業)にとって、仲介手数料が主な収入源です。この仲介手数料は課税売上に該当し、たとえ居住用物件の賃貸仲介であっても消費税が課されます。法律上、居住用賃貸の家賃自体は非課税取引ですが(後述)、仲介業務はサービス提供にあたるため、その対価である手数料は課税対象となる点に注意が必要です。例えば賃借人・貸主双方から家賃1か月分ずつの手数料を受領する場合、それぞれに対して消費税(現行10%)を加算して請求するのが一般的です(不動産仲介手数料の上限は「家賃1か月分+消費税」と宅建業法で定められています)。

賃貸仲介業では、月々の家賃収入をオーナーから預り、一定割合の管理料を差し引く「物件管理(賃貸管理代行)」業務を兼ねるケースもあります。この場合、オーナーから受け取る管理委託料も課税売上となります。通常の管理代行では管理料部分に消費税が課税されますが、仮にサブリース契約(後述)のようにオーナーから居住用賃貸物件を一括で借り上げる形態に移行すると、明示的な管理料収入は発生せず消費税上は非課税売上となります(ただし家賃とオーナー支払額の差額が実質的な利益になります)。いずれにせよ、賃貸仲介手数料物件管理料は消費税の課税対象であるため、経理処理では税抜金額と消費税額を明確に分けて記帳し、預かった消費税を適切に納付することが重要です。

消費税課税事業者でない小規模な不動産仲介業者(免税事業者)も、2023年開始のインボイス制度の下では取引先から適格請求書の発行を求められることがあります。賃貸仲介業者の取引先は主に個人の借主・貸主ですが、法人がテナントの場合などはインボイス発行への対応が信頼性に関わります。当税理士事務所では、賃貸仲介業の経理初心者の方にも分かりやすく消費税の基礎から実務までサポートし、適格請求書発行事業者の届出や会計ソフトでの税区分設定まで丁寧にご支援します。

不動産の売買仲介業では、物件の売買契約を仲介して得られる仲介手数料が主な収益です。この仲介手数料も賃貸と同様に消費税課税対象のサービス収入となります。売買仲介の場合、取引金額が大きいため手数料額も高額になり、結果として預かる消費税額も大きくなる点に留意しましょう。宅建業法上、売買仲介手数料は「取引額の3%+6万円(税別)」が上限と定められており、大型の不動産取引では手数料だけで数百万円単位になることもあります。その場合、10%の消費税も数十万円規模となるため、資金繰りの面でも預かった消費税相当額を別途管理しておくことが大切です。

売買仲介業者は、課税売上高がすぐに1,000万円を超えるケースが多く、早期に消費税課税事業者となることが見込まれます。課税事業者となった場合、消費税の納税方法は「原則課税(本則課税)」と「簡易課税」のいずれかを選択できます。不動産仲介業は一般的に第6種事業(不動産業)に分類され、簡易課税制度を選択すると売上に係る消費税額の40%相当を仕入税額控除として差し引くことが可能です※。仲介業務は人件費や広告宣伝費が中心で、課税仕入(支払消費税)はそれほど多くない傾向があります。そのため、実務上は簡易課税を選択した方が有利になる(納税額が少なくなる)ケースも多々あります。しかし簡易課税の適用には事前の届出と一定期間の継続適用が必要な点、課税売上高5,000万円超では選択できない点に注意が必要です。消費税の計算方法ひとつとっても不動産業の節税対策に直結しますので、どちらの方法が有利かは税理士と十分に検討すると良いでしょう。

※簡易課税制度の具体的な適用や計算方法については、本記事では概略のみの紹介に留めます。さらに詳しい不動産業の節税策や消費税の有利不利シミュレーションについて知りたい方は、別途「節税対策」のページも参考にしてください。

節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

サブリース業(一括借上げ、不動産の転貸)では、サブリース会社が物件オーナーから物件を一括で借り上げ、第三者(入居者)に転貸します。サブリース契約に基づく家賃収入は、入居者が支払う賃料をサブリース会社が一旦受け取り、一定の料率で差し引いた後オーナーに送金する仕組みです。ここでポイントとなるのが、賃料収入の消費税区分です。入居者が居住用として借りている物件の場合、その賃料収入は非課税売上に該当します(住宅の貸付は非課税取引)。したがって、サブリース会社の主たる収入である居住用物件の家賃は消費税がかからず、オーナーへの支払も消費税非課税の仕入れとなります。この点は賃貸管理代行方式との大きな違いで、管理代行ではオーナーから受け取る管理委託料が課税売上となるのに対し、サブリース方式では消費税課税の発生する収入が表面上は生じないのが特徴です。

しかし、サブリース業者に消費税の課題がないわけではありません。まず、物件が事業用不動産(オフィスや店舗等)として転貸されている場合、その賃料収入は住宅ではなく課税売上となります。また、入居者がウィークリーマンション等の短期賃貸である場合も課税対象(後述)となります。さらに、サブリース会社は家賃収入の大半が非課税である反面、自社で負担する経費には消費税課税仕入が含まれるケースが多々あります。例えば、入居者募集の広告宣伝費やリフォーム費用、設備メンテナンス費用などには消費税が含まれますが、対応する売上(家賃)が非課税であるため仕入税額控除の対象にできない(又は按分計算が必要)ことがあります。課税売上と非課税売上が混在する事業者は、消費税申告において課税仕入れの「個別対応方式」または「一括比例配分方式」により控除対象仕入税額を計算しなければなりません。サブリース業ではこの計算が煩雑になりやすく、物件ごとの契約内容(住宅用か事業用か)を税理士が把握して帳簿付けする必要があるため注意が必要とされています。また「簡易課税」を選択することもオプションのひとつだといえます。

以上より、サブリース業における消費税対応のポイントは、非課税売上が中心でも課税部分を見落とさないこと、そして課税仕入れの按分計算を正確に行うことです。自社が免税事業者である場合でも、インボイス制度開始後は取引先(例えば法人テナントや不動産仲介会社)からインボイス発行を求められる可能性があります。消費税の課税・免税選択はインボイス対応とも絡むため、専門家に相談しつつ最適な対応を検討しましょう。当税理士事務所では、消費税申告書の作成から日々の経理指導まで一括してサポート可能です。

戸建住宅やマンションなどの建売業(ディベロッパー・不動産販売業)では、物件の販売時に発生する売上代金に消費税が関わってきます。不動産売買における消費税の原則は、土地部分は非課税建物部分は課税です。たとえば新築一戸建てを販売する場合、契約書で土地代と建物代を区分し、建物代金にのみ10%の消費税を上乗せして請求します。土地の譲渡は消費の概念にそぐわない資本的取引として非課税とされているため、土地代には消費税がかかりません。契約書上で対価が区分されていない場合でも、後日消費税申告時には土地と建物の時価按分により課税売上を算定する必要があり、土地・建物の区分経理を正確に行うことが求められます。

建売業者は、販売用不動産の取得に際して多額の課税仕入(建築工事費用や資材仕入れ等)を支払います。課税事業者を選択していれば、これらの仕入税額控除により消費税の納税額を大きく圧縮できる可能性があります。創業まもない不動産会社や新設法人では原則2期目までは消費税が免税となるケースがありますが、建物建築にかかった仕入税額控除を受けるためにあえて課税事業者を選択することも検討されます(インボイス制度の開始以降、免税事業者のままでは仕入税額控除が受けられず不利となる場面があるためです)。例えば、1期目に建築費用等で1,000万円の消費税を支払っていても免税事業者ではその還付を受けられませんが、課税事業者として適格請求書発行事業者になっていれば原則として全額を控除または還付で取り戻すことができます。もっとも、課税事業者となると翌期以降も消費税申告が必要となり自社の税負担も発生します。新設法人が消費税課税を選択すべきかは慎重な判断が必要であり、不動産業に詳しい税理士のアドバイスを受けることをお勧めします。

不動産販売業においては、販売した資産の種類に応じて消費税区分を誤りなく処理することが肝要です。具体的には、土地売却収入は非課税売上として区分し、対応する仕入や経費(造成費用など土地に直接要したもの)は課税仕入れであっても非課税売上対応として仕入税額控除の対象外とします。一方、建物売却収入は課税売上として計上し、それに対応する建築原価や設備費用等の課税仕入は控除対象仕入税額となります。共通経費(販売促進費や人件費にかかる外注費など)の消費税は、課税売上と非課税売上の割合に応じて按分計算します。こうした個別対応方式による経理処理は専門知識を要するため、社内に専門家がいない場合は税務顧問の税理士と二人三脚で体制を整えると安心です。当税理士事務所でも、不動産開発・販売業のお客様に対して、売上区分のチェックから消費税申告書の作成までトータルでサポートしております。

続いて、不動産業者が日常的に扱う取引のうち、どのような収入に消費税がかかり、どのような収入が消費税非課税なのかを具体的に整理します。不動産に関する取引は金額が大きいため、課税・非課税の取り扱いを誤ると消費税額も大きな誤差となります。以下の項目ごとに基本的なルールと例外を確認し、正しい請求・経理処理に役立てましょう。

土地の譲渡および貸付けは、消費税法上「非課税取引」と定められており、売主が事業者であっても個人であっても一切消費税はかかりません。土地は使用や転売によって消耗・消費される性質のものではなく、価値の変動は需要供給や経済状況によるものに過ぎないため、「消費される物」ではないという考え方が背景にあります。そのため、土地を売却しても購入者は消費税を支払う必要がなく、売買代金には消費税が含まれません。また、借地権など土地の上に存する権利の譲渡についても同様に非課税扱いです。

土地の賃貸借についても原則として非課税取引であり、地代・地貸し料には消費税は課されません。たとえば月極駐車場用地や定期借地権で土地そのものを貸し出す場合、賃借期間中は対価に消費税が課されないため、貸主は消費税を受け取らず、借主も消費税を支払う必要がありません。ただし、土地の貸付けでも例外があります。それは「貸付期間が1か月未満の短期貸付」や「土地が何らかの施設の利用に伴って使用される場合」です。例えば、更地ではなく舗装や設備が設置された駐車場(一時利用のコインパーキング等)は土地ではなく駐車場施設の利用とみなされ課税対象となります。またイベント用に土地を数日間だけ貸し出すケースなども短期貸付に該当し課税取引となります。もっとも、通常の不動産取引における土地賃貸(住宅用地や事業用定期借地など)は長期間に及ぶのが一般的であり、実務上ほとんどの土地取引は非課税として扱われます。

建物(不動産建築物)の譲渡は、居住用・事業用を問わず消費税課税取引です。不動産の売主が課税事業者である限り、建物の売却代金には消費税が課せられます。例えば、事業者が新築住宅を販売する場合、購入者は建物代金に対して10%の消費税を支払うことになります(前述の通り土地代金部分は非課税)。中古物件の場合でも、売主が不動産業者など課税事業者であれば建物部分に消費税が含まれます。一方で、個人が居住用に所有していた住宅を売却するといったケースでは「事業として行う譲渡」に該当しないため消費税は課税されません。つまり、不動産の売却は「事業者」が「事業として」行う場合にのみ消費税の課税対象になる点を押さえておきましょう。

実務上、不動産の売買契約では売主・買主双方が消費税の取扱いを誤解しないよう、契約書に「内消費税額」が明記されます。特に土地付き建物を一括で譲渡する場合には、契約書上で土地代・建物代が明確に区分されます(区分がない場合でも後日時価按分で税額計算する必要があります)。買主側から見ると、土地代金には消費税がかからず、建物代金のみに消費税を負担する形です。仮に買主が課税事業者(例:法人が事務所ビルを購入)であれば、その支払った建物部分の消費税を仕入税額控除として後日申告で還付・相殺できます。逆に買主が住宅購入者(個人)や非課税事業者である場合は、支払った消費税は実質的にコストとなります。不動産の売買は高額な取引であり、課税・非課税の扱いや税額も大きくなるため、事前に税理士等と十分に打ち合わせし、契約書面で消費税区分を明確にしておくことが重要です。

居住用不動産の賃貸料(家賃)は、消費税法上「社会政策的配慮」により非課税取引とされています。個人が生活の本拠として居住する住宅やアパート、マンションの家賃については、貸主が事業者であっても消費税が課されません。これは契約形態を問わず原則として共通で、法人が従業員の社宅として住宅を借り上げるケースなども契約上その物件が住宅用である限り非課税です。居住用賃貸に付随する礼金・敷金の没収・共益費などについても同様で、契約終了時に返還されないものも含め原則非課税として扱われます。たとえば「礼金」は家賃1か月分相当を貸主に支払う慣行がありますが、住宅の礼金は非課税であり消費税はかかりません(事業用物件の礼金は後述の通り課税対象となる場合があります)。同様に、毎月の管理費・共益費も居住用であれば非課税、更新料も住宅賃貸に伴うものであれば非課税です。

※ ウィークリーマンション等、1ヶ月未満の短期滞在用賃貸は課税取引となる

居住用物件であっても、賃貸期間が1ヶ月未満の短期契約は消費税の非課税対象から除外されています。いわゆるウィークリーマンションやマンスリーマンション(30日未満の賃貸借契約)、民泊や旅館業に該当する貸し部屋などは、住宅の貸付けではなく宿泊サービスに近い性質とみなされ課税対象となります。例えば、週単位で借りるマンスリータイプのマンションは借主の生活の本拠とまでは言えず一時的滞在と判断されるため、支払う賃料に消費税が課されます。オーナーや管理会社はこうした短期賃貸について適切に課税売上として計上し、インボイス発行の必要にも留意しましょう。

事業用目的で賃貸される不動産の賃料には、原則として消費税が課税されます。具体的には、オフィスビルのテナント料、商業施設や店舗の家賃、工場や倉庫の賃料、月極駐車場代(金銭貸借契約)などが該当します。事業用物件の賃貸借契約では、賃料に消費税相当額を上乗せして請求することが一般的です(契約書にも「賃料○○円(消費税別途)」等の記載がなされます)。これは、事業用建物の貸付けは消費税法上の「資産の貸付け」に該当し課税取引とされているためです。たとえ契約上、家賃を「土地部分○万円・建物部分○万円」と区分して定めていたとしても、事務所や店舗として使用する以上、その総額は建物の貸付け対価とみなされ課税対象となります。したがって、事業用不動産を貸すオーナー(貸主)は課税事業者であれば賃料に消費税を転嫁し、借主(テナント)は支払った消費税を自身の消費税申告で仕入税額控除できます。

なお、契約開始当初は居住用として貸していた物件を途中から事務所用途に転用したような場合、当初は非課税だった賃料が課税売上に変わる点にも注意が必要です。一般的に、契約書上の用途欄が「住宅」と明記されていない物件で実態として事務所利用されている場合など、税務上は住宅の貸付けとは認められず課税取引と判断されることがあります。物件オーナー側としては、用途変更があった場合には契約書の見直し等を行い適切に消費税区分を訂正することが望ましいでしょう(ケースによっては過去に遡って消費税申告を修正する必要が生じることもあります)。

不動産業における各種手数料や委託料は、基本的に消費税の課税対象となる役務の提供です。代表的なものが仲介手数料で、不動産の売買や賃貸の仲介サービスに対する対価として受け取る手数料には、一律で消費税が課されます(居住用物件の仲介手数料であっても課税)。したがって、不動産会社は仲介手数料を受領した際には税抜金額と消費税額を明確に分けて会計処理し、預かった消費税を期限内に納付する義務があります。

同様に、不動産の管理料コンサルティング料なども課税売上です。例えば、賃貸物件のオーナーから受け取る物件管理委託料は、そのオーナーへのサービス提供の対価であり消費税が課されます。建物の維持管理や清掃業務を請け負った場合の管理報酬、テナント募集の広告料、契約更新手続代行料など、多岐にわたる不動産関連サービス収入がこれに該当します。貸主であるオーナー側から見れば、支払う管理料等に含まれる消費税は自らが課税事業者かどうかで負担の性質が変わります。オーナー自身が課税事業者(法人や事業的規模の大家など)であれば、その管理料の消費税は仕入税額控除として処理できますが、オーナーが個人の賃貸業で免税事業者の場合は控除できずコストとなります。

また、不動産取引に関連して支払われる報酬や成功報酬も課税対象です。不動産コンサルタントへのフィー、ローン手配手数料、火災保険等の代理店手数料(※保険料自体は非課税ですが、不動産会社独自のサービス部分は課税)なども該当します。不動産業者としては、こうした収入について適切に消費税を計算し、請求書(適格請求書)に記載することが求められます。インボイス制度施行後は、法人顧客などから適格請求書の発行を求められるケースが想定されますので、免税事業者の場合でも対応策を検討しましょう。

最後に、不動産業に関わる方は消費税だけでなく法人税など他の税務分野も含めた総合的な対策が重要です。特に不動産業の法人税には減価償却の扱いや経費計上の特殊性があり、消費税と連動した節税プランも考えられます。また、将来的に事業承継や法人化を検討する際にも、それぞれ消費税の取扱いが変わる可能性があります(事業承継で不動産を譲渡すれば消費税が発生するケースがある点など)。不動産業界に精通した税理士であれば、こうした将来を見据えたアドバイスも可能です。当税理士事務所でも、不動産会社の税務顧問として消費税・法人税両面から経営をサポートしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産業の会社や事業者にとって、消費税の納税義務を負う課税事業者に該当するか、それとも免税事業者として消費税の申告・納付が不要かを判断することは非常に重要です。課税か免税かで資金繰りや利益率が大きく変わり、経理処理や税務対応も異なってきます。以下では、不動産業の賃貸仲介業売買仲介業サブリース業建売業それぞれの事業者に関連する消費税の判定基準を、専門の税理士(不動産業に強い税理士)の視点から解説します。ポイントを押さえて、自社が課税事業者にあたるかどうか適切に確認しましょう。また、不動産業の方は法人税や所得税など他の税務も複雑ですので、必要に応じて不動産会社の税務顧問である税理士に相談しつつ対応すると安心です。

まず基本となる判定基準は、「基準期間」の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかです。基準期間とは、個人事業主であればその年の前々年(2年前)、法人であれば前々事業年度を指します。この基準期間における課税売上高(税抜の課税対象売上高)の合計額が1,000万円を超えている場合、その現在の課税期間(年度)は課税事業者となり、消費税の申告・納税義務が生じます。逆に、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば原則として免税事業者となり、その期間の消費税の納税は免除されます。

たとえば、前々期(2年前)の不動産仲介手数料収入や賃料収入など課税売上高が合計で1,200万円だった不動産会社は、現在期は課税事業者として消費税を納める義務があります。一方、前々期の課税売上高が500万円程度であれば現在期は免税事業者となり、原則として消費税の申告納付は不要です。

課税売上高の算定: 課税売上高とは、課税取引として得た売上金額(不動産業の場合、課税対象となる売買代金の建物部分や事業用家賃、仲介手数料など)と輸出取引等の免税売上を合計し、そこから売上返品・値引き等を差し引いた金額を指します。不動産業では土地の売却や住宅の家賃収入は消費税が非課税となる点に注意しましょう。例えば、建売業者が土地付き建物を販売する場合、建物部分の売上は課税売上高に含まれますが、土地部分の売上は非課税であり課税売上高には算入しません。

(※補足)個人事業主として不動産業を営んでいる方は、正確な売上計算と経理のために青色申告による適切な帳簿管理が重要です。青色申告を行えば損益の把握もしやすく、消費税判定の基礎資料も整いやすくなります。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも安心はできません。消費税法では前々期に加えて、特定期間と呼ばれる前事業年度の前半6か月間の状況も判定基準となります。具体的には、前事業年度開始日から6ヶ月間(個人事業主の場合は前年1月1日~6月30日)の課税売上高または給与等支払額の合計が1,000万円を超えている場合、その事業者は現在期に課税事業者となることがあります。これは事業の急成長などで直近で売上や人件費規模が拡大したケースに対応するための判定です。

例えば、不動産管理業を営む法人で、基準期間(2期前)は売上500万円だったため本来は免税事業者となるところ、前期の上半期(特定期間)に大型案件がありその6ヶ月間の売上合計が1,200万円に達した場合は、当期は基準期間要件を満たさなくても課税事業者に該当しえます。また、売上でなく人件費(給与等支払額)の合計が特定期間に1,000万円超となっても同様です。不動産業は人件費も高額になりやすいため注意が必要です。

この特定期間による判定は、新興の不動産会社や急拡大している場合に見落としやすいポイントです。自社の前期前半の売上推移や給与総額を確認し、該当する場合は期中であっても早めに消費税対応の準備(消費税の資金確保や経理処理の変更等)を進めましょう。

法人を新規に設立した場合(法人成りを含む)、最初の2期分については原則として消費税の基準期間が存在しないため、自動的に免税事業者になる特例があります。ただし上記の特定期間の判定により2期目から課税事業者となる場合もあることに留意してください。不動産業では、個人事業主から法人化(法人成り)して事業を始めるケースも多く、この特例をうまく活用することで創業後の消費税負担を一時的に免れることが可能です。

ただし、この新設法人2期免税の特例を受けるためには資本金要件に注意が必要です。設立時の資本金または出資金が1,000万円未満である法人のみが対象となり、資本金1,000万円以上で会社設立をすると初年度から免税特例は適用されません。つまり、小規模なスタートの場合には消費税免税のメリットを得られますが、大規模資本で会社を作った場合は初年度から課税事業者として消費税を納めなければならないのです。

たとえば、ある不動産賃貸業のオーナーが個人事業から法人化する際に資本金を500万円で設立した場合、設立1期目および2期目は原則消費税が免除されます。しかし、同じオーナーが資本金2,000万円で法人設立した場合は1期目から消費税の納税義務が発生します。これは「資本金1,000万円未満なら2期免税」という特例の有無による違いです。新設法人の2期免税を目的に法人化を検討する場合は、資本金額の設定に十分注意しましょう。

(注意)資本金1,000万円以上で設立すると初年度から課税事業者に
前述のとおり、資本金1,000万円以上で会社を設立すると消費税免税の恩恵が受けられず、初年度から課税事業者となります。また、資本金が1,000万円未満でも、設立1期目の前半6ヶ月の売上や給与支払額が1,000万円を超える場合(特定期間による判定)や、設立母体となる法人の規模によっては免税特例が適用されないケースもありますので注意が必要です。消費税の免税期間を見越して法人成り(法人化)する場合は、こうした例外規定も含め事前に税理士へ確認することをお勧めします。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

売上規模等から消費税の免税事業者に該当する不動産会社・事業者には、免税事業者でいることのメリットとデメリット双方を正しく理解することが重要です。2023年10月からのインボイス制度開始によって、この判断はさらに戦略的な意味合いを帯びるようになりました。

免税事業者でいるメリット:

  • 消費税の納税負担がない。免税事業者は消費税の申告・納付義務が免除されるため、仮に課税売上があってもその消費税相当額を納税せずに済みます(※インボイス未登録である限り課税売上に対する消費税を預からないのが原則です)。その結果、課税売上に対する消費税相当分を利益や資金として手元に残せるケースがあります。特に不動産売買業や建売業では、免税事業者であれば建物代金等に本来上乗せされる消費税分(現在10%)を実質的に価格に含めつつ、自社の納税義務は発生しないため、その分を利益に繰り入れられる可能性があります。
  • 事務負担が軽い。消費税の申告書作成や消費税額の計算・納付といった手続きを行う必要がないため、経理事務の負担や税理士への報酬負担を軽減できます。不動産業では日々の経理も煩雑になりがちですが、免税事業者であれば消費税区分の経理や帳簿・請求書の保存要件(インボイス制度下では厳格化)などについて煩雑さが多少緩和されます。

免税事業者でいるデメリット:

  • 取引先から敬遠されるリスク。インボイス制度開始後は、免税事業者(適格請求書発行事業者でない事業者)とは取引を控えようとする企業も増えています。なぜなら、免税事業者からの請求書では購入側(不動産取引の相手方)は消費税の仕入税額控除を受けられないためです。特にBtoB(企業間取引)が多い不動産業者にとって、インボイス非対応だと「消費税分の損」を相手に強いる形となり、競争上不利になる懸念があります。例えば、事業用物件の賃貸仲介手数料100万円(税抜)を請求する場合、本来課税事業者であれば税込110万円の請求とし相手企業は10万円を仕入税額控除できます。しかし免税事業者だと税込でも110万円の請求はできず、仮に110万円とすれば相手企業はその中に含まれる消費税相当額を控除できずコスト増となります。そのため相手は「税込でも100万円に値下げしてほしい」等の交渉をしてくる可能性があります。取引継続や信用面で不利に働くケースがある点は大きなデメリットです。
  • 仕入税額控除ができず、場合によっては損をする。免税事業者は、自社が支払った経費や仕入に含まれる消費税分も控除・還付を受けられません。不動産業では高額な経費(建築資材の仕入、工事費、人件費など)にも消費税が含まれているため、課税事業者であればこれらの仕入税額控除や場合によっては還付が受けられますが、免税事業者のままだとすべてコストとして負担することになります。例えば、建売業者が課税事業者となっていれば建築会社への支払いに含まれる消費税を控除できますが、免税事業者だと控除できず実質的にその分だけ利益が減少します。将来的な事業拡大や設備投資を考えると、免税でいることがかえって不利になる場合もあります。

以上のように、免税事業者であり続けることは一種の節税対策にはなり得ますが、インボイス制度の導入によりそのメリットとデメリットのバランスが変わってきています。特に不動産業においては取引額も大きく、法人間取引も多いため、「消費税を納めなくて済むから得」という単純な判断は禁物です。自社の取引先の状況(取引相手が法人か個人か、課税事業者かどうか)、業界内の競合他社の動向、将来の事業計画(売上拡大でいずれ基準期間1,000万円超となる可能性)などを総合的に踏まえて、インボイス発行事業者(課税事業者)になるか免税のままでいるかを判断しましょう。

※なお、一度免税事業者としてスタートした企業でも、インボイス制度への対応のため途中で適格請求書発行事業者の登録を行えば、その登録日以降は強制的に課税事業者となります(免税事業者がインボイス発行事業者になるには課税事業者選択届出書の提出が必要です)。インボイス発行事業者の登録をすると、その課税期間について消費税の納税義務が発生する点にも留意してください。免税か課税かの判断に迷う場合は、不動産業界の税務に精通した税理士など専門家にシミュレーションを依頼し、最適な選択を検討すると良いでしょう。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

ここからは、令和5年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、不動産業の事業者が知っておくべき概要と実務への影響を解説します。消費税のインボイス制度導入は、不動産会社にとっても大きな制度変更であり、対応の有無で取引関係や納税額に差が生じます。特に「不動産業 消費税」の実務ポイントとして、賃貸オーナーや管理会社、仲介会社、建売業者それぞれに注意点があります。不動産会社の税務顧問を務める税理士法人加美税理士事務所としても、全国の不動産業者様からインボイス対応に関するご相談を多数いただいております。当税理士事務所の経験も踏まえつつ、以下でポイントを見ていきましょう。

インボイス制度とは、適格請求書発行事業者が発行する「適格請求書(インボイス)」を保存しておくことで初めて仕入税額控除が認められる、新しい消費税の仕組みです。2023年(令和5年)10月1日から導入されました。制度開始以前は、一定の事項を記載した帳簿と請求書等の保存(区分記載請求書等保存方式)によって仕入税額控除が可能でしたが、インボイス制度開始後は「適格請求書(インボイス)の保存」が必須となりました。

適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対して正確な適用税率や税額等を伝えるために必要な事項を記載した請求書や納品書等のことです。例えば請求書において、適格請求書には発行事業者の登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの消費税額等を記載することが求められます。インボイス発行事業者となるには所轄税務署長への事前登録が必要で、申請して登録を受けると固有の登録番号が発行され、国税庁の公表サイトで事業者名等が公表されます。

インボイス制度の導入目的は、適正な消費税負担の徹底と適正な税額控除のための制度整備です。軽減税率(複数税率)にも対応する形で導入されており、買い手側はインボイスを受領・保存していなければ原則として仕入税額控除ができません。一方で、インボイスを発行できるのは登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)のみとなるため、免税事業者はインボイスを発行できないという大きなハードルが生まれました。免税事業者が登録を希望する場合は自主的に課税事業者となって申請する必要があります。これにより、取引上インボイス発行が求められる事業者は売上規模に関係なく課税事業者になる道を選ぶケースも増えています。

不動産賃貸業(物件オーナーやサブリース含む)にとって、インボイス制度への対応が特に重要になるのは事業用物件の賃貸です。なぜなら、居住用の住宅家賃は消費税が非課税取引でありインボイス制度の影響を受けませんが、オフィスや店舗など事業用物件の賃貸料は課税取引となるためです。インボイス制度開始後、事業用物件の貸主が免税事業者(インボイス未登録)である場合、借主であるテナント企業は支払家賃に含まれる消費税相当額について仕入税額控除ができなくなります。これはテナント側にとって実質的なコスト増となるため、貸主が免税事業者のままだと「家賃を値下げしてほしい」「課税事業者になってインボイスを発行してほしい」といった交渉に発展する可能性があります。

対応策: 事業用物件を貸し出す不動産オーナーで現在免税事業者の方は、可能であればインボイス発行事業者の登録を検討すべきでしょう。課税事業者になれば消費税の納税義務が発生しますが、テナントとの関係維持や今後の賃料交渉力を考えると得策な場合が多いです。また、現行契約への対応として、インボイス制度施行後に家賃の税込金額や消費税取扱いを見直すための契約書の覚書を交わすことも考えられます。インボイス発行の有無に応じて適正な賃料設定となるよう、テナントと貸主双方で合意しておくことが望ましいでしょう。

なお、居住用賃貸(住宅の家賃)は前述の通り消費税非課税のため、貸主が免税事業者でも課税事業者でもインボイス制度の影響を受けません。居住用しか扱っていないオーナーであれば特段インボイス対応は不要です。ただし一部に事業用テナントや駐車場収入等(駐車場等の貸付は土地の単なる賃借でなく設備利用を伴えば課税)を含む場合には、その部分について適切な対応が必要です。

※ 事業用賃貸でも貸主が免税事業者だとテナント側は仕入税額控除不可
上記の通り、オフィス・店舗・駐車場等の事業用賃貸取引では、貸主がインボイス発行事業者でない場合、借主(課税事業者)は支払った消費税の控除ができません。サブリース(不動産一括借上げ)業においても同様で、オーナーが免税事業者だとサブリース会社はオーナーへの支払家賃に含まれる消費税を控除できず、その分の負担が増加します。その結果、サブリース会社はオーナーに対して契約条件の見直しや課税事業者になるよう依頼する必要性が生じるケースがあります。不動産賃貸業では、貸主・借主それぞれの立場でインボイス制度による税負担の変化を正確に把握し、円滑に調整を行うことが重要です。

不動産仲介業(賃貸仲介・売買仲介)や不動産管理業に携わる事業者も、インボイス制度への対応が求められます。これらの業種では主な収益として受け取る仲介手数料管理委託料が消費税の課税対象となるため、適格請求書の発行が必要になる場面が多いからです。特に法人顧客を相手にする場合、適格請求書(インボイス)を発行できないと取引先に余計な税負担を強いることになりかねず、信用問題にもつながります。

  • 賃貸仲介業者の場合: テナント募集の仲介手数料や物件紹介料などを家主や借主から受領する際、取引相手が法人であればインボイスの発行を求められるのが通常です。仮に小規模で売上1,000万円以下の賃貸仲介業者であっても、今後も法人の依頼主と取引を続けたいのであれば適格請求書発行事業者の登録を検討すべきでしょう。免税事業者のままだと「インボイスを発行できない=手数料に含まれる消費税分の控除を相手方が受けられない」ため、前述のように手数料の減額交渉に発展したり、取引そのものを断念されるリスクがあります。一方、顧客が個人(一般消費者)のみであれば相手は消費税の仕入税額控除とは無縁ですので、インボイス未対応でも直接的な迷惑はかけません。しかしながら不動産仲介業の将来的な取引拡大や信用力向上を考えると、早めにインボイス発行事業者となっておくことが望ましいと言えます。
  • 不動産売買仲介業者の場合: 売買物件の仲介手数料は高額になることも多く、たとえば数百万円単位の手数料に対して消費税が課されます。売主・買主いずれにしても法人が絡むケースではインボイスが必須です。不動産売買の当事者が個人であっても、仲介業者自身が課税事業者であれば適格請求書を発行してあげることで「きちんと税務処理している会社」という信頼感を与える効果もあります(個人は仕入控除できないものの、適格請求書があれば経費処理時に消費税額が明確になる利点があります)。インボイス対応はサービス品質の一環とも言えるでしょう。
  • 不動産管理業者の場合: 賃貸物件の管理料や、物件オーナーへのレポート時に発行する請求書もインボイス対応が必要です。管理業務を行う会社が免税事業者だと、オーナー(が課税事業者の場合)は支払った管理委託料の消費税を控除できません。管理会社としてはインボイス発行体制を整え、オーナーに適格請求書を交付することで信頼を得ることが大切です。また管理業務上、テナントや業者への支払代行等でインボイスを受領する立場にもなるため、受け取った請求書の保存や社内の経理処理フローについても制度対応が求められます。

以上のように、不動産仲介・管理業ではインボイス発行事業者となることが実務上ほぼ不可欠と言えます。経理や消費税対応に不慣れな事業者でも、早めに税務の専門家やクラウド会計システムの力を借りてインボイス発行・保存の体制を作りましょう。当税理士事務所でも、不動産業界の経理初心者の方に対する支援(経理代行やクラウド会計導入サポート等)を行っていますので、不安な場合はお気軽にご相談ください。

建売業者や不動産開発・販売業では、自社が発行する請求書だけでなく、仕入先から受け取る請求書がインボイスに対応しているかが重要なポイントです。建売住宅の販売、投資用不動産の販売などでは、建築会社・工務店、資材業者、設計事務所など多くの取引先から仕入や外注工事を行います。インボイス制度開始後、そうした仕入先が適格請求書発行事業者として登録しているかどうかで、自社の消費税コストに大きな差が生じます。

具体的には、建売業者が建物の建築費用として工務店に支払う代金には消費税が含まれます。この工務店がインボイス発行事業者で適格請求書を発行してくれれば、建売業者はその支払った消費税を仕入税額控除できます。しかし、もし工務店が免税事業者でインボイス未登録だった場合、従来であれば請求書保存で認められていた控除が今後は段階的に制限され、将来的には一切控除できなくなります。不動産業では下請け・外注先に小規模事業者も多いため、「主要な仕入先がインボイス登録していないので仕入税額控除できず、消費税の実質負担が増えてしまった」という事態も起こり得ます。

対応策: 不動産販売業の経理担当者は、仕入先リストを洗い出して各社のインボイス登録状況を確認しましょう。国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で相手の登録番号の有無を検索できます。重要な仕入先が未登録の場合、今後の取引継続をどうするか検討が必要です。例えば、インボイス未登録の業者に対しては税込価格の見直し交渉を行い、消費税相当分の減額を求めるケースもあります。または将来的に登録する予定があるか確認し、必要に応じて別の登録業者への発注に切り替えるといった判断も求められるでしょう。

自社が不動産を売却する際には、買主(特に法人顧客)から適格請求書の交付を求められるため、自社側のインボイス発行体制も万全にしておく必要があります。例えば、建売住宅を法人に販売する場合や、投資用アパートを販売する場合、建物代金部分には消費税が課されるため適格請求書の発行が求められます。不動産の売買契約書とは別に、後日発行する請求書や領収書がインボイスの要件を満たすようフォーマットを整備しましょう。

(注意)インボイス未登録の建築業者への支払分は仕入税額控除の対象外
インボイス制度施行後は、免税事業者である建築業者・施工業者から受け取る請求書について、仕入税額控除が段階的に縮小・廃止されます。不動産業者にとって大きなコストである建築費・リフォーム費等でこの影響を受けると、消費税負担が増大しかねません。発注先の建築業者がインボイスに未対応の場合、できれば課税事業者になってもらうよう働きかけるか、インボイス発行事業者へ発注先を変更するなどの対策が必要です。下請け業者との関係上難しい場合でも、2029年までの経過措置期間内に順次調整を図っていくことが求められます(詳細は後述の経過措置の項をご参照ください)。

売上規模が小さく現在免税事業者である不動産事業者にとって、「インボイス発行事業者の登録をするべきかどうか」は頭を悩ませる問題です。この判断をする際には、以下のポイントを総合的に考慮しましょう。

  1. 取引先の属性(BtoBかBtoCか): 取引先が法人や課税事業者である場合、インボイス未対応のままだと取引先にデメリットを与えることになります。特に不動産仲介で法人顧客が多い場合は、インボイス発行事業者への登録を強く検討すべきです。一方、取引先が個人消費者中心(例:一般個人への住宅販売や個人オーナーからの仲介依頼など)であれば、相手は仕入税額控除をしないためインボイス未登録でも直接的支障は少ないです。ただし今後取引先の属性が変わる可能性も踏まえて判断しましょう。
  2. 自社の課税売上高の見通し: 現時点で年間1,000万円以下でも、事業拡大により基準期間の課税売上高が近い将来1,000万円超となる見込みがあるなら、遅かれ早かれ課税事業者になることになります。であれば早めに登録しインボイス発行に慣れておくのも一案です。また、年間売上高が数百万円程度で今後も大きく伸びない見込みなら、免税事業者を維持する選択肢も現実的です。自社の経営計画や業界動向を踏まえて判断します。
  3. 仕入税額控除メリット: 前述したように、自社が課税事業者になることで経費に含まれる消費税の控除・還付を受けられるメリットがあります。例えば建売業であれば、課税事業者になることで建築費等の消費税が控除され、トータルの利益が確保しやすくなります。反対に免税事業者のままだと大きな仕入をした際にその消費税が戻ってこないため、将来的な設備投資や仕入が多い業態では課税事業者になった方が有利なことがあります。
  4. 競合他社の状況: 同業の不動産会社がインボイス発行事業者として登録を進めている中で、自社だけ対応が遅れると取引先から選ばれにくくなる恐れがあります。業界内の動向や取引先からのヒアリングを通じて、市場のニーズを把握しましょう。例えば大手不動産管理会社はほぼ例外なくインボイス対応済みですので、そうした企業と取引する下請け業者も追随する傾向があります。
  5. 事務負担と特例制度の活用: 課税事業者になると消費税申告の手間や納税資金の準備が必要ですが、小規模事業者向けの特例も用意されています。たとえば簡易課税制度を選択すれば業種に応じた簡便な計算で消費税額を算定可能です(不動産業は第6種事業でみなし仕入率40%などの規定あり)。また、インボイス制度開始に伴い経過措置として2割特例(課税売上に係る消費税額の2割を納税すればよい制度)も2026年9月まで適用できます。こうした制度を活用すれば当初の納税負担や事務を軽減できます。免税事業者からインボイス発行事業者になるか迷う場合は、これら特例の適用期間内に試行的に課税事業者となってみるのも一つの方法です。

以上を踏まえ、「免税事業者のままか、課税事業者(インボイス発行事業者)になるか」を検討しましょう。単純な税負担の増減だけでなく、信用力・営業面のメリット将来の事業展開まで視野に入れて判断することがポイントです。判断に迷った際は、不動産業界の税務に詳しい税理士に相談し、シミュレーションやアドバイスを受けることをお勧めします。当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)でも、クライアントの事情に応じて「どのタイミングでインボイス登録すべきか」「簡易課税にすべきか本則課税にすべきか」といったご相談にきめ細かく対応しております。

インボイス制度への未対応(自社が免税事業者のまま・取引先が未登録のまま)でいることによるリスクを整理しておきます。不動産業に限らず全業種共通ですが、特に取引金額の大きい不動産取引では影響も甚大になり得ます。

①仕入税額控除が受けられないリスク: 繰り返しになりますが、自社がインボイス発行事業者でない場合、取引先(買手)は仕入税額控除ができません。また自社が買手の立場でも、仕入先がインボイス未登録だと同様に控除不能となります。これにより、免税事業者と取引を続けると仕入側・支払側に消費税分のコスト負担増が発生します。不動産会社にとっては、仕入先や協力会社に免税事業者が多い場合、その分だけ今後の消費税負担増を覚悟しなければなりません。

②取引機会・信用の喪失リスク: インボイス未対応が原因で取引先から敬遠されたり、価格交渉を強いられるリスクも見過ごせません。特に不動産業界では一度の取引額が大きいため、「御社とはインボイス発行事業者になってから取引します」といった話になれば大きな機会損失となります。信用面でも、「税務対応が遅れている会社」と見なされる恐れがあります。

③事務処理の混乱リスク: インボイス制度施行後は請求書様式や経理処理も変わりました。未対応のままだと、自社だけ旧来方式で処理していて取引先と認識が食い違う、会計ソフトでインボイス番号の管理ができていない等の事務的ミスに繋がる可能性があります。特に経理スタッフが少ない不動産会社では制度変更初期に混乱が起こりやすいため注意が必要です。

もっとも、インボイス制度には買手側の負担増を緩和するための経過措置も設けられています。仕入税額控除の段階的制限措置として、インボイス未発行取引については以下のように一定割合の税額控除が認められる期間があります。

  • 2023年10月1日~2026年9月30日まで: 消費税額の80%を仕入税額控除可能(言い換えると、本来控除できない20%相当は仕入側が負担)
  • 2026年10月1日~2029年9月30日まで: 消費税額の50%を仕入税額控除可能(残り50%は負担)
  • 2029年10月1日以降: 適格請求書のない取引については仕入税額控除不可(0%控除)

このように、最初の3年間は80%、次の3年間は50%の控除が認められ、最終的にはゼロになります。例えば、インボイス未登録の協力業者に支払った消費税100万円がある場合、2025年ならその80万円は控除可能ですが、2027年には50万円、2030年以降は一切控除できなくなる計算です。経過措置期間中は一部控除が残るものの、時間の経過とともに免税事業者との取引コストが着実に増すことを意味しています。

不動産業の取引は長期の契約も多いだけに、この段階的措置のスケジュールを念頭に置いて早めに対策を打つことが大切です。現時点(2025年)では「まだ80%控除できるから…」と悠長に構えていると、数年後に大きな負担増や取引見直しに直面しかねません。経過措置期間内に、主要な取引先のインボイス対応状況を把握し、必要に応じて価格交渉や取引先変更・登録の働きかけなど調整を進めましょう。

経過措置と併せて知っておきたい特例: 上述のとおり買手側の控除経過措置とは別に、売手側(新たに課税事業者になる側)には2割特例と呼ばれる負担軽減措置があります。これは免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け課税事業者になった場合に、2023年10月1日から2026年9月30日までの間に限り、納める消費税額を売上にかかる税額の2割に簡略計算できる特例です。小規模事業者のインボイス参入を後押しする目的があります。免税事業者の方がインボイス登録を検討する際は、この特例期間内であれば大きな負担なく移行できる可能性があります。もっとも2割特例は時限措置なので2026年10月以降は利用できなくなります。その後は本則課税や簡易課税へ移行する必要があるため、将来的なシミュレーションも忘れずに行いましょう。

インボイス制度への対応を円滑に進めるために、不動産業の事業者が今から取り組むべき実務準備をまとめます。当税理士事務所では全国対応・オンライン相談可の体制で不動産会社様のインボイス制度対応をサポートしておりますので、自社対応のチェックリストとして以下をご活用ください。

  1. インボイス発行事業者の登録申請: まだ適格請求書発行事業者の登録をしていない場合、まずは登録要否の判断を行い、必要と判断したら速やかに税務署へ登録申請を行いましょう。登録申請書は所轄税務署またはe-Taxで提出できます。申請後、税務署の審査を経て登録番号が発行・通知されます(通常1〜2か月程度)。不動産業は取引金額が大きいため、期中であっても登録が完了次第インボイス発行を開始するメリットがあります(※2029年9月30日までは免税事業者でも期中登録による課税事業者化が可能な経過措置あり)。
  2. 請求書様式・システムの整備: 自社発行の請求書、領収書、契約書控え等がインボイスの要件を満たすよう様式を修正します。具体的には、自社の登録番号、取引ごとの適用税率と税額の記載欄、取引先名等の必要項目が漏れなく記載されるようフォーマットを変更します。市販の会計ソフトや請求書発行システムを利用している場合は、最新版へのアップデートやインボイス対応版への切替を行います。例えば仲介手数料の請求書であれば、「適格請求書発行事業者登録番号:TXXXXXXXXXXXX」のように登録番号を明記したひな型に変えておく必要があります。
  3. 経理処理・帳簿管理の見直し: 受領した請求書について、適格請求書であるか(必要項目が記載されているか)をチェックし、適格請求書は7年間保存するルールを徹底します。不動産業では紙の領収書や契約書類も多いため、紛失防止策も講じましょう。インボイスに記載された消費税額は税率区分ごとに集計する必要があります。会計ソフト上で科目ごとに税区分を設定し、決算時に正確な仕入税額控除計算ができるよう事前にテストしておきます。電子帳簿保存法の改正対応も踏まえ、スキャン保存やクラウド管理を取り入れるのも有効です。(インボイス制度への対応状況は将来の税務調査でも確認されるポイントです。不備がないようにしておきましょう。税務調査について詳しくは「税務調査の特集ページ」をご覧ください。)
  4. 社内体制と人材教育: 営業担当者にもインボイス制度の基本を周知し、取引先との商談時に対応状況を説明できるようにします。不動産の賃貸借契約や売買契約を締結する際、消費税の取扱いやインボイス発行の有無について相手から質問を受ける可能性があります。的確に答えられるようQ&Aを用意するなど社員教育を実施しましょう。また、経理担当者は適格請求書のチェック方法や保存方法について十分な知識を持たせます。必要に応じて当税理士事務所のような税理士による勉強会や個別相談を活用してください。
  5. 取引先への確認と交渉: 仕入先や委託先など主要な取引先がインボイス発行事業者かどうかリストアップして確認します。未登録の取引先があれば、今後の対応方針(登録予定の有無、価格見直し交渉、取引継続可否)を検討します。不動産業界は長年の付き合いのある協力会社も多いでしょうから、丁寧に事情を説明しつつ双方に納得のいく形を探ります。例えば「来期から課税事業者になる予定です」「インボイス未登録期間中は消費税分減額で請求します」等、事前に取り決めて書面で交わしておくと安心です。

上述の準備を進める中で、「自社だけでは対応が難しい」「専門家のチェックを受けたい」と感じる点も出てくるでしょう。当税理士事務所(税理士法人加美税理士事務所)は、不動産業に特化した税務顧問サービスを提供しており、消費税の実務対応から法人税・所得税の申告までトータルにサポート可能です。「不動産会社 税務顧問」をお探しの方や、インボイス制度対応について専門的なアドバイスが必要な方はぜひご相談ください。全国対応・オンライン面談も可能ですので、東京をはじめ全国各地の不動産業者様にご利用いただいております。

当税理士事務所の強みは、不動産業界特有の税務論点(例えば土地譲渡の非課税取引や建物に係る消費税還付スキーム、固定資産の減価償却など)に精通した税理士チームが在籍している点です。インボイス制度に関しても、制度開始前から個別相談で多くの事例に対応してきました。お客様の業態(賃貸業・仲介業・管理業・建売業など)に応じたきめ細かなアドバイスを心掛けており、経理体制の整備から実際の申告書作成までワンストップでお手伝いいたします。

最後に、不動産業の経営者にとって税務は専門外で難しい部分も多いですが、信頼できる税理士パートナーと連携することで本業に専念できます。不動産業 に強い税理士の選び方のポイントとしてよく言われるのは、業界知識と相談しやすさですが、当税理士事務所はその両面で高い評価をいただいています。消費税対応のみならず、法人税の節税策将来的な事業承継対策まで含めて総合的にご支援しますので、安心してお任せください。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

適切な消費税の納税義務判定とインボイス制度への万全な対応によって、不動産ビジネスの信頼性と収益性を高めていきましょう。当税理士事務所も専門家として全力でサポートいたします。何かご不明点やお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

不動産業の法人では、課税売上と非課税売上が混在することが多く、消費税の取り扱いが複雑です。建売業者(分譲住宅の建築販売)をはじめとする不動産会社では、プロジェクト単位の収支管理や原価計算(粗利管理)が重要であり、消費税の仕入税額控除(仕入れ時に支払った消費税の控除)による還付がプロジェクト収支に大きな影響を与えます。ここでは、不動産業における消費税還付の仕組みと注意点を詳しく解説します。

企業は商品販売やサービス提供に際して消費税を預かり(受取った消費税=売上に係る消費税額)、仕入や経費支払い時にも消費税を支払っています(支払った消費税=仕入に係る消費税額)。決算期の消費税申告では、受け取った消費税額から支払った消費税額を差し引いて計算し、受取額の方が多ければ差額を納税し、支払額の方が大きければその差額の還付を受けることができます。この仕組みを仕入税額控除といい、課税事業者(売上高が基準期間※で1,000万円超の事業者など)が消費税申告を行うことで適用されます。例えば、不動産会社が土地・建物の販売で預かった消費税よりも、建築資材の購入や下請工事などで支払った消費税の方が大きい場合、その超過分が税務署から消費税還付という形で返金されるのです。

消費税還付を受けられるかどうかは、「課税売上割合」に大きく左右されます。課税売上割合が95%以上である場合、仕入にかかった消費税を全額控除でき、その結果仕入税額が納付税額を上回れば全額が還付されます。このいわゆる「95%ルール」により、不動産業でも課税売上割合が高いケースでは積極的に消費税還付を受けることが可能です。

例えば、建売住宅を販売するデベロッパー(建売業者)では、建物部分の売上は課税売上となります。土地の譲渡収入は非課税ですが、建物代金が売上全体の95%以上を占めるようなプロジェクトでは課税売上割合が95%を超え、建築費等の支払時に負担した消費税の全額を控除・還付できます。これにより、建売業のプロジェクト収支において消費税分のコスト負担が軽減され、プロジェクトごとの粗利改善やキャッシュフロー向上につながります。実際、課税売上割合が95%以上かつ中小規模(課税売上高5億円以下)の会社であれば、仕入にかかる消費税の全額を控除できる特例が認められています。不動産業の消費税の還付は、この特例を満たす場合に最大の効果を発揮します。

一方で、課税売上割合が95%未満の場合には支払消費税の一部しか控除できず、還付額も限定的です。たとえば不動産賃貸業のように住宅家賃など非課税売上が多い事業では課税売上割合が低く、建物購入時に支払った消費税を全額控除することはできません。課税売上割合が95%未満の場合、課税売上に対応する部分のみ按分計算による仕入税額控除となり、残りは「控除対象外消費税」として企業が負担することになります。また、大規模な不動産会社(課税期間の課税売上高が5億円超の場合)では平成24年の税制改正により95%ルールの適用が除外されており、たとえ課税売上割合が95%以上でも全額控除は認められません。このように、還付の可否は会社規模や売上構成に左右されるため、自社の課税売上の割合を正確に把握することが重要です。

消費税還付を狙ったスキームへの対応策として、居住用賃貸建物の取得に係る消費税については令和2年度税制改正で大きな制限が導入されました。これにより、不動産業者が居住用の賃貸物件(住宅の貸付用建物)を購入または自己建設した場合、支払った消費税の還付が原則受けられないケースがあります。具体的には、課税売上割合が95%以上で一見全額控除が可能な場合であっても、取得した建物が居住用の賃貸目的である限り、その購入にかかった消費税については仕入税額控除の適用が認められません。不動産会社が居住用賃貸マンションやアパートを取得した場合、従来は金地金の売買等で一時的に課税売上割合を上げるスキームにより消費税の還付を受ける手法が知られていました。しかし、改正後はこうした還付スキームが封じられ、実質的に居住用賃貸物件の購入時には消費税還付ができなくなっています。

消費税の還付申告を行う際には、税務調査への備えも念頭に置いておく必要があります。一般的に、還付申告をすると税務署による内容確認が行われ、還付額が大きい場合には高い確率で実地の税務調査(臨場調査)が行われます。還付額が少額でも申告内容に不明点があれば、書類提出の要請や電話での問い合わせ等により厳密なチェックが行われ、疑義が解消しない限り還付は保留されます。これは、消費税の不正還付事例が後を絶たないため、国税当局が慎重に審査しているためです。

不動産業は高額取引が多く還付額も大きくなりがちなため、事前の税務調査対策が重要です。具体的な留意点としては以下のようなものがあります。

  • 証憑類の整備: 請求書や領収書、契約書など仕入税額控除の根拠となる書類を適切に保存・整理します。とくに不動産取引では契約書や決済時の書類が重要な証拠となるため、調査官へ提示できるよう準備しておきます。
  • 取引の実態説明: 還付が生じた理由(例:開発プロジェクトのため前期に支出が集中した、設備投資を行った等)を説明できるようにしておきます。課税売上割合が95%ギリギリの場合や、臨時的な課税売上を計上している場合などは、その経緯を論理立てて説明できる資料を用意しましょう。
  • 帳簿の正確な記帳: 日々の記帳を正確に行い、課税売上・非課税売上の区分や消費税区分をミスなく処理することが大前提です。適切に記帳されていないと調査で指摘を受け、還付額が減額されたりペナルティの対象となったりする可能性があります。必要に応じて税理士等の記帳代行サービスを利用し、専門家のチェックを受けるのも有効です。

こうした事前準備により、税務調査が行われてもスムーズに対応でき、結果的に円滑に還付を受け取ることができます。還付申告を行う不動産会社は、「調査が来て当然」という意識で準備を進めておくと安心です。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産業における消費税還付の申告は専門的な知識と煩雑な手続きが伴うため、不動産業に詳しい税理士に依頼するのがおすすめです。プロに任せることで、以下のようなメリットが得られます。

  • 計算ミスの防止と最適化: 課税売上割合の判定や控除対象外消費税額の計算など、複雑な論点も税理士が正確に処理します。不動産業の法人税・消費税両面に精通した税理士であれば、還付額を最大化しつつ法令遵守した申告書の作成が可能です。
  • 事務負担の軽減: 消費税申告書や添付書類(付表など)の作成は時間と手間がかかりますが、税理士に依頼すれば経理担当者の負担を大幅に減らせます。領収書の整理や帳簿入力も丸投げ対応可能な税理士事務所であれば、記帳代行から申告書提出まで一括して任せることができます。当税理士事務所は弥生会計などの会計ソフトへ精通していますので、御社のデータをスムーズに引き継ぎ処理することも可能です。
  • 税務調査対応の安心感: 還付申告をすると税務署のチェックが入る可能性がありますが、税理士がいれば事前に対策を講じたり、調査当日の立ち会いや追加資料の提出代行をしたりできます。普段から税務顧問として税理士がついていれば、調査官との交渉や説明も専門家に任せられるため、経営者は本業に専念できます。

このように、消費税還付の申告は専門家に依頼することでリスクと手間を大きく低減できます。不動産会社の経理担当者にとっても強力なサポートとなりますので、「自社に詳しい税理士に任せてよかった」と感じられるでしょう。当税理士事務所でも全国対応・オンライン相談により、不動産業のお客様へのサポート体制を整えています。

個人で不動産事業を営んでいる方は青色申告による適切な経理や法人化による節税メリットも検討が必要です。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

消費税還付申告について少しでも不安がある場合は、ぜひ専門の税理士にご相談ください。

不動産業の法人にとって、消費税の計算方法として簡易課税制度を選択できるケースがあります。簡易課税制度とは、本来の実際支払った消費税額に基づく計算(原則課税)ではなく、小規模事業者向けの消費税計算特例として、売上高に業種別のみなし仕入率を乗じて仕入控除税額を算出する制度です。事務負担の軽減策として設けられた制度で、基準期間(前々期など)の課税売上高が5,000万円以下である中小事業者が所定の手続きを行えば利用できます。不動産業の法人でも条件を満たせば選択可能であり、事務負担の軽減だけでなく場合によっては消費税の納税額そのものを抑えられる節税対策となることもあります。

通常、課税事業者は預かった消費税と支払った消費税を個別に計算して差額を納付しますが、簡易課税制度では「預かった消費税額 × みなし仕入率」で求めた金額を支払った消費税額(仕入税額)とみなして計算します。つまり実際の仕入や経費ごとの消費税額は集計せず、業種ごとに定められた固定率を適用して納税額を算定する方法です。これにより、帳簿付けや領収書管理の手間を大幅に削減できる利点があります。対象となるのは基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者で、事前(適用を受けようとする課税期間の前課税期間中)に税務署へ「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出して選択しておく必要があります。

不動産業は多様な収入形態があるため、自社が簡易課税制度を利用できるかどうかは基準期間の売上規模と課税事業者該当性を確認する必要があります。適用要件を満たし届出を行えば、原則課税(実額計算)と比べて簡便な方法で消費税申告が可能になります。ただし、適用後に事業規模が急拡大して課税売上高が基準期間で5,000万円を超えた場合、その課税期間は簡易課税を使えなくなる点にも留意が必要です(基準期間が5,000万円超なら強制的に原則課税に戻ります)。

簡易課税制度では事業の種類に応じて6つのみなし仕入率(事業区分)が定められています。不動産業の場合、基本的には第6種事業(不動産業)に分類され、そのみなし仕入率は40%と規定されています。具体的には、不動産の賃貸収入、物件の仲介手数料、物件管理料などは不動産業として第6種事業に該当し、預かった消費税額の40%が仕入税額(仮払消費税)とみなされる計算になります。例えば、不動産管理会社が受け取った管理料にかかる消費税が100万円であれば、その40万円を仕入にかかった消費税とみなし、差額60万円を納税するイメージです。

第6種(40%)という数字は他業種と比べると低めで、これは不動産賃貸や仲介業は経費(仕入)よりも収益(売上)の割合が高い傾向があるためと考えられます。言い換えれば、不動産賃貸・仲介業では実際にはそれほど多くの課税仕入れが発生しない(または非課税仕入れが多い)ことを前提にした率設定です。しかし、実際には修繕費や管理業務委託費など経費がかさむケースもあるため、一律40%が有利か不利かは事業実態によります。この点は後述するメリット・デメリットの項で詳述します。

不動産業の中でも、土地建物の販売(売買)を行う業態については、取引形態によって簡易課税の事業区分が異なります。同じ「不動産販売業」でも、物件の調達・販売先の形態により第1種から第4種までのいずれかに分類され、みなし仕入率が60%~90%まで変動します。代表的なパターンを整理すると次のとおりです。

  • 不動産の仕入れ転売(卸売業的形態): 他社から購入した土地建物を不動産事業者向けに転売する場合は第1種(みなし仕入率90%)に該当します。不動産事業者相手の卸売にあたるため、高い仕入率が適用されます。
  • 不動産の仕入れ販売(小売業的形態): 他社から購入した土地建物を消費者(エンドユーザー)に販売する場合は第2種(80%)となります。消費者向け小売に該当する位置づけです。
  • 建売業(自己建設した住宅の販売): 自社で建築した戸建て住宅やマンションを販売する場合は第3種(70%)に区分されます。建設業的な要素が強いため製造業・建設業と同じ区分です。
  • 上記以外のその他の事業: 上記1~3種のいずれにも属さない不動産関連事業収入は第4種(60%)に分類されます。例えば不動産業者が副次的に営む駐車場業など特殊なケースが該当する可能性があります。

このように、建売・不動産販売業では取引形態によって大きくみなし仕入率が異なるため、自社の売上構成を把握したうえで適切な事業区分を適用する必要があります。例えば、土地付き建物を個人顧客に販売するデベロッパーであれば第2種(80%)適用が基本ですが、自社施工部分がある場合は第3種(70%)として計算する部分も出てくるなど、プロジェクトごとに分類が分かれるケースもあります。不動産業の簡易課税制度の適用にあたっては、これら事業区分の判定を誤ると消費税額に影響するため、税理士と相談し正確に区分することが大切です。

簡易課税制度には事務負担の軽減以外にも、状況次第で納税額が有利になるメリットがありますが、逆に実態と乖離したみなし率の適用により納税額が不利になるデメリットもあり得ます。導入前にその両面を理解しておきましょう。

メリット:

  • 事務作業の簡素化: 実際の経費ごとの消費税額集計が不要になるため、経理負担が大幅に減ります。特に不動産業では領収書の数も多く、課税・非課税の判定も複雑になりがちですが、簡易課税なら売上高だけに基づき計算できるため記帳ミスも減ります。
  • 納税額の軽減(場合によって): みなし仕入率が実際の仕入割合より高い場合、簡易課税を選択した方が納税額が少なくなります。例えば、不動産仲介業では経費率が低めですが第6種のみなし仕入率40%が与えられているため、実際にはそれほど経費がなくても一律40%分の仕入税額控除が認められ、結果として納税額が抑えられるケースがあります。粗利率の高いビジネスほど簡易課税が有利に働く可能性があります。
  • キャッシュフローの安定: 簡易課税では大きな設備投資をしても即時に還付を受けることはできませんが、逆に言えば支払消費税が急増した場合でも一定率でしか控除されないため、納税額の変動幅が小さくなります。予測しやすい消費税額で資金繰り計画を立てられる点はメリットと言えます。

デメリット:

  • 納税額の増加(場合によって): みなし仕入率が実際の仕入割合より低い場合、簡易課税にするとかえって納税額が増えてしまいます。不動産賃貸業など第6種(40%)適用事業者でも、大規模修繕や設備投資で経費が多い年は実際の仕入税額が売上の50%を超えることもあり得ます。このような場合、簡易課税では40%しか控除できず、本来より多くの消費税を納めることになります。建売業者など原価率が高いビジネスでは特に注意が必要です。
  • 制度選択の縛り: 簡易課税制度は一度選択すると原則2年間は継続適用しなければなりません。途中で事業環境が変わり簡易課税が不利になっても、2年間は原則課税に戻せない(*注: 例外的に基準期間売上高が5,000万円超となった場合は強制的に適用不可)ため、将来の見通し違いによるデメリットが出る可能性があります。
  • 大きな仕入税額控除が受けられない: 原則課税であれば設備投資や建物取得の際に多額の仕入税額控除(還付)が受けられますが、簡易課税では一律計算のため高額資産の取得に対する還付は原則発生しません。不動産業では物件購入や建築で数千万円単位の消費税支出が起こり得ますが、簡易課税適用中はその大半を控除できず自社負担になる点はデメリットです。
  • 判断の難しさ: 簡易課税の有利不利は事業内容や年度ごとの事情で変わります。不動産業のように課税売上と非課税売上が混在する業種では、売上構成や経費計画を詳細に予測しないと正確なシミュレーションが難しく、判断を誤るリスクがあります。

簡易課税制度を利用したい場合、事前の手続きといくつかの注意点があります。まず手続き面では、制度を適用しようとする事業年度が始まる前日までに所轄税務署へ「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。例えば4月決算の法人が令和7年度から簡易課税を使いたい場合、令和6年末(事業年度開始前日である3月31日)までに届出書を提出しなければなりません。この期限を一日でも過ぎるとその期は適用できず、原則課税のまま納税することになります。提出漏れには十分注意しましょう。

また、一度簡易課税を選択すると繰り返しになりますが原則2年間は変更(取りやめ)できません。少なくとも2期分は簡易課税で申告し、その後にやはり不利だと感じた場合には「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して原則課税に戻すことになります(不適用届出も適用開始したい期の前期末までの提出が必要です)。したがって、簡易課税の選択は短期的な損得ではなく少なくとも今後2期の事業計画を踏まえて判断することが重要です。

なお、基準期間の課税売上高が5,000万円以下で適用開始した後、その後の期で基準期間の課税売上高が5,000万円超に達すると、その期は強制的に簡易課税制度は適用不可となります。適用不可となった場合でも選択自体は取り消されず、再び基準期間要件を満たせば自動的に簡易課税に戻ります(2年縛りの期間内であれば)。しかし売上規模の拡大で制度適用が出たり入ったりするのは計算間違いのもとですので、自社の成長見込みも考慮して制度選択・継続の判断を行いましょう。

※ 適用には所轄税務署への「簡易課税制度選択届出書」提出(原則適用開始前期末まで)が必要

簡易課税制度を適用するためには、原則として適用を受けたい課税期間開始日の前日までに所轄税務署長あて「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。提出期限を過ぎるとその課税期間には適用できませんので、忘れずに期限内提出しましょう。

簡易課税制度の適用可否や有利不利の判断は、不動産業の経理担当者だけで判断するのは難しい場合があります。そこで、消費税の節税対策の一環として、税理士など専門家によるシミュレーションを活用することをおすすめします。専門の税理士であれば、過去の実績や今後の事業計画から原則課税と簡易課税のそれぞれで消費税額を試算し、どちらが有利かを客観的に示してくれます。特に不動産業では年度によって物件の売買状況や投資額が大きく変動するため、毎期ごとに丁寧なシミュレーションを行うことで最適な選択が可能となります。

当税理士事務所では、不動産会社向けに消費税シミュレーションサービスを提供しており、課税・簡易の比較だけでなく、将来の物件購入計画や法人税への影響も含めた総合的な税務プランニングをご提案できます。例えば、来期に大きな開発プロジェクトを控えている建売業者様には、あえてその期だけ原則課税を選択して還付を受け、その後簡易課税に切り替えるといった戦略も考えられます(適用のタイミング調整には2年縛りの考慮が必要です)。こうしたシミュレーションは専門知識と経験がものを言いますので、ぜひ税務のプロにご相談ください。

消費税対策は不動産業の税務戦略の一部に過ぎません。他にも青色申告の活用や法人形態の選択、利益計画に応じた減価償却の調整など様々な節税策があります。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

当税理士事務所は不動産会社の税務顧問として、消費税はもちろん不動産業の法人税まで含めたトータルサポートを提供いたします。記帳代行から決算・申告、税務調査対応、将来的な事業承継対策までワンストップで対応可能です。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

全国対応でオンライン相談にも対応しておりますので、地域を問わずお気軽にお問い合わせください。不動産業界に強い税理士が丁寧にヒアリングし、御社に最適な税務戦略をご提案いたします。「不動産 税理士を探している」「信頼できる不動産会社の税務顧問がほしい」という方は、ぜひ一度当税理士事務所までご相談ください。

不動産業の法人にとって、消費税の適切な記帳・申告は経理上の大きな課題です。土地の売買や住宅の賃貸収入など非課税取引が多い不動産業では、消費税計算が複雑になりがちです。ここでは不動産業の消費税について、日々の記帳方法から申告手続き、インボイス制度への対応、そして専門の税理士活用まで、実務上のポイントを丁寧に解説します。不動産業界に特有の論点を押さえ、経理ミスを防ぎながら効率的に消費税申告を行うための情報をまとめました。

消費税の会計処理には、税込経理方式(取引金額に消費税を含めて記帳)と税抜経理方式(消費税分を分けて記帳)の2つがあります。どちらの方式を選択しても法律上問題ありませんが、一度選択した方式は毎期継続適用するのが原則です(中小企業なら期首に変更も可能)。不動産業のケースでは自社の規模や体制に合わせた選択が重要です。

  • 税抜経理方式:売上や経費から消費税相当額を切り離して「仮受消費税」「仮払消費税」として計上する方法です。税抜経理にすると、帳簿上で常に税抜きの純額が把握できるため収支管理が明確になり、期中から消費税の仮計算が可能です。また固定資産の購入時に税抜金額で資産計上できるため、償却資産税の課税標準が抑えられ有利になります。特に不動産業は事業用設備が多く償却資産税の負担が大きいため、税抜経理方式にしておいた方が有利といえます。一方で仕訳が増えて経理事務が煩雑になる点には注意が必要です。
  • 税込経理方式:取引金額に消費税を含めて、その総額をそのまま売上高や経費として記帳する方法です。税込経理は伝票の仕訳行数が少なくシンプルで、経理担当者の手間を減らせます。例えば売上の仕訳は1行で済み、税抜方式では2行必要なところを簡略化できます。さらに税込経理では消費税分も売上高に含めて計上されるため、税抜経理よりも見かけ上の売上規模が大きくなります。事業規模が大きく見えることで、金融機関からの融資を受けやすくなるメリットも指摘されています。特に不動産業の場合、税込経理にすると控除対象外消費税(非課税売上に対応する仕入税額)を別途計算・管理する必要がなくなります。難解な控除対象外消費税の処理を気にせず経理でき、後日の税務調査で追徴課税される心配もない点が税込経理方式の最大のメリットです。

では、不動産会社にはどちらの方式が適しているのでしょうか?一般に他業種では税務上は税抜経理の方が有利とされますが、不動産業だけは判断に迷うところがあります。不動産業の消費税取引は課税・非課税が混在し専門知識を要するためです。実務上の目安としては、税理士など専門家に記帳を任せる場合は税抜経理方式を採用した方が節税上有利であり、一方で自社で経理を行う場合は税込経理方式の方が手間がかからず税務上のリスクも少ないといわれています。実際、税理士が記帳代行する顧問先では税抜経理で細かく消費税を管理し、節税効果を狙うケースが多いです。反対に経理担当者が少なく専門知識も十分でない中小の不動産会社では、税込経理でシンプルに処理しミスを防ぐ方が無難でしょう。自社の経理体制や課税売上規模(※前々期課税売上高が1,000万円以下で免税事業者なら税込処理が現実的)を踏まえて、自社に適した方式を選択することが重要です。

不動産業では取引ごとに「課税」「非課税」の区分を正確に経理することが求められます。土地の譲渡や貸付けは消費税の非課税取引となり課税対象外です。また住宅(居住用建物)の賃貸料も、契約期間が1ヶ月未満の短期貸付等を除き非課税と定められています。これに対し、事務所・店舗など事業用物件の家賃や駐車場料金、仲介手数料などは課税取引です。このように課税売上と非課税売上が混在する不動産会社では、日々の仕訳段階から適切に区分経理を行い、取引の性質ごとに勘定科目や補助科目を分けて記帳することが重要です。例えば、建物賃貸収入は「(課税)売上高」、住宅賃貸収入は「(非課税)住宅家賃」等と科目分類し、土地の売却代金は非課税売上として別途計上するなど、科目分類の工夫で帳簿上明確に区分しましょう。補助科目での分類も便利です。

課税・非課税の区分経理ができていないと、消費税申告の際に大きなミスにつながります。課税売上と非課税売上が混同していると、本来納めるべき消費税額を過少申告してしまったり、逆に不必要な納税をしてしまう恐れがあります。また仕入税額控除(仕入れにかかった消費税の控除)の計算でも正確な区分が不可欠です。特に不動産業では土地の仕入れや住宅用建物の取得にかかった消費税は原則として控除できず(非課税売上対応のため)、課税売上に対応する部分のみ控除可能となります。消費税法上、課税期間中の課税売上割合が95%以上であれば仕入税額の全額を控除できますが、課税売上割合が95%未満の場合は控除できる仕入税額は課税売上に対応する部分のみとなります。具体的には、「個別対応方式」または「一括比例配分方式」により課税対応分の消費税額を按分計算しなければなりません。不動産会社では、ある年に大きな土地売却が発生すると課税売上割合が一時的に下がり95%未満となってしまうケースもあります。その結果、例年は全額控除できていた仕入税額の一部が控除不可(控除対象外消費税)となり、思わぬ納税額増加につながることがあります。こうした事態を防ぐためにも、日頃から課税・非課税を正確に区分して帳簿付けを行い、消費税の課税売上割合を把握しておくことが重要です。経理ソフト上で税区分を設定したり、取引ごとに課税/非課税をメモしておくなど、帳簿保存の段階で対策しておくと良いでしょう。

消費税申告を行う前提として、自社が課税事業者に該当するか確認しましょう。売上高が基準以下で本来免税でも、自主的に課税事業者を選択すること(課税事業者選択届出書の提出)も可能です。課税事業者となった場合、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に消費税申告書を提出する義務があります(法人税の申告期限と同じく通常2ヶ月以内)。期限までに申告・納税をしないと加算税などペナルティもありますので、計画的な対応が必要です。

課税事業者になるにあたって、本則課税(原則課税)で申告するか、一定要件を満たせば簡易課税制度を選択するかを決める必要があります。本則課税とは、実際の課税売上に係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を差し引いて納税額を計算する方法です。課税売上が多く仕入も多い不動産開発業などでは、本則課税により正確に計算した方が納税額を抑えられるケースがあります。一方、簡易課税制度は中小事業者の事務負担軽減のため設けられた特例計算方式で、基準期間における課税売上高5,000万円以下の事業者で事前に届出をした場合に選択できます。簡易課税では業種ごとに定められた「みなし仕入率」を用いて仕入税額控除額を簡便に計算します。不動産業は簡易課税の第6種事業に分類され、みなし仕入率は40%と他業種に比べ低く設定されています。そのため不動産賃貸業などでは実際の仕入経費に比べ控除できる割合が小さく、簡易課税を選ぶと消費税負担が増える傾向があります。一方、仲介・管理が中心で仕入れが少ない不動産会社では、簡易課税の方が有利になる場合もあります。自社の事業内容や費用構造に応じて有利不利が変わるため、事前にシミュレーションすることが大切です。

簡易課税制度の選択手続きとしては、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長に提出する必要があります。提出期限は適用を受けようとする課税期間開始日の前日までです。例えば4月1日から新事業年度が始まる法人がその年度から簡易課税を使いたい場合、前日である3月31日までに届出書を提出します。一度簡易課税を選ぶと最低2年間は継続適用しなければならず、原則その間は本則課税に戻れません。2年経過後にやめたい場合は、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を同じく期首前日までに提出して適用をやめる手続きとなります。したがって、安易に簡易課税を選ぶと思わぬ不利益を被ることがあります。例えば、今後2年以内に大規模な建物取得など設備投資を予定している場合は、本則課税であればその仕入れにかかった消費税の還付を受けられる可能性がありますが、簡易課税では実額ではなくみなし仕入率で計算するため消費税の還付は受けられません。このように将来の投資計画がある場合には簡易課税は不利になり得ます。また、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えれば簡易課税は適用できなくなる点にも注意が必要です。以上を踏まえ、自社にとって本則課税と簡易課税のどちらが有利かを慎重に見極めましょう。迷った際は不動産業に強い税理士など専門家に相談し、適切な届出手続きを行うと安心です。

2023年10月よりスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、消費税の仕入税額控除を受けるための帳簿管理が大きく変わりました。従来は請求書の保存と帳簿記載があれば仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度施行後は原則として適格請求書(インボイス)の保存が控除の要件となりました。適格請求書とは、発行事業者の登録番号や取引年月日、取引内容、税率ごとの消費税額等の所定事項が記載された請求書です。課税事業者(インボイス発行事業者)となった不動産会社は、取引先に交付する請求書に自社の登録番号や適用税率、消費税額を税率ごとに区分して記載しなければなりません。一方、仕入側(経費側)では受領した請求書が適格請求書に該当するかを確認し、これを適切に保存・管理することが求められます。

適格請求書を保存していない仕入については、原則として仕入税額控除が認められなくなります。ただし中小企業等への配慮から、インボイス制度開始から6年間は経過措置が設けられており、適格請求書がなくても一定割合の控除を受けることが可能です。具体的には2023年10月1日~2026年9月30日まで80%2026年10月1日~2029年9月30日まで50%の仕入税額相当額を控除でき、2029年10月1日以降は適格請求書が保存されていなければ一切控除できなくなります。経過措置の適用を受けるためには、請求書を保存するとともに帳簿に経過措置を適用した旨の記載を残す必要があります。不動産業では修繕費や管理委託費などで個人事業主(免税事業者)から仕入れるケースも多いため、こうした取引について経過措置を適用した場合は漏れなく帳簿上に記録しましょう。

インボイス制度下で仕入税額控除の権利を確保するため、不動産会社は以下のポイントに注意が必要です。

  • 適格請求書の収集・保存:物件管理料や工事代金など経費に係る請求書は、発行元がインボイス発行事業者か確認し、適格請求書を受領・保存します。紙の請求書はファイリングし、電子請求書は社内システムやクラウドストレージに確実に保存しましょう(電子帳簿保存法への対応も検討)。請求書の保存期間は原則7年間です。
  • 帳簿への記載:消費税の仕入額控除を受ける帳簿には、「取引先名」「日付」「内容」「金額」のほか、インボイスの登録番号や適用税率、経過措置の適用有無など所定の事項を記載する必要があります。会計ソフトにはインボイス対応の項目が追加されていますので、適切に入力・管理しましょう。
  • 仕入先の対応確認:仕入先が免税事業者でインボイスを発行できない場合、そのままでは将来的に仕入税額控除ができなくなります。取引先にインボイス発行事業者への登録是非を確認したり、どうしても登録しない場合は今後の取引条件(消費税相当分の値下げ交渉等)を検討する必要があります。特に長期の賃貸借契約など継続取引については早めに対応策を協議しましょう。

インボイス制度への対応は、単に書式の問題だけでなく今後の仕入税額控除に直結する重要事項です。経理担当者は請求書のチェックリストを作成し、漏れのない帳簿保存と管理を徹底しましょう。不安な場合は税務の専門家である税理士に相談し、社内の経理体制を整備することをおすすめします。

消費税の経理・申告は専門知識を要し、不動産業特有の論点も多いため、税務顧問として専門の税理士を活用することが有効です。経験豊富な税理士に継続的にサポートしてもらうことで、経理上のミスを防ぎ、日々の業務負担を大幅に軽減できます。経理や税務の作業は非常に煩雑で時間がかかりますが、税理士に記帳代行や申告書作成を任せることで、経営者や担当者は本業に専念することが可能になります。たとえば領収書整理から帳簿付けまで丸ごと税理士事務所に依頼すれば、社内の経理担当者の作業量を大幅に削減でき、煩雑な消費税申告書の作成も専門家に任せられるので安心です。

また、税理士は最新の税法改正にも精通しており、法律違反や申告漏れが発生しないようチェックしてくれます。もし経理や税務で見落としやミスがあると、追徴課税やペナルティのリスクがありますが、税理士のサポートによってこれらのリスクを未然に防ぐことができます。さらに、万一税務調査が入った場合でも、日頃から顧問税理士と二人三脚で経理を行っていれば慌てる必要はありません。税理士が帳簿の整備状況を把握しており、調査官への対応も適切にサポートしてくれるため、スムーズに乗り切ることができます。このように顧問税理士を付けておけば、日々の税務相談から決算・申告、税務調査対応までトータルで心強い味方となってくれるのです。

不動産業に明るい税理士であれば、課税・非課税の仕訳の切り分け方や有利な経理方式の選択、本則課税と簡易課税のシミュレーションなど、業界特有の疑問にも的確にアドバイスしてくれます。不動産売買の消費税や契約スキームに関する節税対策の提案を受けられることもあるでしょう。さらに、帳簿のチェック体制が整うことで経理担当者の成長にもつながります。最近ではクラウド会計ソフトを共有しオンラインで税理士が記帳内容を確認・修正するスタイルも増えています。日々の仕訳段階から税理士がチェックすることで、ミスそのものを減らし、経営者と認識を合わせながら適正な申告を実現できます。このように税務のプロを上手に活用することで、煩雑な消費税対応も安心して任せることができるでしょう。

不動産会社の経営において、消費税以外にも検討すべき重要な税務トピックがあります。ここでは関連するいくつかのテーマについて簡単に触れておきます(詳細は各トピックの専門ページをご覧ください)。

  • 青色申告:法人で不動産業を営んでいる場合、青色申告の承認を受けることで様々な特典(青色欠損金の繰越控除等)を享受できます。正規の簿記に基づく帳簿付けが必要ですが、節税のためぜひ活用したい制度です。青色申告について詳しくは「青色申告の特集ページ」をご覧ください。
  • 節税対策:不動産業では減価償却の計画的な実施や、法人化による所得分散、消費税還付スキームの活用(近年は居住用賃貸物件の取得に係る還付が制限されています)など、多様な節税策があります。適切な節税対策を講じることでキャッシュフローを改善できます。節税対策について詳しくは「節税対策の特集ページ」をご覧ください。
  • 税務調査:不動産売買は高額取引が多いため、税務調査の対象となりやすい分野です。とくに多額の消費税還付を受けた場合などは調査官から内容確認を受けるケースがあります。日頃から帳簿や証憑を整備し、指摘に耐えうる経理を行うことが大切です。万一調査が入っても、事前準備と専門家対応で落ち着いて対処できます。税務調査について詳しくは「税務調査の特集ページ」をご覧ください。
  • 法人化:最初は個人で不動産業を始めたものの、事業拡大に伴い法人化を検討する方も多いでしょう。法人化すると所得分散や消費税の免税期間※を新たに得られるなど節税メリットが生じる場合があります(※設立後2期は基準期間売上なしのため消費税免税事業者になれる場合があります)。一方で社会保険の加入や法人維持コストも発生しますので、メリット・デメリットを総合的に判断しましょう。法人化について詳しくは「法人化の特集ページ」をご覧ください。
  • 事業承継:不動産会社を経営されている場合、将来の事業承継・相続対策も視野に入れておきましょう。早めに承継計画を立てておくことで、自社株評価や相続税対策、後継者へのスムーズな事業移転が可能になります。不動産は評価額が高額になりやすいため、納税資金対策も含め専門家と検討することをおすすめします。詳しくは事業承継について「事業承継の特集ページ」をご覧ください。

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「うちにはちゃんとした会計ソフトもないし…」という企業様も心配ご無用です。当税理士事務所は会計ソフト未導入の企業様にも完全対応しております。請求書や領収書などの原始資料さえご用意いただければ、こちらで記帳代行を行い会計帳簿を作成いたします。もちろん、市販の会計ソフトへの入力代行も承ります。当税理士事務所は中小企業で導入実績の多い弥生会計に精通しており、弥生会計データの共有や仕訳入力もスムーズに対応可能です。さらに、近年利用が拡大しているクラウド会計ソフト(freeeやマネーフォワードクラウドなど)にも対応しております。お客様がお使いの会計システムに合わせて柔軟にサポートいたしますので、「ソフトの操作が分からない」「経理担当者が辞めて入力できない」といった場合でも心配いりません。必要に応じて当税理士事務所が丸ごと記帳を引き受け、正確な帳簿を作成いたします。

当税理士事務所のモットーはお客様の負担軽減です。経理業務の丸投げも大歓迎ですのでご安心ください!毎日の領収書整理・仕訳記帳から月次決算、そして年次の法人税および消費税申告書作成・提出まで、すべて当税理士事務所にて対応可能です。お客様は本業に専念しつつ、必要な資料提供とご連絡だけしていただければOKです。もちろん「そこまでは必要ないのでチェックと申告書だけお願いしたい」といった部分的なサポートにも柔軟に応じます。例えば、日々の経理は社内で行い税理士がレビューと申告書作成だけ担当するプランや、逆に経理スタッフ不在なので日次経理からすべてアウトソーシングするプランなど、御社の状況に合わせ最適な関与形態をご提案します。消費税申告直前の駆け込み依頼にも可能な限り対応いたしますので、「もう締切ギリギリで自分では無理だ…」という場合もまずはご相談ください。当税理士事務所は丁寧かつ機動力のあるサービス提供を心がけており、経理ミス0と申告漏れ0を目指してサポートいたします。

不動産業における消費税対応はプロに任せて、本業の発展に注力しませんか?全国対応・低料金が強みの当税理士事務所が、御社の強力なパートナーとして税務面をバックアップいたします。お問い合わせはメール・電話にてお気軽にどうぞ。私たちと一緒に、複雑な消費税実務を乗り越えていきましょう!

よくあるご質問

FAQ

創業1年未満の不動産仲介業でも消費税の申告義務はあるのでしょうか?

設立初年度は「基準期間」が存在しないため、通常は免税事業者となります。ただし、資本金1,000万円以上で設立した法人は、初年度から課税事業者となる場合があります。詳細な判定は税理士にご相談いただくのが安心です。

賃貸仲介手数料の消費税は、居住用物件でも課税対象になりますか?

はい、課税対象になります。居住用の家賃は非課税ですが、仲介手数料はサービスの対価として消費税が課される「課税売上」に該当します。したがって、居住用・事業用を問わず仲介手数料には消費税を加算して請求する必要があります。

会計ソフトを使っていない不動産会社でも、消費税申告は可能ですか?

可能です。当税理士事務所では、会計ソフト未導入の事業者様にも対応できる経理支援体制を整えています。丸投げでの記帳代行や、税抜・税込の区分記帳など、消費税申告に必要な会計処理をサポートいたします。

簡易課税制度と本則課税のどちらを選ぶべきか迷っています。

不動産仲介業は第6種の簡易課税が使えますが、実際の仕入内容や課税売上高に応じて有利・不利が異なります。制度選択には届出期限もありますので、判断に迷う場合は、税理士による事前シミュレーションをおすすめします。

消費税の課税・非課税取引の仕訳でよくミスをしてしまいます。

不動産業は土地の譲渡や住宅家賃が非課税、仲介手数料や事業用家賃が課税など区分が複雑です。当税理士事務所では、不動産会社様向けに税区分の判断や会計処理のマニュアル整備も支援可能です。

当社は初めて消費税の申告を行うのですが、帳簿や請求書の保存要件を教えてください。

インボイス制度の開始により、課税仕入にかかる請求書は「適格請求書」の保存が必須となりました。請求書と帳簿を7年間保管することが原則です。帳簿には税率区分や仕入先の登録番号も記載が必要です。

不動産仲介業でも免税事業者のままでいた方が得な場合はありますか?

初年度は消費税免税事業者でスタートするケースが多いですが、インボイス制度開始後は法人テナントからのインボイス要求があると不利になる場合があります。取引先の属性や資金繰りを踏まえて判断しましょう。

消費税の納税資金を事前に確保しておくには、どのように管理すべきですか?

預かった消費税は自社の利益ではなく納税義務があるため、別口座で積み立てるなどの資金繰り管理が有効です。月次で試算表を作成し、納税見込額を把握する体制の構築をおすすめしています。

免税事業者でも適格請求書(インボイス)を発行できますか?

インボイスの発行には「適格請求書発行事業者」としての登録が必要です。この登録には課税事業者になることが前提となるため、免税事業者のままではインボイスは発行できません。登録は任意ですが、法人間取引では対応が求められる場面が増えています。

インボイス制度の影響を受けない取引はありますか?

はい、あります。住宅の賃貸など消費税が非課税の取引は、インボイス制度の影響を受けません。一方、課税取引(仲介手数料、管理料など)については、制度開始後の請求書対応が求められます。

経理初心者でも消費税の記帳は対応できますか?

はい、可能です。当税理士事務所では、会計ソフトが未導入の方にもわかりやすく帳簿の付け方や税区分の判断をレクチャーしております。また、丸投げに近い形での記帳代行にも対応しています。

青色申告と消費税の申告には関係がありますか?

間接的には関係があります。青色申告により帳簿が整備されることで、消費税の課税売上・仕入控除の計算根拠が明確になり、税務調査時の信頼性が高まります。青色申告について詳しくは下記のページをご覧ください。

インボイス制度に対応した記帳方法について教えてもらえますか?

はい、当税理士事務所では、弥生会計やfreeeなどのクラウド会計ソフトを用いたインボイス対応記帳にも対応しております。税区分設定や請求書管理の方法についても具体的にご案内可能です。

節税の観点から、消費税についてもアドバイスは受けられますか?

もちろんです。たとえば簡易課税と本則課税の有利不利や、課税売上割合を活用した仕入税額控除の最適化など、消費税の節税余地は多く存在します。節税対策について詳しくは下記のページをご覧ください。

税務調査で消費税の部分はどのように見られますか?

税務調査では、課税・非課税の区分処理、仕入税額控除の算定根拠、帳簿保存状況などが重点的に確認されます。当税理士事務所では、税務調査対策として事前チェックや立ち会い支援も行っております。税務調査について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産業でよくある消費税の仕訳ミスにはどのようなものがありますか?

よくあるミスには、非課税である土地の売上や住宅家賃を課税売上として処理してしまう、逆に課税対象の仲介手数料を非課税とするなどの区分誤りがあります。帳簿上の補助科目や税区分の管理が重要です。

将来的に法人化を検討しています。法人化後の消費税対応はどう変わりますか?

法人化後は、資本金や売上規模により課税事業者となる時期が異なります。特に建物の取得時などは仕入税額控除の影響が大きいため、法人化のタイミングで課税選択を検討することもあります。法人化について詳しくは下記のページをご覧ください。

不動産業でもクラウド会計ソフトで消費税対応は可能ですか?

はい、可能です。freeeやマネーフォワード、弥生会計クラウドなどでは税区分やインボイス対応も整っており、不動産業にも対応しています。当税理士事務所ではそれらの会計ソフト活用サポートも行っています。

事業承継時にも消費税の影響はありますか?

はい、不動産を含む資産の引継ぎや譲渡の仕方によっては、課税売上となり消費税申告が必要になる場合があります。事業承継に伴う税務の注意点は専門家との事前相談が重要です。事業承継について詳しくは下記のページをご覧ください。

消費税の納税義務が発生するタイミングを簡単に知る方法はありますか?

基準期間(通常は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超の場合や、特定期間の課税売上高と給与等支払額の両方が1,000万円を超える場合に納税義務が発生します。早期の売上見通し把握が鍵です。

不動産業でも課税売上割合95%を維持すれば、全額仕入税額控除できますか?

課税売上割合が95%以上であれば、原則として仕入税額の全額控除が可能です。ただし、売上規模が大きい法人は個別対応が必要になるケースもあります。建売業やサブリース業では特に注意が必要です。

課税売上割合が95%未満になった場合、どのように仕入税額控除を計算しますか?

個別対応方式または一括比例配分方式のいずれかにより、課税売上に対応する仕入税額のみを控除する必要があります。特に不動産業では非課税売上(住宅賃貸など)が多く、適切な按分計算が不可欠です。

消費税を申告し忘れた場合、どうすればいいですか?

法定期限後でも、速やかに申告・納付を行うことで加算税・延滞税を最小限に抑えることが可能です。当税理士事務所では、期限後申告や修正申告についてもサポート可能です。

新設法人でも簡易課税制度を利用できますか?

はい、新設法人の場合でも、設立初年度から簡易課税制度の適用が可能です。ただし、適用を受けるには初年度の課税期間の末日までに届出書の提出が必要です。

不動産業で税理士を選ぶ際に気をつけるポイントはありますか?

不動産業界の課税・非課税の区分やインボイス対応に精通しているかどうかが重要です。当税理士事務所では、不動産業の税務対応に必要な知見を蓄積しており、柔軟な対応が可能な体制を整えています。

消費税と法人税の申告は一緒に行うべきでしょうか?

はい、多くの法人は決算期末の翌日から2か月以内に法人税とあわせて消費税の申告を行います。経理データの整合性確保のため、同じ税理士が両方を一貫して対応するのが一般的です。

インボイス登録をすると、消費税の納税義務が必ず発生しますか?

はい、インボイス発行事業者に登録すると、原則としてその日以降の課税期間は課税事業者となり、消費税の申告・納付義務が発生します。免税事業者のままでいたい場合は慎重な判断が必要です。

税務相談だけでも依頼できますか?継続契約は必要ですか?

はい、可能です。当税理士事務所では初回無料相談を承っております。スポットでの税務相談にも対応しており、継続契約をご希望の場合には、御社の状況に応じて柔軟にご提案いたします。

お問い合わせ

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

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